女子アナ「今週の芸能ニュースはこちら!」
ジャン
女子アナ「天才バイオリニスト『恭クン』痛恨の演奏ミス!」
まどか「あ、上条君のニュースだ」
女子アナ「今年でデビュー十周年を迎えるバイオリニストの恭クンこと上条恭介君、
初の十万人規模のコンサートで、海外ということもあって緊張してしまったのか、
うーん残念ながらミスをしてしまいました!」
まどか「上条君、すっかり有名になっちゃったなぁ…」
女子アナ「恭クンはデビュー前に、事故で左手が全く動かなくなったことがあるそうです
そして10年前の今頃、あのスーパーセルを被災した見滝原に住んでいたんですって!
子供の時から波乱万丈な人生を送って来たんですねー」
まどか「……」
女子アナ「はい、そこで今日の特集です!」
ジャン
女子アナ「『絶対に契約してはいけない』――その人気のヒミツ!」
まどか「『契約』……」
女子アナ「こちらは、過去に見滝原市で暮らしていた女性が書いた作品なんですね
内容はなんと、現実に起きたスーパーセル被害をモチーフにした
ファンタジーアドベンチャーとなっていて、ちょっと一瞬『え?』ってなりますけど、
これが今中学生くらいの女の子達の間で密かに話題になっているんです!」
まどか「……やだな。チャンネル変えよう…」
女子アナ「今回は特別に、『絶対に契約してはいけない』作者の
『穂村あけみ』さんにスタジオにお越し頂きました!」
まどか「……え? 『ほむら』……ちゃん?」
ゲスト「穂村です。よろしく」
まどか「あぁー! ほむらちゃんだ!!」
女子アナ「よろしくお願いしまーす! さて、早速なんですけれども、穂村さん
この本にはどんなことが書かれているんですか?」
ゲスト「10年前に見滝原を襲ったスーパーセルの背景にある、真実の記録です」
女子アナ「はい! そうなんです! この小説はファンタジーということではありますが、
実在する地域を舞台としてノンフィクション風に書かれているんですねー!」
まどか「ほむらちゃん…ずっと会ってなかったけど元気にしてたのかな…
まさかテレビで見るなんてビックリしたなぁ
『穂村あけみ』っていう名前で作家やってるんだ…」
女子アナ「――見所について語ってください!」
取り敢えず、続けて
ゲスト「――インキュベーターは私に戦いを挑んだ
私はいくつかの偶然に恵まれ、これに勝つことができた。凄惨な犠牲と引き換えに…
彼の一番のミスは、『家畜』呼ばわりしていた『魔法少女』を自ら救ってしまったこと
あの災害の日、彼女がいなければこの世界はなくなっていたわ」
女子アナ「ありがとうございます! 穂村あけみさんはとっても素敵な方ですねー
私も今聞いててこの世界観に思わず入り込んでしまいそうになりました!」
まどか「…ほむらちゃん、綺麗になったなぁ…」
女子アナ「ここで穂村さん宛てに届いたファンレターの1つをご紹介するんですけど、ええ
…はい。こちらです!」
パラ
女子アナ「『こんにちは、穂村あけみ様。私は中学1年生の女です
友達に勧められて『絶対に契約してはいけない』を読んでみたら
すごくリアルでどんどん引き込まれてしまいました』
と、ここからなんですね」
まどか「…?」
女子アナ「『本を読み終わってから、私の所にキュゥべえが来ました
本当にびっくりしました。本に書かれていることが現実になったのです
友達に言っても誰も信じてくれず、困っています。家族には言っていません
穂村さんもキュゥべえに会ったことがあるのですか?』」
まどか「……」
女子アナ「と、こういったですね、『私も同じ体験をしている』という内容のお便りが
沢山届いているそうなんですよ!
それくらい、こう、のめり込んでしまうほど感情移入させてくれる作品なんですねー」
まどか(ほむらちゃん……中学校の時のこと、本に書いたんだ…
もう誰もキュゥべえに騙されないように…
本当は小説なんかじゃないんだ…きっとほむらちゃんは、
見たこと聞いたことをそのまま伝えようとしてるんだ…)
女子アナ「では穂村さんからファンの皆様に一言お願いします!」
ゲスト「インキュベーターとは何があっても絶対に契約してはいけない
『あの子』のような目に遭いたくなければ」
まどか(『あの子』って…ひょっとして…)
まどかは吐き気がした
女子アナ「ありがとうございましたー!
ちなみにですね、舞台は10年前の見滝原市ということで、
作中には恭クンがモデルになったキャラクターも登場するんですよ
女の子だけじゃなく、老若男女問わず、一度は読んでみたい一冊ですね!」
これは期待
ひさびさの良スレ
ほむほむ
すごく 気になるよ
くそう、スレタイの奴が見たかったけど
面白いから、支援
――――――――――
――夜。バーの中
カランカラン
杏子「よっ」
ほむら「早かったわね」
杏子「そう毎回遅刻すると思うなよ」
ほむら「サングラス、はずしたら?」
杏子「…? ああ、本当だ。なんか体の一部になっちまってるな…」
カチャ
ほむら「目は治らないの?」
杏子「駄目だね。あたしの魔力でも完全には治せない
あれ以来、こいつがないと昼の太陽程度の光でもまぶしくてしょうがねーわ」
ほむら「…そう」
杏子「何か飲むかい?」
ほむら「ええ。いただくわ」
杏子「マスター、いつもの2つ」
店主「はいはい」
杏子「…上手く行ってるみたいだねぇ」
ほむら「そのようね。あなたのおかげよ」
杏子「…好きでやってるんじゃないんだがな…」
ほむら「…ごめんなさい」
杏子「…ま、本当に嫌になったら足洗うさ。せっかく『不死身のお杏』なんて通り名もらってんだ
利用できるだけ利用してやろうじゃん」
ほむら「私がヤクザと繋がっているなんて知れたら、メディアから締め出されるわね」
杏子「あたしはヤクザじゃねーよ」
ほむら「確かに形の上では。でも一般人はどう思うかしら」
杏子「ったく。誰の為に働いてると思ってんだ」
ほむら「ええ、感謝してるわ」
杏子「当たり前だ」
ほむら(…銃は持って来た?)
杏子(ああ。車ん中だ)
ほむら(ありがとう)
杏子「あーあ。あの奇怪な『イレギュラー』がこんなに頼りなくなっちまうなんてな」
ほむら「面目ないわね…時を止められなくなった今、私もできることをやっていくしかない」
杏子「…ま、『あいつ』の二の舞踏む奴がこれ以上いても腹が立つだけだしな」
ほむら「…やめて」
杏子「…悪い」
続けなさい
―――――――――
――ドイツ某所。ホテル一室
恭介がひざまずいて仁美の足の甲にキスしている
上条「……」
仁美「…来て」
隣に腰掛ける恭介
仁美「…また、あの時の夢を見たのね…」
上条「……ああ」
仁美「お医者様は何て…?」
上条「『トラウマ』だ…。『じっくり治療して行けばよくなる』って…
あれからもう10年も経つのに…」
仁美「…お薬の量は減ったわ」
上条「見損なったろう…?」
仁美「…ううん」
上条「仁美とこうしている間さえ、僕はさやかのことが忘れられずにいるんだよ…?
もうあの頃の僕じゃないはずなのに…。きっと、僕は狂ってしまったんだ…」
仁美「…あなたは変わらないわ。さやかさんのことは忘れないであげて
さやかさんがいたから、今の恭介さんがいる…そして今の私達があるの…」
上条「…何度自分の腕を切り落とそうとしたことか」
仁美「恭介さん」
上条「この前だって、何万という観客の前で大恥を晒した…
さやかのことを考えていたんだ…。さやかが見えてしまうんだ…」
恭介の左手を握る仁美
仁美「当然よ…。さやかさんはここにいるじゃない。あなたの一番近くに」
上条「…死んだんだよ」
仁美「……」
上条「…ねぇ、仁美。君は人殺しの妻になる…それでいいのか…?」
仁美「…あなたは悪くない」
上条「全て僕のせいじゃないか…! 僕があんなことを言ったから、さやかは…!」
仁美「…さやかさんの想いはそれだけ強かったということ――」
上条「そうだよ! …ああ。さやかが僕に内緒でやったことだ!」
仁美「……」
上条「仁美は僕の為に死ねるか…!?」
仁美「…やめて。そんなことをしても愛の証明にはならないわ」
上条「…さやかはやってのけた」
仁美「思い出して…? 確かにさやかさんはあなたの為に亡くなったかもしれない…
けれどその前に、あなたの為に『生きた』じゃない
あんなに一生懸命。恭介さんはそれが気に食わなかったとでも言うの?」
上条「……さやかは僕を恨んでる」
仁美「そんなことないわ」
上条「僕を呪ったんだ…魔法の力で…! それで夢に出て、僕を懲らしめようとしてるんだ…!」
仁美「ねぇ、もうやめて」
上条「傷つけてしまったから…!」
強く目を閉じて震える恭介
仁美「さやかさんは幸せだったはずよ…」
上条「あれから後悔ばかりだ…。僕は…さやかに何一つしてあげられなかった…」
仁美「そんな…」
上条「ただの一度も言えなかったんだ…! 『好きだ』って…!
『愛してる』って言えなかった…!」
仁美「……」
上条「さやかは、そんな僕が赦せないんだ…。僕が悪い……!
わかってる! 君と結婚する資格なんて、僕にあるはずがないんだ!」
仁美「…あなたを責めているのは、あなただけよ」
上条「確かにそうかもしれない…。ああ、僕は自分を一生恨み続けるだろう…」
仁美「…時は戻せないもの。前に進むしかないわ」
上条「もう…駄目なんだ。耐えられない…僕はあの時、死ぬべきだったんだ…!」
仁美「…!」
仁美が恭介のローブの襟を掴んでベッドに押し倒した
仁美「なぜわかってあげないの…? なぜわかってくれないの…?」
上条「……」
仁美「あなたが生きていることに、私がどんなに感謝しているか…
さやかさんがどんな思いで去っていったか…」
上条「……」
仁美「…もう子供じゃないの。そんなに自分が赦せないなら、死ぬまで償い続けましょう…?」
上条「……」
仁美「自分を傷つけることが罪滅ぼしになるとは限らないわ…
さやかさんはそんなこと…きっと望んでないもの…」
上条「…」
仁美「沢山の人にあなたのバイオリンを聞かせてあげて…?
あなたがどんなに塞ぎ込んでいる時も私は背を向けたりしないから…
あなたの苦しみは私が一緒に背負うから…」
上条「この辛さが君にわかるのか?」
仁美「…大切なお友達だったのよ」
上条「…!」
仁美「…辛いのは、恭介さんだけじゃない…」
上条「……ごめん」
仁美「ううん」
上条「…もし、本当にさやかが僕を赦してくれたのなら…」
仁美「…ええ」
上条「君を、さやかからの贈り物と考えよう…」
仁美「愛しています」
上条「…ありがとう」
仁美はローブを脱いだ
そうーーーーーー
巴投げ
マミである
猿よけ支援
>>23
ナ、ナンダッテー
別にこの二人は一個も悪く無いと思うけどな
さやかがヘタレで自爆しただけ
>>26
上条は悪くないけどわかめのタイミングが最悪
>>26
女子中学生のメンタル考えてやれよ
――――――――――
――10年前
QB(見つけた…あれが鹿目まどかだ…)
まどかの部屋を窓辺から見つめる
ほむら「夜遅くにご苦労ね。インキュベーター」
キュゥべえの死角から現れるほむら
QB「!?」
ほむら「あなたの思い通りにはさせない」
スチャ
QB「(銃…!?)ちょっと待って…!」
ダン
反射的に避けるキュゥべえ
まどかの家から少し遠ざかる
QB「初めから僕が見えている…君はまさか、魔法少女…?」
ほむら「…」
チャ
QB「待って、撃たないで…!」
ほむら(あのインキュベーターが怯えている?)
QB「君はどうして僕を殺そうとしているんだ…?」
ほむら「邪魔だからよ」
QB「君に恨みを買う覚えはない…」
ほむら「そうね。今の時点ではそうかもしれないわ。あなたにとっては」
QB「な、何もしないよ…これからも! だから、撃たないで…!」
ほむら「(命乞い…?)代わりはいくらでもいるはずでしょう?」
QB「君は…僕のことを知っているの?」
ほむら「ええ。憎んでるわ」
QB「…!!」
ほむら「…私の計画の邪魔さえしなければ、それでいい」
QB「計画って…?」
ほむら「鹿目まどかの契約を阻止すること」
QB(そんな…鹿目まどかを手放したら、僕は…これからどれだけの少女を騙せばいい…?)
>>26
さやかのこと悪く言うんじゃねえよてめぇのソウルジェムぶっ壊すぞ
ほむら「なぜ震えているの?」
QB「っ…! それは…怖いからだよ」
ほむら「…『怖い?』」
QB「う、うん…」
ほむら(インキュベーターに感情は存在しないはず)
スチャ
QB「ひっ…!」
ほむら(本当に怖がっている…?)
QB(あ、足が動かない…)
ほむらは銃を下ろした
ほむら「何を企んでいるの?」
QB「僕は…僕は、弱まっていく宇宙を延命する為に、エネルギーを集めている…」
ほむら「それだけ?」
QB「うん…」
ほむら(不気味なくらい素直ね)
ほむら「そう。それなら、鹿目まどかにこだわる必要はないわね」
QB(それは…そうは行かない…)
ほむら「もう二度と、あの子に関わらないこと。臆病なあなたなら、
私の警告を無視したらどうなるか想像できるでしょう」
QB「…」
ゆっくりと頷く
ほむら「とっとと消えなさい」
>>28
まあ、でも二人ともさやかがそんなことになってるって知らなかったわけだし
悪い子なんていない
まあ上条も退院したなら教えろよとは思うけど普通の男子中学生に期待しちゃいけない
仁美だってちょっとキツイハッパかけただけだし
結局はさやかは魔法少女に向いてる性格じゃなかったってだけだ
これは期待
だが、そんな魔法少女も悪くない
――――――――――
まどか「でね、ラブレターでなく直に告白できるようでなきゃ駄目だって」
QB(やっぱりそうだ…見間違いじゃない。あの子が持っている素質は本物だ
でも見たところ普通の中学生なのに、一体どんな因果を背負っているんだ?)
さやか「相変わらずまどかのママはかっこいいなー。美人だしバリキャリだし」
QB(…それが何であっても、鹿目まどか1人の犠牲で
エネルギーの回収ノルマが達成にかなり近づくんだ。この機会を逃す手はない…!)
仁美「そんな風に、きっぱり割り切れたらいいんだけど…」
さやか「羨ましい悩みだねぇ」
まどか「いいなぁ。私も1通ぐらいもらってみたいなぁ、ラブレター」
さやか「ほう、まどかも仁美みたいなモテモテの美少女に変身したいと?」
QB(あんな些末な願望を…。他の子と何が違うっていうんだ)
―――――――――――――
その日の夕方
――CD屋
QB(助けて)
まどか「ん?」
QB(助けて、まどか)
まどか「え…え?」
QB(僕を…助けて…!)
声のする方へ向かうまどか
まどか「誰? 誰なの?」
QB(助けて)
――改装中のビルへ
まどか「…どこにいるの? あなたは、誰?」
QB(助けて…!)
キュゥべえが天井板を抜いて落ちて来る
まどか「!?」
QB「はぁ…はぁ…」
まどか「あなたなの?」
QB「…助けて」
同じ場所からほむらが飛び降りて来た
まどか「! ほむらちゃん…!」
ほむら「そいつから離れて」
まどか「だって…この子、怪我してる」
QB「うぅ…」
まどか「だ、駄目だよ。ひどいことしないで!」
ほむら「あなたには関係ない」
まどか「だってこの子、私を呼んでた! 聞こえたんだもん、『助けて』って!」
ほむむむむ
ほむら「…そう」
ほむら(弱者を装ってまどかに取り入るつもりね)
ブシュー
ほむらの死角から白い粉が撒き散らされた
ほむら「うっ…!(消火器…?)」
さやか「まどか、こっち!」
さやかが消火器を吹き付けている
まどか「さやかちゃん!」
QB(ん…? マミの気配だ…近くまで来てるのか…?
運がいい…マミなら安心だ…。早く、助けてもらわないと…
うぅ…駄目だ、意識がはっきりしない…! 気を失う――)
――数分後
QB「うっ…ん…?」
まどか達に加えてマミがいる
ほむらの気配はない
QB(傷が治ってる…よかった。気付いてくれたんだ)
QB「ありがとうマミ…助かったよ」
マミ「お礼はこの子達に。私は通りかかっただけだから」
QB「…どうもありがとう。僕はキュゥべえ」
まどか「あなたが私を呼んだの?」
QB「うん…そうだよ。鹿目まどか」
まどか「えっ? どうして私の名前知ってるの?」
QB「…僕は、君にお願いがあって来たんだ」
まどか「お、お願い?」
QB「うん…」
まどか「…?」
マミ「どうしたの、キュゥべえ?」
QB「…あの子は?」
マミ「あなたをいじめていた子なら、私が追い払っておいたわ」
QB(よかった…)
QB「鹿目まどか…。僕と契約してほしい」
――その後、マミの家
まどか「わあ、綺麗」
マミ「これがソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子が契約によって生み出す宝石よ
魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」
さやか「契約って?」
QB「願い事が何でも1つ叶う代わりに、魔法少女になる…そういう、取り交わしだ」
まどか「願い事って…」
QB「それは何だって構わない。絶世の美女になるとか、億万長者だとか…内容は好きにしていい
それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム
この石を持った子は魔法少女となって、魔女と戦う使命を課される…命懸けでね」
まどか「…魔女?」
QB「僕と契約したらまとめサイトに載るよ!!」
さやか「魔女って何なの? 魔法少女とは違うの?」
QB(…同じだよ。大人と子供だって、結局は同じ人間なんだから…)
マミ「キュゥべえ?」
QB(…僕は、まどかにちゃんと説明できるんだろうか
いや、駄目だ…最初は秘密にしないと契約なんてしてくれる訳ない…)
マミ「大丈夫? まだ、どこか痛いの?」
QB「ああ…うん。ちょっと、ね」
まどか「た、大変! マミさん、もう一度手当てを…!」
マミ「ええ、やってみるわ」
マミがキュゥべえの体に手をかざす
QB(この病気はマミの魔法でも決して治らない
むしろ、こんなことをされたら余計に苦しくなるだけなのに…)
マミ「どうかしら」
QB「…ありがとう。すっかりよくなったよ!」
まどか「よかったぁ」
安心して笑顔になるまどか
キュゥべえはさりげなく目を逸らした
QB(嫌だな…すごく素直な子だ…僕が君にどんな残酷なことをしに来たかも知らずに、
僕をあんなに心配して、僕の為にこんなに嬉しそうに笑って…)
まどか「えへへ」
QB(もう、やめてくれ…)
まどか「…どうかしたの?」
QB「…」グスン
マミ「え…?」
まどか「あれ…」
QB「…」クスン
マミ「キュゥべえ? 泣いているの?」
QB(どうしよう、止まらない…)
マミ「なぜ泣いているの?」
QB(笑わないと…)
QB「あはは。いやね、このケーキがあまりにも美味しくて」
3人「…」
笑い出すまどかとさやか
マミ「涙が出るほど美味しかったの? そう、それはよかったわね」
QB「うん、あはは」
QB(どうして僕なんだろう…できることなら逃げ出したい)
きゅべきゅべ
なんだか、きゅうべいがすごいかわいいショタに思えてきた
猿ったか
支援
――――――――――――
――ある日のパトロールの帰り道
マミ「鹿目さん、何か願い事は見つかった?」
まどか「うーん…」
マミ「まぁ、そういうものよね。いざ考えろって言われたら」
まどか「マミさんは、どんな願い事をしたんですか?」
マミ「……」
立ち止まるマミ
まどか「いや、どうしても聞きたいって訳じゃなくて…」
マミ「私の場合は、考えている余裕さえなかったってだけ」
QB(あの時は手っ取り早くて好都合だとしか思わなかった…
結果的にマミは僕に感謝してるけど…。僕は君に謝らないといけない…)
さやか「…ねぇマミさん。願い事って、自分の為の事柄でなきゃ、駄目なのかな」
マミ「え?」
さやか「例えば…例えばの話なんだけどさ…
あたしなんかよりよほど困ってる人がいて、その人の為に願い事をするのは…」
まどか「それって上条君のこと?」
さやか「た、例え話だって言ってるじゃんか!」
QB「悪いけど…君には頼んでないよ、美樹さやか」
さやか「な…何よ、どういうことよ、それ」
QB「僕は初めに会った時から『まどかに』魔法少女になって欲しいってお願いしてるんだ
ごめんね、君は魔法少女にしてあげられない」
さやか「ちょっと、なんでよ!」
QB(魂を犠牲にするのはまどかだけでいい…君が生み出せるエネルギーには、
君を不幸にしてまで手に入れるほどの価値なんてないんだよ…)
まどか「そうだよ、キュゥべえ…私だけ願い事を叶えてもらうのは
ちょっとずるいっていうか…さやかちゃんに悪いよ…」
QB「困ったな…」
さやか「ねぇ、どーーしても、あたしは魔法少女になれないの?」
QB「…一応素質はあると思うけど」
さやか「だったらなんでまどかだけなのさ! あたしだって契約してくれたっていいじゃんか!」
まどか「さやかちゃん、落ち着いて…」
さやか「え? あ、あはは」
QB「そんなに…危険な戦いに明け暮れる『魔法少女』になりたい?」
さやか「えっ…いや、あたしは魔法少女になるっていうより、何ていうかその、
叶えたい願いがある、っていうか…なんだけど…」
QB「それなら尚更よくないよ。まして、その願いがもし本当に他人の為のものなら」
さやか「…」
まどか「…」
マミ「キュゥべえ? あなた最近変よ」
QB「え?」
マミ「疲れてるの? いつものあなたは、そんなに冷たい言い方をする子じゃないわ」
QB「別に…僕は当たり前のことを言っているだけだよ」
マミ「そう? 私の後輩をあんまり脅かさないでね」
QB「…わかった」
――その後、まどかの部屋
まどか「うーん…」
衣装のアイディアを描いたノートを眺めながら
QB「何を考え込んでるんだい?」
まどか「うん…私って昔から得意なこととか、人に自慢できるような才能とか、何もなくて
誰かの役に立ったこともないし…
だから、マミさんみたいにかっこよくて素敵な人になれたら嬉しいなぁって」
QB「…そう」
まどか「でも、マミさんも危ないことだから慎重に考えろって言ってたし
それにキュゥべえも、さやかちゃんにあんな風だったし…
私なんかが魔法少女になっていいのかな…」
QB「…じゃあ、1つヒントをあげる。具体的な助言はルール違反だけど」
まどか「うん」
QB「君は恐ろしいほどの潜在能力を秘めている。君が契約によって生み出す魔力の強大さは
僕にも想像がつかない…
これほどの資質を持つ子には今まで会ったことがないよ」
まどか「何言ってるのよもう…嘘でしょ」
QB「いや、本当だよ。君が僕と契約すれば、マミよりずっと強い魔法少女になるだろう」
まどか「なーんかイメージ湧かないなぁ」
QB「…そうだね。僕も常々不思議に思うよ」
まどか「あはは」
QB(契約すれば間違いなく世界最強の魔法少女…そして地球史上最悪の魔女になる
こんな平凡な子がどうして…?)
まどか「そうだ、キュゥべえは願い事とかないの?」
QB「え…?」
まどか「ちょっと、参考程度に…なんとなく聞いてみたいなって」
QB「願い事ねぇ…」
まどか「…」
QB「…うん。僕の願い事は、ちょっと複雑すぎるかな」
まどか「どんな…?」
QB「病気なんだ」
まどか「えっ…」
QB「治したい気持ちはあるんだけど、治ると同時に、
僕にとって大きなものを1つ失うことになる。それは死ぬのと同じくらい怖いことで…
だから、言い方を変えると『死にたい。けど死ぬのは嫌』――そういう、願い」
まどか「…ごめんね、変なこと聞いちゃったみたいで」
QB「気にしなくていいよ。僕は願い事を聞かれることなんて普通ないから、
こういう話をするのもたまには面白いじゃないか。ありがとう、まどか」
まどか「…うん。ねぇ、キュゥべえ」
QB「何だい」
まどか「また、今度でもいいかな…決めるの。私、やっぱりまだ
自分でも何をお願いすればいいのかよくわかんなくて…」
QB「…ああ」
まどか「ありがとう。それじゃあ、明日も早いから、もう寝るね」
QB「わかった。おやすみ」
まどか「おやすみ」
眠りに就くまどか
QB「…」
QB(やっぱり馬鹿だな、僕って奴は)
まどかの寝顔を見下ろす
QB(結局は自分の傷口を広げることになるだけなのに…
人類が同じ過ちを繰り返す理由だってわかってるくせに…
問題を先延ばしにしても無意味だ。これから海に突き落とす子に
くだらない希望を与えてはいけない。お互い選択の余地だってない
だったらせめて…この子の悲鳴を聞かないように、
断末魔の表情を見ないように、目を閉じたまま手を下そう…)
まどかの寝息が聞こえる
QB(今夜は、眠れない)
支援させていただきます
________________________
/ ─────── / ,───ヽ-─-─-- -─---ヽ
,/∧ ∧ //| | || ヽヽ
,/ (゚∀゚ ) <今夜は眠れないキター | || ヽ|
_∠__( _) __ //_|ニ)______|____||______|_|
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//_______ / ノ/ ̄ ̄| ̄ ̄ ⊂⊃|⊂⊃ /_ロ \_|
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| ̄ └[SIENTA]┘ ̄ ̄ /;;;;;;;ヽ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄/;;;;;;ヽ ノ
|二|└────┘ |二)__|_|:(∴):|__|_____|_____|:(∴):|____ノ
―――――――――
――翌日、放課後
見滝原の病院の前
まどか「あれ?」
まどかが病院の外壁を見つめる
さやか「ん、どうしたの?」
まどか「あそこ…何か」
QB(…あれは)
QB「グリーフシードだ…孵化しかかってる!」
まどか「嘘、なんでこんな所に!?」
QB「よりによって病院で…! すぐに逃げないと2人とも結界に飲み込まれる!」
さやか「またあの迷路が…?」
QB「結界を見たことがあるのかい…?」
さやか「あ、うん。キュゥべえが気絶してる時に迷い込んじゃったんだ」
QB(あの場所に魔女がいたんだ…それでマミが近くに来ていたのか)
さやか「まどか、マミさんの携帯聞いてる?」
まどか「ううん…」
さやか「まずったな…。まどか、先行ってマミさんを呼んで来て
あたしはこいつを見張ってる」
まどか「そんな!」
QB「無茶だよ! 君1人で残るなんて、眠っているライオンの檻に入っていくようなものだ!」
さやか「あの迷路が出来上がったら、こいつの居所もわからなくなっちゃうんでしょ?
放っておけないよ、こんな場所で!」
QB(…マミが間に合わなかった時のことを考えたら
中に行かせるのはまどかの方がいい…
いや、でもいざとなった時にまどかが魔女に怯えて契約できず
そのまま殺されてしまったりしたら、それこそ最悪中の最悪だ…!)
QB「まどか、先に行ってくれ。さやかには僕がついてる
マミならここまで来れば、テレパシーで僕の位置がわかる
ここでさやかと一緒にグリーフシードを見張っていれば
最短距離で結界を抜けられるようにマミを誘導できるから」
さやか「ありがとう…キュゥべえ」
まどか「私、すぐにマミさんを連れて来るから!」
まどかは鞄を置いて走り出した
結界が出来上がる
――魔女結界内部
QB「…怖いかい、さやか」
さやか「そりゃまぁ、当然でしょ…」
QB「ごめんね。偉そうなこと言っといて、実際に魔女と戦えるような力もなくて」
さやか「いいのいいの、そんなこと。むしろ、もしマミさんが間に合わなかったら
あたしは戦うつもりだよ」
QB「…」
さやか「昨日あんたに説教されて、あれからじっくり考えたんだ
たった一度の願い事を、自分以外の人の為に使っちゃっていいのかどうか」
QB「好きな人かい…?」
さやか「いや…別に、好きだからとか、そういうつもりじゃなくて」
QB「仮にその人の為に願い事を叶えて魔法少女になったとしても
君の恋が実るとは限らない
後になって『やっぱりやめたい』って言っても、もう元には戻れないんだよ」
さやか「…平気だよ。あたし、決めたんだから…
『絶対に後悔しない』って。だから、例えどんなことがあったって――」
QB「『後悔しない』と決めた、だから『後悔せずに済む』――その根拠は何だい?」
さやか「…! それは…それは、あたしが決めたことだから」
QB(諦めるつもりは少しもないみたいだね…
まだわからないけど、さやかはこう見えて意外と繊細な気がする…
今はこんなに明るくて元気だけど、魔法少女になったら
自分の苦しみを自分の中で消化できずに、すぐに魔女になってしまうだろう
『魔女』…そうだ。今のうちに本当のことを教えれば引き下がるかもしれない)
QB「実はね、さやか。魔法少女は――(待て…僕は何を考えているんだ!?)」
さやか「え?」
QB(駄目だ、さやかがまどかに黙っててくれるとは思えない
今まどかに知られたら、計画そのものが台無しだ)
さやか「キュゥべえ、今何て言おうとしたの?」
QB「魔法少女は…大変だよ」
さやか「そんなのわかってる…あたしだって半端な気持ちでここにいないから」
QB「さやか、魔女との戦いは文字通り命懸けだ
いつも死と隣り合わせで、怪我もいっぱいするだろうし…
それでいて、学校のみんなや家族に理解してもらうのはものすごく難しい」
さやか「…」
QB「だから、君が魔法少女になるのは、どうしようもなくなった時の、最後の手段だ」
さやか「それでも――」
QB「…」
さやか「マミさんだって、毎日戦ってるじゃん。あんなにかっこよく、魔女をやっつけてるじゃん…」
声が震え出す
QB「マミは元々素質があったし、それにベテランなんだよ
誰でもすぐにあんな風になれると思ったら大間違いだ」
さやか「じゃあ、まどかは!?」
目に涙が滲んでいる
QB「…」
さやか「あんたはまどかに契約させようとしてるじゃん…
あたしのことまるで眼中にないみたいにさ!
