智美「そんなこともありえたんだよなー」いちご「じゃなあ」 (29)

智美「たとえばなんだけどなー」

いちご「うんうん」

智美「もしわたしの高校が県大会優勝して」

いちご「うん」

智美「いちごの高校が全国の1回戦通過してたら」

いちご「ああ、そうじゃなあ」

いちご「会ってたかも、2回戦中堅戦で」

智美「そうそう」

智美「そしたら今ごろどうなってたんだろうなー」

卍解!

いちご「…」

智美「んー?どしたー、もの憂げな顔して」

いちご「いや…」チャポン

いちご「…」フー

いちご「夏かぁ…」

智美「ワハハー、タバコみたいにシャボン玉吹くんだな」

いちご「ちゃちゃのんはちょっとビターな気分なんじゃあ」

智美「夕暮れが映ってきれいだなー」

いちご「…」フー

いちご「なあ智美」

智美「なんだ?」

いちご「たゆたう、って言葉があるじゃろ」

智美「あるなー」

いちご「ちゃちゃのんはあの言葉が好きじゃあ」

智美「ほう」

いちご「ぷわーっとしてて」

智美「ワハハ」

智美「わたしも好きだなー」

いちご「じゃろ?」

いちご「ちゃちゃのんは寝付きがあまりいいほうじゃなくてな」

智美「そうなのか?」

いちご「うん」

いちご「じゃから、眠れない夜にはな」

智美「うん」

いちご「ワカメとか、コンブってあるじゃろ」

智美「あるなー」

いちご「あれが、海の底でゆらん、ゆらんってしてるとこを想像するんじゃあ」

智美「ほー」

いちご「海藻っぽい絵でもいいんじゃ」

智美「寝れるのか?」

いちご「寝れるんじゃ」

智美「ワハハー、こんど試してみよう」

いちご「智美は」

智美「んー?」

いちご「エスカレーターでうとうとしたことはあるか?」

智美「ワハハ、どうだろうなー」

いちご「ちゃちゃのんはある」

智美「ほう」

いちご「6階で買い物を済ませて、2階まで降りてた時じゃあ」

智美「具体的だなー」

いちご「ちゃちゃのんはちょっと疲れてて、よく行くお店じゃったから無意識で降りてて」

いちご「はっと気づくと、2階でいいのに、さらに下りに乗ってたんじゃあ」

智美「ああ」

いちご「一瞬ドキンとしたんじゃあ」

いちご「1階とかじゃなくて、もっとすごい下のどこかまで降りていっちゃうとこだった気がして」

智美「こわいなー」

いちご「一瞬だけじゃがな」

いちご「…」キュポン

智美「お?」

いちご「…」チャポチャポチャポ

智美「水筒かー」

いちご「ちゃちゃのんはちっちゃい頃から水筒派なんじゃあ」

智美「その水筒もながいのかー?」

いちご「いや、これは大学に入る時にこっちで買ったやつじゃ」

智美「ワハハ、そうか」

いちご「飲む?麦茶じゃけど」

智美「ほしいなー」

いちご「はい」

智美「ありがとなー」

いちご「うん」

智美「結構あったかいな」

いちご「じゃろ」

なんぞこれ

智美「なあ、猫カフェって行ったことあるか?」

いちご「あるある!」

智美「ワハハ、すごい喰いつきだなー」

いちご「あれはいいもんじゃなあ」

智美「いや、わたしは行ったことないんだけどな」

いちご「そうなん?」

智美「そんなにいいもんなのかー?」

いちご「いいもんじゃぞ」

いちご「可愛がられとるもんは可愛くなるもんじゃあ」

智美「そんなもんかー」

いちご「こんど一緒に行こう」

智美「そうだな、連れていってくれ」

いちご「うん」

いちご「ちゃちゃのんが寝っころがってるとするじゃろ?」

智美「うん、家でか?」

いちご「あ、そうじゃあ」

いちご「ベッドの上じゃな、ちゃちゃのんは少し疲れとるんじゃ」

智美「うんうん」

いちご「うつ伏せになって……ちゃちゃのんはうつ伏せだとあんまり眠れないんじゃが」

