姫子「ビビクン記念日」 (46)

生立ヶ里中学 麻雀部部室

「最近能力持って麻雀する人が多かみたいよ」

哩「………くだらん」

「ねえ、白水さんは能力もっとらんと?」

哩「…なかばってん、牌効率と期待値で和了はできるとよ」

哩「いつ目覚めっかわからん能力なんか考えんと、確率で和了ればええっちゃん」

「う………確かにそうやけど」

哩「…卓あくまで私向こうで本読みよくから」スタスタ

「相変わらず、キツかねー白水さんは」

「さすが次期部長ばい」

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哩「(……『高校競技麻雀のすすめ』、か)」ペラ



『麻雀は点を多く奪うのが全てです』

『その為には、他の人より速く和了形を完成させるのが大切になります』

『配牌時点で最速で辿り着くであろう和了形をイメージしてみるといいでしょう』

哩「(…なるほど、確かにそうばい)」

哩「次打つ時、やってみっかぁ…」

「白水さん、卓あいたよー」

哩「ん、今行く」

ジャラジャラ

哩「(……んー、これなら、ドラと平和で3900あたりにもっていけっかな)」

哩「……よし」コトッ

――

哩「ロンッ!3900!」

哩「(………なるほど、この方が効率よかね)」

ジャラジャラ

哩「(……次は、満貫狙えそうな手やね)」

――
――

哩「………トップか」

「はー、相変わらず強かねぇ……白水さんは」

哩「おまんらが適当なんがあかんっちゃん!もうすぐ1年も入るとよ?」

哩「2年の私らがしっかりせんば……」クドクド

「(白水さん、真面目なんはええけど……厳しすぎるばい)」

次の日 放課後

哩「………」ペラ

哩「(…ほう……この打ち筋は参考になる)」メモメモ

コンコン

哩「はい?」

姫子「あのー、麻雀部部室ってここですかね?」ヒョコ

哩「っ!」

姫子「………えっと」

哩「(っ……か…可愛い)」ドキドキ

姫子「……あの、麻雀部……」

哩「……ここで、あっとうよ」

姫子「!良かったですっ!間違ったのかと思いました…」

哩「……名前は?」

姫子「鶴田姫子っちいいます」

哩「…ん、2年の白水哩です。よろしく」

姫子「よ、よろしくですっ!」ペコリ

哩「(……な、なんねこん気持ちは)」ドキドキ

姫子「(…キリッとして、カッコよか人ねー)」

自室

哩「………色々考えた、けど」

哩「…やっぱ、こん気持ちは恋やね」カアッ

哩「どうすっか…」ガサガサ

哩「(……買って来た『恋愛のススメ100』)」ペラ

哩「(『まずは常日頃から仲良くして、心を開いてもらうべし』……か)」

哩「……明日、帰り…誘ってみっかな……」

哩「…ん、頑張ろ」

一ヶ月後

哩「………姫子、今日も帰るやろ?」

姫子「はい!先輩!」フリフリ

哩「じゃ……お疲れ、みんな」

姫子「お先に失礼しますっ!」

パタン

「……鶴田さん入ってから、白水さん変わったばい」

「それよ、なんか…優しくなりんしゃあ」

「…………あん堅物の白水さんと、毎日何の話して帰りよっちゃろ…」

帰り道

哩「(…………相変わらず、ちょっと緊張するばい)」ドキドキ

姫子「せんぱい、聞いてくださいよ!今日授業でですね~……」

哩「うん、…………えー、ありえんな」

姫子「でしょー?もー、みんな大ブーイングでー」トテトテ

哩「!姫子っ、後ろ、車っ!」

姫子「はい?……きゃっ」

ブオオン

哩「あぶなかよっ!」ダキッ

姫子「……………あ、すいませっ…」カアッ

哩「………はっ!す、すまん」パッ

姫子「いえ、ぜんぜん……」カアア

哩「(い、勢いに任せて抱きしめてっ……)」カアア

姫子「(……こいに、恥ずかしい気持ち初めてばい)」ドキドキ

哩「……姫子っ!」ギュ

姫子「!?」

哩「………姫子は…ほっとくと危なかやけん、私から離れんづく…手ー握っとく」

姫子「…………は、はい…」ドキドキ

部室内

哩「…お疲れー」

「あ、白水さん、こんにちは」

哩「…………」フラフラ

「あれ、どうしたん?体調悪いと?」

哩「ん……微熱ばい、大丈夫」

「え……無理せんとってね?」

哩「自分のことや、わかっとうよ」

哩「それより………姫子、姫子は?」

「ああ……鶴田さんは向こうで牌譜読みよるよ」

哩「…………そっか」

「………………」クスクス

哩「…なんね」