あたしとまどかの一体何がそんなに違うって言うのよ!」
QB「さやか…誤解しないで欲しいんだ」
さやか「…」
言いたいことを我慢するさやか
QB「原因はわからないけど、まどかには特殊な才能がある
急に言われてもピンと来ないかもしれないけど、
あれほどの素質を持ってる子はどこを探しても他にいないんだよ
まどかが魔法少女になったら、あのマミだって到底足元にも及ばないほどだ」
さやか「まどかが…?」
QB「そうだよ」
さやか「…結局、あんたは人の夢を叶える為に来た訳じゃないんだね」
QB「うん…ごめんね」
さやか「…」
QB(契約によって叶えられる夢や希望は、君達が支払う代償と釣り合わない…
もう、泣かないで。悲しませたくてこんなことをやってるんじゃないんだ…)
さやか「…わかった。ごめん、キュゥべえ。あたしが馬鹿だったね
頼まれてもいないのに、1人で勝手に悩んで、勝手に決めてさ…」
涙を袖で拭きながら
QB「そ、そんな、とんでもない…君が安易な気持ちで
魔法少女になろうとした訳じゃないことぐらい、わかってるつもりだ…
それに、動機は他にあるとはいえ、戦う決意をしてくれたこと、
僕は嬉しかったし、大いに敬意を表する…」
さやか「でも――」
QB「…何だい」
さやか「いざという時は、契約させて。あたし自身の身を守る為にも」
QB「…ああ。わかってる」
しばらく後――
グリーフシードが動き出す
QB「まずい、孵化が始まる」
さやか「う、うわあ…」
QB「大丈夫、マミはすぐそこまで来てる。今テレパシーで呼ぶから!」
QB(マミ、グリーフシードが動き始めた。孵化が始まる。急いで!)
マミ(オーケー、わかったわ。今日という今日は速攻で片付けるわよ)
QB(どうしたんだろう…なんだかやけに嬉しそうだ)
ズドンズドン
そう遠くない位置から激しい銃声が届く
扉を破って、マミとまどかが駆けつけた
マミ「お待たせ」
さやか「ふぅ、間に合った…」
QB「気をつけて。出て来るよ」
お菓子の箱から魔女が現れた
マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」
ズドドドドドド
マミの容赦ない連射に魔女が見る見る弱っていく
さやか「やった!」
マミが魔法の糸で魔女を捕縛した
大砲を召還
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ドン
QB(さすがだ…)
砲弾は魔女に命中した
しかし魔女は滅びず、その体内から肥大化した本体が現れた
マミ「あ…」
大きな魔女がマミの頭に食らいつく
QB(何だって…!)
まどか「…!」
さやか「…!」
ガブ…
マミの変身が解けた
QB「マ…マミ!!」
マミの死体を貪り食う魔女
QB「嘘だ…マミが食べられた…! 嘘だ…!!」
まどか「…!!」
さやか「マ、マミさん…!」
魔女が顔を上げる
QB(まずい、2人が怯えてる…今すぐどっちかだけでも契約しないと
まどかが殺される…! まどかだけはまずい!)
QB「ど、どっちでも構わない。契約だ…今すぐ僕と契約を!」
まどか達は声を失っている
QB「しっかりして! 今あいつを倒せるのは君達しかいないんだよ! 早く!」
さやか「…わかった…マミさんの仇は、あたしが取る…!」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「よ…くも、マミさんを!!」
QB「ありがとう…さあ、願い事を…!」
ほむら「その必要はないわ」
ほむらが駆けつける
QB「!!」
ほむら「こいつを仕留めるのは、私」
QB(暁美ほむら…! マミが殺されるのを近くで待っていたのか…!)
ほむらは魔女の攻撃をことごとくかわすと、
口に大量の爆弾を放り込んだ
魔女は内部から破壊されて消滅した
胃の中のマミが灰になって落ちる
ほむら「…命拾いしたわね、あなた達」
まどかさやか「…!」
ほむら「目に焼き付けておきなさい。魔法少女になるって、そういうことよ」
結界が消えた
QB(マミ…)
泣いているまどか達を尻目に、ほむらがグリーフシードを拾い上げる
さやか「…返してよ」
しえ
ほむら「…?」
さやか「返せよ。それは…それは、マミさんのものだ!」
QB「マミ…」グスン
ほむら(泣いている…?)
ほむら「…」
QB「うっ…うっ…マミが…マミが死んだ…!」
さやか「返せって言ってるだろ! 返せよ、マミさんに!」
ほむら(インキュベーターが『泣く』なんて…)
さやか「返せったら!!」
ようやくさやかを見るほむら
ほむら「…そうよ。これは魔法少女の為のもの。あなた達には、触る資格などない」
さやか「くっ…」
QB(マミ…君なら勝てるはずの相手だったじゃないか
どうして死んだんだ…どうして今日に限って油断していたんだ…
ああ、こんなことになるなら、あの時さやかを魔法少女にすればよかった…!
僕のせいだ…僕がマミを死なせてしまったんだ…!)
ほむら(どうなっているの…? 私がこの時間軸に来てからたったこれだけの期間で
インキュベーターがあんな演技を覚えたとでもいうの…?)
去っていくほむら
QB(僕らはマミを見殺しにした暁美ほむらに助けられて、亡骸に寄り添うことさえできない…)
さやか「うっ…うっ…マミさん…」
まどか「…」
QB(……。そうだ…一度魔法少女になったら、後は『死ぬ』か『魔女』か、だ…
忘れるな、これは当然の結果なんだ…。立ち上がらないと…
僕が次にやるべきことは、マミの後任を探すことだ…
まずは近くの魔法少女を召還しよう…それがいい)
QB「さやか…マミのことは、残念だった
でも、これでわかったろう…戦死って、惨いものなんだ」
さやか「…うっ…うっ」
さやかは頭を抱えるように泣きじゃくっている
QB(もう見たくないよ…こんなの…!
幸せが待ってると信じて、嬉しそうに笑いながら夢を叶えて…
でもその先にあるのはいつもこんな悲惨な結果だ…残酷すぎる)
まどかが放心状態で泣き続けている
ほむほむ
ほむ……?
まどまど...
――――――――――
――数日後、さやかの部屋
さやか「…何しに来たの」
QB「マミのこと以外で何か悩んでるようだったから、気になってね」
さやか「…はぁ」
QB「…君が上条恭介と会ってる所、見てたんだ」
さやか「覗きか…」
QB「いや…」
さやか「はぁ…まー見られて減るもんでもないけどさー…」
QB「君が前に言ってた願いって、やっぱり恭介のことかい?」
さやか「…うん。まぁねー…」
QB「彼のことは、気の毒に思う……」
さやか「…どうして、恭介なんだろう」
QB「仕方ないよ。悔しいけど、世の中は理不尽なことだらけだ」
さやか「…どうして…マミさんだったんだろう」
QB「…」
さやか「あたしさ、あの時のこと、今でも忘れられないんだよね」
なじるような目でキュゥべえを見るさやか
QB「あれは…確かに僕の責任だ。結界に入った時点で、いや…君の決意を知った時点で
君の願いを聞いていれば、マミを死なせずに済んだかもしれない…」
さやか「…」
QB(お願いだ、そんな目で見ないでくれ…君を危険にさらしたくなかっただけなんだ
あのマミがやられるなんて思わなかったんだ。マミに任せればいいと思ったんだ…)
さやか「…ごめん。あんたに当たるつもりはなかったのに」
QB「ううん。悪いのは僕だから…」
さやか「恭介のこと、怒らせちゃったんだ…少しでも励ましたくて、
恭介に元気になってほしくて、いつも帰りにCD屋寄って…」
QB「うん…」
さやか「…迷惑だって言われちゃった。馬鹿だよね、あたしって…
いっつも人の気持ちも知らないで、出しゃばって、困らせて…」
QB「さやかは、人に優しすぎる…」
さやか「…そんなんじゃないよ。あたし本当は自分のことしか考えてない
誰かに褒められたかったり、ただかっこつけたいだけだったり…
相手の為だと思って頑張っても、やっぱどっかで見返りを求めてる…
あたしって、嫌な子だ…」
QB「…さやか」
さやか「…?」
QB「誰かが辛い思いをしてるからって、君が楽しく生きることに負い目を感じる必要はないんだよ」
さやか「…何よ、それ」
QB「誰だって幸せになりたいものじゃないかな…その為に誰かを守ろうとしたり、
励まそうとするのは、ずるいことでも何でもないと思う…」
さやか「…」
QB(…僕は最低だ。これからさやかの親友であるまどかを魔女にしようとしてるくせに
宇宙の為とはいえ、沢山の少女を騙して、絶望の底に投げ落として来たくせに…)
さやか「あのさ。もう1回だけ、確認していいかな…」
涙声で
QB「いいよ…」
さやか「自分が幸せになる為に頑張ることって、間違ってないんだよね…?」
QB「…ああ。きっと」
さやか「あたし…魔法少女になるよ」
QB「!」
さやか「恭介の手を治すことにあたしの願いを使う…
それから、マミさんの代わりに戦って、みんなを守る…!」
QB「さやか、それは…」
さやか「あんた今言ったよね、キュゥべえ…? それでいいって…」
QB「魔法少女になったら、君はきっと不幸になってしまう」
さやか「黙って見てるほうがよっぽど不幸だよ! マミさんが殺されて、恭介が荒んでいって…
今、誰も魔女を倒さなかったら、今度殺されるのはまどかや仁美かもしれない…!
恭介の手が治らなかったら、あたしはあいつのバイオリンを一生聴けない!
そんなの…絶対やだ」
QB「…その決断が、誰かを傷つけることになってもいいの?」
さやか「誰も傷つけないよ…絶対に。あたしは誰のことも死なせない
友達も家族も、誰一人悲しませたりなんかしない」
QB(君は幼すぎる…。マミがどんなに無理していたかわからないのかい?
まして、君は多分マミ以上に苦しむことになる…それでソウルジェムはすぐに濁って…)
さやか「……」
QB(…言えない)
QB「…わかったよ。君の言葉を信じる…」
さやか「じゃあ…いいの?」
QB「…」コクリ
泣きながら笑うさやか
QB(この顔だ…見てられないんだ。あまりにも無邪気で、無知で…)
キュゥべえは目を閉じた
QB「さあ…願い事を言ってごらん」
さやか「あたしは…、動かなくなった恭介の手を、元通りに治したい…
今までみたいに、立派にバイオリンを弾きこなす恭介に戻って欲しい!」
QB「…わかった。君の祈りは遂げられる…
見て。ソウルジェムが生まれるよ。しっかり手に取って
それが君の運命だ。君の祈りの結晶。魔法少女の証だ」
さやかはソウルジェムを両手で包んだ
QB(どうして僕は、自分の首を絞めてばかりいるんだろう
さやかと契約なんてしたら、回収効率そのものだって悪くなるに違いないのに…
いや、むしろ好機と取るべきなんだろうか?
まどかは壊れていくさやかを救う為に進んで契約しに来るかもしれない――)
さやかが倒れ込む
QB(何にしても急いだほうがいい…1ヶ月? いや、念の為2週間としよう
2週間でまどかと契約するんだ。さやかが魔女になってからでは、
まどかは魔法少女になることを本格的に拒否し出すだろう…
これは僕の責任だ。苦しまなきゃ…苦労して、目的を果たさなきゃ…!
その為には、さやかを死なせてはいけない。絶対に――!)
QB「さやか…早速だけど、僕からでよければ戦い方を簡単に教える…
動けるようになったら、ついておいで」
本編とはちょっと違いつつもやはり嫌な予感しかしない流れ
さやさや……
きゅっぷい
―――――――――――
夜道を歩いていくさやか達
QB(厄介なことになったな…まどかの件も悠長にはやってられないけど、
当分はさやかから目を離すほうが危険だ)
さやか「ねぇキュゥべえ。キュゥべえは、マミさんや他の魔法少女にも
こういうことやってたの?」
QB「何のことだい?」
さやか「ほら、戦い方を教えるとかって…新人教育みたいな」
QB「…君が初めてだよ」
さやか「じゃあ、どうしてあたしだけ急に?」
QB「特殊な状況なんだ。詳しいことは言えないけど、君に死なれたらすごく困るんだよ」
さやか「え…」
QB「僕自身には戦う力はないけど、何としても君を守らないと…」
さやか「ちょ、まさかあんた、あたしのことが…!」
QB「…君は犬や猫に本気で恋をしたことがあるのかい?」
さやか「じょ、冗談だってば! やだなーもう」
QB「あはは」
さやか「…キュゥべえが普通に笑ってるとこ、なんか久しぶりに見た気がするなー」
QB「…? まだ出会ってからそんなに経ってないじゃないか」
さやか「いや、何ていうか…あんたっていつも何か考えてるみたいで
笑うのも無理に笑ってるっていうか、そういう感じじゃん?」
QB「そんなことはないよ」
さやか「うっそだー。何か隠してるんでしょ。悩み事かー?」
QB(自分は隠し事が下手なのに、こういう所は鋭いんだなぁ…)
QB「悩みの1つや2つ、誰にでもあるじゃないか。さやかだってそうだろう?」
さやか「まぁねー。でも、1人で抱え込むといいことないぞ
困ったことがあるなら、言ってくれればこのさやかちゃんが一肌脱いじゃうからね!」
QB「呆れて物が言えないよ、全く…まずは君自身の問題を解決したらどうだい」
さやか「大丈夫だって。きっと全部上手く行くって、あたし信じてるから
1つはあんたのおかげだけどさ」
QB「…僕に感謝しているのなら、それだけはやめてほしいな」
さやか「え? どうしてよ?」
QB「君を魔法少女にしたからだ。何度も言うように、これは恨まれても仕方のないことだ…」
さやか「またそんなこと言ってる。その性格どうにかならないもんかねぇ
そんなんじゃ女の子にモテないぞ」
QB「はいはい」
さやか「そういえばさ、キュゥべえ。あんたには願い事とかあるの?」
QB「…無いことはないね」
さやか「へぇ。それは是非とも聞いてみたいものですなぁ」
QB「まどかにも同じことを聞かれたよ。なぜそんなに気になるんだい?」
さやか「キュゥべえは他人の願いを叶えて回ってる訳でしょ?
それで、あんた自身はどうなのかなーって…いつも悩んでばっかだし」
QB「何ていうのかな…」
さやか「やっぱり、好きな人のこととか?」
QB「はぁ。君と一緒にしないでくれよ」
さやか「あはは、その言い方はひどいなー」
④
さやさやかっこいい
つーか、ネタもなしエロもなしとかVIPじゃなくて他でやれよ
??
QB「ごめんごめん。…そうだね、好きというのとは違うけど
ずっと頭の片隅に残ってて、僕を悩まし続けてる子なら、いるよ」
さやか「わーお! 誰誰?」
QB「さやかの知らない子さ」
さやか「その子も、魔法少女? って、んな訳ないか
あんたにとって人間は動物と一緒なんだもんねー」
QB「…魔法少女だったよ」
さやか「え…」
QB「今思えば、性格はさやかに似てたんじゃないかな。君みたいにお喋りではなかったけど」
さやか「あ…っと…ひょっとして、その子…死んじゃった、とか…」
QB「…いや? 生きてるよ」
さやか「…えっと、その、なんか…ごめん」
QB「全く。さっきの君の言葉をそっくりそのまま返さないといけないね
その性格はどうにかならないのかい?」
さやか「うっ…もう、こいつめ」
QB「僕に気を遣う必要はないよ。そのうち、嫌でも自分のことで精一杯になるだろうから」
さやか「…わかりましたよーだ。あ、そうだ。それで、戦い方っていうのは?」
QB「うん。ソウルジェムの反応はどうだい?」
さやか「えっと…うん。さっきから近くに魔女がいることは確かなんだけど…」
QB「いきなり手ごわい魔女は避けたいところだ。もちろんグリーフシードも欲しいけど、
まずは1人でいる使い魔を相手にしたいね」
さやか「あ、こっちだ…うん、反応が強くなった」
QB「…魔女と戦う気かい?」
さやか「当たり前だよ。あたしが魔法少女になったのはその為でもあるんだし
それに、あんたが守ってくれるんでしょ?」
QB「そうは言ったけど、実際に身を守るのは君自身だ。行くなら、しっかり気を引き締めて」
さやか「わかってる」
――廃工場の前
さやか「ここだ…間違いないよ」
QB「うん…ねぇ、さやか。聞こえる? 人の声がする」
さやか「本当だ…中に誰かいる。しかもいっぱい…」
さやさや
QB「魔女に憑かれてる可能性が高いね。助けるなら今しかないよ」
さやか「よーし…」
さやかは一度呼吸を整えてから変身した
QB「君には魔力が備わっている。身体能力は常人とは比べ物にならないはず
ただ、飛び道具がないのが欠点だ。邪魔な使い魔はその剣で斬り捨てて、
一直線に奇襲をかけよう。魔女の懐に入ったら、もう撤退はできない。倒すだけだ」
さやか「やってみる…」
QB「頑張って」
結界に入っていく――
――魔女結界
QB「あ! 見て、あれ!」
さやか「?」
まどかが使い魔に囲まれている
さやか「まどか!!」
QB「さやか、お願いだ! まどかを助けて!!」
さやさやきゅべきゅべ
さやか「言われなくてもわかってるよ!」
使い魔に斬りかかるさやか
まどか「さやかちゃん…!?」
ハコの魔女が新たに使い魔を多数召還
さやかは敵を数体斬り捨てると、すぐさま魔女の後ろに回り込んで打ち飛ばした
さやか「これでトドメだあああ!!」
魔女を叩き斬る
ハコの魔女が血しぶきを上げて消滅
結界が消えていく
QB(やっぱりさやかは典型的な突進型だ。小回りの効くタイプの魔女とは相性がいい
だけどそのくせ、力押しには滅法弱いだろう…
グリーフシードを自力で集めるには一工夫要る。どうしようか…)
まどか「…」
さやか「いやーごめんごめん、危機一髪ってとこだったね」
まどか「さやかちゃん…その格好…」
さやか「ん? あぁー! まぁ何て言うか、その…一応、前から決めてたことだし…?」
まどか「……」
さやか「だ、大丈夫だって! 初めてにしちゃあ上手くやったでしょ? あたし」
まどか「でも…」
近くで誰かの足音がした
まどかさやか「!?」
崩壊した倉庫の壁の向こうにほむらが立っている
QB「!!」
ほむら「…あなたは」
さやか「…フン、遅かったじゃない、転校生!」
さやかの後ろに隠れるキュゥべえ
ほむら(あいつの表情…)
QB(どうしよう…僕を見てる。よりによってまどかと一緒にいる時に来るなんて…)
ほむら(やっぱり、今までのインキュベーターとは何かが違うわ
やっていることは今までと変わらないけれど、本質的な所に別の何かを隠している
調べたほうがよさそうね。この時間軸で何が起きているのか)
さやか「…あんた、キュゥべえに何の恨みがあんのさ!」
さやさや
ほむら「…」
まどか「や、やめて…さやかちゃん。駄目だよ…喧嘩になっちゃうよ」
さやか「ごめん、まどかは黙ってて」
まどか「……」
さやか「何よ、転校生。あたしにグリーフシードを取られたのが気に食わない訳?
そんなに欲しけりゃあげるわよ」
ほむら「…」
さやか(駄目だ…本当ムカつく…! マミさんを見殺しにしたこいつだけは
どうしても許せない…! 今何か言われたら、殺しちゃうかもしれない…!)
ほむら「いいえ。魔法少女になってしまった以上、あなたにも必要なもの。奪い取ったりしない」
さやか「くっ…だったら何しに来たのさ! 何が言いたいの!?」
ほむら(あなたは何を言っても信じてくれなかった
真実を伝えようとしても聞く耳を持ってくれなかった)
さやか「黙ってジロジロ見てないで何とか言えよ!!」
ほむら(そして魔女になった…まどかの前で)
まどか「さやかちゃん!」
さやかにしがみつくまどか
さやか「ちょっと、何するのよまどか」
まどか「もうやめようよ…駄目だよ…喧嘩しないで…」
ほむら(もう、私も何て言えばいいのかわからない…どうするのが最善なのかわからないのよ
やっぱりあなたはこの時間軸でもまどかを苦しめるの?)
さやか「だって、まどか…! こいつは、こいつはあたし達の敵なんだよ…!?」
ほむら「…!」
ほむら(私が何をしても、あなたの運命が変わらないのなら…
いっそ、まどかの目の届かない所へ連れ去って、私の手で…)
まどか「敵なんかじゃないよ!」
さやか「どうしてそう言えるのさ!!」
まどか「ほむらちゃんは魔法少女でしょう…? それに同じクラスの友達だよ…?」
ほむら(まどか…)
まどか「ねぇほむらちゃん…そうだよね…?
ちゃんと話し合えば、私達仲良くできるよね…?」
ほむぅ……
さやか「信用できるもんか! こんな奴!!」
まどか「さやかちゃん!!」
ほむら(さやかの前では何を言っても無駄ね)
ほむら「今私の口から言えるのは…鹿目まどか、あなたは魔法少女になるべきではないということ」
まどか「ほむら…ちゃん…」
さやか「くっ…あんたに言われなくたって、まどかはあたしが戦わせない!
用が済んだらどこかへ行って。もうあんたの顔見たくないから」
ほむらが視線をキュゥべえに移す
QB「!」
ほむら「……」
QB(彼女は僕がどうしてもまどかと契約しなければいけないことを見抜いてるのか…?
『インキュベーター』の肉体が沢山あることを知ってくれてるのが唯一の救いだ
そのおかげで殺されずに済んでいる節がある…)
ほむら(問題はこいつをどうこうすることじゃないわ
ワルプルギスの夜を倒すまで、まどかを思い留まらせておくことが一番重要…
その為にはこいつの裏をかかなきゃいけない
全く新しいインキュベーターだとしたら、どんな話術を使うのか探りたいわね)
QB(彼女の目をごまかすのは僕には難しいだろう…
ただ、まどかの契約を止めようとするのには、必ず目的があるはずだ
その内情に沿う形でなら、妥協してくれる道があるかもしれない…)
ほむら(監視する? いえ…それはこいつにとって想定の範囲内
少なくとも、ここで会ったことで警戒し出すはず…多分ボロは出さないわ
それなら逆に、臆病な性質を信じて利用する? 待って…それこそ罠かもしれない)
ほむほむきゅべきゅべ
QB(だけど、これは果たして命を懸けるに値する取引だろうか…)
ほむら(とは言っても、タイムリミットは1週間と少し…
考えてる余裕はないわね。もう、やるしかない)
QB(制限時間は2週間…ここで引き下がったら勝ち目はなくなる
これも僕が殺して来た少女達の報いなんだろうか。もう、やるしかない…)
ほむら「キュゥべえ――」
QB「暁美ほむ――」
同時に切り出す2人
ほむら「…?」
QB「…!」
ほむら「…何かしら?」
QB「そ…その」
ほむら「…」
ほむほむ
続けたまへ
千円カットの店かと
書き溜めしてるとはよく訓練されたss書きだ
書きためないとなりゆきになってgdる可能性が高いしな
よく考えてみたらアニメとかドラマで二人同時に喋るシーン無いよね
QB(でも、どう言えばいい…何が彼女の逆鱗に触れるんだ…?
そして、ほむらは何を言おうとしたんだ…?)
ほむら(何か企んでるわね。真っ向勝負では勝ち目がないことは自覚しているようだけれど)
QB(ダイレクトにまどかの話を出すのはまずい…わからないけど、危険な気がする
まずは外堀から埋めていくんだ…反撃の予兆が見えたら、その時は一旦撤退する…)
QB「君は、美樹さやかについてどう思う…?」
さやか「キュゥべえ…?」
ほむら(さやか…? 意外な切り口ね)
ほむら「質問の意図がわからないわ」
QB「嫌いなのかい…?」
ほむら(多分、これは本題ではない。当たり障りのない部分を突いて
さりげなく情報を引き出そうとしている…)
ほむら「馬鹿な真似さえしなければどうでもいい。そうでないなら、それなりの手を打つだけ」
QB(あくまで一切の情報を与えないつもりか…ほむらはどうやって僕のことを知ったんだ?)
ほむら「話はそれだけ?」
QB「…君からも聞こう。さっき何か言いかけたろう?」
ほむら(複雑な話になるかもしれないわね。真相を知っているのは私とこいつだけ
いずれにしても、まどか達の見ている前では何もできない)
ほむら「あなたと2人きりになりたい」
QB「…!」
まどか「ほむらちゃん、それって…」
さやか「ふざけんな! キュゥべえをどうするつもりよ!」
ほむらがさやかの視界から消えた
さやか「…!?」
ほむら「話をするだけよ」
さやかの背後で、片手にキュゥべえをぶら下げている
QB「な…!!」
読んでるよー
支援
ほむら「大丈夫。こいつの安全は保証するわ。助け出そうなどとは考えないことね」
キュゥべえを肩に乗せて飛び立つ
まどか「ほむらちゃん!」
さやか「待ちなさいよ! ああ、くそ…!」
――キュゥべえは人気のない廃屋へ連れて行かれた
埃っぽい床の上に座らされる
QB(ここは…? …しまった、まずいぞ…弱みにつけ込む気だ…!)
ほむらは僕が怯えていることを知って――)
ほむら「いくつか聞きたいことがあるわ」
恐ろしく冷たい目つきでキュゥべえを見下ろす
QB「な…な、何…?」
QB(どうしよう…どうしよう! 拷問される…! 彼女は僕を憎んでると言っていた…
何を聞かれるんだろう…。駄目だ…、怖い…! 怖い…!!)
涙目になるキュゥべえ
ほむら「あなたにも答えやすいように、まずは簡単な質問から行くわ
あなたは、まだ鹿目まどかと契約するつもりなの?」
QB「…!!」
QB(一番嫌な質問だ…。『はい』と言えば邪魔者として始末される…
『いいえ』と言えばさっき一緒にいたことについて釈明を求められる…!
『魔女を探していたら偶然出会った』と言って、それを素直に信じてくれるのか…!?)
ほむら「…」
QB「そ…」
QB(……! 喋れない…!)
ほむら「…」
QB「あ…」
ダーン
ほむらが前触れもなく発砲した
キュゥべえの足元に弾痕がうがたれ、煙が上がった
QB「…!!」
ほむら「本当は傷つけたりしたくないのだけれど」
キュゥべえはほむらを見上げたまま声にならない声で泣いた
ほむほむ
ほむら「忠告を無視したわね」
QB「ひ……」
ほむら「わかっていたはずよ。痛い目に遭うって。それくらいの覚悟はあったのよね
私は前もってあなたに頼んだわ。まどかのことを諦めるように」
QB「ご……」
ほむら「それでもあなたはしつこくまどかに近づいた。それなら、もう――」
QB「ゆ……!」
ほむら「…?」
QB「ゆ…赦して……!」
ほむら(…何なの。一体何だというの、こいつ…)
キュゥべえは震えながら泣きじゃくっている
ほむら「…」
ほむら(…いけない。どうしたの…? こいつに同情しようとでもしたの?)
ほむら「何を怖がっているの? インキュベーター
あなたは殺されても何も問題ないはずでしょう?」
大きく首を振るキュゥべえ
QB「た、確かに…か、代わり…は、沢山…ある…けど、僕は…死にたくない…!」
泣き声が荒くなる
ほむら「『死にたくない』? そういうあなたはどれだけの魂を奪って来たの?
そんなあなたに生き続ける資格などあると思う?」
キュゥべえは倒れるようにうなだれた
QB「……ない…」
ほむら「…!」
QB「ないよ…わかってる…本当は……み、みん、な…こんな怖い、思いをして…
それでも…た、戦ってた、んだって…みんな…」
ほむら「…」
QB「僕のせい、だ…僕が、殺したんだ…! うぅ…!」
涙が床の埃と混ざる
ほむら(苦しそうな声…。さっきまでのは単なる『恐怖』から来る涙だった――)
QB「うわあああん――!」
ほむら(なのに、いつの間にか目の前の私のこと自体も忘れて、こんなに取り乱して…)
泣き叫ぶキュゥべえに尋問をためらう
ほむぅ……
きゅうべぇちゃんかわいいぺろぺろ
パラ…
ほむら「…?」
天井から細長い糸が何本か落ちるのが見えた
ほむら(蜘蛛の巣かしら…それにしては長すぎる…?)
ピシッ
それは床からも伸びて来た
ほむら(魔女――!)
続々と多量の糸が出現
あっという間にほむらの手足に強く絡みつく
カチャッ
持っていた拳銃が落ちた
ほむら(しまった…!!)
QB「!?」
景色が変わる
――魔女結界
縫いぐるみの姿をした使い魔が一面に涌いて出る
ほむら(拘束されたままでは手の打ちようがない…!)
QB(これは…魔女…!? どうしてこんな所に魔女が…!)
ほむら(…まさか、こいつが呼び出したの…?)
QB(僕は…助かったのか…? ほむらが動けないのなら、僕にとっては逃げ出すチャンス…)
ほむら(…いえ、そんなことができるとも思えない。きっと偶然だわ
今は勘ぐっている場合じゃない…!)
かろうじて、盾の中から口で拳銃を引き出し、左手に投げ移した
体を縛る糸の束に向けて発砲する
ドンドンドンドン
太い糸束の1つ、その中でもわずかな一部分だけが切れた
ほむら(くっ…! ただの銃弾では、水や砂のような『固体』としての性質の小さいものには
効き目が薄い…『糸』でも大量にある場合、同じことが言える…!)
糸がほむらの体を締め付ける
ほむら「うぅ…!」
QB(このままほむらが負けたら、僕は魔女と2人っきりだ…
だけど、この魔女は僕には攻撃して来なかった
それに使い魔達もただ輪を描いて歩いてばかり…
きっと魔女を和ませる役目を与えられているものだ)
ほむら(手榴弾なら解けるでしょうけれど…
この状態では私自身も爆発に巻き込まれてしまう…)
QB(ほむらが倒されてから、結界の中でさやかが助けに来るのを待つんだ…!)
ほむらに背を向けて走り出す
ほむら(あいつが逃げる…!)
QB(――待てよ…)
すぐに立ち止まった
QB(さやかをテレパシーでここへ案内したとして…
さやかは勝てるのか…? この『糸の魔女』に…)
空中に沢山の糸が集まって固まる
それはやがて人の形になり、魔女が現れた
顔全体に包帯を巻いている
QB(糸に対しては銃器より剣のほうが有効だろう…
だけど、さやか自身がほむらのように捕まってしまったら…?)
魔女が泣き叫ぶような声を上げてほむらに近付いていく
ほむら(…冷静にならないと。何もしなければ『ここで死ぬ』…)
盾から手榴弾を取り出す
ほむら(…大丈夫、根元から切ればこっちのもの…
縛られていても充分遠くへ投げられるわ…怪我で済む程度には…!)
QB(でも、ほむらなら…彼女なら、あの糸さえ解けば、きっと魔女を倒せる…!)
ほむらの方へ向き直り、猛然と走る
ほむら「え…?」
QB(糸口が掴めればいいけど…!)
キュゥべえはほむらの右腕に絡まった糸に噛み付いた
糸はびくともしない
代わりに、魔女本体がようやくキュゥべえに反応した
QB(この魔女、目が見えないんだ…糸は武器であると同時にセンサーでもあったんだ…!)
