【実験】安価でエヴァSS【何でもあり】(179)

とりあえず>>2から>>12まで好きな要望を書いてくれ

そこまでの安価を詰め込んだSSを書く

ただし、クロスだけは禁止【実験】安価でエヴァSS【何でもあり】

エロ羞恥芸

エヴァに乗って運動会

話の最初から最後までアスカの下利便を一言も喋らず飲み続けるシンジ

エヴァとか使徒とかでリアルスマブラ

アスカにいままでの行いを土下座しながら謝罪させ、奴隷にする話

レイがひたすら一発ギャグをする話

人いなそうだからもういっこ


マナがシンジ レイ アスカ カヲル マリと料理大会で勝負

ここはあえてリアル系の滅茶苦茶思い話

アスカが記憶喪失になって素直になってシンジにべたべた

シンジが紳士な性格になる

シンジがアスカを逆転いちゃいちゃレイプ

冬月「始まったな…」

ゲンドウ「ああ…」

ミサト「始まったわね…」

青葉「始まったな…」

リツコ「始まったわ…」

>>4
>>7
>>8
だけ、多少修正入るけど、全部の安価了解

多分、>>3が一番キツいな……

構想練るから、書くまで少し時間をもらうわ

4が多少の修正で採用なのか
本当に何でもありだな

【Q、フォースインパクト直前】

マリ&八号機「ガフの扉が閉じない!」ダッダッダ!!

マリ&八号機「ワンコ君がゼーレの保険か!」ダッダッダ!!

マリ&八号機「よっ!」ピョーン!!

マリ&八号機「くっ!」ダンッ!!
シンジ&第13号機「!!」


『シンジ&第13号機の上に飛び乗るマリ&八号機!』


マリ&八号機「ぐぅっ!」
シンジ&第13号機「…………」ヒューン……


『掴まりながらそのまま地上へと落下していく二機……!』

マリ&八号機「後始末は済んだ! しっかりしろ、ワンコ君!」

マリ&八号機「ぐずるな! せめて姫を助けろ! 男だろ!!」ドスッ!!


『第13号機のエントリープラグに手を入れるマリ&八号機!』


マリ&八号機「ついでに、ちょっとは世間を知り……なにっ!? 腕が! 侵食されて……! 動かない!」

マリ&八号機「まずいっ! このままだとフォースインパクトが!! 動け! 動け! 動け! 動け!」


『だが、マリの叫びも空しく、八号機は全く動かない……! そのまま動けず、両機は地上へと落下していく……!!』


マリ&八号機「くああっ!!」
シンジ&第13号機「…………」


ズズーン……!!

『そして……』

ハーレルヤ、ハーレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ、ハレールヤー♪


『フォースインパクトが始まる!!』


『この世界を終末へと導き、新たな世界の創成が始まる、ファイナルインパクトへと……!!』

【一方で、旧劇、最終シーン……】

シンジ「うっ、ぐっ、ううっ……」グシュッ、グスッ
アスカ「…………」


『アスカに跨がり、馬乗りになって首を絞めるシンジ……』

『抵抗しないアスカ……』


シンジ「うっ……ううっ…………」グシュッ、グスッ
アスカ「…………?」


『不意に手の力を緩めるシンジ……』

『呆然とするアスカ……』


アスカ(なに、コイツ……。殺すなら殺しなさいよ……。なに、一人だけ納得した感じで泣いてるのよ……)

アスカ「気持ち悪い……」

シンジ「!?」

シンジ「アスカ、アスカ、アスカ!!」ググッ
アスカ「は!? ちょっ……!! 苦しっ……!」ジタバタ


『ある意味、正気でなかった二人』

『他人を排除しようとして、最後の最後に思いとどまったシンジ』

『シンジと一緒になる事だけは絶対に拒否し、それならシンジに殺された方がいいと思って抵抗しなかったアスカ』

『だが』

『アスカの「気持ち悪い」発言により、それは急変する』

『再び他人を拒否して、アスカの首を絞めるシンジ』

『我に返り、殺される訳にはいかないと抵抗を始めるアスカ』

シンジ「ぐっ! ううっ!」グイッ、ギューッ……!!
アスカ「がふっ! 離……せ! バカ……シンジ……!!」ジタバタ!!


