綾「これはラブソング」陽子「血の滴る音」 (211)

※流血等人によっては不快に感じる表現があります。ご注意ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1381057510

期待

~教室~

陽子「あっつー……」

忍「まだ春みたいだと思ってたら、いきなり夏らしくなりましたねー」

陽子「だよねー。夏服どこにしまったか分からなくなって朝焦ったんだよー」

アリス「あ、おはようアヤ!」

綾「おはよう……」

カレン「オハヨウゴジャイマース!」

綾「……」

陽子「あれ、綾長袖で暑くないの?」

綾「う、うん」

綾「ちょっと聞いていいかしら」

アリス「どうしたの?」

綾「あのさ、私、臭くない?」

アリス「え、そんなことないよ!」

忍「そ、そうですよ!」

アリス(最近ずっと同じこと聞いてくるよ……)

綾(アリスはいつもそう言ってくれるけど、そんなはずないわ)

綾(私の体は腐っていっているもの)

綾(ああ、両腕はもう死体みたいな色に染まっているの――)

綾(腐臭がこのクラス中に回って、漂って――)

綾(みんな知って知らないふりをしているんだわ)

綾「……」

陽子(うーん、このごろ綾の調子が良くない)

陽子(二か月ぐらい前からずっとあの調子だ)

陽子(やっぱりなにかあったのか……?)

陽子「綾、どうかした?」

綾「ううん、なにも」

陽子(そんなふうには見えないが……)

陽子(相談する気もなさそうだし、ほっといてあげた方がいいのかな)

カレン「アヤヤ、最近暗いデス」

カレン「アヤヤは笑わなくなりマシタ」

カレン「五人でいるときにアヤヤだけ笑ってないとなんか変な空気になるデス」

カレン「だから笑うようにしてクダサイ! これは命令デス!」

綾「……」

綾(ああ、私気を遣わせてるんだわ)

陽子「まあまあ、カレン」

カレン「笑ってないアヤヤなんて嫌いデス!」

アリス「カレン、言いすぎだよ!」

忍「そうですよ。綾ちゃん、きっと体調悪いだけですよ」

忍「でも、出来れば笑って欲しいです」

綾「う、うん……」

綾(そうは言ってくれるけど……)

綾(忍も、みんなも心の中では私の事を避けてるの、嫌いに思っているのよ、分かってるわよ……)

陽子「私たちが綾に明るさを分けてあげたらいいんだよ」

カレン「それもそうデスネ」

忍「陽子ちゃんとカレンはいつも明るいですね」

カレン「元気が一番デス!」エヘン

陽子「よしじゃあ、私が明るさを送ってやるよ」

陽子「綾、明るくなれ―!」

綾(ああ、陽子はこうして、私を元気づけようとしてくれる)

綾(ありがとう、陽子――)

綾(好きです好きです好きです好きです好きです――)

綾(友達以上に、親友よりももっと好きです――)

綾「……」

陽子「無反応かい!」

綾「え、ああ、ごめん」

~授業中~

綾(陽子に好きだと伝えたい)

綾(伝えたい伝えたい伝えたい伝えたい伝えたい伝えたい)

綾(でも、今は駄目)

綾(私は腐っているから……)

綾(あ、頭に毒気が回ってきた)

綾(もう駄目だ、頭が痛い、重い、働かない――)

陽子「おい綾、当てられてんぞ」

綾「あ、はい……」

~放課後~

カレン「ヨーコ、この前話してた映画の件なんデスケド」

陽子「あああれ、結構評判いいらしいねー!」

カレン「いっしょに見に行きまショー!」

陽子「いいねえ、行こっか!」

綾「……」

綾(陽子を好きな気持ちは、まだ一方通行よね)

綾(分かってはいる、けど……陽子が他の人と仲良くするのを見ると……)

綾(なんかちょっとだけ、いらいらするな……)

~綾の家、リビング~

綾「ごちそうさま」

綾母「あら、まだこんなに残ってるのに」

綾「うん。ちょっと食欲ないの。それに勉強しなきゃいけないから」

綾母「そういえばこの前のテストの結果すごい悪かったものね」

綾母「頑張りなさいよ」

綾「うん。ありがと」

~綾の家、綾の部屋~

綾「はあ……」

綾「……」カリカリ

綾(成績まで下がるなんて……)

綾(私は頭がいいことぐらいしか取り柄ないのに)

綾(ああ、いつもの声がやってくる……)

死ね消えろお前には価値がないさっさと失せろこの世からいなくなれ

綾「いやだ、いやだいやだいやだ!」

綾(全然勉強に集中できないわ……)

綾母「お風呂入ってるわよ」

綾「明日の朝入る―」

綾母「あらそう」

~午後十時~

綾(……おしまいおしまい! 今日は疲れてるからおしまい!)

綾(まだ早いけど寝てしまおう……)バサッ

綾「……」

そこで寝てしまうからお前は駄目なんだこのクズ人間が親に恥ずかしくないの消えれば?

綾「……」

綾(眠れない。疲れてる感じも眠気もあるのに)

綾(なんだか頭がぼんやりと痛い)

綾(体も、どんよりして――)

綾(相当腐って来てるわね)

綾(――そろそろ、切らなきゃ)

綾(最近の、私の楽しみ、――うふふ)

綾(よいしょっと――あった。私のお気に入り、カッターナイフちゃん)

綾(これの刃先がサクって入る感覚がたまらないわ)

綾(さあ、リスカ、するわよ)

スーッ

綾(ああっ、気持ちいいー!)

綾(傷口から、少しずつ頭にたまっていた毒気が抜けていくのが分かる)

綾(我慢してたあとトイレをする感じ)

綾(血が、ぷくーっと出てきて、可愛い)

綾(見ているうちに、もう傷口から溢れてしまいそう)

綾(赤い、きれいな血――)

綾(この血は生命の血。この血に触れた部分は、腐った私の体を浄化し、新しい生を吹き込んでくれる――)

綾(ああ、ぼーっとしちゃいられない。早く体じゅうに塗りたくらないと)

綾(服を全部脱がなきゃ――)

バッ

綾(一筋じゃ血が足りないわ。ふた筋、み筋、456――)

スーッ、スーッ、スーッ……

綾(あははは、いくら切っても全然痛くない。血が垂れてくるだけだわ――あはははは!)

綾(全身に塗りたくって――と)ベタベタ

綾(私のからだ、まっかっか――)

綾「うふふふふ……」

えっなにこれは……

綾(これからこの血は、私の皮膚にしみわたっていく)

綾(もうすぐで、私は生きているのだと強く実感できる……!)

綾「はあ……はあ……」

綾(最高の気分だわ!)

