カヲル「僕はインキュバスなんだ、シンジ君」(13)

シンジ「なにそれ」

カヲル「女性に夢を見せて、そのエネルギーを栄養にするのさ」

シンジ「……?」

カヲル「不本意だけど、僕の運命なんだ」

シンジ「よく分からないけど……頑張ってね、カヲル君」

カヲル「ありがとう。シンジ君」

ヒカリ「……」

ヒカリ(明日のお弁当も鈴原、喜んでくれるかな)

ヒカリ(写真を枕元に置いたらその人の夢が見れる、って。そんなわけないけど)

ヒカリ(鈴原の写真……これで夢に出てきてくれたらいいな……)

ヒカリ「……」スゥ、スゥ

カヲル「こんばんは」

ヒカリ「…誰?」

ヒカリ(きれいな人……)

カヲル「僕が何者なのかはどうでもいいことだよ。洞木ヒカリさん」

ヒカリ「私の名前、なんで」

カヲル「ここは君の夢の中。夢に入ると、僕には君のことが全て分かるんだ」

ヒカリ「夢……? これが?」

カヲル「想い人が現れなくて残念だったね」

グイッ

ヒカリ「きゃっ!? 嫌、放して!」

カヲル「暴れないで。大丈夫、ひどいことはしないよ」

カヲル「ただ快楽を与えるだけ……快楽に溺れる君の欲が、僕の生命の糧になるんだ」

ヒカリ「意味が、分からな……っ、放してってば!!」

カヲル「―――力を抜いて。ヒカリ」

ヒカリ「!」ビクン

カヲル「そう。いい子だ」

ヒカリ(え、あれ……? なんで私、言うこと聞いて……?)

カヲル「さあ。僕の目を見るんだ」

ヒカリ「ふぁっ」ビクク

ヒカリ(ダメ、逆らえない……この人の声……!)

ヒカリ(どうしてこんなに、心に、身体に響くの……!?)

カヲル「……」

ヒカリ「あ……」


素敵な瞳―――
吸い込まれる―――
キスされちゃう―――
鈴原、助け―――


ヒカリ「…♥、…♥、…♥」ビクッビクッビクッ

ズチュッズチュッズチュッ

ヒカリ「ひあああああ! イひっ、ひぃ、あああぁぁ~~っっ!!!」

カヲル「……鈴原君には悪いことをしてしまったね」

ヒカリ「ンあああっ、すずはらぁ、ごめんなさい!! きもちぃぃ、きもちいいいのおおお!!!」

ズチュッズチュッズチュッ

ヒカリ「イっひぃぃ! らめっまたぁ、イっまたイっひゃああ、ああ、天使さま! 天使さまぁぁ!!」

ヒカリ「……」ポケー

アスカ「ヒカリ。ちょっとヒカリ」

ヒカリ「えっ。あ、な、なに?アスカ」

アスカ「具合悪いの……? 今日なんか、ずっとぼーっとしてるじゃない」

ヒカリ「……」

ヒカリ「アスカ……天使さまの噂って、聞いたことある?」

アスカ「は?天使ぃ?? なにそれ」

ヒカリ「最近、女の子の間だけでこっそり話題になってる都市伝説っていうか……そういうの」

アスカ「知らない。私そーいうの興味ないもん」

ヒカリ「うん、そうだよね」

アスカ「でもヒカリに何かあったなら別よ。その天使伝説とやらがどーかしたわけ?」

ヒカリ「噂ではね……毎日誰かの夢に『天使さま』って呼ばれてる、銀髪に赤い目をした本当に夢みたいな男の子が出てくるの」

ヒカリ「そ、それで、えっと」

アスカ「?」

ヒカリ「それで……て、天使さまが、えっちなことしてきて……それがすごく気持ちいいっていう……」

アスカ「ふーん。淫魔みたいなもんね。欲求不満が見るのよ、そういう夢」

ヒカリ「…………私も見たの。その夢」

アスカ「ぶっ」

アスカ(『天使さま』ねえ……女の子向けのエロ漫画みたいな設定ね)

アスカ(ヒカリもかなり乙女ちっくな子だし、ロマンと性欲混じりあってそんな夢見ちゃった、ってとこ?)

アスカ(ま、仮に私の夢にそんなの出てきたら、ギタギタにのして返り討ちにしてやるわ)



カヲル「こんばんは」

マヤ「……男の子?」

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