『泣きながら、アスカの首を渾身の力で絞めるシンジ……』

『それに対し、抵抗をしたアスカに罪はなかったと言える』

『ただ、その結末は……』

『最悪の形で終わる』


アスカ「は、な、せっ!!」ゲシッ!!
シンジ「ごふっ! がっ!!」ゲホゲホッ!!

アスカ「手を……離しなさいよっ!!!」バキッ!!
シンジ「がっ!! あっ…………!!」ドサッ……


『シンジの死という結末で……』

『打ち所が悪かった。運が悪かった。正当防衛だった』

『理由や言い訳は腐るほどあった。状況からかんがみて、法律においてもアスカは無罪だったと言える』

『とはいえ……』


シンジ「」ドサッ……


『首が変な方向に曲がり、血の泡を吹いて倒れている死体』

『世界で一番大切な人の亡骸』

『自分が殺した』

『殺すつもりはなかったのに殺した』

『私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が……!!!』


アスカ「嫌ぁぁぁぁっ!!!!」


『アスカの精神が崩壊するには十分過ぎる事だった……』

『こういった過去を経て』


『真希波・マリ・イラストリアス』

『惣流・アスカ・ラングレー』


『この二名の時間は逆行する』


『正しくは』

『逆行ではなく、新世界への移行』

『もう一つの、新たなエヴァ世界へと移動する』

【ネルフ本部、特別隔離室】

ジリリリリリッ

アスカ「んっ…………」

アスカ「」モチョモチョ

アスカ「」バンッ


ピタッ


アスカ「5時か……」ゴシゴシ……

『惣流・アスカ・ラングレーの朝は早い』

『彼女の一日はらほとんど日の出前に始まる』

『眠い目をこすりつつ、服に着替え、顔を洗う』

『そして、朝シャン』


アスカ「」ザバーッ、バシャバシャ……


『これには、同居人であるマリ、レイは付き合わない』

『というよりも、この時間帯は彼女たち二人は大体寝ている』

『ただ、目覚ましの音によって一緒に目を覚ます時もあり、今日はマリだけが目を覚ました』


マリ「ん……ああ、朝か……」ゴシゴシ


『眠い目をこすりつつ、彼女もまた起き、枕元のメガネを装着する。これは彼女のチャームポイント。外す訳にはいかない』

アスカ「」バタッ、フキフキ……


『アスカの朝シャンの時間は短い』

『それは彼女がお湯ではなく、冷水を使っている為である』


マリ「姫、何でお湯使わないの? 目を覚ます為かにゃ?」


『以前、そうマリが尋ねた事があった。アスカは悲しげな瞳のまま、笑った』


アスカ「体を清めてるの。シンジ様に失礼がないように」

マリ「……気にしすぎだよ、姫…………」

アスカ「ううん。私はシンジ様の奴隷になるって決めたから……。いいの、これで……」


『彼女の瞳が暗く重く変わるのを間近で見たマリは、それ以上の言葉をかけれなかった』

【午前5時半】

アスカ「それじゃ、先に行ってるから」プシュンッ……


『アスカだけが、特別隔離室を出て、食堂へ』

『残ったマリは、バスルームへと』

『彼女もまた朝シャンが日課である』


マリ「」ピッ、ピッ……


『温度を調整して、お湯へと変える』


マリ「」スルッ、ファサッ……

マリ「」キュッ、キュッ。ジャバーッ……


『服を脱ぎ、シャワーを浴びる』


『その頃、隣の男用の隔離室では、カヲルが目を覚まして、シンジの寝顔を悲しそうに見ていた』

【男用、特別隔離室】

カヲル「シンジ君、すまない……」

カヲル「君を幸せにする事が出来なかった……」

カヲル「そして、君をどう助けていいかわからない……」

カヲル「僕はこうしてほんの少しばかりの手伝いをする事しか出来ないんだ……」


シンジ「」スースーッ……


『ベッドに横たわり、あどけない寝顔でスヤスヤと眠るシンジ』

『しかし、その頬はこけ、顔色も悪く、身体中には点滴の管がついている』

『これらの点滴は全て、シンジが寝ている間にカヲルが取り付けたものだった』

【午前6時、食堂】

アスカ「うっ……」パクッ、モグッ、パクパク


『アスカの座るテーブルには、所狭しと料理が並べられている』

『ハンバーグ、オムライス、唐揚げ、サラダ、フライドポテト、野菜炒め、コーンポタージュ、サンドイッチ、ハムエッグトースト、牛乳、スイカ、梨、パフェ、ケーキ、等々……』