綾(これで明日はきれいな姿で登校出来るわね……)

綾(そしてきれいになった私を、陽子が見てくれる……)

>>22
いや、むしろ何を想像してたのよ……

~次の日、教室~

陽子「おっはよー!」

綾「……」

陽子(なんか聴いてるな)

陽子「綾? おーい綾!」

綾「え、あ、なに?」

陽子「人と話する時ぐらいイヤホン取れよ……」

綾「ご、ごめんなさい。今はこれで」

綾(これがないと色々聞こえてくるのよ……)

カレン「アヤヤはどんな音楽が好きなんデスカ?」

綾「え? そうね、色々聴くかな」

陽子「今なに聴いてんの?」

綾「はい、音楽プレーヤー本体」

陽子「どれどれ……」

綾にアンチなんているの?
そういう前提でないとこういうSSは書けないと思う。
あ、別に>>1がそうだと言ってるわけじゃないからね。

陽子「ラジオヘッドのい、いぢお……」

カレン「Radioheadの『Idioteque』デスね。Radioheadなんてグループ、初めて聞きマシタ」

綾「一応イギリスのロックバンドなんだけど……」

アリス「名前を聞いたことはあるよ」

アリス「でもマムは、聴いてると鬱になるからやめといた方がいいって言ってたよー」

陽子「おい綾、それ今すぐ聴くのやめろ」

綾「どうしてよ。もう私は彼らの音楽に心酔しちゃったのよ」

カレン「綾ってやっぱり、ちょっと病んでるデスカ?」

陽子「こら、直球を投げるな!」

綾「……」

陽子「音楽に夢中で聞こえてないっぽいからよかったけどさ……」

アリス「でも、確かにアヤ、様子がおかしすぎるよ」

忍「ちょっと怖いですよねー」

陽子「……」

綾「……」

綾(みんな、こっちを見てる……)

綾(私、見られてる、見られてる……ひいっ!)

綾(落ち着いて、音楽に集中すれば……)

綾(この曲は私を、どこか無機的な世界に連れて行ってくれるわ)

綾(ここで私は認められている……ここで私は認められている……)

陽子「あっ、もう授業始まりそうだ。自分の席に戻ろっと」

~授業中~

綾(ああ、なんで授業中は音楽を聴いちゃだめなのかしら……)

お前生きてる意味ないから人生価値なしくそ豚死ねよ両親の前で恥ずかしくないの?

綾(ほら、聞こえてきた……)

綾(こういうとき、リスカすれば落ち着くんだけどね)

綾(一応スカートのポケットにカミソリは持ってあるけど)

綾(トイレ行くって言って切ってこようかしら)

綾(いや、駄目よ。教室から出て行く時に皆がこっちをみるじゃない)

綾(三十何人の目がこっちに集まるの――考えただけで恐ろしいわ!)

綾「う、うぅ……」

~放課後、帰り道~

忍「じゃあ陽子ちゃん、綾ちゃん、さようならー」

陽子「バイバイ!」

陽子「綾、行こっ」

綾「……」

陽子「綾、ちょっといい?」

綾「なに?」

陽子「今日授業中にすごいうなされてたよ」

綾「え、ええ大丈夫よ」

陽子「大丈夫そうに見えないから言ってるんだけど」

陽子「なんか私たちも、綾がそんな調子でちょっと気になってるからさ」

陽子「気が向いたらでいいから、私に相談してね」

陽子「いつでもいいからさ」

綾「う……うん」

綾(ああ、ありがとう陽子)

綾(私がこんななのに、なんでこんなに優しくしてくれるの……?)

綾(陽子がいとおしい、好きよ、好きよ好きよ好きよ陽子ぉ……)

~綾の家、綾の部屋~

綾(陽子……ありがと)

綾(でも、相談はできない)

綾(陽子の優しい気持ちに応えて、相談するべきだとは思うけど)

綾(陽子に私のこと伝えたら、きっと引かれるに違いないもの)

綾(陽子に全部、打ち明けられる? 私の体が腐っていくように感じること、変な声が聞こえること、夜眠れないこと)

綾(――リストカットしたら落ち着くこと)

綾(――そんなの、絶対に無理。そんなことしたら――)

綾(病人扱いされるじゃない)

綾(私は病気なんかじゃない、至って普通――)

綾(あまり眠れてないから、変な気が起きるだけ――)

綾(もう11時半か……。お風呂入らなきゃ)

また何とも表現しがたい文章が…こういうのを新ジャンルというんだな

~一階~

綾(あれ、まだお父さん帰ってない)

綾(最近は早く帰ってきてたのに、ここ三日はすごく帰りが遅いわ……)

綾(そういえば、二か月前から――)

綾(まあいいか。さっさとお風呂入っちゃおう)

~綾の部屋~

綾(12時だ。もう寝てもいい時間よね……)

綾「よいしょ……と」

綾「……」

綾(ああ、また来る……)

くそがごみくず以下の存在きもいふざけるな私の視界から消え失せろ

綾(いやよ、そんなの、いや、いや、いや――)

綾「う、うぅ……」

綾「……」

綾(今何時だろう)

綾(ああ、もう1時だ)

綾(寝れない)

綾(もうちょっと起きていよう)モゾモゾ

コンコン

綾(なんだろ、こんな時間に……)

綾母「綾ー、大丈夫?」

ガチャ

綾母「なんだかうなされてるみたいだったけど」

綾「うん、大丈夫」

綾母「最近食欲ないし、眠れてないんじゃない?」

綾「うん、確かに寝付けないけど……でも心配しないで」

綾母「心配するわよ。お母さんが前飲んでた睡眠薬あげるわ」

綾「う……、うん」

綾「その……大丈夫かな、私が飲んでも」

綾母「ああ、軽いやつだから大丈夫よ」

~一階~

綾母「はいこれ」

綾「これ……」

マイスリー10mg
☆☆☆入眠剤☆☆☆

綾「なんか、ピンク色で可愛いパッケージね」

綾母「そうでしょ?」

綾「うん、これ飲んで寝るよ。ありがとお母さん」

綾母「いえいえ」

綾母「今日はそれでしのいで、明日病院行って綾の薬処方してもらいましょう。明日土曜日だもんね」

綾「うん、分かった」

~綾の部屋~

綾(薬も飲んだし、ベッドで横になっていよう)

綾「……」

いい加減に消えろ人でなしこんな子に育てた覚えはありません地面に這いつくばれ

綾(眠ってしまえば、もうこの声は聞こえない……)

綾(さあ、早く夢の中へ連れて行って、睡眠薬さん――)

綾(そして、陽子の夢が見られたらいいな――)

綾(陽子、よーこぉ……)

綾「……」

綾「……眠れない」

綾(あれ? 声が消えてる)

綾(頭の重みも、どこかへいった)

綾(なんか体がふわふわ浮いてる感じだ)

綾(薬が効くとこうなるのかしら……)

綾(この気分、悪くないわ)

綾(くせになりそう……)

スーッ、スーッ

綾(どうしても、切りたくなっちゃった)

綾(ああ、落ち着く、気持ちいい――)

綾(ふわふわ、ふわふわ、スーッ……)

~翌日~

綾「はっ!」

綾(いつの間に寝てたんだろ、私――)

綾(お母さんの薬を飲んで、それからどうしたんだっけ――)

綾(……痛っ)

綾(あ、あれ……? なんで傷が……?)

今日はここまでになります
続きは明日

乙。期待


多くは無いけどむかしから存在するジャンルだよね

そういえば、同じ日常系のアニメであるけいおんのSSもカオスなものがちょこちょこ出てきたよね。
綺麗なもの程汚したくなるって心理が働いているのかな?

