以前に【スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION Ver.2013】というものを書いていた者です。
色々考えた結果、最初からやり直す事にしました。
舞台はStrikerSの世界で、StrikerSの設定等はアニメのものが中心ですが他のメディアミックスのネタも色々入れていきます。
ストリートファイターの方はゲームのストリートファイターシリーズが基本になっていますが、客演作品のゲームや漫画作品の設定等を沢山入れていきます。
そして両方の作品に言える事ですが、物語の整合性や都合を合わせる為に独自の解釈、オリジナル設定、時系列の入れ替え等も沢山やっていきます。
物語の大筋は前回と同じですが、所々加筆・修正・削除や一部の内容を変更しています。
基本的にはリュウとスバルの視点で進めますが、他のキャラにもスポットを当てる事があります。
話は結構長くなる予定で、更新は不定期です。
あと質問・ツッコミ・助言は慎んで受け答えするので遠慮なく言ってください。
元ネタが分からなかったりしたら言ってもらえれば説明します(一部記憶がハッキリしないネタもありますが…)。
今度は最後まで書き切りますので、それまでお付き合いいただければ幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382257908
投下するの忘れてた…。
今から投下します。
『俺より強い奴に会いに行く』
これが俺の人生の全てだ。
強い奴に会えるなら俺は何処へでも行く。
俺の中に眠る『力』に打ち克つ為、『一撃必殺』を超える為、そして…『真の格闘家』になる為にも必要な事だ。
必ず行く。
『俺より強い奴が待つ場所へ』
【スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION】
第一話「邂逅 ー格闘家と少女ー」
【スバルside】
[新暦75年4月 ミッドチルダ 第8空港近隣 廃棄都市街]
あたしの名前はスバル・ナカジマ。
元気が取り柄、アイス大好きの15歳!
訓練学校からの相棒・ティアとコンビを組んでます!
そして今日は特別な日!
相棒と共に試験を受けるんだ!
☆スバル・ナカジマ
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/5/image.jpg
あたしは来たる時に備えて準備運動をしていた。
ステップを踏んで軽いジャブから始まり、肘打ち、フック、ストレート、アッパー。
「ふッ!」
気分が乗ってきた。正拳突き、膝蹴り、上・中・下段の回し蹴り。
「はッ!」
ローラーブーツを走らせながらのシャドーファイト。
「はあッ!」
☆スバル 準備運動
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/93/image.jpg
「スバル、あんまり暴れてると試験中にそのオンボロローラーが逝っちゃうわよ」
「うえー…。ティアー?やな事言わないでー?」
彼女はティア。本名はティアナ・ランスター。
ツインテールの似合うオレンジ髪の美人の16歳!
ティアとの出会いは訓練学校でたまたま寮で同室になったのがきっかけで…それから色々あって意気投合したんだ!
http://m.blogs.yahoo.co.jp/kazuo10202003/GALLERY/show_image.html?id
準備運動中、銃のメンテナンスをしているティアとの何気無い会話。そういえばこのローラーブーツも随分くたびれたなぁ。
「あの日」から誓いを立てて、急いでブーツを買って、基本を習った後は自分から遠ざけていたシューティングアーツをギン姉に叩き込んでもらったんだっけ。
「(お金が無かったからパーツだけ買って自作して以来、一度も買い替えてないのによく保ってるなぁ。まあ大事に使えば長持ちはするもんだし、愛着だって湧いてくるし、当然かな!)」
我ながら物持ちの良さにちょっと誇らしさを感じる。
そしてブーツの思い出と共に「あの時」の事を思い出す。
小さい頃のあたしは本当に…弱くて、泣き虫で…悲しい事とか、辛い事に…いつもうずくまって…ただ、泣く事しか出来なくて…。
そんなあたしが「あの時」…生まれて初めて、心から思ったんだ。
今日は此処までにします。
忙しくて思ったよりも投下できなかった…。
【回想】
[新暦71年4月29日 ミッドチルダ 臨海第8空港]
空港で大火災が発生。空港の至る場所で炎が吹き出て爆発が起こっている。
あたしは火災の前に家族とはぐれてしまい、迷子になっているうちにどうやら爆風で吹き飛ばされて気絶していたらしい。意識を取り戻した時、辺りにはあたし一人しかいなかった。
[空港内 火災現場 ホール]
※※※※
「やはり消火用の冷凍魔法弾では限界だ!こっちはもう駄目だ!」
「この先に子供が取り残されてるんだ!何とかならないのか!?」
消防隊員の決死の消化活動も虚しく炎は広がり、発見した子供も見失ってしまった。
「さっき本局の魔導師が突入した!救助は彼女がしてくれる! これ以上は俺達も危険だ!脱出するぞ!」
消防隊員は歯痒い思いを押し殺し、子供の救助を魔導師に託してその場から退避した。
※※※※
「おとうさん…おねえちゃん…」
いつ崩れるか分からない壁や天井、そして今にも襲い掛かってきそうな激しい炎に囲まれた空港の中、孤独・不安・恐怖で今にも泣き崩れそうな自分を、涙を流しながらも家族を呼ぶ事で必死に鼓舞しながら足を少しずつ前に進める。
豪鬼の扱いが気になります
>>9
豪鬼はとても重要なキャラとして出て来ます。
ちなみに出て来るのはかなり後になる予定です。
…急に気持ちが悪く、胸が痛くなってきた。あまりの苦しさに膝を突いて胸を押さえる。
「はあ、はあ…。ここは…どこ?」
気付いたらあたしは何も無い場所に、上も下も分からない謎の空間に浮いていた。
ここが何処なのか、どうしてこんな場所に自分がいるのか、そんな事を考える間を与えず胸の奥から込み上げてくる気持ち悪い「何か」。
それは黒い…言葉では言い表せないほどに真っ黒。見ているだけで吸い込まれそうな気がするほどの暗黒だった。
それは心の奥底から間欠泉の如く噴き出す。
「何か」は何色にも染まっていない空間を、あたしの胸の奥を、紙が水を吸うかの如く黒く染めていった。
「やめて…でてこないで…きえて…!」
『闘エ…壊セ…。修羅ノ如ク…悪魔ノ如ク…鬼ノ如ク…』
あたしを闘いへと誘う声が頭の中で反響して聞こえる。
声の正体が何なのかは分からなかった。でもこれに染まり切ったらあたしがあたしでなくなる事だけはなんとなく分かった。
やだ…あたしはまだあたしでいたい。
あたしはただひたすらに強く願った。
「きえて…きえろぉぉぉぉ!!」
すると胸の更に奥底から幾つもの光が飛び出した。まるで漆黒の夜空に燦然と輝く星の煌めきのように。
その光は一気に輝きを増して一体化し、奔流となって黒い「何か」をまるで鉄砲水のように押し流し、飲み込んで消滅させた。
光の奔流は更に輝きを強め、あたしも飲み込む。あまりの眩さに反射的に目を閉じて腕で顔を覆った。
………。
光が収まったところで腕を下げながら目を開けると、そこはさっき立ち止まっていた場所だった。
夢を見ていたの?でもそれにしてはあまりにも現実味が…。
何がどうなったのか訳も分からず呆然としていると突如身体に衝撃が走り、気付いたら巨大な天使の石像の目の前に倒れていた。
あたしはまた爆風で吹き飛ばされて気絶して、地面に叩き付けられた衝撃で目を覚ましたみたい。
石像はエントランスホールに設置されていて、空港の象徴になっている。いつの間にかこの近くまで歩いてたんだ。
体が痛くて立てない。火の勢いも強くなってきた。
もう我慢の限界だった。止め処無く涙が溢れ出す。
「いたいよ…あついよ…こんなのやだよ…かえりたいよぉ…」
心が張り裂けそうになる。誰か…誰か…。
☆泣き崩れるスバル
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「(だれか…たすけて!!)」
だけどそんなあたしを嘲笑うかのように不幸は折り重なる。
立つ気力も失い自失するあたしは「ある音」に気付かなかった。
それは先程の爆発であの石像の台座が破損し、ひび割れていく音だ。
「!?」
爆発で傾いている上に10m以上はある巨大な石像。台座が崩壊するのは一瞬だ。
あたしに覆い被さる影に気付いて振り向いた時にはもう遅かった。
動けないあたしがこの恐怖から逃れるには石像から顔を背けてうずくまるしか無かった。
「(あたし…もうおわりなのかな…。しんじゃうのかな…。おとうさん、おねえちゃん。ひとりぼっちはさびしいよぉ…)」
石像が迫り来る一瞬でさえあたしは自分で動こうとせず、孤独に震えるだけだった。
そんな情けない自分が終わりの時を迎えようとしていた…その瞬間、変な色の光が頭上を通過したような気がした。
直後、破砕音が辺りに響き渡った。
「ひッ!」
音に驚いて思わず甲高い声が漏れる。
一秒。
二秒。
三秒。
おかしい、石像が来ない。何が起こったの?
恐る恐る石像のあった方向を振り返る。
するとそこには腰から上が消えて無くなっている石像が複数のピンク色の輪に包まれ、斜めに倒れかかったまま空中で動きを止めている。
そして視線は自然とその先のある人物に向かう。
「よかった、間に合った…。助けに来たよ!」
そこには女性がいた。
薄茶色の長いツインテール、その付け根に白いリボン、白を基調としたドレス風のジャケット。そして先端に赤い玉の付いた装飾の施された杖。
両足から伸びている三対のピンク色の翼。これで飛んでるみたい。
その姿にあたしは凛々しさと頼もしさを感じ、痛みも恐怖も忘れて見とれていた。
「(このひと…ざっしでみたことある…。たしか…『エース・オブ・エース』の…)」
これがあたしとなのはさんの初めての出会いだった。
☆高町なのは
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☆リストレクトロック
捕獲魔法の中でも上位にあたる強力な範囲型捕獲魔法。発動から完成までの間に指定した空間から脱出されなかった場合に複数の光の輪を出現させて対象を囲いつつその空間に固定する。
なのはの使用する拘束魔法の中でも最大の拘束力を誇り、術者と対象の距離が近い程より強固になる。
なのはが初めて魔法の存在を知ってから一番最初に覚えた魔法で、長年頻繁に使い続けていた為にこの魔法の練度が非常に高く、完成までの時間も持続時間も射程距離も通常では考えられない程に優れている。
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「よく頑張ったね、偉いよ」
そう言われた途端、堰を切るように涙が溢れそうになる。
そこへ間髪入れずに男性の声が聞こえてきた。
「やはりなのはか!その様子だと二人とも無事のようだな!」
声に驚いてその主の方向に振り返ると男性が走ってきていた。
「(だ、だれ!?)」
黒い短髪に赤い鉢巻、白くて袖の無い道着に黒帯、赤いグローブ、裸足。 明らかに異様な出で立ちに思わず身体が強張る。
それに加えて大きくて逞しい筋骨隆々な体躯は威圧感があってちょっと怖かったけど、その精悍な顔と場慣れしたような雰囲気で直ぐに安心した。
これがあたしとこの人の初めての出会いだった。
☆リュウ
http://livedoor.4.blogimg.jp/hatima/imgs/b/6/b6a4b2bb.png
今日は此処までにします。
しばらくは以前書いていた分があるのでこれくらいのペースで投下していこうと思っています。
そして気のせいだったのかもしれないけど…その男性の身体から「何か」が溢れ出ているように見えた。
それを見た途端、よく分からないけど直感的に感じた。
「(さっきのへんないろのひかり、すごいおと、うえのないせきぞう…。もしかして…このひとが? それになんだろう。このひとをみているとむねがドキドキする)」
興味が尽きない眼差しで男の人を見るあたしを尻目になのはさんが口を開く。
「リュウさん、どうしてこんな場所に!?それにその傷は…」
男の人の胸には斜めに切れ目の入った切り傷が見える。
「大した傷じゃない、気にするな!それよりも…」
「うん、先ずは脱出だね!」
男性の名前はリュウと言うらしい。そしてどうやら二人は知り合いみたいだ。
でも時間が無いので挨拶も状況説明も無しに二人は動き出す。
「もう大丈夫だからね。安全な場所まで…一直線だから!」
なのはさんはそう言いながら杖を上へ向けた。杖の先には天井。何をしようとしているのかあたしには分からなかった。
《上方の安全を確認》
そこへ徐になのはさんの杖の赤い玉が点滅して声を出した。
同時にあたしに向けて手がかざされた瞬間、あたしの周囲をドーム状でピンク色の光が包んだ。
これから行う行動がそれだけ危険なのか、防御魔法であたしを守るみたいだ。
☆サークルプロテクション
任意の対象に球状(地面のある場所ではドーム状)の防御膜を張るバリア系防御魔法。その強度は凄まじく、「バリアブレイク(バリア系防御魔法を破る事に特化した魔法)」ですらも容易には破れない。
「『あれ』をやるのか。しかし結界を張りながらでは気が分散して十分な威力が出ないんじゃないか?だから俺が天井を…」
言いかけたところでなのはさんが割り込む。
「私、昔よりずっと強くなったんだよ?心配しないで任せて!」
「…そうか。ならお前は『あれ』と同時に結界を解け。俺は穴が空いた瞬間、この子を連れてそこから地上に飛び出す」
なのはさんの力強く自信に満ち溢れた言葉に、リュウさんは納得して全て任せたみたい。
なのはさんもそれを察すると即座に振り返り杖を前に構える。するとなのはさんの周囲にピンク色の魔法陣が現れた。
《ファイアリングロック、解除します》
再び赤い玉が点滅する。
「一撃で地上まで抜くよ!」
え…?
天井は決して柔らかくない。しかも天井だけじゃなく、この空港は破壊を防ぐ為に計算上では質量兵器でも全壊しないと言われている特殊な合金を仕込んでいる上に、簡易ながらもAMF(アンチ・マギリンク・フィールド…空間内で発生する魔法を無効化するフィールド系防御魔法)処理を施してあるこの空港の天井を…一撃で?
間髪入れず杖から大きな薬莢が二本飛び出すとその瞬間、杖はまばゆい光を放って先端の形状が変化した。
装飾は更に大きくなり、装飾の繋ぎ目に三本の色の翼が生えた。
その後再び天井に杖を向ける。
《Buster set.》
杖の周りにピンク色の魔法陣のリングが出現し、装飾の先端に魔力が集まって球状を成してゆく。
魔力の充填が終わったその時、なのはさんは叫んだ。
『ディバイーーン…バスターーーー!!!』
その魔力の塊はピンク色の閃光となり、空気との摩擦で電気を帯びながら空中を駆けた。
☆ディバインバスター ・エクステンション
なのはの得意とする収束型砲撃魔法「ディバインバスター」の強化版。カートリッジ(後述)を二個消費する。高密度で圧縮された魔力が飛距離で威力が減衰する事無く対象を撃ち抜く。名前通り威力・速度・命中精度の向上は勿論の事、通常よりも射程が遥かに長くなっており、その長さは最大で数kmにも達する。
あまりの長射程故に術者本人でも遠距離の照準合わせや軌道修正が困難な為、それらはなのはのインテリジェントデバイス(魔法発動用の道具。魔導端末とも呼ばれており、その中でも人格を持つもの)「レイジングハート・エクセリオン」が行っている。
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☆カートリッジ
主にアームドデバイス(魔法の使用は可能だが、それ自体が武器としての機能に特化したデバイス)に採用されている強化システム。
薬莢のような物体に魔力を圧縮しているものを指し、これに詰まった魔力をデバイスに装填する事により瞬時に膨大な魔力を得られる仕組みの事を「カートリッジシステム」と言う。
デバイスによって装弾数は違うが、カートリッジシステムの搭載されたデバイスを持つ者は常に予備のカートリッジを幾つか用意するのが常識となっている。
瞬時に得られる膨大な魔力によって
○魔法の効果を高める
○大量の魔力を必要とする魔法に注ぎ込む
○デバイスを上位の形態に変形させる
○自分の魔力の総量を一時的に増やす
○身体能力を高める
等を行える。
アームドデバイス以外にあまり使われていないのは
○魔力の大きさ故に制御が困難
○相性の悪い魔法が多い
○負荷に耐えられずに壊れるデバイスが多い
という理由から。
その閃光は天井に激突した…筈だった。
でも閃光は何故か「擦り抜けた」。
上手く言えないけどけどそうとしか見えなかった。
激突したなら衝撃が発生する筈だし破砕物が降ってくる筈。
なのにあの閃光はそこに何も無かったかのように突き進み、虚空の彼方に吸い込まれていったからだ。
…信じられない。幾つかの空港は避難所としても使えるよう堅固に設計されていて、ここもその一つ。
少なくとも合金は並の攻撃では破壊どころか歪ませる事すら困難な事が証明されていたし、AMFの有用性は実証されて久しく、それは子供でも知っている事だ。
そんな壁をこの人は軽々と撃ち抜いたの?
凄い…その力は一体どれだけの努力で身に付けたんだろう。その力でどれだけの人を救ってきたんだろう。頑張ればあたしもあんな事が出来るのかな?誰かを救えるのかな?
色々な思いを巡らせている最中に防御魔法が解けた。それと同時にリュウさんは左腕をあたしのお腹に通して脇に抱え上げ、右腕を斜め下に引きながら上半身を捻る。全ての動作は流れるように滑らかに、そして一瞬のうちに行われた。
『昇龍拳!!』
リュウさんが跳び上がりながら右拳を突き上げると、あたしの体は物凄い力で上に引っ張られた。
☆昇龍拳
リュウの修める拳法の奥義の一つ。跳び上がりながら気を込めた拳を突き上げる技。
拳には気が込められている上に跳躍も足元から気を放出して飛距離と速度を倍加させているので威力は通常のジャンプアッパーとは比較にならない。リュウは青年時代に偶然自ら編み出したこの技で、覚えたての頃でさえ自分の倍はあろうかという大岩を真っ二つに割ってしまった程の威力である。
この技と波動拳・竜巻旋風脚の三つはその拳法における闘いの基本であるが、それは同時に完璧と言える程にバランスの取れた組み合わせとなっており、文字通りの「三位一体」の技になっている。 これらを的確に使い分ける事で隙の無い立ち回りが可能になるが、逆に言えばこれらのどれが欠けても安定性に欠けてしまうとも言える。
そしてこの技はリュウの師匠によって「あるリスク」の存在が明らかにされている。
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/10/image.jpg
手足は指すら畳めず下に伸び切り、リュウさんの腕がお腹に食い込む。
凄まじい風圧と食い込んだ腕のせいで殆ど呼吸ができず、声も出ない。
酸欠に加え、重力のせいで下半身に血が行き過ぎた事による貧血によって意識が薄れて視界がぼやける。
その最中に視界に入ってきたのは、炎に囲まれた空港が瞬く間に小さくなっていく姿だった。
ふと体が軽くなり、意識も視界も少しずつ戻ってきた。どうやら上昇の勢いが弱くなってきたみたいだ。
「君、大丈夫か?」
リュウさんの声に気付いて完全に意識を取り戻した。そして落ち着いたところで辺りを見回す。
下にはあちこちで爆発が起こっている空港が見えた。
…ゾッとした。
あと少し脱出が遅れていたら……。
「(……した?ここはどこ?)」
ここは空の上。視界を遮るものは何も無く、緋色に照らされた夜空が広がっている。足が踏みしめるべき地面も当然無い。
上昇の勢いがどんどん弱くなる。
………
………
………
「おちるぅぅぅぅ!?たすけてぇぇぇぇ!!」
落ち着いていられる訳がない。完全に勢いを失って落下が始まるとあたしは更に混乱し、風圧で目が痛くなって直ぐに目を閉じた。
でも直ぐに落下は止まった。止まった理由は…
「…ふう。捕まえた!」
なのはさんがリュウさんをキャッチしてくれたからだ。
体勢を安定させたなのはさんはリュウさんを抱えたまま飛び、リュウさんがあたしを両腕で抱え直す。
「こちら教導隊01。エントランスホール内の要救助者一名を救助しました」
『ありがとうございます。流石は航空魔導師のエース・オブ・エースですね!』
本局に救助成功の報告をするなのはさん。
「西側の救護隊に引き渡し次第、救助活動を再開します」
『お願いします!』
通信が終わろうという時にリュウさんが割り込む。
「微力ながら俺も協力しよう」
『!?…あなたは誰ですか?要救助者ではないのですか?』
「うーん…」
リュウさんはどうやら質問される事は想定していなかったようで、難しい顔をして答えあぐねていた。
「それは私が説明します。以前に存在が確認された『格闘家』の事は覚えていますか?」
『ええ。魔法も使わずに魔法に匹敵する力を持つ人間の事ですよね』
「……(『かくとうか』…まほうとおなじようなちから…)」
「そう。そしてこの人が初めて確認された格闘家のリュウさんです」
『なるほど。その人が以前の報告に聞いた…それなら実力は問題無しと。どうしてそんな場所にいたのか理由を聞きたいところだけど…今はそれどころじゃないですね。Mr.リュウ、御協力感謝します』
「ああ、任せてくれ」
『ではお願いします』
こうして通信は終了した。
炎の中から助け出してもらって、連れ出してもらった広い夜空。
跳び上がった時はどうなるかと思ったけど…今は冷たい風が優しくて…抱きしめてくれる腕が、暖かくて…。
助けてくれたこの人達は…強くて、優しくて、カッコ良くて…。
泣いてばかりで何も出来ない自分が、情けなくて…。
あたしはこの時、生まれて初めて…心から思ったんだ。
今日は此処までにします。
一気に投下し過ぎたかな…。
乙
ストリートファイターとは珍しい…しかもあの漫画設定でさくらがんばるの次あたりなのかな
一々画像貼るのは珍しいやり方だけどそれでいいのか
乙。
>>28
なのはをあんまり知らない俺には結構役に立ってるよ。
>>28
さくらがんばるもそうですが他の漫画(ストZEROとかRYU FINALとかetc)の色々な
ネタも拝借していきます。
画像を貼るのは単なる趣味なんでいいのです!
ちなみに時系列はごちゃ混ぜなのでその辺は勘弁して下さいw
>>29
そう言ってもらえると嬉しいですw
「ふう。と・こ・ろ・で!
リュウさん!あんな勢いで跳び上がったらその子が危ないじゃない!少しは加減してよ!その子グッタリしてるでしょ!?」
大事な事を思い出したかのように、なのはさんが急に大声で話し始めた。
「あまり大声を出すな。この子に迷惑だろう」
「今そういう事は関係無いの!いいから答えて!」
「うーん。穴を空けたら火勢が一気に強くなって穴が通れなくなると思ったからこの子の安全を考えて速度重視でやってみたんだが…」
「完全にやり過ぎだよ!一瞬で何百m跳んだと思ってるの!?その子、顔面蒼白じゃない!あとなんで私が来るまで落下したままだったの!」
「おいおい、いっぺんに喋らないでくれ。お前だって昔は逃げる相手に砲撃をぶち当てたのを『やり過ぎちゃった?』とか言って笑ってたそうじゃないか。昔、ヴィータから聞いたぞ?
あと本当なら竜巻旋風脚で飛んで行っても良かったんだが、それだとこの子が目を回してしまうからな。だからお前が来るのを待っていたんだ」
「わ、笑ってません!しかもそれとこれとは状況が違うでしょう!…じゃなくて!目を回す事に気を配れるなら最初から身の安全にも配ってよ!もう!
はあはあ……。てゆーかヴィータちゃん…後でお仕置きだね…」
「やっと落ち着いたか?なのは」
あはは。この時のなのはさんは声を荒げ過ぎて肩で息をしてたな。
二人の楽しそうな会話を聞いていると、いつの間にか救護隊の西側拠点に到着。
救護隊員に引き渡される途中、リュウさんが申し訳なさそうな表情で話しかけてきた。
「君、さっきは済まなかったな。君の体にかかる負担をもっと考慮すべきだった。許してくれ」
「はは…たすかったんだし…もんくは…あり…ま…」
安心して気が抜けたせいで疲れが出たのか、突然眠気が襲ってきて引っ張られるように目蓋が閉じていく。
意識が途切れる直前に二人はあたしの話をしてた気がするけど全然覚えてないや。
今日はここまでにします。
眠い…
[????年 ?月?日 ??? とある戦場]
…………
…………
…………
曇 天の空の下、呆然と立ち尽くす自分。
気のせいかいつもより視線が高く感じる。腕も脚も、いつもより長い。
「(大人に…なってる?)」
自分の体の変化に戸惑いつつ周囲の状況を確認する。
更地になったビル群、そこかしこから立ち昇る黒煙と火、半円状に抉れて一直線に伸びている窪み、そして隕石でも落ちたかのようにあちこちにクレーターがある。
まるで街中で戦争でも起こったかのようだ。
立っている人は見当たらない…けど、遠くでピクリとも動かず倒れ伏している人が一人。
よく見えないけど誰なのかは分かる。それは……
「そんな…なのはさん!なのはさん!」
当然返事は無く、生きているのか死んでいるのかさえも分からない。
黒煙が少なくなって少し見渡しやすくなった。そしてあたしの目に飛び込んできたのは、なのはさんの側で背を向けて佇む一人の人。
……本当に人なの?その人の身体中から溢れ出る赤い「何か」があたしの肌を粟立たせ、身体を震えさせる。
その「何か」は凡そ人のものとは思えない、とても危険で恐ろしく、「存在してはいけないもの」だと直感した。
そして破れた道着から見える背中には血のような赤で彩られた『天』の一文字が浮かんでいる。
……道着?
よく見ると赤い鉢巻きに黒い短髪、赤いグローブ、黒帯に…色は違うけど袖の無い道着、裸足。
まさか…こいつは……この人は……。
「リュウさん!リュウさんなんでしょ!?どうして…どうしてこんな事を!?」
☆殺意の波動に目覚めたリュウ
あたしの声に反応したのか、その人はゆっくりと振り返る。
目に光は無く、その目はあたしに向いているのにもっと遠くの何かを見つめているように見えた。
リュウさんらしき人が口を開く。
「我は『拳(けん)を極めし者』。我は死合(しあい)を欲する…。汝(うぬ)は死合うに値せず…。滅びよ、娘…」
「………!?」
その人が言葉を発した瞬間、全身の力が抜けて倒れそうになった。
怖い。息苦しい。気を失いそう。何もかも忘れて倒れてしまいたい。でも…ここで倒れたら終わりだ。
「はあっ…はあっ…。(気圧されるな…倒れるな…相手から目を逸らすな!)」
呼吸を整えながら必死に自分を奮い立たせる。それでも震えは止まらず、膝が笑い、呼吸も苦しいままだ。
「(このままじゃ…!)」
己との戦いに四苦八苦していると、その人は右拳を胸の位置に構えて左脚を上げると目にも止まらない速度で残像を残しながら滑るように移動し、あたしに迫ってきた。
☆阿修羅閃空
http://image01.wiki.livedoor.jp/m/x/mmox/ca55b70d184ec827.png
「(来た…!)」
……あれ?体が動かない。
心は体を動かそうとしているのに体が言う事を聞いてくれない。視線を動かす事さえ出来ない。
「(動け!動いて!)」
祈りは届かない。体が動いてくれない。
…違う、言葉を取り繕っても体ではなく心が無意識に死を受け入れてしまった事実は覆しようがない。
そういえば…死を目前に感じた生物は恐怖や絶望で体が動かなくなるって聞いた事がある…。
これが、死?
あたし死ぬの?
時間にして一秒も経っていないのにその時間は何分にも何時間にも感じられた。
そんな時間を死の恐怖に晒され続けたせいで気がおかしくなりそうだった。
そしてその時は訪れた。
胸に衝撃が走り、身体が少し浮き上がった。同時に吐血。
「(え…?)」
何が起こったのか理解できない。
異変のあった胸にゆっくりと視線を下ろす。
するとそこには肘までめり込んだ太い左腕があった。
じゃあ肘から先は…
纏わり付いた赤い雫を滴らせながら背中から伸びていた。
「(そうか…拳が身体を貫通したんだ…。見るまで気付かなかった…。やっぱりリュウさんは凄いなぁ…。こんな凄い事も出来るんだ…。でも…凄く…怖かっ…た…)」
気付いたと同時に身体は糸の切れた操り人形のように重力に逆らう力を失い、四肢が下を向く。まるで百舌鳥(もず)の速贄だ。
その拳が引き抜かれると穴から血が止め処無く流れ落ち、引き抜かれた腕には肉片や血液が纏わり付いていく。
拳の形に空いた穴は向こう側の景色を覗かせていた。
そして腕の支えを失った体は地に倒れ伏すしかなかった。
痛みも恐怖も感じない。それどころか永遠とも思えた恐怖から解放された事に安堵と心地良さすら感じる。
「(目を開けるのも疲れちゃった…もう…寝ても…いいよね…)」
これが、『死』。
あたしはそっと目蓋を閉じた。
今日はここまでにします。
切りのいいところで終われなかった…。
[新暦71年4月29日 ミッドチルダ 臨海第8空港近隣 メディカルセンター]
直後、閉じた目蓋に強い光が当たるのを感じた。
「(まぶしいなぁ。せっかくきもちよくねられるとおもったのに…。
…まぶしい?ここはどこ!?)」
異変に気付いて目を見開く。するとそこは集中治療室だった。
口には呼吸用のマスク、身体に取り付けられた細い管、見慣れない沢山の機械…。この時点では自分が何処にいるのか、どうしてここにいるのかは分からなかった。
でもそんな事を気にする余裕はある感情が吹き飛ばした。
「……!いやぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇ!!」
恐怖が蘇る。顔が急激に青ざめ、絶叫しながら涙を流して暴れ出す。
暴れるあたしを周りの人が押さえつけようとする。
「あぁぁぁぁ!!」
それを全力で振り払うと慌てて胸に手を当てる。それは無意識の行動だったけど…さっきの出来事が現実かどうか確かめたい気持ち、それに加えて穴が空いているかも知れない自分の身体に目を向けるなんて怖くて出来なかったという気持ちからの行動だったのかもしれない。
掌に感じる自分の胸板の感触。半信半疑で視線を胸に下ろす。
「あなが……ない」
よかった…あれは夢だったんだ。そうだよ。なのはさんがやられる訳がない。リュウさんがあんな恐ろしい化け物な訳がないじゃない。
思わず顔が綻びる。
「ほんとうに…よかった…」
あたしは安堵の涙を流しながら崩れ落ち、再び眠りについた。
[数日後]
治療がひと段落し、心も落ち着いたので一般病棟に移った。
目を覚ましたあたしはベッドで上半身を起こしながら、担当の看護士さんに集中治療室に運ばれた経緯を聞いた。
最初は安定していた容体が搬送中に急変して心臓が停止してしまい、搬送中の蘇生は叶わず緊急の蘇生を要していたかららしい。
心臓が止まったのは…多分、夢の中で胸を貫かれた時だろう。
その時の事を思い出すと表情が強張り、身体が震え出す。両手を交差させて自分の身体を抱き、身を丸めた。
「大丈夫?あなたは落ち着いたばかりなんだから、まだ無理しちゃ駄目よ?」
震える身体を看護士さんは優しく抱きしめてくれた。
「うん、だいじょうぶ。やなゆめをおもいだしちゃっただけだから。ありがとう、かんごしさん」
心配して声をかけてくれた看護士さんに作り笑顔で答える。
やべえ…寝落ちしてしまった…。
大変失礼しました!
あれは夢。そう、悪い夢なんだ。夢は夢。なのはさんもリュウさんもあんな風になる筈がない。早く忘れてしまおう。
気持ちを切り替えて二人の事を思い返す。
なのはさんはあたしに夢を与えてくれた、あたしの目標。この人のようになりたい。あたしみたいな人の力になりたい。
リュウさんは…まだよく分からないけどとても気になる人。これってまさか…恋心? …とは違うかな。とにかくもう一度会ってこの気持ちを確かめたい!
なのはさんとリュウさん。また会えるかな?…ううん、絶対にまた会ってみせる!
【回想終了】
[新暦75年4月 ミッドチルダ第8空港近隣 廃棄都市街]
そんなあたしが「あの時」…生まれて初めて、心から思ったんだ。
『泣いてるだけなのも、何も出来ないのも、もう嫌だ』
って。
【スバルside…END】
今はここまでにします。
でも夜にもう少し投下しようと思います。
【リュウside】
[新暦71年4月29日 ミッドチルダ臨海第8空港]
「……ここは何処だ?何故俺はこんな場所に…」
目を覚ますと俺は炎に包まれた建物の中に倒れていた。
ぼんやりとした意識の中で記憶を辿る。
※※※※
[地球 シークレットポイント48106 リュウが目を覚ます十数分前]
「まさか貴様と再びこの地で合間見えようとはな。
『シャドルー』復活の狼煙を上げるにこれ程相応しい場所も相手も無い!貴様の這いつくばる姿を祝杯としようではないか!