ほむらを縛っていた糸の一部が、キュゥべえを追い始めた
すかさず逃げるキュゥべえ
QB(やっぱり僕の力では歯が立たない…)
ほむら(今ので糸は少し減ったけれど――)
腕を力一杯引き寄せるほむら
ほむほむ
④
だめだもう、ほむほむはもっと優しくなって...
ほむほむ
ほ
穂村支援
ほむら(駄目だわ、まだ私の力ではとても解けない…
それにしても、あいつはどういうつもりなのかしら…)
追いついた糸束がキュゥべえの胴体に巻き付く
しかし、体が柔らかいおかげで即座に抜け出すことができた
QB(魔女は自分の結界というものをどの程度理解しているんだろう――)
キュゥべえは結界の中にあった巨大な机をよじ登った
糸が机の脚に巻き付いた
それから少し迷って、這い登るようにキュゥべえに迫っていく
QB(離れた位置からは見えたんだ…机の上に色んなものが置いてあるのが)
まもなく頂上にたどり着く
そこには裁縫用具が散らかっていた
QB(これを、ここから何とかして運び出す…!)
魔女の糸束がキュゥべえの尻尾の付け根を締め上げた
QB「…!」
引きずられながら耳の羽を巨大なハサミに引っ掛けるキュゥべえ
QB「重い…!!」
ハサミを道連れに机から転落する
尚もキュゥべえを放さずにいた糸束の上に、ハサミが開いたまま重なった
ドンッ
床に突き刺さり、糸を断ち切る
魔女は悲鳴を上げ、ほむらを手放してキュゥべえを壁に叩き付けた
QB「あうっ!」
キュゥべえが壁際に散乱していたクッションの山の中に落ちていく
ほむら(助かったわ――)
カチッ――
糸から解放され、時を止める
手榴弾を投げつけ、魔女の頭上に飛び上がり、ガソリンを振り撒いた
――時が動き出す
糸でできた魔女の体にガソリンが染み込む
手榴弾が本体に当たり、直後、爆発した
スタッ
ほむら「……」
ほむ
ほむほむ
ほむぅ
結界が消える
QB「……」
キュゥべえが目を閉じたままうずくまっている
ほむら(…まさかこいつに助けられるなんて)
QB「うぅ…」
うっすらと目を開ける
QB(結界がなくなってる…)
ほむら「…」
QB「…!」
QB(暁美ほむら…!)
ほむら(一度逃げようとしたのに、引き返して私を助けた…
騙そうとしているのなら、そんな回り道はしないはず…)
ほむら「…ひとまず、お礼を言わないといけないわね」
QB「お…お礼…?」
ほむら「ええ。助けてくれたお礼よ」
QB「さっきのはただ…君が死んでしまったら、僕も助からないと思ったからであって…」
ほむら「私があなたを殺すかもしれないとは思わなかったの?」
QB「結界が閉じたら、誰かが助けに来るまで出られない…
さやかを呼ぼうとも思ったけど、彼女はさっき契約したばかりで
今回みたいな複雑な魔女と会わせるのは不安だったから…」
ほむら(やっぱり今までの奴とは違う…『感情がある』としか思えない)
ほむら「あなたの名前は?」
QB「…? 僕の名前は、キュゥべえ…(知ってるはずじゃ…)」
ほむら「それはあなた個人の名前? それとも同じ生き物と共有している名前?」
QB「……」
ほむら「…」
QB「一個体としては、番号で呼ぶことは可能だけど…」
ほむら「…あなたは正直者のようね」
QB「……」
ほむらは変身を解いた
ほむら「さっきは泣かしたりしてごめんなさい」
QB「…泣き虫なんだ…」
ほむら「…あなたには、感情があるの?」
QB「……」
ほむら(何を考えているの…?)
QB「感情は、誰にでもあるんだよね…」
ほむら「…そうよ。私達人間は感情の生き物。物事を感じ取る媒体」
QB「人間は何の為に生きてるのかなぁ…」
ほむら「…少なくとも、あなた達に利用される為ではないはずよ」
QB「…本当はね、もう魔法少女とは関わりたくないんだ」
ほむら「…?」
QB「少女達の悲しい顔、見たくないんだよ…」
ほむら「……」
QB「君の言った通り、僕には感情がある…この個体だけ特別に…
これまで僕が見て来た世界では、感情というもの自体が、症例の少ない病気でしかなかった
僕自身もそう思ってる…。感情は病気だ。いつも苦しくて、苦しくて、本当に嫌になる…」
ほむら「魔法少女は、その苦しみが限界を超える時、魔女として生まれ変わる」
QB「…!」
ほむら「そんな残酷な運命を人に植え付けて回っているのがあなた」
QB「…知ってたんだ…」
ほむら「ええ」
QB「…憎まれて当然だ」
ほむら「わかってもらえたならいいわ。鹿目まどかには、もう構わないで」
歩き出すほむら
QB「…暁美ほむら」
ほむら「まだ何か?」
QB「…悔しいけど…それは約束できない」
ほむら「何ですって…」
QB「ほむら…君はなぜ、そこまでまどかを契約させたくないんだい…?」
ほむら「…あなたには関係のないことよ」
QB「僕は部外者じゃない…当事者だ」
ほむほむ
ほむ
ほむライス
ほむら「借りは作ってしまったけれど、どうしても譲らないつもりなら…
私は、あなたを敵と見なす」
QB「グリーフシードが目当てだと思ってた…
君は単にまどかの素質に気が付いてて、強すぎるライバルが現れるのを
恐れているだけだと思ってた…」
ほむら「…」
QB「だけど、根拠はないけど、本当は違うんじゃないかって、思い始めた…」
ほむら「興味本位で立ち入った質問をするべきじゃないわ」
QB「僕の目的を果たす為にも知っておきたいんだ…きっと君の協力が必要になるから…」
ほむら「論外ね」
QB「……」
ほむら「まどかを魔法少女にすることがあなたの目的なら、それを食い止めることが私の目的
条件も何もない。協力も妥協もしない。絶対に」
QB「…わかった」
ほむら「本音を言わせてもらうと、少し残念だわ…
命の恩人であるあなたと、これからも敵同士であり続けなければならないこと」
ほむヤムクン
QB「…1つだけ、頼んでもいいかな。さやかのことなんだけど…」
ほむら「……?」
QB「さっきも言ったように、さやかは未熟だ。それに、魔法少女には向いてない気がする…
できる限りでいいから、彼女を守ってあげてくれないかな…」
ほむら「…こうなってしまった以上、美樹さやかの運命は既に決定付けられたも同然
契約したのはあなたよ。もう私には、彼女をどうすることもできない」
QB「…言い訳はしないよ」
ほむら「ええ。聞いてあげるつもりもないわ」
ほむらは立ち去った
今度は引き止めなかった
QB「……」
QB(情報を整理しよう…。彼女は妙に事情に詳しかった
一通り調べるだけではあんな風にはなれないだろう…
何かを一方的に感知する能力があるんだろうか…テレパシーを傍受するような…
あるいは未来予知のようなもの…?
いや、それならさっきの魔女の攻撃も事前に予知してかわせたはず――
だけど無いとも言い切れないな…魔力の消耗を抑える為に
普段は能力を封印しているとしたら…)
ふと、連れ去られる前のことを思い出す
QB(そうだ…ほむらはあの時、瞬間移動のような技を使った…
あれがほむらの能力なのか…? 『神出鬼没にどこにでも現れる能力』…?
そうしていつもどこかから僕を見ているのか…?)
―――――――――――
――翌日、展望台
杏子「遅かったじゃん。せっかく来たんだから出迎えぐらいしろっつーの」
QB「ごめんね。ゆうべはちょっと忙しくて」
QB(まさか君が来るとは…)
杏子「ふーん」
ワッフルを食べながら双眼鏡を覗いている
杏子「で、1つ聞きたいんだけどさー。あの子は一体何なんだよ?」
QB「…青い髪の子かい?」
杏子「マミの奴がくたばったって聞いたからわざわざ出向いてやったのに、
なんで既に他の魔法少女がいるんだよ」
QB「あの子とは契約するつもりはなかったんだけど…泣き落としされちゃって」
杏子「しかし、こんな絶好の縄張り、あんなぽっと出のひよっこに
あっさり明け渡しちまうってのは気に入らないなー」
QB「…どうする気だい?」
杏子「決まってんじゃん。要するに、ぶっ潰しちゃえばいいんでしょ? その子」
あんあん!
QB「本気かい?」
杏子「だってチョロそうじゃん。瞬殺っしょ、あんな奴。それとも何?
文句あるってんだ? あんた」
QB「…それだけは勘弁してくれないかな…」
杏子「ああ?」
QB「実は訳あって、彼女に死なれると非常に困るんだ…
無理を承知でお願いすると、君にはむしろ、さやかを守ってほしいんだ…」
杏子「……」
QB「駄目、だよね…」
杏子「バーッカじゃないの? そんなことしてあたしに何の得があるってのさ」
QB(どうしよう…杏子と本気でぶつかったら、さやかに勝ち目はない…
マミがいない今、杏子を止められる人がいるとしたら、まどかか…)
杏子「…? 何難しい顔してんのさ」
QB(…暁美ほむら…)
QB「…全て君の思い通りに行くとは限らない。この町にはもう1人魔法少女がいる…」
QB(昨日はああ言っていたけど、意外と情に厚い所があるように見えた…
さやかが危なくなったら、僕に借りを返しに来るかもしれない…)
杏子「へぇ。何者なの? そいつ」
QB「僕にもよくわからない…」
杏子「はぁ? どーいうことさ。そいつだってあんたと契約して魔法少女になったんでしょ?」
QB「そう考えるしかないのは確かだけど…不思議なことに、僕にはその記憶がないんだ」
杏子「……」
QB「あの子は極めつけのイレギュラーだ…どういう行動に出るか、僕にも予想ができない」
杏子「フン、上等じゃない。退屈すぎても何だしさ。ちっとは面白みもないとねぇ」
ワッフルの最後の一口を口に放り込み、歩き出す
QB「…13日だけでいい」
杏子「…?」
QB「13日の間だけ、待ってほしい…守ってくれとは言わない
ただ、手を出さないであげてほしい…」
杏子「…あんた、キュゥべえだよね」
QB「え…?」
杏子「なんか、性格変わりすぎじゃない? ちょっと見ない間にさー」
QB「そうかな…」
杏子「そのさやかって奴に惚れてんじゃねーの?」
QB「それは違う…」
杏子「13日後に何がある訳?」
QB「悪いけど、今は言えない…だけど、その後は君の好きなようにしていい…
もう、口出しはしない」
杏子「……」
QB「……」
杏子「あんたもそんな顔するんだなー」
QB「…?」
杏子「まぁ、そこまで言うなら考えてやってもいいけど。あたしも鬼じゃねーし」
QB「本当かい?」
杏子「ああ。ただし、もし向こうから喧嘩吹っかけて来たら、そん時は知らねーよ」
QB「それなら大丈夫だ。僕からも釘を刺しておく」
杏子「あたしは例の『イレギュラー』って奴と遊んでるとするか。別にいいでしょ?」
QB「…構わない。けど、気をつけて」
杏子は後ろ向きに手を振って歩いていった
QB(よかった…)
―――――――――
その後
さやかがまどかとキュゥべえを連れてパトロールをしている
さやか「――あたし馬鹿だから、1人だと無茶なデタラメやらかし兼ねないし、
まどかもいるんだって肝に銘じてれば、それだけ慎重になれると思う」
QB「…そっか。うん、考えがあってのことならいいんだ」
QB(まどかがさやかに付き添うことは、チャンスにもピンチにもなり得る…
マミがやられた時、まどかは完全に震え上がってしまった
まして親友であるさやかがああなったら、きっと僕の声なんて聞こえないだろう…
チャンスが来るとしたら、それはほんの一瞬だ…
だから躊躇するな…! さやかを想うまどかの気持ちを、『利用』することを…!)
QB「…ところでさやか、君に1つ言っておきたいことがある」
さやか「え? 何?」
QB「この町に、君達の知らない魔法少女が来た。ベテランだけど、マミと違って好戦的な子だ」
さやか「ん…」
QB「というか、ちょっと事情があって、グリーフシードを集めることに必死なんだ
それで、ライバルである君の存在をあまり快く思ってくれていない…」
さやか「それってつまり…」
QB「ああ…ここに来た時、君をやっつける気でいた」
さやか「…!」
まどか「え…!?」
あんあん!
QB「だけど安心してくれ。さっき彼女と会って、君に手を出さないようにお願いしておいた
君から仕掛けない限り、特に問題ないだろう」
さやか「ほっ…」
QB「そんな訳だから、くれぐれも噛み付いたりしないでくれよ」
さやか「なーんだ、脅かさないでよ。大丈夫大丈夫、あたしがそんなことする訳ないでしょう?」
QB「ははは。わかってはいるけど、君にもちゃんと言っておくって約束したからね」
まどか「よかった…」
さやかのソウルジェムが反応する
さやか「ここだ…」
――景色が変わった
QB「この結界は、多分魔女じゃなくて使い魔のものだろう」
さやか「楽に越したことないよね。こちとらまだ初心者なんだし」
QB「なんだか君は本当に頼りないな。油断は禁物だよ」
さやか「わかってる」
ポコッ
後方から飛んで来た小さなボールが地面で跳ねた
さやか「!?」
無数のボールを引き連れた使い魔がラジコン飛行機に跨って頭上を通り過ぎた
まどか「来てるよ!」
さやか「任せて」
――変身
さやかが数本の剣を召還し、次々と使い魔に投げつける
キンッ キンッ
唐突に現れた魔法少女が空中の剣を叩き落した
さやか「!?」
QB(杏子…)
使い魔が逃げていく
杏子「ちょっとちょっと、何やってんのさ。あんた達」
まどか「逃がしちゃう!」
使い魔を追いかけるさやか
杏子がさやかの喉元に槍を突きつけた
さやか「…!」
QB「杏子!」
杏子「見てわかんないの? あれ魔女じゃなくて使い魔だよ
グリーフシードを持ってる訳ないじゃん」
さやか「だって、あれほっといたら、誰かが殺されるのよ!?」
杏子はたいやきを食べ始めた
杏子「だからさ…4~5人ばかり食って魔女になるまで待てっての
そうすりゃあちゃんとグリーフシードを孕むんだからさ
あんた、卵を産む前の鶏絞めてどうすんのさ?」
さやか「魔女に襲われる人達を…あんたは、見殺しにするって言うの!?」
QB「よすんだ、さやか! 彼女が例の魔法少女だ。落ち着いて、ここは引き下がるんだ!」
さやか「! …あんたなのね、あたしを狙ってたってのは…」
杏子「…キュゥべえ。どういうことさ? ちょっと話が違うんじゃねーの?」
QB「さ、さやか…お願いだから手向かわないで…!」
杏子「キュゥべえは何て言ったのかな? あたしと会ったらどうしろって言われた?」
さやかに詰め寄る杏子
さやか「うっ…」
杏子「ま、身の程わきまえろってこった。遊んでほしくなったらいつでもかかっておいで」
杏子が背を向ける
QB(ふぅ…。全く肝が冷えるよ…)
さやか(…あの転校生といい、こいつといい…魔法少女ってこういうもんなの?
グリーフシードの為に平気で人を見殺しにするような奴らなの…!?
許せない…こういう奴のせいで、マミさんは…!!)
さやか「だあああああああああ!!」
さやかが杏子に後ろから斬りかかる
QB「なっ…!!」
まどか「!?」
さやさやあんあん!
杏子は後ろ向きのまま槍で受け止めた
さやか「くっ…!」
杏子「はーあ。あんたさ、ひょっとして…」
たいやきの最後の一口を食べて中途半端に振り返る
杏子「…馬鹿?」
さやか「…あんたみたいな奴がいるから、マミさんは!」
QB「さやか! もういい、帰ろう! 不意打ちなんてどうかしてるよ!」
杏子がまどかとキュゥべえの前にバリケードを張った
杏子「うぜぇ…超うぜぇ! せっかくアドバイスしてやったっつーのに
あんたは人としての礼儀もわかんねーのか?」
さやか「黙れ!!」
杏子「キュゥべえには悪いけどさー。やっちゃっていい? この子
よっぽど殴られたいみたいだし、あたしも我慢の限界なんだわ」
QB「まずい…!」
さやか「うああああああ!!」
先に仕掛けたのはさやかだった
これだからさやかは…
さやかキチ○イじゃねーか…
チョッカイ出してきた杏子も悪い
いや、杏子は悪くない
まあこの時点の杏子はさやかからしたら一般人を犠牲にして甘い蜜を吸うクズってイメージだろうしな
マミさんと会って、マミさんの意思を継ごうって考えてるから尚更
にしてもバカだとは思うけど
あそこでちゃんと弁解しなかったほむほむの責任は重いですよ
まあさやかちゃんは馬鹿だけど
確かにさやかが馬鹿なのは変わらない
後ろから刃物で斬りかかるってのは殺人未遂だって理解してるんだろうかさやかちゃん
まぁ退くか殴るかで殴りにいくのはさやかの性格だけど、
この時点でさやかの他魔法症状への心証が最悪なのは仕方ないと思う。
>>175
魔法少女は人間じゃないから殺人ではないな
自分だって魔法少女なのに図々しい
全員コミュ障
さやかってほんと馬鹿
杏子は造作もなく打ち返し、本格的に攻撃を始める
キン キン バチッ
防ぐのがやっとのさやか
杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねーよウスノロ!」
さやか「くっ…負けるもんか!!」
まどか「どうして…。ねぇ、どうして? 魔女じゃないのに…
どうして味方同士で戦わなきゃならないの…?」
QB「……」
まどか「お願い、キュゥべえ…止めさせて…! こんなのってないよ…!」
QB(どうしてこうなるんだ…杏子は戦う気なんてなかったのに…
こっちから絡んだりしないって約束したじゃないか…!)
QB「…さやか! いい加減にしてくれ! 杏子に謝るんだ!」
キン キン ドゴッ
さやか「うっ…! …あんたはどっちの味方なのさ! キュゥべえ!!
こんな最低な奴に頭下げろっていうの!?」
杏子「口が減らないね。しょうがないから二度と喋れないようにしてやるよ!」
さやか「!!」
バキッ
QB(さやかの回復力は抜群だ…。だけど、杏子の攻撃力はそれを凌駕している…
お互いここまで熱くなってしまった以上、どっちかが倒れるまでやめてくれないだろう…
下手をすると、さやかは魔力が尽きて――!)
QB「まどか…」
まどか「何…?」
QB「これまでだ…。もう、君がやらなきゃ、さやかは殺されてしまう…」
まどか「……!」
QB「僕を赦してくれとは言わない…僕のせいなのに、僕には2人を止めることはできない…!」
まどか「……」
涙目になるまどか
QBは強く目を閉じた
QB「だから――!」
出かかった言葉が喉に詰まる
朝までよろしく
QB(…!? ――なぜ言い出せない…! 絶好のチャンスが来てるじゃないか…!
まどかがかわいそうか? そう思わない為に深入りは避けて来ただろう
卑怯? それが何だ…気にしてる場合か…! まどかは最高のエネルギーだ
それ以外の何だというんだ! 契約する…これで全て終わる…! これで楽になれる…!)
QB「け…」
バキッ ドカッ
QB「契約してくれ…! まどか、君が今ここで魔法少女になって、2人の仲裁に入るんだ…!
彼女達を止められるのは、強い魔法少女だけだ…!」
まどか(…そうだ…。私が契約すれば…!)
杏子がさやかの足を薙ぎ払う
さやか「うわ!」
ドサッ
杏子「終わりだよ」
杏子が渾身の攻撃に入った
まどか(さやかちゃん…!)
まどか「私…!」
ほむら「それには及ばないわ」
ほむらがどこからともなく現れる
まどか「…!?」
QB「ほむら…!」
ドゴーン
杏子の一撃でコンクリートの地面が砕けた
杏子(消えた…!?)
さやか「……?」
まどか「ほむら…ちゃん…」
杏子「…! な、何しやがったテメェ!!」
ほむらに槍を向ける杏子。そこにほむらはいない
杏子「!?」
ほむら「……」
ほむらが背後から杏子を見つめている
杏子「!!」
向き直って警戒する杏子
杏子「そうか…あんたが噂の『イレギュラー』って奴か
探してたんだよね。退屈しのぎの相手にさ。それにしても、妙な技を使いやがる…」
さやか「くっ…邪魔するな!」
ほむらはさやかの後ろに出現し、首に手刀を入れた
さやか「ッ……!」
バタ
杏子がバリケードを解く
まどか「さやかちゃん!」
倒れたさやかに駆け寄るまどか
QB「…大丈夫、気絶しているだけだ」
杏子「…何なんだあんた? 一体誰の味方だ」
ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵
あなたはどっちなの? 佐倉杏子」
ほむぅ……
杏子「な…! …どこかで会ったか?」
ほむら「さぁ。どうかしら」
杏子(こいつ…タダモンじゃなさそうだ。今んとこ、全てが未知数…
手品の種なんてのは蓋を開けてみりゃあくだらないもんだけど…
何もわからないまま突っ込んで行ったら一杯食わされるかもしれない…)
QB(杏子のことまで知っている…!? 杏子はこの町に来たばかりなのに…
一体いつ、どうやって調べたっていうんだ…?
こんなこと、特殊能力を複数持ってでもいない限り、できるはずない…!)
睨み合う杏子とほむら
杏子「……」
ほむら「…」
杏子「…手札がまるで見えないとあっちゃねぇ。今日のところは降りさせてもらうよ」
ほむら「賢明ね」
杏子はビルの上に飛び去った
ほむら「…」
QB「…ありがとう…ほむら」
ほむら「お礼を言われる覚えはないわ。頼みを聞き入れた訳でもない
まどかと契約する口実を、あなたに与えたくなかっただけ」
QB「……」
ほむら「鹿目まどか。一体何度忠告させるの? どこまであなたは愚かなの?」
まどか「! ……」
ほむら「あなたは関わり合いを持つべきじゃないと、もう散々言って聞かせたわよね」
まどか「…私は」
ほむら「愚か者の相手なら、私は手段を選ばない」
まどか「…!」
QB「…まどかを怖がらせないであげて」
ほむら「脅しのつもりはないわ。あなたには、それが伝わったはずよ。キュゥべえ」
去っていくほむら
まどか「ほむらちゃん…どうして…」
――――――――――――
――夜。さやかの部屋
ソウルジェムを浄化するさやか
QB「これでまたしばらくは大丈夫だ」
さやか「うわぁ…真っ黒」
グリーフシードを眺めながら
QB「もう危険だね。これ以上の穢れを吸ったら、魔女が孵化するかもしれない」
さやか「え…!?」
QB「大丈夫。貸して」
受け取ったグリーフシードを体に取り込むキュゥべえ
QB「キュップイ…これでもう安全だ」
さやか「食べちゃったの?」
QB「あはは、ちょっと違うかな…。それより、また次にソウルジェムを浄化する為には
早く新しいグリーフシードを手に入れないと」
さやか「これを綺麗にしておくのって、そんなにも大切なことなの?」
QB「…うん…すごくね…。あ、ほら。佐倉杏子は強かっただろう?」
さやか「…」
QB「余力が沢山ある分、魔力を出し惜しみせずに攻めることができる。それが杏子の強みだ」
さやか「だからって…グリーフシードの為に他の人を犠牲にするなんて…」
QB「杏子にも、彼女なりの事情がある。君は初対面であんな風になってしまったけど
あの子を悪く思わないでほしい…」
さやか「事情ねぇ…ううん。あいつに何があったか知らないけど
他人を食い物にしていい理由なんてある訳ない!」
QB(あの子は、普通の生き方はできなかったんだよ…
他にもやりようはいくらでもあったに違いないけど、
僕にもさやかにも、杏子を非難する資格はないと思う…)
QB「いずれにしろ、魔法少女とグリーフシードは切っても切れない関係にある
君がこれを集められない限り、杏子と戦っても勝ち目はないだろう」
さやか「はぁ…なんだかなー…
…マミさんだって、充分なグリーフシードを持ってた訳じゃないんでしょう?
でも、ちゃんと戦えてたよね。やっぱあれ? 才能の違いとかあるの…?」
QB「そうだね。それだけじゃなく、君は能力の特性上、普通に戦っているだけで
他の子達より多くの魔力を消耗する傾向がある
君の傷は放っておいてもすぐに治るだろう? それが原因の1つとなってしまっている」
さやか「うぅ…。ずるーい! 不公平だー!」
QB「こればっかりは仕方ないよ。何にでも個人差はある。杏子は素質がある上にベテランだし…
逆に、まどかは契約した時点で杏子くらいでは太刀打ちできない魔法少女になるだろう」
さやか「前にも言ってたね…。あのまどかがねぇ…」
QB(何度もチャンスはあったのに、僕はまだこんなことをやっている…
後回しにしたって何の意味もないのに…
…そうだ。さやかに後押ししてもらおう…僕1人では、荷が重い…)
QB「そこでなんだけど…こういうのはどうかな
君が単独でグリーフシードを集めるのは難しいし、杏子やほむらといった難敵もいる
それでも、まどかの協力があれば、どんな戦いもずいぶん楽になるはずだ
だから、僕と契約してくれるように、君から頼んでみてもらえないかな…」
さやか「ううん、駄目! …これは、あたしの戦いなんだ。あの子を巻き込む訳にはいかない…」
QB(…甘かったか…。逃げてばかりじゃ駄目なんだよなぁ…)
QB「…そっか。ごめんね。汚い仕事押し付けようとして…」
さやか「え? 何よそれ」
QB「……。大した意味はないよ。まどかと契約したいのはやまやまだけど、
魔法少女の苦悩を沢山見て来たから、自分で頼むのは気が進まなくて」
さやか「へぇー」
まどかが魔女化すれば地球終わるじゃん
QB的にそれは別にいいのかね
女の子に殺し合いやらせるより何がなんだかわからないうちに死ぬ方がいいってことじゃね
ノルマとかそういうのがあるんだよきっと
追いついちまった……
朝まであるよ、な?
ほ
し
実際ほむほむはQBに「まどかが魔女化したら地球終わるけどいいの?」って言えば良かったんじゃね
まあ地球がぶっ壊れるほどの魔女の絶望エネルギーだったら宇宙のエネルギー事情は一発で解決するって設定だろうけど
さやかが急にキュゥべえを抱き上げる
QB「うわ!」
さやか「やっぱあんたっていい子だよねー! ちっちゃい体して憎いなーこのこのー!」
QB「……」
QB(…どうして…?こんな風に誤解されるのが嫌で…
友達と思われるのが嫌で、仲良くならないように気をつけてたのに…
君には冷たいことだって沢山言ったじゃないか…なのにどうして…?)
QB「……」グスン
さやか「って、あれ…? あぁ、ご、ごめん、痛かった!?」
QB(…いいさ。笑うよ)
QB「ひどいよー! さやかは限度ってものがわかってないんだから!」
さやか「あはは、ごめんって」
QB「あはは」
QB(もう取り返しはつかない…。これはせめてもの罪滅ぼしだ…)
さやさやきゅべきゅべ
―――――――――
――2日後
さやかがキュゥべえを連れて恭介の家に向かっている
QB「本当について行っていいのかい」
さやか「ただちょっと話しに行くだけだから。それに、今更コソコソすることないでしょ
あたしとキュゥべえの仲なんだし」
QB「…そっか」
恭介の家の前
さやかがインターホンに手を伸ばしたところで
バイオリンの音が聞こえ出す
さやか「あ…」
QB「……」
聞き入るさやか
QB(恭介が弾いているんだろうか。さやかには、音だけで誰の演奏かわかるのかな…)
さやかがキュゥべえに笑いかける
QB「……」
曖昧に笑い返した
さやか「…帰ろっか」
QB「え? いいのかい? 会わなくて」
さやか「うん…恭介のバイオリン聴けただけで、あたしは満足だよ
今は邪魔しないでおきたいから…」
QB「わかった」
さやかが振り返る
杏子「…」
杏子が見ていた
さやか「…!」
杏子「会いもしないで帰るのかい? 今日一日追いかけ回したくせに」
QB「杏子…どうしてここに?」
杏子「ちょっとそいつの面倒見てやろうと思ってさ。使い魔なんか探したりして
魔法少女っつーものが何なのか、まだ全然わかってないみたいだからねぇ」
QB「…さやかなら、大丈夫だ…!」
あんあん!
杏子「なんであんたまでそんな怖い顔してんのさ? 別に取って食いやしねーよ」
さやか「何を言いに来たのよ」
杏子「キュゥべえから聞いたよ? この家の坊やなんだろ。あんたが契約した理由って」
さやか「…!」
QB「杏子! からかったりさせる為に教えたんじゃない!」
杏子「わかってるわかってる。あたしはただ先輩としてお説教しに来たんだ」
さやか「……」
杏子「全く。たった一度の奇跡のチャンスをくっだらねーことに使い潰しやがって」
さやか「く…! お前なんかに何がわかる!」
杏子「わかってねーのはそっちだ、馬鹿。魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを
叶える為のもんなんだよ。他人の為に使ったところでロクなことにゃあならないのさ
…巴マミはそんなことも教えてくれなかったのかい?」
さやか「…!!」
QB(何を…! …いや、落ち着け。杏子はさやかが憎くてこんなことを言ってるんじゃない…
そう、落ち着け…ここで僕が冷静でいないでどうするんだ…)
杏子「惚れた男をモノにするなら、もっと冴えた手があるじゃない。せっかく手に入れた魔法でさ」
さやか「…何?」
杏子「今すぐ乗り込んでいって、坊やの手も足も二度と使えないぐらいに潰してやりな
あんた無しでは何もできない体にしてやるんだよ
そうすれば坊やは今度こそあんたのモンだ。身も心もぜーんぶね」
さやか「…くっ…!」
杏子「気が引けるってんならあたしが代わりに引き受けてもいいんだよ?
同じ魔法少女のよしみだ。お安い御用さ」
さやか「…赦さない」
QB「杏子!!」
杏子「?」
QB「言いすぎだ! 撤回してくれ!」
杏子「……」
さやか「キュゥべえ…」
QB「君が本当に言いたいことは、僕にはわかる…
だけど、さやかに対してそんな皮肉はないだろ! ひどすぎるよ!」
杏子「…はぁ?」
QB「…! さやか、怒らないでくれ…。杏子は本気じゃない。本当は君の為を思って――」
杏子「あのさぁ」
QB「…?」
杏子「しょーじき、ムカつくんだわ。こいつ
甘ったれて生きて来ましたってのがモロに伝わって来るんだよね
言っとくけどあたしは本気だよ? 何だったら今すぐにでも――」
さやか「殺してやる…」
QB「さ…さやか…!」
さやか「お前なんか、いなくなっちゃえばいいんだ!!」
杏子「…ほーう。言っちゃったね。いい度胸じゃん。あんだけやられてもまだわからないなんて、
あんたよほど物分りが悪いんだねぇ」
QB「さやか、いけない。怒っちゃ駄目だ…!」
さやか「望むところよ…今度こそ終わらせてやる…!」
QB(駄目だ、聞いてない…! さやかはいつもこうだ…カッとなると周りが見えなくなる…
杏子もどうしてそこまでさやかに突っかかるんだ…!)