~一階~

綾母「はいご飯。食べたらお医者さんへ行くわよ」

綾「うん」

綾「お父さんは今日いないの?」

綾母「昨日から今日の昼ごろまで泊まり込みで仕事だって」

綾「ふーん……」

綾「ごちそうさま」

綾母「じゃあ支度しなさい」

~一階~

綾母「はいご飯。食べたらお医者さんへ行くわよ」

綾「うん」

綾「お父さんは今日いないの?」

綾母「昨日から今日の昼ごろまで泊まり込みで仕事だって」

綾「ふーん……」

綾「ごちそうさま」

綾母「じゃあ支度しなさい」

連投ミスですごめんなさい

~○○内科~

看護師「小路さん、どうぞ」

綾「は、はい」トコトコ

綾「あれ、お母さんも来るの」

綾母「たぶん綾だけじゃ、睡眠薬なんて出してくれないわよ」

綾「そうかな……」

医者「今日はどうされましたか?」

綾「最近あまり眠れなくて……」

・・・

医者「長袖で暑くないですか」

綾「べ、別に大丈夫です」

医者「僕なんか暑がりでしてね、家ではもうクーラーつけちゃってて……」

医者「じゃあ体のほう診ていきます」

医者「脈を測らせて下さい。左手を出して」

綾「は、はい」

綾(まずい、腕の傷のことがバレたら……)

綾「あ、あの、右手で診てもらっていいですか?」

医者「まあ、どっちでもいいんですけどね。分かりました」

綾(良かった……)

医者「うーん、体のほうに特に異常はないみたいですね……」

医者「心の面の問題かな。最近悩み事はないですか」

綾「と、特にありませんけど」

医者「まあ高校生も忙しいからね。無意識にストレスを溜めてしまっているのかも」

医者「私は内科医なので、そっちは専門外なんですけど」

綾「お薬を出してもらえませんか?」

医者「この年で睡眠薬を出すのもちょっとね……依存しちゃったりするとまずいから」

医者「なんとか工夫して、やっていってください」

医者「夜は出来るだけテレビを見ないようにするとか、就寝前にミルクを飲むとか」

綾「そうですか……」

綾母「先生。この子夜寝られなくて、見ていて可哀想なんです」

綾母「そのせいか、最近は成績も落ちてきていて……」

綾母「なんとか処方してやってもらえませんか」

医者「うーん、そうですねえ……」

医者「まあ、いつも来て頂いてますし、小路さんが悪い薬の飲み方されることはないでしょうし……」

医者「分かりました。マイスリーを処方しておきます」

綾(昨日飲んだのと同じ薬だ……)

~綾の家~

綾「あ、お父さん」

綾父「おう、お帰り」

綾父「どこ行ってたんだ二人で」

綾「最近眠れないから、お医者さんへ行って薬もらってきたの」

綾父「薬? 大丈夫なのか」

綾母「他の種類のものに比べたら安全な薬らしいから、大丈夫よ」

綾「パッケージも可愛いしね」

綾母「そろそろいい時間だからお昼ご飯作るわ」

~12時~

綾「いただきます」モグモグ

綾父「綾、最近成績が下がってるんだって?」

綾母「きっと眠れてないからよ。お薬飲み始めたら、きっと元に戻るわ」

綾父「そうか……?」

綾「う、うん、そうだと思う」

綾「最近は頭が重くて勉強に集中できないの」

綾父「そうか。ふーん……」

綾(なにがふーんよ。ちょっとくらい優しい言葉があってもいいじゃない)

綾「ごちそうさまー」

綾母「今日はいつもより食べたんじゃない?」

綾「うん。今日はちょっと調子いい。昨日薬でよく眠れたから」

綾母「そう。良かったわ」

綾「お父さん、ちょっとそこどいて。二階いけないから」

綾父「おお、すまん」スッ

綾「……」テクテク

綾(あ、始まる)

こんなことするなんて、お前は悪い子だ。お仕置きが必要だな。

ほら、こっちへきなさい。ひひひ、こっちへ――。

綾(なに、これ――今までのと全然違う)

綾(頭が掴まれてるように痛い、吐き気が――)

綾「はあ、はあ……」

~夜~

綾(うーん、ずっと気分悪いわ)

綾(夜ご飯はあまり食べられなかった……)

綾(どうしたんだろ、私――)

綾(あの時の声は、一体――)

綾(起きてても気分悪いだけだから、早めに寝ちゃおう)

綾(薬を飲んで……と)ゴクッ

綾「……」

綾「まただ」

綾(体がゆらゆらして気持ちいい……)

綾(このまま、なにもかも忘れて、眠りに――)

~月曜日、学校~

陽子「たとえこの世のすべてが変わってしまっても――」

カレン「私はあなたを愛して見せる――デス」

陽子「デスは余計だろー!」

カレン「そうデシタ」

忍「なんですか、それ」

陽子「いや、昨日カレンと見に行った映画が最高でさー」

カレン「胸にキューっと来マシタ」

アリス「ふたりだけで行ったの? 私たちも誘ってよー」

陽子「いやーごめんごめん」

綾「全くよ……」

綾(なによ、カレンといちゃいちゃしちゃって)

綾(陽子は私だけのものなのに――)

綾(カレン消えろ消えろ消えろ消えろ)

陽子「悪いって」

綾「ふん」

陽子「……」

陽子「綾は昨日なにしたの?」

綾「私……なにもしてないわ。家でぼーっとしてただけ」

綾(結局リスカもしてないし、ね)

アリス「そっか」

忍「私とアリスは新しくできた和菓子屋さんに行ったんですよー」

カレン「そうなんデスカ! どうデシタカ?」

――

~放課後~

陽子「僕が人生をかけて良いと誓えるのは――」

カレン「君を愛することだけだ――デス」

陽子「……もういいや」

忍「まだやってるんですか?」

カレン「いやー、ついやっちゃうんデス」

綾(だめ、カレンが陽子と仲良くしてるの、これ以上見てられない)

陽子「意外と私、カレンと趣味合うのかもな」

カレン「ヨーコと同じで私、うれしーデス!」

綾「……」

陽子「もう一回、カレンと二人で映画見に行きたいなー!」

カレン「良いデスネ!」

綾「……許さないわ」

陽子「え?」

綾「……」

~帰り道~

陽子「ばいばーい!」

アリス「ヨーコ、さよーならー」

陽子「ほら綾、行くよ」

綾「……」

陽子「いやー、あの映画ホントに面白かったよ!」

綾「陽子」

陽子「な、なんだよ急にあらたまって」

綾「陽子はカレンと仲がいいわね」

陽子「いやまあ」

綾「カレンと二人きりで映画なんて見に行くなんて」

綾「私も陽子と行ったことないのに」

陽子「まあそうだな、じゃあまた今度行こうよ」

綾「そうじゃないの!」

陽子「ど、どうしたんだよ」

綾「私は、陽子と――」

早くどこかへ行け同じ空気吸ってるのがいやお前ホントになんで生きてんの消えてしまってもなんの問題もない

綾「あ、あああああ!」

陽子「どうした!」

綾「いや、止めて陽子」

陽子「どうした! 言ってみな」

綾「触らないで、よッ!」バシッ

陽子「……!」

元ネタとかあるの?

陽子「……ごめん」

綾「……」

お前なんでここにいるの用無しキチガイクズ虫けらさっさと死ねば?