…とは言ったもののもう貴様には聞こえていないのが残念だ。
…『三つ』のうち二つは揃った…が、残り一つ…。こればかりは我が力でも容易には手に入らん。 不本意ではあるが『ドクター』と手を組むしか無い…。
そしてリュウよ。お前の『匣』は『この世界』で開くのは無理なようだ。恐らく『この世界』が『匣』を封じているのだろう。
ならば舞台を変えるまでよ。『三つ』のうちの一つであるこの『サイコドライブ』は我が力を注ぎ込めば次元の壁を越える事が可能だ。
更には幸いにも『匣』は何度か開きかけた事で以前より開きやすくなっている。そして『あちらの世界』での下準備は既に終わっている…。
残された時間は多くはないが…これならば確実!
行ってくるがいいリュウよ!そして『匣』を開けろ!開けてこのベガの器として相応しくなれィ!『匣』を開ける『鍵』となる者もいずれそちらに現れる!貴様の『匣』の底に眠るものは貴様にとっての絶望でありこのベガにとっての希望よ!ムハハハハ!!」
☆ベガ
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☆シークレットポイント48106
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/15/image.jpg
※※※※
そうだ…俺はベガに敗れた。そしてベガの力によって別の場所に飛ばされたのだろう。
「空気が違うな。そうか…ここは『別の世界』か。これで二度目だな」
以前に出会った…「魔導師」と言ったか、その子供達に聞いた話だ。
『あなたのいる世界とは違う世界がこの世には沢山ある』
何とも信じ難い話だと思ったが、幼い少女なのに格闘家と同等の…いや、一部の能力に於いては格闘家を超える力を持つという信じ難い存在が目の前にいる以上否定は出来ない。そしてその話は実際に別の世界に来た事で確信に変わった。
一度目は「ある事件」を切っ掛けにその子供達の所属する「時空管理局」という組織に短期間所属する事になった時だ。
今回はそれ以来二度目となる。
次に浮かんだのはベガの行動の謎。
「ベガ…何を企んでいる…」
ベガは俺の肉体を乗っ取ろうとしている。その為には俺の中に眠る『ある力』を目覚めさせる必要があるらしい。
ならば何故異世界に送って自分から遠ざけるような事を?…いや、今はそんな事を考える時間は無い。
「(右も左も分からないんじゃ脱出どころじゃないな。先ずは人を探すか)」
肌に吹き付ける熱風を物ともせず精神を集中して人の気配を探る。
「…いた。近い!」
気配のある方向に向かって走った。
階段を駆け下りた場所で一旦止まり、辺りを見回すと視線の先に少女の姿。
再び駆け出そうとしたその瞬間、突然何者かが目の前に現れた。
ガスマスクを付け、軍用のチョッキを着ている短い金髪の怪しげな男だ。
大きく目を見開いて凝視してくるその様は、とてもまともな精神状態には見えない。
「(気配を全く感じなかった…。隠形(おんぎょう)の技か!)」
☆ドクトリン・ダーク
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/92/image.jpg
今日はここまでにします。
ドクトリン・ダークはかなり設定をいじくっているのでご容赦を……
「問題発生…。無力化、開始…」
男はそう呟くと両腕を大きく振って腕に忍ばせていた長い刃を突出させ、間髪入れずにその刃を振るってきた。
だが初撃は難なく躱す。
「(いきなり襲ってくるとは…何者だ?まさかシャドルーの…。だとすると何故この世界にシャドルーが…)」
男は初撃で懐に飛び込んで来た為そのまま接近戦へ。余計な事を考えている暇は無い。
「(斬撃自体は速くない!)」
しかし油断は出来ない。戦闘中でも男の気配は消えたままだからだ。
「(…だが信じられん。こいつ…隠形に関しては達人の域に達している!)」
その攻撃は相手の動きを予測出来ていない上にあまりにも正確過ぎる為、少し軸をずらせば比較的簡単に躱せる…が、隠形のせいで気配が掴めないので攻撃の出処を見失うと全く反応出来なくなる。
そしてそれら能力は、この男の生業を如実に表していた。
「(…暗殺者か!)」
初撃は距離があったので簡単に躱 せたが、予備動作の際に生じる僅かな気配を察知して後の先を取る「見切り」を得意としていた俺には、気配の無い近距離の攻撃が本来の速さより数段速く感じていた。距離を取りつつ常に男の全身を視界に捉えなければならない。
だが炎に囲まれているため動ける範囲が狭いので大きく距離を離せず、波動拳での牽制も出来ない。何よりも動き回り過ぎて少女を巻き込む訳にはいかない。
しかしそれは相手も同じようで、刃以外に何か隠し持っているように感じるがそれを使ってくる様子は無い。
反撃の糸口が掴めず防戦一方だったが、しばらく反撃を捨てて回避に徹していると目が慣れてきた。
「(よし!次の攻撃に合わせる!)」
動きを読んだ俺は、踏み込んできた男に渾身の蹴りを繰り出した。
『せいやッ!』
☆上段足刀蹴り
足刀(空手用語で「足の外側(小指から踵の間の面)」を指す)で上段蹴りを繰り出す空手技。
本来足刀蹴りは一対一の闘いを想定した技ではなく、一対多の時に自分の横の相手を攻撃する為の技であると同時に正中線(身体の中心を走る線で、急所が多い部分)を守りながら攻撃する事を目的としている技である。
リュウの場合は大きく踏み込んで繰り出すので見た目以上にリーチが長く、ダメージよりも吹き飛ばして相手の体勢を崩す目的で使用する事が多い。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/17/image.jpg
「!!」
油断。
「読み切ったのは自分だけ」と思い込んでいた。
相手もまた俺の反撃の機運を見切っていたのだ。
男は斜め上に伸び切った蹴り足の下に屈んでいる。
「(やられる…!)」
『KI LLブレード…』
そして屈んだ反動で跳び上がって俺の身体を斬り付けた。
「ぐああ!」
男が斜め上に跳び上がった瞬間に胸が裂け、白い道着が赤く染まる。
反射的に僅かに上体を反らして深手は免れたが、その勢いで倒れてしまった。
「目標、沈黙…」
男は何故か倒れた俺をじっと見ている。だがいつ留めに来てもおかしくない。
「(最早これまでか…)」
そう思ったその時、突然胸が苦しくなってきた。
「ぐっ…」
傷の痛みじゃない。俺の中に眠る『ある力』……『殺意の波動』によるものだ。
「作戦成功…。帰還…」
男は去って行った。
「さ、作戦…?ま、さか…この、為に…時間稼ぎを…オオオオ!!」
何故こうなると分かっていた?いや…それよりも…。
「(何故だ…抑え込んでからは何年も無事だったものが何故今になって突然…)」
「(グッ…殺意の波動が『共鳴』している…他にも誰かが目覚めようと…?まさか…あの少女が!?…まずい…いし…き…が…)」
『《匣》ヲ開ケヨ…。ソシテ征ケ…《鬼ノ道》ヲ…』
頭の中に声が響く。
「グアアアアアアアア!!!!」
殺意の波動に飲み込まれるその瞬間、目が眩む程の強烈な光が一帯を覆ったような気がした。
………
………
………
「(俺は…俺のままなのか…)」
意識を取り戻すと、不思議な事に俺を苦しめていた殺意の波動が弱まっていた。
「はあ…はあ…。一体何が…」
殺意の波動はまだ完全には消えていないがこれなら動ける。あの少女の場所へ急がねば。
立ち上がったその時、突如爆発が起こり…
「きゃあああああ!!」
爆風に吹き飛ばされた少女の叫び声が聞こえた。
「しまった…!」
出遅れた!
だが不幸中の幸いか、少女は意識が有り大きい怪我もなさそうだ。しかしその遅れは更なる危機を招く。
「(石像の台座にヒビが…まずい!あの子、気付いていない!)」
逃げろ!と声を出そうとしたが既に遅く、台座は一瞬で崩壊した。
「(間に合え…!)」
『爆波動拳!!』
☆爆波動拳
リュウの得意技である「波動拳」のバリエーションの一つで、物体に接触すると爆発する「見えない」波動拳。
空気を最小限の炎の気で圧縮して飛ばし、物体に接触すると圧縮された空気と炎の気が混ざり合って爆発する。
気が最小限に抑えられているため視覚的に非常に見えにくく、空気抵抗が少ないため弾速は他の波動拳の比では無い程に速いが、爆発の威力自体は大した事が無い。
その理由は目的が爆発による殺傷や破壊ではなく、視認しにくくする事による命中率の増加と爆発で弾き飛ばす事に重点を置いている為である。
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/22/image.jpg
UMVC3の奴か
>>66
その通りですw
でもUMVC3で追加された技ってどれも使いにくいというw
掌から見えない波動拳が飛び出した。
それは音も姿形も無く飛んで行き、石像に直撃した…が爆発しなかった。
それは何故か石像に当たった部分を中心に削り取るように破砕していた。
「(まずい!残った部分があの子に!)」
だが全てを壊すには至らず、残った部分が少女の上に落ちて行く。
だが残った部分は落ちなかった。何故ならば残った部分には見覚えのあるピンク色の輪が掛かっていたからだ。
「よかった…。だが…あれはまさか!」
これならもう安心だ。
一安心したところで先程の不可解な点を思い出す。
「(それにしても…。おかしい、どういう事だ?)」
爆発しなかった爆波動拳もそうだが、気になる事は他にもあった。爆波動拳を放ったら俺の体に残っていた殺意の波動が完全に消えていた事だ。
「(まさか…爆波動拳に殺意の波動が?)」
推測を確かめたいところだが火勢も強くなってきた。早く合流して脱出せねば。
こうして少女となのはに合流した俺はなのはの協力によって建物を脱出し、なのはに運ばれて救護隊へ少女を引き渡した。
少女は疲れていたのか、会話の途中で眠ってしまったようだ。
「寝たか…。ところでなのは、気付いたか?」
「うん、その子の事だね?リュウさんの言ってた『殺意の波動』っていう力がこの子に…。直ぐに調べたいところだけど今は…」
「分かっている。早く救助に行こう」
今日はここまでにします。
UMVC3の話をしたら久々にやりたくなってきましたw
乙
俺はUMVC3あきらめて鉄拳とP4Uに浮気した
>>72
P4Uは俺もやってます!
3Dより2D派なんでw
乙
ストリートファイターシリーズもKOFシリーズも2Dの頃が良かった…
>>74
スト4はキャラが3Dだけどゲームシステムは2Dですね。開発スタッフの「3Dのキャラを2Dのシステムに落とし込むのは苦労した」って話には感心しました。
KOFのMIシリーズは完全に別ゲーでびっくりしたけどw
スト4のシステム自体は結構好きだからやってるけど、あの喋りまくる豪鬼はかなり違和感あったな・・・
>>76
豪鬼はスト3の時にも結構喋ってた気がw
そうでしたっけ?自分は豪鬼は初代の寡黙なイメージが強かったのでついそう感じてしまいましたね。
無言か「笑止!」とか一言だけが多かったですし。
>>78
そう言われると自信なくなってきましたw
久々に3やってみるかな…
俺は火災現場に戻ってから二手に分かれて救助を行った。
後日に被害の程度を聞くと、大規模な火災にも関わらず犠牲者は「殆ど」出なかったそうだ。
要救助者を全員救出すると後発の部隊から帰投を言い渡されたので、俺は現場の指定場所でなのはと合流した。
「お疲れ様、リュウさん。やっぱり凄い力だね。人のいる位置を探るのが早くて大助かりだったよ」
なのはが労いの言葉を掛けてくる。
「それよりも…」
だが今は自分の事はどうでもよかったので堪らず口を開く。
「驚いたのは俺の方だ。空港内で撃ったあの一撃…。結界にも気を割いているのに砲撃の気は以前より遥かに大きかった。にも関わらず砲撃の太さは以前と然程変わっていない。気の収束と放出の練度が高まっている証拠だ。 それであの建物の天井を衝撃も与えずに貫通出来た訳だな。
更には結界と砲撃…二つの技を同時に、そして完璧にやってのける集中力…。これは俺でも出来るか分からん。
大きくなっただけじゃない。強く…本当に強くなったな、なのは」
俺はなのはの想像以上の成長ぶりに驚き、感想を素直に述べた。
「………」
するとなのはは体を震わせ、瞳が潤んできた。
「あはは…ごめんなさい…。唐突に言われたから心の準備が出来てなくて…」
なのはは溢れた涙を拭う。 だが拭っても拭っても涙は止まらない。
なのはが涙を拭う間、俺達の間にしばしの沈黙が訪れる。こういう時は落ち着くまで黙っていた方がいいと相場が決まっている。
「はあ…やっと落ち着いた。ありがとうリュウさん。褒めてくれて嬉しいよ。まあ、あれから私もすっごく頑張ったからね!
でも本当は戦闘訓…組手で見せて驚かせたかったんだけどなぁ。
しかも一回見ただけで看破されるとは思わなかったよ」
笑顔が戻ってきたな。 これで一安心だ。
「はっはっは。やはりお前は涙より明るい笑顔が似合うな。やはり子供はそうでなくては」
「こ、子供扱いしないでよ!これでも教え子を指導してる身なんですからね!」
なのはは顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。何かまずい事でも言ってしまったのだろうか?
「す、すまん。気を悪くしたなら許してくれ。悪気は無いんだ」
俺は慌てて謝った。
「はぁーーーー……。リュウさんって相変わらず鈍感だね…。まあ、それも含めてリュウさんらしさなんだけどね…」
今度は深い溜息を吐いてどんよりしながら何か呟いた。またまずい事を言ってしまったのか俺は…。
それにしても相変わらず喜怒哀楽の激しい子だ。まあ、感情を素直に表に出すのがこの子のいい所でもあるが。
「ん?ところで今なんて言ったんだ?すまんがもう一度頼む」
「ーーーーッ!聞かなくて結構です!」
完全に怒らせてしまった。きちんと許してくれるまで謝りたいところだが、今は聞く耳を持っていないようなのでもう自分から話しかけるのはやめておこう。
「本局に戻ってあなたの事を説明しますからね!ついでに保護も申請してあげるから付いてきて!」
「はい」
迫力に負けて思わず敬語になってしまった…。闘いでもないのに気圧されるとは不覚……!
こうして再会の日は幕を閉じた。
この世界には自分の力だけで来たかったが、不本意ながらも来てしまったものは仕方無い。
本来なら自分の道は自分で進みたいが、未知の世界ではそうもいかん。なのはもああ言っているし今はその言葉に甘えるか。
それにここは魔法の世界。まだ会った事の無い強敵(とも)がいることだろう。
それこそは正に俺の望むところ!しばらくはこの世界で修行しよう!
聞こえる…聞こえるぞ…。呼んでいる…。まだ見ぬ強敵が…。
『俺より強い奴が呼んでいる』
【リュウside…END】
第一話「邂逅 ー格闘家と少女ー」…END
【次回予告】
リュウ「運命が交わったあの日、全てはそこから始まった…」
スバル「憧れと理想そのままの女性。理由は分からないけど気になって頭から離れない男性。二人に出会った瞬間、あたしの運命は決まった。『弱い自分と決別する』と…『強くなって人を助ける』と決めた」
リュウ「時は過ぎ、俺達は再び出会う。しかし…再会の喜びは苦い思い出として心に残る事となる…」
次回 スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION
第二話「試験 ー再会と覚醒ー」
TAKE OFF.
今回はここまでにします。
なんとか切りよく終われたー!
只今UMVC3熱が再燃中ですw
第二話「試験 ー再会と覚醒ー」
【スバルside】
[0075年4月 ミッドチルダ 第8空港近隣 廃棄都市街]
準備運動もしっかりと終わった所でメンテナンスを終えたティアが時間を確認する。もうじき定刻だ。
ブザーが鳴ると空中にスクリーンが映し出される。そこには軍服を着た子供らしき姿が映る。いよいよだね。
「おはようございます!魔導師試験の受験者さん二名!そろってますかー?」
「「はい!」」
あたしとティアは声を揃えて返事をする。
「確認しますねー?時空管理局 陸士386部隊所属のスバル・ナカジマ二等陸士と…」
「はい!」
「同じくティアナ・ランスター二等陸士!」
「はい!」
「所有している魔導師ランクは…えーと、互いに陸戦魔導師『Cランク』!本日受験するのは陸戦魔導師『Bランク』への昇格試験で間違いないですねー?」
「はい!」
「間違いありません!」
「はい!本日の試験官を務めますのは、わたくしリインフォース2(ツヴァイ)空曹長です!よろしくですよー?」
敬礼で挨拶してきたのであたし達も敬礼で返す。
「「よろしくお願いします!」」
☆リイン挨拶
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※※※※
[同時刻 試験会場 スタート地点上空]
受験者と試験官のやり取りの一部始終を見守る一機のヘリ。
「お?早速始まっとるなー。リインもちゃんと試験官しとる」
「はやて。ドア、全開だと危ないよ?モニターでも見られるんだから、ね?」
「はぁーーーい」
ヘリから身を乗り出していたのは時空管理局 二等陸佐の「八神はやて」。現在は彼女の発案により自分が責任者である『ある部隊』を作っている。
その彼女に注意を呼び掛けたのは時空管理局本局 執務官の「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」。所属は違うがはやての案に賛同し、現在はこちらの部隊に在籍している。
☆八神はやて
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☆フェイト・テスタロッサ・ハラオウン
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今回はその人材を発掘すべく、自分達の目で試験を見届けようという訳だ。
フェイトに言われたはやてはドアを閉め、モニターで監視を行う。
「この二人がはやての見つけた子達だね?」
「うん。二人とも中々伸び代がありそうなええ素材や」
「でも珍しいよね。あのなのはが『今回の引き抜きの判断は私に任せて欲しい』だなんて」
「試験の合否は飽くまでもリインが決めるけどな」
引き抜きについては普段ははやてが判断しているが、今回はなのはがそれを申し出たらしい。
「資料を見せたらえらい食い付きやったなぁ。どっちかが知り合いなんやろか?」
「今の学校に知り合いがいるなんて聞いた事無いな。でもそうなると…『あの人』の関係かな。会議が終わってから二人で何か話してたし」
「そうやろなあ。なのはちゃん、試験の内容も一部変更してあの人に障害役を任せたくらいやし、『その障害に対して特定の行動を取らないと引き抜きは無し』って言っとったよ」
「随分厳しいんだね、なのはらしいけど」
「それにしても…あの人はなのはちゃんの言う事何でも素直に聞くなぁ。いつも尻に敷かれっぱなしや。もしあの二人がくっついたら『カカア天下』ってヤツやな!あはははは!」
「それ、なのはに言わないでよ?あの人の事が絡んだ冗談を言うと凄く怒るんだから…」
「あはは。分かっとるって。ほら、もうすぐ始まるで?」
「(ホントに分かってるのかなぁ…。心配だよ…)」
※※※※
今回はここまでにします。
早くなのは劇場版の新情報来ねーかなー…。
乙。
今回で三作目だったっけ?
>>95
そうです!
三作目はStrikerSだと思ったらまさかの完全新作でびっくりしましたw
「お二人はここからスタートして各所に設置されたポイントターゲットを破壊。勿論破壊しちゃダメなダミーターゲットもありますからねー?
妨害に気を付けながら全てのポイントターゲットを破壊して、制限時間内にゴールを目指してくださいです!
あ、重要な事を言い忘れてました!コースの中間に特別なポイントターゲットを設置しました!これは特定の条件で動きを止めて降参の合図を出します!止め方は自分達で探しましょう!破壊出来るなら破壊してもオッケーです!
ちなみにこれはお二人で挑まなければなりませんから忘れちゃダメですよー?
そしてそれを越えて最後のチェックポイントに着くと最終関門!これは一人でもいいですけど力を合わせないと大変だと思いますよー?どこから出て来るか分かりませんから気をつけてくださいです!
説明は以上です!何か質問はー?」
「あ…えーと…」
…思い浮かばない。
困ってティアの顔を見る。
「……ありません」
そっか。ちょっと浮かない顔をしたように見えたけど…。ティアがそう言うなら大丈夫だね!
「ありません!」
あたしも元気よく言った。
「では!スタートまであと少し!ゴール地点で会いましょう!ですよ♪」
空曹長はウィンクをしながら通信を終了した。
☆リイン 通信終了
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すると入れ替わりでカウントダウンの画面が表示される。
《5》
「(遂に始まるんだ…。絶対合格してみせる!)」
あたしは気合を入れた。後は突き進むのみ!!
《4》
「(スバルに心配させない為にあえて質問しなかったけど…。『特別なポイントターゲット』って一体…)」
《3》
「(わざわざ関門の事を事細かに説明するなんて過去の試験の記録を調べても見た事が無い。今回は二人で挑むとはいえ評価は個別だし、そもそも独行した方が評価が高くなる採点システムなのに『二人で挑め』だなんて…。
もしかしてあたし達…昇格試験以外の面で何かを試されてるの?)」
《2》
「(だとしたら誰が何の為に? …今はこんな事を考えても意味が無いわね。先ずは目の前の試験に集中!)」
《1》
「READY……」
ティアがタイミングを計る。
《START》
「GO!!」
こうして試験は開始された。
最初のポイントターゲットは廃ビルの中層。
ティアは「アンカーガン」からアンカーを射出して壁に突き刺し、あたしを片腕で抱えながらアンカーを巻き取って移動。
ティアは細身に見えるけど実は凄く筋力があるんだ!
☆アンカーガン
ティアナが自作した銃型のストレージデバイス(魔導師なら誰でも扱える一般的なデバイス)。
カートリッジの装弾数は二個で、上下に並んだバレルの中にそれぞれ一個ずつ入っている。カートリッジは通常のものより大型で魔力の貯蔵率の高いものを使っている。
銃に見えるが弾を発射する機能は無く、引鉄を引くとカートリッジの魔力が装填される。
本物の銃ではないので本来は銃口を向けて引鉄を引かずとも魔力弾を任意の方向に発射できるが、ティアナは魔力弾の精度や威力を上げる為に銃としてのイメージを強めるべく引鉄を引く事以外は本物の銃と同じように扱っている。
そしてこの武器の最大の特徴は名前の通りアンカーにある。
スイッチを切り替えるとアンカーモードに切り替わり、引鉄を引くとアンカーが飛び出し、アンカーが出た状態で引鉄を引くとワイヤーを巻き取る仕組みになっている。
アンカーは目標に刺さると刺さった部分に魔法陣が出現して魔力で固定され、任意にアンカーを外す事も出来る。
アンカーと銃を繋ぐワイヤーはティアナとスバル二人分程度の重量なら問題無く支えて高速で巻き取れるほど丈夫である。
このアンカーはその気になれば武器としても使え、更にティアナは空を飛べないながらもこれにより市街地等の大きな障害物の多い空間で高い機動力を発揮する事が出来る。
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http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/105/image.jpg
「中のターゲットはあたしが潰してくる!」
「手早くね」
「オッケー!!」
ティアはあたしを振り子運動で内部に投げ込む。
ガラスを割って飛び込んだ場所の奥の通路にオートスフィアが三機。侵入者を感知したためバリアを展開し、レーザーを撃ってきた。
幸い通路が広めだったので「ローラーブーツ」の性能を問題なく発揮でき、壁も使って高速移動で弾幕を回避しながら接近する。
☆ローラーブーツ
スバルが自作した魔力を動力としたローラー付きの靴。
注ぎ込む魔力の量に比例して加速出来る他、「アブソーブグリップ」という機能によってローラーの摩擦力を制御して壁面でも走る事が出来る。
飛び込みざまに左の拳を振り下ろして一機。着地しても止まらずに旋回し、右後ろ回し蹴りで二機目をそれぞれ一撃で撃破。
「(残り一機!)」
☆ターゲット二機撃破
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/97/image.jpg
残りの一機は後退しながら撃ってきていたのでかなり遠くにいる。格闘戦が得意なあたしに対する時間稼ぎをしているのは明白だ。
「(逃げる敵に時間をかけてられない!なら!)」
「ロード・カートリッジ!」
掛け声に反応して右腕の武器「リボルバーナックル」に、カートリッジに込められていた魔力が装填される。
☆リボルバーナックル (写真右)
スバルの装備している非人格式・拳装着型アームドデバイス。右腕に装着される。
元は故人である母親の「クイント・ナカジマ」の物で、形見として使っている。本来は両腕に装備される二個で一対の物だったが、左腕の方は姉の「ギンガ・ナカジマ」が使っている。
カートリッジの装弾数は六個で、全てリボルバーに入っているのでカートリッジを補充する時はリボルバーを丸ごと取り出して別のリボルバーを入れなければならない。
基本的な使用方法は「殴る」のみだが、非常に硬く作られているので攻撃だけでなく防御にも使える。
そして最大の長所は手首の部分にある歯車状のローター「ナックルスピナー」にある。
これは自分の魔力を注ぎ込んで回転させる事で
○パンチ力強化
○指向性のある魔法を加速 させる
○指向性のある魔法に回転を加える
という補助的な役割を担っており、スバルの長所である格闘能力を高めるだけでなく、魔力の総量は多くても魔法自体が得意ではないスバルの大きな助けとなっている。
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/116/image.jpg
※訂正
「自分の魔翌力を注ぎ込んで」と書いてしまいましたが、魔翌力無しで回転できました。
『リボルバァァァァ……!」』
拳を握るとナックルスピナーが回転して風を帯びていく。そして拳を前に突き出すと…
『シューーーート!!」』
拳から空色の閃光が飛び出し、その後を竜巻のような衝撃波が追い掛けた。その拳はまるで拳銃の如く反動で上を向き、硝煙のような煙を上げる。
☆リボルバーシュート
リボルバーナックルの拳に魔力を集め、ナックルスピナーを回転させ、拳から拳銃のように撃ち出すと回転させたナックルスピナーから竜巻状の衝撃波が巻き起こってレーザー状の攻撃が敵に届いた後に衝撃波が襲う直射型射撃魔法。カートリッジを一個消費して発動できる。
射撃魔法にしては射程距離は短いものの、衝撃波の攻撃範囲が非常に広いので多くの敵を巻き込みやすい。
ただし、カートリッジを消費する割には威力が低いのが欠点となっている。
その為基本的には大きいダメージを狙うのではなく、複数同時攻撃や避けられにくさを活かして確実なダメージを与える等の戦略的な活用が主となっている。
http://livedoor.4.blogimg.jp/teyght/imgs/b/1/b145a17d.gif
オートスフィアは閃光に貫かれ、後を追い掛けてきた衝撃波で壁に叩き付けられて木っ端微塵に砕け散った。
「よし!残りも早く叩こう!」
今回はここまでにします。
なんか最近仕事が忙しくて筆がなかなか進まない…。でもUMVC3やりたいしウル4の為にver.2013も練習したいw
乙。
俺も格ゲー好きなんだが>>1に勝てそうな気がしないな…
>>109
下手の横好き程度のもんですよ
2Dなら何でも手を出す男ですからw
※※※※
「落ち着いて…冷静に…」
一方別行動を取っていたティアナは別のビルに向かい、窓側に配置されていたオートスフィアを向かいのビルの屋上から破壊しようとしていた。
ポイントターゲットに悟られないようまとめて殲滅するべくアンカーガンにカートリッジ一個を装填し、連射を開始した。
昨日は忙しいからって後回しにしようとしたらそのまま忘れてしまいましたw
という訳で今から多めに投下します。
☆シュートバレット
魔力を弾丸状に形成し、加速させて撃ち出す射撃魔法。
ミッドチルダ式魔法(全ての魔法の中で最も広く使われている魔法術式)の基本中の基本であるだけに、ミッドチルダ式魔法を修める者なら誰にでも簡単に使える。
威力や精度よりも速射性を重視しているため、消費魔力が極端に少なくて燃費が非常に良く、ティアナはそれをより極端に高めるべく、この魔法を使う時はカートリッジを使っている。
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/106/image.jpg
☆シュートバレット
魔力を弾丸状に形成し、加速させて撃ち出す射撃魔法。
ミッドチルダ式魔法(全ての魔法の中で最も広く使われている魔法術式)の基本中の基本であるだけに、ミッドチルダ式魔法を修める者なら誰にでも簡単に使える。
威力や精度よりも速射性を重視しているため、消費魔力が極端に少なくて燃費が非常に良く、ティアナはそれをより極端に高めるべくこの魔法を使う時はカートリッジを使用している。
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/106/image.jpg
中にダミーターゲットがあったため危うく撃ちそうになってしまったが冷静に狙いを外し、ほんの数秒で窓側は全滅した。その直後、奥から増援が出て来たため落ち着いて破壊。
中を調べたら他にはいなかったので、屋上から飛び降りてアンカーガンを使ったショートカットで次のポイントターゲットのいる場所へ向かった。
※※※※
落ち着け!連投してるぞ
「いいタイム!」
嬉しくて思わずティアに話し掛ける。
「当然!」
ティアは調子が良くてテンションが上がってるみたいだ。これなら絶対イケる!
次の障害は進路上に大量に配置されていた。 でも今のあたしとティアならこんなの楽勝だ!
「行っくぞぉぉぉぉ!!」
「スバルうるさい!!」
>>116
ホントだ!失礼しました…。
それからしばらくは自分達でも驚くようなペースで進み、中間地点の大きな廃ビルへ到達。
そこには通常より大きいオートスフィアが鎮座していた。
「(今までのオートスフィアよりかなり大きい…。でもそれだけなら特別とは言わないわよね。先ずはあたしが射撃で探りを…)」
「こんなデカくて鈍そうなのなんて楽勝だよ!」
あたしは何も考えずに全速力で突撃していった。
「避けなさい!」
走り出すのと同時にティアが叫んだ。
そしてティアの声に気付くのとほぼ同時にオートスフィアが攻撃を開始した。
「うわっと!」
何とかギリギリのところをスウェーで回避しながら急ブレーキを掛けた。
今までのオートスフィアはレーザーだったのに、これは青白い何かのエネルギーを固まりにして飛ばしてきた。
弾速はレーザーより遅いとはいえかなり速く、弾がとても大きい。しかもあたしの動きを予測して撃っているようで、僅かでも反応が遅れていたら直撃するところだった。
「(危なかった…ちょっと掠ったけど。ありがと、ティア。でも今の…何処かで…)」
※訂正
×固まり
↓
○塊
ふと浮かんだ疑問はとりあえず後回しにして、一旦ティアの場所まで後退した。
オートスフィアはその場に留まってあたし達が動き出すのを待っているようだ。これを利用しない手は無い。
「どうやらバリアは張ってないみたいね。それだけ装甲が硬いのか、誘い込む為のフェイクか…。戦いが始まってからも浮いてないところを見ると飛行能力は無し。それとスバル。今の攻撃、見た目以外に何か気付いた事は?」
ティアが敵の分析を開始した。 こういう時のティアは頭の回転が早くて凄く頼りになるんだ。こういうのを見る度に思うけど、やっぱりティアは隊長とか指揮官に向いてると思うんだ。
「動きを予測して撃ってきてるみたい。レーザーに比べたら少し遅いけどけっこう速いしすごく避けにくいよ。それに…」
「それに?」
「上手く言えないけど…なんか攻撃に違和感を感じたんだよね。『感じる筈の無いものを感じた』って言った方が正しいかな。しかも以前にも似たようなものを感じたような……ごめん、やっぱ上手く言えないや」
「漠然とし過ぎね。まあ一応頭には入れておくわ。…動きを予測して撃ってくるなら予測を上回るフェイントを入れればいいだけよ。さっきの攻撃を避けられたのはあんたが何も考えずに突っ込んだのがフェイントになったからみたいだしね」
「あはは…返す言葉もございません…」
「…先ずはあたしが牽制で探りを入れてみるからスバルは囮になって。攻撃する振りだけでいいから反撃は考えなくていいわ。でも必要な時は指示するから頼むわよ」
「うん、任せて!」
作戦は決まった。行こう!