「いや、こんな時でも彼女さんの心配って、良かねーと思って」

哩「!ひ、姫子とはそんなんやなかよっ!」

「えー、いっつも一緒に手繋いで帰りよるやん」

哩「……!ち、違うもんは違うばいっ!姫子はええ、半荘打つか!」

ジャラジャラ

哩「(……あらん誤解を産んどうみたいやな)」

哩「(ま、それは私にとっては嬉しっ……て、何考えとーとや私はっ)」ブンブン

哩「(……どちらにせよ今は部活中。こっちに集中せんば)」

哩「(………でも、ふらふらする…)」

カチャカチャ

哩「(……これは、…ひどいな)」

哩「(これじゃ、和了できても1翻が限度っ……て)」

ジャラッ

哩「!?」

哩「(………首に、鎖?)」

「………白水さん?切らないの?」

哩「……あ、すまん」コトッ

哩「(…他の人には、見えてない………)」

哩「(………幻覚かいな……?)」

――

姫子「………」ペラ

「あ、鶴田さんお疲れ」

姫子「…こんにちはー、先輩」フラッ

「………あれ、体調悪いと?」

姫子「いえ、ちょっと熱あるだけなので…」

「あら……帰らんで良か?」

姫子「ええ、牌譜も読みたいですし……大丈夫です」

「そう、無理せんことよ?」

姫子「…………」ペラ

姫子「(………せんぱい、なんでここでコレを切ったっちゃか…)」ウーン

ガシャンッ

姫子「!?」

姫子「…っ!…………ひぁっ!?」ビビクン

「!…つ、鶴田さん………?」

姫子「………」ビクッビクッ

「だいじょうぶ!?鶴田さん!」

姫子「……………ぁっ……だ、大丈夫です」ハァハァ

姫子「(何ね…今の)」

姫子「(体に電流が走ったような……)」

哩「………はあ…はぁ」

哩「…テンパイ」

哩「(結局、聴牌に持ってくのが精一杯やった…)」

哩「(鎖、消えたけど……なんか、気持ち悪い…)」クラッ

「……白水さん、ほんとに大丈夫なん?」

哩「……ん、次、ほら」ジャラジャラ

哩「(…これが幻覚か、なんなんか…確かめてみんことには帰れん)」

カチャカチャ

哩「(………こん配牌…3翻ならいかるっかな…)」

ジャラッ

哩「(……っ、またか…)」

ガチャッ

哩「(今度は首、太もも、手首……幻覚やないみたいやけど)」

哩「(こいは………何?)」

――

ガシャン

姫子「…………(また、来たっ!?)」

姫子「ひゃあぅっ……!」ビビクン

姫子「(さっきより、すごっ……!三ヶ所、攻められとうみたいっ……!)」

姫子「んぁっ!…っ!」ビクビク

「つ、鶴田さん…今日は帰った方が…」

姫子「はあっ…はぁっ………大丈夫、です、……一回、トイレ行ってきます」

「う、うん……」

哩「(………これは、いける!)」

哩「………ツモ!1000・2000!」

哩「(予測通り、和了った!…!?)」

ガキーン

哩「(鎖が………割れた?)」

「白水さん…?ほら、点棒」

哩「………あ、うん」

――

姫子「はっ…はっ…………あれ?」

姫子「さっきのは気持ち悪い感じで消えたとに……」

姫子「……今のは、普通に消えた?」

チャリ

姫子「!」

姫子「こいは…………鍵?」

姫子「6っち書いとう……何の鍵っちゃか……」

コンコン

「鶴田さんー?大丈夫?」

姫子「!えっと」ガチャ

姫子「大丈夫です、すみません」

「…もう今日は帰り?大丈夫そうに見えんよ?」

姫子「ホントに大丈夫です……それより」

「?」

姫子「あの、これ……先輩が投げ入れたとですか?」

「へ……?これって、どれ?」

姫子「え、だからこん鍵ですよ」

「…………いや、鶴田さん何も持ってないやん」

姫子「…………え?」

「幻覚見えとうとか相当ヤバいとよっ!今日はホントに帰り!」

姫子「(……私にしか、見えんと?)」

面白いですよ。
期待してます

哩「(……あのあと、半荘打ち通してみた結果)」

哩「(配牌から和了形を考えて、和了る翻数を決めると鎖が掛けられて)」

哩「(その翻以上で和了できたら鎖が外れるっちいうことが分かった)」

哩「(なんね、これ……誰か言うてた『能力』?)」

哩「(……まさか、そんなオカルトありえんな)」

哩「(でもまぁ…幻覚であれ能力であれ、調べんと何もわからんばい)」

すばらっ!
すばらっ!
続き期待

姫子「(無理言って居らせてもらって、半荘打ってみたけど)」

姫子「(配牌の時に落ちてきた鍵が光って、鍵に書かれた翻数で和了れるようになった)」