綾「わ、私は、陽子が、」

綾「他の子と一緒に仲良くしてるのを見るのがいやなの!」

綾「私と、私とだけ、仲良くしてほしいの!」

陽子「……」

陽子「そんなこと、出来るわけないだろ」

>>73
特にありませんが、radioheadの楽曲の影響はあるかと思います

陽子「私たち5人、誰が誰と仲が崩れても駄目なんだよ!」

綾「……は?」

陽子「は、ってなんだ!」

綾「もう私は皆から引かれてるのに?」

綾「どうせ頭のネジがぶっ飛んだキチガイだとでも思ってるんでしょ皆」

綾「分かってるわよ! こんな腐ったゾンビみたいな私」

綾「仲良くするなら4人ですれば? こんな人でなし相手にしなくていいわよ」

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

綾「う、うぅ……っ!」

陽子「……」

陽子「……もう、いいわ」

陽子「よくわかった」

陽子「私ちょっと寄っていく所あるから、綾は帰ってて」

綾「……」

陽子「じゃあね」

綾「……」

~綾の家~

綾母「ご飯出来たわよー」

綾「……ん」

綾(こんなんじゃないこんなんじゃない私が望んでいたのはこんなんじゃない)

綾「……ごちそうさま」

綾母「あら今日はいつも以上に食欲がないわね」

綾母「ちゃんと寝られてる?」

綾「うん」トボトボ

綾母(心配だわ)

綾「シャワー浴びてくる」

~風呂~

ジャー

綾(ああ、陽子、陽子――)

綾(くそくそ、なんであんな言葉を――)

綾(なにもかも、カレンのせいだ。カレンが、陽子と仲良くするから――)

綾(くそ、カレン消えろ消えろ消えろ)

綾「……」

綾(いいや、カレンのせいなんかじゃないの。分かってるの)

綾(カレンは悪くない、カレンは陽子と仲良くしようとしただけ――)

綾(そう――カレンは、悪くない――)

綾(悪いのは、誰――?)

綾(私――? そう、私だ)

綾(私がいるから、みんないやな気分になる、私の口から出た言葉が、今日陽子を怒らせた――)

綾(私、憎い憎い憎い憎い)

綾(こんな憎い私、クソみたいな私を、私は――)

綾(腐った体を――)

綾(きれいにしなきゃ)

綾(カミソリカミソリ……)

スーッ……

綾「はああああああ、生き返るううううウウウ!」

綾(私もっと、きれいにならなきゃ、きれいな、血をもっと、流さなきゃ――)

綾(もっともっと、以前よりも二倍も三倍も四倍も五倍もきれいにならなきゃ――)

綾(きれいになったら、きれいになったら――)

綾(陽子は私に、振り向いてくれる、きっと――)

綾(血がお湯に混じって、糸みたいに流れてる――)

綾(この血は、陽子と私を結ぶ赤い糸。思いをつなぐ、素敵な、美しい、高貴で清潔な赤い糸――)

綾「うふふ、うふふふふふ」

綾(まだまだいっぱい赤い糸を流すわ、陽子――)

綾(そして、全身に私の身から出た緋色の液体を、塗りたくるの――)

綾(幸せ――)

スーッ、スーッ、スーッ……

~綾の部屋~

綾「はあ、はあ……」

綾(きっちり手当てしたのに、まだ痛いわ)

綾(切りすぎちゃったかな……?)

綾「……」

綾(陽子ぉ、ごめんね――)

綾(陽子ぉ、私は陽子に嫌われちゃったかな――)

綾(陽子ぉ、許して、くれないかな――)

綾(どうすればいいの?)

綾(私、陽子に声をかけてもらえなくなった私なんて、もう――)

綾(私じゃないわ)

綾(胸が苦しい――どうして?)

綾(私が陽子に、嫌われたからよ)

綾(ああなんであんなこと、言っちゃったの? ――私は)

綾(私が伝えたいのは、陽子、私は陽子が好きなこと――)

綾(早く伝えたい――早く――)

~翌日、教室~

陽子「綾、おはよう」

綾「おはよう……」

陽子「……」

綾(それは怒るわよね……)

綾(謝らなきゃ……)

忍「陽子ちゃん、今日の小テストの範囲教えて下さい!」

陽子「今から勉強するの!?」

綾(そういえば、今日は小テストがあったのね)

綾(昨日は陽子のことを考え過ぎて、忘れていたわ)

陽子「中途半端に勉強するより、諦めたほうが潔いかもよ」

~小テスト前~

陽子「綾さん、勉強しないで余裕ですね」

綾「ええ、……まあね」

陽子(全然余裕そうには見えないけどな)

綾(……どうして?)

綾(どうして陽子は私に話を振ってくれるの?)

~小テスト後~

綾(やっぱり、全然分からなかったわ)

綾(ああ皆、私がバカになったと思ってるはず)

綾(バカな私に、存在価値なんてない――)

陽子(綾の点数を盗み見て……と)チラッ

陽子(私より点数低いじゃん)

陽子「……」

陽子(なんとかしてあげなくちゃ)

~昼休み~

陽子「また音楽聞いてる」

陽子「おい」

綾「……あ、なに」

陽子「弁当食べよう、綾」

綾「う、うん」

陽子「まあほとんど早弁しちゃったんだけどね―」

陽子「あははははー」

綾「……」

綾「陽子、昨日のこと……ごめん」

陽子「……いいよ」

陽子「私も、怒ってごめん」

綾「よ、陽子のせいじゃないわ」

陽子「いや、あれは綾のこと、突き放した行動だった」

綾「……」

陽子「なあ綾、頼むからさ、話してくれよ」

陽子「もうみんな、綾が調子おかしいことはよく分かってるんだ」

陽子「綾が元に戻ってほしいから、私たちも綾のこともっと理解してあげて」

陽子「出来ることがしたいんだ。その気持ちは分かるよね?」

綾「……うん」

陽子「話したほうが、絶対綾も楽になるんだし、綾がどんなこと言っても私たちは受け入れる」

陽子「だから……ね?」

綾「……」

綾(どうしよう……)

綾「……放課後まで、考えさせて」

陽子「……分かった」

~授業中~

綾(今日は、あの声が聞こえなかったわ)

綾(腕も昨日切ったからあまり腐ってないし)

綾(そのかわりに、頭は陽子のことでいっぱいだったけど)

綾(――陽子、私、陽子の気持ちに応えたい――)

綾(私の症状を話すなんて、出来るわけないのに――)

綾(――そう。もう私の心は決まっている)

綾(相談の代わりに、私は伝えるの――)

綾(陽子が、好きなこと)

~放課後、帰り道~

陽子「話する気になった?」

綾「うん」

陽子「それは良かった! 安心したよ」

陽子「私、綾が良くなるように全力を尽くすから」

陽子「早く元の調子に戻った綾の笑顔が見たいからさ」ニコッ

綾(な、なんでそんな恥ずかしいセリフが簡単に言えるのよ)