杏子「場所変えようか。ここじゃ人目につきすぎる」
さやさや……
―――――――――
――まどかの部屋
QB(まどか――)
まどか「ん?」
QB(まどか!)
まどか「え?」
窓辺からキュゥべえが覗いている
QB(急いでくれ…さやかが杏子と決闘しようとしてる)
まどか「ええ!」
QB(何度も申し訳ないけど、僕には止められないんだ…。ついて来て)
支援
――歩道橋の上
杏子「ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手に行こうじゃん」
チョコプレッツェルをくわえたまま変身する杏子
さやか「…」
さやかがソウルジェムを掲げる
まどか「待って! さやかちゃん!」
まどか達が駆け付ける
さやか「まどか!? 邪魔しないで、そもそもまどかは関係ないんだから」
まどか「駄目だよこんなの、絶対おかしいよ…!」
杏子「フン、ウザい奴にはウザい仲間がいるもんだねぇ」
ほむら「――じゃああなたの仲間はどうなのかしら」
杏子の背後にほむらが現れる
杏子「!」
ほむら「話が違うわ。美樹さやかには手を出すなと言ったはずよ」
杏子「あたしはその気はなかったんだけど、あいつがやたら刃向かって来るから…」
感情付ききゅうべえカワイイ
ほむら「それなら私がおとなしくさせるわ。手出ししないで」
杏子「…フン。じゃあこいつを食い終わるまで待ってやる」
くわえたプレッツェルを指差す
ほむら「充分よ」
QB(ほむらと杏子がグル…!?)
さやか「ナメるんじゃないわよ!」
まどか「…さやかちゃん、ごめん!」
まどかがソウルジェムを奪って橋から投げ捨てた
ポトッ
下を通りかかったトラックの幌に乗って運び去られていく
QB「あ!!」
ほむら「!」
ほむらが消えた
さやか「…! まどか、あんた何てこと…!」
まどか「だって、こうしないと――」
さやかがぐったりとまどかにもたれかかった
まどか「え…? さやかちゃん…?」
QB(まずい…いや、まずいどころじゃない…! 大変なことになってしまった…!
まどかがソウルジェムの秘密を知る…! 終わりだ…何もかも…!)
まどか「どうしたの…? ねぇ、さやかちゃん? 大丈夫?」
杏子「…?」
杏子が駆け寄ってさやかの脈を取る
まどか「や、やめて!」
杏子「…!? …どういうことだおい…! こいつ、『死んでる』じゃねーかよ…!!」
まどか「!?」
QB(嘘だ…嘘だよね…。こんなことになるなんて…。最悪だ……
嘘だろう…? 待ってくれ…これは、現実なのか…? 夢だろう…!?)
まどか「さやかちゃん…? ねぇ、さやかちゃん…! 起きて…? ねぇ…!
ねぇ、ちょっと…どうしたの? ねぇ…! 嫌だよこんなの! さやかちゃん!」
これは…
ほむぅ……
支援
QBざまぁ
ほし
やばい、眠い…
杏子「何がどうなってやがんだ…?」
QB「……」
杏子「おい!」
QB「う…うぅ…」
杏子「なぁ、何なんだよこれ! テメェ何か知ってんだろ!? 答えろよ!!」
杏子がキュゥべえを掴み上げる
QB「うっ…!」
QB(どうしよう…どうしたらいい…? 何て言えば納得してもらえるんだ…?)
QB「これは…」
QB(『納得』…? 何を考えているんだ…ふざけている場合じゃないだろう…!
今やるべきことは、一刻も早く――)
杏子「おいったら!!」
QB「…ソウル…ジェムを…」
杏子「あ!?」
QB「ソウルジェムを取り戻さないと…!」
さやかとかそのままDutchワイフにしたらいいよ
杏子「何言ってんのか聞こえねーよ!」
QB「は、早く!! さやかのソウルジェムを取り戻さないと!
行方がわからなくなってしまう!!」
杏子「質問に答えろ! さやかはどうなっちまったんだよ!」
QB(会話にならない…!)
QB「手を放して!」
杏子「ごまかすんじゃねぇ!」
QB「今すぐ放せ!!」
投げつけるように乱暴に解放する杏子
QB「あぐっ!」
潰れたままトラックの去った方に目を凝らす
QB(まだ見えるはずだ…僕の目になら。人間だったら双眼鏡が必要になってしまう…
トラックのナンバーを見るんだ…所有者に連絡して、行き先を調べるんだ…!
絶対に…絶対に壊さないように沢山お願いして…! 無事に取り返すんだ…!!)
トラックはとっくにカーブを曲がって見えなくなっていた
QB(そんな…!)
がんばれきゅうべえ
このQBは応援したくなっちまう
QBかわいいよQB
このQBなら許せなく無い事も無くもない
ジャキ
QB「!?」
杏子がキュゥべえの顔に槍を突きつけている
杏子「何してんだこら…!」
QB「…!」
QB(どうして……!)
QB「杏子…」
杏子「…」
QB「君達魔法少女は…ソウルジェムで肉体を操っている…」
杏子「…!?」
QB「魔力の届く範囲は…多く見ても100メートル程度だ…」
まどか「何言ってるのよキュゥべえ! 助けてよ! さやかちゃんを死なせないで!」
QB「…まどか…」
QB(落ち着け…。まだ手遅れって決まった訳じゃないんだ…そうだよね…?)
パニクってる状況が伝わってくるな
支援
冒頭でさやかの死亡が確定してるのが悲しいところ
QB「まどか…さやかは、死んでない…」
まどか「え…?」
QB(だけど、トラックはどこへ行ったんだ…? 手がかりも何もないのに、
見つけ出せるのか…!? いや、トラックが見つかったとして、
肝心のソウルジェムが道に転がってしまっていたら…!?)
QB「えっと…」
杏子「どういうことだよ!」
QB「それは…その…少し違うんだ…」
QB(! ほむらは…!?)
QB「ぐ、具体的に…説明する…」
杏子「…」
QB「魔法少女は、生身じゃないんだ…。魔女と戦う為に、肉体が傷ついて壊れても、
死なないように…魂を取り出して、ソウルジェムに変える…。それが、『契約』…」
杏子「な…!」
まどか「…!」
QB「ソウルジェムは…文字通り、魔法少女の魂…命そのものだ…
だから、なくしたり砕かれたりすると…体は抜け殻になってしまう…」
杏子「…ふざけんじゃねぇ!! それじゃああたし達、ゾンビにされたようなもんじゃねーか!」
QB「…こ、これが、魔法少女が『強い』理由の1つなんだ…
魂が、肉体と別の場所にあるから…致命傷を負っても、
魔力で治すことさえできれば、今まで通り…戦える…」
まどか「…ひどいよ…こんなの、あんまりだよ…!」
さやかの体にすがって泣きじゃくるまどか
QB(もう駄目だ…こんなに泣いてる…。まどかはもう、諦めるしかなくなってしまった…
僕のやって来たことは、『間違い』だった…。全て水の泡だ…
こんな結末の為に、無関係だったさやかまで…)
死んださやかの目を見る
QB(さやか――!)
ピト
ほむら「……」
戻って来たほむらが、ソウルジェムをさやかの手に乗せた
QB(ほむら…?)
さやか「…はっ」
息を吹き返す
まどか「!」
杏子「!?」
起き上がって周りを見るさやか
さやか「…何?」
キュゥべえは飛びつくようにさやかの服にしがみついた
さやか「えっ?」
QB「……」
体が震えている
さやか「キュゥべえ? ちょっと、どうしたの?」
QB「……」
さやか「…あれ…泣いてる?」
QB(僕は…さやかに何を言いたいんだろう。謝りたいのか…?)
まどか「キュゥべえ…」
杏子「な…」
QB「……」
さやか「ど、どうしたのよ? っていうか、あたし、今何してた…?」
―――――――――――
――さやかの部屋
ガチャ
部屋に入って机の上にソウルジェムを転がすさやか
さやか「…騙してたのね、あたし達を」
QB「……」
さやか「なんで教えてくれなかったのよ」
QB「……」
さやか「…答えてよ」
QB「…ごめん」
机に突っ伏して泣き出すさやか
QB「…本当にごめん…。あの話を先にしなかったのは、こっちの勝手な都合だよ…」
さやか「……」
QB「…さやか」
さやか「…話しかけないで」
何このQB…かわいすぎるでしょうちょっと
このきゅうべえみたいに感情を持ってしまうと、仕事が進まない。
現実のサラリーマンみたいだな
QB「…僕は、君を魔法少女にしてしまった。恨まれるのは、覚悟の上だった…」
さやか「……」
QB「…初めからわかってたのに…。それでも、君と契約してしまった…」
さやか「…」
QB「…ごめんね」
音を立てないように去っていくキュゥべえ
さやか(『ごめん』? 謝って済むことじゃないでしょ…!
キュゥべえはどうしてあたし達をこんな目に遭わせるの? なんでこんな体にしたの?
あんたのこと信じてたのに…!)
顔を伏せたまま拳を握る
(QB『魔法少女になったら、君はきっと不幸になってしまう』)
さやか「……」
さやか(…そっか。こういう意味だったんだ。最低だよね
そうやって前もってごまかしておけば『嘘は言ってない』って逃げられるもんね
あんたは騙されたあたし達が悪いって思ってるの?)
さやか「……」
さやさや……
いつも思ってたが、肉体と魂が分離することがそんなにショックな事なのか
さやかぁ…
さやかスは考え方が自己中心的ですね
さやか(……馬鹿じゃないの、あたし。何考えてるんだろ…。最低なのはあたしのほうだ…
キュゥべえはずっと、契約したがるあたしを引き止めてたじゃんか…
やめたほうがいいって何回も言われたのに、それでも無理に頼んだの、あたしじゃん…
いつも何か考え込んでたのも、無理して笑ってたのも、
それって…全部あたしが原因だったんじゃん…
毎回あたしが馬鹿やる度に、キュゥべえは、あたしの代わりに悩んでたんだ…
時々キツいことも言うけど、あいつはあたしみたいに八つ当たりしたことないし…
なんでキュゥべえの気持ち、少しも考えなかったんだろ、あたし…)
机から少し顔を離す
さやか(キュゥべえに謝らないと…)
さやか「ごめん、キュゥべえ…。ちょっと、言いすぎた…」
返事はない
さやか「本当、ごめんって…」
振り向くさやか
キュゥべえはいない
さやか「……」
さやか(出てっちゃった…。…ひどいこと、したな…)
さやかちゃん頭の回転早いな
本当面白いな
―――――――――
――翌日の夜。ホテル一室
QB(悪い夢だったんだ――)
キュゥべえが窓から杏子を覗いている
QB(魔法少女と友達になるなんて、悲しいだけ…。全部、夢だったんだ
みんなと一緒に過ごした目的は、幸せになることなんかじゃない…
僕1人の感情なんか、どうでもいい…。宇宙全体の問題なんだ
…いや、そもそも僕が、あの子達の笑顔を見たいと思うこと自体、おこがましい)
QB「杏子」
QB(僕は間違ってたんだ。僕は病気だ)
杏子「ん? …キュゥべえ…!」
ガラッ
杏子「何しに来たんだよ」
QB「伝え忘れたことがあってね」
杏子「何さ」
QB「まず、無意味なのはわかってるけど、きちんと謝らせてほしい…」
杏子「…」
QB「黙っててごめん…あの頃の僕は、人の気持ちを全く理解できなくて…
それで、やっとわかるようになっても、昨日の事故が起こるまで、ずっと言いづらくて…」
杏子「…フン。かしこまって何言い出すかと思えば、そんなことか
そのことなら、あたしはもう割り切ることにしたから別にいいよ
この体のおかげで好き勝手できてるんだしねー」
QB「それから、さやかのことなんだけど…」
杏子「…さやかなら、さっき会ったよ。お前に謝りたがってた」
QB「…」
杏子「お前にひどいことしちまったって。…そう言ってた」
QB「…さやかは、優しすぎる。僕があの子をどれだけ傷つけたか――」
杏子「あー、それについても話したんだけどさー。あいつは意外と前向きだよ
まぁ、あたしとは正反対の方向にだけどな…」
QB「…そう。…本題に入るよ。簡単なことだけど」
杏子「ああ」
QB「あと、10日だったよね」
>>240
これは、まどまぎのシナリオの中でも不可解な部分だよね。
さやかがゾンビって言葉に過剰反応しすぎなだけかもな。
実際、杏子もほむらも、そのこと自体にはそこまでショック受けてるわけじゃなさそうだし。マミも、魔女化のことさえしらなきゃ大丈夫だったんじゃね
杏子「…?」
QB「この間話したろう? 『13日間だけ見逃してくれ』って」
杏子「あぁ…あれのことか」
QB「あの話は無しだ」
杏子「ああ? 無しって何だよ。どういうことさ?」
QB「もう、さやかは君の好きにしていい。それだけ伝えに来た」
QB(まどかはもう…契約してくれないよ。魔法少女の本当の姿を見てしまったから
危険な戦いだとか、魔法少女同士の抗争だとか、そんなレベルじゃないんだ…
さやかの犠牲によって、まどかは救われてしまった…
…そして僕は、数え切れないくらいの少女達に、まどかの肩代わりをさせなきゃならない)
杏子「おいおい、一体何なんだよ…。あ、ひょっとして…」
QB「?」
杏子「あれってワルプルギスに関係することか?」
QB「…『ワルプルギスの夜』…?」
杏子「ほむらの奴から聞いたんだけど、もうすぐあれがこの町に来るって…
なんだ、お前知らなかったのか?」
>>248
マミさんはどっちにしろ契約しないと死ぬから多分受け入れるだろうからな
QB「そんな…信じられない。第一、なぜほむらにそんなことがわかるんだい?」
杏子「さぁね。あいつもそれは教えてくれなかった
まぁそんなこんなで、1人では倒せるかわからねーから協力してくれって言われたんだ」
QB「それで仲間になっていたのか…」
QB(また謎が深まったな…情報が本当だとしたら、やっぱり予知能力を持っているんだろうか
『瞬間移動』と『未来予知』…2つの特殊能力を併せ持つ魔法少女…?
待てよ…1つの力を2つの目的に応用しているということは考えられないだろうか
未来のことがわかって、尚且つゼロ時間で違う位置へ移動できる…
…『ゼロ時間』? …時間を数値に置き換えると、未来はプラス、過去はマイナス…
『ゼロ』はその中間…ほんの1秒も先でない、現在…この『瞬間』…『瞬間移動』…!
もし時間を止めることができたら、それは可能になる…!
そして、もし時間を進めたり戻したりできたら、擬似的に未来を知ることができる…
…『時を操る能力』か…!?)
QB「杏子…、ワルプルギスの夜が具体的にいつ現れるか聞いているかい?」
杏子「聞いた時は『1週間後』って言ってた。あたしがさやかと戦った次の日にな」
QB「あと4日しかない…!?」
杏子「なーに、慌てることねーよ。もし本当にワルプルギスが来たとしても、
あたしとあいつで2人がかりなら何とか倒せるだろうしさ」
QB「そうだといいけど…」
QB(――どうして?)
杏子「さやかの奴が出しゃばんなきゃいいけどなー。あいつがいたらむしろ足手まといだ」
QB(ワルプルギスの夜が現れたら、この町は滅茶苦茶だ…
だからって、なぜ、僕がそのことを気にする――?)
QB「……」
QB(杏子とほむらが共闘しても勝てるかどうか、ギリギリの相手だろう…?
それなら、2人が負けたら、『どうなる』?)
杏子「…まだ気にしてんのか?」
QB「…いや」
QB(誰かが代わりにこの町を守らなければ、大惨事は免れないということになる…
…あったじゃないか。否が応でも僕と契約せざるを得なくなるシナリオが…)
QB「…さやかのことなら、別に…」
支援
記念パピコ
QB(そうだ…この話をまどかに知らせるんだ…まどかならワルプルギスの夜を倒せる…!
これを利用すれば…いや、『するしかない』
3人でワルプルギスの夜と戦うように言って…)
杏子「…ちょっとー? もしもーし。何ぼーっとしてんだ?」
QB「…そんなことないよ」
QB(違う…! 駄目だ、それでは『まどかはいざという時の最後の切り札』で終わる…
手始めに2人だけで戦って、もし本当に勝った場合、まどかの出番は来ない…
そしてチャンスは永遠になくなってしまう…!)
杏子「…やっぱ、お前変わったよ」
QB(わずか4日だ…4日以内に、何らかの方法でほむらか杏子、どっちかを排除するんだ…!)
QB「…変わってないよ」
杏子「いや、だって前と全然違うもん。なんか妙に哀愁漂ってるし」
QB「…僕は今までのままだよ。杏子」
QB(そうだよ…僕は人間を家畜程度にしか思っていない、
感情の無い、単なる『インキュベーター』だ…!)
―――――――――
――ワルプルギスの夜出現まで、あと3日
鉄塔の上から魔法少女達の動向を見張るキュゥべえ
QB(ソウルジェムを盗み出すのが一番手っ取り早いと思ったが…
杏子はあれからずいぶん注意深くなったし、ほむらに至っては近づくこともできない…
となると、ワルプルギスの夜が来る前に危険な魔女を見つけて
杏子に討伐を依頼してみるのが妥当か…)
QB「……」
QB(とても現実的ではないな…。いっそ、戦いの隙を突いて
僕の手でソウルジェムを砕いてしまうべきだろうか…いや、そんなの無理に決まってる…)
浮かない顔で歩いていくさやかを見つけた
QB(あれは…。制服を着ているということは、今日は学校に行ったのかな…
それにしてもひどく落ち込んでるな…杏子が言ってたことと食い違う
学校で何かあったんだろうか…)
QB「……」
QB(さやか…)
無意識に目を閉じるキュゥべえ
流石QB
ブレねぇな
ほむぅ……
QB(…。ゆうべ、杏子は言った。『さやかは足手まといになる』って
…そうだ。さやかをワルプルギスの夜との戦いに駆り出すんだ…
そうすれば、杏子はさやかに足を引っ張られて死ぬ…)
涙が滲んだ
QB(…さっきから僕は何を考えてるんだ。そんな簡単に行く訳ないじゃないか
こんな薄っぺらな能書きを垂れ流すなんて、自分で聞いてて恥ずかしい
感情のせいで思考能力は人間並だ…)
さやかが家に入っていく
QB(辛い思いばかりだ…。問題を起こしては解決することさえ躊躇して
毎日泣いて悩んで苦しんで、大量のジレンマを抱えては結果に関わらず後悔して…
もう…僕はいっそ死んだほうがいい…。新しい個体を呼ぶべきなんだ…
病気の個体ではとても役目を果たせない…)
ほむら「……」
キュゥべえを後ろから密かに見つめている
QB(だけど、怖いよ…君達のことを何とも思わなくなるのが…!
こんなに悩んだことさえ何だったのか理解できなくなってしまうのが…!
だから死ぬ前に、1つだけ贅沢を言いたい…!)
QB「赦してくれ…」
だが断る
QB(どんな顔で謝ればいい…? 僕は責任を取れない。君はどんなに傷ついてる…?
僕が死んだら君はまた自分を責める? でも、そんなのは違う…
ただ一言でいいから、『もう怒ってないよ』って、君の口から言ってくれ…!
さやか…。会いたいよ)
QB「…」グスン
ほむら「…やっぱり泣き虫ね」
QB「!?」
ほむらが歩み寄る
QB「…見てたのか」
ほむら「ええ」
QB「……」
ほむら「何を考えていたの?」
QB「…わからない。色んなことを同時に考えてた。…多すぎて自分でもわからないんだ」
ほむら「…そう」
QB「…暁美ほむら」
ほむら「?」
ほむぅ……
しえん
リボほむ×QBが至高
ほ
QB「…人間は、みんなこうなのかい…?」
ほむら「何の話?」
QB「みんな、いつもこんなに苦しみながら生きてるのかい…?」
ほむら「それはどうかしらね」
QB「…」
ほむら「罪人が苦しむのは当然のことよ」
QB「…それなら、僕も被害者だ。やりたくてやってる訳じゃないのに…」
ほむら「口を慎むことね。理由はどうあれ、あなたはどれだけ償っても
償いすぎるということはないわ」
QB「お願いがある…」
ほむら「そう」
QB「僕を、殺して…」
ほむら「……」
QB「僕が憎いだろ…?」
ほむら「…それはしない。あなたはこれからもずっと苦しみ続けるべき」
QB「…なら、ここから飛び降りる」
ほむら「それも私がさせない」
QB「どうして?」
ほむら「あなたが死ねば、元通りの計算高いインキュベーターが現れて、まどかに契約を迫る」
QB「…今の僕が、まどかと契約できないとでも思っているのかい?」
ほむら「ええ。その通りよ」
QB「…それはとんだ勘違いだ」
ほむら「…」
QB「僕はまどかと契約する為に、君や杏子を殺すつもりでいるよ…」
ほむら「私はともかく、なぜ佐倉杏子まで?」
QB「杏子から聞いたんだ…。3日後にワルプルギスの夜が来るって…」
ほむら「…」
QB「君達がいなくなれば、あの巨大魔女を倒せるのはまどかだけになる…
そこで、まどかの正義感に付け入って、半強制的に契約させる…」
ほむ
ほむら「立派な策略ね」
QB「…君のこと、ようやくわかって来たよ」
ほむら「?」
QB「君はこの時間軸の人間じゃない…。未来の世界で僕と契約して、
時間操作の魔術を得たんだ…そうだろう…? 過去の世界に何をしに来たんだ?」
ほむら「それはもう教えたはず。ついでに言うと、過去に戻ったのは
一度や二度じゃないわ。…繰り返した数だけ、まどかが死ぬところを見て来た」
QB「…」
ほむら「あなただけが悩んでいると思った?」
QB「…君はなぜ、そこまでまどかに…?」
ほむら「…そうね。どうしてかしら」
QB「…」
ほむら「…鹿目まどかは、私の唯一の友達だった。最期はワルプルギスの夜に
たった1人で立ち向かって、無残に死んでいった…」
QB「…!」
ほむら「私は、あの子の運命を変えたくて、あなたと契約した。それが始まり…
なのに歴史を繰り返すうちに歯車の狂いはどんどん大きくなって
気がつくと、いつの間にかまどかを救うことそのものが
全ての目的になっていて…今は自分でも何をやってるのかわからなくなる時がある」
QB「…そっか」
ほむら「皮肉なものね。手に入れようとするほど、欲しかったものは遠ざかっていく」
QB「…僕と君は、似たもの同士なのかもしれないね。僕もちょうど、そんな状況だ…」
ほむら「ワルプルギスの夜は2人で倒すわ。あなたの計画は終わり」
QB「…さやかはね、手が焼ける子なんだ」
ほむら「美樹さやか…?」
QB「あの子は本当に言うことを聞かない…」
落ちていく涙が風に流されてちらついた
ほむら「…」
QB「いつも…僕を悩ますんだ」
ほむら「…そうね」
ほ
キュゥべえが泣き顔のまま振り向いた
QB「さやかはどうなるの…? 君のいた未来では、さやかは元気だった…?」
ほむら「…はっきり言って、あの子は魔法少女としては欠点が多すぎる
あなたと契約した時間軸のほとんどで、ワルプルギスの夜が来るより先に魔女になった」
QB「そんな…」
ほむら「あなたにも予想できていたはずよ。なぜ契約などしてしまったの?」
QB「…断れなかったんだ…」
ほむら「…」
QB「あんな目で駄々をこねられたら『駄目だ』なんて言えないよ…!
僕はさやかの為に鬼になれなかった…!
さやかはマミが死んだことを自分のせいにしてて、
不自由なく暮らしてることにも負い目を感じてて…
僕は、そんなさやかの希望を叶えてあげたかった…!」
ほむら「…滑稽ね。さやかも、あなたも」
QB「…僕はもう、後戻りできない…。本来の目的だった『まどかとの契約』が、
今は僕に残された最後の希望だ…だけど、だけどやっぱり、どうしても、
振り払い切れないんだ、このどうしようもない恐怖と後悔が…!」
ほむら「…」
QB「さやかが、さやかが死んじゃう…!」
キュゥべえが足元へ近づいて、ほむらを見上げる
QB「さやかを助けて…! あの子は何も関係ない…
死なせないで…! 魔女にならないように、支えてあげて…!!」
ほむら「…どこまで虫のいいことを言うつもり?」
QB「…!」
ほむら「あなたがやろうとしているのは、私の大切な人を終わらせることなのよ…
それをやめないつもりでいて、どうして私に頼ろうなどと思えるの?」
QB「だ…だけど…」
ほむら「美樹さやかはどうにもならない。あなたが一番よく理解しているはずよ」
QB「……」
ほむら「思惑通りには行かないわ。まどかだけは、守り抜いてみせる」
ほむらが去っていく
QB「うぅ…」
QB(もう嫌だ…)
④
――――――――――
――さやかの家の前
1人で出かけるさやかをまどかが待ち受けていた
まどか「ついてっていいかな――さやかちゃんに、一人ぼっちになってほしくないの…だから」
さやか「…あんた、なんでそんなに優しいかな…あたしにはそんな価値なんてないのに」
まどか「そんな…」
さやかが俯いたまま泣いている
さやか「あたしね、今日、後悔しそうになっちゃった。あの時仁美を助けなければって…
ほんの一瞬だけ思っちゃった…。正義の味方失格だよ…マミさんに顔向けできない…!」
まどかは黙ってさやかを抱き締めた
さやか「仁美に恭介を取られちゃうよ…! でもあたし何もできない!
だってあたし、もう死んでるんだもん! 『ゾンビ』だもん!!
こんな体で『抱き締めて』なんて言えない…『キスして』なんて言えないよ…!」
QB「……」
QBが少し距離を置いて見つめている
まどか「あ…キュゥべえ…」
慰めてあげたくなる、だと…?
マジかわいいよQB
ほむぅ……
さやか「っ!」
2人がキュゥべえを見る
QB「…」
さやか「……」
さやか(なんでなんだろ…謝りたかったのに…嫌な言葉しか浮かんで来ない…)
QB(全然立ち直ってないじゃないか…。杏子には気を遣っていただけだったんだ…)
まどか「キュゥべえ…」
QB「…?」
まどかが走って近づく
まどか「さやかちゃんを、さやかちゃんの体を元に戻してあげて…?」
QB「…」
まどか「ねぇ、お願い…こんなの、ひどいよ…ひどすぎるよ…。さやかちゃん、かわいそうだよ…
さやかちゃんはただ、好きな人の怪我を治してあげたかっただけなのに…」
QB「それができたら…」
まどか「…?」
しえん
QB「できるとしたらどんなに気楽だったか…!」
まどか「キュゥべえはどうしてこんなことをするの…? どうして騙したりしたの…?」
まどかを無視してさやかに近づいていく
まどか「…」
さやかは目のやり場に困って顔を逸らした
QB「さやか」
さやか「…何よ」
QB「…慰めに来た…」
さやか「ふざけないでよ…」
QB「…!」
さやか「あたしをこんな体にしといて、今更『元気出せ』って…?」
QB「そんな風に考えないで…」
さやか「じゃあどう割り切れって言うのよ! どんな風に考えれば元に戻れる訳!?」
QB「さやか」
さやか「あんたのせいだ! あんたがあたしをこんな目に…!」
QB「…」
さやか(違うよ…違う…! 言ってることと考えてること、全然噛み合ってない…!)
QB「…実は僕、元は感情のない生き物だったんだ…」
さやか「え…?」
QB「だけど今、こうして君と一緒に色々考えながら、悩みながら、泣いている…」
さやか「…」
QB「ある魔法少女が、契約の願いによって僕に感情を与えたんだ…」
さやか「…そう…なんだ」
QB「はっきり言うと、こんなに苦しい思いをするのは、その子のせいだって思ってる…
だってそれまで、泣きたくなったことなんてなかったもん…!」
さやか「…」
QB「僕には、どうすれば君が立ち直れるのかわからない
君から離れて、考えた…一生懸命考えたんだ。だけど、やっぱりわからなかったよ…」
さやか「…うん」
さるよけ
キュゥべえは強く目を閉じた
体が震える
QB「僕を傷つけていいよ…。僕が君を傷つけたように、それと同じくらい痛めつけて…!」
さやか「!」
QB「遠慮はいらない…死んだって構わない…! 君の気が少しでも晴れるなら…!」
さやか「…」
QB「…」
QB(覚悟はできてる…)
さやか「…くっ…!」
さやかがキュゥべえを乱暴に拾い上げ、地面に投げつけようと振りかぶった
まどか「さやかちゃん!」
さやかの手が止まった
QB「うぅ…」
さやか「…できない」
さやかは脱力して膝をついた
歯を食いしばってキュゥべえを抱き締める
さやか「ごめん……!」
QB「さやか…!?」
さやか「あんたの言うこと、素直に聞いとけばよかった…!
嫌がってるのに、あたしが無理矢理契約させたんだ…こんなの自業自得じゃん…!」
QB(何を言ってるんだ…!?)
さやか「あたし、自分が魔法少女になれば何もかも上手く行くって思ってたのに…
現実はそうじゃなくて…。キュゥべえの言葉、軽く考えてたってわかった…」
QB「…」
さやか「きっと、あたしは本当のことを知っててもお構いなしに契約してた…
それでも、今回みたいに理由つけてキュゥべえを責めたと思う…
本当は謝りたかった…だって悪いのはあたしだもん…!」
まどか「さやかちゃん…」
まどかがしゃがみ込んでさやかの肩に手を置いた
さやか「あたしもうわかんないんだよ…。自分がどうしたいのか…どうしたかったのか…」
QB「…」
QB…
さやか「キュゥべえには、どうしたらいいかわかるんでしょ…?
あんた頭いいから…。教えてよ…もうワガママ言ったりしないから…」
QB「……」
さやか「…」
QB「…世話の焼ける子だ…本当に…」
さやか「…?」
QB「部屋に戻ろう…?」
キュゥべえを抱いたまま立ち上がるさやか
さやか「…うん」
まどか「私…」
QB「まどか…すまないけど、2人だけにしてくれ…」
まどか「あ…うん。ごめんね…じゃあね、さやかちゃん。またね…?」
さやか「え…帰っちゃうの?」
QB「君には少し、時間が必要なんだ…。まどかには帰ってもらおう…?
まどかはいつだって君を気にかけてくれているよ。明日、また会える…」
さやか「…わかった」
――さやかの部屋
さやかがベッドに腰掛けている
さやか「…あたしって…ほんと馬鹿…」
QB「…献身と自己犠牲を一括りにしようとするのが間違いだ…君は優しすぎる」
さやか「あたしは優しくなんかないよ…。さっきだって、
もう少しであんたに取り返しのつかないことするとこだった…」
QB(そんなことはない…悔しいけど、僕は何度死んでも償い切れない…
代わりのある僕の生命は、人間と比べたらほとんど価値がないんだよ…)
QB「…学校で、何かあったのかい?」
さやか「ん…」
QB「…」
さやか「はぁ…さすが、何でもお見通しだね…」
QB「よかったら話してほしいな…」
さやか「学校終わってから、仁美に『話がある』って呼ばれてさ…
あの子、前から恭介のこと好きだったみたいで…」
QB「ああ…」
保守
さるかい?