いちご「それでも寝れる気がするときってあるじゃろ」

智美「あるなー」

いちご「まさに今があれじゃとして、枕をこう、ホールドしてるところに」

智美「うん」

いちご「ひょいんと背中に、猫がくるんじゃあ」

智美「ワハハ、飼ってたのか」

いちご「いや、飼ってたらの話じゃ」

いちご「仰向けに寝てたらおなかに乗って、一緒に寝るんじゃあ」

智美「なるほどなー」

いちご「最近ちょっと寒くなってきたじゃろ?」

智美「夜とかな」

いちご「ちゃちゃのんはこれくらいの寒さが好きじゃ」

智美「そうなのかー」

いちご「部屋を寒くして、布団はあったかくして寝るんじゃ」

智美「んー?よくわからんなー」

いちご「冷たい空気は好きだけど、体が冷えるのは嫌なんじゃあ」

智美「ほー」

いちご「毛布に入っても寒いくらいになったら窓を閉めるんじゃ」

智美「なんか大変そうだなー」

>>11
これは分かる気がする

いちご「ちゃちゃのんはお風呂も窓を開けるんじゃ」

智美「あーそれは分かるな」

いちご「じゃろ?」

智美「わたしもよくやるぞー」

智美「それで歌ったりしてな」

いちご「ちゃちゃのんが思うに、あれは露天風呂っぽくていいんじゃ」

智美「ワハハ、なるほどなー」

いちご「入浴剤は白く濁るやつがすきじゃあ」

智美「使うのかー」

いちご「たまにじゃけど」

智美「白はいいなー」

いちご「じゃろー」

いちご「お風呂と言えば」

智美「うん」

いちご「透明のビニール袋を持ちこんで、お風呂のお湯をたっぷりいれてから口を結んで」

智美「おー?」

いちご「ぷよ太!」

智美「んー…?」

いちご「やらんかった?」

智美「やらなかったし、よく分からないぞー」

いちご「ビニールにお湯を入れるとなんか生きものっぽいんじゃあ」

いちご「アメーバとか、軟体動物的なかんじじゃな」

智美「そうなのかー」

いちご「あんまりつやつやしてないビニールを使うのがポイントじゃ」

智美「なるほどなー」

いちご「次の日には冷たくなってるんじゃけど、それがまたひんやりしていいんじゃあ」

智美「そうかー」

智美「わたしは、お風呂ではスーパーボールで遊んだなー」

いちご「ほう」

智美「それでよく怒られた」

いちご「そりゃあ、鏡とかあるんじゃろう?」

智美「割らないようにちっちゃいので遊んでたんだけどなー」

智美「それでも怒られるから、ばれないように苦労して持ち込んだもんだー」

いちご「そこまでしてお風呂で遊ぶんか?」

智美「ワハハ、我ながらすごい執念だったな」

いちご「べつにどこでもできるじゃろうに」

智美「なんだろうなー、あの狭さと」

智美「あと、湯船に入ったらまるで跳ねないのがよかったのかもなー」

いちご「あー」

智美「あ、そうだ」

いちご「ん?」

智美「たこ焼き食べるかー?」

いちご「ええの?」

智美「いいぞー」

いちご「じゃあひとつ、いただこうかの」

智美「めしあがれ」

いちご「ちゃちゃのんはたこ焼きが好きじゃあ」

智美「それはよかったなー」

いちご「…あれ?」

智美「お、当たりだったか?」

いちご「分からんけど、タコが入っとらんかった」

智美「ワハハ、当たりだなー」

智美「当たりが出たからもういっこだぞ」

いちご「ん、いただきます」

いちご「いろはすってあるじゃろ?」

智美「うん、あるな」

いちご「あのペットボトルを、潰して小さくして」

智美「うんうん」

いちご「風船みたいにふくらまして戻すんじゃ」

智美「ワハハ、やったやった」

いちご「それ自体はすぐ飽きたんじゃけども」

智美「だなー」

いちご「寝る前にな」

いちご「といっても、眠りに落ちる、ほんとに直前なんじゃが」