綾(こっちは死ぬほどドキドキしてるのよ……)ドキドキ

綾「あのね……陽子」

陽子「うん」

綾「私、陽子のことが、好きなの……」

陽子「……それは友達としてじゃなくて?」

綾「うん。それ以上の――恋愛対象として」

綾「これまでずっと陽子のことが好きで仕方なくて、伝えたくて」

綾「でも恥ずかしかったり、女の子同士なんておかしいと思ったりして」

綾「伝えられなくて、それがとても辛くて」

綾「そのせいで少し病んじゃったの。ごめんなさい」

陽子「……」

綾「陽子や他の3人にもいっぱい迷惑かけちゃった」

綾「今日陽子が相談してほしいって言ってくれて、言う勇気が出たの」

綾「陽子、私と……付き合ってください」

陽子「……ごめん」

綾「え……?」

陽子「ごめんな、綾……知ってた」

陽子「綾が私のことを好きだって」

陽子「中二になったときくらいからでしょ? 私のことそういう対象として見始めたの」

綾「う……うん」

陽子「正直すごい分かりやすかったよ」

陽子「私を見る目が全然違ってるんだもん」

綾「……///」

陽子「綾はその頃から私を好きになったんだから、最近から綾がおかしくなったことには関係ないと思うけど」

陽子「どうなの?」

綾「……そうよ」

陽子「……そっか、綾」

陽子「そんな嘘をつくぐらい、言いたくないんだな」

綾「……うん」

陽子「……わかった」

陽子「言いたくないのなら、いいよ」

陽子「他の方法で、私たちは綾を励ましてやる」

陽子「そしてちょっとずつ、綾を元通りに戻して見せる」

綾「陽子……」

綾(ああ、どうして陽子はこんなに優しいんだろう……)

綾「ありがと」

綾「……ありがと」

陽子「……」

綾「……」

陽子「じゃあ、話を戻そう」

綾「え?」

陽子「告白への返事だ」

陽子「実のところ、綾のことをそういう目で見ることはできない」

綾「じゃあ……」

陽子「でも、特に他の男子に気が向くでもないんだ」

陽子「今一番大切な友達は――綾だと思う」

綾「……」

陽子「綾がそれで喜んでくれるなら――」

陽子「返事は、はい、です」

綾「……」

未だかつてない程に異質なこのSSで、小路綾という少女はどのような結末を迎えるのだろうか?

綾(え、嘘……)

綾(夢、じゃないわよね……)

陽子「なんでそんな驚いた顔してるんだよ」

陽子「断って欲しかった?」

綾「……っ! ううん」

綾「うれしい……うれしいよ、陽子」

病気なのかオカルト的な物なのかどっちだ?

陽子「ただし、条件がある」

綾「条件?」

陽子「私といるときは、前と同じように振る舞うよう努力すること」

陽子「出来るだけ早く元に戻ってくれ。辛い表情をしてる綾を見るのは、こっちも辛いんだ」

陽子「わかった?」

綾「……頑張るよ、私」

陽子「楽しみにしてるよ。綾が心から笑ってくれる日を」

綾「……うん」

陽子「……じゃ、行こっか」

綾(陽子、こっちに手を差し伸べてきてる……)

綾(手をつなぐの……?)

綾「……」ギュッ

綾(陽子の手、あったかい……)

綾(ああわたし、おかしくなっちゃいそう……)

今日はここまでです
続きは明日。明後日かもしれない

支援

~綾の家、リビング~

綾「ごちそうさま!」

綾母「綾、今日は元気がいいわね」

綾「実は良いことがあったの……」

綾母「なに?」

綾「内緒よ」

~綾の部屋~

綾(まだ、興奮がさめないわ……)

綾(胸の中がふわふわしてる)

綾(陽子、陽子……)

綾(これで、私は陽子だけのものになるの……)

綾(嬉しいわ、うれしい、うれしいうれしい……)

綾(この興奮は、なにかに似てるわ……)

綾(雲の上を歩いているような心地よさ……)

綾(ああ、もっと、もっと心地よさを味わいたい)

綾(陽子、陽子、いとしい陽子)

綾(どうすれば、もっと気持ちよくなれる――?)

綾(――そうよ)

綾(睡眠薬を飲んだ時の幸せな気分――)

綾(ゆらゆら、ふわふわ――)

綾(うーん、どうしようかな……)

綾(……いいや)

綾「……飲んじゃお」ゴクッ

綾「……」

綾(足りないわ。もっと幸せになるの――)

綾(ついに陽子に思いを打ち明けられた記念日。うんと楽しまなきゃ――)

綾「もう一錠」ゴクッ

綾(二錠じゃ足りない。もっと、もっと――)

綾「もう五錠、いや十錠」ゴクッ

綾(ああ睡眠薬さん睡眠薬さん、私を酔わせて、気絶しそうなくらいに――)

綾(薬が回ってきたわ――まるで眠っているみたいに気持ちいい――)

綾(頭の中が、甘く痺れてる、クラクラっときてふわーっと)

綾(陽子、陽子――陽子のことがずっと頭に残ってる――)

綾(私は陽子と付き合うの。陽子のために、できることはない?)

綾(ない? ない? いや、あるわ)

綾(私は陽子と付き合うの、陽子の相手は――)

綾(とびっきり、きれいにならないといけないの)

綾(ああ――切りたい切りたい切りたい切りたい)

綾(服を脱がなきゃ、血が服についちゃ勿体ない)

綾(私の血はすべて、私の肌に吸い込まれなくちゃいけない)

綾(美しい血がついた体を、陽子に強く抱きとめてほしいな――)

スーッ、スーッ、スーッ

綾(きれいな三本の平行線は、血の儀式の始まりを告げる――)

綾(傷口を埋めるように、血が溢れてくる――すぐにその傷口の溝には収まりきらなくなる)

綾(きれいな真っ赤なしずくが、ぽたり、ぽたり――)

綾(鑑賞が終わったら、体に塗る作業)ペタペタ

綾(頭のしびれがとても、いい気持ち――)

綾(胸がもぞもぞする、気持ちが騒いでいる)

綾「あはは、あははははは!」

綾(傷口から指ですくい取っては、顔に、脚に腕にお腹に大事なところに――)

綾(こんなに美しいお化粧、他にはないわ、うふふ――)

綾(もっと、もっと深く――そうだ!)

綾(一度切ったところをもう一度切ればいいんだ!)

スーッ、スーッ

綾「はあ、はあ――快感!」

綾(刃物が切り裂いていく感覚が、肌を刺激して、なんともいえない感触)

綾(今までよりも、もっと深い傷――たくさん血が出てる)

綾(ああっ、今のいい感じ)

綾(意識がどこか遠くへ飛んじゃうみたいな感じ)

綾(ガクッ、ガクッととぎれとぎれ)

綾(切らなきゃ、まだまだこれから――)

スーッ、スーッ

綾(まだまだ――)

綾(体中の力が抜けていく――)

綾(姿勢を保っていられない)

綾(ああ、倒れる――)

バタッ

コンコン

綾母「綾ー、すごい音したけどなに?」

綾母「入るわよ」

ガチャ

綾母「綾――って」

綾母「あなたなんで裸で――なにその腕、血!? ひっ――」

綾母「ああああ、そんな、綾――」

綾母「綾、綾!」

綾「……」

綾母「綾、しっかりしなさい!」ユサユサ

綾「あ、お母さん――」

綾「どうしたの?」

綾母「どうしたの――って、こっちが聞きたいわよ!!」

綾母「そこに転がってるので切ったの!?」

綾「うん、そう」

綾母「ああ、どうしてこんな――」グスッ

綾母「きゅ、救急車、呼ばないと――」

綾母「救急車、今呼んだからね」

綾「え? どうして」

綾母「どうしてじゃないわよ!」

綾母「こんなに血が溢れて――体中血だらけじゃないの!」

綾「そうね――きれい、でしょ?」

綾母「きれい!? なに言ってるの! あなた、しっかりしなさいよ!」

綾「あ、うん――」

綾母「ああ、綾が自殺をはかるなんて――」グスッ

綾(自殺?)