しえ
昼まで残っててくれ…
ヒロインさやかかよ!
いやむしろQBだろ。
主人公さやかでヒロインQBか
さやQとは新しい…
私待ってる
誰か朝まで保守してくれ……
お前ら俺のために朝まだ保守やっとけ
皆保守頑張れ
てかこの時間帯ってどの位の間隔で保守すれば良いんだっけ?
これぐらい
落としたら許さんぞ糞ども
ほしゅ
しょうがねえな
ほす
ほ
ほしゅ
保守
さやか「抜け駆けしたくないからって、わざわざそのこと教えてくれたんだ…
それで仁美、丸一日だけ待って、明日の放課後、恭介に告白するって…」
QB「…」
膝に置いた拳を強く握って泣き出すさやか
さやか「恭介の手を治したのはあたしなのに…あたしはずっと恭介に会いに行ってたのに…!
それなのに、黙って見てるしかないんだよ…! 仁美と恭介が付き合うとこ…!」
QB「…!」
QB(何だろう…この感じは…)
QB「さやか、志筑仁美は君にチャンスをくれたんだね…?」
なぜか声が震えた
さやか「…うん。だけど、あたし…!」
QB「…」
さやかは出かかった言葉を飲み込んだ
QB「…君は、生きてるよ」
さやか「…」
QB「ゾンビじゃないよ…」
さやか「…だって…」
ソウルジェムを手のひらに乗せた
さやか「これがあたしの姿なんでしょ…?」
QB「…」
キュゥべえはベッドから降りて鏡の前に立った
QB「君は喜びも悲しみも感じてる」
さやか「…」
QB「人間は感情の生き物。感じることが全てだ…」
さやか「…?」
QB「…知り合いがそう言ってた…」
さやか「…うん」
QB「僕は感情をもらってから、いつも苦しくて、苦しくて、それでも我慢して、
泣いて、泣いて…死にたい時もあった…。だから、感情は病気だと思ってた…」
さやか「……」
QB「だけど、よかったんじゃないかなって、時々思う…」
さやか「…?」
QB「マミやさやかのこと、こんなに好きになれたから…」
さやか「…!」
QB「辛いことばかりだけど、気がついたら『幸せだな』って感じてる時があるんだ…」
さやか「…そっか」
QB「君は恭介のことが好きだろう?」
さやか「…」
QB「さやかは人間だ。これ以上自分をいじめないで…」
さやか「…そんなこと言ったって」
QB「…君の想いを封殺させたりしない…。それは、僕が許さない…」
さやか「え…?」
QB(汚い手だって構わない…!)
QB「…シャワーでも浴びておいで」
さやか「な、何…?」
QB「話すことは話した。あとは君が笑顔で戻って来るのを待つだけだ」
さやか「な…」
QB「止まない雨は降らない。特に嵐の翌日は天気がいいものだ」
さやか「う、うん…」
QB「僕はそれに期待してる。それだけだ」
さやか「…ありがとう」
QB「はは」
さやか「なんか…気味悪いな、急に。はいはい、じゃ行って来るね」
QB「行ってらっしゃい」
さやかを見送るキュゥべえ
QB「……」
QB(寄り道か…? 時間はないのに。感情というのはワガママだ…
…逆だ。急がば回れ。これでいい。さあ行こう…。いいのか? そんなこと…
いいも悪いもない。さやかの為だ…
違う。さやかを利用する為だ…まどかと契約する為だ…!)
キュゥべえは密かに家を抜け出した
―――――――――
(ほむら『どこまで虫のいいことを言うつもり?』)
QB(人間にわかるのかい? 遊びじゃないんだ。戦争と同じだ
僕は聖人でも独裁者でもない。狡猾な蛇で愚かな悪魔
希望という麻薬の売人であり、宇宙という機械の歯車。やるべきことをやるんだ…)
―――――――――
――仁美の部屋
寝ぼけ眼の仁美にキュゥべえが向かい合う
(杏子『だからって強硬手段かよ? それでさやかが満足すると思うか?』)
QB(仕方ないじゃないか。こうでもしないと次の戦いへ進めないんだ
僕はさやかをワルプルギスの夜と会わせる…まどかを追い詰めて契約させる為に
まどかはやがて人類全てを地球ごと破壊し尽くすだろう…それでいい
少女達が魔女になって行く姿を、僕はもう見たくない)
仁美「あなたは…?」
QB「僕は……死神だよ」
仁美「死神…?」
QB「…志筑仁美。君に伝えたいことがあって来た」
キュゥべえは耳の羽で仁美の額に触れた
仁美「!」
QB「今から見せるのは、ある魔法少女が下した決断と、その結果だ」
仁美の頭に映像を送り込むキュゥべえ
仁美「さやか…さん…?」
QB「そう…君の友達だ。彼女は自分の魂と引き換えに、僕と契約して上条恭介の手を癒した
『契約』した者は、願い事が1つ叶う代わりに、魔法少女となる…
さやかは今、君達の為に血を流して戦っている」
ハコの魔女に操られる仁美達が見えた
仁美「これは…私…! ですの…?」
QB「…ああ。よく見るんだ。君は魔女に取り憑かれ、集団自殺の現場に入った…
あの時さやかが現れなければ、君は今頃この世にいない」
仁美「…!」
映像の中のさやかがまどかと抱き合って泣いている
キター
寝ないで良かった
QB「さやかは魂を抜かれた体で恭介と会うことを恐れた
泣いているのは、志筑仁美に恭介を取られると思ったからだ」
仁美「うぅ…」
QB「誰の為に払った犠牲なのか。…そして何を得られるのか。…何を失ったのか」
仁美「…もう、やめてください」
QB「君にも最低限の素質はあるだろう。志筑仁美。君はなかなか興味深い
僕と契約すれば、魂は取り出され、あの子のような過酷な運命を背負うことになる」
仁美「お願いですわ、こんなお話、やめてください!」
耳を塞いでうずくまる仁美
QB「…」
仁美「もう聞きたく――」
QB「『お願い』と言ったね。『話をやめろ』…それが君の願い事か」
仁美「!?」
QB「いいだろう。どんな奇跡も君の望むまま。容易い御用だ。君の祈りは遂げられる」
仁美「!!」
きてたーーーーーしえn
わかめには最低限の素質もないはずでは?
いや、野暮な事は言うまい……
――――――――――
――午前3時
さやかの部屋。土砂降り雨の音がする
キュゥべえがよろよろと机に上った
QB「はぁ…はぁ…」
さやかがベッドで横向きに眠っている
QB(さやか…)
コトッ…
口にくわえていたソウルジェムを机の上に転がした
透き通った『緑色』をしている
QB(杏子もさやかには甘いね…。僕もさやかに振り回されてばかりだ…)
鈍痛を抱えた腹を庇いながらベッドに飛び移った
さやかの横顔を見下ろす
QB「はぁ…はぁ…」
QB(後悔しないと誓ったはずだろう…? 体は元に戻らないけど、それが全てじゃない…
自分によく尋ねるといい…結果がどうなろうと後悔しない選択が見つかるはず…
なぜなら、君の運命は君自身のものでしかないからだ…)
キュゥべえは丸くなって、頭をさやかの額にくっつけた
(ほむら『今は自分でも何をやってるのかわからなくなる時がある』)
QB(僕もそうだ…。こうして奔走しているのが、さやかの為なのか、宇宙の為なのか…
どっちかを選べば、片方は犠牲になる…だけど比べたら価値の違いは一目瞭然じゃないか
僕は宇宙を優先するよ…
なのに、感情が邪魔するんだ…。まるで自分が2人いるみたいに)
QB「うぅ…」
QB(明日は辛い1日になるだろう…ここからが腕の見せ所だ…)
QB「おやすみ…さやか」
――――――――
――朝。ワルプルギスの夜出現まで、あと2日
さやか「ん…」
さやかが目を覚ました
キュゥべえは机の上で、さやかに背を向けたまま呼吸を整える
さやか「…キュゥべえ」
QB「おはよう。さやか」
さやか「ごめん。泣き疲れてたのかな…先に寝ちゃったみたい。…どこ行ってたの?」
QB「人をさらっていた。魔女の代わりに」
さやか「…はぁ…?」
QB「今日は恐らく君にとって大事な日のはずだ。諦めたつもりなら、考え直したほうがいい」
さやか「…何言ってんのよ」
QB「…すまないね。君が恭介から身を引こうとしているのが気に食わなかったんだ」
さやか「……」
ほ
保守
きゅべ?
保守
保守
QB「仁美は待ってくれると言っていたんだろう?」
さやか「…うん」
QB「事態を甘く考えるな。急いだほうがいい」
さやか「そ、そんな…また大袈裟な…。いいんだよ、あたしなんか…」
コッ コン コト…
緑色のソウルジェムを尻尾で落とすキュゥべえ
さやか「えっ……?」
QB「君1人が我慢すれば済む問題だと思ったら大間違いだ」
さやか「ちょ、ちょっと…これって…」
QB「あの子は緑色の目をしていた」
さやか「…!」
QB「志筑仁美を人質に取った。無理やり契約させて、誰にも見つからない場所へ誘い込んで、
そこでソウルジェムを盗んだんだ」
さやか「あ…あんたどういう――!」
キュゥべえが目を光らせて振り向く
ほ
Ho
QB「あの子の死体はこうしている間にも少しずつ腐食しているだろう
そして仁美の居場所は僕だけが知っている」
さやか「…!!」
立ち上がって机を叩くさやか
さやか「何てことするの!? 一体どういうつもりよ!」
QB「これは、僕からの、君に対する脅迫だ。日常は終わってしまった
恭介に全て打ち明けるんだ。君の気持ちも、契約のことも」
さやか「仁美は全く関係ないでしょ!?」
QB「そう思うなら尚更だ。言う通りにすれば仁美に会わせてあげる。迷っている時間はない
カラスについばまれてボロボロになった仁美にソウルジェムを返したいか?」
さやか「くっ…!」
俯いて膝をつくさやか
さやか「何なの…?」
QB「……」
さやか「なんでこんなことするのよ…!」
QB(立ち上がってほしいからだよ…。君は自分のことはすぐに諦めてしまう…
けれど誰かの為なら必死になれるはずだ。さあ、自分の力で走るんだ…!)
さやか「…仁美はどこ?」
QB「恭介に会えばわかる」
さやか「教えて」
QB「…誰の為に?」
さやか「それは…仁美の為だし、あたしの為…!」
QB「…口を割るつもりはない。君自身が放課後までに結果にたどり着けば間に合うだろう
僕は最後まで見守っている」
さやか「こんなこと…いくらあんたでも赦さないから…!」
QB(悪魔は悪魔らしく…)
QB「…それでどうする? 僕を殺せば仁美はこのまま時間をかけて白骨化するだろう」
さやか「…」
QB「簡単なことだ。恭介に告白すれば仁美は助かる。それが僕の提示した条件だ」
さやか「…あんたさ…」
QB「…?」
さやか「…もしかして、あたしの為にやってるつもりなの?」
QB「……」
さやか「…だとしたら、あんたは間違ってるよ…。何も悪くない仁美を巻き込むなんて!
こんなことされて嬉しい訳ないじゃん!!」
QB「僕の真意が何なのかも、君にとって最善かどうかも、どうでもいい
問題は『諦める』という選択肢がなくなったことだ」
さやか「…見損なった。こんな奴だったなんて」
QB「…」
QB(これでいいんだ…今は…)
――――――――――
――学校
仁美の姿がない
まどか「――さやかちゃん…それ、本当なの…?」
さやか「うん…ついさっきのこと。どうしよう、あたしがウジウジしてたせいで、仁美が…」
まどか「さやかちゃんのせいじゃないよ…」
さやか「それにしても、キュゥべえは本当何考えてんだろ…
あたしが仁美のこと助けなきゃよかったなんて言っちゃったから…?」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「…やっぱわかんないよ。あのキュゥべえが、あたしの恋愛なんかのことで
そこまでムキになってこんなことするなんて、やっぱ信じらんないよ…」
まどか「……」
さやか「今朝のあいつ、いつもと違った…。普段あんなに優しくて泣き虫で、
どんな時も親身になってくれたのに、なんか、人が変わったみたいに…
それこそ氷みたいに冷たくて、あたしが何言っても何とも思ってないみたいで…
…顔も少し怖かった」
まどか「…き、きっとキュゥべえはさやかちゃんに遠慮してほしくなかったんだよ…
上条君のこと、そのまま諦めないでほしかったんだよ…
キュゥべえは、さやかちゃんのことが好きで…」
さやか「…あんたはいいよね…気楽でいられて」
まどか「…!?」
さやか「あんたは魔法少女じゃないから、あたしが戦ってる時は後ろで見てるだけでいいもんね
それで、こんな時も結局傍観者でさ…大変な思いするのは、あたしばっかだ…」
まどか「……」
涙目で下を向くまどか
さやか「大切な友達を人質にされて、助ける為には仁美を出し抜かなきゃいけない…
どっちにしろあたしが悪者になるんじゃん…」
握っていた仁美のソウルジェムを見つめるさやか
まどか「さやか…ちゃん…」
――昼休み
屋上でさやかがフェンスに指をかけてうなだれている
その後ろに恭介
上条「さやか…。話って、何…? 深刻そうな顔して…」
さやか「……」
上条「…えっ、と…」
さやか「…恭介」
上条「うん…?」
深いため息をつくさやか
さやか「…仁美のこと、どう思う…?」
上条「志筑さんのこと…? 志筑さんが、どうかしたの?」
さやか(何から話そう…)
さやか「…前からあんたのこと、好きだったんだってさ…」
上条「え…?」
さやか「昨日聞いちゃった…。それで、本当は今日の放課後、あんたに告白するはずだった…」
上条「…」
さやか「…だけど、仁美は学校休んでる…」
上条「…うん」
さやか「…あのさ、恭介」
上条「…何? さやか」
さやか(…なんでこんなことになっちゃったんだろ…)
不意に涙がこぼれた
さやか(…やばい…何泣いてんのよ)
さやか「ちょっと、待ってて」
恭介に背を向けたまま
上条「…」
さやか(止まってよ…。これじゃ何も言えないじゃんか…)
さやか「……」
恭介が松葉杖をついて近づいて来る
フェンスを掴む手に力が入った
さやか「ごめん、待って」
横からさやかの顔を覗く恭介
さやかは顔を背けた
上条「…さやか?」
さやか「待ってってば…」
上条「…」
恭介は空いている手をポケットに突っ込んでフェンスに寄りかかった
目を閉じて少しうつむいている
さやか(あー駄目だ…頭真っ白…。仁美のこととか契約のこととか理路整然と話せそうにない…)
さやか「あたし…」
上条「……」
さやか「実は、その…」
さやか(言うぞ、言うぞ…)
上条「うん…」
さやか「恭介のこと…」
声が震えた
さやか「好きだよ…」
恭介が目を開けた
上条「……」
さやか(言っちゃった…)
上条「…そっか」
さやか「…?」
上条「それで、あんなによくお見舞いに来てくれてたんだ」
さやか「…うん」
上条「ありがとうね。色々と」
さやか「……」
ほ
支援
ho
ho-syu
ほしゅ
保守
ほ
保守
ほしゅ
上条「…さやかの気持ちは、とっても嬉しい」
さやか「……」
上条「…だけど、それならもっと早く言ってくれるべきじゃないかな…」
さやか「な…なんで…?」
上条「…さやかは志筑さんから僕のことを相談されたんじゃないのか…?
志筑さんの気持ちを知って、焦って抜け駆けするっていうのは、よくないと思うんだ…」
さやか「…!?」
上条「さやかのことは、友達としてこれからも変わらず大事にするよ
でも…そういう裏を知ってしまうと、恋人になろうっていう気にはなれない…ごめんね」
さやか「違う…」
上条「本当にありがとう。好きって言ってくれて」
さやか「違う…!」
上条「本当、ごめん…。でも、さやかに感謝してるのは嘘じゃない…
これからも、よろしくね」
泣き崩れるさやか
仁美……
終了
上条「…ごめんね…さやか」
さやか「違うって…! 抜け駆けとかじゃないよ…!」
さやかの肩に手をかける恭介
上条「さやか…気持ちはわかるし、こんなことでさやかを嫌いになったりしないから…」
さやか「仕方なかったんだってば…!」
恭介がさやかから目を逸らした
上条(やめよう…言い訳をしたくなるのは仕方ないことだ、さやかは悪くない…
これ以上聞く耳を持つのは返ってかわいそうだ…そっとしておこう)
上条「ごめんね…先に戻るね…」
歩き出す恭介
さやかは歯を食いしばったまま、震える手で床を殴った
それから少しの間だけ泣くと、走って恭介を押しのけた
上条「!」
泣きながら校舎に駆け込んで行くさやか
上条「さやか…」
キュゥべえが別の棟から一部始終を見守っていた
QB(充分だ…。杏子?)
杏子(んー? もういいのか?)
杏子がホテルの窓からキュゥべえを見ている
QB(うん。本当にありがとう)
杏子(ったく、付き合ってらんねーっつーの)
杏子は変身を解いた
杏子「終わったってさ。ほら、釈放だ」
一緒にいた仁美の背中を押す
仁美「ご迷惑をおかけしましたわ…」
杏子「いや。こっちこそ、キュゥべえの奴が悪いことしたね。あたしからも謝るよ」
仁美「いいんですの。今回のことがなければ、私は大切なお友達を裏切ってしまうところでしたわ」
杏子「青春してんねぇ。…ま、さやかみたいになりたくなければ、
あんたはキュゥべえの誘いには死んでも乗らないことだね」
深々とお辞儀をする仁美
あーあ
仁美「決心はつきましたわ。私自身が後悔しない為にも、恭介君に伝えて参ります
さやかさんが言えなかった、本当のことを」
杏子「ははは、あの坊やにはさやかなんかよりあんたのほうがよっぽど相応しいんじゃねーか」
――暗い表情で教室に戻って来るさやか
さやか「……」
まどか「さやかちゃん」
さやか「…ごめん。ちょっと疲れちゃった…」
まどか「大丈夫!? どうしたの、顔色悪いよ…保健室行こう?」
さやか「…ほっといて」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「…なんであたしが、こんな目に…」
まどか「…もしかして、告白…」
冷たい目でまどかを睨むさやか
まどか「…!」
さやか「…あんたは振られて落ち込んでると思ってるんだろうけど、そんなもんじゃないから」
まどか「え…?」
さやか「…仁美の件、うまく説明できなくてさ…なんか勘違いされちゃって
『友達を騙すような卑怯者と付き合うつもりはない』って…そう言われたんだよ」
まどか「そんな…駄目だよ…さやかちゃんはずるいことなんてしてないよ!
今からでもきっと遅くないよ…上条君に、ちゃんと本当のこと伝えよう!?」
さやか「言える訳ないじゃん!」
まどか「…!」
さやか「あたしは魔法少女です、あなたの手を治しました、
告白しないと仁美は死にますだから付き合ってくださいって言えっての?
あんたは何にも知らない恭介にそんなこと言って、信じてくれると思う訳!?」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「…もういいよ。どうでも。これで少なくとも仁美は助けられるんだ…」
まどか「こんなの…おかしい…絶対おかしいよ…!」
さやか「…帰るわ。早く仁美を探さないと。でなきゃ恭介に嫌われた意味なくなっちゃうから」
まどか「……」
――校門の前
キュゥべえが座っている
さやか「……」
QB「おかえり、さやか」
さやか「…来てたんだ」
QB「『見守っている』って言ったろう」
さやか「…仁美に会わせてよ。あたしは約束守ったよ」
QB「そのことなんだけど…僕はさやかに嘘をついたんだ…」
さやか「は…?」
QB「仁美のソウルジェムを見て」
さやか「な…なんでよ…」
鞄を開けるさやか
さやか「!?」
仁美のソウルジェムが、小さなセメントの欠片に摩り替わっていた
さやか「何よ、これ…!」
QB「ただの石ころだ。杏子の魔力で、形だけソウルジェムに変えていた
…仁美とは契約してないよ」
さやか「…!」
――――――――
――昨夜の出来事
ホテル一室
QB「――このまま見過ごしたくないんだ…これではさやかが報われない…!」
杏子「だからって強硬手段かよ? それでさやかが満足すると思うか?」
QB「…間違いなく怒るだろうね。だけど、恭介の為に沢山尽くしてきたさやかが
ここで追い出されるなんて、僕はどうしても許せないんだ…」
杏子「…あたしの時は、助けようともしなかったじゃないか」
QB「…!」
杏子「…まー今更文句言うつもりもないけどね
あの頃のお前と今のお前じゃだいぶ違うみてーだし」
QB「…ごめん」
杏子「悪いけど、お断りだわ。だいたい無茶苦茶なんだよ、さやかの恋敵を誘拐しろだなんてさー
さやかの奴もちっとはかわいそうだと思うけど…
人に手伝ってもらわなきゃ告白できないってんなら、所詮その程度の気持ちなんだろ
あいつのことだし、ほっといても何日かすりゃ忘れるんじゃねーの」
QB「…さやかは、真剣に悩んでる…」
杏子「お前もわかんない奴だね」
QB「…」
杏子「どうしてもって言うんならさ」
QB「うん…」
杏子「お前1人でやれば?」
QB「…!」
杏子「とにかくあたしは動かねーよ」
QB「…わかった。茶番に付き合わせようとしてごめん」
――その後、仁美の部屋
QB「――君にも最低限の素質はあるだろう。志筑仁美。君はなかなか興味深い
僕と契約すれば、魂は取り出され、あの子のような過酷な運命を背負うことになる」
仁美「お願いですわ、こんなお話、やめてください!」
耳を塞いでうずくまる仁美
キュゥべえが目を光らせた
仁美「もう聞きたく――」
QB「『お願い』と言ったね。『話をやめろ』…それが君の願い事か」
仁美「!?」
QB「いいだろう。どんな奇跡も君の望むまま。容易い御用だ。君の祈りは遂げられる」
仁美「――!」
杏子(おい! キュゥべえ! 何やってんだよ!!)
唐突にテレパシーが送られて来た
QB(杏子…!)
杏子(テメェ、気でも触れたか? どういうつもりだ!)
QB(…時間を稼ぐ為に少し脅かそうとしただけだ)
杏子(本当か? とにかく出て来い。お前、イカレてるよ)
QB(……)
杏子(話がある。来ねーんならこっちから行くぞ)
QB(…わかった)
QB「志筑仁美…契約は中断する」
仁美「え…?」
QB「用事が済んだら戻って来る」
仁美「……」
――仁美の家の前
杏子がリンゴをかじっている
QB「…話って?」
杏子「…お前、さやかに何の思い入れがあるんだ?」
QB「…別に」
杏子「じゃあさっきのは何なんだよ。どっからどう見ても異常じゃねーかよ」
QB「訳があるんだ」
杏子「言ってみろよ」
QB「…それは言えない」
紫煙
支援
④
私怨
ほ
ほっしゅ
おいついた④
保守
ほし
髪を掻き毟る杏子
杏子「ムカつく。あームカつく! はっきりしろよ!
困った時はあたしに頼るくせに、事情を聞けばダンマリじゃねーか!」
QB「……」
杏子「…説明しろよ。納得のいくようにさ。お前がここまでするぐらいだから、
何かあるのは想像ついてる。内容によっちゃあ協力しないでもない」
QB「…わかったよ」
杏子はリンゴを食べ終えて、小首をかしげながら腕を組んだ
仁美が窓から見下ろしている
QB「さやかのことは…もちろん好きだ。だけど、放っておけない理由はそれだけじゃない」
杏子「…?」
QB「ソウルジェムは君達の魂そのものだ。感情の状態によって、様々な変化が起こる…
例えば、深い悲しみや絶望に落ちた時、ソウルジェムは急激に穢れる…」
杏子「…!」
QB「それは長い目で見れば一時的な落胆であっても、穢れの量が一度限界に達すると、
ソウルジェムはその場で砕けてしまうんだよ…」
杏子「何だって…! それ、本当のことか…?」
QB「ああ、そうだ…。恭介が親友に取られるところを目の当たりにすれば、
1つのことに集中しすぎるさやかのことだから…どうなってもおかしくはないよね」
杏子「……」
QB(嘘は言ってない…でも杏子は鋭いから…)
杏子「なんでそんな大事なこと早く言わねーんだよ!」
QB「魔法少女なら、穢れを溜め込まないように普段から心がけてる…
だから、前もって言うまでもないだろうとたかをくくっていたんだ…」
杏子「ったく…お前は本当に肝心なところが抜けてるな」
QB「ごめん…」
QB(誤魔化し切れた…)
杏子「でもさー、こればっかりはしょうがねーだろ…
あたしやあんたがいくらバックアップしてやったって、
あんな立派な家の天才坊やが、こっちのお嬢様よりさやかを選ぶってのも考えらんねーし」
QB「それはわかってる…ただ、これまでの苦労や覚悟を全部タダで仁美に明け渡すよりは、
真っ向から当たって砕けたほうが後悔は少なく済むんじゃないかな…
そこまでしても駄目だったなら、僕ももう諦めるしかない」
杏子「…さやかは、死ぬってことか…?」
QB「…残念だけど。と言っても、打てる手をできる限り打っておけば、
助かる可能性だってずっと上がるはずだ」
杏子「…かもな」
ガチャ
家の中からパジャマ姿の仁美が出て来た
杏子「!」
QB「仁美…」
仁美「あの…死神さん…」
杏子「…?」
QB「何だい…」
仁美「これ…夢じゃないんですのよね…? さやかさんは、本当に魔法使いなんですのよね…?」
QB「…さっき見せた光景は全て事実だ」
杏子「お前が仁美か?」
仁美「はい…。あなたは…?」
杏子「あたしは佐倉杏子。さやかと同じ、こいつと契約した魔法少女だ」
仁美「よろしければ…その、契約について詳しくお聞きしたいのですが…」
杏子「やめとけ。魔法少女に興味なんか持つもんじゃねー
特にお前みたいな、裕福で何一つ不自由なく暮らしてる奴はね」
仁美「あなたはさやかさんのお友達ですの…?」
杏子「んー…まぁ、なんつーか。…否定するほど遠くもねーな。ああ、友達だ
事情はだいたい知ってるよ。上条って坊やを取り合ってんだろ?」
仁美「……」
―――――――――
QB「僕達は仁美に経緯を説明した。僕の考えた狂言誘拐についても…」
さやか「…」
―――――――――
仁美「さやかさんは私の大切なお友達であるだけでなく、命を救ってくれた恩人ですの
単に1日お待ちするだけでは、同じスタートラインに立てませんわ」
QB「君は、恭介がさやかの恋人になっても、さやかと友達でいられるかい?」
仁美「もちろんですわ。寂しくないと言えば嘘になりますけれど…
恭介君自身がさやかさんを選ぶなら、それが私にとっても一番の幸せです…
嫉妬の涙は一晩で終わり。心からお二人を祝福しますわ」
杏子(出来た子だな…)
仁美「さやかさんと対等である為にも、進んで協力しなくてはなりません
そうでなくては、恩を仇で返すことになりますもの」
QB「…ありがとう」
杏子「ったく…どうなっても知らねーからな」
変身する杏子
杏子「キュゥべえ。さやかが嫌がるってのは承知してるんだろうな?」
QB「…ああ」
杏子「なら取っとけ」
ドコッ
杏子は不意にキュゥべえの腹を蹴り飛ばした
QB「!!」
宙に浮いて背中から落ちるキュゥべえ
QB「うぅ…!」
仁美「死神さん!」
杏子「そいつの名前は『キュゥべえ』だ。死神じゃねーよ」
仁美「…キュゥべえさん。大丈夫ですか…?」
QB「平、気…何ともない…」
むせ返りながら立ち上がる
しえ
―――――――――
QB「それから杏子は偽のソウルジェムを作って、仁美を学校の近くのホテルに連れて行った
仁美はわざと誘拐されたんだ」
さやか「…どうして嘘なんかついたのよ。みんなして…」
QB「君にどうしても告白してほしくて、こんなやり方をしてしまった…
これくらいしか方法が思いつかなかったんだ…ごめんね」
さやか「そのおかげで恭介に卑怯者呼ばわりされたんだよ…?」
QB「それは誤解だ…恭介は今日1日の出来事で君を軽蔑したりしないよ」
さやか「なんでそう言えるのよ…。恭介のことなんて何も知らないくせに…!
あんたが余計なことするから――!」
QB「さやか」
さやか「……」
1人で歩き出すキュゥべえ
さやか「! ど、どこ行っちゃうの…?」
体ごと振り返る
QB「一緒に帰ろう?」
さやかは下を向いた
さやか「……」
無言でキュゥべえを拾う
それから、少し強く抱き寄せたまま歩いて行った
しえ
―――――――――――
――魔女結界
さやか「くっ! えい!」
さやかが魔女を滅多斬りにしている
粘液状の使い魔達がさやかに取り付く
ジュ…
腕やふくらはぎから煙が上がった
構わず魔女を斬り続ける
さやか「くっ…! もう、さっさと消えて!」
QB「……」
やがて結界が崩落した
まとわり付く使い魔が溶けていく
さやか「はぁ…はぁ…」
剣が重い
あちこちに深い火傷を負っている
倒れ込むさやか
キュゥべえがグリーフシードをくわえて駆け寄る
QB「さやか。よく頑張ったね。さあ、ソウルジェムを貸して」
さやか「うぅ…ちょっと、待って…」
皮膚のただれを癒していく
変身を解いてソウルジェムを差し出した
朝まで残っててよかった。
ほ
仁美がいい人過ぎて
さやかうぜぇ
いやこれはさやかよりも上條に問題が
支援
結局出し抜くうんぬんはただの理由だろ
ずっと一緒にいた幼馴染みが
そんなことするわけないって分かるもんだろ
さやかちゃんは幸せになれないで
円環の理に導かれるのがお似合いさ
――帰り道
下を向いたまま黙々と歩いていくさやか
QB「大丈夫…?」
さやか「…何が?」
QB「すごく痛そうだった…」
さやか「…平気。すぐ治るのわかってたし、もう慣れっ子だよ」
QB「…そう。ならいいんだ」
さやか「具合悪い訳でもないのに早退して、ずる休みみたいになっちゃったし…
これくらいの仕事はしとかないとね」
QB「…ああ。ともあれグリーフシードが手に入ったのは大きい…」
さやか「……」
QB(どうしよう、本音で話ができない…きっとさやかもそうなんだろう
…これが『気まずい』という状況なのか…嫌な感じだ…)
――夕方。さやかの家の前
さやか「…?」
恭介が壁にもたれて座り込んでいる
QB「恭介だ…」
顔を上げる恭介
上条「! さやか…」
さやか「あっ…」
杖にすがって歩み寄って来る
さやか(ちょっと…なんで恭介がここにいるのよ…何しに来たの…?)