姫子「(こいが……今噂の『能力』っちゃか……?)」

姫子「(…でも、こん能力、説明するの難しい……)」カアアア

哩「姫子…?今日は体調悪かったっち聞いたけど…」

姫子「!?あ、ああ、先輩!いえ、全然元気ですよっ!」

哩「そっか?まあ、今日は早う帰って休み?ほら」スッ

姫子「………はい、そうします」ギュッ

哩部屋

哩「『能力麻雀の全て』、まさか借りることになろうとはな……」ペラ

哩「なになに……『能力に目覚めた場合、確かめることが』」

哩「『まず、発動条件。何をしたら発動するか』」

哩「……配牌時、何翻で和了ろう、って決めた時よな」

哩「『次に、効果。それによって対局がどう有利になるか』」

哩「んー……それがようわからんね、飛ばそう」

哩「『最後に、限界。例外的なことに使って能力の範囲を見極めましょう』」

哩「限界……14翻とかで和了しようと決めたりとか、かな?」

哩「………よし、とりあえず効果を知らんば何も出来んね」

哩「能力を使いまくって……様子を見るばい」

土曜日 部室

哩「今日は出来るだけ多く打ちたいから相手してくれんか?」

「うん、いいよ」

ジャラジャラ

哩「………そういえば、姫子は?」

「んー?補修って1年の子らが言うてたよ」

哩「そっか…」

――

教室

姫子「(……昨日家に帰ってからは、アレ、起きなかった)」カリカリ

姫子「(麻雀しよる時にしか起こらんみたいやね……)」

姫子「(授業中にあんなん起こったらヤバいと…っ!?)」

ガシャン

姫子「――――!」ビビクン

「お?鶴田、どうした?」

姫子「い、いえっ………大丈夫、ですっ」ビクビク

姫子「(なんでっ………?)」

哩「(まずは……1翻で和了!)」ガシャン

哩「ロン!1000!」

「はい」

哩「(とりあえず一つずつ上げていこう……2翻で和了!)」ガシャン

哩「ロン!2600!」

「は、はい……」

―――

―――

哩「(…………6翻で和了!)」ガシャン

哩「(っ……翻数を上げると鎖の縛りもキツくなるとね)」

哩「(なんか……変な感じ)」バクバク

哩「………ロン!18000!」

哩「(………でも、その分、クリアした時の開放感が…ええね)」

「あ、っと………トビました」

哩「え?ああ、ごめん」

――

姫子「」ビクンッビクンッ

姫子「(さっきから、怒涛のように……鍵と、アレがっ……!)」

「これで、補修終わるぞー」

姫子「(た、助かったっ……6ヶ所来たときはもう駄目かち思ったわ)」

姫子「(でも、この鍵でっ………!)」

「」カタカタ

姫子「ツモッ!8000オール!」

「………うっ…はい」ジャラッ

姫子「ロンっ!24000!」

ザワザワ

哩「(あれ……姫子、打点が急上昇しとる)」

哩「(打ち方変えたのかな………?)」

――

帰り道

哩「今日、打点の高い和了りば連発しとったね」

姫子「はい……」

哩「なんか、あったと?」

姫子「あの……あったには、あったんですけど…」

哩「……?」

姫子「(せんぱいには…相談しても良かとかな)」

姫子「なんか、『能力』みたいなんで…」

哩「へえ…どんな能力と?」

姫子「……だ、誰にも言いませんか?」

哩「?うん……」

姫子「あの……時々、誰かに縛られて、攻められるような感じがするんです」カアアア

姫子「3ヶ所とか5ヶ所とか……それは、その時で違うんですけど」

哩「…………」

姫子「で……攻められたら……鍵が、手に入るんです」

哩「鍵……?」

姫子「はい、その鍵には数字が付いてて…」

姫子「3ヶ所攻められたら6の鍵、とか、倍になって鍵がくるんです」

哩「(……………まさか)」

姫子「それ持って対局すると…途中で光り出して、その数字の翻で和了れるんです」

哩「……………」ダラダラ

姫子「……せ、攻められるだけで鍵がもらえない時もあるんですけど、ね?」

哩「…………すまん姫子、学校で少し用事を思い出したとに今日はこれで」ダッ

姫子「え、せんぱいー!?」

姫子「行っちゃった……やっぱり、引かれたんかな……」

部室

哩「今日の私の牌譜と姫子の牌譜、ありますか!?」

「え?…ああ、今作ったところ」

哩「ありがとうございますっ!持って帰りますねっ!」

「ちょ、白水さんー?」

哩部屋

哩「……………」ペラ