「(『特定の条件で動きを止める』って言ってたけど、そんなものヒントも無しに分かる筈もない。ここはやっぱり破壊するのが一番手っ取り早いわね。スバルにはああ言ったけど…やっぱり速攻で決める!)」
あたしはさっきと同じように正面から突撃。当然敵は攻撃を再開するけど、今度は回避に専念しているのでさっきより楽に回避出来た。
「(!……また感じた…変な感覚…。でも今は目の前の敵に集中!)」
どうやって引きつけようか考えた結果、とりあえず挑発する事にした。相手は機械だけど何故かそうした方がいいと思ったんだ。
「そんな遅い弾じゃ当たんないよ!」
すると不思議な事に攻撃があたしに集中。時折突撃する振りをしながら一定距離を保ってもあたしに攻撃が飛んでくる。挑発が効いたのかは分からないけど囮役は大成功!
「(後はお願いね、ティア!)」
「(的が大きいなら好都合!喰らいなさい!)」
カートリッジの魔力をアンカーガンに込めたティアは敵に向かって今までに無い程の速度で高速連射を始めた。
でも敵はステップを踏むように左右に動いて次々と弾丸を避けていく。
「くッ!逃がさない!」
ティアも逃げる敵に銃口を合わせながら胴体を狙い撃ちしつつピンポイントで足元に攻撃。
「(いくら回避能力が高くても浮いてないなら姿勢を崩される攻撃に弱い筈!)」
それでも射撃は当たらない。ティア一人で攻撃しててもこれ以上の展開は望めなさそうだ。
今回はここまでにします。
最近はver.2012でマイキャラのガイを黙々とトレーニングモードにて連続技を練習中。しばらくやってなかったから全然出来なくなってるw
乙。
俺は守りが下手だから投げキャラとかまともに使えない・・・
だから豪鬼とかケンばかり使っちゃう
>>128
俺は使い易さより気持ち良さ優先だから武神獄鎖拳が気持ちいいガイかメキシカンタイフーンが気持ちいいホークばっかりですね。
そしてホーク使いまくったせいで波動昇龍キャラが若干嫌いになりましたw
よく見たら>>117の前の部分が抜 けてました。
という訳で今その部分を投下します。
「(これで…ラスト!)」
あたしはビル内のポイントターゲットを全て破壊したのを確認してから全速力で次の場所へ向かったところ、信じられない事に交差点でティアと合流した。
「(先行してたとはいえローラーブーツがある分あたしの方がかなり速い筈なのに…。ティアはあたしより早く片付いたの!?)」
ティアのあまりの合流の早さに驚いて…
次から>>126の続きになります。
「(なら…あたしも逃げてばかりじゃ駄目だよね!)」
ティアの指示はまだ無いけどこれ以上は待ってられない。動きを変えて先回りし、ティアの邪魔にならないように敵の行く手を塞ぐ。
「(スバル…まだ指示してないのに…。でも助かったわ!)」
「(これなら逃げ道は少ないから予測しやすい!そこを一気に叩く!)」
あたしは狙いを絞って敵の出方を窺った。
ところが敵は御構い無しにあたしのいる方向に向かって来た。
「(え!?なんでこっちに来るの!?)」
慌てつつも反射的に右腕で殴りかかったけど、全く予測していなかった行動に驚いたせいで一瞬反応が遅れた。
「(!?…今のは!!)」
敵はその隙を突いてさっきの攻撃と同じようなエネルギーで右腕を弾いて軌道を逸らした上に、あたしの体勢を崩しつつ突進の勢いを止めずに走り抜けた。
その直後、あたしはあまりの驚きに動きが止まってしまった。
攻撃はあっさりと躱されてしまった事もあるけど、驚いた理由はそれだけじゃなかった。
思い出したんだ。
「(直接受けてやっと分かった…。やっぱり間違いない!4年前のあの日に会った…!)」
「(こんな場所で再会できるとは思ってなかったけど…今のあたしを見てもらういい機会だ!)」
思いがけない出会いにテンションが上がった。
「だぁぁぁぁ!!」
気合を入れ直して敵に突っ込み、反撃の隙を与えないように連続で攻撃を仕掛ける。
だけど攻撃は全く当たらず、ティアの射撃もあたしを盾にするように回り込んで撃ちにくくしている。
「(くっ…撃ちにくいわね!)」
「ティア!このままじゃ駄目だよ!連携で行こう!」
「珍しく気が合ったわね!じゃああたしに合わせて!」
「了解!」
至近距離で格闘戦を挑みながらティアに提案するとあっさりと了承。打ち合わせも無しに行動に移る。
敵は距離を取ろうとするけど、あたしは逃がさず纏わり付く。
「あなたの相手はあたしですよ!」
ピッタリと張り付いてそう言った直後、敵は一瞬だけ動きが鈍くなったのでその隙を逃さず更に距離を詰める。
「(動きを予測した射撃、ステップを踏むような動き、攻撃対象に飛び込む思考、格闘攻撃を的確に回避する能力、スバルを盾として利用した回り込み…。どう考えてもオートスフィアのものとは思えない。恐らくあれは…人間!
なんで人間が相手なのか、誰がどういう目的で相手をしているのかは気になるけど…それを考えるのは後回し!
人間が相手ならこっちの手の内がばれないうちに何とかしないと手遅れになる!
これは数が多いと命中率は落ちるけど…最悪当たらなくてもいい。逃げ道を塞げれば!)」
「スバル!」
ティアをチラリと見ると、3個の魔力弾を自分の周りに停滞させていた。
「(ティアの準備が出来た!今だ!)」
「はッ!」
あたしは追い掛けるのをやめると震脚で床を踏み砕き、積み上がったコンクリートの瓦礫を右拳で殴り飛ばしてコンクリートの散弾を撃ち出した。
「(これなら目隠しになるしいくら速くても避けられない筈!)」
同時にリボルバーナックルにカートリッジの魔力を装填。
「(もう一発!)」
続けざまに左拳で再び散弾を飛ばしながら発射準備。
そしてタイミングを合わせて叫ぶ。
『クロスファイヤー……!』
『リボルバァァァァ……!』
『『シューーーーーーーート!!!』』
空色の閃光とオレンジ色の魔力弾が同時に敵の元へ飛んで行き、その後ろを竜巻状の衝撃波が追い掛けていった。
☆クロスファイヤーシュート
球形の魔力弾を自分の周囲に複数出現させ目標に撃ち出す中距離誘導型射撃魔法。撃ち出す際には線状になる。
発射までに時間は掛かるが、複数の対象を同時に攻撃する(いわゆるマルチショット)事も出来る。
しかしティアナの使うこの魔法はまだ不完全なものであり、完成版はなのはが使える。
またこの魔法はダメージを狙う事よりも主に弾幕での空間制圧を目的としているので、命中率や精度が優れていなければ3発程度では実戦に於いてあまり役に立たない。
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/30/image.jpg
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/31/image.jpg
画像を貼り間違えたので貼り直します。
☆クロスファイヤーシュート
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/32/image.jpg
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/33/image.jpg
今回はここまでにします。
慌てて投下すると失敗するという事が前回と今回でよく分かりましたw
乙。
のんびり読んでるから大丈夫よ
>>143
ありがとうございます!
今度は慌てないようにしますw
「「(よし、タイミングは完璧!)」」
攻撃が敵に当たる直前、一瞬だけ敵が光ったような気がしたけど攻撃は見事に命中し、爆風が巻き起こる。
「「(やった!)」」
「イエーイ!ナイスだよティア!クロスシフト、一発で決まったね!」
「まあ、あんたが時間を稼いでくれたからね」
煙が立ち込める中、戦闘体勢を解いて勝利の余韻を楽しむ。
「普段はマルチショットの命中率、あんまり高くないのに…。ティアはやっぱり本番に強いなー」
「うっさいわよ。さっさと次の場所に……!?」
ティアの言葉が突然止まった。
「ん?」
あたしは何故ティアの言葉が止まったのか理解出来なかった。
「スバル防御!」
「え?」
突然ティアが走って来てあたしの体を押してきた。
いきなり何をするのかと思ったら、一瞬前まで立っていた場所にエネルギーの塊が飛んで来た。
しかも攻撃は一発じゃなく連続で飛んでくる。
「(しまった…まだ…!)」
ようやく事態を理解したあたしは二手に分かれて走り出した。
あたしは円を描くように敵の周囲を回りながら近付き、ティアは走りながら横向きで牽制の射撃を行っている。
「(くっ、確認もせずに浮かれるなんて迂闊だったわ…。こうなったらもう一度…)」
その時だった。
「うあッ!」
ティアが叫び声を上げて倒れこんだ。
「ティア!(足を挫いたんだ!ティアが倒れてる場所…あれって…あたしがさっき壊した床だ…)」
転んだティアにも容赦無く攻撃は襲い掛かってきたけど、ティアはそのまま転がって近くの瓦礫の山に身を隠す事に成功。
隙間からの射撃を試みるけど全て回避されてしまう。
※※※※
[試験会場上空 ヘリ内部]
ティアナの射撃が回避されてしまった時、流れ弾の一発が偶然にもサーチャー(撮影対象を自動追跡するカメラ)に命中して壊れてしまった。
「ん?なんや?」
「サーチャーに流れ弾が当たったみたいだったけど…」
はやてとフェイトはサーチャーを通して見ていた為、それが壊れたせいで二人の動向が分からなくなってしまったのだ。
[試験会場から離れた廃墟ビル]
「…トラブルかなぁ」
同じくなのはもサーチャーから送られる映像が見えなくなっていた。
「リイン、一応様子を見にいくね」
「はいです。よろしくお願いします」
《私もセットアップしますか?》
レイジングハート・エクセリオンが気を利かせる。
「そうだね。念の為、お願い」
《All right. BarrierJacket standing up.》
※※※※
「ティア!」
隙を見てティアのいる場所へ辿り着いた。
「騒がないで。何ともないから」
「ウソだ!グキッていったよ!捻挫したんでしょ!?」
「だから何でもないって…!」
立ち上がろうとしたティアはやはり足首を押さえて顔を歪ませた。
「くっ…ああ!」
「ティア…ごめん…油断してた…。それにあたしが壊した床に足を取られて…」
「…あたしの不注意よ。あんたに謝られるとかえってムカつくわ…」
「「………」」
掛ける言葉が見つからず、僅かながらの沈黙が訪れる。
今回はここまでにします。
早くウル4のロケテやらねーかなー。そしてロケテのレポート誰かまとめてくれねーかなー(俺は行けないんですがね!)。
五日も放ったらかしにしてしまった…。という訳で今から投下します。
「……走るのは無理そうね。仮にここを突破できたとしても最終関門は抜けられない」
「ティア…」
「あたしが残りの魔力を全部使ってサポートするわ。そうしたらあんたはとにかく全力であれを倒しなさい。カートリッジの予備は大丈…」
「ティア!」
あたしは何て言ったらいいか分からなくてつい叫んでしまった。
「っっさい!次の受験の時はあたし一人で受けるっつってんのよ!」
ティアも反応して声を荒げる。
「次って…半年後だよ?」
「迷惑な足手纏いがいなくなれば、あたしはその方が気楽なのよ!分かったらさっさと…ッ!」
足の痛みを堪えて立ち上がるティア。
「ほら早く!」
これじゃ…昔と同じだ…。
「…弱くて…情けなくて…誰かに助けてもらいっぱなしな自分が嫌だった…」
「…!それは前にあんたが言ってた…」
「…嫌なんだ…もう!」
その瞬間、体の中から熱いものが溢れ出した気がした。
「(ティアがどんな夢を見てるか…魔導師ランクのアップと昇進にどれくらい一生懸命かもよく知ってる…。
だから!こんなところで!あたしの目の前で!あたしのせいで!ティアの夢をちょっとでも躓かせるのなんて絶対に嫌だ!)」
「スバル、なんで泣いてるの?…スバル?ねえスバル!聞こえてないの!?(様子が明らかにおかしい…。しかも魔力とは違う何かを出している気がする…!それに…怖い…)」
「(負ける訳にはいかない…。あの頃のあたしには戻らない…。あたしのせいでティアの夢を邪魔したりしない!その為にこの人を倒…)」
『殺セ…。死合エ…』
その時4年前に聞いた「あの声」が再び聞こえてきた。
「そうだ…殺せばいい…簡単な事じゃない…」
「!?あんた何を言って…」
………
………
………
気付くとあたしはティアに抱きかかえられていた。
「……ティア?」
「心配…させるんじゃないわよ…このバカ!!」
ティアは嗚咽を漏らしながら叱咤する。
「ごめんね…ティア…」
「一か八かの賭けだったが…上手くいって良かった」
そして目の前には見覚えのある白い道着の人が立っている。
「ありがとうございます。えーと…」
「リュウだ。名乗るのを忘れていたな、すまん」
「いえ、こちらこそこのバカを助けていただいて…」
ティアと言い争っていた時から今までの記憶がハッキリしない。でもあたしが二人を…手に掛けようとしていた事は覚えている。
「あたし…なんて事を…」
自分のした事を悔いて胸が苦しくなる。
「泣くのは後だ。今は前へ進む事だけ考えろ」
「あんたは何も悪い事はしてない。気にする必要はないわ」
「でも…」
「いつまでもウジウジすんな!」
「!?」
自分の事を責めようとした時、ティアの怒号が耳に響いた。
「あんたが暴走するのはいつもの事!今回はちょっとその度が過ぎただけ!悔やむ時間があるならさっさと立ちなさい!」
「は、はい!」
迫力に圧されて思わず立ち上がる。
「…じゃあ行くわよ。あたしはあんたをサポートしながら行けるところまで行ってあげる」
「…あたしは…一人で行くのなんて絶対嫌だ…」
「あんたまだそんな事…!」
ティアには迷惑をかけっぱなしだけどこれだけは譲れない。
今回はここまでにします。
ウル4のロケテレポートを発見!
プロゲーマーの「ふ~ど」氏のレポートだから参考になりました!
そしてエレナのウルコン「ヒーリング」はウル4でも産廃技となるのでしょうか(笑)
乙。
あの技は回復中は無防備だからな
動画で見たけどなんかモーションが派手になってるせいでスキが多くなってる気がしたよ
>>162
回復量が少なくなってもいいからもうちょっと動作が短くならないですかねー。
まあ個人的にはロレントが一番気になるんですがね!
パトリオットスイーパーみたいに連続技に組み込みやすいウルコンあるかなー。
「…裏技…。反則取られちゃうかもしれないし…ちゃんと出来るかも分からないけど…上手く行けば二人でゴール出来る!」
「…本当?」
ティアが目の色を変えて問い掛けて来た。
「…ちょっと難しいし…ティアにもちょっと無理してもらう事になるし…よく考えるとちょっと無茶っぽくもあるし…」
声をくぐもらせているとまたしてもティアの怒声が響いてきた。
「あーーーーイライラする!!」
あたしの胸倉を掴みながらティアは叫ぶ。
「グチグチ言ってもどうせあんたは自分のワガママを通すんでしょ!?どうせあたしはあんたのワガママに付き合わされるんでしょ!?だったら…ハッキリ言いなさいよ!!」
☆怒鳴るティアナ
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/101/image.jpg
…覚悟は決まった。
「二人でやればきっと出来る。信じて、ティア」
「……で、プランは?」
「うん!まずね…」
………
………
………
「……あんたにしては上出来ね。少しは見直してあげる」
「へへ…ありがと」
「君の名前は確か…スバル、だったな。君に話しておきたい事がある」
裏技の説明が終わると突然リュウさんが話しかけてきた。一体何だろう。
※※※※
[数分後 試験会場 最終関門付近上空 ヘリ内部]
「二人とも遅いなぁ…お?出てきた!」
「うん。…あれ?だけど…」
高架下から出て来たのはティアナ一人だけだった。ティアナは脇目も振らず走っている。
そこへ突然ビルの一角の窓が割れてレーザーが飛んで来た。レーザーは最初在らぬ方向に飛んでいたが、突如軌道を曲げてティアナに向かう。
一瞬の出来事だった為かティアナは回避する間も無く直撃したかに見えた。
攻撃者の正体は最終関門である大型オートスフィア。遠距離から標的を捕捉して変幻自在のレーザーで狙撃する自動砲台だ。
その能力により建造物の奥からでも狙撃出来る為、初撃を回避するのも初見で位置を特定するのも非常に困難となっている。
また低ランクの魔導師では破るのが困難なバリアを展開出来るので、仮に発見されても破壊は至難の技である。
「直撃!?」
はやては思わず顔に手を当てる。
「……違う」
フェイトは見極めていた。
爆煙の中から再びティアナが飛び出すと、大型は再び照準を合わせてティアナを狙う。
攻撃は再開されたが、ティアナは慣れたのか左右にステップを踏んで狙いを外しながら走っていた。
「高速回避?…いや、ちゃうな。動きが単調過ぎる」
「あの子は…囮」
「…ちゅう事は…」
二人が話をしているうちに一本のレーザーがティアナを直撃。その瞬間、ティアナは光となって消え失せた。同時に瓦礫の影から二人のティアナが飛び出す。
『フェイクシルエット…』
本物のティアナは瓦礫の影から動かずに幻術魔法を使っていた。
☆フェイクシルエット
幻術魔法の一つで、虚像を作り出して自在に動かす魔法。
肉眼だけでなく、各種センサーでも本物との判別が困難な程に精巧な虚像を生み出す。
術者の腕次第では様々な虚像を生み出せる。
虚像の大きさやプログラミングした動きによって魔力の消費量と持続力が変わり、小さくて動かない虚像であれば一日以上保たせる事も出来る。またリアルタイムで操る事も可能だが、魔力の消費量は更に増大する。
大きく精巧な虚像ほど大量の魔力を消費するので長時間持続出来ない上に精神的疲労が激しいため、現在のティアナでは動く自分の虚像は同時に最大二体しか操れず、持続時間も十数秒しか保たない。
また強い攻撃を一撃でも受けると簡単に消えてしまうという欠点がある。
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/98/image.jpg
※※※※
〈これメチャクチャ魔力喰うのよ…。あんまり長く…保たないんだから…一撃で決めなさいよ!でないと…二人で落第なんだから!〉
〈うん!〉
念話で会話をしながらあたしは魔法陣を展開しつつ敵を探す。
「(あたしは空も飛べないし、ティアみたいに器用じゃない。遠くまで届く攻撃も無い。出来るのは…全力で走る事と、クロスレンジの一発だけ…!)」
全身から出た魔力が服をはためかせ、ナックルスピナーが回転して風を帯びていく。
「(だけど決めたんだ…。あの人達みたいに…強くなるって!誰かを…何かを…守れる自分になるって!)」
空色の光が全身を覆う。
そしてリボルバーナックルを空に掲げ、振り下ろしながら叫ぶ。
『ウイング……ローーーード!!』
拳を地面に叩き付けると前方に空色の輝きを帯びた道が伸びていった。
☆ウイングロード
地面から光のレールを出現させ、道を作る魔法。
この魔法はスバルの先天性(生まれつき使える)の魔法である。
道は自由に曲げて設置でき、基本的に使用者が解除しないと消えず、熟練度次第では複数本同時に設置する事も可能。
現時点では設置面から10数m程度しか伸ばせないが、道に触れた状態で魔力を注げば延長出来るので、走りながら追加する事で補える。
しかし道は設置面から伸びていくので、道が何処から伸びているのかが一目瞭然となっているので読まれやすい。
また道は魔力で構成されているので魔力を遮断又は消去されると道が消えてしまい、空の上でそれをやられると落下してしまう危険も伴っている。
先端は物理的な衝撃を伴う為、それを直接壁などの目標にぶつけて崩したりダメージを与えたりもできる。
また道そのものを攻撃を防ぐ盾としても使える(ただし防御魔法ではないので耐久力はかなり低い)。
道は自分だけでなく他の者も利用出来るので、それが仲間の足場として使える長所と敵にも利用される可能性があるという短所の両方を併せ持っている。
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/40/image.jpg
今回はここまでにします。
久々にやってみたUMVC3でハルクがメチャ楽しくて再燃しそうですw
道は高速で伸びていき、敵のいるビルの壁に激突した。
道が繋がったのを確認するとクラウチングスタートの姿勢になってローラーブーツに魔力を送り、同時にリボルバーナックルに魔力を込める。
ティアはあたしが向かっているのがばれないようにフェイクシルエットで大型の注意を引きつけている。
〈行って!スバル!〉
「行ぃぃぃぃくぞぉぉぉぉぉぉ!!」
あたしは気合を入れると弾かれるように飛び出した。
「でやぁぁぁぁぁぁ!!」
加速の勢いを止める事無くウイングロードの突き刺さった壁をパンチで砕きながら内部に突入。
すると同時に大型が防衛の為にバリアを展開。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
バリアを破るべく右拳を打ち込むとバリアとぶつかり合って激しい火花が飛び散る。
☆バリアと激突
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/102/image.jpg
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/103/image.jpg
「うりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
力を緩めずにカートリッジ二個分の魔力を装填し、指を伸ばしてバリアに刺し込む。
「でやッ!!」
その手を横に振り抜くとバリアは粉々に砕け散った。
☆バリアブレイク
バリア系防御魔法を破るのに特化した魔法の総称。
スバルのバリアブレイクは指先に集中した魔力を無理矢理刺し込んで穴を空けるもので、魔法と言うよりは力業と言った方が相応しいものとなっている。
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/121/image.jpg
貼り直します。
☆バリアブレイク
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/104/image.jpg
バリアを破ると大型は危機を察知したのか、レーザーを連射してきた。
レーザーは直撃して吹き飛んでしまったけど大型は爆煙であたしの姿を見失い、吹き飛ばされた事で時間を稼げたあたしは勝負に出る。
「(今だ!)」
※※※※
[試験会場中間地点 スバルが「裏技」の説明をした直後]
「……君に話しておきたい事がある。時間が無いのは分かっているが聞いてほしい」
「は、はい…なんでしょう?」
リュウさんの唐突な呼び掛けにびっくりしてしまった。
「君のさっき見せたその力…魔法とは違う力だ。その力は途轍も無く大きく、自分自身でさえも操るのが難しい危険な力でもある。だからそれを操る為に必要な事を教えたい。…とはいえ心構えというかちょっとしたコツのようなものだが…」
リュウさんの真剣な眼差しにあたしも真剣に答える。
「はい、お願いします」
「まず大事なのは意識だ…」
※※※※
魔法陣を展開し、リボルバーナックルにカートリッジ二個分の魔力を装填する。
「(溢れ出すその力を無理矢理押さえ込もうとすると反発するように強く噴出してしまう。だからあえて抑え込まずに外に出す!)」
☆魔力装填
http://livedoor.4.blogimg.jp/teyght/imgs/0/d/0d4d1a52.gif
「ディバイィィィィン……」
「(そしてそれを自分の拳として打つイメージ!最後に…螺旋!)」
※※※※
「それとこれはその力の事とは関係無いんだが…。
君の技は螺旋を意識した方がいいな。必要な時に腕を捻じり込みながら拳撃を打つんだ。
俺のいた世界では強過ぎて威力や軌道の安定しない銃は、銃身と弾丸を加工して螺旋状に回転させて撃ち出す事によってその軌道と威力を安定させ貫通力や飛距離を高めるという技術があった。
君の拳法は銃を模したもののようだからそれをよりハッキリと思い描くんだ。君の技は螺旋を帯びてはいるが君自身の意識がまだ足りない。
武器を頼るのは悪くはないが、武器に頼り切っていては武器より強くなれない。武器を身体の一部と思うんだ。
そうすれば君の技は自ずと強力になるだろう」
※※※※
「バスタァァァァァァァァ!!!」
魔力の塊を拳で叩くと光線が撃ち出された。
光線は放射状に広がっていたけど命中した瞬間に細く束ねられ螺旋を描いた一筋の光になった。
☆ディバインバスター(スバルver.)
なのはの得意としている砲撃魔法・ディバインバスターをスバルが見様見真似で独自に編み出したもので、見様見真似故になのはのそれとは構成が全く違う。
現時点では魔力の収束と放出が未熟な為に射程距離が20mにも満たないという砲撃魔法としては致命的な欠点を持つが、この魔法はナックルスピナーの補助もあって近距離に特化した性能となっており、破壊力・貫通力はランク不相応の凄まじいものとなっている。
加えて今回はリュウの助言により更に強力なものとなった。
http://livedoor.4.blogimg.jp/teyght/imgs/e/0/e0e31b2b.gif
※>>180と181の間に挿入
「一撃…!必倒ぉぉぉぉ!!」
両腕を交差させるように構えて魔力を集めると、体の中から湧き上がる「あの力」が丸められて魔力に包まれ魔法陣のリングが出現する。
「(クッ!…外に出したら…その力を…自分の力で包み込むイメージ!)」
少し苦しいけど今は気にしてられない。
左手のリングで魔力の塊を押さえて右拳を引くと、ナックルスピナーが風だけでなく火花を散らす程の高速回転を始めた。
今回はここまでにします。
とんでもないミスをしてしまってすいませんでした…。
年末は仕事が忙しくてゆっくり考える暇が少ないのう……。
乙。おきになさらず
乙
そういえば、なのはにザンギがやってくるSSがあったな
乙。
今、AT-XでストⅡVを放送してるぞ
懐かしいな、おい
>>186
ありがとうございます!
そう言ってもらえると気が楽になります!
>>187
それ知ってます!メカザンギ軍団が出て来たりザンギが聖王のゆりかごをエリアルロシアンスラムでぶん投げたりする奴ですよねw
いい意味で内容がぶっ飛んでいて面白かったなー。
>>188
懐かしー!豪鬼はモブとしてしか出てなくてビックリした覚えがありますw
当時はコロコロコミックで連載してた漫画版と並行で楽しんでたなー。
うちで見られないのが残念です。
間違えてageてしまってすいません…。
光線は放射状に広がっていたけど、命中した瞬間に細く束ねられて螺旋を描いた一筋の光になった。
その光は大型を一瞬で貫いて背後の壁を突き破る。
直後、大型は爆発して砕け散った。
「はあ…はあ…はあ…。これがあたしの…力?まだ完全にイメージ通りに出来た訳でもないのに…信じられない…」
今までに無い程の威力に自分でも驚いてしまった。
「(ちょっとコツを教えて貰っただけなのに…。リュウさん、ありがとうございます!)」
〈やったの!?〉
ディバインバスターの使用を確認したティアが念話で即座に連絡を取ってきた。
〈うん、なんとか…〉
〈残り…あと一分ちょい!スバル!〉
〈うん!〉
※※※※
[試験会場ゴール地点]
「お?来たですねー?」
リインが煙を巻き上げながら爆走する一つの影を確認。
それはティアナを背負って走るスバルだった。
※※※※
「あと何秒!?」
「16秒!まだ間に合う!」
あたしはティアに時間を確認しながら走り、ティアは眼前のポイントターゲットを銃で破壊。
「はーい!ターゲット、オールクリアです!」
「魔力…!全開ぃぃぃぃ!!」
ローラーブーツに限界まで魔力を注ぎ込むとローラーから火花が飛び散った。
ティアは風圧で体が仰け反るけど、振り落とされないようにしっかりと腕に力を入れてしがみ付く。
「ちょっ…スバル!止まる時の事、考えてるんでしょうね!?」
「え!?」
…全く考えてなかった。
でも加減してたらタイムオーバーになるかもしれないし…何よりも…勢いが付き過ぎて止まれない!!
「あ…なんかチョイやばです…」
「「ああああああああーーーーッ!!」」
《GOAL!!》
ゴールバーを通過してもまだ止まらない。目の前には瓦礫の山!このままじゃぶつかる!
「「うわああああああああーーーー!!」」
寝落ちかな?
>>195
寝落ちしてしまいました…すいません…。まさか半日も寝るとは自分でも驚きですw
もう少しで第二話は終わりなんで今日の午後八時くらいからその分を全部投下しようと思います。
※※※※
「んー…アクティブガード、ホールディングネットもかな」
空に浮かぶ一人の女性はそう呟きながら手をかざした。 すると…
《Active Guard with Holding Net.》
機械音声の後に続いてピンク色の光が辺りを包んだ。
☆アクティブガード
ドーム状に低速の衝撃波を発生させて衝突物の衝撃を和らげる防御魔法。
この魔法は発生箇所を中心に全方位に拡がるのでどの方向にも対処でき、衝撃波は物体を傷付ける事無く衝撃を和らげる為生物に対しても安全に使用出来る。
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/108/image.jpg
※※※※
訂正があります!
終わるのは【スバルside】であって第二話はまだ終わりませんでした!
大変失礼いたしました!
「……ああ……(助かった……)」
あたしは無様に逆さになってネットに引っかかり…
「……はあ……(助かった……)」
ティアは白くて太い枝のようなものに引っかかった。
☆引っかかるスバルとティアナ
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/107/image.jpg
☆ホールディングネット
魔力を柔らかい網状に形成し、指定した空間に張り巡らせる設置型防御魔法。
網は柔軟なので壊れにくく、また対象を安全に止めたりキャッチしたり出来る。
なのはは教導で空を飛び慣れていない魔導師の飛行訓練での墜落事故防止の為によく使用しているので使い慣れており、短時間で広範囲にこの魔法を展開させられる。
☆柔らかき支柱(ヴァイヒ・シュテュッツェ)
リインフォース2が使用した補助魔法。
柔らかくて白い突起物が衝突物を感知して自動的にそれに向かって枝状に伸び、接触すると緩衝して受け止める事が出来る。
多数出現させてまとめて複数を受け止める事も可能。
安堵の溜め息を吐いているとそこへ仏頂面の空曹長が飛んで来た。デバイスらしきものを持っており、かなり怒っているようだ。
「んむーー!二人とも!危険行為で減点です!頑張るのはいいですが怪我をしては元も子もないですよー!?そんなんじゃ魔導師としてはダメダメです!!」
「…あー…」
あたしはリインフォース2空曹長のあまりの小ささに言葉を失ってしまった。
「…小っさ…」
ティアはそのまま口に出しちゃったみたい。
☆怒るリイン
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/44/image.jpg
「全くもう!」
やばい…完全に御冠だ…。どうしよう…。
「はっはっは!まあいいじゃないか!」
「「え?」」
唐突な第三者の声にティアと声を揃えて反応し、その方向を向く。
「そうそう。ちょっとびっくりしちゃったけど…無事でよかった」
声の正体はリュウさんとなのはさんだった。
「とりあえず試験は終了ね。二人共お疲れ様」
「あの状態でよく二人共時間内にここまで来られたな。大したものだ」
「リインもお疲れ様。ちゃんと試験官出来てたよ」
「わーい!ありがとうございます!なのはさん!」
「久しぶりだな、リイン。相変わらず小さいままか」
「んむーー!これでもちゃんと成長してるんですよー!それに大きくなる事も出来るって言ったじゃないですかー!」
なのはさんはバリアジャケットを解除して制服姿になり、あたし達に話しかけてきた。
「まあ、細かい事は後にして…ランスター二等陸士」
「は、はい!」
「足の怪我を治療するから靴を脱いでね」
「あー!治療なら私がやるですよー!」
「じゃあお願いね、リイン。それとスバル…」
周囲の声が耳に入らず、ただひたすらに一人の女性を見つめる。
この人は…目の前にいるこの女性は…。
「なのは…さん…」
「うん?」
無意識に口に出た言葉になのはさんが反応する。
これ以上何を喋ればいいか分からなくなり、すっかり混乱してしまった。
「た…高町教導官…一等空尉!」
「『なのはさん』でいいよ。みんなそう呼ぶから」
なのはさんは笑顔であたしの顔をじっと見つめる。
「4年振りかな。背が伸びたね、スバル」
「あの時は力加減を考えてなくてすまなかったな。それにしても見違える程強くなっていたのには驚いたぞ。修行の賜物だな。もう少し修行すればいい勝負が出来そうだな!」
「やめてよリュウさん。何でも戦いに絡めないでよ」
……4年前にたった一度…しかも短い時間しか会わなかったあたしを…この人達は覚えていてくれたの?