『これら全てが彼女の朝食であり、同時に彼女が自分に課したノルマでもある』

『一日一万キロカロリー』

『これらを無理矢理摂取しなくてはならない、とアスカは自分に鉄の掟を課した。彼女が早起きをしているのも、これらのノルマを7時までにこなす為である』


アスカ「お、お腹一杯だけど……まだ……食べなきゃ……」ムシャッ、モグッ……

【午前七時】

『特別隔離室に朝食が届けられる時間だ』

『届けられるのは一人分だけ。綾波レイの分だけである』

ガコッ……
ガタンッ……

『壁の一部がスライドして開き、机の上に一人前の食事が置かれた後、すぐに閉じられる』


マリ「レイー、朝御飯だよ、起きな」

レイ「…………」


『レイはベッドに潜り込んだまま……』

マリ「仕方ないなあ……」バサッ


『シーツをめくる』


レイ「呼ばれてないのにジャジャ」

マリ「」バサッ


『シーツをまた戻す』


マリ「起きなよー」バサッ

レイ「フワッ、フワッ、フワッ、フワッ! 掟破りの起き」

マリ「」バサッ


『いつも通りのレイで、少しホッとするマリ』

『リツコから症状が悪化する可能性を聞いてから、マリは毎日それに怯えていた』


マリ「今日は調子がいいみたい」ニコッ

マリ「レイ、おはよ」

レイ「……おはよう」


『レイの症状が出るのは、一日の3分の1程度である』

『それ以外は普段とそれほど変わりはない』

『ただ、その3分の1に問題がある事と、症状が悪化する可能性を考え、ここに隔離されている』


マリ「ご飯、冷めない内に食べなよ。着替えは後でいいからさ」

レイ「ええ。そうする。でないと、あなたにも悪いし……」コクン……


『マリはレイの監視役、兼、世話役である。故に、彼女の食事は届けられない。マリはレイが食べ終えるのを見届けてからでないと食堂に行けない』

マリ「はい、レイ。お箸」スッ

レイ「ええ」ソッ


『両手でそれを受けとるレイ』


レイ「ヘヘヘーイ、ヘヘヘーイ♪」チンッ、コンッ、カンッ♪


『直ぐ様ドラマーの真似をしだすので、その度にマリが止めなければならない』


マリ「ダメだよ、レイ。やっぱり私が食べさせてあげようか?」

レイ「何かこのバット、小さい。なかなか打てない……?」ブンッ、ブンッ

マリ「はい、レイ。あーん」

レイ「」パクッ……モグモグ


『何か物を与えると、途端にボケだすのはいつもの事だ。マリも慣れたものである』

【男用、特別隔離室】

シンジ「んっ……」ゴロッ……

カヲル「起きるのか……点滴を外しておかないと……」

スッ……プチッ、パチッ


『以前、点滴を施した時、碇シンジは酷い拒否反応を示した』

『暴れ、のたうち回って点滴を無理矢理外した挙げ句、嘔吐して気絶した』

『何故そこまで嫌がったのか、原因は不明』

『しかし、精神的なトラウマによるものと思われた』

『彼が現在、失語症になっている事を考えれば、それは十分に想定できた事で、これに関しては医療班のミスだと後日指摘された』