哩「やっぱり…私が鎖解けた局で姫子が倍の翻で和了ってる」

哩「なるほど、効果はわかった、けどっ………」

哩「…………と、とんでもないことをしていたとね」カアアアア

哩「……せ、攻めるって……攻めるって………!」バタバタ

哩「ひ、卑猥なっ…!」

哩「……………能力は金輪際封印ばい、うん」

哩「姫子に恥ずかしい思いさせてまで…和了ってもらいとうない」

3ヶ月後

哩「(先輩も引退して、もう10月。オータム目前)」

哩「(自分の代初の大会…しっかりやらんば)」

姫子「ぶちょー!」

哩「!ひ、姫子か」

姫子「ふふ、せんぱいがぶちょーになりんしゃったとですね」

哩「…前から知っとったことやろ」

姫子「そうですけど…改めて『ぶちょー』っち言葉に出すと新鮮です」

哩「……(私も、姫子に部長ち呼ばれると、何か新鮮)」

姫子「今日は一緒に帰れますかー?」

哩「……………うん」

帰り道

姫子「もうすぐオータムのオーダー発表ですね…」

哩「そうやね」

姫子「ぶちょーは、絶対入っとりますよねっ!」

哩「………姫子も、きっと入っとーよ」

姫子「…いえ、私なんて、あんまり上手じゃないし…」

姫子「あの変な能力もっ………て」

哩「……………」

姫子「……あ、すいません」

哩「いや………全然」

哩「(能力…か、忘れかけてたけど………)」

哩「(試合で勝ち上がるなら…あの能力はかなりの武器になる)」

哩「(………いや、でも、姫子に恥ずかしい思いはさせられん)」

姫子「ぶちょー」

哩「(私一人で、全国を目指してっ…)」ギリ

姫子「あの、ぶちょー?」フリフリ

哩「!ああ、すまん」

姫子「……あの時、ぶちょー帰っちゃって、言えなかったんですけど」

哩「……?」

姫子「…アレ、とっても心地よかったんです」

哩「え………?」

姫子「………あの、縛られ、るの」カアアッ

哩「……………」

姫子「へ、変な気分なんですけどね?なんか、必要とされてる感じが気持ちいいし、こう、あったかい愛を感じるっていうか…えっと、すいません、変なこと言っちゃって」

哩「……………」ドキドキ

姫子「だから、アレ、もう一度起きないかなぁって、思っとるとですよ」

姫子「…なんか、変態みたいで言い出せなかったんですけどね」テヘ

哩「…………姫子」

姫子「はい?」

哩「…………」ギュウウ

姫子「!?ぶ、ぶちょー?」

哩「すまんかった」

姫子「…はい?」

哩「…………あれ、私のせいなんよ」

姫子「…………ど、どういうことですか?」

哩「私が…縛りかけて、和了したら、その倍で、姫子が和了できると」

姫子「えっ…………て、ことは」カアアッ

哩「縛ってたんは…私っちゃん」

姫子「え…………えええ…」

哩「気付いてから、姫子に恥ずかしい思いさせとうなくて、能力は使わんやった」

哩「でも…姫子が良ければ…………大会で、アレ、使いたい」

姫子「……大丈夫です。ぶちょーが相手なら、尚更」ギュッ

哩「…………本当に、大丈夫と?」

姫子「…はい、縛られると………私も幸せですから」

哩「じゃあ、これから……縛っぞ、姫子」

姫子「はい、喜んでっ!」


―――――

―――

――

新道寺高校 廊下

姫子「ぶちょー!」キラキラ

哩「ん、姫子」

姫子「ふふっ、テストお疲れ様ですっ!」

哩「……姫子も、お疲れ」

姫子「今日は部活もなかですし、帰ってご飯食べましょ!」

哩「……なんか機嫌良かねー?」

姫子「え?ふふ、まあ今日はおめでたい日ですから」ニコニコ

哩「……おめでたい日ってなん?祝日でもないとに…」

姫子「んー、内緒です」

哩「えー、そう言われっと気になるばい」

姫子「内緒っち言ったら内緒ですよー」

哩「なんー?教えてくれてもよかやん」

姫子「いいじゃないですか、ご馳走準備してるから早く帰りましょー!」ギュッ

哩「ん……ま、そやね」



―――『縛るぞ姫子!』と君が言ったから十月十二日はリザベ記念日



姫子「…………なんてね♪」

哩「………?」

おわり

哩と姫子が初めてリザベ公開してから
今日で1周年らしいで

乱文すいません

乙~

すばらです乙乙!
最高の哩姫やった!
また書いてね!

乙です

乙ー!
めっちゃすばらでしたよ!!

初々しいまいひめすばら!

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