「えと…あの…」
目に涙が浮かび、様々な思いが込み上げてきて言葉が出なくなる。
「また会えて嬉しいよ」
「また君に会えて良かった」
なのはさんはあたしの頭に、リュウさんは肩に優しく手を置いてそう言った。
「なのはさん…リュウさん…」
涙が溢れて前が見えなくなる。
そんなあたしをなのはさんがそっと抱きしめてくれた。
「私の事…覚えててくれたんだ。ありがとう」
「君は記憶力がいいな」
「(リュウさん…。空気読めない人だなぁ…)」
「覚えてるっていうか…あたし…ずっと…なのはさんに憧れてて…」
まだ涙は止まらず言葉が詰まる。
「嬉しいな。あなたのバスター見てちょっとびっくりしたよ」
「えっ!?」
「そう言えばお前のあの砲撃もディバインバスターという名前だったな。名前以外は似てないが…」
「…リュウさん、黙っててくれる?」
「……(またやってしまったのか俺は…)」
「す…すみません勝手に!!」
勝手に名前を使ったのはまずかったと思って反射的に頭を下げて謝った。
「……フフフフ。いいよ、そんなの!」
でもなのはさんはあっさりと許してくれた。よかった…。
※※※※
[スバルとなのはの会話中]
リインは治療の最中にスバルと達の会話を眺めながらティアナに話し掛ける。
「ランスター二等陸士はなのはさんの事はご存知です?」
「はい、知ってます。本局武装隊の『エース・オブ・エース』。航空戦技教導隊の若手No.1、高町なのは一等空尉…」
なのはは時空管理局内どころか一般にもその武勇が広まっており、この次元世界…ミッドチルダでは知らない者などいないと言っても過言ではない程の有名人。それをティアナが答えられない訳が無い。
「はいです!その通りです!では隣にいるリュウさんはー?」
「(…この様子だとスバルの暴走の事を知らされていないのかしら。なら言う必要は無いか)。…すみません、情報不足です」
「そんなに落ち込まなくても大丈夫ですよー!時空管理局でも顔と名前両方知っている人が少ないような人ですからー!」
「は、はい…(若干棘のある言い方ね。さっきの事を気にしてるのかな)。…それではどんな方なんですか?」
「『格闘家』って言葉に覚えはー?」
「!!…噂程度には。たしか…肉体に内在する生命エネルギー…『気』という魔法とは違う力を操り、魔導師や騎士と互角以上に戦える能力を持った人間の事と聞いています。あの人がそうだったんですね」
「よくご存知ですね!そしてリュウさんこそが最初に発見された格闘家なんですよー。ちょっと堅物で空気が読めないのが困り者ですけどねー。…はっ!愚痴ってしまいました!試験官らしくないです!ほ、他にも数名在籍してますけどその方々の紹介はまた後ほど!では!」
話している最中に既に治療を終えていたリインは慌ててその場を離れた。
「(あの時は必死に戦ってたから他の事を考えてる暇は無かったけど…。よく思い返してみるとあの人は魔力を全く感じなかったのにとんでもない身体能力と攻撃力だったわね。
…って『後ほど』?普通はたしか試験が終了したら直ぐに帰投して、数日以内に合否通知が届いて、合格したらようやく本局へ行って手続きと説明がある筈…。という事は昇格試験は合格!?)」
[同刻 試験会場 ゴール地点上空 ヘリ内部]
「知り合い…みたいだね」
「4年前ゆうたら…あれやよ、ホラ。なのはちゃんとフェイトちゃんがウチの演習先に遊びに来てくれた時に起こった空港火災」
「ああ、私となのはが災害救助の手伝いをした時?」
「多分その時になのはちゃんとリュウさんが助けた要救助者の一人だったんやろ」
二人はようやくスバルとなのは達の関係に気付いた。
「なるほどね。そう言えば私が助けた要救助者の中に姉妹で火災に巻き込まれた子達がいたなぁ」
「そうなんかー。あ、それで思い出したわ!救助活動を始める前に空港内の要救助者のデータ送ってもらったやろ?」
「うん」
「助け出した要救助者の中にデータに無かった救助者がおったんよ。救助の後は事後処理やら任務やらで忙殺されてすっかり忘れとったわ」
「…怪しいね。後で空港火災の事、調べてみよっか」
「せやな。出来るだけ早く調べよ」
※※※※
「なのは、そろそろあの話をした方がいいんじゃないか?」
「(『あの話』?試験の話じゃないって事?)」
「それは試験の事後処理が終わってから!…スバル、それにティアナも『大事な話』があるんだけど…この後いいかな?」
なのはさんは突如真剣な表情で「大事な話」を持ちかけてきた。
その話があたしの運命を大きな戦いの渦に巻き込む事となり、更にはそれによって「存在を許してはいけない存在」「力を持つ者の宿命」「信念を貫く強さ」の意味を、辛く悲しい体験を通して知る事になるとはこの時には夢にも思わなかった。
【スバルside…END】
今回はここまでにします。
何とか切りよく終われたー!
とりあえず色々とボケをかましてすいませんでしたm(_ _)m
【リュウside】
俺の日常は基本的に修行の為に費やすが、渡航などで路銀が必要になった時は肉体労 働で稼いでいた。だがそれは俺の世界での話だ。
こちらの世界では勝手が分からず都合良く肉体労 働がある訳でもないので働き口が無く、今は時空管理局で世話になっているので無理に働く必要が無い。
しかしある日なのはは「いい大人が働きもせずにご飯を食べるのは許さない」と言い出して以来、時々俺に(半ば強制的に)仕事を回して来るようになった。
なるべく俺向きの仕事を選んでくれるのは有難いが…それを言われると立つ瀬が無いな…。
[新暦75年4月 ミッドチルダ 第8空港近隣 廃棄都市街 試験会場中間地点 巨大な廃ビル]
「ここが指定の場所か。…やはり気が進まんな」
なのはに強制されて連れて来られた試験会場。正直な事を言えば今は他人の事を気にする余裕は無かった。
だが4年前に出会ったあの少女が今回の受験者となれば話は別だ。
あの時…俺の殺意の波動が共鳴した事は勿論気になっている。なのはの話によるとあの後彼女を探したが何故か情報が隠蔽されていて行方が知れなかったらしい。
殺意の波動が目覚めれば事件にならない筈が無いので、それらしき事件が無いという事は少なくともこの4年間は無事だと言えるが…。
そして共鳴により増幅されて噴き出した筈の殺意の波動が謎の光によってその殆どが掻き消された事…。それは彼女と無関係では無い筈だからだ。
その事が確認出来れば俺の悩みも少しは晴れるかもしれない。
それを確かめる為には拳を交えるのが最適だ。ただ、それが今である必要は無いと思うんだが…。
※※※※
[同時刻 試験会場から離れた廃墟ビル]
《範囲内に生命反応、危険物の反応はありません。コースチェック、完了です》
首に掛けたネックレスの赤い玉が点滅する。
「うん。ありがとう、レイジングハート」
なのはは試験コースの下見をしていた。
※※※※
『そっちの準備は出来てる?』
「……ああ、問題無い」
なのはからの通信だ。
『通信機とサイレンサー、それと幻術魔法の発生装置は壊さないでね?タダじゃないんだから。
特に幻術魔法の発生装置は製造が難しいから高価だし、壊れやすいから。使い方はもう大丈夫だよね?』
「おいおい、俺は子供じゃないんだ。それ位分かってるさ。壊したりしないし使い方も…」
『分かってる人は夢中になり過ぎてトレーニングルームを壊したりしないの!』
「……大丈夫だ」
思わず声が小さくなる。
「しかし…人を試すなんて俺の性に合わないんだがな。他の仲間に頼めなかったのか?それに俺は修ぎょ…」
『「働かざる者食うべからず」って言葉、知ってる?毎日働かずに修行修行って言ってた人、誰だったかな?』
「……了解」
『素直でよろしい』
「……一つ言わせてくれ。受験者があの子だというのは分かったが、試すなら試験中でなくとも配属されてからで…」
『試すなら早い方がいいんだよ?それにあの子を試すだけでなくもう一人の子も一緒に適性を見るの。そもそもこれは個人的な事情じゃなくて正式な審査なの。文句ある?』
「……」
『試験の流れを確認するね。二人が到着したら挨拶の一撃から飛び道具で牽制…』
「……適度なところで当てやすい片方に狙いを絞り、狙っていない方の様子を伺いながら攻撃続行…」
『動きがあったらあの技を当てられるタイミングで放つ…』
「……まだ未完成だが何とかしよう。力を抑えれば問題無い筈だ。それを何らかの方法で凌いだら装置を通過許可の表示に切り替えて通過させる…」
『勿論常に二人が互いを支え合っていたならね。チームで動く事が前提だから単独行動のスキルばかり高くても力を合わせられないなら部隊には必要無いって覚えておいて。
それに手足は使っちゃダメだし大きいダメージを受けるのもダメ。手足を使ったら人間だってばれちゃうしダメージを受けたら幻術魔法が解けちゃうからね。…とりあえずよく出来ました!』
「…素直に喜べんな…」
また寝落ちしてしまってすいません…。
とりあえず今日も夜に投下します。
『分かってると思うけどもしあの技であの子に変化があったら…』
「状況次第では全力で止めなければならないかもしれん…が、そうならないよう尽くそう」
『…さて。観察用のサーチャーと…障害用のオートスフィアの設置も完了。私達は全体を見てようか、レイジングハート』
《Yes,my master》
『それじゃあ出番まで待機しててね、リュウさん♪』
「……通信、切るぞ」
「まったく…人使いの荒い奴だ。だがあの子の事を知るいい機会には違いない。前向きに考えよう。上手く行けばあの光の正体も分かるかも知れんしな。…それにはあの技を確実に制御しなくては…」
「(リュウさん…。スバルの事は当然大事だけど…最近悩んでるみたいだったからって修行の息抜きも兼ねて今回の事を頼んだのはやり過ぎだったかな…。それに少し…嫌な予感がする)」
俺は気を取り直し、精神統一しながら少女達が来るのを待った。
[数十分後]
「来たか…」
目の前には少女が二人。
そのうちの青い短髪の少女を見つめる。
「(やはり資料よりも面と向かった方が実感出来るな。情熱的で力強い目付きだ)」
4年前の空港火災で出会った少女に違いないが、当時とは比較にならない程心が強くなったのがよく分かる。
「(それにしても…既視感があると思ったら雰囲気が『あの子』によく似ている。姿も若干似通っているしな。年齢もあの頃のあの子とそう変わらなさそうだ)」
思い出したのは俺の世界で出会った少女の話だ。
【回想】
[数年前 地球 日本 関西地方のとある山奥 朱雀城]
この日俺は一年振りに日本へ戻って来た。目的は行っている毎年「ある行事」を行う為、そして今回は初心に帰るべくかつての修行場で時間をかけて修行する為だ。
朱雀城は俺の修行時代に師匠に技の習得や精神鍛錬の場としてよく連れて来られた場所。そして…師匠が…。
「やはりここは心が落ち着くな。これで師匠とあいつがいれば昔そのままだ。……師匠…」
ここに来ると様々な思い出が去来する。いい思い出もあれば、中には辛い思い出もあった。
「思い出を巡るのはここまでだ。早速始めるか」
俺は記憶を辿って昔の修行内容を思い出しながら修行を開始した。
[半年後]
「少々名残惜しいが…そろそろ行かねばな」
俺はまた世界を回るつもりだ。当分ここには…いや、もしかしたらもう二度と戻らないかも知れない。
ここには思い出が多過ぎる。俺の足を止めてしまう程に。
だから何処にいても初心を忘れぬ為にもこの朱雀城を目に焼き付けよう。
「………」
城を見上げると名残惜しさ故かしばし呆然としてしまった。
「…ん?」
やっと我に返ると背後に人の気配を感じ、振り返ってみる。
「やっと…会えたんだ…」
「……君は?」
そこにはセーラー服を着て白い鉢巻きを巻き赤いグローブをはめた少女が佇んでいた。
少女は俺の顔を見るなり突然涙を流した。
「だ…大丈夫か?君…」
「あっ…つい…感激しちゃって…参ったなこりゃ…」
その少女は涙を拭うと真っ直ぐな瞳で俺を見つめてきた。
「リュウさん……ですよね?ずーっと、あなたを捜してここまで来ました」
「………」
彼女が何故俺を捜していたのかは分からなかった。だが彼女が並々ならぬ思いで俺を捜していたのであろう事はその瞳で直ぐに理解出来た。
「リュウさん…。あたしと…闘って下さい!!」
…そうか。君は俺を求めて来てくれたのか。
その直向きな思いと真っ直ぐな瞳で俺を追い掛けてくれたのか。
「………」
俺は無言で構えた。
もう会話は必要無い。後は拳が語ってくれるからだ。だが最後にこれだけは聞かねばならない。
「…君の名は?」
「さくら…。春日野さくら!」
少女も構える。
無言の俺達の空間に風は無く、息遣いだけが聞こえる。
そして沈黙は少女の一言によって破られた。
『さくら、がんばります!!!』
☆春日野さくら
今日はここまでにします。
ウル4の追加キャラ残り一人は今年中の発表は無さそうだなぁ。新キャラだと期待しているけどどうなる事やら…。
………
………
………
「…あの…リュウさん…」
「……」
自分の握り拳を見ながら物思いに耽る。
「(…やはり拳は正直だ。そして口よりも多くを語ってくれる。 朱雀城での半年よりもさくらとの闘いの方がより多くのものを得られたような気がするな。 このひと時が終わってしまったのが残念でならない…)」
「また…あたしと闘って下さい!」
……そうだな。ならばまた闘えばいい。いつでも、何処でも。
「ああ、今度は俺が君に会いに行く番だな」
「ほっ…本当に!?」
「君がストリートファイターで有り続ける限りはね。次に会う時が楽しみだ。…じゃあ俺は行くよ」
「ま…待って!最後に写真を…」
「ああ、撮ろう」
………
………
………
あれからまだ彼女には会っていない。いつになるかは分からないが…また会いたいな。いや、会うんだ。
彼女と再び会うまで…勿論会ってからも俺は戦い続けよう。俺自身の為にも、俺なんかの為に心と技と体を尽くしてくれたさくらの為にも。
【回想終了】
「(……こちらの世界にいるせいで会うのも難しくなってしまったな。まあいずれは戻るつもりだが。さて、装置の作動状況の確認だ。人間である俺の姿を見ても驚いていないという事は幻術魔法の発生装置は正常に作動しているという事だな)」
確認中に青髪の少女…スバルが突進してきた。
「(ならば次は…)」
『波動拳!』
青い色の気弾がリュウの両掌から放たれた。
☆波動拳
リュウの修める拳法の奥義の一つ。気を掌に集めてそこから気弾を撃ち出す。
練度や個人の癖などによって両手か片手、気弾の形・大きさ、射程距離等が異なる。リュウの場合は両手を使い、楕円形に近い形で射程距離は非常に長い。
空中でも使用可能で、調整すれば反動で滞空時間を伸ばす事が可能になる。
そして昇龍拳・竜巻旋風脚の三つはこの拳法における闘いの基本であるが、同時に文字通り「三位一体」の技になっている。
当てるつもりで放った波動拳だったがスバルはギリギリでそれを回避する。俺の声に驚く様子は無い。
「よし、叫んでも聞こえていないな。これで遠慮無く攻撃出来る。飛び道具のみという制限は厳しいがこれも修行と思えばいいか。それにしても…小手調べだったとはいえ正面から突っ込んで来てよく躱したな」
スバルは俺に向き直りそのまま向かって来るかと思ったが、一旦もう一人の少女…ティアナの場所まで後退した。
「作戦会議か、存外冷静だな。まあそれくらいの時間は与えてもいいだろう」
二人が話している最中、スバルが俺の方をちらりと見てきた。
「(?…そういえばさっきの波動拳に妙な動揺を見せていたな。まさか俺の『気』に気付いたのか?この世界の人間は自力で気功の素質に目覚められる者はいないと思ったが…まさかこの子が?)」
二人の話が終わった。どうやら作戦が決まったようだ。
スバルが先程と同じように俺に向かって来る。
「さっきと同じように向かって来てはいるが…気勢が違うな。囮か。ならばあえてそれに乗ってやろう!波動拳!」
しかし今度は余裕を以って躱される。
「やはりあの靴による機動力はなかなかのものだな。…面白い!素早く気を練り、動く敵を波動拳で狙う修行になる!」
俺はスバルに狙いを絞った。
今回はここまでにします。
今年の仕事がいよいよ追い込みに入ってきてヤヴェーーーーッ!
「波動拳!波動拳!波動拳!波動拳!」
なるべく最速の間隔で撃ってはいるが一向に当たらない。
「(一定距離を保たれた上にあの速度…。回避に徹するとこれ程厄介なものなのか)」
スバルへの対策をあれこれ考えているとティアナが銃で連射を開始した。
「(銃は素早く軸をずらせば簡単には当たらん!)」
小刻みに弾みながら左 右に動く事で回避には成功しているが、ティアナは主に胴体を狙いつつ正確に足元へ撃ち込んで俺の機動力を削ぎに来ている。いい作戦と腕だ。それにしても…
「くっ…。この連射…いつまで続くんだ?」
ティアナの銃は見た目からすると装弾数は然程多いとは思えない大きさなのに立て続けに数十発は撃っている。
恐らくは気…魔力を装填してそれを銃弾として撃ち出す銃なのだろう。便利な銃だ。
連射を回避し続けてしばらくすると、スバルの動きが変わった。
「(この動きは…俺の逃げ道を減らして誘導したところに攻撃を集中する気か。考えたな。だが逆にそれを利用させてもらう!直接触れる訳ではないから大丈夫な筈だ!)」
俺は空いている道ではなくスバルのいる方向へ突っ込んだ。
それを予測していなかったためか、スバルは反応がワンテンポ遅れて殴ってきた。
※※※※
[数年前 地球 イギリス のどかな田舎町]
かつて俺がとあるイギリス人のボクサーと戦った時の事だ。
「俺の拳撃が悉く受け流されて鋭い一撃が差し込まれる…。素晴らしい技術だ…」
俺は有効な拳撃を一度も当てられないどころか、俺の体勢を崩して流れるような反撃を打ち込んでくる相手に感動を覚えていた。
「お褒めに与り光栄だ。では私からも一つ。
私は風の噂で君の技…波動拳の事を知っていた。だから初見でも難無くインファイトに持ち込めたのだ。
だが私だけが事前に相手の情報を仕入れているのは不公平というものだ。それでは仮にこのまま私が君を倒しても私の力で勝ったとは言えない。 そこで私も今から君にボクシングの技の一つを教えようという訳だ」
「悪いが俺はそんな施し…」
「私の…いや、紳士の誇りが許さないのだよ。いいから聞きたまえ、リュウ君」
「(…これが英国紳士というものか。何という愚直な誇りだ。ならばその誇りを穢す訳にはいくまい)。…分かった。では頼む」
「よし。先程君のパンチを受け流したのは『パリング』というボクシングのディフェンステクニックだ。
簡単に言えば『相手のパンチを手首の返しで逸らす』というものだな。これは大した力も必要無く、最小限の動きで攻撃を凌げ、主にストレートパンチに対して有効だ。
まあ私ほどの実力になればパンチだろうがキックだろうが種類を問わないがね。更には手首を使わずともピンポイントでナックルパートをぶつけて回避と攻撃を同時に熟す事も出来る。そして…相手の体勢を崩して『一撃必殺』を打ち込む事も可能だ…が、先程も言ったとおり本当の意味での勝利を得るにはそれを打つ訳にはいかなかったのだ」
「(この男、相当な自信家だな。だがそれ故に誇り高く…強い。そして『一撃必殺』か…)」
「さて、これで私の手の内の一つが知られてしまった訳だが…ここから一切の手加減は無い。迂闊な攻撃は私の『一撃必殺』の餌食となる事を覚悟したまえ」
「望むところ!行くぞ強敵(とも)よ!」
☆ダッドリー
http://lovy.jp/blog/wp-content/uploads/2010/02/Image4.jpg
※※※※
今日はここまでにします。
日曜日も仕事だー!ウル4の為の練習をする時間がねえーーーー!!
「(相手の拳撃を片手で逸らす!…だが今は相手に触れてはいけない。ならば…試した事は無いがやるしかあるまい!)」
波動拳の応用で掌から気を拡散させながら放つ「面」を使って受け流す。これなら多少狙いが外れても何とかなる筈だ!
「波ッ!」
その結果… 。
あのボクサーほど上手くはいかなかったが、元々無茶な体勢からの攻撃だったせいでスバルは大きく体勢を崩して倒れそうになっていた。
「(付け焼き刃だが何とかなったな。このまま距離を離す!)」
本来ならばこのまま攻撃するべきだが、今回は倒すのが目的ではない。 俺はそのままスバルの脇を走り抜けた。
すると倒れそうになるのを踏ん張ったスバルはこちらを見ながら完全に動きが止まった。
「(何やら随分と驚いた表情をしているな。攻撃を受け流されて余程動揺したのか?)」
ところが次の瞬間に突如嬉々とした表情に変わり、凄まじい速度で突進してきた。
「なッ!?笑っている!?」
スバルの笑顔に驚いていると今度は単純な乱打戦を仕掛けて来た…が、先程とは気迫が違う。
荒削りで無駄な動きが多いながらも情熱が込められたいい拳だ。だが…
「(この動き…いい動きだが格闘家のそれと同じだ!本当に魔導師か!?)」
予想外の事態が起こり過ぎて失念していたが、別方向からは銃も待ち構えている。射撃も警戒しながら手も足も使わずにこの攻撃を避け切るのはかなり厳しい状況だ。
「(…せめて射撃だけでも封じねば!)」
俺はスバルとティアナをなるべく直線上に捉えてスバルを盾にするように立ち回った。
すると作戦が功を奏し、ティアナは殆ど弾丸を撃ってこなかったのでスバルの攻撃に集中する事が出来た。
程なくして攻撃が当たらない事に痺れを切らしたのか、スバルが大声で叫ぶ。
「ティア!このままじゃ駄目だよ!連携で行こう!」
「珍しく気が合ったわね!じゃああたしに合わせて!」
「了解!」
「(敵に聞こえているのに大声で叫ぶとは…。余程自信があるのか?…いや、俺が人間だと思っていないからか。…二人には悪いが警戒させて貰うぞ!)」
二人を視界に捉えやすくするべく横に移動しようとするが、スバルは我武者羅に俺を追い掛ける。
「あなたの相手はあたしですよ!」
「(『あなた』…だと!?俺が人間だと気付いたのか!?)」
またしても動揺してしまい、一瞬だけ動きが鈍った為に距離を詰められてしまった。
「(そういえば…最初の波動拳を躱した時や連発した時、俺が拳撃を受け流した後の反応が妙だったな…。
俺の『気』に立て続けに当てられた事で『気』を感じ取れるようになったのか?まさか俺の正体も…)」
後ろではティアナが何か準備しているようだがまだ動かない。こういう時は動きの止まったティアナを狙うのが定石だが、纏わり付くスバルがそれを許さない。
「(こうなったら仕方ない…。躱しながら気を練っておいて大きい攻撃が来たら迎撃するしかない!)」
俺はスバルの攻撃を躱しながら少しずつ気を練り始めた。動きながらでは時間がかかってしまうが、こればかりはどうしようもない。
「スバル!」
突然ティアナが叫ぶ。同時にスバルが震脚からの拳撃でコンクリートの破片を飛ばして来た。
「(速度は大した事はないが…広過ぎて避け切れん。ダメージは軽微だろうが、もし喰らい過ぎれば幻術魔法が解けてしまうかもしれん。こうなれば…)」
俺は真半身に構え、手から放射状に気を放出して破片の一部を跳ね返し、当たる面積を最小限に抑えた。
細かい破片は命中してしまったが、幸い幻術魔法は解けなかった。
だが安心したのも束の間、更にもう一発の散弾が飛来。僅かな隙を突き、後退して更に被弾率を下げる。
そしてそれを先程と同じ方法で凌いでいる最中、スバルとティアナが叫ぶ。
「クロスファイヤー……!」
「リボルバァァァァ……!」
「(今の攻撃で目隠しと同時に技の準備を進めていたのか…!見事だ!)」
さっき二度も気を放出してしまったせいで練って溜めていた気が減ってしまっている。だが今から練り直す時間は無い。
「(これでは本来の威力は出せんがこのまま迎撃するしか無い!)」
「「シューーーーーーーート!!」」
俺を囲うようにオレンジ色の弾が、そして空色の閃光の後ろを竜巻らしきものが追い掛けつつ向かってくる。
『真空…波動拳!!』
俺は合わせた両掌から青白い光を放った。
☆真空波動拳
本来はリュウの師である「剛拳」から伝授される筈だったが、リュウが独自の修行の末に偶然自ら編み出してしまった波動拳の上位に当たる秘技。
波動拳がレーザー状になり、リュウの「波動も究めれば真空と化す」の言葉通り波動拳が空気を切り裂いて真空を帯びながら飛んで行き、真空の刃で細かく切り刻みながら押し寄せる波動拳の衝撃で対象を粉砕する。
直撃しなくとも掠めるだけで真空の刃によってある程度のダメージを与えられる。
また放出量を増やす事で速度や破壊力を上乗せする事も出来る為、使い手の実力が反映されやすい技となっている。
http://image01.wiki.livedoor.jp/m/x/mmox/68fbca30fd3c6e1a.png
「…何とか間に合ったか…」
両掌から放った光は巨大なレーザー状となり、二人の攻撃が届くギリギリのところで相殺に成功した。辺りには煙が立ち込めている。
「イエーイ!ナイスだよティア!」
スバルの声だ。
「(二人の緊張が解けている…。確認もせずに勝ちを確信するとは…。先程の布石と連携は見事だったがやはりまだ子供か)」
若干落胆しながらも気を取り直す。
「少し灸を据えてやるか」
煙が止まない内に気を探ってスバルに狙いを定める。
「悪く思うなよ…波動拳!」
「スバル防御!」
ところがティアナに一瞬早く気付かれてスバルを庇われる。
「む、煙の隙間から俺の姿が見えたのか」
「波動拳!波動拳!波動拳!波動拳!」
スバルとティアナは二手に別れたため、機動力の高いスバルを後回しにしてティアナを狙う。
ところがティアナは俺の攻撃ではなく思わぬ形で痛手を被る事になった。
「うあッ!」
声を上げて倒れるティアナ。
どうやら足を挫いたようだ。しかもそれはスバルの震脚で割れた地面だ。
「自らの油断が招いた災難か。だが手は緩めん」
俺は倒れたティアナに容赦無く波動拳を撃ち込む。
しかしティアナは倒れたまま転がって波動拳を躱し、瓦礫の影に隠れた。
そして瓦礫の影から射撃を試みたが、射角が限定される射撃だった為俺は難なく躱す。
続いてスバルが隙を見てそこへ辿り着いた。
「(瓦礫ごと吹き飛ばすのは造作も無いが…それだと大怪我をさせてしまうかもしれん。また様子見だな)」
話の内容が分かる距離ではないが、どうやらかなり揉めているようだ。互いが自分の非を責めているんだろう。無理もない。
しばらく様子を見ていると突如スバルが禍々しい『気』を放ち始めた。
今日はここまでにします。
ウル4はいい加減最後の一人を発表せんかー!
せめて新キャラか復帰キャラかくらい言えんのかー!
「待っててティア…今そいつを…殺 すから!!」
「きゃッ!」
その直後、スバルは気を解放してティアナを吹き飛ばした。同時に俺に向かって飛び込んでくる。
「(こ…これは『殺意の波動』…!なんて事だ!)」
俺は以前殺意の波動に目覚めかけた事が数度あったが、感情の爆発によってそうなった事は一度も無い。 だがスバルは違った。
「(根の深い感情かも知れんが感情だけでこうなってしまうとは…。非常に危険だ。今まで何も起こらずに無事でいられたのが不思議な程に…)」
こうなってしまった以上は迷う時間も無く、闘わざるを得なかった。
「ハアッ!!」
「ッ!?」
スバルは飛び込みざまに厳つい武器の装備された右拳を振り下ろしてきた。
嫌な予感がして飛び退くと、拳が振り下ろされたその地面が衝撃で抉れて巨大なクレーターが現れた。
「(この威力…!油断したらやられる…!)」
スバルは止まらずに突進し、そのまま格闘戦に突入。先程とは攻撃速度が桁違いだ。
「(もう手加減は出来ん…行くぞ!)」
俺は手足を使って攻撃を捌き始めた。
「ふッ!」
隙を突いて鳩尾に右拳を打ち込むが、溢れ出す殺意の波動が壁を作っておりスバルの体には届かなかった。
「(くっ、やはり気を込めた一撃でなければ届かんか!)」
殺意の波動は身体能力を異常に強化する力を持っている。その影響か武器の装備された右拳は一撃で致命傷になりかねない威力に達していた。
「(あの右は喰らったらまずいな。最低でもそれだけは…。それにしても…)」
俺の姿は幻術魔法でオートスフィアに見えている筈なのに、本当の姿が見えているかのように的確に人体を捉えている。
「(これも殺意の波動の力か…!)」
右拳を警戒しながら捌いていると当然他の部分への警戒は甘くなる。スバルは俺が右拳を躱したその隙を突いて俺の右脇腹に左膝を入れる。
「ぐッ!(人間が最も反応しにくい対角線からの攻撃…!)」
ダメージを受けて前にもたげる俺の顔に右拳を減り込ませる。
「がッ!」
俺は吹き飛ばされて地面を何度も跳ねて転がっていき、同時に幻術魔法が解けてサイレンサーと通信機も壊れた。
そしてやっと止まったところでそのまま追撃を喰らう事を覚悟していたが、スバルは動きを止めていた。
スバルの動きが止まっているうちにダメージチェックを行う。
「(脳が揺れて…体に力が入らん…。肋骨は…何本か折れている…。顔は…腫れているが…何とか骨折はしていないようだ…)」
右拳が命中する瞬間に頭部を後ろへ引いた事で頭部へのダメージを軽減する事に成功し、K.O.されずに済んだようだ。しかし…
「(何故…攻めて来ない…)」
スバルはその場に立ち止まって俺を見つめている。
「…思った通りリュウさんだ。4年振りだね。どう?あたし強くなったでしょ?」
何を思ったのかスバルは突然語り出した。
「(『4年振り』?…って事はスバルとこの人は知り合い?…スバルが前に言ってた『気になる人』ってまさか…!)」
「(立てるまで…時間を稼ぐしかない…)。やはり…気付いていたか…。確かに君は強くなった…だが…その力は…」
「うん、凄い力だね。使えば使うほど…壊せば壊すほど力が湧いてくるよ!」
「その力を使って…どう思った…?」
「ハハハハハ!楽しい…楽しいね!感情のままに…壊す為、殺す為に力を振るうのがこんなに楽しいなんて!」
なんて乾いた笑い声だ。しかも人を傷付ける事を「楽しい」と言った。
「そ…そんな事は…許されん!本当の君も…そんな事は望んでいない筈だ!」
「本当のあたし?…これがそうだよ!」
「闘いの本質とは…!己を鍛え!相手の生命とぶつかり合い!互いを高め合う事!一方的な破壊は何も生み出さない!その力に身を委ねるな!力に…自分に負けるな!」
「あんたに…あたしの何が分かるんだ…。あたしは負けない!この力があれば…誰にも!何にも!」
今日はここまでにします。
今は休みだから次はもっといっぱい投下します!