リツコ「使徒による精神汚染」

リツコ「これは、普通の精神的な疾患とは全く別のものとして考えて頂きたいです」


『その前置きから始まった赤木リツコ博士の説明によると、精神汚染されたのは初号機パイロット、並びに零号機パイロットの二人』

『特に初号機パイロット、碇シンジの汚染はかなり深刻なもので、エヴァのパイロットとしては、恐らく二度と使い物にならない、との事だった』


リツコ「侵食型の使徒により、彼の心……そのような概念が科学的にあるとしたならの話ですが、恐らくそれは六割近く破壊されていると推測されます」

ミサト「何ですって!!?」


『壊された心』

『体内に何かが侵入するという事が、シンジにとってのトラウマになっているものと推測された』

こっから先、食事前の人は注意

というか、これ、需要あるのか?

書いてて空しくなってきた

なんかよくわからんけどみてる

本当に全部安価を捌くつもりなのか?と見守ってる感じだから、余計なレスはしたくないんだ。完結させたら凄い

見てるよ

はよ書け

一応、需要はあるのか……

長くなりそうだから、完結までどんぐらいかかるか知らんが、書いてく

現在の状況はまあその内後から少しずつ出てくる、はず……

【午前七時半】

アスカ「」プシュンッ……


『男用の特別隔離室に、お腹をパンパンに膨らませたアスカが訪れる』


カヲル「やあ、今日は少し遅かったね」

アスカ「話しかけないで、話すだけでも苦しいから……」

カヲル「そう……」

カヲル「シンジ君が待ってるよ。それじゃ僕はこれで……」


『今にも泣き出しそうな微笑を残して、カヲルはそっと部屋を後にした』

『その後ろで虚ろな瞳をアスカに向けるシンジ』

『アスカの手に握られているのは、強力な即効性の下剤。そして、向かった先はトイレだった』

『シンジの朝食の時間である』

『使徒による精神汚染を受けた後、シンジは言葉どころか、ありとあらゆるものの接触を拒んだ』

『服や食事すらもだ』

『彼は一言も話さない』

『しかし、例えば服を着せようとすると、ひたすら暴れ回りとにかく必死で抵抗した』

『食事も全く食べず、水も全く飲もうとしなかった為、彼は3日もせずして、瀕死の状態に陥った』

『もしも、あの時、カヲルが現れなかったら、彼は間違いなく死んでいたはずである』


カヲル「シンジ君、安心して。君は僕が守るよ」

シンジ「…………」

カヲル「さ、水を……」

シンジ「」ゴクッ……ゴクッ……

『何故、カヲルだけが例外なのか?』

『それは誰にもわからない』

『しかし、マリだけはその理由を何となく察知していた』


マリ(第13号機に乗っていたアイツか……。多分、ワンコ君はあの時の事を覚えている……)

マリ(自分の身代わりになって……。いや、自分のせいで死んだ。多分、そんな風に思ってるワンコ君がアイツを拒むはずがないか……)

マリ(という事は……)

マリ(ワンコ君も私と同じで、世界を逆行しているのか……?)