キュゥべえがさやかの肩から降りた
QB「…行ってあげな」
さやか「え…う、うん…」
キュゥべえを置いて早歩きで近づいていく
さやか(な、何…? 何て声かけたらいいんだろ…)
朝まで残っててくれてよかった。
保守隊ありがとう。
上条「さやか…」
さやか「……」
上条「よかった…家にいないから心配したんだ…」
さやか「そ…そりゃ、どうも…」
上条「あの後早退したって聞いて、すごく怖かった…
さやかが僕の前からいなくなってしまうような気がして…」
さやか「あはは…またまた…」
さやか(何…?)
さやかは屋上での別れを思い出した
さやか「あ…そうだ、さっき…ごめん。突き飛ばしたりして…」
恭介は首を振った
上条「確かめたいことがあるんだ…」
さやか「え…?」
上条「志筑さんから聞いたんだけど…君は…」
さやか「…仁美が、何か言ったの…?」
へたれかみじょう
上条「君は…一体何をしたんだ」
さやか「は…?」
上条「僕は真偽を知らなくちゃいけない。僕の手が急に動くようになった理由を…!」
さやか「…!」
上条「さやか…君なのか? 君が僕の手を――」
さやか「な、何言ってんのさ。そんなことある訳ないじゃん」
上条「答えてよ…奇跡も魔法も、今なら信じられる気がするから…」
さやか「う……」
振り向いてキュゥべえの姿を確認する
キュゥべえはいなくなっていた
上条「さやか。僕の目を見て」
さやか「…!」
恭介が真剣な眼差しでさやかを見つめている
さやか「うぅ…」
しえん
上条「さやかは『奇跡はある』って言ってたよね…あれからすぐに奇跡は起きた
君が偶然だって言うならそれで構わない…僕もそうだと思いたい
だけど、もし本当だったら…?」
さやか「……」
恭介が杖を手放してさやかの肩を掴んだ
さやか「!」
上条「僕は、責任を取らなきゃいけない…!」
さやか「せ…責任って…」
上条「……」
さやか「馬鹿…」
上条「……」
さやか(…やっぱり、あんたはあたしのこと好きな訳じゃないんじゃん…
それで付き合ってもらっても、嬉しくなんかないよ…)
さやか「もう、やんなっちゃうなー。あんたはあたしを振った。あたしの恋もこれまで!
今日から心機一転、さやかちゃんは自由気ままに生きていくのでしたー
めでたしめでたし! さ、恭介は帰った帰った。あたしはもう吹っ切れてるからさ」
恭介は手を下ろした
ワルプルさんのやって来そうな空模様だ
支援
不器用な子達だ…
上条「さやか…」
さやか「そーいうことで! んじゃねー…」
語尾が震えた
歩き始めるさやか
さやか(これでいいんだよ…あたしなんか…)
恭介が後ろからさやかの服を引っ張った
さやか「…?」
上条「…何から何まで聞いてしまった…」
さやか「……」
上条「今ので、なんとなくわかったよ…全部本当だったんだって…」
さやか「な……」
上条「悪魔は本当にいるんだね…さやかは魂を売り渡したんだね…」
さやか「……」
上条「君の心はもうここにないってことなんだね…」
さやか「……」
おい、どっちに転ぶんだこれ…
上条「今までごめん…こんなになるまで、さやかを追い詰めてしまって…」
さやか「…信じるんだ」
上条「……?」
さやか「…魔法だとか、魂の契約だとか、そんなおとぎ話、本当に真に受けるんだ…」
上条「僕は、『さやかを』信じる…」
さやか「…!」
上条「いや…どうだっていいんだ…。奇跡が偶然でも必然でも、そんなのは関係ない
さやかが、どんな気持ちで会いに来てくれてたか、やっとわかったから…」
涙ぐむさやか
上条「その気持ちさえ本当なら、僕は安心してさやかを抱ける…。君に与えられたこの手で…」
さやか「……」
上条「今までの僕を赦してくれるなら、こっちを向いてくれ…」
さやか「…ねぇ、いいの? 恭介…あたしの体がどんなものか、知ってるんだよね…?」
上条「…うん」
別の未来だと信じたい
あれ?…あれ?え?期待して良いの?あたしたち期待しても良いのこれ
さやか「…あたしは嫌。だって、死んだ体で、中身もないのに動いたり喋ったりするんだよ…!?
恭介に触らせられないよ…こんな体…!」
上条「……」
さやかの耳に、鼻をすする音が聞こえた
さやか「あたし…」
上条「そんな思いをしてまで、どうして…!」
さやか「決まってんじゃん…恭介に立ち直ってほしかったからだよ…!
幸せになってほしかったからだよ…! たったそれだけのことじゃん…!」
上条「それがさやかの望みなんだね…?」
さやか「…うん…」
恭介が後ろからさやかを抱き締めた
さやか「…!」
上条「だったら、こうしていたい…」
さやか「なんで…」
上条「……」
雨が降っている
さやか「…放してよ」
上条「放さない」
さやか「…放してってば」
腕を振り解くさやか
上条「…」
恭介に向き直る
さやか「…こうでしょ」
向かい合ったまま、遠慮気味に抱き付いた
上条「! ……」
恭介がさやかの頭を抱き寄せる
上条「…ありがとう」
さやか(…どうしよう…嬉しすぎ…)
涙が流れた
上条「泣いてるの?」
首を振るさやか
しえん
上条「さやかは天邪鬼だな…」
さやか「うるさいな…」
上条「……」
さやか「…何、考えてる?」
上条「さやかの息が聞こえる」
さやか「…」
上条「心臓も動いてる」
さやか「…」
上条「これでも『死んでる』って言い張るの…?」
さやか「…あたしは…『ゾンビ』なんだよ…」
上条「さやかはさやかだよ。少なくとも、僕にとっては」
さやか「…うん」
上条「僕のさやかでいて」
さやか「…もう」
さやかじゃなく仁美を幸せにしてやってくれ…
―――――――――――
――廃屋の倉庫
ガンッ ガンッ ビキ
QB「はぁ、はぁ…!」
ドカ バリ
キュゥべえが壁に立てかけられたガラスに頭を打ち付けている
ガシャン
QB「うっ…く…」
額が何箇所か切れている
QB「はぁ、はぁ…」
QB(目を醒ませ。事態がどこへ向かっているかわかるだろう?)
ガン ガン ガン
QB「リア充爆発しろ」ガンガン
>>409
お前はさやかが嫌いなのか仁美好きなのか
>>411
不覚にもwwwwww
QB(腐り始めた手足を自分で切り落とすことぐらい人間でさえやっている…!
とっくに手遅れの魔法少女に一体何を入れ込んでいるんだ!)
ドン カシャン
QB(もうすぐ決着をつける時が来る。揺さぶりをかければまどかなら折れてくれるだろう
扇情でも脅迫でも何でもいい。『魔法少女になる』とさえ言わせればいいんだ
大丈夫、僕ならできる…! さやかもろとも首をはねてやろうじゃないか…!
人間との違いを見せ付けろ!)
ガシャーン
QB「はぁ、はぁ、はぁ…」
QB(やるんだ…いや、やれ! インキュベーター!!)
―――――――――
――夜。さやかの部屋
さやかがベッドの上で足を下ろしたまま寝転んでいる
さやか「……」
QB「ただいま」
さやか「おかえり」
ぼんやりと天井を見つめたまま
QB「…顔が赤いよ…?」
さやかは両手で顔を覆った
QB「…そばに行ってもいい?」
さやか「おいで」
片手を伸ばすさやか
キュゥべえがさやかの胸の上に乗って丸くなる
さやかは軽く手を添えた
QB「顔つきが変わったね」
さやか「そうかな…」
QB「…誤解、解けたみたいだね」
キュゥべえを抱いたまま体を横に向けて膝を引き付ける
さやか「…あー。…やばいわ」
QB「心臓の音、すごいよ」
さやか「…だよね」
QB「うん…」
さやか「あたし…ちょっと、大人になっちゃった…」
QB「?」
さやかが唇を濡らす
さやか「…あー恥ずかし」
QB「はは」
さやか「キス…されちゃった…」
QB「…そう」
さやか「…あーやだやだ! 何だろこれ…」
キュゥべぇを手放して再び顔を隠す
QB「……」
さやかから目を逸らしたまま尻尾でくるくると8の字を描いた
QB(『希望から絶望へ』…こんなにも残酷で悲しいものなのか…)
閉じた目から涙が溢れる
QB(なるほど…だから感情エネルギーは強いんだ)
顔を濡らしたままさやかに近寄った
さやかは虚ろな目で脱力し切っている
QB(さやか…)
さやかの頬にキス
さやか「え?」
QB「…」
QB(さよならだ)
さやか「ちょ、何…?」
QB「悪い知らせがある…」
さやか「あ、っていうか、あんた怪我してんじゃん。どうしたの?」
QB「どうでもいいよ」
さやか「…」
④
QB「君に最後の決断が迫っている…」
さやか「何よ、それ…」
QB「明後日、この町にワルプルギスの夜が来る…」
さやか「…?」
QB「魔法少女の間に伝わる、伝承の巨大魔女だ…
それは結界に身を潜める必要がないほど強大な力を持っていて、
具現しただけで天変地異が起こる、規格外の存在だ…」
さやか「……」
QB「魔法少女である君は、2つの選択肢から、1つを選ばなきゃならない
――『逃げる』か、『戦う』か」
さやか「…」
QB「失礼を承知で忠告させてもらうなら、君では到底歯が立たない相手だ…
まともに戦えば、恐らく再起不能…完全に『死ぬ』ことになるだろうね」
さやか「…!」
QB「さやかを失いたくない人がいる…。君自身は気に入ってなくても、大切な体だ…
ワルプルギスの夜には、杏子とほむらが対抗する…
勝てる保証はないけれど、『魔法少女だから』という理由で君が無理をする必要はない…」
しえん
さやか「…つまりさ…『逃げろ』って言いたいんでしょ…?」
QB「…確認したいだけだ」
さやかはしばらく手の中でソウルジェムを転がしながら考えた
さやか「…うん。やっぱり…逃げても、いいかな…」
QB「…!?」
さやか「あたしさ…恭介の手が治ってくれれば、他に見返りなんか要らないと思ってた…
魔女と戦うのだって、マミさんはずっと独りでやってたんだし、
あたしも『誰にもわかってもらえなくたっていい』、
『どんなに傷ついても1人で陰からみんなを守るんだ』って、そんな風に考えてた…」
QB「ああ…」
さやか「…なんだけど、今日…初めてはっきりと『生きたい』って思ったの…
あいつと離れ離れになるのが、嫌で嫌で仕方ない
それこそ『一生くっついていたい』って思った」
ソウルジェムを握り締めた
さやか「…だから…あたしが戦っても勝てっこないような魔女が現れるなら…
あたし…逃げるしかないよね…? あの転校生にヒーロー面されるのは悔しいけど…
あたしなんかが加わったら、きっと足手まといだし…」
QB(いつもいつも…君は…)
QB「ねぇ、さやか。君は今、幸せかい?」
さやか「うん…めちゃくちゃ幸せだよ。なんか罰当たるんじゃないのってくらい」
さやかが体を起こして笑いかけた
QB「…!」
QB(…苦しい…!)
QB「さや、か…」
さやか「ん?」
QB(さやかが笑ってる…。ここ最近落ち込んでばかりいたさやかが…)
QB「……僕から、大事なお願いがある」
さやか「な、何?」
QB(降参だ…僕は君を殺せない…。こんな切ない笑顔を見た後で、
君が惨たらしく切り刻まれる姿に耐えられる訳がない…!!)
QB「今から言うことを必ず守ってくれ…」
さやかは体をキュゥべえに向けて背筋を伸ばした
さやか「はい」
インキュベーターには感情がなくて正解だったんだな
QB「いいかい? 絶対に守るんだ。理由も聞かないで、黙って従ってくれ」
さやか「な…何なのよ」
QB「明後日、町の住民は大規模な避難を強いられると思う…
君は、明日のうちに恭介を連れてもっと遠くへ逃げるんだ」
さやか「ええ…?」
QB「誰にも言わないで、こっそり町を抜け出して、
戦いが始まってから駆けつけることができないくらい遠い所で待っててくれ」
さやか「ちょっと、それまさか…あたし達だけが助かるようにってこと…?
ただ『避難』するだけじゃ間に合わなくて…みんな死んじゃうってこと…!?」
QB「…先にはっきりさせておくと、それは全くの見当違いだ」
さやか「え…じゃあ、なんでなの…?」
キュゥべえは窓辺に立って月を見上げた
QB「…『理由は聞くな』って言ってるんだ」
さやか「…」
QB(目くらまし…ちゃんと別れを言えないのが心残りだ…)
QBさん・・・
QB「…僕を信じて。さやか」
さやか「……わかった。あんたが間違ってたこと、1回もないから…」
QB(君のいなくなったこの町の中で、まどかには『さやかは戦っている』と伝える…
ほんの1分で終わらせてやる…。大災害という異常な状況に放り込まれれば、
後先なんて考えられるはずがない…。殊に、あの素直なまどかなら…)
QB「…ありがとう」
QB(僕は君もまどかも裏切って、全てを終わりにする…
まどかとの契約が済めば、あとは目を閉じて耳を塞いでいればいい…
時が来たら、何も考えず、エネルギーを手に入れて、この星を去る…単純な作業だ…
君はまどかが地球を壊すまで、幸せな夢を見ていてくれ…)
QB「さやか」
さやか「…?」
QB「…幸せにね」
さやか「…! まったく…」
――――――――――
――ワルプルギスの夜出現まで、あと1日。天気は土砂降り
さやかが神妙な面持ちで制服に着替えている
QB「学校へ行くのかい? さやか」
さやか「…昨日の話、間違いないの…?」
QB「ああ。残念ながら」
さやか「町中が避難するほどの事件が起きるなら、当分学校には行けなくなるよね…」
QB「…そうだね」
さやか「だったら、今日ぐらいはしっかり決めてかないとね」
QB「…怖いかい?」
さやか「…。ねぇキュゥべえ…。みんなは、助かるの…? 友達や先生達は…大丈夫なの?」
QB「ワルプルギスの夜によって引き起こされる災害は、一般人にも関知できるものだ
普通に避難すれば問題ないはずさ。あとは杏子達を信じるしかない」
さやか「…そっか」
QB「心配しないで。あの2人なら必ずやってくれる。君は僕の言った通りにすればいい」
さやか「…うん」
しえん
――通学路
ザー
土砂降り雨の中、仁美が傘を肩にかけて歩いている
さやか「おっはよーう!」
仁美「あら、さやかさん。それにキュゥべえさんも」
QB「おはよう、仁美」
仁美「おはようございます」
さやか「あの、仁美…?」
仁美「何ですか? さやかさん」
さやか「えっと…その…。昨日は、なんか…」
仁美「…恭介君のこと…?」
さやか「あ、う、うん…」
仁美「……」
さやか「…ありがとうね」
支援
私怨
さやかちゃんまじ主人公さやさや
さやかちゃんマジさやかわさやかわ!
土砂ダムどうなんのかな…
仁美「…」
さやか「……」
仁美「いいんですの。気にしないで」
少し寂しそうに笑う仁美
さやか「うぅ…」
QB「志筑仁美…。あの時はごめんね」
仁美「…」
QB「僕は、どうかしていた…」
仁美「…あの言葉、本気でしたの?」
QB「……本気だったよ。今は反省してる」
仁美「……」
さやか「何? 『あの言葉』って」
仁美「ううん。過ぎたことですわ。それより、まどかさん遅いですわね」
仁美ぃいいいいい
バシャバシャ
まどか「おーい!」
まどかが半分濡れながら駆けて来る
まどか「はぁ、はぁ…おはよう!」
仁美「おはようございます」
さやか「おっす、まどか! もう、遅いぞ」
まどか「ごめーん」
まどか(さやかちゃん…もう平気なの…?)
さやか(うん! ごめんね、心配かけちゃって)
まどか(あれからすぐ上条君がさやかちゃん探しに来たの)
顔を赤くして下を向くさやか
まどかは口を閉じたまま笑った
ティヒヒ!
―――――――――
――教会堂
杏子が両手を組んでひざまずいている
息だけの声で早口に祈った
杏子「1つ目の祈りは告白の祈りです
私は罪深い娘です。あなたに背きました。あなたを惑わしました
何度もあなたを盗みました。あなたを殺しました
あなたを見捨てました。あなたを傷つけました
私は魔女を殺す者としてあなたの魂を売りました
私は魔法の力によってあなたの業を否定しました
私は自分の意思によって罪に堕ちた娘です」
杏子は短く息をついた
ほ
ふむ…
杏子「2つ目の祈りは懺悔の祈りです
あなたの慈悲によって私をお赦しください
私の盗みをお赦しください。殺しの罪をお赦しください
魔法の力にまつわる沢山の過ちをお見逃しください
願わくば私への罰が明日より後に下されますように」
目を閉じたまま額の汗を拭った
杏子「3つ目の祈りは問いの祈りです
あなたはなぜ敬虔な父をお救いくださらなかったのですか
なぜ私を罪への堕落から遠ざけなかったのですか
なぜ魔女と戦わせるのですか
願わくば私の苦しみが一生のうちに犯す全ての罪への罰であり、
全ての葛藤があなたに近づく為の試練でありますように」
両手をついて目を開いた
杏子「はぁ…はぁ…」
ポタ ポタ
歯を食いしばって祈りの姿勢に戻る
杏子「最後の祈りは力の祈りです
私にあなたが下す罰に耐え抜く力をお与えください
あなたが課す試練を乗り越える力をお貸しください
明日の戦いを生き延びる力をください
魔女に打ち勝つ力を……」
ゴン
頭を落とした
杏子「はぁ、はぁ……願わくばワルプルギスの夜を無事に倒せますように」
杏子(…いよいよだ…。なるべくなら現れると同時に短期決戦で締めたい…
傷ついてからじゃ魔力を攻撃に回せなくなる。ほむらの実力もわからねーし…
何が起きてもおかしくない。今回ばっかは本気で覚悟しなきゃかもな…)
猿よけ支援
―――――――――
――学校
さやかが教室の入り口から恭介の姿を覗いている
さやか(キュゥべえはあたしに何をさせたいんだろう…
今朝の仁美のセリフも意味深だったし、なんか…やな予感するな…)
恭介がさやかに気付いて手を振った
上条「さやか」
さやか「あっ…」
上条「どうしたの?」
さやか「う、うん…」
さやか(でも、正しいのはいつだってキュゥべえだった…
あいつが色々してくれなかったら、あたしは今頃…)
歩み寄って小声で話すさやか
さやか「あのさ…。ちょっと、今日、時間あるかな」
上条「え? 悪いけど、今日は5時には帰らないと…」
さやか「うーん…じゃあ、夜でもいいんだ。何時頃なら会える?」
おいついたー
上条「あんまり遅くなければ大丈夫だと思うけど」
さやか「う…。そう」
さやか(そうだよねぇ…恭介のパパやママが外泊なんて許してくれるとは思えないし…
いっそのこと、ちょっと強引に連れ出して、事情は後から説明しようかな…
…でも、恭介はそれをどう思うの?
やっぱり、『みんなを置いて黙って逃げ出すなんて』って、怒る…?)
上条「何か…大事な用?」
さやか「あ…いや、ううん! ほら、何…夜中にこっそり、してみたいなーって…
えーと…手とか繋いでさ。その…デート…」
上条「……」
さやか「……」
恭介が笑った
上条「さやかは可愛いな」
さやか「え!? ど、どこが…!?」
上条「あはは。いいけど、傘はさやかが持つんだよ。僕はまだ杖が手放せないんだ」
さやか「う…うん! 任せて、傘ぐらいいくらでも持つから!」
追いついた
上条「ありがとう」
笑顔のままさやかを見つめている
さやか「ちょ…うぅ…。何見てんのさ…」
上条「…楽しみだなぁ」
さやか(うわあ…やばいってば。めちゃドキドキしてる…。顔赤いよ絶対…
…って、違うでしょ。何考えてんのよあたしは…浮かれてる場合じゃないのに)
さやか「何時頃行けばいい?」
上条「いや、僕が迎えに行くよ」
さやか「ううん! 恭介はまだ無理しなくていいの!」
上条「ははは、大丈夫だよ。それに、ご褒美があったほうがリハビリも捗るしね」
さやか「ご褒美…」
恭介がしきりに周りを気にしている
さやか「っていうか…さっきから何キョロキョロしてるの?」
上条「ちょっとしゃがんで」
さやか「え? …こう?」
ゆっくり腰を落として恭介を見上げる
恭介は一瞬、目だけを動かして周りを見た
さやかの唇にキス
さやか「!」
上条「ごめんね、いきなり」
少し恥ずかしそうな恭介
さやかは下を向いた
さやか「学校で何てこと…! あんたって人は…」
上条「続きは今夜ね。親が寝てからとなると、12時過ぎると思うけど…」
さやか「う、うん! あたし、待ってるから。何時まででも」
さやさや
おもしろい
若干嫌な予感がしなくもない
なにこれ素敵
おいついた 期待
―――――――――
――放課後
まどか「ごめんね、さやかちゃん、仁美ちゃん。私今日、ちょっと用があって一緒に帰れないんだ」
仁美「あら、そうですの…」
さやか「用って?」
まどか「その…ほむらちゃんがね」
さやか「……」
まどか「大事な話があるからって…」
さやか(…気をつけなよ、まどか。あいつ、学校ではおとなしくしてるけど
グリーフシードの為に平気で人を見殺しにする奴だよ)
まどか(そんなこと…ないよ。ほむらちゃんだって、本当はみんなと仲良くしたいはずだよ…)
さやか(だったら――!)
仁美「あの…お2人とも? 急に黙ってどうしたんですの?」
さやか「あぁ、いやーごめんごめん! んーちょっと、めまいがね…」
座り込んで頭を押さえるさやか
まどか「あはは」
仁美「そう…。心配だけど、私はお稽古事がありますので、もう行かないと。ごめんなさいね?」
さやか「う、うん! じゃあね、仁美」
まどか「また明日ね!」
さやか(――だったら、あいつはなんでマミさんが魔女にやられるのを待って現れたって言うのよ
マミさんを死なせて、手柄を横取りする為に決まってる!)
まどか(…さやかちゃん…それ違う…!)
さやか(あんなものを見せられて、それでもまだあんたは『偶然だ』って言える訳!?
どこまでお人好しなのよ! そんな都合のいい偶然、ある訳ないじゃん!!)
まどか(聞いてよ…! 違うんだって…!)
さやか(…?)
まどか(あれは…ほむらちゃんのせいじゃないんだよ…)
さやか(…どういうことよ)
まどか(その…実はね。あの時、ほむらちゃんはマミさんに『今回の魔女は危ない』って
教えに来てくれたんだよ…。でも、マミさん……)
さやか(…!?)
うわぁ
まどっちまどまど
ほむらちゃほむほむ
面白い
まどか(ほむらちゃんのこと、リボンで縛って…そのまま置き去りにしちゃって…)
さやか「う、嘘だ!」
まどか「!!」
さやか「あ…」
さやか(まどかはどうしてそんなにあの転校生を庇うの?)
まどか(嘘じゃないよ…本当だもん…。マミさんの悪口みたいで言いたくなかったけど…
でも、だからほむらちゃん、マミさんの魔法が解けるまで来られなかったんだよ…!)
さやか(『自業自得』だって言うの…?)
まどか(そんなんじゃ…ないけど…)
さやか(…わかった。ごめん、まどか…)
まどか(ううん…)
さやか(でも、その話が本当だとしても、あたしにはやっぱりあいつが何か隠してるとしか思えない
いつも空っぽの言葉を喋って、心の底では全然違うこと考えてるように見える…
それにこんな日にわざわざまどかを呼び出すなんて…)
まどか(『こんな日』って…?)
さやかす
劇場版的な面白さがある
猿避け支援
これは期待せざるをえない
さやか(あぁ、まどかはキュゥべえから聞いてないんだ…)
まどか(あ…。もう、行かないと…ほむらちゃん、待たせてる…)
さやか(ちょ、ちょっと待って。これだけ)
まどか(…?)
さやか(明日、今までの魔女とは比べ物にならないくらい大物の魔女が現れるんだって…
それで、大勢の人が避難することになるらしいの…)
まどか(…ほむらちゃんの『大事な話』って…そのことなのかな…)
さやか(わかんない…わかんないけど、一応。とにかく気をつけて)
まどか(ありがとう)
―――――――――
――夜。大雨暴風警報が発令された
――ほむらの家
杏子がロールケーキをかじっている
ほむら「作戦に変更はないわ。質問はある?」
杏子「あんたにとっちゃ細かいことかもしんないけどさ。早く準備しなくていいのか?」
ほむら「…平気よ。仕掛けは整ってるわ」
杏子「あんたが戦ってるとこ、1回も見たことないんだけど?」
ほむら「言ったでしょう。無駄な争いは馬鹿のすること」
杏子「そーゆーこと言ってんじゃねーっての。敵は桁外れの化け物、味方も謎だらけのイレギュラー
わからねーことばっかりでいきなり命賭けろって言われても困るんだよね
あんたの能力、教えてくれたっていいんじゃないか?」
ほむら「明日になればわかるわ。あなたの足を引っ張ったりはしない」
杏子「ふーん…。本当に勝ち目はあるんだろうな?」
ほむら「もちろんよ。あなたが『生きている』以上は」
杏子「…そいつは皮肉のつもりか?」
さやかちゃんマジさやかわさやかわ!
ほむら「深い意味はないわ」
杏子は呆れ気味にため息をつくと、上着を脱ぎながら立ち上がった
杏子「風呂、借りるよ」
ほむら「ええ。着替えを用意しておくわ」
杏子「サンキュー」
――数十分後
影に紛れてキュゥべえが現れた
ほむら「…何の用?」
QB「挨拶に来たんだ」
ほむら「そう。お利口さんね」
QB「まずは友達として。また会えて光栄に思う」
ほむら「心外だわ」
QB「次に敵として」
ほむら「……」
QB「覚悟は決まった…僕は、感情という猛毒を自分で解毒する…
思い残すことは何もない。大事なものは既に捨ててある…」
ほむら「…」
QB「君達をシナリオから除外することはできなかったけど…
同時に、君の計画もまた失敗に終わる。なぜなら僕は明日、まどかと契約するからだ」
ほむら「…そんなくだらない挑発に乗ると思う?
楽に死なせてほしいのでしょうけれど、そのつもりはないわ」
QB「……」
ほむら「そして、まどかとも契約させない」
QB「ワルプルギスの夜を相手取りながら、君にそんなことができるのかい?」
ほむら「…知っていたのね」
QB「口に戸は立てられないよ」
ほむら「杏子ね…」
QB「僕がまどかと契約する前に、ワルプルギスの夜を無事に倒せば君の勝ち
まどかが契約せざるを得なくなったら、君の負けだ」
ほむら「手は打ってあるわ」
どうなるのかwktk
でもどう転んでもマミさんはもう・・・
デミさんの出番少なすぎワロス
この感情有りQBの生存が気になるところ
QB「こっちもだ…負ける訳にはいかないから」
ほむら「佐倉杏子を生かしておいたのが失敗だったわね
あなたは策士を気取る割に愚かだわ。お礼を言わせて」
QB「僕からも、健闘を祈る」
杏子が裸のまま髪をくしゃくしゃと拭きながら歩いて来た
杏子「おい、着替え用意してくれるんじゃなかったのか?」
ほむら「……」
QB「……」
杏子「お…」
キュゥべえは杏子と目が合った
QB「来てたのか」
杏子「……さやかの面倒はいいのかよ?」
QB「…さやかとは縁を切った」
杏子「はぁ? 急にどーしてさ」
颯爽と現れた謎の仮面魔法少女Mさんがワルプルギスの夜を一撃で葬り去って行くよ
QB「さやかに肩入れしすぎた」
杏子「……」
QB「深く関わるべきじゃなかったんだ…」
杏子「…やーっぱそうじゃん。いつもさやかのことになると目の色変えてさ」
QB「……」
ほむらが立ち上がって奥へ歩いていった
杏子「坊やとはどうなんだ?」
QB「…上手く行ってるよ」
杏子「妬いてんのか?」
QB「そういう感情じゃない」
杏子「お前はさやかをどうしたいのさ?」
QB「さやかのことは考えたくない」
杏子「いいから言ってみろよ」
QB「それが本当の気持ちだよ。もう関わりたくないんだ」
杏子「…宇宙人だからか?」
QB「関係ないね。事実、マミとだって最後までいい関係でいられたんだ…」
杏子「……」
QB「…同じように、僕は君のことも好きだよ。杏子」
杏子「は…?」
杏子の全身を見つめるキュゥべえ
QB「…本当に頼もしくなった。出会った頃はあんなに小さかったのに」
杏子「…お前はあたしの爺さんかっての」
QB「あはは。そうか。なるほど、そんな感じかもしれない」
ほむらがパジャマを抱えて戻って来た
ほむら「脱衣所に畳んでおいたのだけれど」
杏子「ん? あぁ、それだったのか。洗濯物かと思った」
パジャマを着始める杏子
QB「君達は仲がいいのかい…?」
支援
ほむら「…」
杏子「んー…仲がいいっていうか。別に喧嘩の種もねーしな」
丈の足りないズボンの裾を捲り上げながら
ほむら「ええ。私達はワルプルギスの夜と戦う為に口を利いているだけの関係」
杏子「まぁこいつ、何考えてんだかわかんねーけど、悪い奴じゃないみたいだし」
QB(もし人間に生まれていたら、僕もこんな風になれたんだろうか
裏切らなくていい…捨てなくていい友達。傷つけ合わなくていい関係…)
杏子「全部終わったらさ、せっかくだし飯でも付き合えよな」
ほむら「考えておくわ」
QB(罪悪感も葛藤もなく、一緒に遊びに行ける…
相手の目を見て心から笑える友達に…)
グスン
QB(あ……)
ほむら「…」
杏子「…?」
キュゥべえが泣き出した
ほむ杏はツンデレです
最初の話的にさやかは駄目なんだろ?
さやか親好派の俺が報われるときはくるのか……
QB(こんな時に…)
杏子「どうした!?」
QB「いや…」
ほむら「いつものことよ」
杏子「本当かよ…キュゥべえも泣くのか」
ほむら「……」
ほむら(美樹さやかと『縁を切った』…)
ほむら「杏子。明日は忙しくなるわ。もう寝なさい」
杏子「こいつほっとくのか?」
ほむら「すぐに泣き止むわ。私が相手をしておく」
杏子「……」
杏子(内緒話か…バレバレだっつーの。まぁいいや…あたしの出る幕じゃなさそうだ)
杏子「ほむらも早く来いよ」
杏子は寝室に向かっていった
QB可愛すぎて生きるのが辛い
ほむ京とかやばい2828が止まらん
みんないい子過ぎてすれ違いが辛い
④
ほむら「……」
QB「…」グスン
ほむらはしゃがみ込んでキュゥべえの背中を撫でた
QB(!?)