問答の時間は終わった。スバルは俺に向かって拳を構える。
「(まずい…まだ立てん…!)」
スバルが今正にこちらへ向かおうとした瞬間、ティアナがスバルを羽交い締めにした。
「スバルやめなさい!あんた自分が何を言っ…」
「うるさい」
スバルはティアナの腕を振りほどくと左裏拳でティアナの顔面を殴り、振り返りざまに腹へ右拳を打ち込んだ。ティアナは後ずさりし、よろめいて尻餅を突く。ティアナは鼻と口から血が流れ、腹への一撃で悶絶している。
「ウ…ソ…でしょ…?あ…あんたが…こんな事す…」
「……邪魔だよ」
ティアナの言葉を遮ってスバルはティアナを蹴り飛ばし、ティアナは転がって力無く倒れた。
ダメージ自体は大した事が無く意識はある筈だが、全く立ち上がろうとしない。
「その子は…貴様の友ではなかったのか…!」
「うるさい!!」
こんな事が許される訳がない。そう思った瞬間、自分の中で怒りが膨れ上がるのを感じた。
「ぐっ…(まずい…怒りを抑えねば俺も…!)」
スバルに触発されて俺も心が乱れてきた。怒りが憎しみに変わり、憎しみが『殺意』に…。
「あんなの…本当のスバルじゃない…。でもあたしじゃ…スバルを止められない…。お願い…スバルを…スバルを止めてぇ!!」
倒れていたティアナが涙を流しながら叫んだ。
「(そうだ…。友の涙を…破壊と死を招くだけの力なんてあってはならない!認めてはいけない!本当のこの子も望む筈が無い!)」
俺は何とか自分を取り戻して立ち上がった。
何とか立ち上がったものの、今の俺には一人で殺意の波動を止める力は無い。 ならば…
「君!俺がこの子を元に戻す!だから君も手伝ってくれ!」
「は、はい!」
ティアナは即座に立ち上がり、スバルに向けて銃を構える。
こうして俺は即席でティアナと共闘する事となった。
「二人で来ても無駄だよ!ハアッ!!」
スバルは最初より大きな気を解放した。先程より更に強くなったという事だ。
「ならばこれでどうだ!はああああ……!」
波動拳と同じ構えで気を練り、合わせた掌に青白い光が灯ると…
『連波動拳!!』
掌から波動拳が連続発射された。
☆連波動拳
波動拳のバリエーションの一つ。文字通り波動拳を高速で連射できる。
発射するまでに長い溜めを要する上に射程距離が通常の波動拳より短くなるが、連射速度は通常のそれの比ではなく、一発毎の威力・弾速も通常と変わらない。
全ての波動拳を一点に集中して撃ち込む事で相手の防御を貫いたり、連射速度を調整してばら撒き多方向からの攻撃を迎撃するなどの使い方も出来る。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/35/image.jpg
「!!」
5連射の波動拳は全弾がスバルに直撃し、爆風が巻き起こる。
「倒せないまでもこれなら効く筈だ!」
「ちょっ…本当に大丈夫なんですか!?」
ティアナがスバルを心配して思わず声を上げる。
だがその心配は直ぐに杞憂だと判明した。
煙が消えるとスバルは額から血を流しながら立っていたからだ。
「いいね…。ずっと一方的じゃつまらないからね!」
「(予想はしていたが…いや、予想を超える防御力…。そしてあの破壊力…。完全ではないというのに何という力…まるで『天の男』のようだ。時間稼ぎすらままならんとは…!)」
「(…スバルの体から噴き出ている『何か』。フィールドタイプの防御魔法…その中でも『バリアジャケット』に似てる…けど防御力が異常に高過ぎる。身体の内側から外側に向けて魔力みたいなのを噴出させて攻撃を押し返しているように見えるわ…。
あんな凄まじい攻撃を受けてあの程度の傷じゃ、あたしの魔力弾なんて撫でる程度のものね…でも!)」
ティアナは再び銃を構え…
「その程度で諦めたりしない!」
意を決するとスバルの注意を引く為に俺から離れるように走りながら射撃を開始した。
その射撃はスバルは立ち止まっていたので難なく命中するが、当然ダメージは無い。
だが命中した瞬間、スバルの表情が鬼気迫る怒りの表情に変わった。
「……ティアァァァァ!!」
「…ッ!!」
最早正気を保っているとは思えない。まるで仇を見るかのような憎しみと怒りに満ちた目だ。
スバルに睨み付けられたティアナは射撃も足も止まってしまった。
「(そんな目で…あたしを見ないで…!)」
ティアナは銃を構えながら目を潤ませてスバルから目を逸らす。
しかし苦悶の表情になりながらもティアナは立ち直り…
「…そんな顔…!あんたらしくないわよ!」
再び意を決して攻撃を再開する。
ティアナは本気になった為か、その連射速度はさながら機関銃の如く凄まじいものになっていた。
「ユルサナイ…!!」
しかしスバルは拳を胸の高さに構えて片足を上げながら滑るように移動し、弾丸の雨を隙間を縫うように回避しながらティアナに急接近。スバルの身体はそのあまりの速さに残像が生じていた。
「(ウソでしょ!?これだけの弾丸をこの距離で全弾避けるなんて人間に出来る動きじゃない!)」
「(あれは…以前に俺が暴走した時に使った技…!)」
ティアナとの距離を殆ど一瞬で詰めたスバルはそのまま攻撃に移る。
「(さ…避けられない!)」
あまりに速いスバルの動きにティアナは体が追い付かず、文字通り「一撃必殺」の右拳が打ち込まれようという瞬間…
「させん!」
俺はスバルがティアナに襲い掛かる瞬間を見計らい、飛び蹴りでスバルを蹴り飛ばした。
「グアッ!」
ティアナに気を取られて防御も回避もしなかったスバルは蹴りが肩口に命中して弾かれるように吹き飛び、瓦礫の山に激突すると山が崩れて埋まってしまった。
「(吹き飛ばしはしたが手応えが妙だった。恐らくまたダメージは無いな)。…無事か?」
「はい。でもあなたの攻撃も効かないとなると…」
「…考えがある。君にかなりの負担をかける事になってしまうが…」
「あいつが元に戻るなら覚悟の上です。聞かせて下さい」
ティアナは銃に巨大な薬莢を詰めながら話をする。
「すまんな。…あの子に同質の力をぶつけてその力を相殺する。10秒ほど時間を稼いでくれ」
「分かりました。10秒ですね?では私からもお願いがあります。もう一度さっきの技を撃って下さい。その後は絶対に時間を稼いでみせます」
「分かった。頼むぞ」
「ガアァァァァ!!」
話が終わるのとほぼ同時に叫び声と共に山を吹き飛ばしてスバルは立ち上がる。
その目付きが鋭くなり、叫び声も人間のそれとは思えない…正に獣の咆哮となっていた。
「(何なのよ…これ…まるで獣じゃない…。一刻も早く戻さなきゃ…!)」
「(自我を失いかけている!?…急がねば!)…はああああああ…!」
「こっちへ来なさい!」
俺の攻撃の為に再度ティアナが走りながらスバルを撃って注意を引きつける。
ティアナが引きつけてくれる間に溜めが完了し…
「(今だ!)連波動拳!!」
次は先程より多い7連射の波動拳を発射した。
「オアァ!!」
それにも関わらず今度は右腕一本で防がれてしまった。
「(効かんか…だが!)」
しかし爆風は巻き起こり、辺りが煙で包まれる。直後にティアナが俺の元に戻ってきたかと思うと、俺の肩に触れて魔法を使い始めた。
『オプティックハイド…』
ティアナが呟くと彼女の姿が消えていった。
☆オプティックハイド
術者及び術者の触れた対象を透明にして見えなくさせる幻術魔法。
光学的に見えなくなるのは勿論の事、高度なレーダーやセンサーでないと捕捉されない程ステルス性が高い。
しかし現在のティアナでは持続時間が短く、更にこの魔法は使用中に大きく動いたり魔力を大量に消費すると持続時間が大きく縮んでしまうという欠点がある。
今日はここまでにします。
言い忘れてましたが…あけましておめでとうございます!
今年もお付き合いしていただけるようにもっと頑張りますのでよろしくお願いします!
彼女が触れていたせいか俺の姿も消えていく。
「(彼女だけでなく俺の姿も消える…。見えなくなる魔法という訳か。では俺も…!)」
俺は静かに気を練り始める。
『フェイクシルエット…!』
続いて離れた位置に二人のティアナが出現した。
「(今度は残像…いや、幻か。初見では本物と見分けがつかん。幻術魔法も然る事ながらそして二つの魔法を同時に使用するとは大した腕だ。…ぐっ!集中しなければ意識が『持って行かれる』…。殺意の波動を限界まで圧縮しろ…!)」
右脇で合わせた掌の空間にに紫色の光が輝き始める。
「(くっ…魔法の同時使用がこんなにキツいなんて…でも弱音は後!絶対に保たせてみせる!)」
煙が晴れてスバルが姿を表し、走り回るティアナの幻に反応して追跡を開始。単調な動きの幻に食い付く様を見るところ、思考能力も獣並になっているようだ。
「(今のあの子の気が大き過ぎて相殺する分の殺意の波動を溜めるのに時間が掛かる…。10秒では足りん…!)」
スバルは一人の幻に追い付くと猛烈な勢いで殴り掛かる。
幻は拳を受けるとあっさり消えてしまい、もう一人の幻も間も無く殴り掛かられて消された。
だが別の場所から新たな幻が現れる。
「(消されるのが予想より早い…。またフェイクシルエットを使ったせいでもうオプティックハイドが保たない!もう10秒は経ってるのにこの人はまだ動けないの!?)」
スバルが二回目の幻を追う最中に透明化が解けた。
「カアッ!!」
スバルの発声と共に二人分の幻が消え失せる。
「(な……)」
その光景にリュウは動揺を隠せなかった。
幻は拳ではなく両掌から放たれた気功波で両方が同時に掻き消されたからだ。
俺のいた世界では気を操る者の殆どは修行によってその術を得る。稀に修行も無しに操る天性の素質を持っている者も存在するが、それは身体能力の強化に限る。
その理由は…手を強く握れば拳の硬さが増すように、腹筋に力を入れれば筋肉が張るように、「自分の身体の一部に力を込める行為の延長」として肉体が反応するからだ。身体中の気を一部に集める行為は基本的に気の喪失が殆ど無いので無茶な使い方をしない限りは疲労感も無く、無意識にそれをやる者は気付く者も殆どいない。
しかし「気の放出」は修行無しには会得出来ない。何故ならば本来人間には「気を放出する」という概念が存在しないからだ。
その行為は言ってしまえば生命力を投げ捨てるに等しい行為で、無闇に使えば命を削ってしまう。そんな行為を人間の生存本能が許す筈も無く、無意識にそれを拒否してしまう。
だが先人達は本能を乗り越えた。
気を体内で練り上げ、増幅し、在り方を変える事で放出する術を得たのだ。
その為放出される気は体内に元々存在するものとは別物になっており、それは摂理に逆らう行為でもある為、「概念を知らなければ絶対に不可能な行為」となっている。
「(気功の概念すら持たない人間がこの短時間にここまで成長するなど…況してや気功波を放つなど決して有り得ん…。殺意の波動はこんな事まで可能にしてしまうのか…!)」
スバルは幻を一掃すると踵を返してこちらへ向かって来る。
「(…だが幻のおかげで距離は稼げた。そしてこの技ももう完成する。俺の方が早い!)」
先程の気功波では射程が短く、あの高速移動でも間に合う距離ではない。
ところがスバルは接近しながら右手を後ろに引き、溜めを作っていた。
「(何ッ!?しまった!)」
「アァァァァッ!!」
気付いた時には既に遅く、スバルは右掌を突き出し巨大な気を放出した。
先程の気功波は両手から同時に放出していた為に威力も射程距離も半減していたようだ。
気の放出も収束も未熟なスバルであったが、今の一撃は片手で先程の両手分の気を放った為に圧倒的な放出量で補われており、俺達に届くには十分なものとなっていた。
『貫け!滅………!!波動拳ぇぇぇぇん!!!!』
俺は一か八か渾身の一撃を撃ち出した。
☆滅・波動拳
殺意の波動を自分の気で圧縮して放つ荒技。当たると圧縮された殺意の波動が炸裂する。長らく殺意の波動に苦しんでいたリュウが苦心の末に編み出した技である。
威力は圧縮された殺意の波動の大きさに比例するが、自分の気の放出量を増やす事により加速させたり無理矢理押し込む事も出来る。
この技を編み出した事でリュウは殺意の波動を僅かながらコントロールする術を身に付ける事が出来た。
しかしこれは一歩間違えば殺意の波動が暴走し、意識を支配されかねない危険な行為でもある。
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http://gamaboyaki.up.d.seesaa.net/gamaboyaki/image/A5EAA5E5A5A620A3C312002.jpg?d
http://gamaboyaki.up.d.seesaa.net/gamaboyaki/image/A5EAA5E5A5A620A3C312003.jpg?d
紫色の気弾がスバルの放った気功波を貫いた…が、スバルは即座に体勢を立て直し、両腕で受け止めた。
「オオオオオオオオ!!」
スバルの気が更に膨れ上がり、滅・波動拳を押し返そうとする。
「波ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺も負けずに気の放出量を増やして押し込む。
しかし殺意の波動の力は止まる事を知らず、更に強くなっていく。
「(押されてる…!この人でもダメなの!?)」
「(こ…このままでは押し返される!俺では勝てないのか…!)」
滅・波動拳がジリジリと押し戻されていくと俺は焦りを感じ始め、心が今まさに認め難い敗北を認めようとしていた。
その時、再び「あの光」が輝いた。
その光は4年前と同様に眩しく輝き辺りを包む。その直後、スバルの殺意の波動が弱まった。
「(明るくて暖かい…これは何…?)」
「これはあの時の…今だ!)波ぁ!!」
俺は力が弱まった一瞬の隙を突き、全力で押し込んだ。
「グアアアアアアアア!!」
紫色の気弾はスバルの防御を突破し、直撃した。
「きゃああああ!!」
直撃した瞬間、炸裂音と共に激しい爆風が巻き起こりティアナが吹き飛ばされた。
「痛っ…。スバル…スバルは!?」
身体を起こしたティアナがスバルへ目を向ける。
スバルは身体中から煙を上げて白目を剥き棒立ちしていたが、数秒後には力を失って膝が折れて倒れようとしていた。
俺も気を消耗し過ぎて脱力してしまい、片膝を突く。
「スバル!」
捻挫している筈のティアナだが痛む素振りすら見せずに全力で駆け出し、倒れる寸前のスバルを受け止めた。
「(足を挫いているのに無理をする…。やはりいい…コンビだな…)」
落ち着いたところで先程の攻防を振り返る。
「(…あと一瞬でもあの光が遅かったらまずかった…。こんな偶然に助けられるとは…俺はなんて未熟なんだ…)」
俺は安堵と同時に自分の未熟さを痛感した。
「スバル!スバル!聞こえる!?」
スバルの返事が無い。まさか…!
「…寝てる…。人の気も知らないでこいつ…良かった…!」
ティアナは自分の怪我も忘れてスバルを抱きしめていた。
「何とか…なった…か…」
俺はそのまま倒れて意識を失った。ダメージが大きい体で殺意の波動を使い過ぎたせいか…。
………
………
………
「(俺は…気絶していたのか。どれ位寝ていたんだ?…これは…)」
目を覚ましてから自分の体を見ると、応急措置が施されていた。どうやらティアナがやってくれたようだ。
そしてティアナ本人はまだスバルを抱きかかえている。
それから程無くしてスバルが目を覚ました。どうやら肉体的なダメージは殆ど無いようだ。
目を覚ましたスバルは自責の念で悲しんで挫折しかけたが、ティアナの叱咤激励で何とか立ち直った。
気を取り直した二人だったが、ティアナはスバルが目を覚ますまで待っていた為に試験の残り時間があと僅かとなっていた。
こればかりは俺の力ではどうしようもない。
元々今回の試験は諦めていたティアナだったが、スバルは二人でゴールする為に自分の考えた「裏技」を提案。ティアナはスバルを信じてそれに乗ったようだ。
スバルの作戦説明が終わったところで短い残り時間に無理を言ってスバルに殺意の波動の制御の仕方を口頭で説明し、ついでにスバルの拳法に関して助言もした。
そしていよいよ最終関門に向けて二人が動き出す。
「…行ったか。俺は自分があんなに世話好きではないと思っていたんだがな。柄にも無い事をしてしまった」
試験前までは他人の事を考える余裕も無かった筈なのに、気付けば今はスバルの事ばかり考えていた。
「(同じ力に苦しむ者としての同情か?…いや、こんな事を考えるのはスバルに失礼だったな。
だが…俺は心の何処かで苦しみを共有出来る仲間を求めていたのかも知れん。だとすればそれは…俺の心の弱さに他ならない。俺は…こんなにも弱い人間だったのか?
…ケンや師匠が今の俺を見たらどう思うだろう…)」
今までは漠然としていた不安が、目に見える形となって心を覆っていった。
今日はここまでにします。
正月休みがもう終わりだー!やれやれだぜ!
「(スバル…。一時的に精神が揺らいだだけであれだけの事が起こった…。俺は…本当に戦い続けていいのか?)」
スバルに起こった事が俺には起こらないとは言い切れない。自分の歩む道に疑念が生じる。
しかしいつまでも落ち込んではいられない。
「(…今それを考えるのはやめよう。スバルの試験も気になる。追い付いたら隠れて見守るか)」
気持ちを切り替え、スバルの気配を探って捕捉。そして構え…
『竜巻旋風脚!』
俺は目標地点へ向かって急上昇しながら目標地点へ飛んでいった。
☆竜巻旋風脚
リュウ達が修める拳法の奥義の一つ。宙に浮き、片足を軸にして回転しながら前方に進み、もう片方の足で連続回し蹴りを繰り出す技。回転と前進は気の力で行っている。
しゃがまれると比較的簡単に躱されてしまうが、高速の回し蹴りが連続で来るため一度当たると体勢を立て直したり捌くのが難しくなる(ただしリュウは一撃の重さに重点を置いている為、喰らった相手は大抵一撃で吹き飛ぶ)。
また空中でも使用可能。水平に進むのは勿論のこと、跳躍の上昇中に繰り出すと飛躍的に飛距離が伸びたり、下降中に繰り出すと落下速度が速くなる。
そしてこの技と波動拳・昇龍拳の三つはこの拳法における基本となっている三位一体の技である。
http://image01.wiki.livedoor.jp/m/x/mmox/fed05334d342c031.png
「リュウさん!」
移動中になのはが飛んで来た。 俺は話をする為にビルの屋上に降りる。
「サーチャーが壊れたから様子を見に来ようと思って向かってる最中に妙な魔りょ…気の増大を感じて嫌な予感がしたんだけど…大丈夫だったの?」
「(今のなのはに余計な心配をさせる訳にはいかんな。話を逸らすか)。この距離から感じ取れたのか…また腕を上げたな。最初は近距離で感じ取る事さえむず…」
「今、大事な話をしてるんだけど?」
「…すまん。だが特に問題は無かった。大丈夫だ」
「本当に?じゃああの気は何だったの?何で顔が少し腫れてるの?それに応急措置はしてあるけどあちこち怪我をしているみたいだし。あなたの実力であの二人にそこまで苦戦するとは思えないんだけど?(それに…顔が暗過ぎだよ)」
「(…やはり無理か。お前に嘘はつけんな)。スバルの殺意の波動が一時的に暴走した」
「!!……やっぱりそうだったんだね。スバルはもう大丈夫なの?あなたの体への影響はどうなの?」
「スバルの方は俺の殺意の波動で相殺した。しばらくは大丈夫な筈だ。俺は…この通りだ」
「『しばらくは』、か。根本的な解決はまだって事だね」
「……そうだ。すまない…全ては俺の未熟さ、弱さが原因だ…」
「「………」」
しばしの沈黙が訪れるが…
「…とりあえず上を脱いで。治療するから」
沈黙はなのはにより破られた。
「応急手当は済んでいるんだ。気にしないでくれ。それよ…」
「時間は取らせないから。ね?」
なのははいつも以上の笑顔で優しく語りかけてきた。だがそれは俺を心配して無理に振舞っている事を意味している。
「…では頼む」
なのはは治療を行いながら話を続ける。
「……何でも一人で抱え込まないで。私に出来る事があれば何でも協力するから。それに時空管理局で『気』の研究が進めばきっと殺意の波動の事も何とかなるよ!」
「…そうだな…」
「そうそう!だから元気だして!……はい、終わり!」
「…ああ、すまんな。お前に話して少し気が楽になった。もう大丈夫だ」
「……そっか」
「俺はスバルの様子を見てくるからお前はゴール地点に向かってくれ」
「うん。じゃあ…また後でね!」
話を終わらせて俺達はそれぞれの場所へ向かった。
「(……本当に分かりやすい人。だからこそ…見てるだけで何もできないなんて…力になりたいのに何もできないなんて…辛いよ…)」
今日はここまでにします。
なんかガッツリ投下のペースが落ちてる気がする…。
こうなったらストックが尽きるまで大量に行っちゃおうかしら…。
[試験会場 最終関門付近 廃ビル]
「間に合ったか。ここからなら大型のあれも外の様子もよく見えるな」
どうやらスバル達より先に到着してしまったようだ。これで最初から様子を見られるが、スバル達はこのままでは最終関門を突破しても時間に間に合わなくなってしまう。
「(早く来い…。友の想いを無駄にするな!)」
スバルの事を案じていると走ってくる人影が見えた。
「(ティアナ一人か。…これは…)」
走るティアナからは気配を感じないので直ぐにあの時の幻だと分かった。
「ティアナは幻で敵を引き付けているようだな。本人は瓦礫の影…。ではスバルは…。向こうのビルか。あれを発見したんだな。だがあんな距離で何を…」
今のスバルの実力ではあの靴を使っても跳べる距離とは思えなかった。
「何か策があるんだな。お手並み拝見といくか」
しばし様子を見ているとスバルの体が光り出し、高々と掲げた右拳を床に打ち付けるとそこから空色に輝く道が伸びていった。
「(道を作り出す魔法か、初めて見るな。…む、先端は物理的な衝撃が発生するのか)」
感心しているとスバルがその道を伝って内部に突入し、即座に交戦に入った。
バリアを破れずに苦戦しているように見えたが、突然魔力が膨れ上がってバリアを粉々に砕いた。
ああ…また放置してしまった…。
まだ誰か見てくれる事を信じて再開します…。
「どうやらあの薬莢を使ったようだな」
しかしバリアを破った事で油断したのか、スバルは至近距離でレーザーを喰らって吹き飛ばされた。
「ダメージは受けたが時間稼ぎにはなったな。煙が晴れるまでが勝負所だ」
予想通りスバルは気配が変わり、何かの準備を始めた。魔法陣を展開してあの薬莢を使っているようだ。
「(やはり決めに来たか。それにまたあの薬莢を…。補充する時間は無かった筈だが…数が多いんだな)」
スバルの武器に感心していた次の瞬間、目の前で信じられない事が起こった。
「(これはまさか…!)」
スバルは殺意の波動を見事に制御して自分の技に組み入れてしまったのだ。
「馬鹿な!!さっき殺意の波動の制御方法を知ったばかりだぞ!?」
スバルの才能に動揺を隠せずに思わず声を張り上げる。
次の瞬間、スバルは殺意の波動が込められた弾を撃ち出して敵を撃破。ビルを飛び出すとティアナを背負って走って行った。
スバルへの助言は飽くまで掻い摘んだものに過ぎず、一朝一夕で出来るものであれば俺はここまで苦しんだりはしない。殺意の波動を制御するには相応の修行が必要だ。だがスバルはそれを一日とかからず成し遂げてしまった。
「これが…天賦の才…というものか…」
俺はしばし呆然とした後に我に帰り、ゴール地点へ向かった。
[試験会場 ゴール地点]
追い付いてみると既に二人はゴール目前だった。 だが残り時間は既に十数秒。スバルは急加速してゴールを目指す。
「(ラストスパートか。あれなら間に合うだろうが…)」
ゴールの奥は行き止まり。あの速度で突入して止まれるのだろうか?
「「ああああああああーーーーッ!!」」
二人の叫 び声が聞こえてきた。
「(やはり止まれないか。ならば先回りして…いや、その必要は無くなったな)」
走るのをやめて空を見るとなのはが俺の後ろから飛んで来て俺を追い抜き、魔法を使う準備をしていた。
飛んで来た方向から察するにどうやら最終関門の様子を離れて見ていたようだ。
「(見ていたのはスバルか…俺か…)」
なのはは空中で静止すると衝撃を和らげる魔法で突進の勢いを相殺し、網を張る魔法でスバルを受け止めた。ティアナはリインの白い突起物を出現させる魔法で引っ掛けられたようだ。
「よっ、と。私の方が遅くなっちゃったね」
「………」
「…リュウさん?」
「(後先考えずに突っ走る、か。昔を思い出させてくれる)。……面白い子だ」
「(笑ってる…。よかった…)」
「(そして…)」
「?」
なのはに振り向いて再び考え込む。
「(相変わらず自然体で二つの魔法を同時に操る…見事な腕だ)。…俺もお前を見習わねばな」
「な!ななな何をいきなり!」
なのはが顔を真っ赤にして焦り出した。
「いや、お前の魔法はいつ見ても見事だと思ってな。俺もコツを教えて欲しい位だ。はっはっは!」
何の苦も無く同時に魔法を使うなのはの腕には毎度の事ながら感心する。
何とかして俺も応用できないものか…。
「は、恥ずかしいからそれ以上言わないで…」
なのはは顔を伏せてしまった。
「…言葉を選んで感想を言ったつもりだったんだが…。気を悪くしたならすまん」
やってしまったか…。対話の修行も必要かもしれんな…。
「あ、謝らなくていいってば!それより早く二人の所に行こうよ!」
「む、それもそうだな」
なのはと二人でスバルへ駆け寄って声を掛けると、スバルは慌てふためいた後に感極まったのか涙を流した。
「覚えてるっていうか…あたし…ずっと…なのはさんに憧れてて…」
「(なのはに憧れていたのか。だが戦い方が全く似てない…というより基本は殆ど格闘家と変わらんな。やはり空を飛べないと真似るのは難しいか。そもそも魔法の使い方を見るに中距離以遠の攻撃も得意ではないようだ。
だが逆に不得手な分を格闘術と魔法を組み合わせて近接戦闘に特化して補いつつ、燃費は悪いながらも中距離まで届く魔法も使えるようにしているんだな。なかなか合理的な戦闘技術だ。ヴィータ達の魔法と似ているな)」
会話が一通り終わってから思索に耽る。
「(スバル…不思議な子だ。あの子は俺が過去に置いてきてしまった気持ち…ただひたすらに『強くなりたい』『強敵(とも)と闘いたい』という純粋な気持ちを思い起こさせてくれる。まるでさくらが目の前にいるようだ)」
「(だが…強くなるという事は…力を高め『相手を倒す』という事…。そして…)」
「相手を倒す」という言葉をきっかけに修行時代のある出来事が頭を過る。
【回想】
[リュウの青年時代 地球 日本 関西地方 とある山奥]
「武道とはな…」
「「(また始まった…)」」
寝そべりながら俺達の組手を眺めつつ、俺達の師匠「剛拳」が唐突に語り出す。
「『闘う相手』という存在がおり、その相手を倒す為の術を磨く事じゃが…。さて、それが問題よ…。『相手を倒す』という事はどういう事じゃろうなぁ?」
師匠は唐突に突拍子もない事を言い出す。今回はまるで禅問答のような問い掛けだ。
勿論俺は真剣に答えるが、いつも何を答えても師匠はまともな回答や説明はせずはぐらかしてしまうから意味のある話なのか疑問なところだ…。
「それは…『相手より強くなった』という事でしょうか?」
当時の俺は学が無かったので頭は悪かったが、一生懸命考えて答えた。
「『勝利をこの手に掴む』って事では?」
俺の数少ない友であり同門でもある『ケン』が答える。
俺達の答えを聞くと、師匠は少しだけ沈黙した後に口を開く。
「ふっふっふ…。お主ら…まだまだ若いのう!はっはっはっは!
……まあ、ゆっくり考える事じゃ。武の道を歩み続ければいつか必ずこの答えを見出さねばならぬのじゃからな。ほれ、手が止まっとるぞ」
「「………。(またか…)」」
【回想終了】
「(…それは突き詰めると相手を『殺す』事に他ならない。その果ては『一撃必殺』…。俺は…殺す為に強くなろうとしているのか?)」
俺の中に眠る殺意の波動は俺の意思に関係無く常に破壊と死を求めている、言わば「本能」のようなものだ。
「(俺は…殺意の波動と同じものを求めてしまっているのか?…師匠…あの時の問いは俺がこうなる事を見越して俺に正しい答えを出させようと…)」
だが考えても考えても答えは出ない。
それどころか出て来るのは殺意の波動に飲み込まれるかもしれないという不安、そして…それによって自分が「破壊」と「死」を振り撒く存在になるかもしれないという恐怖。
殺意の波動とは俺の修める拳法の伝承によると「闘いの中に身を置く者ならば誰もが目覚め得る力」であり、「この世の全てを殺し得る力」らしい。だが実際にはそんな事は起こっていない。原因は不明だが、「殺意の波動に目覚めし者」は例外無く「時代の変革と共に消え去っていった」からだそうだ。
訳が分からなかった。それ程の力ならば何故歴史の表に出て来ない?「消え去る」とはどういう意味だ?何故…俺に宿っている…。
考えれば考える程に訳が分からなくなる。
「何故俺が…望んでもいないこんな力を…!」
気付けば俺は歯軋りしながら自分の拳を血が出る程強く握っており、やり場の無い怒りを抱いている事に気付いた。
「(くっ…。こんな事で心を乱してどうする…!)」
「(リュウさん…なんて怖い顔…。やっぱりまだ…)」
「(だがそれでもこの感情を抑え切れん…。俺の拳は…拭い切れない血に染まる運命なのか…!)」
「リュウさん…。落ち着いて、ね?」
突然なのはが俺の手を握ってきた。すると不思議と怒りで煮え滾っていた心が静まっていくのを感じた。
「大丈夫。あなたの拳は無闇に人を傷付けたりしない。もしそうなりそうになったら私が絶対に止めてあげるから…。だから…そんな顔しないで…」
…俺は情けない男だ。自分の苦しみで友を…仲間を悲しませてしまうとは…。だが今は…
「…お前には感謝せねばな。すまん。そしてありがとう、なのは」
「もう…大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。だからお前もその泣き顔はやめてくれ。お前は笑顔の方がよく似合う」
「……うん、私らしくなかったかな。じゃあ私からも…。ありがとう、リュウさん」
「うむ、やはりお前は笑顔の方が年相応に見えるな」
「ひ、人を老け顔みたいに言わないでよ!もう!」
「はっはっは。調子が戻ってきたな」
「…ふふっ、じゃあ行こっか!」
「ああ、そうだな」
…なのはに気付かされるとはな。
「自分らしくない」。これは俺にも言える事だ。
先程のような後ろ向きな事ばかり考えてしまうという事は、これは頭で考えるだけでは出ない答えなのかもしれない。
ならば俺にできる事はただ一つ…「闘う」という事。 思えば俺の悩みにはいつだってこの拳が答えてくれた。
あれこれ考えるのは俺らしくなかったな。 ならば俺はいつものように俺らしく闘うだけだ。
そう………
『闘いの中に、答えはある』
【リュウside…END】
第二話「試験 ー再会と覚醒ー」
ーENDー
なのは「きっかけと始まりは四年前の空港火災…」
フェイト「炎の中…幾つかの出会いが、幾つかの決意がそこから生まれて…」
リュウ「出会いが、そして決意が運命を交差させ標無き道を紡ぎ出す…」
次回 スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION
第三話 「機動六課 ー決意と始動ー」
TAKE OFF.