綾(あ、そっか――そう見えるか)

綾(私はただ、気持ちいいことをしただけなのに)

ピーポーピーポー

~救急車内~

救急隊員「腕を切ったの?」

綾「あ、はい――」

救急隊員「なにか病気は?」

綾「いや、特に」

救急隊員「そう……」

綾(すごいいやそうな顔)

~病院、救急処置室~

医者「はいじゃあ傷口を洗いますね」

綾(このお医者さんもいやな顔してる)

綾「あの」

医者「どうしかました?」

綾「私、自殺しようとしたんじゃありませんから」

医者「分かってますよ。こんなに傷痕残ってるってことはリストカット常習者でしょ」

綾「そ、そうです」

医者「縫うために麻酔しますねー」

綾「は、はい」

綾(どうして? リストカットは楽しいわよ? この楽しさを教えてあげたいわ)

医者「はいじゃあ縫います」

綾(なんだか、事務的ね)

~受付~

綾「ただいま、お母さん」

綾母「……」

綾「ほら、帰ろう」

綾母「……あなた、本当に自殺しようとしたんじゃないのね」

綾「だから、救急車のなかでそう言ったわ」

綾母「リストカットって言うのね。看護師さんからさっき聞いた」

綾母「ねえ、なんでそんなことするの?」

綾「……楽しいからよ」

綾母「……」

綾母「明日、精神科へ行くことにしたから」

綾「え?」

綾母「綾、あなたがやってることは間違ってる」

綾母「いくら辛いからって、自分の身を傷つけるなんて絶対にやっちゃいけないわ」

綾「……」

綾母「あなたがいやだといっても強引に連れていきますから」

綾母「先生になにもかも話しなさい。あなたが今苦しんでいることを」

綾「……」

~タクシー車内~

綾「……」

綾(眠さが一気に押し寄せてきた……)

綾「……」

綾母(綾、寝てるわ)

綾母(全く、こっちがどれだけ心配させられたか……)

綾母「ほら、うち着いたわよ」

綾「え……」

綾「あ……うん」

バタン

綾「ねえ、ちょっと聞いていい?」

綾母「どうしたの」

綾「私たち今まで、どこへ行ってたの?」

綾母「綾、なに言って――病院へ行った帰りじゃないの」

綾「病院? 私――」

綾(手首に縫った跡が――)

綾「……」グスン

綾「……ひっく、えぐっ」

綾母「あなた、なんで泣いて――」

綾「ああ、お母さん――」

綾母「どうしたのよ」

綾「私、また切っちゃったの?」

綾母「……」

綾「薬のせいだわ……」

~綾の部屋~

綾「……」

綾(どうして私、薬なんか飲んだのよ!)

綾(一時の幸福感を得るために、そんなバカなこと――)

綾(そのせいで、この傷だ)

綾(こんな調子じゃ、陽子に顔向けできないよ――)

綾(ホントに駄目なやつだわ私)

さっさと消えろのろまウジ虫ゴミ以下肛門にキスしろこのクソ虫が

綾(ごめんね陽子、私、陽子と約束したのに)

綾(前と同じように振る舞う――これじゃ一歩も進めてないじゃない!)

綾(私、決めたんだから。絶対に治って見せる。陽子に言われたとおりになる)

――早く元の調子に戻った綾の笑顔が見たいからさ――

綾(この変な声や、腐りそうだっていう妄想に打ち勝って見せるわ)

~翌日、△△メンタルクリニック~

医者「――では、昨日は手首を切って救急車で病院に――それで、手首を縫ってもらったと」

綾母「はい、そうです」

医者「マイスリーの副作用に健忘作用がありますから、お子さんが知らないと言っているのはあり得ますね」

医者「どうして薬を大量服用しようと思ったのかな?」

綾「あの、昨日良いことがあって、それで気分が高まっていたので、さらに高揚感を得ようとして――」

綾「悪いことをしたと思ってます。ごめんなさい」

医者「リストカットをしちゃったことについてどう思うかな?」

綾「もちろん、やってはいけないことをしたと思っています。もうこんなこと、二度としません」

医者「うん。この調子だと大丈夫そうだね」

医者「なにか気になる症状はありますか?」

綾「はい。私、いつも変な声が聞こえるんです。二か月ほど前から――」#

……

医者「なるほど。――症状からして、おそらく統合失調症ですね」

医者「幻覚、幻聴があったり、妙な妄想に駆られたりする病気です」

綾「統合失調症……」

医者「まず、周りの目がとても気になって、異常に緊張することがあります」

綾「……言われてみれば、そうかもしれません」

医者「百人に一人はかかるといわれている、珍しくない病気ですから。薬を飲めば症状は抑えられますし、完治することもあります」

綾「そ、そうですか」

医者「あと、原因になっていることはありませんか?」

医者「幻聴や妄想が出始めた時、なにか環境が大きく変化したとか、ストレスを受けることはありませんでしたか?」

綾「えーと、特になにも変わらなかったと思います」

医者「お母さん。お母さんの目から見て、変わったことは?」

綾母「二か月前――そうですね、特に」

医者「ふむ。実はこの病気、発症原因はまだよく分かってないんですよね」

医者「ストレスがおそらく原因の一つなんですが」

綾母「はあ……」

医者「学校はしばらく休んだほうがいいと思います。まあ一か月ぐらい休んで様子見しましょう」

綾「そう……ですよね……」

綾(しばらく陽子に会えなくなる……)

綾(仕方ないよね。私、病気だもん)

綾(陽子――楽しみにしててね。今度会うときはもう一度、心からの笑顔を見せてあげるわ)

医者「それでは薬のほうですけど、向精神薬のリスパダール、それからデパスという薬を出しておきます」

医者「リスパダールはちょっと、飲み始めに立ちくらみがあるかも知れません」

医者「少しずつおさまってきますのである程度は我慢して服用して」

医者「副作用がきつい場合は、うちに電話してください」

医者「デパスは不安を取り除く薬ですけど、眠気の作用があるので、寝る前に睡眠薬代わりに服用してください」

綾「はい、わかりました」

医者「十四日分処方しておきます。また二週間後に来てください」

やけに詳しいんだが実体験が何か?(アナフラニールもぐもぐ)

~綾の家~

綾母「どうして、どうして言ってくれなかったの?」

綾母「綾が幻聴なんかに悩まされてるなんて……」

綾「お母さん……ごめん」

綾「どうしても、言い出しにくかったんだ」

綾母「ああ、可哀想に……」

今日はここまでになります
続きは明日(かな?)