『このカヲルの登場により、碇シンジの命は救われたと言って間違いない』

『しかし、カヲルも彼の心は救う事が出来なかった』

『シンジの精神がどんな風に壊れたかはわからないが、彼は何故か下痢便を食べる様になった』

『それも、まるで極上のカレーを食べる様にである』

『当初、それに一番早く気づいたのはリツコで、その光景を一目見て以来、彼女はカレーを食べれなくなった』

『次にミサトがその光景を見せられ、彼女はビーフシチューを金輪際食べない事を固く誓うと共に、リツコの家に大量のレトルトカレーを送りつけた』

『マヤはその場で吐き、次いで青葉、日向がもらいゲロをして、ミサトの家は次の日からゲロ屋敷と近所から呼ばれる様になった』

『その日以来、碇シンジはネルフ本部の隔離室に住むようになり、レイもほとんどとばっちりで一緒に軟禁状態に置かれている』

クッソワロタwwww

『ところで、話は少し変わるが、シンジには下痢便の好みがあり、これがグルメ並にうるさかった』


『条件1、若い女性のを好む』

『条件2、シャビシャビのを好む』

『条件3、とにかく新鮮なのを好む』

『条件4、匂いがきつくないのを好む』

『条件5、知り合いのを好む』

『条件6、味が濃いのを好む』


『これらの条件に当てはまるのをMAGIで検索した結果、アスカが選ばれるに至り、彼女はそれを神から神託が下ったジャンヌダルクのように、うやうやしく承諾した』


アスカ(私はシンジの奴隷になるって決めたから……)

アスカ(何でもするわ……。例え、どんな恥ずかしい事でも……)


『アスカにはアスカの理由がある』

>>4だけどさ

ドン引き

『逆行した当初、アスカが戻ってきた世界は、丁度使徒が襲来していた時だった』

『第15使徒、アルミサエル』

『訳もわからぬまま無理矢理出撃させられて、彼女は驚愕した』

『勿論、逆行した事についても、使徒についてもであるが、それ以上に驚いたのは、初号機と零号機が横にいたからである』

『そして、ジオフロントも壊されておらず、ミサトは怪我一つしていなかった』


マヤ「パターン青! 使徒です!」


『テンプレとも言えるマヤのオペレートの後、リツコは確かにこう呟いた』


リツコ「第12使徒ね」


『そこは、アスカの知らない世界だった』

『正確には、知っているが中身が変化した世界だった』

>>47
お前かwwww
俺だって、こんなんじゃなくて、ハーレムっぽいものを書きたかったよ

『第12使徒? 第15使徒じゃなくて?』

『そんな疑問がアスカの脳裏に横切ったが、それも束の間』

『アスカは混乱した頭のまま……』


アスカ&弐号機「嫌! 嫌! 嫌ぁー!!」ダダダッ

シンジ&初号機「アスカ!?」

レイ&零号機「弐号機!?」


『逃げ出した!』


『そして、その直後……』


アルミサエル「ハーレルヤ、ハーレルヤ♪ ハレルーヤ、ハレルーヤ、ハレールーヤー♪」


『使徒の精神汚染が二人を襲った!』

『結果、もっともダメージを受けたのが、シンジである』

『レイが比較的汚染されなかったのは、シンジがかばったからか、あるいはレイの心が他の人間よりも虚ろだったのか』

『何にせよ、ミサト、冬月、マヤの三名における懸命なアスカの説得。並びに、ゲンドウがロンギヌスの槍を使う事を決断しなければ、二人の精神はどこまで壊れていたかはわからない』