今日はここまでにします。
まだ導入部分が続きます…のでどうか哀れみの目で見守ってやって下さいm(_ _)m
第三話 「機動六課 ー決意と始動ー」
【アナザーside】
[新暦71年4月29日 ミッドチルダ 臨海第8空港近隣 沿岸部]
「203・405、東側に展開して下さい!魔導師陣は防壁張って燃 料タンクの防御を!」
陸士部隊で指揮官研修をしていたはやてとその部隊は実習の為に火災現場の近郊におり、近隣の応援部隊で最も現場に近かった為に応援の先駆けとして駆り出され、はやてが応援部隊の指揮を執っていた。
空港で起こったこの大規模な火災は「ある危険な密輸品」が原因で起こったと推測されており、近隣の陸士部隊・航空部隊が緊急招集される程の大事件となってしまった。
そんな状況でまだ研修中のはやてが指揮を任された理由は二つあった。
一つは単純に指揮官が足りなかった為。
もう一つははやてが研修課程を殆ど消化しており、更にその成績が極めて優秀だったので即実践しても問題無しと判断されていた為だ。
急場の前線を何とか纏め上げていると、空からリインフォース2が降りて来てはやてに状況の報告をする。
「はやてちゃん!こっちはダメです!まるっきり人手が足りないですよー!」
「そやけど首都からの航空支援が来るまで持ち堪えるしか無いんよ!頑張ろう!」
「…はい!」
「(せめてこっちに一人でも他の指揮官が来ればウチも支援に回れるのに…!)」
実は魔導師としても極めて優秀なはやてだったが、他の指揮官が不在の為に現場を離れる訳にはいかず、このまま指揮を続けるしかなかった。
☆指揮を執るはやて
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一方では空港へ向かって飛ぶ光が二つ。その正体はなのはとフェイトである。
二人は偶然にも休暇を利用してはやてに会いに来ていた為に緊急で駆り出され、出動直後にそのまま空港へ直行した。
フェイトは火災現場へ向かう最中、通信本部から参加します連絡が入る。
『航空魔導師本局02、応答願います』
「はい。本局02テスタロッサ・ハラオウンです」
『8番ゲート付近に要救助者の反応が出たのですが、損傷が激しくて陸士隊員では入れません。そちらの救助をお願い出来ますか?』
「8番ゲート…。バルディッシュ」
《ルート検索終了。2分以内には到着します》
フェイトのデバイス「バルディッシュ・アサルト」は瞬時に検索を終えてフェイトに伝えた。
「了解。直ぐに向かいます」
通信を終えるとフェイトは更に速度を上げ、黄色く輝く流星と化した。
☆現場へ向かうフェイト
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はやてが歯痒い思いをしながら指揮を執っていると、彼女の場所へある人物が到着した。
「すまんな、遅くなった」
「いえ。陸士部隊で演習中の本局特別捜査官、八神はやて一等陸尉です。臨時で応援部隊の指揮を任されています」
「陸上警備隊・108部隊のゲンヤ・ナカジマ三佐だ」
☆ゲンヤ・ナカジマ
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「ナカジマ三佐、この現場の部隊指揮をお任せしても宜しいでしょうか?」
「勿論そのつもりだが…ああ、お前さんも魔導師か」
「はい、広域型の魔法を使えます。それで消化の支援を行います」
「そうか…」
「ではナカジマ三佐、後の指揮はお願いします」
「………」
「…ナカジマ三佐?」
「ん?…ああ、すまねえな。ここは任せてくれ。お前さんは早く支援に行ってやんな」
ゲンヤは若干表情が曇ったが、直ぐに元に戻って指揮の移譲を受けた。
「はい!…リイン。ナカジマ三佐のサポート、しっかりな。ある程度落ち着いたら上空でウチと合流や」
「はいです!」
指揮の移譲が終わるとはやては火災現場のある方向に向かって走り出す。そして走る最中に体が光に包まれ、騎士甲冑を装着。
その直後に勢いよく地面を蹴り、黒い羽を撒き散らしながらはやては夜空へ飛び立って行った。
☆飛び立つはやて
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「…さて。おチビの空曹さん、しっかり頼むぞ」
「お任せくださいです!」
「(ギンガ、スバル…。本当なら真っ先にお前達を助けに行きてえところだが…俺はやらなくちゃいけねえ事がある。助けが向かうまでどうか無事でいてくれ…!)」
[ミッドチルダ 臨海第8空港内 8番ゲート 通路]
火災現場へ到着して内部へ突入したフェイトは危急存亡の事態につき、壁を攻撃魔法で貫きながら最短コースで要救助者の元へ向かう。本来ならば粉塵爆発やバックドラフトが発生する危険があったが、フェイトは自分のスピードに自信があった為にあえてその手段を取った。
程無くして反応のあった場所に到達すると紫色のバリアに包まれた要救助者を発見。保護しつつ話を聞くと「魔導師の女の子がバリアを張ってくれて、その子が『妹を探しに行く』と言い残して奥へ行った」という。
「(あの奥は立ち入り禁止区画…。救助者の反応も無かった。急がなければその子が更に奥へ行ってしまう!)」
フェイトは救助者を安全な場所へ退避させると、急いでその女の子を探しに奥へ進んだ。
[同空港内 立ち入り禁止区画]
「スバル…スバル!返事して!」
そこには爆発を恐れて這いながらも奥へ進む少女が一人。名前は「ギンガ・ナカジマ」という。先ほどの要救助者にバリアを張ったのは彼女である。
そのギンガは妹の名を呼ぶが、呼べども呼べども返事は無く、姿も無い。
「スバル…。お姉ちゃんが…直ぐに助けてあげるから…!」
彼女にとっては自分の命など二の次で、今はスバルを助ける事しか頭に無かった。
彼女がそこまでするのには理由があった。
一つは亡母との約束の為。
もう一つはスバルと共に「特殊な出自」だった事に起因する家族への憧れから来るものである。
今日はここまでにします。
一週間も空いてしまった…。もっとしっかりせねば!
乙
前までどこで投下終わったのかわからなくてレスしにくかったのが改善されとる
リアルタイムで書いてるみたいだけど書き溜めして一気に投下した方がいいと思うよ、投下中に見つけるとレス挟みにくいもの
>>334
あーなるほど。短時間でまとめて投下した方がいいって事ですね。次からそうしてみます。
アドバイスありがとうございました!
奥へと進んだフェイトは眼下で這いながら奥へ進む人影を発見する。
「(いた!)そこの子、じっとしてて!今助けに行くから!」
だがその声に気付いたギンガが振り向いた瞬間…
「きゃああああ!」
ギンガのいた足場が崩壊と共に彼女の悲鳴が響き渡った。
ギンガは崩れた足場と共に落下していくが、崩れるのとほぼ同時にバルディッシュ・アサルトが叫ぶ。
《Sonic Move!!》
するとフェイトはUの字の軌道を描いた一条の黄色い閃光と化した。
☆ソニックムーブ
自分の体を高速で移動させる事ができる移動魔法。
名前こそ「ソニック」となっているが術者の実力次第では音速を凌駕する速度を出す事も可能。
長距離を一瞬で移動出来るので屋外などの広い空間でこそ真価を発揮するが、小回りが利かないので本来は狭い空間で使うものではない。
またその速度故に熟練者でなければ術者本人でさえも移動中の時間を認識するのが難しく、予め軌道や行動内容を決めてから使用しないとまともに動く事すらままならない場合がある。更には魔法が切れるのと同時に一瞬でその場に急停止する為、その瞬間に体勢を崩しやすいので隙を晒す事にもなり兼ねない。
またこの魔法自体に術者を保護する効果は無いのでそのまま使用すると加速による衝撃をまともに受けてしまう為、バリアジャケットを装着して使用するか衝撃緩和の魔法を併用するのが一般的となっている。
フェイトはこの移動魔法を得意としており、彼女のバリアジャケットのバリエーションである「ソニックフォーム」を装着するとこの魔法の効果が更に高まり、並の者では目で追う事すら困難な状態となる。
なお今回は八方を囲まれた屋内という狭い空間での使用だったが、バルディッシュ・アサルトが軌道と移動距離を調整した為に問題無くギンガを救出出来た。
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http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/52/image.jpg
「(……あれ?私、落ちてない?)」
ギンガはフェイトに抱きかかえられて瞬時に飛び上がり、自分が気付いた時には落下した足場が眼下に見えていた。
「危なかった…」
「!?」
「ごめんね、遅くなって。もう大丈夫だよ」
「(い、いつの間に私を!?)」
彼女はあまりにも一瞬の出来事だった為に自分に何が起こったのか理解できていなかったが、フェイトに声を掛けられてようやく自分がフェイトによって救出された事に気付いた。
奥に他の要救助者がいない事を確認したフェイトは吹き抜けを上がり、巨大なダクトを伝って脱出しようとしたが、ギンガが慌ててフェイトを引き止める。
「待ってください!まだ中に妹が…!」
「…妹さん、何処に行ったとか、分かる?」
「エントランスホールの近くではぐれてしまって…。私と反対の方向にいたから多分こっちに向かってるかと…」
「エントランスホール…そっちにはもう救助に向かってる。こちら本局02テスタロッサ・ハラオウン。通信本部、応答願います」
『こちら通信本部』
「エントランスホール付近の救助の状況は?」
『エントランスホール中央にて女の子一名を救助。救出者は高町教導官と『火災現場の協力者』です。画像を送ります』
モニターには白い道着を着た大柄な男がスバルを救護隊に引き渡す姿となのはが救護隊員に事情を説明している姿が映し出された。
「(スバル…よかったぁ……)」
「了解。こちらも女の子一名を保護。これより脱出します」
スバルの無事を確認した二人は急いで脱出し、ギンガも無事救護隊に引き渡された。
「さてと、早く現場に戻ろう。…それにしても…」
フェイトは再び現場へ向かいながら先ほどの通信を思い出す。
「(あの白い道着の人、見覚えがある…。後でなのはに聞いてみよう)」
疑問を後回しにして気を取り直したフェイトは活動を再開した。
[臨海第8空港近隣 沿岸部 指揮通信車内]
その頃、沿岸部の前線部隊では人手が足りず、人員配置に四苦八苦していた。
「応援の状況は?」
「…首都航空部隊の主力が一時間以内には到着する予定だそうです」
「遅えな…!」
ゲンヤは遅々として進まない救助活動に業を煮やしていた。
☆指揮通信車内のゲンヤとリイン
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「…要救助者の残りは?」
「あと20名ほど…」
「20!?」
ゲンヤはその数字を聞いて驚きを隠せなかった。 何故ならば要救助者は100名以上おり、空港のあちこちに点在していた為に発見するだけでも苦労する状態だったからだ。
「…その数字は確かか?幾ら何でも早過ぎやしねえか?」
「魔導師さん達ががんばってますから。それに…すっごく頼りになる『火災現場の協力者』さんもいますから!」
「(火災現場の協力者?こりゃまた偶然にも随分腕の立つ魔導師が転がってたもんだ)。…最悪の事態は回避出来そうか?」
「はいです」
「…よし。おチビの空曹さんよ、もういいぞ。自分の上司の所に合流してやんな」
「いえ、もう少し情報を整理して指示系統を調整してからにします」
「…そうかい。まあ…助かるがな。(これなら二人とも大丈夫だろう。さて、気合を入れ直すか)」
ゲンヤは一瞬だけ父親の顔に戻るが、直ぐに切り替えて自分の使命を果たす事にした。
「…よし。おチビの空曹さんよ、もういいぞ。自分の上司の所に合流してやんな」
「いえ、もう少し情報を整理して指示系統を調整してからにします」
「…そうかい。まあ…助かるがな。(これなら二人とも大丈夫だろう。さて、気合を入れ直すか)」
ゲンヤは一瞬だけ父親の顔に戻るが、直ぐに切り替えて自分の使命を果たす事にした。
[はやて出動より数十分後 臨海第8空港 火災現場上空]
「仄白(ほのしろ)き雪の王…銀の翼以て…眼下の大地を白銀に染めよ!」
はやては空中で待機しながら消火の為の魔法を発動する準備を進めていた。足元には魔法陣、頭上には白く光る四つの立方体が浮いている。
☆はやて 魔法陣展開と詠唱
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そして航空武装隊員ははやての為に露払いを行っていた。
「八神一尉。指定ブロック、避難完了です」
「発動、お願いします!」
「了解!来よ、氷結の息吹…!」
『アーテム・デス・アイセス!!!』
立方体は光弾となって別々の地点に降り注ぎ、着弾点から円状に白銀の世界が広がっていった。
☆アーテム・デス・アイセス
はやての操る広域型氷結魔法。頭上に出現させた四つの立方体に気化氷結の魔力を圧縮し、それを放って着弾点から広範囲を気化熱で氷に閉ざす。
この魔法に限らずはやては元々魔法の微調整が苦手な為、「ユニゾン」を行った状態でないと範囲を絞り切れない・加減を間違えるなどの失敗をする事がある。
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氷は一区画を侵食し、次々と炎と爆発が姿を消していく。程無くしてその区画は時が止まったかのように静まり返った。
舞い上がった氷の粒が雪のように静かに舞い降り、安全圏まで退避していた筈の航空武装隊のバリアジャケットが余波で若干凍り付いてしまった。 そして周辺の温度が急激に下がり、隊員の吐く息が真っ白になる。
今日はここまでにします。
22~23時の間は混雑しすぎて投下出来なかったです…。
「すっげえ……」
「これが…オーバーSランク魔導師の力……」
これ程大規模で強大な魔法を操れるのは時空管理局の中でもはやてただ一人。しかも今回は効果範囲を絞っての使用である。
その希少で絶大な能力故に、はやては現時点では魔導師ランク「SS(ダブルエス)ランク」を保有している唯一の魔導師となっている。
ただしランクの頂点は「SSS(トリプルエス)」であり、はやてがそれを保有していないのは「広域型以外の魔法があまり得意ではなく(その広域型ですら制御しきれない場合がある)、直接的な戦闘能力が(オーバーSランクの割には)低い為」である。
初めて見た広域型攻撃魔法の威力に圧倒されて呆気に取られていた隊員だったが…
「巻き添えごめんなー!ウチ一人やとどーも調整が下手で!」
「あ…い、いえ!ありがとうございます!」
「次に氷結可能なブロックを探して来ます!」
上空からのはやての声で我に帰り、作業に戻った。
隊員が次の鎮火場所を探している間、一部を鎮火して一安心しているはやての元に通信が入った。
「遅くなってすまない!」
それは首都航空部隊の隊長からの通信だった。
☆首都航空部隊
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「現地の諸君と臨時協力のエース達に感謝する!後はこちらに任せてくれ!」
「了解しました!では引き続き協力を続けますので指示をお願いします!」
はやては現場の判断を首 都航空部隊に任せて支援に徹する事となった。
[臨海第8空港近隣 沿岸部 指揮通信車内]
慌ただしく情報整理と指示を行うリインとゲンヤの元へある通信が入って来た。
『首都航空部隊、到着しました。これより救助活動に入ります』
『一番隊、北側へ展開する』
『二番隊、東側を担当します』
『こちら三番隊……』
………
………
………
「…ふぅ、やっと来たか」
「はい!」
一時間以内とは言っていたが、実際に到着に要した時間は30分も掛かっていない。
二人は予想よりも早く来てくれた事に胸を撫で下ろした。
「…だがまだ油断は出来ねえ。もちっと情報整理を頼んでいいか?」
「了解です!」
………
………
………
[翌日 午前中 ミッドチルダ 首都クラナガン 宿泊ホテル]
『皆さんおはようございます。本日は番組の予定を一部変更してお送りします。
既にご存知の方も多いと思われますが、トップニュースは昨晩未明に起こった臨海第8空港火災です。早速現場を呼んでみましょう』
『はい、こちら現場です。火災は現在鎮火していますが、煙は未だに所々立ち昇っている状態です。なお現在は時空管理局の局員によって危険調査と事故原因の……』
空港は火災の殆どが鎮火され、残る救助者全員を助け出したなのは達は後発の部隊から帰投を言い渡され、その日は用意されたホテルに宿泊していた。
彼女達が現場を離れる頃には既に陽が昇ろうとしており、一睡もしていなかったせいもあって服を雑に脱ぎ散らかすと倒れるようにベッドに横たわり、数分もしないうちに眠りについた。
そして朝を迎えて陽射しが強くなってきた頃になのは・フェイト・はやての三人は唸りながら目を覚まし、リインフォース2はまだ熟睡していた。
☆ベッドに横たわる四人
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『……幸いにも迅速に出動した航空魔導師隊の活躍もあり、民間人の死者は無いとの事です』
「うーん…やっぱりなぁ…」
最初に目覚めたはやてがニュースを聴きながら呟く。
「…んーー?」
はやての呟きになのはが反応した。しかしフェイトはまだ枕に顔を埋めている。
「実際に働いたんは…災害担当と、初動の陸士部隊と、なのはちゃんとフェイトちゃんやんか」
「…まあ、休暇中だったし…」
なのはは目を擦りながら…
「…民間の人は無事だったんだし…」
フェイトは顔を埋めたまま喋り出す。
「……あのな?なのはちゃん、フェイトちゃん」
「「?」」
はやては突然声のトーンを変えて二人に話し掛け、二人は様子が急変したはやてに驚き同時にはやての顔を見た。
「ウチ……やっぱ自分の部隊を持ちたいんよ!」
「「………!」」
あまりの唐突さに二人は言葉を失った。
はやての話は続く。
「今回みたいな災害救助は勿論犯罪対策も、発見されたロストロギアの対策も、何につけミッドチルダ地上管理局の部隊の行動が遅過ぎる。
後手に回って少人ばっかりの動きじゃあかんし、ウチもフリーで呼ばれてはあちこち回ってたんじゃちっとも前に進めてる感じがせえへん。
少数精鋭のエキスパート部隊…。それで成果を挙げてったら上の方も少しは少しは変わるかも知れへん。
でな?ウチがもしそんな部隊を作る事になったら…フェイトちゃん、なのはちゃん、協力してくれへんかな?」
普段は冗談を言う事が多いはやてだったが、今回は目が真剣そのもの。
二人も部隊の行動の遅さに若干の疑問や不満を感じてはいたが、「その分は自分が頑張ればいい」という程度にしか考えていなかった。
しかしはやては一歩先へ進んだ事を考えており、それは時空管理局の中に革新をもたらすものになる事だった。
そんなはやての意見を聞いた二人の返事は……
「「……」」
無言だった。二人は無言のままはやてを見つめる。
「もっ!…勿論…二人の都合とか…進路とかあるんは…分かるんやけど…でも…その…」
イエスでもノーでも返事が返ってくると思っていた為、無言の二人にはやては驚き慌てて取り繕う。
「…はやてちゃん…。何を水臭い!」
「…私達、小学三年生からの付き合いじゃない」
ようやく二人が口を開いた。
「それに!」
「えっ?」
「そんな楽しそうな部隊に誘ってくれなかったら逆に怒るよ?ねっ、フェイトちゃん?」
「うん!」
「……」
二人の言葉を聞いた途端、はやての目に涙が溜まっていく。
「…おおきに…ありがとな…。なのはちゃん!フェイトちゃん!」
涙を拭いながら礼を言うはやての顔は笑顔に満ちていた。
☆微笑むはやて
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「(ホントのところこれは建前やけど…実際このままじゃ今の時空管理局はあかん。それに…二人の力は借りたいけどもう迷惑はかけたくない。
だから『あの預言』だけはウチが…!)」
「おいお前達!いつまで寝ているんだ!弛んでいるぞ!」
「「「!!!?」」」
はやての話が終わると狙ったかのようにドアが開いて男性が入って来た。
それは勿論リュウだ。
リュウは救助活動の後でなのはと共に時空管理局本局へ出向いていた。
リュウは協力的だったので取り調べや軟禁等は殆どされずに済み、リュウを迎えるにあたって暫定措置として万一の事態に備えられるようなのは達の監視下に置くべきと判断され、同じホテルの隣の部屋に宿泊していた。
「む、起きてはいたのか」
三人は予想外の来客に驚いて絶句しながら体が固まってしまった。
「三人とも早く着替えてくれ。ホテルは息苦しくてかなわんから長居したくない。
…それにしても随分脱ぎ散らかしたな。寝巻きも着ていないようだが…女としてそれはいかん。
日本には大和撫子という女性像があってだな。女性は慎み深く清楚で恥じらいを…」
「「「………」」」
「ん?どうした?黙ってないで…」
「「「出てけーーーー!!!」」」
「うーーーん…。何の騒ぎですかー?」
その日のうちにリュウは時空管理局に客員扱いで入局。日常生活の保障と同時に被験者としてデータ採取の為の模擬戦やプライベート以外での行動監視を義務付けられた。
そしてリュウの事をよく知るなのはが監視役に選ばれ、リュウは多くの時間を彼女と共に行動する事となったのである。
「監視というのは堅苦しい響きだが監視役がお前なら少しは気が楽だな」
「ふふっ、私は基本的に見てるだけだよ。あなたが変な事をしない限り行動を縛る気は無いから心配しないで!」
「それは助かる。修行の内容にまで横槍を入れられるのかと思っていたところだ」
「それは内容によるけどね。ともあれこれからよろしくね、リュウさん♪」
「ああ。よろしくな、なのは」
[臨海第8空港火災から数ヶ月後]
リュウはなのはから仕事を回されて公の場に度々姿を表すようになり、時空管理局及び一般人の間にも「格闘家」という言葉と存在が少しずつ浸透していった。
その影響もあって魔法の素質を持たない時空管理局局員から「その肉体を作る訓練メニューや『気』の操り方を教えて欲しい」との声が上がった事もあったが、「まだ修行中で未熟なので教えられる程の身分じゃない」との理由で断っていた。
[更に数ヶ月後]
時空管理局は格闘家の被験者を増やす事を決定し、リュウのいた世界から新たに数人の格闘家をスカウトする事となった。
スカウト役にはフェイトが選ばれ、フェイト自らが補佐役として選んだシャリオ・フィニーノ一等陸士も同行。その結果、新たに三名の格闘家を招く事に成功した。
そして臨海第8空港火災から4年後……
【アナザーside…END】
今日はここまでにします。
キリ良く終われてよかったー!
【スバルside】
[075年4月 昇格試験より数時間後 ミッドチルダ 時空管理局支局 面接室]
「……とまあ、そんな経緯があって八神二佐は新部隊設立の為に奔走…」
「4年程かかってやっとそのスタートを切れた、っちゅう訳や」
試験終了後、あたしとティアはフェイト執務官と八神二佐から「新部隊」の説明を受けていた。
「名前は…時空管理局本局遺失物管理部、『機動六課』!」
リインフォース2空曹長が元気良く名前を発表する。
「登録は陸士部隊、フォワード人は陸戦魔導師が主体で、特定遺失物の捜査と保守管理が主な任務や」
「遺失物…『ロストロギア』ですね」
「(ロストロギア?)」
ティアは即座に言葉が出て来たけど、あたしは何の事だか全く分からなかった。
「(ねえ、ティア)」
「(何よ!)」
「(『ロストロギア』って何だっけ?)」
「(うっさい!今は話し中よ!後にして!)」
「……で、スバル・ナカジマ二等陸士、ティアナ・ランスター二等陸士」
「「は、はい!」」
「ウチは機動六課のフォワードとして迎えたいって考えてる。厳しい仕事にはなるやろうけど…濃い経験は積めると思うし、昇進機会も多くなる。どないやろ?」
「「…あ、あの…えーと…」」
「(あたし達がまさかそんな部隊に引き抜かれるなんて…)」
そんな事は微塵も予想してなかったあたし達は返答に戸惑った。
そんなあたしにフェイト執務官は助け舟を出してくれた。
「スバルは高町教導官に魔法戦を直接教われるし、リュウさんから格闘術も学べる…」
「はい…」
続いてティア。
「執務官志望のティアナには私で良ければアドバイスとかできると思うんだ。どうかな?」
「い、いえ!とんでもない!……と言いますか…恐縮です…と言いますか…自分が…」
ティアはあまりのチャンスに動揺したのか困惑の表情であたしと顔を見合わせる。
また寝落ちしてしまった…。
今日の夜に再開します…。
そんなあたしにフェイト執務官は助け舟を出してくれた。
「スバルは高町教導官に魔法戦を直接教われるし、リュウさんから格闘術も学べる…」
「はい…」
続いてティア。
「執務官志望のティアナには私で良ければアドバイスとかできると思うんだ。どうかな?」
「い、いえ!とんでもない!……と言いますか…恐縮です…と言いますか……」
ティアはあまりのビッグチャンスに動揺したのか困惑の表情であたしと顔を見合わせる。
「あっ」
ティアの向いた視線の先にいたのはなのはさん。ティアは面接室に到着したなのはさんと目が合う。
「えーと…取り込み中かな?」
「平気やよー。一区切りついたとこやから」
なのはさんは二人に席を譲ってもらい、あたし達の前に座る。
「…とりあえず、試験の結果ね」
なのはさんがリインフォース2空曹長と協議した結果……
戦闘技術に問題は無かった…が、危険行為(スピードの出し過ぎで瓦礫の山に激突しそうになった)や報告不良(ティアナの怪我を報告せずに試験を再開した)は見過ごせるレベルではなく、「仲間の安全や試験のルールを守れない(スバルがティアナを背負ってゴールした)魔導師が人を守る事なんで出来ない」として『不合格』になっちゃった。
でも「二人の実力を考えるとCランクのままじゃかえって危ない」との判断により、4日後に再試験を受けさせてもらえる事になったんだ。
本来は半年待たなきゃならないんだけど、なのはさんのコネで特例として許された稀なケースみたい。
そして入隊の返答は八神二佐が「試験に集中したいだろうから試験が終わってからでいい」って言ってくれたから後回しにしちゃった。
数分後 同場所 中庭]
「あー…。なんか色々緊張したー」
「まあね」
あたし達は話が終わった後、中庭でくつろいでいた。二人揃って空を見上げながら話をする。
「試験の不合格は残念だったけど…まあ、しゃーないよね」
「ま、良かったわ。再試験に引っ掛かれて。(空曹長の言ってた『後ほど』って新部隊の事だったのね。ぬか喜びしたわ…)」
「だね!…でさ、新部隊の話…ティアはどうする?」
「…あんたは行きたいんでしょ?なのはさんはあんたの憧れなんだし、リュウって人の事も気になってたんでしょ?その二人がおんなじ部隊なんてすごいラッキーじゃない」
「まあ、そうなんだけどさ…」
「あたしはどうしようかなぁ…。遺失物管理の機動課っていったら…普通はエキスパートとか特殊能力持ちが勢揃いの生え抜き部隊でしょ?そんなトコに行ってさ、今のあたしが…ちゃんと働けるかどうか…」
ティアは入りたいと思っていながらも自信が持てずに踏ん切りが付かないみたいだった。
しょうがないなーティアは。あたしが元気付けてあげますか!
「………」
「…スバル?」
「んふー♪」
「な…なによ、ニヤニヤして気持ち悪い…」
「うへへへへ♪『そんな事無いよ!ティアもちゃんと出来るって!!』………って言って欲しいんだろーーー」
「………」
「なーーによそれは!言って欲しくないわ!」
「あー!痛い痛いギブギブギブー!」
「バカ言ってんじゃないわよ!」
☆怒るティアナ
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/66/image.jpg
「ふんッ!」
「あ痛てぇー…馬鹿力だなーティアは…。でも少しは元気出たでしょ?」
「あんた…」
「あたしは知ってるよ?ティアはいつも口では不貞腐れた事言うけど…本当は違うんだ、って」
冗談はここまで。ここからは真剣だ。
「フェイト執務官にも…内心ではライバル心メラメラでしょーーー」
「ラ、ライバル心とか!…そんな大それたもんじゃないけど…。知ってるでしょ?執務官はあたしの夢なんだから…。勉強したいって気持ちは有るわよ…」
「だったらさ…」
「!?」
ティアが言葉を詰まらせるとあたしは立ち上がり、ティアに顔を近付けて力説する。
「ふんッ!」
「あ痛てぇー…馬鹿力だなーティアは…。でも少しは元気出たでしょ?」
「あんた…」
「あたしは知ってるよ?ティアはいつも口では不貞腐れた事を言うけど…本当は違うんだ、って」
冗談はここまで。ここからは真剣だ。
「フェイト執務官にも…内心ではライバル心メラメラでしょーーー」
「ラ、ライバル心とか!…そんな大それたもんじゃないけど…。知ってるでしょ?執務官はあたしの夢なんだから…。勉強したいって気持ちは有るわよ…」
「だったらさ…」
ティアが言葉を詰まらせるとあたしは立ち上がり、ティアに顔を近付けて力説する。
同じのを連投しちゃった…。失礼しました。
「やろうよ、ティア!」
「スバル…」
「あたしはなのはさんとリュウさんにいろんな事を教わって、もっともっと強くなりたい。今までよりもっと沢山の人を助ける為に…もう二度とあんな事にならないように…心も体も!ティアは新部隊で経験積んで最短距離で夢を追い掛ける!」
「…ふふっ」
ティアは緊張が解けたのか笑みがこぼれた。
「それに!」
「?」
「当面まだまだ二人でやっと一人前扱いなんだしさー、まとめて引き取ってくれるの嬉しいじゃん!」
「………」
「そ・れ・を・言うな!」
「いひゃいいひゃいごめんなひゃい!ゆるひてくらひゃい!」
「メッチャクチャムカつくのよ!何が悲しくて何処行ってもあんたとコンビ扱いなのよ!」
ティアがあたしの背中に乗りながら思いっきり頬をつねってきた!顔の皮が伸びる!
☆再び怒るティアナ
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/65/image.jpg
「ふんッ!まあいいわ。上手く熟せればあたしの夢への短縮コース。あんたのお守は御免だけど…まあ、我慢するわ。(それに…あんたが二度とあんな事にならないようにする為にもね。リュウって人と一緒にいればあの力についてもっと詳しく分かる筈だし)」
「うふふ…はははははは!!」
「…ちょっと!何笑ってんのよー!」
………
………
………
そして4日後、あたし達はBランク魔導師昇格試験に再挑戦して見事に合格を勝ち取ったんだ。
【スバルside…END】
今日はここまでにします。
ウル4の新システム「ウルトラコンボダブル」がスゲー面白そうです!マイキャラのホークとガイにぴったりっぽいし!
【リュウside】
[新暦75年4月 昇格試験より数時間後 ミッドチルダ 時空管理局支局 面接室前の廊下]
「じゃあ私は二人に試験の結果を報告しに行くから30分後に面接室の前に来てね。それまでは自由にしてていいから」
「ああ、分かった」
試験の後、俺はなのはと共に支局に来ていた。なのはとリインは試験結果を協議してから仕事でいなくなったので、俺は急遽時間ができた。
「…とは言ったものの…突 然暇を言い渡されても何をすればいいか分からんな」
出来れば修行に時間を充てたいが、時間が短い上にそもそも場所が無いのでどうしようもない。
「そういえばここには中庭があったな。そこで座禅でもするか」
中庭へ行ってみるとそこには一本の大きな木があった。
「都会にこういう場所があると心が落ち着くな。では始めるか」
[十数分後]
「まだ時間には少し早いが戻るとするか。…む、あの二人は…」
中に戻ろうとするとスバルとティアナがこちらへやって来た。
二人に気付かれる前に植え込みの陰に隠れ、気配を消しながら二人の様子を見る事にしよう。
「あーなんか色々緊張したー」
「まあね」
「(特にわだかまりも無さそうだな。ティアナはスバルに『気にするな』と言っていたとはいえ、あんな事があって二人の関係がどうなるのかと気になっていたが…)」
少し余所見をしているとスバルが怪しげな笑みを浮かべながら何か冗談を言ったらしく、ティアナが怒ってスバルの尻をつねり出した。
「なーによそれは!言って欲しくないわ!」
「あー!痛い痛いギブギブギブー!」
二人は冗談を言いながらじゃれ合っていた。
「(どうやら心配なさそうだな)」
もう少し様子を見ていると落ち込み気味のティアナにスバルが真剣な顔で話し出した。
「やろうよ、ティア!」
「(あの目は…決意した目だな。入隊を決めたか)」
「あたしはなのはさんとリュウさんにいろんな事を教わって、もっともっと強くなりたい。もっと沢山の人を助ける為に…もう二度とあんな事にならないように…心も体も!ティアは新部隊で経験積んで最短距離で夢を追い掛ける!」
「(あんな事があったと言うのに前向きな子だ。…って待て待て!俺がスバルの担当だと!?なのはめ…)」
何故かは分からないが、特に理由も無しになのはの仕業だと直感した。
「(…まあ、これ以上長居は無用だな。行くか)」
同場所 面接室のある階 中庭の見える廊下]
「そういえば…新規のフォワード候補はあと二人だっけ?そっちはどうなったの?」
「二人とも別の世界。今はシグナムが迎えに行っとるよ」
廊下を歩いているとなのはとはやてが中庭を見ながら話をしている姿が見えた。
「お、いたか。なのは、話があるんだが…」
ちょうど話が終わったようなので声を掛けた。
「話って何?」
「スバルの事なんだが…」
「ああ、その様子だと話は聞いたんだ。よろしくね」
なのはは笑顔で話を切り上げようとした。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺が言いたいのはそういう事ではなくてだな…」
「(なのはちゃん…リュウさんに話してなかったんか…)」
「なのは、はやて、お待たせ!」
「お待たせですー!」
なのはとの話の最中、フェイトとリインが合流した。
「あ、フェイトちゃん、リイン。ちょっと待っててね」
「うん」
「はいです」
「で、何の話だっけ?」
「スバルの担当の事だ。別に拒否しようという訳じゃないが一言言ってくれれば…」
「拒否しないならいいじゃない。それに『壊さない』って約束した道具を壊しちゃったのは誰?」
「いや…あれは不可抗力で…」
「不可抗力でも何でも『壊さない』って言って壊しちゃったら責任は取らないとダメだよね?大人なんだし」
「それは…」
「その責任はどうやって取るの?誤魔化そうとしてた訳じゃないよね?」
「………」
「そういう訳だからお願いね♪」
「………」
「(反論できん…。理由付けが少し強引な気もするが…)」
「(一方的にスバルの担当を決めたのは強引だったけど…先に話したら何かしら理由を付けて断るのは目に見えてたからこれでいいんだ。それに試験の時のスバルを見る目…。スバルと一緒にいればリュウさんも何かが変わるかもしれない。望まない力を、同じ禍々しい力を持つ者として…互いに助け合っていい方向に向かってくれれば…)」
「「「「「………」」」」」
俺となのはの会話が終わると全員が一斉に沈黙した。
今日はここまでにします。
レスが無くてちょっと寂しいけど言った以上は何としても書き切ります!