ほむら「死ぬつもりね」
QB「…。大はずれだ」
ほむら「まどかと契約すれば、美樹さやかを裏切ることになる
本当は望んでいないくせに。あなたはいい子だから」
QB「…見くびらないでくれ。僕は人間のように甘くはない」
背中を撫で続けるほむら
ほむら「そうだとしても、あなたはまどかと契約できない。諦めなさい」
QB「…『ノー』だ…!」
震えている
ほむら「…自分の意思に関係なく、大きすぎるものを背負ってしまったのね。その小さな体に」
QB・・・
キュゥキュゥ
ベエさん…
もう面倒だから盾の中につっこんどけよ
QB「……どうして僕に優しくするんだい? 僕を憎んでるんだろう?」
ほむら「…。いいえ、嫌いじゃないわ。今のあなたは」
QB「それでも…君がどう思おうと、僕が今どうしようと、僕は未来永劫、君の敵だ…
『敵』なんだ…! この星に来た時から、ずっと…!」
ほむら「…。借りを返しているとでも思って。あなたには命を救われたから」
QB「その前に魂を奪ったさ。君が見た未来の世界で」
ほむら「…あれは、きっとあなたじゃなかった」
QB「なら、今度こそ奪ってみせる…君の守ろうとして来たもの、全て…!」
ほむら「…無駄よ」
QB「…もう行くよ。手をどけて。…孤独の練習をしなくちゃいけないから」
ほむら「…」
手を離すほむら
QB「…ありがとう。撫でてくれて。君の優しさは忘れない…」
ほむら「…ええ」
キュゥべえは寝室に向かった
泣き声のえみりんで再生されてやばい…
杏子がベッドの上で手を枕にして天井を見上げている
QB「…」
杏子「よう。落ち着いたか?」
QB「1つ、頼みがあるんだ…」
杏子「何だ? 遠慮なく言ってみな」
QB「…笑ってくれ」
杏子「はぁ?」
体を起こしてキュゥべえを見下ろす
QB「嫌ならいいんだ」
杏子「……」
孤独の練習とかかっこいいな
正直FFの笑顔の練習みたいで…
やはりきゅっぷいちゃんは可愛いな。
杏子は睨むような目のまま口だけでニヤっと笑った
杏子「これでいいか?」
QB「…ああ」
QB(見納めだ。君とも長い付き合いだった)
QB「邪魔して悪かったね。おやすみ、杏子」
杏子「どっか行くのか?」
QB「1人になりたいんだ」
杏子「そうか。元気でな」
キュゥべえは嵐の中へ消えていった
(´;ω;`)
ベエさん…?
ベエさあああああああああああああああああんん
――さやかの部屋
さやかが窓辺に立っている
さやか(うわぁ…風やばすぎでしょ…。恭介、大丈夫かな…)
時計はまもなく12時を回る
さやか(そろそろ来てもいい頃なんだけど…)
そわそわと鏡の前に立つ
さやか「恭介…」
さやか(はぁ…。なんか未だに信じらんないなぁ。恭介があたしなんかに…)
不意に恭介の唇の感触を思い出す
顔が少しにやけた
さやか(こらこら! しっかりしろってば! あたしが恭介を守らなきゃいけないんだから!)
部屋を出るさやか
父親の大きな傘を拝借してエントランスに降りた
外を見回すが、恭介の気配はない
さやか(もうすぐ来るんだよね? 恭介は、あたしに会いに来てくれるよね…?)
収束へ
だんだん雰囲気が・・・
おい、嫌な予感しかしないぞ……
――同じ頃、上条邸
恭介が部屋の扉にもたれて座っている
上条(父さん達、まだ起きてる…。どうしてこんな日に限って…)
壁時計を見上げる
もうすぐ12時だった
上条(さやかが心配してる…。早く行かないと…
弱ったな…こんな時間に電話はかけられないし…
さやかは携帯持ってないから…)
廊下で少し速い足音。恭介の部屋に近づいて来る
上条(父さん…?)
コンコン
父「恭介、開けてくれ。話があるんだ」
上条「え…?」
ガチャ
父「…まだ着替えていなかったのか」
上条「…? う、うん…眠れそうになくて…」
さやかちゃんマジさやかわさやかわ!
さやかわさやかわ…
そろそろクライマックスっぽいし最初の方読み返してこよう
続きが気になるのう
父「ちょうどいい…。大袈裟と思うかもしれないが、この町から避難しようと思うんだ」
上条「え…!? 避難って…!?」
父「予報では、この嵐はこれからますますひどくなると言っていた…
せっかく退院できたんだ。今お前に何かあっては、父さんは悲しい…」
上条「待ってよ…。家にいればいいじゃないか。急にそんなこと――」
父「すまない――あんなことがあったばかりで、父さんも神経質になっているんだろう…
とても嫌な予感がするんだ…。お願いだ。一緒に来てくれ」
上条「…だったら…」
父「何だ?」
上条「…さやかも、連れて行きたい」
父「…さやかちゃんか…」
上条「…さやかが一緒じゃないなら、僕は行かない…」
父「…。こんな夜遅くに呼び出したりしたら、迷惑だと思わないか…?」
上条(さやか……)
上条「嫌だ…!」
父「…!」
上条「父さんが心配するほどの嵐なら、さやかだって危ないじゃないか…!
病院で僕がどんなに苦しい思いをしたか、父さんならわかってくれるよね…?
さやかは、そんな僕をいつも支えてくれたんだ…もうただの友達じゃないんだ!」
父「恭介…」
上条「……」
父「…。さやかちゃんは、本当にお前によくしてくれたな…」
目を見て頷く恭介
父(非常識と思われるだろうな…。いや、私は実際非常識な父親だ…)
父「…お前がそこまで言うなら、一応声をかけよう…
お前からも、あちらのご家族にちゃんと謝るんだぞ」
上条「! 父さん…!」
父親が恭介の両肩に手を置いた
父「父さんと母さんはずっとお前のそばにいるが、
もしもの時は、お前がさやかちゃんを守っておやりなさい」
上条「…うん!」
ええ父さんや…
父ちゃんかっけえ
父さん……
これすれ違っちゃいそうじゃねーか・・・
(タイミングの)ええ父さんや…
倒産…
――――
ガタガタ
エントランスの自動ドアが風で揺れている
さやか(…あと10分待っても来なかったら、あたしが行こう)
―――
父「え…? そうですか…。こんな夜分に申し訳ありません…では」
電話を切る恭介の父
上条「さやかは…?」
父「家にいないそうだ…」
上条「何だって…!?」
父「これだけは仕方がない…。さあ、もう車に乗るんだ」
上条「待って! さやかはどうするの!?」
父「残念だが連れて行けない…。雨が強まってきた。洪水でも起きないうちに――」
上条「話が違うじゃないか!」
あぁあああ、やっぱりそうだ!!
どうしたってさやかはわずかに幸せに届かない!!
ちくしょうちくしょうちくしょう
奇跡も魔法もあるじゃないか
その絶望がきゅうべぇの糧になる
うわぁ、うわぁ……さやかぁ……
つまんね
スレ主まど豚?
つくづく不運な子やで…
父「…すまない」
上条「さやかがいないならここを動かない!」
父「お願いだ…!」
恭介を抱き締める父
父「お前を…愛しているんだ」
上条「父さん…」
父「もう二度と、後悔したくないんだ…。あの事故で、お前がどんなに大切か改めて思い知った
わかってくれ…この通りだ。恭介…」
上条「…さやかは、ここに向かってるかもしれない」
父「…? どういう意味だ? 恭介」
上条「…今夜、会う約束をしていたんだ…父さんや母さんに内緒で」
父「……」
くそおおぉおおおおおおおぉうわあぁあああああぁあああ
まだ5分しか経ってない!まだ5分しか経ってない!
恭介信じてるぞ
スレ違い杉ワロエナイ
上条「ごめんなさい…。出かける準備をしてたのは、その為だったんだ…」
父「…そうか」
上条「…10分だけ待って。…さやかの家なら、そう遠くないから…」
父「…ああ」
――――
さやか(10分経った…行こう)
傘を深く握り締めて走り出すさやか
おいいいいいいいい
さやかー!
――――
父「恭介…」
上条「……」
父「…さあ、10分だ」
上条「…」
父「…さやかちゃんならきっと心配ない。…何か事情があるんだ」
上条(…さやかは、もう普通の人間じゃないんだ…
もしかしたら、僕にはわからない急用ができてしまったのかもしれない…
家を出てから少なくとも10分は経っているのに、結局来なかったんだから…)
上条「…うん」
恭介は車に乗り込んだ
車が走り出す――
ちくしょぉおおおおおおおおおおおおおおおお
おい
おい
おいいいいいいい
なんでさやかちゃんいっつも「裏目に出ちゃったね☆残念でした☆」的な意地悪されるんだよ
SSは原作の逆をやりたがるものじゃないのかよ・・・
さやか親好派の俺はどうすんの
――――――――
バシャバシャ
さやか「はぁ、はぁ…」
恭介の家に着いた
さやか(いいの…かな)
ためらいながらインターホンを押す
返答はない
さやか(これ、絶対迷惑だよね…)
もう一度押した
さやか「……」
なんと言う絶望
よっしゃあああああさやかあああ
さやかちゃん…
さやさや……
さやかちゃんマジさやかわさやかわ…
――――――――
――車の中
上条(さやか…)
ワイパーが絶えず大粒の雨を弾き飛ばしている
上条(こんな雨さえ降っていなければ、今頃僕達は…)
さやかとの時間を思い描く
涙が滲んだ
上条(さやか、どこに行ったんだ…。せっかく父さんにもわかってもらえたのに…
ああ、早く会いたい…抱き締めたい…さやかの温かい体を…!)
上条「さやか…」
上条さんと一度くっついた分もっと絶望は大きいんじゃ無いだろうか…
不憫だ…
, ─- 、
.───┐ ∠_ \L
 ̄ ̄ ̄| | llヽ _| ヽ 「さやか終わったな」
| | |l ̄| | l
| | / ´\ /
| | ヽ、_ `^イ
二二二 」 _ __ lニ二二l、 ____
─┴┐ ⊆フ_)__./ ┌ヽ ヽ┐ /´ `\
二二二二二二l / | | | |. / ヽ
_l_____| /`ー─‐|_| |_| / ヽ
| /`ヽ__, ─ 、ノ |─l l l 「終わってんのはお前だよ」
|───/ /lニ/ /二ニluul. | !
| ___| ̄ | | |_|. l /
└─( )(ニ|  ̄|./二ニ) ヽ /
 ̄ ̄ / ) >━━━━━━ く
`ー ´ / ヽ
さやかああああ…
幼馴染みならおんなじ道とおるでしょ!何でよ!
っていうかさやかの魔力で上条に話しかける事できないの?
―――――――
――見滝原全域に避難指示
橋の上でほむらと杏子が遠くの空を見上げている
ほむら「…来る」
杏子「いつでも来いっての。覚悟は昨日済まして来た」
突風が吹いた
ほむら(まどかが私を信じてくれたとすれば、あの子なら契約を拒否するはず…
あとは、奴さえ倒すことができれば、この悪夢は終わる…)
2人は押し寄せる使い魔のパレードの隙間に入っていった
杏子「使い魔だけでこの戦力か…」
ほむら「本体はこんなものじゃないわ」
杏子「……」
雲の切れ間からワルプルギスの夜が出現
ほむら「…行くわ」
杏子「おう」
変身する2人
戦いが始まった
うーん…
物書きとしてゆるせないんだが
何この幼稚な文章
―――――――――
――避難所
居住スペースを抜け出して佇んでいるまどか
まどか(ほむらちゃんの言ってたことが本当なら、キュゥべえはそろそろ…)
後ろから視線を感じ、振り返る
まどか「…!」
キュゥべえだった
QB「…久しぶりだね。鹿目まどか」
まどか「キュゥべえ…」
QB「君にもう一度お願いしよう」
まどか「……」
QB「いきなりで混乱すると思うけれど、よく聞いて。いいね?」
まどか「……」
QB(これが最後の戦いだ…。絶対に契約してみせる…!
どんな汚い言葉を使っても…! まどかにどんな思いをさせてでも…!)
ほむむむむ
じゃあ、見るな。つーかそんなアピールするお前の痛さ加減のほうがほうがゆるせないわ
俺は。
>>554馬鹿発見
>>551
つまんね
君何歳?
>>554
ヒント:コピペ
コピペにマジレス
QB「この異常気象は、自然の力が生み出したものではない
ワルプルギスの夜――ここに現れた史上最大級の魔女が発生させたものだ」
まどか「……」
QB「今この瞬間、3人の魔法少女がワルプルギスの夜に懸命に立ち向かっている
暁美ほむら、佐倉杏子、…そして、君の親友、美樹さやかだ」
まどか「……」
QB「ワルプルギスの夜は今までの魔女とは比べ物にならない強さなんだ
マミの死を覚えているかい?」
まどか「…!」
QB「あの魔女も君の目には相当恐ろしいものに映っただろうけれど、ううん
あれはむしろ可愛いくらいだ。今回の奴は、マミがもし生きていて、全力で挑んだとしても
ものの数分でガラクタにされてしまうようなレベルだ」
まどか「…そんな言い方やめてよ…!」
QB(抑えろ…何も考えるな。感じようとするな、キュゥべえ…
マミは死んだ。悲しいことじゃない。単に『死んだ』という事実を知っているだけだ)
QB「僕はただ本当のことを言っているだけだよ。別に君を傷つけたい訳じゃない
そこは勘違いしないでくれよ」
まどか「…『わざと』だよね…」
今から出かけるけど、帰ってくるまで残ってるといいなー
ベェさん可愛い
④
QB「…!」
まどか「……」
QB(飲まれるな…こっちのペースに引き込むんだ…)
QB「…いいかい。問題はここからだ。さっきも言った通り、さやかがそんな魔女と戦っている
さやかは君の親友なんだよね? ベテランの2人はともかく、
先週契約したばかりのさやかは果たしてこの戦いを生き残れるんだろうか」
まどか「……」
QB「簡単な計算じゃないか。認めたくないのかい? ならこっちからはっきり言ってあげるよ
『このままではさやかは死ぬ』。マミと同じようにね
いや、それより悲惨な最期を遂げると考えていい」
まどか「……!」
QB「いくら2人が強いからと言っても、経験の浅いさやかをワルプルギスの夜から守るのは
至難の業だ。それどころか、放っておいたら3人とも負けてしまうかもしれない
そうなればこの町はたった一晩で文字通り丸ごとひっくり返されてしまうね」
まどか「……」
QB「そこで君の力が必要になる訳だ。鹿目まどか。君に備わっている素質は凄まじく強大だよ
今すぐ契約すれば、ワルプルギスの夜を一撃で倒すことができるだろう
町は昨日まで通り、平和に戻る。さやかも助かる。最善の結末じゃないか」
所で魔女のことは
まどか「……」
QB「迷ってるのかい? 仕方がないな。ルールには抵触するけど、背中を押してあげるよ
まどか。もう迷ったらいけない。僕と契約して、魔法少女になってよ!」
まどかがキュゥべえを見た
――――――――
傷だらけの杏子が魔女に飛び込んでいった
使い魔が次々と立ちはだかる
杏子「…ああ、鬱陶しい使い魔だ! どきやがれ!」
別の方角から、ほむらがサブマシンガンを両手に提げて突っ込んでいった
魔女が吐き出す炎をかろうじて盾で防ぐ
ほむら「くっ…」
あうあう
すまん、でもこのタイミングで釣り針たらすな
>>567
一生ROMってろゴミクズ
――――――――
まどか「…絶対嫌」
QB「な……!?」
QB(馬鹿な…! まどかはその言葉が何を意味するかわかっているのか…!?)
まどか「昨日ほむらちゃんに呼び出されたの…。私に大事なことを教えてくれるって…」
QB(ほむら…!)
まどか「ほむらちゃんのこと、きっと本当はいい子だって思ってたし、
嘘つきだなんて思いたくないって、今あなたに会うまで考えてた…」
QB「何を言ってるんだ…」
まどか「キュゥべえが私を騙しに来るって教えてくれたの…
でもキュゥべえはさやかちゃんとあんなに仲良かったし、悪い子に見えないし…
なんだか上手く信じられなくて…全然、すっきりしなくて…
だけど今、ほむらちゃんの言ってたこと、全部本当になって…」
QB「僕が君を騙そうとしている…? 嫌だなぁ…嘘なんか1つも言ってないのに」
まどか「キュゥべえにも、私達と同じように心があるんだよね…?
あなたも、誰かに幸せになってほしいって思うんだよね…?」
QB「……」
おまえがな
まどか「キュゥべえはさやかちゃんを戦わせたりしない…
って…ほむらちゃんが言ってたの…」
QB「!」
まどか「私もそう思う…。全部聞いちゃったんだ…ワルプルギスの夜のことも
ほむらちゃん、キュゥべえは『さやかちゃんが戦ってる』って嘘をつくって…」
QB「そんな…」
まどか「キュゥべえ…嘘つき、なんだね…」
QB「くっ…!」
まどか「ていうことは…ソウルジェムのもう1つの秘密…やっぱり本当に隠してるんだよね…
黙ったまま契約させようとしたんだよね…」
まどかが顔を隠して泣き出した
QB「…!!」
QB(謀られた…! 暁美ほむら…!!)
まどか「私…魔女にはなりたくない…!」
―――――――――――
魔女の圧倒的な火力に苦戦する2人
ほむら「使い魔が多すぎて、奴に直接攻撃できない…!」
杏子「おい! 来るぞ!」
ほむら「!!」
吹き飛ばされるほむら
ビルの瓦礫に体がめり込む
ほむら「うっ…」
使い魔達がほむらを取り囲んだ
杏子「クソ…いい加減にしてくれよ…!」
ほむらの元へ駆け寄る杏子
ズバッ
どこからか投げつけられた剣が使い魔を一掃した
oh...
さやか…
さやかが不憫で泣けてきた
f'´ f'´ f'´ f'´
込 鼎 丱 仍
|\ ∧ ∧ /|_
,.<::::二Λ .ト::| .|:::::| |::::/ /:::::::>、
/::::::::::::::::::Λ.|:::| .iM| .|::/ /::::::::::::::::ヽ
,':::::::::::::::::::::::::Λ|::| |::::::| |/,ィ:::::::::::::::::::::::::',
. {::::::::::::::::::::::∠三二ニ二三ミ:::::::::::::::::::::::::::}
{:::::::::::::::ァ=ュn二二二二三ヨ::::::::::::::::::::::::::}
. V::::::::::((ζ `‐riニニニニ―-- 、::::::::::::,'
∨::::::::ヾL__,,LL_______ .!:::::::::, ' 我が使命は
∨:::::::::::::r「il}}{{;;illllli;;}}{{;;i,' /:::::/ 此のスレに近づく愚猿を
, -―――――――――――――「__|―ュ_| i h、. /:/ その肉の最後の一片までも
/..| | ̄`| ̄.... ]ヽ/ ヽ
/ | | /| ̄.|.! l
__,// ..| |/ . .| .|.! .| 書 け 、 猿 は 俺 が 面 倒 を み る
/ / .| | . ../ | .|.! |
,/,- | | /__.! |.! |
,. - '´ / .....| | 丶 / ト、
,. - '´ / ...| | 丶-‐ ' ヽ
,. - ' ´ / ...| | Y ヽ
,.- ' ´ / ...| | /| ヽ ヽ
,. - '´ .ヽ.| / .l ヽ ヽ
,. - '´ /{( .| ヽ ヽ
,. - '´ /-- ヽ ヽ ヽ
,. - '´ / ,イ ヽ ヽ }
おい
おい
杏子「!」
涙で顔中を濡らしたさやかが歩いて来る
さやか「……」
杏子「さやか!?」
ほむら「…!?」
さやか「あれがワルプルギスの夜…」
杏子「おい! こんな所で何やってんだ! さやか!!」
さやか「…あたし、逃げないから…」グスン
杏子「馬鹿! お前じゃあいつの相手は務まらねーよ!」
続々と現れる使い魔をさやかが斬り捨てた
さやか「あたしだって魔法少女なんだ…。この町を…恭介を守るんだ…!」
杏子「お前…」
さやか(恭介の行方がわからない今、こんなとんでもない魔女を野放しにできる訳ない…!
あたしが逃げて、もし恭介が死んじゃったら…!?)
>>567死ねクズ
紫煙
どうなる
どう最初の話に繋がるかが楽しみだわ
ああ、分かった。分かったから黙ってみようぜ
さやか「うぅ…!」
顔を歪めて泣くさやか。構えは崩さない
杏子「…お前は使い魔だけ狙え。ちょうどいいじゃねーか…邪魔でしょうがなかったんだよ」
ほむらがよろよろと立ち上がった
頭から血が流れている
ほむら「はぁ、はぁ…美樹さやか…」
さやか「…何よ」
ほむら「断っておくけれど、私達はあなたを守り切れない…わかっているの…?」
さやか「…当たり前だよ」
ほむら「ただ死ぬだけじゃ済まないかもしれないわよ」
さやか「……」
ゆっくりと頷いた
3人が魔女に向き直る
杏子はひざまずいて両手を組んだ
ほむらは大口径の機関銃を構えた
さやか(絶対に死ぬもんか…もう1回恭介に会うまでは…!)
スレ主の文章は神ですな
――――――――
QB「……!」
まどか「…?」
QB(さやか…いるのか…?)
QB「……」
さやか(キュゥべえ?)
QB「!!」
さやか(ごめん、キュゥべえ…約束、守れなかった…)
QB(何をしているんだ! なぜ君が戦っている!!)
さやか(昨日…恭介に会えなかったんだよ…うちに来るって言ってたんだけど、
待ってても来なくて…。家に行ってみたら誰もいなくて…)
QB(何だって…!)
さやか(キュゥべえは、どこにいるの…?)
QB(避難所だ…今朝、避難指示が発令されて住民がここに集まってる…)
さやか(恭介は…?)
QB(……)
さやか(…嘘でもさ。『元気にしてる』とか言ってよね…)
QB(さやか…)
さやか(恭介を見つけないと…。その前にこいつを倒さなきゃ、あたし生きた心地しないわ)
QB(やめろ、さやか! 逃げるんだ! 殺されちゃう…!!)
さやか(2人じゃ結構キツいみたいだよ。今なら、あたしでも役に立てるのかな…)
QB(言うことを聞いてくれ…! お願いだから…!!)
さやか(ごめんね…)
QB(くっ…!)
さやさや
>>551
評論家のつもりか?
クソボケ
頭悪いアピールもういいから
QB「まどか!!」
まどか「!?」
QB「さやかは逃げてなんかいない! 戦ってるんだ!!」
まどか「……」
QB「さやかを助けて!!」
まどか「……」
QB「嘘じゃないんだ! 本当に…今度こそ本当にさやかが危ないんだ!!」
まどか「もうやめてよ…駄目だよ…私は契約できないよ…」
QB「信じて! 信じて…!!」
まどか「ごめん…」
QB「契約なんかしなくていい! もういい! もう終わりだ!
テレパシーを中継するから、さやかを止めて!!」
まどか「…?」
まどか(さ、さやかちゃん…?)
返事はない
さやかちゃんマジさやかわさやかわ…!
これは超弩級のSSだね
支援せざるを得ない
さやさや
このさやかはたったまま死ねるな
すごいな……支援
QB「…さやか…!」
まどか「……私、もう戻るね…。ごめんね…」
QB(まどかを契約させない為に逃げたふりをしているのか…!?)
さやか(まどかは、あたしの一番大切な友達だから…
あの子を、こんなことに巻き込みたくないんだ)
QB「くっ…!」
泣きながら猛然と走り出すキュゥべえ
避難所の外へ出た
魔女の攻撃が激化している
宙に浮いた瓦礫が容赦なく飛び交う
QB「はぁ、はぁ、はぁ…!」
小石が頭にぶつかる
木片が皮膚をかすめる
追いついた
このQBを見ているとドラえもんのび太のネジマキシティ冒険記を思い出した。
QB「うぅ…!」
コンクリートの塊が落ちて来た
QB「!!」
尻尾が下敷きになった
激痛で体がよじれる
QB「うっ、うぅ…!」
――抜けない
QB「さやかぁーー!!」
映像班の仕事が無いな
無謬に脳内再生されるから困る
ー
――――――――
――その後
空が晴れている
町は瓦礫の山
QB「はぁ…はぁ…」
ボロボロになったキュゥべえが瓦礫の上を歩いていく
赤い人影が見えた
QB(杏子…?)
足を引きずるように近づく
背中向きの杏子は槍を構えたままふらふらと歩いていた
QB「…杏子」
頭のリボンがなくなって、髪は乱れている
QB「…杏子!」
杏子「!!」
槍の間合いに入ると、杏子は突然振り返ってキュゥべえを警戒した
QB「うわっ!」
ひどい状態だった
QB「杏子!」
杏子は何度かキュゥべえに向けて激しく槍を突き出した
QB「杏子! 聞こえる!? 僕だよ! キュゥべえだよ!」
杏子「はぁ…はぁ…」
顔の大部分が焼け爛れ、両目と鼻と口から赤黒い血が流れている
QB(杏子! 僕だよ、聞こえる!?)
杏子が構えを解いた
杏子(キュゥべえか…?)
QB(大丈夫…!?)
杏子(悪い、敵も味方もわからねーんだ…。奴は…?)
QB(もういない…君達が勝ったんだ)
http://i.imgur.com/zLCxQ.jpg
お、貼れた
まあ元々スクショだから画質は勘弁
誤爆
杏子は変身を解いて崩れるように座り込んだ
QB(ひどい傷だ…)
杏子(…イタチの最後っ屁ってやつだったのかもな…
ワルプルギスが強烈な爆発を起こしたんだ…それで目と耳が駄目になった
グリーフシードもないし…しばらくはこのままだろうね)
QB(なんてことだ…)
杏子(それより…)
QB(…?)
杏子が青色のソウルジェムを出した
QB(…!!)
杏子(さやかはあの時、あたしより近くにいたんだ…
あの馬鹿…離れろって言ったのに…!)
QB(さやかの体は…!?)
杏子(わからない…。飛んで来たソウルジェムをどうにか掴んだんだが
これが吹っ飛ぶぐらいだから…)
QB(…!)
猿・滅
杏子がソウルジェムをキュゥべえに投げ渡した
杏子(お前が探せ…あたしはちょっと休む)
むせ返って血を吐く杏子
QB(杏子!)
杏子(…大丈夫…。ほむらに会ったら、ここを教えてくれ…
あいつならグリーフシードの余分を持ってるかもしれない…)
QB(わかった…)
杏子は火傷だらけの手で付近を探り、瓦礫にもたれた
それから、深く息をしながらすすり泣いた
QB(杏子が泣いてる…)
キュゥべえはソウルジェムをくわえて歩き出した
――――
ほむらが大きなコンクリートの塊の上に立ち尽くしているのが見えた
QB「ほむら…」
近づいていくと、ほむらが振り向いた
頭から流れた血で顔中が赤く染まっている
ほむら「……」
QB「暁美…ほむら」
ほむら「…」
QB「君は何てことをしてくれたんだ…」
ほむらは物陰を見下ろしている
QB「ほむら…?」
ほむら「……」
手に何かを持っているのがわかった
QB「…!!」
うああああああああああああああああああああああああああああ
人間の手首だった
ほむら「…あそこよ」
QB「何が…」
ほむら「……」
ほむらが掴んでいる手の中指に、見覚えのある刻印があった
QB「ま…まさ…か…」
QB(見たくない…見てはいけない…!)
既に気付いていた
ほむらの視線の先を探すキュゥべえ
QB「……」
バラバラになったさやかが水溜まりに浮かんでいた
背中や顔に所々骨が見えるほどの熱傷
QB「――!」
キュゥべえの呼吸が止まる
ほむら「…ソウルジェムは無事なようね。…できる限り『修理』するわ…」
QB「こんなこと…」
ほむら「…美樹さやかは、これくらい覚悟の上で、この場所に現れた
あなたはそうでなく契約などしたの?」
QB「……」
QB(さやか…)
キュゥべえの目から、血の涙が流れた
猿死ね
猿失せろ
――――――――
――1ヵ月後、モーテルの一室
QB「そろそろ危ない…回収しておくね」
グリーフシードを取り込む
さやか「……」
無表情で毛布に包まっているさやか
QB(ソウルジェムの浄化が追いついてない…どうすればいいんだ…)
QB「さやか…欲しいものはあるかい?」
さやか「……」
さやかは遠くを見たまま涙だけ流した
QB「…」
さやかの毛布に潜り込むキュゥべえ
さやか「…足が欲しい。できれば手も…。返して…」
QB「……」
QB(僕にはどうすることもできない…。君の右手と左足は、結局見つからなかった…)
さやか「…馬鹿だよ、あたし…何やってんだろ…」
猿、貴様の出番はない
支援
QB「もう仕方ないよ…。できるだけ悲しいことは考えないで。杏子達に感謝しよう…?」
さやか「あの時油断しなければこんなことにならなかったかもしれないのに…
あたしが素人のくせに見栄張って無茶なことしたから…」
QB「…さやかがいなかったら、2人ともやられていたよ」
さやか「……」
QB「…それに、君は最後までまどかを守ったんだ。僕やワルプルギスの夜から…」
さやか「…ねぇキュゥべえ。あたしも、やっぱ魔女になるの…?」
QB「……。もしかすると、君はいっそそのほうが楽なのかもしれない…」
さやか「…あたし、やっぱり人間じゃないんだって改めてわかった…」
QB「君は人間だ」
さやか「あの時…一瞬見ちゃったんだ。…ちぎれていく自分の体の中…
…めちゃくちゃ怖かったよ…」
QB「……」
さやか「あんな風になっても、ロボットみたいに『部品』さえあれば元通りなんだよね…
あたしなんで生きてんだろ…魔法少女になるってこういうことだったの…?」
QB「さやか、何も考えないで…頼むから…」
支援
さやか「…あんたは、あたしがいなくなったら、また別の誰かに同じことをするの…?」
QB「…しなきゃならない」
さやか「…こんなの、ただの拷問じゃん…」
QB(言い訳にもならないだろう…人間にとって、何千年も未来の宇宙のことなんて
僕が頭の中に思い描いた夢物語も同然だ…赦してくれなくていい…)
さやか「…あんただって、本当は嫌なんでしょ…?