『使徒を槍によって倒した時には、アスカの精神も壊れかけていた』

『元々、壊れた状態からの逆行だった故、初めからアスカの精神が相当脆くなっていた事も否定は出来ないが』

『自分のせいで、またシンジが……!!』

『アスカはエントリープラグ内で、子供の様に何時間も泣きじゃくった』

『アルミサエルが倒された後』

『シンジとレイの両パイロットは直ぐさま強制的にエヴァから下ろされ、医療室へ』

『その間、シンジは暴れ回り、レイはひたすらコマネチをしていた』

『二人の様子がおかしかったのは明白で、それはエントリープラグ内にいたアスカにも当然聞こえており、事態の深刻さはより彼女に重荷を与えた』


ゲンドウ「レイ、レイ、しっかりしろ!」

レイ「ラーイ」

ゲンドウ「違う、お前はレイだ!」

レイ「ラーイ?」

冬月「落ち着け、碇!」

レイ「エヴァに乗ってーエクササイーズ♪」

ゲンドウ「レイっ!!」

レイ「レレレレイ、レレレレイ、レイトゥーレイトゥー、イケイケゴーゴー♪」

ゲンドウ「レーイっ!!」

まあ、レイこっちのが人生楽しそうじゃん

良かったじゃん

アスカ「アタシは……アタシは……」グスッ……ヒック

アスカ「シンジに何て事を……!!」グスッ、メソメソ

アスカ「それも、二回も……!!」グスッ、グスッ


『この時、アスカの罪悪感がシンジ一人に向けられていたのは、ある意味、仕方のない事だったと言える』

『彼女は逆行前にシンジを不可抗力ながら殺しており、逆行後は瀕死の目に負わせていたからだ』

『加えて、アスカはシンジを世界で一番大切な人間と思っていた事も、である』

『ついでに言えば、レイがこの時、楽しそうにレレレレイ体操をしていたのもその一つの原因ではあった』

『何にせよ、アスカはこの時、シンジにこれまでの事を全て話した上で、土下座を加えた謝罪をする事を決断する』

『数週間後』

『ようやく、シンジ、レイの面会謝絶が解け、アスカが二人の特別病室に入った時、彼女は我が目を疑った』


シンジ「…………」

レイ「だっふんだ! だっふんだ! だっふんだ!」


『シンジの体は痩せ細り、表情は虚ろ。まるで別人か幽霊かとみまごうばかりに変わっていて、それがアスカの足をすくませた』


アスカ「あ……!! う……!!」ガクガク


『こうなった責任は全て自分にある。そう思うと自然と足が震えた。隣でレイが大丈夫だあーと言っていたが、そうではない事は明らかだった』


アスカ「シ、シンジ…………」ガクガク


『ようやく絞り出した声。だが、シンジは見向きもしなかった。この時、アスカは自分の心の中で何かが盛大に崩れ落ちていった音を聞いた』

アスカ「シンジ、シンジ、ごめん、ごめん、ごめん……!!」ブワッ、ポロポロ……


『涙が自然と零れ、アスカはその場で膝をついて床に崩れ落ちた。それが自然と土下座の体勢になっていたのは、恐らく偶然ではなかっただろう』


アスカ「私が……! 全部悪いの! シンジがこうなったのは全部、私が……!!」ボロボロ……


『とめどなく流れる涙。しかし、それにもシンジは無関心だった』


アスカ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


『外でひぐらしがなく事はなかったが、アスカはひたすら土下座して謝り続けた。自分がこんな目に会えば良かったと思ったが、全ては後の祭りだった』

『この日一日、病室からはアスカのすすり泣く声が絶える事はなく、ごめんなさいという謝罪の言葉とヒゲダンスの音楽がずっと聞こえ続けていた』

話がカオスすぎてなにがなんだかわからんことになっとるwwwwww

『かくいう過去を経て、アスカはそれ以来、自分の人生をシンジのみに尽くすという事を決意する』

『私は物言わぬシンジの手足。シンジの為のみに尽くし、シンジには絶対に逆らわない』

『つまりは、奴隷』

『それが償いになるかどうかはわからなかったが、この時のアスカにはそれを客観的に検討するだけの余裕がなく、実際、それぐらいしか彼女に出来る事はなかった』


『アスカは、この時既にシンクロ率が0%になっていたのだ』

『エヴァのパイロットたる資格なし。そして、シンジにこれだけの事をした自分は、生きてる資格もなし』

『ただ、自分が自殺したからと言って、それで誰が救われる訳でもなし。それなら、せめてシンジの為に奴隷として生きよう』

『アスカの決意は重く深く、そして病んでいた……』

【話は戻って現在……】

アスカ「シンジ、朝ご飯……もう少しだけ待ってて」

シンジ「…………」


『依然として、虚ろな表情のシンジ』

『その表情を見る度にアスカは泣き出しそうになるのだが、これまで泣くのはさんざんやってきた。それに、シンジに出来るだけ悲しい顔は見せたくない……』

『無理に笑顔を見せ、アスカはトイレへと入ろうとする』


シンジ「」ガシッ

アスカ「シンジ……!?」


『それをシンジが突然止めた』

『碇シンジがこんな風な状態になってからというもの、彼は「暴れる」以外の能動的な行動を見せた事がない』

『そして、一旦、それを選択したが最後、敵が戦闘不能になるか、自分が戦闘不能になるかのどちらかまで暴れ続ける事になる』

『故に、このシンジの行動はアスカにとって意外を通り越して恐怖を与えるものではあったが、彼女は抵抗を見せなかった』

『なにか自分が無意識の内にシンジ様の機嫌を損ねるような事をしたのだろう』

『それならアタシは罰を受けて当然のはず』

『この時のアスカの思考回路は完全に奴隷のものとなっており、彼女は目を閉じて歯を食い縛り、次の瞬間に訪れるであろう一撃に備えた』

『実際のところ、アスカは抵抗をしてシンジを殺してしまった過去があるので、抵抗を見せなかったのは、むしろ、そのトラウマが原因なのだろうが、少なくとも今のアスカはそれを意識として認識はしていない』