智美「おお」

いちご「ふくらまして、潰して、またふくらましてを繰りかえしてるちゃちゃのんを、想像してた気がする」

智美「それはその晩の話なのか?」

いちご「いや」

いちご「たぶん、今でもたまにじゃな」

いちご「最近よく聞くようになった気がする言葉があるんじゃが」

智美「ほー」

智美「なんだー?」

いちご「丹田」

智美「意外なのきたなー」

いちご「おなかの下っこのほうにあるらしい」

智美「この辺だな」

いちご「意識するといいんじゃって」

智美「らしいなー」

いちご「今まで聞き流してただけで、昔から知られてたのかもしれんがの」

智美「ワハハーわたしも最近聞くようになった気がしてたけど」

智美「でもわたしも聞き流してたのかもなー」

いちご「じゃなあ」

いちご「紐が欲しいときにな」

智美「うん」

いちご「部屋中探しても無かったとする」

智美「困るなー」

いちご「じゃけど大したことでもないんじゃ」

いちご「ちょろっと繋げておければいい、それも少しの間だけじゃあ」

智美「ほー」

いちご「智美ならどうする?」

智美「わからないなー」

いちご「ちゃちゃのんはセロテープをぐしゃぐしゃにして紐代わりにしたんじゃ」

智美「どうだったんだ?」

いちご「チクチクした」

智美「だろうなー」

いちご「しかもすぐ切れちゃったんじゃあ」

智美「ワハハ、ドンマイ」

いちご「ちゃちゃのんはメガネをかけたい」

智美「変なメガネならあるぞ」

いちご「変なメガネは嫌じゃあ」

智美「そうかー」

いちご「でもちゃちゃのんは目がいいんじゃ」

智美「伊達メガネって手もあるよなー」

いちご「それも考えたんじゃけど」

智美「けど?」

いちご「なんか、違うかなって」

智美「だめかー」

いちご「あれ?メガネにしたん?って聞かれたときに」

いちご「うん、伊達じゃけどな、って答える勇気が出ないんじゃあ」

智美「そんなもんかー」

いちご「そのことに買ってから気付いたんじゃ」

智美「ワハハ、買ってはいるのか」

いちご「ちゃちゃのんは人が好きなものについて話すのが好きじゃあ」

智美「ほー」

いちご「あ…いいことが言いたいわけじゃなくてじゃな」

智美「うん、なんとなく分かるぞー」

いちご「好きなものについて喋るときは、みんな饒舌になるじゃろ?」

智美「多少はなー」

いちご「好きなものだから、よく考えてるかんじもするし」

智美「そうかもなー」

いちご「それを聞いてるのが、なんとなく楽しいんじゃあ」

智美「ワハハ、分かる気がするぞ」

智美「わたしも好きだ」

いちご「じゃろ」

智美「ワハハ、暗くなってきたなー」

いちご「そうじゃなあ」

いちご「みてみて、智美」チャポン

智美「んー?」

いちご「…」フー

智美「おおー」

いちご「綺麗じゃろ?」

智美「夜のシャボン玉も乙だなー」

いちご「そうじゃ、そうなんじゃ」

智美「さーて、帰るかー」

いちご「じゃなー」

いちご「じゃあの」

そん考よ

智美「なあ」

いちご「なんじゃ?」

智美「たとえばなんだけどなー」

智美「わたしが受験に失敗して、実家を継いでたとするだろ?」

いちご「うん」

智美「いちごはうちの店に来たことないしなー」

いちご「ああ、そうじゃな」

いちご「そしたら友だちには、ならなかったんじゃろうなあ」

智美「そうそう」

智美「そんなこともありえたんだよなー」

いちご「じゃなあ」

智美「お それじゃあ、また明日なー」

いちご「うん」

いちご「おやすみ、智美」


カン

おつ

乙乙

良スレ

おつ

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