「ほ、ほんなら次に会うんは六課の隊舎やね!」
「さ、三人の部屋、しっかり作ってあるですよー!!」
「た、楽しみにしてる!」
「うん!ありがとうリイン!」
「……ああ、すまんなリイン」
場の空気に耐え切れなくなったのかはやて・リイン・フェイトは慌てて沈黙を破った。
その後ははやてとリイン、なのはとフェイトは一旦それぞれの仕事に戻る事となり、俺はなのはに付いて行く事になった。
「さて、それじゃあ隊に帰ろうかなー」
「私、車で来てるから中央まで送ってくよ。勿論リュウさんもね」
「ほんと?ありがとう!」
「ああ…」
俺はフェイトの話を聞き流し、考え事をしていた。
「そうだ。なの…」
「なのは、最近顔色が優れん事が多いようだが体調は大丈夫か?」
「…突然どうしたの?私は…」
「仕事熱心なのはいい事だが…疲れているなら少しは休め。お前は仲間に迷惑を掛けまいと無理をする癖があるからな。その無理が時に余計な迷惑や心配を与えてしまう事もある。『あの時』の事を忘れたわけではないだろう?」
「「……」」
するとなのはとフェイトは静かになった。
「俺はお前の仕事を手伝う事は出来ん。だからこんな事しか言えないが…お前には世話になってばかりなのにすまんな」
「心配性だなーリュウさん!私の頑丈さ、知ってるでしょ?」
「それは知っているが…。しかしだな、時々気脈にも若干の淀みが…」
「平気平気!全然問題無し!」
「…本当に大丈夫か?」
「ホントに平気だから…心配しないで!それに…」
「それに?」
「…何でもない!心配してくれてありがとね、リュウさん!」
「ああ、お前が問題無いなら俺も気が楽になる」
なのはの表情が一気に明るくなった。これなら心配なさそうだな。
「(……私の言いたい事、全部言われちゃったな。リュウさんって意外となのはの事、ちゃんと見てるんだ)」
そしてフェイトは何故か俺の顔をジッと見ている。
「む?俺の顔に何か付いてるか?」
「ふふ、何でもないですよ」
「さて、じゃあ行こうか。二人とも着いて来て」
「ん?中央まで行くのか?俺は走って行くから気にしなくていいぞ」
「「!?」」
俺の発言に驚いたらしく、二人は仰天した顔になった。
「…とは言っても走れない場所は飛んで行くがな」
「…道、分かってます?てゆーか飛行許可が下りないと飛べませんよ?」
俺の発言に驚きながらもフェイトが質問する。
「ああ、そうだったな。じゃあ遠回りするか。道はおおよその方角は分かるから真っ直ぐ進めばいい。そして近くになればなのはの気配を探すから問題無い。建物の外観は覚えているから大丈夫だ」
「……」
「…どうして突然そんな訳の分からない事を言い出すの?」
続いてなのはが質問。
「やるべき事が少しだけ見えてきた。そして心配事も一つ減った。そう思ったら体を動かしたくなったんだ。…まあ要するに思い付きだ。深い理由は無い」
「わ、私が心配ばかりかけてる人みたいに言わないでよ!もう!行こうよフェイトちゃん!」
「(格闘家って…みんなこうなのかな…)」
「はっはっは!いい顔だ!やっぱりお前に疲れた顔は似合わんな!…後で追い付くから向こうで待っててくれ」
俺は一方的に会話を切り上げてそのまま走り出した。
「あの人…ここから中央までの行き方、知ってて行ったのかな…」
「(リュウさん…本当にありがとう…。それだけで私…元気が…)」
「じゃあ私達も早く行かないとね、なのは」
「………」
「…なのは?」
「うん?ああ、行こうか」
[移動中 ハイウェイ フェイトのマイカー内]
「♪♪♪♪♪」
「ご機嫌だね、なのは」
「そ、そんな事ないって!」
「(…ホントに分かりやすいなぁ。完全に乙女の顔だよ)」
☆フェイトのマイカー
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/74/image.jpg
【リュウside…END】
今日はここまでにします。
ウル4稼働まであと約二ヶ月!早く五人目の発表来い!
【アナザーside2】
[同日 とある別世界 市街地]
『ヴォルケンリッター』と呼ばれている四人組。
その者達は別件で不在の隊長を除く三人と、助っ人三人と共に『ある敵』と戦っていた。
☆ヴォルケンリッター (左から)ヴィータ、シャマル、ザフィーラ
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「(ヴィータちゃん、ザフィーラ、追い込んだわ。ガジェット1型がそっちに3体!)」
「(任せとけ!)」
「(承った)」
『御三方の場所にもガジェット1型が3体向かってます!』
「了解!強制捜査開始!」
「「Mission Start!」」
シャマルは結界内に敵を閉じ込めつつ逃げ回る敵を魔法で捕捉し、仲間へ指示して先回りさせている。
ヴィータとザフィーラには念話で、助っ人には通信機で指示を出す。
魔法を使える者同士なら誰にでも通じる念話だが、魔法を使えない助っ人三人に対しては通信機を使う必要があったからだ。
☆シャマル 遠見の水鏡
自身の周囲に複数の鏡を形成し、戦場の様々な情報を映し出す補助魔法。
主な使用目的は戦場でのリアルタイムな情報の収集だが、特定の対象を映し出して監視したり、広範囲をカバーする高性能なレーダーの役割も果たしている。
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/134/image.jpg
「来い…!ウォアァァァァーーーー!!」
ザフィーラの咆哮と同時に敵の足元から多数の白く尖った突起物が出現し、敵の一体を串刺しにした。
☆鋼の軛(くびき)
地面から白く尖った突起物を多数出現させて対象に直接突き刺して動きを封じる捕獲魔法。
空中では発生させられないが、地面のある場所なら視界に入っている必要は無く、その長さは最大で数十mにも達する。また何も無い地面から突然出現するので反応されにくいという利点も持っている。
捕獲魔法という括りではあるが、突き刺す事で実質的には攻撃魔法としても機能している。その突起物で薙ぎ払う事もでき、その気になれば防御にも使える汎用性の高い魔法である。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/69/image.jpg
残った二体が方向を変えて逃げようとしたところにヴィータが空中から突撃。
『でぇぇぇぇい!!」』
アームドデバイス「グラーフアイゼン」を大きく振りかぶって打ち込んだ事により、一体を壁に叩き付けて撃破した。
☆グラーフアイゼン
ヴィータが扱うハンマー型アームドデバイス。カートリッジの装弾数は3発で、3連装回転シリンダー式になっている。
武器としての機能を高いレベルで有しており、魔法を補助する能力も兼ね備えたバランスの良さが特徴。
インテリジェントシステム(インテリジェントデバイス以外に備えられた人格機能)を搭載しており、基本的に寡黙ではあるが性格は苛烈で、一度戦闘が起こればヴィータの意志を尊重しつつ彼女の為に最大限の助力を行う。
三種類の形態に変形でき、この時はその一つである「ハンマーフォルム」を使っている。
☆テートリヒ・シュラーク
ヴィータの最も使用頻度の高い魔力付与攻撃(物理攻撃に魔力を使う事で威力や性能を高めた攻撃)で、ベルカ式魔法の基本となっている魔法。主にハンマーフォルムの時に使われる。
ハンマーによる大質量の打撃に魔力が加えられる事でその威力は数倍に跳ね上がり、更にはその威力により並の魔法であればハンマーで打ち付けて跳ね返す事まで出来るようになる。
近接戦闘での一撃に重点を置く事の多いヴィータのバトルスタイルと非常に相性の良い魔法である。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/72/image.jpg
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/73/image.jpg
すまん、ミスった
>>410
ちょっとトラブルがあって中断してしまいました…
今から予定していた分を全部投下します!
>>410
ちょっとトラブルがあって中断してしまいました…
昨日予定していた分を今から全部投下します!
最後の一体は空中へ逃げたが、ヴィータは間髪入れず追撃に入る。
「アイゼン!」
《Schwalbefliegen!!》
グラーフアイゼンが叫ぶとヴィータの目の前に彼女の掌サイズの鉄球が出現。
それを手に取って上に放り投げ、ハンマーで打ち出すと鉄球は赤い光に包まれて敵を追尾し、着弾すると装甲を貫通して爆発。敵は木っ端微塵に爆散した。
最後の一体は空中へ逃げたが、ヴィータは間髪入れず追撃に入る。
「アイゼン!」
《Schwalbefliegen!!》
グラーフアイゼンが叫ぶとヴィータの目の前に彼女の掌サイズの鉄球が出現。
それを手に取って上に放り投げ、ハンマーで打ち出すと鉄球は赤い光に包まれて敵を追尾し、着弾すると装甲を貫通して爆発。敵は木っ端微塵に爆散した。
☆シュヴァルベ・フリーゲン
鉄球をグラーフアイゼンで打ち出す瞬間に魔力でコーティングして発射する古代ベルカ式の中距離誘導型射撃魔法。コーティングされた鉄球は加速・誘導・炸裂弾の効果が付与される。
鉄球のサイズを調整して威力をコントロールしたり、小さい鉄球を複数出現させてまとめて打ち出す事でマルチショットも可能。
また鉄球は魔力でコーティングされただけの物体の為、AMFの影響で魔力を失っても消滅せずに直前までの勢いで直進するので、物理攻撃とほぼ同じ使い方も出来る。
なお本来は射撃や誘導管制が弱いベルカ式魔法であるが、ヴィータは魔力弾ではなく鉄球という実弾を利用する事で、本来は魔力弾に割く筈の労力を減らしてその欠点を補った。
http://livedoor.4.blogimg.jp/teyght/imgs/7/a/7a896fd0.gif
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/75/image.jpg
SS速報VIP復活ッッッッ!!
とりあえず今日の夜には投下を始めようと思います。
今から投下します!
『残り3体!お願いします!』
「任せなさい!」
1人は掌から気の塊を放ち…
「温いな」
1人は両腕を振り抜いて発生した真空波を飛ばし…
「甘い」
1人は同じく片腕を振り抜いて発生した真空波でそれぞれ1体ずつ撃破。
全ての敵を撃破した5人はシャマルの場所へ集合し、話し合いを始めた。
『残り3体!お願いします!』
「任せなさい!」
1人は掌から気の塊を放ち…
「温いな」
1人は両腕を振り抜いて発生した衝撃波を飛ばし…
「単調だ」
1人は同じく片腕を振り抜いて発生した衝撃波でそれぞれ1体ずつ撃破。
全ての敵を撃破した5人はシャマルの場所へ集合し、話し合いを始めた。
「出現の頻度も数も増えてきているな」
「ああ、動きも段々賢くなってきてる」
最近になって動きが活発化してきた自動操縦の機械の敵。数も出現場所・頻度も決まっていない為、対応が常に後手に回ってしまう厄介な存在である。
しかもそれは学習能力を備えているらしく、戦う度に強くなっているらしい。ザフィーラとヴィータは交戦経験が多いので直ぐにそれに気付けたという訳だ。
「出現の頻度も数も増えてきているな」
「ああ、動きも段々賢くなってきてる」
最近になって動きが活発化してきた自動操縦の機械の敵。数も出現場所・頻度も決まっていない為、対応が常に後手に回ってしまう厄介な存在である。
しかもそれは学習能力を備えているらしく、戦う度に強くなっているらしい。ザフィーラとヴィータは交戦経験が多いので直ぐにそれに気付けたという訳だ。
それに魔力じゃない別の力を感じるわ」
感知能力に長けたシャマルは何かに気付いたようだ。
「似てるけど『気』とも違う力よ。微弱だけどこれは多分…」
「『あの力』…か?」
「やはり異世界にまで『奴』が…。許さん…!」
助っ人三人は心当たりがあるらしい。
「でもこれ位ならまだ私達だけでも抑えられるわ」
「ド新人に任せるには…ちょっとめんどい相手だけどな…」
「仕方あるまい。我等だけでは手が足らぬ」
「その為の…新部隊だもの…」
「はやての…いや…。あたし達の新部隊…『機動六課』…」
ヴォルケンリッターの3人は言い知れぬ不安を感じながらも新部隊に期待を寄せていた。
「敵の動きが活発化してるんだし自由に動かせる私設部隊みたいなものの設立は歓迎よ。それにしても思わぬ形で『奴』の尻尾を掴んだわね」
「ああ、この機械を使う敵の中には少なくとも『奴』が関わっているのが分かったというだけでも収穫だ」
「『敵』、か。『外部だけ』だといいんだがな…」
「ではご協力していただいた格闘家の皆さん、私達の『家』へ帰りましょう!」
「「「……了解」」」
任務を終えた6人はそれぞれの思いを胸に仕舞い、ミッドチルダへ帰還した。
そして数日後に彼等がはやて達と合流する時、時空管理局史上かつて無い巨大な戦力を保有した新部隊…『機動六課』がその産声を上げるのだった。
【アナザーside2…END】
第三話 「機動六課 ー決意と始動ー」…END
【次回予告】
リュウ「機動六課が始動する日、顔合わせする予定である俺の出身世界からやって来たという『協力者』。いざ会ってみるとその人物はかつて共に敵と闘った仲間だった」
スバル「やって来ました機動六課!」
ティアナ「部隊メンバーも勢揃い。負けないように頑張らなきゃ…!」
スバル「そして初日から早速始まったなのはさんの戦闘訓練!!」
次回 スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION
第四話「集結 ー思惑と暗躍ー」
TAKE OFF!!
今日はここまでにします。
VIPが落ちてる間にいっぱい書き溜めようと思ったけど思ったより書き溜められなかったです(笑)
次回は木曜日までに投下する予定です。
第四話「集結 ー思惑と暗躍ー」
【リュウside】
[新暦75年 4月某日 ミッドチルダ 中央区湾岸地区 時空管理局・遺失物対策部隊『機動六課』隊舎 部隊長オフィス前]
「なのは、俺もやらなければいかんのか?」
「これも仕事のうちなの。しっかりお願いね」
「なのはの言う事を聞かないと後が怖いですよ?」
フェイトが耳打ちしてきた。
「それもそうだな。恩に着る」
ここは素直に受け入れた方がいいな。
「リュウさん、何か言った?」
「何でもない。しっかりやるさ」
同場所 部隊長オフィス]
「はい、どうぞー!」
ブザーを鳴らすと入室許可の声が聞こえてきた。
「「失礼します」」
「失礼するぞ」
入室するとそこにははやてとリインが待っていた。
「お、二人はお着替え終了やな!」
「お二人ともすっごくお似合いですー!」
「ありがとう、リイン」
「三人でおんなじ制服姿なんて中学校の時以来やね!なんや懐かしいなぁ」
☆制服姿の四人
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「それにひきかえリュウさんは…」
「俺の服装は自由でいいと言ったのはお前だろう」
「だからっていつもの道着のままっちゅうのはなぁ。こういう時くらい…」
「まあまあ。この人はこういう人だから、ね?」
「そうそう。諦めた方がいいよ、はやてちゃん」
「そやな。諦めよ」
「本人を目の前にして随分な言い草だな」
「二人共、そろそろ…」
「うん」
「…ああ」
なのはに促されて話を切り上げ、本来の目的その一に移る。
「本日只今より高町なのは一等空尉…」
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官…」
「(俺もやるんだよな…)。高町一等空尉の補佐兼遊撃戦闘員リュウ…」
なのはに合わせて三人で敬礼をした。
「以上三名、機動六課へ出向となります!」
「どうぞよろしくお願いします」
「…よろしくお願いします」
俺達三人の挨拶にはやても挨拶で返す。
「はい、よろしくお願いします!」
これが目的その一。出向の手続きと挨拶だ。極めて形式的で堅苦しいので俺は嫌だったが、儀式としてどうしてもやらないといけなかったらしい。
「「「「………」」」」
気付くと4人が俺をジッと見ていた。しかも全員が何故か今にも笑い出しそうな顔をしている。
「な…何だ急に…」
「「「「あははははは!!」」」」
「リュウさんの敬礼って似合わんわー!想像してたよりずっと似合わんわー!」
「はやて…わ、笑っちゃ失礼…ぷっ」
「そ、そうだよはやてちゃん…でも…」
「やっぱりおかしいですー!」
「……。(もう敬礼はやらんぞ…!)」
「時間にはまだ早かった筈だが…」
「先客が早過ぎるだけだ」
「何だか遅刻した気分ね」
俺が4人に笑われていると3人組の男女が入ってきた。
「お、来たな!3人共こっち来て自己紹介よろしく!」
「お前達は…!」
これが本来の目的その二。
俺のいた世界からスカウトしてきたメンバーと顔合わせする事になっていたんだ。
「なのは。この人達の事、知ってる?」
「うん。…っていっても知ってるのは女の人だけだし…『あの時』にちょっと、ね」
「…そう。分かった」
「高町なのはさん…よね?随分大きくなったわねー。まあ十年も経てば当たり前だけど。
…『あの時』以来ね。流石に『あの時』の怪我はすっかり治ってるか。後遺症も無さそうで良かったわ」
「はい、お久しぶりです。春麗(チュンリー)さんも『あれ』の影響も無さそうで何よりです」
「はいはーい!お喋りはそこまでや!では春麗さんからどうぞ!」
「紹介の通り私の名前は春麗。元の世界でICPO(国際刑事警察機構)…まあこっちの世界で言う時空管理局みたいなものね。そこで刑事をしているわ。よろしくね」
「(やっぱりすごい服…。制服にしては派手だし…私服なのかな)」
なのはの視線が春麗の顔ではなく服装に向いている。まあ、俺達の世界でもこの格好は珍しいから無理もないか。
☆春麗
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「ウィリアム・F・ガイルだ。元の世界で軍人をやっている。階級は少佐。本来はこんな事をしている暇は無…」
「ガイル、感情を抑えろ。これから世話になる部隊の隊長達に失礼だ」
「…失礼した。スカウトされて機動六課に配属される事になった」
「(なんかえらくお固い感じの軍人さんやなぁ。コミュニケーション取りにくそうや)」
相変わらず空気を読もうとしない奴だ。第一印象は良くないな。はやての目がそう言っている。
☆ガイル
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「ガイルが粗相をしてすまなかったな。私はチャーリー・ナッシュ。ナッシュと呼んでくれて構わない。ガイルと同じ軍に所属する軍人だ。階級は中尉。同じく一時的にこちらの部隊へ出向く事になった。短い間だがよろしく頼む」
「俺はリュウだ。ガイルから話は聞いているが会うのは初めてだな」
「君の事は噂で聞き及んでいるが…噂通りの印象だな」
「どういう意味だ?」
「見た者を闘いへ駆り立てる独特の雰囲気を醸し出している」
「そ、そうか。(これは褒められているのか?…そう言えば以前にも誰かに似たような事を言われた覚えが…)」
「(この人、すごく落ち着いた雰囲気だ。ガイル少佐よりは話しやすそう。友達みたいだしガイル少佐と話す時はこの人を通した方がいいかも)」
ガイルから聞いてはいたが、冷静で知的な雰囲気を漂わせている男だな。フェイトもそれを感じて安心しているようだ。
しかしガイル曰く「普段は冷静沈着だが、時として激情家の一面を見せる事がある」そうだがとてもそうは見えんな。
☆ナッシュ
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/136/image.jpg
「ところで…。もしや『訳』というのは…」
俺はもしやと思い質問した。
「…そういう事だ。察しが良くて助かる」
「まあ、あなたにも無関係じゃないものね。気付いて当たり前といえば当たり前ね」
「君は中々頭が回るようだな」
「まさかこっちの世界にシャ…」
「リュウさんストップ!」
「む?」
俺が喋っている最中にはやてが割って入る。
「はやてちゃん?」
「はやて、どうしたの?」
「な、何でもないよ!リュウさん、こっち来てや!」
「おいおい、どうしたんだ?」
はやては慌てて部屋の隅へ俺を引っ張った。何だというのだろう。
「どうやら事情はある程度知っとるようやね。でも二人にはその事は伏せといてほしいんよ」
「そうか。そのつもりは無かったんだが軽率だったな。すまん」
「別に謝らんでええよ。まさかリュウさんが知ってると思わなかっただけやから」
「まあ、なのは達もお前の事を察して深く追求はしないだろうから心配無いと思うがな」
「……意外やなぁ。リュウさんって人間観察にあんまり興味ないと思っとったけど意外と見てるもんなんやね」
「『意外』は余計だ。しかも二度も…もういいだろう、戻るぞ」
「ふふっ、そうやね」
話が終わって戻ってくると、こちらをじっと見ていたなのはとフェイトが口を開いた。
「はやてちゃん…私達に隠し事なんてズルいなぁ」
「どうしても私達に言えない事なの?」
「そ、それは…」
何やら気まずい雰囲気だ…隠し通すのは無理だったか?
「…なーんて冗談だよ!」
「言えない事情があるんでしょ?だったらはやてが言えるようになった時に言ってくれればいいよ」
「なのはちゃん、フェイトちゃん…ありがと」
…どうやら思い過ごしのようだ。
今日はここまでにします。
なんか混雑が多くて投下の間隔が大きくなってしまいました…。
次回は土曜か日曜に投下予定です。
「でも!」
「!?」
「絶対に一人で抱え込まないでね。もし一人で無理したりしたら…私達、怒るよ?」
「でも今回はリュウさんがいるし協力者が三人もいるから心配はいらないかも」
「もう、楽観的だなーフェイトちゃんは」
「普段から無理してるのを隠してるなのはには言われたくないな」
「な、何の事かなーフェイトちゃん」
「(良かったな、はやて)」
俺はアイコンタクトでなのははやてに語りかける。
「(おおきに、リュウさん)」
「俺達がついでのような言い方だな」
「す、すみません…そんなつもりでは…」
ガイルがフェイトに皮肉を言い出した。本当に空気の読めない奴だ。
「ハラオウン執務官、気にしないでくれ。ガイルの悪い癖なんだ。悪気は無い…筈だ」
「は、はい」
「一言多いぞ、ナッシュ」
ガイルとナッシュのやり取りがまるで漫才のように見事な流れだ。パターンになってるとしか思えん。
「ところで一つ個人的な質問をしたいんだが、いいかな?」
一段落付いたところでナッシュがはやてに質問してきた。
「答えられる範囲でなら。どうぞ」
「ハラオウン執務官、気にしないでくれ。ガイルの悪い癖なんだ。悪気は無い…筈だ」
「は、はい」
「…一言多いぞ、ナッシュ」
ガイルとナッシュのやり取りがまるで漫才のように見事な流れだ。パターンになってるとしか思えん。
「ところで一つ個人的な質問をしたいんだが、いいかな?」
一段落付いたところでナッシュがはやてに質問してきた。
「答えられる範囲でなら。どうぞ」
「少々失礼な聞き方になってしまうが許してほしい。見たところ君達はかなり若いようだが…時空管理局という組織に年齢制限は無いのか?それとも見た目通りの年齢ではないのか?」
「んー、ウチらは大体見た目通りやけど…時空管理局は基本的に実力主義で年齢は関係無いなぁ。即戦力なら経験が無くても実戦投入される事もあるし、素質ありと見なされれば幼くてもスカウトされる事もある。ちなみにウチは特別捜査官、なのはちゃんは9歳から嘱託魔導師をやっとって今は教導官、スカウトの時に聞いとると思うけどフェイトちゃんは執務官で、ウチらみんな19歳。あと機動六課に新しく入ってくるフォワード四人は全員16歳以下や」
「19歳…ま、負けた…」
そういえば春麗は20歳で特別捜査官に任命されていたんだったな。
「9歳…。16歳以下のフォワード…だと…」
ナッシュは絶句しているな。無理もない。俺も初めてなのはに会った時は似たような反応だったからな。
「16歳以下…。流石に信じられん…と言いたいところだがハラオウン執務官の実力を見た事がある以上は信じるしかあるまい」
ガイルは意外に冷静だ。しかしいつそれを見る機会があったんだろうか。
「もう一つ…質問だ…」
「!?」
野生動物は生きる為に素早く「それ」を察知して行動するという。人間も同じように「それ」を素早く感じられるかどうかは闘いに於いて重要な事だ。
危機を回避する為・生きる為に最も必要なのは力でも速さでも硬さでもなく「危機を察知する」能力。危機を事前に察知する事が出来れば対処の方法はいくらでも考えられるからだ。
基本的には気配で察知するのが一番手っ取り早い。その気配の中でも取り分け危機に直結しているといっても過言ではないのが「怒気」と「殺気」。怒気を放つ者は冷静な判断がしにくくなり、動きが単調になりやすい。
しかし身体能力や「気」などが爆発的に上昇し、更には怒りで痛覚が鈍って多少のダメージでは止まらなくなる事も多い。
殺気は文字通り相手を殺す事を念頭に置く者が放つ気配だ。この類はその為なら手段を選ばす、相手の息の根を止めるまで容赦が無い場合が多い。最も警戒すべき気配と言える。
この場でナッシュから感じた「それ」は前者だ。はやてもナッシュの怒気に当てられて萎縮してしまった。危機を感じたのかなのは達も思わず身構えてしまったようだ。
「もう一つ…質問だ…」
「!?」
野生動物は生きる為に素早く「それ」を察知して行動するという。人間も同じように「それ」を素早く感じられるかどうかは闘いに於いて重要な事だ。
危機を回避する為・生きる為に最も必要なのは力でも速さでも硬さでもなく「危機を察知する」能力。危機を事前に察知する事が出来れば対処の方法はいくらでも考えられるからだ。
基本的には気配で察知するのが一番手っ取り早い。その気配の中でも取り分け危機に直結しているといっても過言ではないのが「怒気」と「殺気」。怒気を放つ者は冷静な判断がしにくくなり、動きが単調になりやすい。
しかし身体能力や「気」などが爆発的に上昇し、更には怒りで痛覚が鈍って多少のダメージでは止まらなくなる事も多い。
殺気は文字通り相手を殺す事を念頭に置く者が放つ気配だ。この類はその為なら手段を選ばす、相手の息の根を止めるまで容赦が無い場合が多い。最も警戒すべき気配と言える。この場でナッシュから感じた「それ」は前者だ。
はやてもナッシュの怒気に当てられて萎縮してしまった。危機を感じたのかなのは達も思わず身構えてしまったようだ。
「もう一つ…質問だ…」
「!?」
野生動物は生きる為に素早く「それ」を察知して行動するという。人間も同じように「それ」を素早く感じられるかどうかは闘いに於いて重要な事だ。
危機を回避する為・生きる為に最も必要なのは力でも速さでも硬さでもなく「危機を察知する」能力。危機を事前に察知する事が出来れば対処の方法はいくらでも考えられるからだ。
基本的には気配で察知するのが一番手っ取り早い。その気配の中でも取り分け危機に直結しているといっても過言ではないのが「怒気」と「殺気」。怒気を放つ者は冷静な判断がしにくくなり、動きが単調になりやすい。
しかし身体能力や「気」などが爆発的に上昇し、更には怒りで痛覚が鈍って多少のダメージでは止まらなくなる事も多い。
殺気は文字通り相手を殺す事を念頭に置く者が放つ気配だ。この類はその為なら手段を選ばす、相手の息の根を止めるまで容赦が無い場合が多い。最も警戒すべき気配と言える。
この場でナッシュから感じた「それ」は前者だ。
はやてもナッシュの怒気に当てられて萎縮してしまった。危機を感じたのかなのは達も思わず身構えてしまったようだ。
「今の話…本当か…」
「は、はい。本当です」
「…では最後の質問だ。今の話を信じるとして…自分の意志で闘っているのか?」
「…はい。最初は小さい頃に望まない形で大きな力を手にしてしまいました。その力で否応無しに戦った事もあります。でも後悔はしていません。確かに辛い経験でしたが…その経験が今のウチを作っているし、その力で救える人がいるという事に誇りも感じてます。何よりもそれでなのはちゃんとフェイトちゃん、ヴォルケンリッターのみんなに会えたからこそ…今、こうして自分の意志でここにいられるんです」
「「………」 」
ナッシュとはやてが真剣な目で見つめ合って黙り込んでいる。 そしてしばし時が経つとナッシュから喋り出し…
「フッ…君の目や言葉から嘘偽りは感じられない。素直な意見をありがとう。
…大人気無い事をしてしまったな。本当にすまない」
「い、いえ!とんでもない!」
先程と同じように落ち着いた状態に戻ったようだ。
「…人の事は言えんな」
「何か言ったか?ガイル」
「フッ…さてな」
ナッシュの気が完全に緩んだ。もう大丈夫だな。
「君は芯が強く物怖じしない実直な子だな。その実直さをガイルにも見習わせたいくらいだ」
「ナッシュ…一言余計だ」
「あははは…。(…ビビったー。襲われるかと思ったわ。クールに見えるけどガイル少佐より熱くなりやすいとちゃうんかこの人…)」
「(…訂正。二人共話しづらそう)」
「(はやてちゃん…これから大変だね…)」
[数十分後 同場所 ホール]
大勢の人間が集まって整列している。これから発足式が始まろうとしているところだ。
そこにスバルとティアナもおり、その側には10歳前後と思われる二人の男女の子供もいる。
「(さっきはやてが言っていた若いメンバーの残り二人だな)」
俺達も整列して辺りを見回しているうちにはやてが壇上に登場。挨拶が始まった。
「機動六課課長…そしてこの本部隊舎の部隊長の八神はやてです」
隊員から拍手が起こった。
この時改めて思ったが、この年齢でこれだけの数の人間を纏められる者はそうはいない。
聞けばはやては以前から特別捜査官として働いており、指揮官としても優秀であり、時空管理局のトップランカーでもあり、今はこうして一部隊の隊長まで務めている。
19歳でここまで実績を上げているとなると、最早本人の才知であるのは疑い様が無い。
拍手が終わると演説が始まった。
「平和と法の守護者…時空管理局として事件に立ち向かい、人々を守っていく事が私達の使命であり成すべき事です」
「(その守備範囲がICPOとは桁違いなのよね。いまいちピンと来ないわ。それを…あんな子供がねぇ…)」
「実績と実力に溢れた指揮官陣…」
「(実績と実力、か。若者が多いのに大したものだが…それ自体が油断や慢心に繋がらないといいんだがな)」
「若く可能性に溢れたフォワード陣…」
「(オフィスで話を聞いて一度は納得したが…本当に八神部隊長達より幼い子供がいるとはな…。しかもその内二人はどう見ても10歳前後…。そしてフォワードという事はこんな子供達が最前線に出るという事…。本当に大丈夫なのか?)」
「それぞれ優れた専門技術の持ち主のメカニックやバックヤードスタッフ…」
「(長いことなのは達と一緒にいるが殆どが知らん顔だな)」
「そして特別な理由で協力していただく事になった格闘家の皆さん…」
「(私の本職は刑事なんだけどな)」
「(俺は軍人なんだが…)」
「「………」」
「?」
春麗とガイルが俺を見つめてきた。何だ?