アスカ「……!!」

シンジ「」スッ……ガチャッ、バタンッ

アスカ「…………?」


『しかし、実際にシンジが取った行動は「暴れる」ではなく、「トイレのドアを閉める」であった』

『突拍子もない行動に驚くアスカ』


シンジ「」グイッ

アスカ「ちょ、ちょっとシンジ様……! 一体、何を……!」


『シンジはアスカを自分の元に引き寄せると……』


シンジ「」ヌガシッ

アスカ「あ、やっ!///」


『アスカの服を脱がし始めた』

『一体、シンジが何を思ってそんな事を始めたのか?』

『しかし、そんな事など、わかる訳もない。下痢便を美味しそうに食べる少年の心境など、読めるはずがないのだ』


アスカ「や、やめて下さい! シンジ様!///」

シンジ「」スルッ、パサッ


『アスカの言葉には耳も貸さず、シンジは次々とアスカの服を脱がしていく』

『アスカの抵抗も、所詮は形だけのもので、むしろ、この状況を彼女は喜んでいた』

『どんな形であれ、木偶人形の様にまるで反応を見せなかったシンジが、今、自分に興味を示し、そして自分から動いている』

『これは快復の兆しではないだろうか?』

『そう思ったからである』

【五分後】

アスカ「シンジ様、見ないで下さい///」プルプル

シンジ「…………」


『そこには服も下着も全て脱がされたアスカの姿があった』

『黙ってそれを眺めるシンジ』

『恥ずかしさに小刻みに震えるアスカ』


アスカ「うぅ……////」


『彼女は中学生とは言え、服を脱がされたこの後、どういった行為がシンジからされるのかぐらいは流石に想像がつく』

『アスカはこれまで男を受け入れた事がない。つまり処女だ』

『未知の恐怖と少しばかりの好奇心。無理矢理こんな状態でなければと悲しむ一方で、受け入れる覚悟は既に出来ていた』

『しかし』


シンジ「」スッ……ゴロッ

アスカ「…………??」


『全ての予想を裏切って、シンジはその場で仰向けに寝転がり、そして……』


シンジ「」アーン……


『口を大きく広げる』

『つまり、これまで容器に入れて食していたのに彼は飽き、直に食べようという意思の表れ』


アスカ「………………」


『流石のアスカもこれにはドン引きした』

【ドアの外】

カヲル「…………」


『渚カヲル。彼はマリ同様、碇シンジの監視役、兼、世話役である』

『シンジの食事が無事に済むまで、彼もまた食堂に行けない』

『マリの場合、その理由は、レイが一人で食事するのが困難であるが故だが、カヲルの場合は消臭剤をすぐさま大量に振り撒く事がその理由である』

『故に、彼がいつも通り、ドアの前でシンジの食事が終わるのを待っていたのを責める事はできないだろう』


\ あ、出る、出ちゃう! /


カヲル「?」


\ あ、あ、あ、あー/// /


カヲル「………………」

\ や、やめて、シンジ/// 本当にそれだけはやめて/// /


カヲル「………………」


\ 手を離して/// ダメ、ダメなの/// /


カヲル「………………」


\ こんな状態でイナバウアーとか、いやー/// あ、あ、また出ちゃう、出ちゃうー/// /


カヲル「………………」

【午前8時】