>>144
副作用きつくないですか?飲んだことないですけど

>>146
飲み始めはガチでキツかったわ
1日中寝てた
今は手が震えるぐらいかな

>>147
お大事に。ゆっくり休んでください

~綾の家~

綾父「ただいまー」

綾母「あら、今日は早いのね」

綾母「ご飯もうちょっとで出来るから」

綾父「そう?」

綾「おかえり……」

綾父「綾、どうだった?」

綾母「なんか、心の病気なんだって」

綾母「幻聴とか変な妄想とかがあるみたいで」

綾母「一か月ほど休んで治療に専念しなきゃだめだって」

綾父「ふーん」

綾母「はい、ご飯出来ました」

綾「いただきます」

綾「ごちそうさま」

綾母「お風呂洗ってこよっと」トテトテ

綾父「……なあ、綾」

綾「え?」

綾父「心の病気って、どういうことだ」

綾「そ、そのままの意味よ……」

綾父「うーん……」

綾「……」

綾(いやな空気)

綾(そうだ、薬飲まなきゃ)

~綾の部屋~

綾(ああ、体がふらふらして気持ち悪い)

綾(薬の副作用かしら……)

綾(なんとか楽にならないかしら)

綾(そうだ、マイスリー……)

綾(なんてね、もう絶対にやらないんだから)

綾(怖いわ、またなにか知らない間にやっちゃいそうで)

綾(もう捨てちゃえ)ポイッ

綾母「綾ー、お風呂入らないの?」

綾「うん、ちょっと気分が悪くて」

綾母「薬のせい?」

綾「多分」

綾母「あんまりひどいんだったら、電話するからね」

綾「うん。大丈夫だから」

綾(このくらい、どうってことないわ)

綾(これでこの病気が治るんだったら……)

綾(陽子に、早く会いたいのよ)

綾(そのためなら、こんなのいくらでも耐えられるわよ)

やめてしまえやめてしまえやめてしまえやめてしまえやめてしまえ

綾(もう……うるさいわね!)

綾(なにがなんでも、治ってやるんだから……)

~夜中~

綾(トイレトイレ……)

ガチャ

綾(あれ、下から声がする。お父さんとお母さんが話し合ってるわ)

……

綾父「おいお前、綾が病気ってどういうことだ」

綾母「どういうことって……」

綾父「そんなの、甘えじゃないのか」

綾父「それを言い訳にして、勉強をさぼりたいだけじゃないのか」

綾母「な、そんなこと……」

綾父「そんなこと、なんだ?」

綾母「そんなこと、ないわよ」

綾母「あの子は毎日、変な声に悩まされているのよ」

綾母「そのせいで勉強も手に付かないみたいだし」

綾父「……俺はその、声が聞こえると言っていること自体が嘘なんじゃないかって気がするんだが」

綾母「あの子が嘘を言っているというの?」

綾母「どうしてあの子を信じてあげないの?」

綾父「それは……」

綾父「綾は悪い子だからだ」

……

綾「……」

綾(私、私は、悪い子――)

綾(っ、頭痛が……)

~翌日、夜~

綾(まだ、薬はなじまないのね――)

綾(立ち上がっただけで、頭が強烈にくらくらする)

綾「……」

綾(待っててね、陽子)

綾(もう12時か)

綾(喉が渇いたな……なにか飲もう)

~一階~

綾「……ふう」

綾(お母さんは寝ちゃってるみたいね)

綾(シャワーの音がする、お父さんが帰ってるみたい)

prrrrr……

綾(電話だ)

綾(誰だろう、こんな時間に)

綾「はい……」ガチャ

女「あの人を、あの人をらしてぇ……」

綾(ろれつが回ってないわ……)

綾(人違いかしら)

綾「あの、どちらさまですか?」

女「私よぉ。□□」

女「☆☆さん呼んでぇ……」

綾(お父さんの名前……)

綾(はっ!)

綾「……今、家にいません。さようなら」ガチャ

綾「うっ、ううぅぅぅぅ!」

綾(ああ、思い出したくないものが、全部私の頭に浮かぶ……)

綾(小学六年生のころの記憶が――)

――あのお姉さん、だれ?

――いいかい綾、お母さんに話しちゃダメだぞ。

綾(その後、私はお母さんに話した。お母さんは怒って家出した)

綾(そして――)

こんなことするなんて、お前は悪い子だ。お仕置きが必要だな。

ほら、こっちへきなさい。ひひひ、こっちへ――。

綾「ああ、あああああ!」

綾父「おい」

綾「お父、さん……」

綾父「お前、今だれと話をしてたんだ」

綾(ああ、憎い憎い憎い)

綾(お父さん、憎い)

綾「――お父さんの、不倫相手」

綾「4年前の不倫と、そのせいで会社での立場がなくなって転勤したことで懲りたと思ってたのに」

綾父「……」

綾「二か月前からでしょ? 二か月前から、お父さん帰りがとても遅くなったよね」

綾父「お前……」

綾「お父さん、どうしてまたこんなことするの?」

綾父「くそ、お前のせいで……」

綾父「あの時だって、お前があいつに告げなければ……」

綾父「あああああ!」バッ

綾「ちょ、掴まないで、ちょっと」

綾(ああ、また……)

綾(また、あの時のように)

綾(私、殴り散らされるんだわ)

綾父「いいか? お前は悪い子なんだ」

綾父「悪い子には、お仕置きが必要だ」

綾(お父さんの手、私の胸を触って――)

綾(そうだ、大声をあげればお母さんが気付いてくれるかも)

綾「あ――」フラッ

綾(頭が、くらくらして――)

綾父「おとなしくしろ!」ボゴッ

綾「ううっ……」

綾「んーー!」モゾモゾ

綾(ガムテープで口元ぐるぐる巻きにされて、声が出ない)

綾父「さあ、綾」

綾父「お仕置きの時間だよ」

綾父「ははは、なにが精神病だ」

綾父「そんなこと言っているから、お前は弱いんだ」

綾父「ほら、小学校の時だって」

綾(小学校のころ――思い出したくない)

綾(私は――いじめられていた)

綾(学校へ行ってもなにもしゃべらないから、友達ができないで)

綾(気付いた時には孤立していた)

綾(ちょっとしたきっかけで、私にいじめの矛先が向いた……)

クズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズ

綾(二か月前から聞こえるこの声は――小学校の時に、私が言われた言葉)

綾父「……」ボコッボコッ

綾(中学校に上がってすぐに、私は転校した)

綾(そこでもいじめられるんじゃないかと思ってた)

綾(でも、陽子は私に話しかけてくれて――)

綾(ああ、陽子、ありがとう、感謝してもし足りない)

綾父「おらおらおら!」バゴッボゴッ

綾父「ほらよ」ボコッ

綾「っ――!」

綾父「ははは、もがけもがけ」ボコッ

綾(やめ、やめて……)グスッ

綾(こんなことをする人なんて)

綾(こんな心の汚い人間から、生まれた私は……)

綾(やっぱり、汚いのよね。汚い、腐った人間なの私は)

綾「……」グスグス

綾父(そろそろいいか)

綾父「おい綾、お前、お母さんにこのことを告げたら分かってるよな?」

綾「……」

綾父「ふん。ほら、さっさと出てけよ」

~綾の部屋~

綾「……」

綾(……まず、ガムテープをはがさなきゃ)バリバリ

綾(こんなこと、またあるなんて……)

綾(お父さんのあの部分、忘れておきたかったのに――)

綾(私を蹴るときの、お父さんの満足そうな表情――あああ!)