「「(リュウのせいか…)」」
「一年間という短い期間ではありますが、全員が一丸となって事件に立ち向かっていけると信じています。…ま、長い挨拶は嫌われるんで…。以上、ここまで!機動六課課長及び部隊長、八神はやてでした!!」
再び大きい拍手が巻き起こる。
以上で発足式は終わりのようだ。思ったよりも終わるのが早かったな。
今日はここまでにします。
第四話はまるごと導入部分となっているので、まだこんな感じで進みます。
次回は木曜までに投下します。
[発足式終了後 同場所 屋上ヘリポート]
俺達四人は正式な入隊手続きと会議の為に屋上のヘリで本局へ向かう事になり、はやて・フェイト・リインと共に屋上へ向かっていた。
「あ、ヴァイス君!もう準備できたんか?」
「準備 万端!いつでも出れますぜ!」
威勢のいい返事の主の名は「ヴァイス・グランセニック」。ヘリの操縦資格の中でも数少ない最高ランクのA級ライセンスを持っている1人だそうだ。
かつては武装隊に所属していた魔導師だったが、故あって武装隊から退いてからは元々好きだったヘリパイロットの道を選んだらしい。
「彼は『ヴァイス・グランセニック』陸曹。機動六課の専属ヘリパイロットや」
「お、リュウの旦那!…とそっちの三人は…。どーも始めまして!あんた達が噂になってる格闘家の追加メンバーの皆さんですか!よろしくお願いします!」
「相変わらず威勢がいいな、ヴァイス」
「それが取り柄ッスからね!リュウの旦那も相変わらずアタマが固そうで!」
「余計なお世話だ」
「うわぁ…。このヘリ、結構新型なんじゃない?」
漫才のようなやり取りをしている俺とヴァイスを尻目にフェイトがヘリを見て驚いた。
「JF-704式!一昨年から武装隊で採用され始めたばかりで生産数も少ない新鋭機です!機動力も積載能力も一級品ッスよー!こんな機体に乗れるってなぁパイロットとしちゃ幸せでしてねぇ!二ヒヒッ♪」
「グランセニック陸曹。そのヘリについて質問したいんだが…いいだろうか?」
「ヴァイスでイイッスよ!コイツに興味を持ってもらえるなんて嬉しいッス!何なりと!」
ガイルがこのヘリに興味が湧いたらしい。長くならないといいが…。
[10分後]
「…成る程。俺達の世界の科学技術では飛行が不可能な作りになっているんだな。いや、魔法技術とでもいうべきか。興味深い」
「いやーーーなんか自分が褒められてるみたいで悪い気分じゃないッス!」
やっと話が終わったか。付いて行けなくて眠くなっていた所だ。
「ちなみに操縦は相棒の『ストームレイダー』がサポートしてくれたり、緊急時には代わりに操縦してくれたりします!」
「ほう、話に聞いた意志を持つデバイスか。ストームレイダーはヘリのデバイスなのか?乗り物型のデバイスがあるとは聞いていないが…」
「(…まだ続くのか…)」
「…本当はライフル銃型なんですけど…俺が個人的に申請してヘリに組み込んでもらったんスよ」
「…どうやら触れられたくない事に触れてしまったようだな、すまん」
「い、いえ!俺の方こそ急にトーンダウンしちまってすんません!では内装の説明と相棒の紹介もしたいんでコックピットへどうぞ!」
「ああ、参考になる」
「んむーーー!ガイル少佐!ヴァイス陸曹!」
「「ん?」」
リインの声にガイルとヴァイスが同時に反応した。
「仕事中のヴァイス陸曹にヘリの話はしないでください!仕事そっちのけになっちゃうんですからー!」
「…失礼した」
「それにヴァイス陸曹も!みんなの命を乗せる乗り物のパイロットなんですからー!ちゃーんとしてないとダメですよー!」
「へいへい。分かってまさぁね、リイン曹長。んじゃ皆さん、ヘリの中へどうぞ!」
今度こそ本当に終わりだ。疲れた…。だがガイルの意外な一面を見たな。ミリタリーマニアというやつか?現役の軍人にもそれが当て嵌まるかは分からんが。
[ヘリ内部]
「八神隊長!フェイトさん!行き先はどちらに!?」
「首都クラナガン…」
「中央管理局まで」
「了解!…行くぜ、ストームレイダー」
《OK.Take off.Standby.》
さあ、目的地へ出発だ。
☆ヴァイス・グランセニック、JF-704式ヘリ、怒るリイン 、出発
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[数十分後 首都クラナガン 時空管理局地上本部 中央議事センター]
手続きが終わってから直ぐに議事会場へ向かった。
当初は三人がはやて・フェイトと共に会議に行って俺だけここで機動六課の隊舎に戻る予定だったが、オフィスで顔合わせした後ではやてが「リュウさんにも参加してほしい」と頼んできたので俺も参加する事になったんだ。
そして程無くして会場へ着き、会議ははやての説明から始まった。
「捜索指定遺失物…『ロストロギア』については皆さんもよくご存知の通りですが、外部協力者の方の為に説明させていただきます。
ロストロギアとは様々な世界で生じたオーバーテクノロジーのうち、消滅した世界や古代文明を歴史に持つ世界において発見される危険度の高い古代遺産の事です。
大規模な災害や事件を巻き起こす可能性のあるロストロギアは特に正しい管理を行わなければなりませんが、残念ながら盗掘や密輸による流通ルートが存在しています」
「ロストロギア、か。資料によると俺達の世界で見つかった『ジュエルシード』とかいう宝石もそのロストロギアだったそうだな」
「私はそれで酷い目に会ったわ」
そう…。俺と春麗、他2人の合計4人はジュエルシードによって「事件」に巻き込まれたんだ。
「はい。ではここでロストロギアの危険性の再認識の為…それに繋がる話として格闘家の方々に協力していただく事になった経緯を簡潔に説明いたします」
次の説明はフェイトにバトンタッチだ。
「『プレシア・テスタロッサ事件』はご存知の方も多いと思われますが、事件は首謀者のプレシア・テスタロッサが実験事故で亡くした一人娘を生き返らせる為、存在しているかすら不明な伝説の世界『アルハザード』を目指した事に端を発します。
そのアルハザードを目指すのに必要だったのがジュエルシードが引き出す莫大なエネルギーです」
「ジュエルシードの生み出す莫大なエネルギーは動力としてだけでなく、生物に注ぎ込まれると細胞組織や精神が変質し暴走してしまうという危険な物です。
全部で21個あったジュエルシードのうち9個はプレシア・テスタロッサが使用した事で失われ、残り12個の内8個は事件解決後に時空管理局によって封印に成功しました。
最後の4個は姿を消してしまい行方が知れませんでしたが、ある時突如協力者の方々のいた未開の世界…後の『特別管理世界』にその1個が姿を現し、その場に偶然居合わせた格闘家数名がジュエルシードによって暴走してしまったのです。
「その現場には当時嘱託魔導師だった高町なのはとヴィータ職員が出向しました。
両名が到着すると現場は既に破壊の限りを尽くされており、一般人の生存者がいる可能性は絶望的と思われましたが、暴れていた数名の中に紛れてジュエルシードの影響を受けずに理性を保ったまま一般人を護りながら戦っていた人物がいました。それがこちらにいらっしゃるリュウ氏です」
「この男が噂の…」
「素手で砲撃魔法を跳ね返すという噂は本当なのか?」
「私は広域型魔法と互角と聞いたぞ?」
「エース・オブ・エースを打ち倒したという話も聞いたな」
「神秘の力…『気』だったな。実に興味深い」
「隣の三人も格闘家と聞いているがリュウ氏と互角なのか?」
「是非ともその力を拝見したいものだ」
フェイトが俺を紹介すると視線が一瞬で俺に集まり、一気に会場内がざわつき始めた。本当は目立ちたくないんだが場所が場所だけに逃げ場が無い…。
「お静かに願います」
騒がしくなりそうなところにはやてが止めに入り、そのままフェイトと交代した。
「資料にある通りこの方が我々が最初にコンタクトを取った格闘家で、暴走した格闘家と交戦していたリュウ氏のそのあまりの戦闘力の高さからリュウ氏もジュエルシードの力を受けていると勘違いした高町・ヴィータ両名が全員まとめて動きを止めるべく攻撃を仕掛けたのがコンタクトのきっかけです。
そして誤解を解いてからはリュウ氏と共にジュエルシードを破壊する事に成功しました。…しかし、その代償に高町嘱託魔導師が一時は再起不能とまで言われた程の重傷を負ってしまったのです」
「その後リュウ氏はその事件がきっかけでその日から半年間だけ時空管理局に在籍する事となり、時空管理局は格闘家という存在を認識すると共に、諸事情からその世界を『特別管理世界』に認定する事となります。
同時にその世界の事件当事者から提供していただいた情報から、この事件の首謀者と目される人物及びその人物の統括する犯罪組織も判明しました。ですが今は機密保持の為に伏せさせて頂きます。
公開可能な情報として言える事は、この組織は多数の格闘家を擁しており、更には残りのジュエルシード全てを保有していると推測される大変危険な組織であるという事です」
眈々と説明を続けるはやての顔を見ながらフェイトは心の中で呟く。
「(私となのはにも教えてくれなかった情報…。結局詳しい事は何も言わないで終わった、か。その組織の危険性は分かったけど…多分、まだ何か大事な事を隠してるって顔してる。なのはの言う通りちょっと楽観視し過ぎてたかも…)」
「リュウ氏を除く協力者の方々は長年その組織を追い掛けている方々で、一度はその組織をリュウ氏と共に壊滅させましたが、後に短期間で復活を果たしたそうです。
協力者の方々には身体能力や戦闘能力を測る被験体としてのデータ採取や『気』の研究の協力、そしてその組織の情報や特別管理世界の情報を提供していただく代わりに、こちらはジュエルシードを始めとするロストロギアの情報提供及び特別管理世界以外の世界に潜伏している可能性の高いその組織の共同捜査を条件に協力していただく事になった訳です」
今日はここまでにします。
この長ったらしい説明はもうちょっとだけ続くんじゃ!
次回は日曜日までには…。
「ではここからは我々機動六課が設立された理由をご説明致します。 その理由とは第一種捜索指定ロストロギア、通称『レリック』です」
説明役が再びフェイトに変わった。
「このレリック…。外観はただの宝石ですが、古代文明時代に何らかの目的で作成された超高エネルギー結晶体である事が判明しています。
レリックは過去に四度発見され、その内三度は周囲を巻き込む大規模な災害を巻き起こしています。そして…後者二件では極めて高度な魔力エネルギー研究施設が発見されています。
発見されたのはいずれも未開の世界。こういった施設の建造が許可されていない地区で、災害発生直後にまるで足跡を消すように破棄されています。
これは則ち悪意ある…少なくとも法や人々の平穏を守る気の無い何者かがレリックを収集し、運用しようとしている『広域次元犯罪』の可能性が高いのです」
「その活動領域は極めて広く、複数の組織が手を組まなければその規模で動くのは不可能と推測されます。
そして近日に入手した情報によると、その組織の一つが協力者の方々の追い掛けている組織である可能性が高くなったとの事です。
そして、その組織を含む何者かが使用していると思われる魔導機械がこちら。通称『ガジェットドローン』。レリックを始め特定のロストロギアの反応を捜索し、それを回収しようとする自立行動型の自動機械です」
☆ガジェットドローン(左上)、レリック(左下)
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「我々機動六課はこの何者かの企みを阻止する事を第一の目的とし、他の犯罪や災害にも迅速且つ確実に対処していく所存です」
はやてが会議を締め括ると形式的な軽い拍手が起こった。出席者の雰囲気や表情から察するにはやてや機動六課の事を快く思っていない者が少なからずいるようだ。 やはり若者が大きく出るのが気に入らないのだろうか。
「………」
その中でも一際険しい表情の人物が一人。名は「レジアス・ゲイズ」。中将にして時空管理局地上本部の実質的な総司令官だ。
☆レジアス・ゲイズ
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「犯罪者が…!」
はやてを見ながら呟くレジアス中将の声が聞こえた。聞き間違いでなければ「犯罪者」と言っていたが…はやてが犯罪者?そんな事は有り得ない。何かの間違いに決まっている。さっさと忘れよう。
[会議終了後 移動中 ヘリ内部]
思いの外疲れてしまった。やはり会議のような堅苦しい場は苦手だ。
「………」
機動六課での発足式の直後からナッシュの様子がおかしい。会議も上の空で難しい顔をしながら考え込んでいて一言も喋っていなかった。まだ何が気掛かりでもあるのか?
[数十分後 機動六課隊舎]
隊舎に到着するとヴァイスは用事で足早に帰って行った。
俺達も解散してそれぞれの部屋へ向かおうとしたその時…
「…やはり解せん」
突然ナッシュが呟く。
「何が解せないんだ?」
「年齢層だ。八神部隊長達は仕方ないとしよう。私達の世界でもティーンエイジャーで軍人になる者は確かにいる。だがあの10歳前後の子供達…。あんな幼子まで戦場…しかも最前線に駆り出すとは時空管理局という組織は何を考えている…!!」
ナッシュははやて達の時は一応の納得をしていたようだが、いざその子供を目の当たりにして考えが戻ってしまったようだ。
「ナッシュ中尉…」
「ですがあの子た…」
「はやて、フェイト。それは俺から言おう。聞いてくれナッシュ」
「…聞くだけは聞こう」
「俺はフォワード陣の年上の2人と闘った事がある。模擬戦のようなものだがな」
「……」
「…その時の彼女達の目は年相応のそれではなく真剣で直向きなものだった。思いが強過ぎて多少のトラブルが起こってしまった程だ。それだけでなく仲間の為に自分の身を投げ出す覚悟もあった。
彼女達は遊び半分や強制ではなく自らの意志で信念を貫く為にその道を選んだんだ。
そしてその子達を部隊へ引き抜こうと決めたのはなのはだが見つけてきたのははやてだ。はやての人材を見る目は正しかったという事だと思う。 他の二人もフェイトが選んできたんだが、きっとその子達も同じように自らの意志で闘いの道を選んだんだろう。
俺ははやてもフェイトも…そしてなのはの事も信頼している。だから三人の選択を信じたい。あの子達をもう少し長い目で見てやって欲しいんだ」
「「「(リュウさん…)」」」
「フッ…。『孤高の求道者』とも呼ばれていた事がある君にそこまで言わせるとは大したものだ。だがこればかりはこの目で確かめなければ信じる事は出来ん。そこまで言うなら腕試しをさせて貰いたいものだ。八神部隊長、如何だろうか?」
はやては目を閉じてしばし考え込み、目を開けるとナッシュに返答を述べる。
「…信頼していただく為にも必要なようですね。分かりました、模擬戦を行いましょう」
「急な申し入れを受け入れて頂いて感謝する」
何とか上手く纏まりそうだな。良かった。
「いえ、あの子達にもいい経験になるでしょうから。期日は一週間後で宜しいですか?」
「ああ、構わない。チームプレーを特訓する時間は必要だからな」
「ありがとうございます。では人数はどうしますか?あなた方の実力は理解しているつもりです。ですからこちらとしてはチーム単位で動く事が前提なのでフォワード2人対そちら1人かフォワード4人対そちら2人を考えているんですが…」
「私を甘く見ているのか?こちらは私一人でいい。君達のチームは全員で掛かって来るんだ」
「え?」
「ナ、ナッシュ!」
「ちょっとあなた…」
「……。(始まったか…)」
「ナッシュ中尉!あなたにも『ボディリミッター』は付いてるんですよ!?」
ボディリミッターとは身体能力を制限する特殊なリミッターの事だ。この世界では部隊毎に保有出来るランクの総計が決まっており、その総計を超えてはならない。
その為機動六課に配属されたはやてを含む達隊長・副隊長は魔力の出力を制限する『能力限定』という出力リミッターでランクを下げられているが、魔力の無い俺達は代わりに身体能力を制限されている。
俺達格闘家は明確な数値化や評価が難しい為、暫定的に全員が陸戦Sランク扱いとなっているので総計を超えない為に同じようにランクを落とす必要があったからだ。
そのリミッターにより身体能力は70%まで落ち、AAランク扱いとなる。肉体そのものが武器となっている俺達は身体が自由に動かせなくなるのが大き過ぎるハンデになっており、出力が制限されるだけで使える魔法やその操作性能等が制限される訳ではない魔導師のリミッターより遥かに厳しい措置だ。
しかも身体能力の低下をある程度気の力で補える俺や春麗と違って純粋に肉体のみで闘うガイルとナッシュは特にその影響が大きい。
「いくら何でもそんな状態で四人相手なんて…!!」
「聞こえなかったか?1対4だ。力が抑えられているなら手加減の必要が無くて余程やりやすい」
ナッシュの目は本気だ。だが何故…。
「…ナッシュ中尉。本気なんですね?」
「くどいな。リミッター以外にもっとハンディキャップを付けてやると言っている。お望みなら君も加わってもいいが?子供だらけなら結果は変わらんと思うがな」
ナッシュは眼鏡を指で直しながら冷ややかな目ではやてを見つめて言い放った。
「ッ!…では準備はこちらで進めておきます……!」
「…これで失礼する」
ナッシュは足早にその場を去った。しかし流石にはやても怒りを隠し切れないようで、人目を憚らず歯噛みしている。端から見ている俺でさえも目に余る挑発だ。無理もない。
「(だがナッシュの目…複雑な感情が見え隠れしている…。恐らくは単に子供達の事を心配しているだけではない。あそこまで言ったのも何か理由が…)」
「なんなんやあの人!あの子達をバカにして!」
「私も正直…言い過ぎだと思うな…」
「リインもあの人キライですー」
三人ともかなり苛立っている。話し掛けるのも難しい状態だ。しかしこの空気の中でガイルが二人に話し掛けた。
「三人共、ナッシュの事で聞いて欲しい話がある」
ナッシュの名前を出した途端、三人が静かになる。
「…何ですか?」
「…手短にお願いします」
「ナッシュは普段は冷静だが…見ての通り一度感情に火が付くと俺でも止められなくなる。
本来のナッシュは穏やかで優しいんだ。特に…子供には…。軍人でいられるのが不思議な程にな。ナッシュがいてくれたからこそ俺はただの殺人機械にならずにいられたんだ」
「だったらどうしてあんな事を!」
「子供でも自分の意志で決めて立派に戦えるという事ははやてが説明してあの人も納得したじゃないですか!」
「そういう問題ではないんだ。あいつは…いや、これ以上は俺の口からは言えん…」
「…ではこれ以上の問答は無意味ですね」
「…私達は失礼させて貰います」
「待つんだ!…一つだけ覚えておいてくれ。あいつは決して無意味に人を侮辱する男ではない。この腕試しにも必ず意味があるんだ」
「…覚えておきます」
「…ありがとうございました」
「…リインも帰るです」
三人はガイルの顔を見ずに部屋へ帰って行った。その三人をなのはは黙って見送っていた。
「(私は…ナッシュ中尉の気持ち、分かるような気がする。あの人はきっと…)」
「ガイル、ナッシュは心に傷を負っているんだな?」
「!?…見抜いていたのか」
「意外ね。彼は感情を理性で抑え込めるタイプだと思ってたわ」
「理由は…本人から聞くしか無いようだな」
「すまんな。こればかりは俺の口から言う訳にはいかないんだ。だが…」
「だが?」
「当日になればその理由が分かる。ナッシュは腕試しを通して子供達に何かを伝えようとしている筈だからな」
「全てはその時に、か」
「やれやれ。ガイルも頑固だと思ってたけどあなたよりナッシュの方が何倍も頭が固いわね」
「ああいう性格だからこそ『奴等』の息の掛かった上層部に昇進の道を閉ざされて左遷されたのさ。本来ならナッシュは下で燻るような器ではない。俺が少佐になったのはあいつが少しでも動きやすいように階級を上げて守ってやる為だったんだ。まあ、あいつは逆に左遷を利用して極秘に私設軍隊を作って動き出したんだがな」
「ナッシュにどんな思惑があるのか知らないけど…あんな言い方したら簡単に聞き入れて貰えないんじゃないかしら」
「俺達があれこれ言ってもどうにかなる訳じゃない。この話はここまでにしよう」
「ま、それもそうね。じゃあ私達も部屋に戻りましょう」
「……。(ナッシュ…。やはり『あれ』を引き摺ったままだったか…)」
「(言葉だけじゃ伝えられない…。私と同じだ…)」
俺はナッシュの言動に動揺を隠せなかった。ナッシュの心の傷とは何なのか、子供達に何を伝えようとしているのか…。そればかりが頭の中を巡っていた。
だが俺がいくら考えても分かる訳も無く、ガイルの言葉を信じてその日を待つしかなかった。
そして時は流れ、一週間後の当日を迎える。
【リュウside…END】
今日はここまでにします。
切り良く終わらせる為にいっぱい投下してしまいましたw
次回は水曜日までには…。
【エネミーside】
彼は何処にでもいる人間だった。
だが彼は他の人間と違っていた部分があった。
「世界制服」という野望。
子供なら一度は考えたであろう文字通りの子供染みた夢。大人がこんなものを本気で口に出せば誰もが一笑に付す馬鹿げたものだ。
だが彼は本気だった。幼い頃からその為のありとあらゆる準備を進めてきた。
ある日彼は気付く。
「足りない」
身体を極限まで鍛えても師事して技を磨いても巨万の富を築いても手足となる組織を作ってもまだ足りない。
「『力』…。全てを平伏させ支配する…圧倒的・絶対的な力!!」
世界制服を成す為には筋力でも財力でも権力でもない…「人智を超えた力」が必要だと気付いた彼はその力を探し求めた。
ある日彼は気付く。
「足りない」
身体を極限まで鍛えても師事して技を磨いても巨万の富を築いても手足となる組織を作ってもまだ足りない。
「『力』…。全てを平伏させ支配する…圧倒的・絶対的な力!!」
世界制服を成す為には筋力でも財力でも権力でもない…「人智を超えた力」が必要だと気付いた彼はその力を探し求めた。
力を求めてから数十年後、顔には深い皺が刻まれ筋肉は空気の抜けた風船のように萎んだ。老齢である。
座して死を待つのみとなった彼は絶望する。
「このままでは野望が潰える。何者にも成れずに終わってしまう」
それでも彼は諦め切れなかった。
彼は祈った。 神仏でも悪魔でもない『何か』に。
「何を引き換えにしてもいい…力を…力を!!」
魂の慟哭に何処からとも無く聞こえてくる謎の声が応えた。
『求める者よ。野望の為に人の身を…人としての生を捨てる覚悟はあるか?』
脳が都合良く創り出した幻聴か?見兼ねた誰かの芝居か?いや…そんな事はどうでもいい。どの道自分はこの世を去るのだから。
死を目前にした彼に迷いは無く、一も二も無く答えは決まっていた。
「このまま何も成せず…何者にも成れず…朽ち果てるのを待つのが人としての我が運命ならば!人の生など要らぬ!!」
『ならば受け取れ、比類無き野望の男よ。その野望がこの「力」と重なり合った時、そなたに無尽にして絶対なる「力」を宿らせるであろう』
魂の慟哭に何処からとも無く聞こえてくる謎の声が応えた。
『求める者よ。野望の為に人の身を…人としての生を捨てる覚悟はあるか?』
脳が都合良く創り出した幻聴か?見兼ねた誰かの芝居か?いや…そんな事はどうでもいい。どの道自分はもうこの世を去るのだから。
「(ならば…!)」
死を目前にした彼に迷いは無く、一も二も無く答えは決まっていた。
「このまま何も成せず…何者にも成れず…朽ち果てるのを待つのが人としての我が運命ならば!人の生など要らぬ!!」
『ならば受け取れ、比類無き野望の男よ。その野望がこの「力」と重なり合った時、そなたに無尽にして絶対なる「力」を宿らせるであろう』
その瞬間、人間としての彼の生は終わりを告げた。
『魔人』の誕生である。
「我が名は『ベガ』…。人より生まれし地獄の魔人!この『サイコパワー』にて我が覇道を突き進み、我が野望を成就せん!!」
今日はここまでにします。
ついに来たァァァァァァァァーーーーーーーーッ!!!!
ウル4の新キャラ5人目の発表ッ!!
存在自体は昔から設定されていたけどプレイアブルキャラになるのはウル4が初!!
その名も『ディカープリ』!!!!
ベガ親衛隊の一人で「元」ベガ親衛隊のキャミィを憎んでいるキャラ!!
髪の色と髪型がキャミィソックリ!!
キャミィが今作では使用していない「キラービーアサルト」っぽいウルコンを使います!!
イラストはこちら!
http://dl1.getuploader.com/g/street_fighter/140/image.jpg
んでもってトレーラーはこちら!
http://m.youtube.com/watch?v
[四月某日 とある世界 秘密基地]
「……夢か。久しいな」
ベガは玉座にて夢を見ていた。それはかつて自分が人間であった頃の記憶。忌まわしい過去だ。
「(人を捨ててから今まで見る事の無かった夢…。それも思い出すのも忌々しい人間だった頃の記 憶だが…『時』は近いという事か?)」
ベガがしばし物思いに耽っていると、部下がコールを入れてきた。
『御寛ぎのところを失礼致します、ベガ様。「ドクター」からの通信です』
「繋げろ」
モニターには紫色の長髪で白衣姿の若い男が映し出された。
『お久しぶりですねぇ総帥殿。この度は…」』
「挨拶はいい。要件を言え」
『おおっと、これは失礼。「例の計画」の進行状況の確認をと思いましてね。こちらの準備は整いました。そちらはいかがですか?」』
「白々しい奴め…。サンプルデータがあれば直ぐにでも完成するわ。そのデータを収集する役目を買って出たのは貴様であろう。その件はどうなっている?」
『これは失礼!うっかりしていました!」』
「ふざけおって…。早く答えろ!」
『勿論抜かりはありませんよ。総帥殿のお陰で準備は完璧です。『彼』は格闘家に大変興味を持っていらっしゃるので実に煽りやすかったですからね。その彼から近々「格闘大会」が開催されるとの連絡がありました』
「…ほう、他の世界でも行われる事があるとは初耳だ」
『私もこのような催しはあまり記憶にありませんが…格闘家はミッドチルダ中の注目の的ですから多数の格闘家を抱える「機動六課」は自然と注目されます。恐らくは彼の思惑と機動六課の思惑が偶然にも重なった、といった所でしょう。嬉しい誤算ですよ。これは面白いデータが取れそうですね』
「格闘家と魔導師の闘い…今度はじっくりと楽しめそうだな。よし、試合の様子をリアルタイムで送れ」
『総帥殿の御力とシャドルーの技術提供のお陰でこちらの研究も「娘達」の調整も捗りましたからね。その程度はお安いご用です。彼によく言って聞かせますよ。
…ところで総帥殿、近々御一緒に食事でも如何でしょうか?』
「断る。他人との食事に興味は無い」
「フフフ…連れない御方だ。ではこれにて失礼致します、総帥殿」
「待て、ドクター」
「…まだ何か御用ですか?」
「くれぐれもこのベガを裏切ってくれるなよ?」
「信用無いですねぇ。総帥殿の信用を得る為にこちらの技術や情報を提供しているというのに。私は裏切ったりしませんよ。(そう、『裏切る』なんて事は有り得ない。何故なら……)」
「…もういい、通信終了だ」
「では御機嫌よう、総帥殿」
通信を終了してからベガが呟く。
「ドクター『ジェイル・スカリエッティ』…。フン、腹に一物抱えているのは間違いないが…相変わらず考えの読めぬ男よ。だが今はあの男の頭脳と情報が必要だ。『時』が来るまでせいぜいこのベガの手足として働くがよいわ」
☆ジェイル・スカリエッティ
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/91/image.jpg
敵は動き出した。
水面下で静かに、そして着実に計画は進んでいる。
ベガは野望成就の為の全ての駒が整いつつある事を直感していた。 ジェイル・スカリエッティの「思惑」を意にも介さずに……。
そしてここよりある者にとっては長く、ある者にとっては短い一年間の闘いの火蓋が切って落とされた。
だが、この時点では誰も気付いていなかった。その闘いが全次元の命運を賭けた闘いとなる事に……。
【エネミーside…END】
第四話「集結 ー思惑と暗躍ー」…END
【次回予告】
リュウ「消えてしまった若い命…。二度と取り戻せない尊い未来…。
彼は闘う。悪と…そして自分と。守る為の拳を守るもべき者達へ向けながら…」
なのは「『戦場』・『正義』・『覚悟』…。小さな一歩を歩み始めたばかりの少女達に突き付けられる現実…。互いに譲れない信念が招く辛い戦いと共に…。
だけど思いは必ず伝わる。その思いが本物なら…」
次回 スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION
第五話「正義 ー贖罪と信念ー」
TAKE OFF.
今回はここまでにします。
いやーウル4の五人目が発表されて興奮しっぱなしですよ!
ディカープリって身体的特徴(スリーサイズとか)も声優もキャミィと同じだからもしかしたらキャミィのクローンかも知れないですね(なんかキャミィを憎んでるらしいし)。
第五話「正義 ー贖罪と信念ー」
【リュウside】
[新暦75年 4月某日 機動六課敷地 湾岸部]
今日は朝から気分が晴れない。いつもならとっくに修行を開始している時間だが、残念ながら今日はそんな時間は無い。何故ならばナッシュと子供達の対決の日だからだ。
ガイルの話を信じるならばこの対決を通してナッシュの胸の内が明かされるという。
対決場所へ向かうとその舞台である陸専用空間シミュレーターは既にセットされており、フォワード陣とナッシュと共に立会人としてはやてとフェイト…そしてなのはも揃っている。
「ナッシュとフォワード四人は全員揃っているようだな」
「おはよう。ナッシュは…やっぱり浮かない顔ね」
ガイルと春麗が様子を見に来た。数日前までは見届けるかどうか考えていたようだが、やはり見届ける事を決めたらしい。
「お、みんな見に来たのか。来るの渋ってたんじゃなかったのか?」
「我々以上に付き合いの長い彼等でさえナッシュの真意を計り兼ねているのだ。気になるのは当然だろう」
「リインは違うですけどねー」
「我らは彼に対して何も出来んが…せめて見届けねばな」
「私はもしもの時の為の回復役ね」
俺達に続いてヴィータ、シグナム、リイン、ザフィーラ、シャマルも到着した。彼女達もナッシュの事を心配しており、歩きながらナッシュの話をしている。
「シグナムは冗談が通じねえなぁ。…それにしてもナッシュの奴、やっぱ暗い顔してやがんな」
「我々との任務中には見せた事の無い感情か。…事情は聞いたがやはり信じ難いな。普段の彼からはとても考えられん」
「誰だって譲れない事とか古傷の一つくらいあるさ。それに…例え真実でも、どれだけ正しくても、言葉だけじゃ相手には伝わらない事もあるし伝わっても受け入れられない事だってある。あたし達もそうだったろ?」
「……そうだったな。彼が何を思い、何を伝えようとしているのか…。見届けさせて貰おう」
「…はいです」
「…そうだな」
「…私の出番が来ない事を祈りましょう」
対決の前にジャッジを務めるなのはからのルール説明と質疑応答。
「皆さんおはようございます。本日の模擬戦のジャッジを務めさせていただく高町なのはです。開始前にルールの確認を行いますのでご静聴願います。
………
………
………
「ルール確認は以上です。質問はありますか?」
「質問ではありませんが一つよろしいですか?」
「どうぞ、ランスター二等陸士」
「見たところナッシュ中尉はジャケットを装着してませんよね?なのにあたし達が非殺傷設定にしないのはあまりにも危険…」
「子供に心配されるほど軟弱な鍛え方はしていない。心配なら自分の身の安全でもしていろ」
「なっ…!」
「私は平等を期す為に君達の情報の一切をカットしたんだ。むしろ感謝して欲しいものだ」
「そんな言い方…!」
「二人共落ち着いて。…ナッシュ中尉、こう言っていますが如何ですか?今からでも魔力資質(魔法を使用出来る資質及び得意な魔法の関連技術の総称)の無い方でも装着できるジャケットを支給出来ますが」
「何度も言わせないでくれ。不要だ」
「…了解です。では他に何かありますか?無ければ以上で締め切ります」
「……では締め切ります。双方所定の位置へ移動して下さい」
質疑応答が終わるとナッシュとフォワード陣は互いに離れた所定の位置へ向かう。
位置に着くと通信機を通してなのはが語り掛ける。
『双方所定の位置へ到着。それではナッシュ中尉VSスターズ分隊・ライトニング分隊隊員合同チーム…』
「(ナッシュ…。お前の真意、確かめさせて貰うぞ!)」
『FIGHT!!』
闘いは始まった。
五人の様子はモニターでも確認出来るが、俺はこの目で直接見届けたかったので舞台でなのはと共に視認可能な位置で見届ける事にしていた。
開始してから間も無くガイルと春麗もやって来た。最初は渋っていたがやはり二人も自分の目で見届けたいようだな。
他のメンバーはこちらには来ず、モニターで見ているらしい。話によると「自分達は部外者。友人であるあなた達は近くで見届けるべき」とはやてが言っていたそうだ。
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