あたしは…あたしを助ける為にあんなに必死になってたキュゥべえが、
魔女を産み出したくてこんなことやってるなんて思えない…」
QB「…!」
さやか「…魔女になるって、どんな気分なのかな…」
QB「…魔女は理性を持たない存在だ…感情も記憶も一応はあるけれど、
狭い結界の中、『好き』と『嫌い』くらいの価値観でしか物事を判断できないだろう…
そして平穏な日は来ない。なぜなら魔女は『呪い』から生まれるから…
滅ぼされるまで、ひたすら誰かを祟りながら生きていく…泣き叫びながら、ずっと」
さやか「…そうなんだ」
QB「……」
さやか「…もう、いいよね…」
支援
うわあああああさやか……
鮮烈だ・・・
貼れ、猿は俺が面倒をみる
さやか不憫な子
つまんねー
QB「…?」
さやか「あたし、もう充分頑張ったよね…」
QB「…!」
さやか「今のあたしは魔女と戦えない…。完全になくしちゃった手と足は、
あたしの力でも元に戻るまで何年もかかるんでしょ…?
それもグリーフシードはいっぱい必要で…
だから杏子は、あたしの為に使い魔を魔女に成長させてる…」
QB「……」
さやか「大勢の命を奪って、その人達の代わりに生きるなんて…
あたしには、ちょっと…荷が重いかな…」
QB「さやか…」
さやか「…そもそも、本当に助かる見込みなんてあるの…?
あたし馬鹿だけど、自分のソウルジェムがどんな状態かぐらい、一目見ればわかる…
…いつ魔女になってもおかしくないんじゃないの…?」
QB「…うぅ…」
さやか「…もう、諦めてもいいよね…?」
本格的に泣き始めるさやか
QB「…」
猿を防いでいた俺が猿る悲劇
さやか「…本当は怖いよ。怖いけど……
闇雲に友達や恋人まで殺すものになるぐらいだったら…その前に…」
QB「……」
さやか「…死ぬしか、ないよね……」
QB(僕は……)
さやか「…キュゥべえ。…あたし、楽しかったよ。…そりゃ、いっぱい泣いたけどさ」
QB「…さやか…」グスン
さやか「もう…あんたが泣いてどうすんのよ…」
QB「ごめん…」
さやかはキュゥべえの頭を撫でた
コンコン
上条「さやか…入っていい?」
さやか(恭介…)
さやか「ちょ、ちょっと待って…」
キュゥべえはベッドから降りた
QB「君を忘れない…」
さやか(待って、キュゥべえ。仁美に伝えて…!)
QB(何だい?)
さやか(『恭介のことお願い』って…『恭介を幸せにしてあげて』って…!)
QB(…わかった)
さやか(絶対だよ…!)
QB(…ああ)
去っていくキュゥべえ
さやか「…いいよ、入って」
ガチャ
バイオリンのケースを提げた恭介が入って来た
上条「さやか…」
さやか(うわぁ…泣いてたのバレてるな…)
さやか「鍵…かけて」
部屋の鍵を閉め、ベッドに歩み寄る恭介
上条「……」
さやか(恭介とも、これが最後…)
さやか「ねぇ、恭介…」
上条「…?」
さやか「こっち、来て…」
上条「え…」
既に手が届く距離だった
少し戸惑って、さやかの隣に座る
さやか(寂しいよ…)
さやか「恭介…」
さやかが恭介の肩を掴み、吸い込まれるようにキスした
上条「…!」
上条(また何かあったんだ…。どうしてさやかばっかり苦しまなきゃならない…!)
支援
何言ってんだ馬鹿野郎が!!
ちくしょう!こんな馬鹿放ってられっか!俺はもう一度見滝原に行くぜ!!
あんなところもう二度と行くかって思ってたんだけどな・・・へっ
うおおおおおおおおおおおおお待ってろよマミさああああああああああああああん!!
上条「…さやか。どうしてほしい? 何でも言って。新しい曲も弾けるようになったよ」
さやか「恭介…恭介…」
泣きながら恭介に甘えるさやか
上条「さやか…」
片腕のないさやかを軽く抱き締める
さやか(あたし…最後まで恭介のものでいるから…。恭介を忘れたりしないから…)
さやか「ごめん…。ちょっと、ワガママ言っていいかな…」
上条「もちろん…」
さやか「その…もし、あたしなんかでよかったら…」
さやかが恭介の耳に口を近づけた
さやか「恭介の好きにして…」
上条「…?」
上条(どうしてなんだろう…僕があの時約束を破ったから、さやかはこんな体になったのに…
さやかは、自分を犠牲にして僕の手を取り戻してくれたのに…)
上条「…さやかの望みは?」
さやか「後悔しないこと…」
恭介はさやかの額と首筋にキスして顔色を伺った
さやか「……」
少し赤くなって目を逸らしている
上条(…いいよ。さやかの為なら何でもする…一生を捧げたっていい…)
パジャマのボタンに手をかけた
さやか「!」
さやかは咄嗟に恭介の手首を掴んだ
さやか「えっ…と…」
上条「あっ…ごめん、さやか…ごめんね。何もしない…」
首を振るさやか
さやか「う、ううん…いいんだけど…その、こっちの腕は…あんまり見ないで…」
体をひねって右肩を遠ざける
上条「……」
上条(なんて残酷なんだろう…)
さやかはゆっくり手を放した
恭介がさやかの前髪を掻き分ける
上条「じゃあ…行くよ…」
さやか「いいよ…」
恭介はさやかの目を見つめたまま、上から順にボタンをはずした
下着はつけていなかった
上条「さやか…」
さやか「ん…?」
上条「不思議な気分だな…今、目の前にいるのがあのさやかだなんて…」
さやか「何それ…」
上条「付き合うまでは異性として見たこともなかった…」
さやか「ほんとひどいよね…」
上条「ずっと気付けなくてごめんね…。世界で最高の女性が、こんなに近くにいたなんて…」
さやかは笑った
さやか「うわぁ、馬鹿じゃないの?」
僕もさやかちゃんとキスしたいです
しえ
上条「あはは」
ボタンの開いた服に手をかける
上条「…いい?」
さやかは強く目を閉じて頷いた
恭介がパジャマを脱がす
華奢な体。さやかの胸が意外に大きいことを知る
途切れた右腕に思わず目が行った
上条(……!)
ぞっとする恭介
上条(くっ…僕は何を怖がっているんだ…。さやかの気持ちがわからないのか…!)
さやかの体を支えながら押し倒す
上条(集中しろ…さやか1人に…)
さやかは目を開けて恭介の首に腕を絡めた
さやか「こんなんでごめんね…」
上条「…!!」
僕もさやかちゃんとエッチな事したいです
さやか「やっぱ、嫌だよね…こんな体…」
上条(違う…悲しいだけだ…)
鳥肌気味の胸にキスした。唇が沈むほど柔らかかった
上条「…さやかは可愛いよ」
さやか「…腕ないんだよ…? 気持ち悪くないの…?」
上条「僕の彼女を悪く言うな」
さやか「……。はーい」
見つめ合ったまま2人とも笑った
―――――――――
――夕方
QB「はぁ…はぁ…やっと見つけた…」
仁美「私に…何か御用ですの…?」
QB「伝えなきゃならないことがある…」
仁美「…?」
QB「さやかが…さやかが……」
挿絵はズシスワフ・ベクシンスキーでお願いします
さやかちゃん生きて!
猿は死ね
>上条「僕の彼女を悪く言うな」
ウホッ、良い男
なんとなく仁美と恭介の子どもがさやかに似ている絵を思いだしたわ・・・
あと猿死ね
nOIGCZ530 いい加減だまったら?
支援
―――――――――
恭介がバイオリンを弾き終える
さやか「…ありがとう」
上条「ううん…」
さやか「…恭介」
バイオリンをケースにしまってさやかに寄り添った
上条「何?」
さやか「…別れよう?」
上条「…!?」
さやか「ごめん…」
上条「…どうして!」
さやか「あたし、死ななきゃいけなくなっちゃった…」
上条「嘘だ…。さやかを死なせるもんか!」
さやか「ごめん……」
さやかは事情を説明した
>>650はい、おまえの負けー
先生が黙って喋れって言ってたじゃん
しずかにねー
――――――――
――魔女結界
サングラスをかけた杏子が槍で魔女を切り裂いた
杏子「はぁ、はぁ…チッ」
結界が消滅。グリーフシードは落ちて来ない
杏子(また無駄骨かよ…。魔女のくせにグリーフシードを持ってないなんて…
クッソ…さやかはとっくに限界だってのに…!)
次の獲物を探す為にソウルジェムを取り出す
杏子「…!」
予想以上に穢れが溜まっていた
生かして生かして、虚淵の真似なんてしなくていいから
――――――――
上条「そんな…こんなのって…!」
さやかは持っていたソウルジェムを恭介の手に握らせた
さやか「本当はもっと一緒にいたかったけど…」
上条「そうだ…さやか、教えてくれ…! 君が僕の手を治した『契約』について…!
どこへ行けば叶うんだ…! それで奇跡を起こせるんだろう…? 僕が助けるから…!」
さやか「ううん…。『契約』はキュゥべえに選ばれた女の子じゃないとできないんだよ…
恭介は男の子だから駄目」
上条「くっ…!」
さやか「あたしの最後のワガママ、聞いてくれない…?」
上条「今日は初めからそのつもりで…?」
さやか「ごめんね…」
上条「できる訳ないだろ…さやかを殺すなんて…!」
さやか「このままだと、あたしも先月の化け物になっちゃうんだよ…
あたし、恭介にこんな怪我させたくないから…」
上条「僕は…それでもいい…!」
猿避けって結構必要なのな。支援支援
さやか(あたしとキュゥべえみたい)
さやか「わかって…。恭介にしかお願いできないんだ…」
上条「さやか…」
さやかにしがみついて泣きじゃくる恭介
上条「お願いだ、死なないで、さやか…! 置いて行かないで…!」
僕を独りにしないでくれ…!」
さやか「…恭介には、仁美がいるよ…」
上条「さやかの代わりなんていない…! さやかじゃなきゃ駄目なんだ!」
さやか「……嬉しい」
上条「…さやか」
さやか「恭介にそこまで想ってもらえて…」
ベッドに座ったまま変身するさやか
上条「…!」
さやかは泣きながら笑っている
さやか「もう逃げて…ソウルジェムがグリーフシードに変わりそう…
あたしは未練なんかないよ…。人生最後に、最高の贅沢しちゃったから…」
さやかが剣を恭介に向けた
ピキッ
ソウルジェムにヒビが入る
さやか「早く……」
上条(そうかい、さやか…)
恭介が切っ先を素手で掴んだ
さやか「!?」
さやかは思わず手を放す
恭介は剣を捨てると、ケースに入ったバイオリンをさやかに押し付けた
上条「それを僕だと思って、持っていてくれ…」
ケースに鮮血がついている
どうしたらさやかは幸せになるんですか
支援
俺はこの上條さんを最後まで信じる
さやか「恭介…」
恭介はさやかに少し強引なキスをすると、すぐにドアの前に立った
上条「さやかを独りにはしないから…!」
部屋を出ていく恭介
さやか「……」
―――――――――
泣きながら走っていく
上条(さやか…)
時折ソウルジェムを見つめながら
上条(それが君の望みなんだね…。いいよ…今の僕にできることがこれしかないなら…)
確かに「好きだ」とも「愛してる」とも言ってないけどそれ以上の言葉は言ってるよなこれ
その幻想をぶち殺す!!
―――――――――
さやか(未練がないなんて嘘だよ…でも他にどうしようもないんだもん…!
別れたくないよ…死にたくないよ…!)
バイオリンを強く抱いている
さやか(ねぇキュゥべえ…あたし、間違ってたかな…
そもそもあたしは契約しちゃいけなかったのかな…)
恭介の笑顔がよぎる
さやか(…ううん。こうでもしなきゃ、恭介は一生あのままだったんだから、
これでよかったんだ…他になかったから…。それに…あたしの願い、全部叶ったもん…
恭介のバイオリンがまた聴けたんだし…何より恭介にあんなに愛されたから…)
体に微かに残った恭介の感触と匂いを感じ取った
さやか(仁美なら安心だよね…? 恭介、幸せになってくれるよね…?)
バイオリンを包むように体を丸めた
さやか(大好きだよ…恭介)
さやか「――!」
さやかの心臓が止まった
支援
―――――――――
杏子(大丈夫だ…よっぽど手ごわい奴に当たらなきゃ魔力は大して使わない)
ソウルジェムが反応している
杏子(…駄目だね。こりゃ使い魔だ。…どこかへ向かってるみたいだな…
獲物でも見つけたのか? 魔女になった時すぐ見つけられるように、
魔力のパターンを下見しておくか…)
使い魔の気配を追っていく杏子
――廃ビルの屋上
恭介がさやかのソウルジェムを握り締めたままヘリに立っている
上条(上から見るとすごい高さだ…)
ソウルジェムのヒビを軽く引っ掻いた
上条(…さすがにこの高さから落ちれば壊れるだろう…)
少なくとも自分が猿食らうほど支援する必要はないから……
スレ埋める気かよ馬鹿が
支援
杏子が廃ビルに到着
杏子(向かってるのは多分この辺りだな…。目標がこのビルだとしたら、
弱った人間が近くにいるか、誰かに憑いて自殺でもかますように誘導してる最中だ)
上条(…ずっと一緒だ)
杏子が屋上を見上げた
杏子「…!」
使い魔が忍び寄っている
恭介がソウルジェムを抱いて飛び降りた
杏子(あいつは…!)
変身して跳び上がる杏子
槍を4階の外壁に突き刺して恭介に腕を伸ばす
ガシ
ジャラジャラジャラ
落ちて来た恭介に引きずられて仕込み多節棍の鎖が伸びていく
バンッ
槍を捨て、恭介を抱き抱えたまま着地
杏子がかけていたサングラスと恭介が持っていたソウルジェムが砕けた
上条「…?」
たどり着いた使い魔が2人に襲いかかる
――結界
上条(この人は確か……)
杏子(まさか上条の坊やが狙いだったとは…)
結界内は七色に光る宝石が散乱している
杏子(サングラスがないとこの程度の光でも目がチカチカしやがる…)
タキシードを着た首のないマネキンが恭介の手を掴む
杏子は手のひらから槍を出して使い魔の腕を切り落とした
杏子「お前なんかに用はない。他を当たれ。でなきゃここで殺すぞ」
クライマックスすげーな
使い魔は両足を引きずりながら浮遊して去っていった
結界が消える
上条「……」
恭介が膝をついてうなだれている
杏子「おい」
上条「…?」
杏子「お前、自分でここに上ったんだよな
さっきの使い魔はまだお前を操ったりも何もしてなかった」
上条「……」
杏子「くっ」
変身を解く杏子
恭介の胸倉を掴んで勢いよく壁に押し付けた
杏子「シカトか?」
上条「……」
恭介は下を向いたまま泣いた
杏子「……?」
青い破片に気がつく
杏子「…まさかお前…!」
上条「…さやかを殺した…」
杏子「…!」
上条「どうして助けたりしたの…。さやかを一人ぼっちにするなんてあんまりじゃないか…」
杏子「こ…いつ…!」
壁に押し付けたまま顔面を思い切り殴った
恭介の唇が切れる
杏子「テメェ頭おかしいんじゃねーのか!?」
腹に膝蹴りを入れて投げ落とす
杏子「何やってんだお前!!」
馬乗りになって頬を引っぱたいた
杏子「何やってんだよ! おい!!」
支援
あんあん……
上条「…さやかに頼まれたんだ…」
杏子「はぁ!?」
上条「『もう助からない』…『魔女になる前に殺して』って…さやかに言われたんだ…」
杏子(あの馬鹿…! こっちがどれだけ苦労して世話してやってたかわかんねーのかよ…!)
恭介の首を掴んで爪を立てる杏子
杏子「で? なんでお前まで死のうとしてんだよ…!」
上条「うっ…うぅ…」
杏子「テメェはさやかの犠牲の上で生きてんだろーが!
誰のおかげで病院から出られたと思ってんだ!!」
上条「さやかのいない世界に意味なんてないんだよ…!」
杏子「それはテメェの勝手な意見だろ! …これだから男ってやつは…!」
恭介が横目でソウルジェムの破片を見た
上条「…どいてくれ」
杏子「……」
杏子が立ち上がると、恭介は這いつくばって破片を集めた
杏子「チッ…」
手伝おうとする杏子の手を恭介が弾いた
上条「…さやかに触るな」
杏子「……」
上条(さやか……)
杏子はしばらくの間黙って見届けると、髪をまとめ直し、フードを目深くかぶって歩き出した
杏子(坊やはぶっ壊れちまったよ。お父さんがそうだったように
他人の為に魔法なんか使うとロクなことにならねーよ)
歩きながら、パーカーのポケットに両手を突っ込んだ
杏子(なんでいつもこうなんだろうな。一度魔法少女の世界に入ると
大事な人がバタバタ死んで逝きやがる。どいつもこいつも)
杏子は唇を噛んで、少しずつ加速した
杏子(あー…ムカつく)
涙がこぼれた
杏子「畜生…!」
がむしゃらに走り始める
支援
―――――――――
――ドイツのホテル
恭介が洗面所で鏡と睨み合っている
カーテンの向こうからシャワーの音
上条(生きていたら今頃どんな大人になっていたろう
夢の中でもいい。もう一度ちゃんと話したい
君がどんなに大切だったか。君が何をもたらしてくれたか
そして聞かせてほしい。今、君がどう思ってくれているのか)
洗面台に置かれた錠剤の小瓶を手に取る
上条(…こんなものに頼るからいけない。さやかの決意を思い起こせ。僕も大人になろう)
蓋を開けて薬をトイレに捨てた
シャワーの音が止まる
濡れたままの仁美が出て来た
仁美「あ……」
上条「……」
仁美「…いいの?」
上条「…もっと高価で、害のない薬がある」
支援
支援
支援
仁美「……」
恭介は仁美を抱き締めた
上条「君だ」
仁美「…ええ」
仁美は目を閉じて笑った
恭介のバイオリンの弓には青い宝石が埋め込まれている
上条「…君に悪いような気がしてた」
仁美「…とんでもないわ」
上条「これからは誇りに思う…」
仁美「うん…それでいいの」
上条「愛してる」
仁美「私もよ」
猿って何かと思ったら規制かよ
そうならそうと言ってくれ
ただの荒らしかと思った
―――――――――
――オフィス
まどかがパソコンに向かって穂村あけみについて調べている
まどか「『インキュベーターは『希望から絶望への転位』を超えるエネルギー生成技術を
未だに開発できずにいる。ソウルジェムが生む魔力そのものを
物理的に回収する方法も見つかってはいるが、従来の手法を核エネルギーに例えるなら、
こちらは差し詰め石油であるという』…うーん、難しいなぁ」
内線が鳴った
まどか「はい、開発部です」
詢子「まどかか」
まどか「あ、ママ」
詢子「ここでは社長と呼べ」
まどか「はい…」
詢子「昼は済んでるか?」
まどか「いえ、まだです…」
詢子「ちょっと来い。話がある」
まどか「わかりました…」
支援
――社長室
まどか「失礼します」
詢子が両腕を肘掛けに置いてまどかを睨んでいる
まどか「えーと…話って何でしょうか? しゃ、社長…」
詢子「座れ」
まどか「はい…」
対面の椅子に腰掛ける
詢子「お前、ヤクザとツルんでるのか?」
まどか「え…!?」
詢子「佐倉って奴がお前の名前を口にしてたって、その筋の奴が言ってたんだけど」
まどか「…『佐倉』…杏子ちゃん…?」
詢子「知ってんのか」
まどか「え? えーと…杏子ちゃんは、中学校の時からの友達で…」
詢子「……」
支援!
しししえんん
まどか「はい…」
(まどか『どうしよ…どうしよう…! キュゥべえが言ってたこと、本当だったんだ…!』)
(杏子『何お前が慌ててんだよ』)
(まどか『私がさやかちゃんを助けなかったから…キュゥべえに『助けて』って言われたのに…』)
(杏子『はぁ? なんでそこでお前が出て来るんだよ。あんなの一般人の出る幕じゃなかったよ
さやかは魔法少女だ。それで進んで戦いに来た。負けるってわかっててな』)
まどか(私…)
(ほむら『あなたは美樹さやか1人を助けた後、世界中を滅ぼして回ることになる』)
まどか(私、やっぱりずるいよね…)
吐き気がした
詢子「…まぁ、縁切れとまでは言わないけどさ。くれぐれも危ない話には首突っ込むなよ?」
まどか「う、うん…わかってる」
詢子「ならよろしい」
まどか「……」
詢子「…今夜、飲みに行くか?」
まどか「……?」
詢子「たまには付き合いな。ここんとこ忙しかったからな
腹割って話したいことも色々ある」
まどか「…うん」
まどか(あの時、ママならどうしたのかな…)
本棚の一番下に、『絶対に契約してはいけない』の背表紙が見えた
まどか「!」
支援
まとめサイト()のクソ管理人共くたばらねえかな
支援
魔法少女親バレってどうなんだろうな
―――――――――
――路地裏
杏子がベンツのトランクを閉めた
杏子「用心しろよな。お前はもう日本中に顔見られてる
フットワークのしょぼい魔法少女はお前を目の敵にしてるぞ」
『不死身のお杏』は過去に拳銃で頭を2回撃たれたが、それでも死ななかった
今は組の用心棒をやりながら、ほむらと結託して魔女の撲滅に向けて活動している
ほむらは最後の銃を盾にしまった
ほむら「ここまで来てしまった以上、後戻りはできないわ
目の前に敵が現れたら、魔女だろうと人間だろうと容赦はしない」
ほむらはさやかの遺族に了承を得て、半自叙伝『絶対に契約してはいけない』を自費出版した
キュゥべえの新たな目撃者(契約を迫られた少女達)の存在によって、
『実話ではないか』との噂が絶えないが、世間では専ら都市伝説とされている
杏子「生きてる間毎日毎日魔女狩りして、魔女がいなくなったらこっちが魔女になって…
マジでクソッタレな人生だ…」
ベンツの助手席の窓が開いた
男「お杏さん…すんませんけど、また事件です」
杏子「ああ?」
男「ちょっと前にグリーフシードに目つけた組がありまして…
何でも、使い物にならなくなったグリーフシードを高値で売りつけてる連中がいるそうです
そっちの筋の奴が言うには、えーと、魔女が出て来てどうたらこうたら…」
杏子「ああまどろっこしい」
杏子は後部座席に乗り込んだ
杏子「悪い、急用できちまった。もう行くよ」
ほむら「ええ。ありがとう」
杏子「出せ」
ベンツが走り去った
ほむらは大型のバイクに跨り、フルフェイスをかぶった
エンジンをかけると、盾の中からキュゥべえが顔を出した
QB「ふぅ…。君にはお手上げだよ。大した執念だ」
ほむら「あなたは早く代わりのエネルギーでも探しなさい」
QB「そう簡単にできたらいいんだけどね…」
ほむら「……」
QB「少なくとも、この国では当分契約はできない
君が書いた本の影響は、僕が思っていたよりも大きかった
…本を読んだ子はみんな、さやかの最期に相当な衝撃を受けている…」
ほむら「そう。なら海外にでも行けばいいわ」
QB「それでも君は追って来るつもりだろう?」
ほむら「…本心じゃないわね」
QB「まぁね」
ほむら「何のつもり?」
QB「…休暇が欲しいんだ。少女達を悲しませながら暮らすのは、しばらく御免だから…」
ほむら「信じたことにしてあげる」
QB「そっか。さあ、ほむら。ここから一番近いのはそこを右に曲がって8キロ走った所だ
魔女ではなさそうだけど、行ってみるかい?」
ほむら「魔法少女?」
QB「いや、十中八九使い魔だろう。最近は紛らわしいパターンも増えたけどね」
ほむらは『監視』と称してキュゥべえと共にバイクで魔女狩りの旅をしている
行く先々でグリーフシードの奪い合いになり、それに勝つ度に現地の魔法少女は苦しんだ
ほむほむ
魔法少女の残党は、漏れなく魔女になって更なる魔女を産むか、死ぬしかなかった
ほむらは『正義の味方』とは程遠い存在だった
ほむら「掴まってなさい」
QB「準備はいいよ」
ほむらが一気にアクセルを開ける
髪をなびかせて高速で走り抜けていく
ほむら(誰かが語り継がなければ、惨劇は繰り返される
魔法少女なんて、綺麗に死ぬことさえできない哀れな生き物だわ
美樹さやかはその最たる例。きっと終わりにしてみせる)
QB(僕にゴールはない…。ほむらの策謀のおかげで、人間は僕らの計画に抵抗を始めた
エネルギー問題の解決は予定を更に遅らせなきゃいけなくなった
いつか僕自身も力尽きて、再び感情を失うだろう
それまでは、嘘くさい平穏に身を沈めていたい…
よくも悪くも、今はさやかと暮らした時期を忘れられないから
感情はまるで麻薬だ。人間って不思議な生き物だな…
この宇宙さえも、ゆくゆくは感情エネルギーに依存して止まない時が来るだろう
その時は、僕も容赦しない――)
ほむらは膝がつくほどバイクを傾け、使い魔の群れに向けてマシンガンを乱射した
――完
ああそうか、もう時間を止められないってそういうことか
しかし実際それだとかなり残念な魔法だな
GJ!ありがとう!
乙カレー
乙っちまどまど
おつ!
おつかれー
乙!面白かった
またなんか書いてくれよ!
スレ荒らしちゃってごめんね!
久々に良いもの読ませてもらった
乙
激しく乙
楽しませてもらったよ
乙
乙乙!
おつかれさん
面白かったよ
>>710
やあ! 僕の名前は>>1べえ! さるよけに感謝するよ!
ところで君達は大きな勘違いをしていなかったかい?
さやかが幸せになるだって? そんなことある訳ないじゃないか
さやかにハッピーエンドは似合わないね
ハッピー途中経過で充分じゃないか。訳がわからないよ
うおおおおおお乙!!
おつかれさまー
おつさや
>>1
乙
ラストに漂う場末感がなんとも言えねぇ…
乙
気持ち悪いやつ湧きすぎ
このSS主に
従二位勲一等
を授与する
まどか「QB~?」
QB「まどか。こっちへ来てごらん」
まどか「ここは危険だから入っちゃいけないって、QB?」
まどか「!?」
まどか「さやか…ちゃん?」
QB「今、スイッチをいれるよ」
こんなこといいな
できたらいいな
・・・
>>1乙
さやかが原作よりある意味幸せそうだった
乙乙乙
乙
ビターエンドだな
乙
>>1乙!!
まどかって主人公…
んでスレタイ通りのエロ展開はまだかな?
面白かった!乙
>>730
スレタイ通りのセリフなら間違いなくあったじゃないか
訳がわからないよ
>>1乙
さやかはアニメよりは救われたな……
でも、見てみてえじゃねえか!誰もが望む、最高のハッピーエンドって奴をよ!
次回にも期待してるわ
乙!
>>1乙
さやかちゃんにハッピーエンドは似合わないから良かった
乙、寝不足になったかいがあったよ
良い話だったな。
>>1乙
乙。
久し振りにログ取りたいと思った。
乙彼。さやかちゃん相変わらずだけど、SS的に一番不遇なのはマミさんやな。
原作を超える鬱展開だった。誰一人救われてないよね。面白かった>>1鬱
ほむらは約束を果たせてよかったがほかの連中は微妙だな。
乙さや!
乙ー
さやかはやっぱりこういう結末が似合うよな
こんなのが初心者な訳がない
Oh...(´・ω・`)
>>1乙
うおおすごい面白かった
ひさしぶりにwktkしたわ
劇場版っぼいの見てる気分だった
>>1乙!ほんとうに乙!
乙マミ
叩かれそうなネタ結構使ったけど全然叩かれなくてワロタ
ほむらは夜の街を駆けるのが似合うな
乙。久々にSSにのめり込んだわ
まどほむにはもうちょっと頑張ってほしかったが
きれいなキュウべえと恭介が見れてよかった
>>1乙!!!!!
いやー、久々に良作。
ペースもいいし見習いたいものですな
乙!
キュウべえこんな可愛いのか
原作読みたくなった
おお残ってた乙
そこまで元を知らないけどさやかはそんな幸せにしてもらえないキャラだったっけ
なかなかいい発想で面白かったよ
本気で泣いたのって俺だけなの?
>>756
まど神様ですら諦めるレベル
>>750
俺史上最高のSS認定が決定しました
おつおつ!
>>1乙・フィナーレ!
またSS書いてくれよな
めったに見れんなこれ
おつ
おつー
これは良いものだった
感動した
>>758
上条「僕の彼女を悪く言うな」
これで涙腺崩壊
乙です
おもしろかったよー
追いついたら終わってた
乙
乙
空海以来の素晴らしいssだった
苦悩するQBって新鮮だった
次は幸せなさやかENDが読めると良いな、>>1乙
終始仁美(大人バージョン)に萌えていたのは>>1だけであった
さやかの扱いはこれで良かったと思う
名作でした
>>770
さやかは馬鹿だしワガママだから
さすがの恭介もいつか「感謝と愛情を履き違えてしまった」とか言いながら
別れを切り出すと思ったのさ!
やっぱり仁美ちゃんだ! 恭介にはもったいないレベル!
大人になった仁美ちゃんはきっとセクシーさもダントツなんだ!
もう時間を止められないのはなんで??
お馬鹿な俺におしえてくらはい
あと>>1乙
>>774
ほむらの砂時計の砂が退院からワルプルギスまでの一ヶ月で落ち切るから
今までの時間停止はその落ちる砂を止める事によって実現していた
よって砂が落ち切ったほむスピナーは時間停止能力を失う
>>776
なるほどthx
原作の設定で元々ワルプル以降は使えなくなる能力だったのね>時間停止
さやかちゃん結ばれてよかったね
さやかちゃんに幸せな時間があっただけで希望がもてる
>>1乙
ありがとう
乙
面白すぎてますます自分の書いてる奴に自信持てなくなった
上には上が……居すぎだっつーの……
ヤクザは大変だな…
>>1乙
面白かった
映画化決定
さやかちゃんマジさやかわさやかわ!
やっと追いついた
乙
QBさんが可愛いSSに外れはないな。
>>1乙
久々にいいもの読ませてもらっった
>>771
ずっとROMってきましたが仁美厨です
色物好きが意外と多いな
……ほとんどのキャラが原作と違う未来を手に入れたのに引き換えマミさんはいつものとおり殺られてしまったのは……生かしておくと皆を救ってしまうからだと、せめてそう思いたい
QBに感情移入して抜いた
>>1乙
このQB可愛いな
面白かった
乙!
こんな話見せられたら>>1乙するしかないじゃない!
乙!
面白かったぜ!
本筋には関係ないがQBに感情を与えた魔法少女が誰で何故与えたのか気になるな
読んでないけど周りが臭すぎる
死ね
いい話だった乙
>>1乙
面白かった
>>794
前にそんなSSがあった気がするけど思い出せない
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