綾「……」

綾(ばれないように、お腹ばかり狙ってくるのよね、卑劣だわ)

綾(ああ、こんなにあざができてる)

綾(紫色をして――汚いわ)

綾(ああ――私は汚い汚い汚い)

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

~翌日、朝~

綾「……」

綾母「どうしたの?」

綾「……なんでもないわ」

綾「ごちそうさま」

~夕方~

綾母「私これから買い物行ってくるから」

綾「はーい」

綾「……」

綾(気分が高ぶって仕方がない……)

綾(音楽よ、音楽を聴かなきゃ……)

綾(音楽プレーヤーは……と)

Radiohead『Myxomatosis』

綾(ああ、いいわ……この、脳みそがシェイクされるような音の集まり)

綾(ハイになってくるわ……)

綾(よし……)

ppp、prrrr……

陽子「綾か!?」

綾「もしもし、そうよ」

陽子「一か月も休むほど体調悪かったんだな……」

陽子「まあ、ゆっくり休みなよ」

綾「こっちへ来て」

陽子「え?」

綾「早く、うちに来て」

陽子「……ああうん、分かった。今から行くよ」

綾「私がきれいになるところ、見せてあげるわ」

ピンポーン

綾「入って」

陽子「おじゃましまーす」ガチャ

綾「私の部屋に来て」

陽子「う、うん」

~綾の部屋~

陽子「どう? 調子は」

綾「そうね、悪くないわ」

綾「これから、もっと良くなるんだけどね」

陽子(どういう意味だ?)

陽子「このバケツは……」

綾「ええ。それは今からいっぱいになる。私の中のきれいな部分でね」

綾「陽子、見て」バッ

陽子「なんだよ……そのあざ」

綾「そうよ、あざ。汚い汚いあざ」

綾「私は今、こんな汚いあざを持っている汚い腐った人間」

陽子「おい綾、大丈夫か? なにを言ってるんだ」

陽子「どうしてそんなあざが出来たんだ?」

綾「そんなことは、もうどうだっていいの」

綾「私はこれから、きれいになるんだから」

陽子「さっきから、きれいきれいってなんだよ!? おい、綾!」

綾「これ……」スッ

陽子「……っ! ひっ……」

陽子(腕に、無数の傷跡が……)

陽子「……それ、自分でやったのか」

綾「ええそうよ。どれもきれいでしょ?」

陽子「そんな……ことって……」

陽子(綾がリストカットなんて)

綾「それでね、これから、腕を切るのよ」

陽子「おい……」

綾「ねえ私の陽子、これですっきりするの……」

綾「私これがないと、やっていけないのよ……」

綾「私の大好きな陽子、ねえ」

綾「私のきれいになるところ、見て?」

陽子(綾、カッターを持って……)

陽子(止めなきゃ)

陽子「綾!」

綾「な、なに?」

陽子「落ち着いて……そのカッターを置くんだ」

陽子「綾が辛いのはよく分かってる」

陽子「でも、私はそんなこと、してほしくないな」

陽子「自分の身を切り刻むなんて、やっちゃいけないことだ」

綾「……」

綾「どうして、分かってくれないの」

綾「陽子、私は切らなきゃならないの」

綾「切らなきゃ、こんな汚い人間」

綾「切ってきれいにならなきゃ、陽子なんかと一緒に居ちゃいけないの私は!」

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

スーッ

陽子「あ……」

綾「ああん! 気持ちいいいい!」

スーッ、スーッ

陽子「あ……う……」

ポタ、ポタ

綾「ほら、バケツに溜まっていくわ、私の血が」

綾(そうだ)

綾(この縫い後の傷を開くと、どうなるのかしら)

綾(ああきっと、血がいっぱいいっぱい出るに違いないわ――)

スーッ

綾(あはは、糸が切れて傷口が開いてきた)

綾(ぱくーって、なんか、可愛い)

綾(腕がドクドク脈打ってるのが分かる――血が、噴き出してきて――あはは!)

綾「陽子!」

陽子「ああ……」

綾「どうして目をそらすの? ほら、よく見て! 私の傷を!」

陽子(うう……肉が、ぐちゃぐちゃになって……)

陽子(あの黄色いぶつぶつは……もしかして、脂肪?)

綾「ね? きれいでしょ? ほら、もっと切るわよ」

ポタポタポタポタ

綾「あはは、すごい勢いで、血が滴り落ちていく……」

綾「ぽたぽた、ぽたぽた……ああ、なんて美しい音なんだろう!」

綾「陽子、この音を陽子と一緒に聞けて嬉しいわ……」

綾「ほら、この心地よいリズム……陽子と二人だけの、ラブソング」

陽子「……」

陽子「やめて、やめて……」グスッ

綾「たくさん、溜まったわね……」ポチャポチャ

綾「陽子も見て。こんなにいい色をしてるわ」

陽子「……」

綾「よし……」ゴクゴク

綾「ああ、おいし……陽子も、ほら飲んで」

陽子「……」フルフル

綾「どうして飲んでくれないの? ホントに美味しいわよ」

陽子「……」フルフル

綾「早く飲むのよ! 飲め!」

陽子「うぅ……」ゴクッ

陽子(鉄っぽい味しかしない)

綾「陽子、これから、私きれいになるのよ……」ヌギヌギ

陽子「……なんで、脱いでるの」

綾「ふふふ、それはね……」

綾「ほらっ」バシャッ

綾「きれいなきれいなこの血で、私の体を浄化するためよ」バシャッ

綾「ほら見て陽子、私の汚いあざが、赤く染まっていく――」

ポタ、ポタ

綾「いい音楽とともに――ほら、陽子ももっと楽しんでよ」

陽子「……」

綾「陽子の見てる前で、こんなこと出来て、私ホントに幸せ――」

綾「ねえ、陽子は? 今の私のこと、どう思う?」

陽子「……」

綾「ねえ、陽子ぉ、じらさないでよぉ、早く答えて――」

陽子「……こんなの、おかしいよ絶対」

ガチャ

綾母「ただいまー」

綾「あ、お母さんが帰ってきたわ」

綾「お母さんにも見せてあげよう……私のきれいな姿を」

陽子(綾の、お母さんが帰ってきた――)

陽子「……綾」

綾「どうしたの?」

陽子「あああああ!」バタバタ

綾「あれ、陽子、どこへ行くの?」

~綾の家、一階~

綾母「あら、陽子ちゃん」

綾母「綾のお見舞いに来てくれたの? ありがとう」

陽子「はあ、はあ」

陽子「綾が、綾が……」

……

ピーポーピーポー

……

~病院~

綾(また縫われちゃった。今度は、前よりも針が多い)

綾(うふふ、うふふふふ……)

綾(この傷痕は、一生消えない、これは陽子と私が、一緒にいた証になるのよ……)

綾(私の血が流れるところを、陽子と一緒に見た――)

綾(ああ、私、最高に幸せだわ、このまま死んでもいいくらい――)

綾(ねえ、陽子――)

綾(――大好き)


おわり

こんな長いssに付き合って頂きまして本当にありがとうございました
作中に出しましたが、Radioheadの楽曲も良かったら聴いてみて下さい

なかなか後味悪いな…一切の救いが無いのか…

>>200同意。
陽子が綾父に制裁加える結末を期待していたのに…

もやもやする終わり方しやがって

終わり方雑だなおい
まあ乙

綾の末路は精神崩壊でも自殺でも構わんから綾父だけは制裁受けろ

とりあえず乙
上にもあるように綾父制裁とかで少しでも救いが欲しかった


うんよかったよ
綾の台詞が脳内再生余裕だった

糞親父ェ……乙

まさかとは思うが、
原作における綾父もこんな感じてこたあない…よな?

>>209
出てないっしょ

>>209
そもそもほのぼの日常な原作にそんなキャラいるわけないだろ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月20日 (日) 23:00:32   ID: -04PbNDR

こーゆーの好きです

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