『レイに朝食を食べさせ、軽くいつも通りの問診を終えたので、マリはようやく朝食に』

『そのついでにカヲルを誘おうと思い、男用の特別隔離室へ向かうと、カヲルは何故かドアの前で一人静かに泣いていた』


マリ「ちょっと、どうしたの、カヲル!」


『慌てて近寄って、彼にそう尋ねると、彼は涙目で力なく笑った』


カヲル「シンジ君が新しい芸を覚えてしまったのさ…………。シンジ君は、もう完全に僕の知るシンジ君ではなくなってしまった…………」


『意味がわからなかったが、マリは、よくある事だよ、と言って彼を慰めた』

『カヲルは更に泣いた』

『マリとカヲルの関係は少し複雑である』

『逆行するまで、カヲルは敵側の人間であったが、今は味方であり、同時にたった二人しかいないエヴァのパイロット同士でもある』

『アスカのシンクロ率0%、シンジとレイの精神汚染。この二つにより、ネルフはエヴァのパイロットを全員失い、結果、急遽呼ばれたのがこの二人である』

『マリは北米のネルフ支部から来たが、カヲルはどこから来たのか完全に不明。その経歴は全て抹消されている』

『現在は、マリが弐号機パイロット。カヲルが初号機パイロット。トウジが零号機パイロットだった』

『トウジはマリやカヲルとは違い、シンジ、そしてレイの世話役を志願しなかった為、ここにはいない』

『関西人でも下痢便は無理や、がトウジの返答であり、この直後、彼はレイによって「何でやねん!」とハリセンで思いきり叩かれている』

『下痢便によって壊される友情というものもあるのだ』

『マリとレイの関係も、カヲル同様、少し複雑である』

『レイはこれといって他人に興味を示す訳でもないので、マリの事を特に気にしてはいないが、マリの方はそうもいかない』

『マリはレイの存在が特別なものである事を知っており、同時にネルフやゼーレのキーパーソンである事も知っている』

『マリがレイの世話役を買って出たのは、半分は優しさ、もう半分は監視の対象としてであり、心を許してはいない』

『例え、レイが今の状態であろうとも、である』

【午前8時半】

『マリがカヲルをなだめ、一緒に食堂に着き、サンドイッチを頬張っていた頃』

『この男たちも司令室でテーブルにつき、二人で食事を取っていた』

『冬月コウゾウ』

『そして、碇ゲンドウ』

『ネルフのツートップであるが、今は実質、冬月のワントップである』

『碇ゲンドウの仕事は現在、冬月が持ってくる書類に判を押すだけのものであり、サルでも十分に代わりはきいただろうが、そうもいかないので彼はそのまま司令職に置かれている』

『ハムエッグを上品にナイフとフォークを使って食べる冬月に比べ、ゲンドウはカプセルをカキピーでも食べるかのようにボリボリと食べており』

『その様は、冬月の心を幾ばくか痛めさせていた』

ゲンドウ「冬月」ボリボリ

冬月「なんだ、碇?」

ゲンドウ「明日、エヴァを使って運動会をしよう」ボリボリ

冬月「」


『絶句。その一言に尽きた』


冬月「碇、何を…………」


『トチ狂った事を言っている。そう続けようとして、冬月はすんでのところでとどまった』

『既にゲンドウはトチ狂っているのだ』

『大量の精神安定剤、並びに坑鬱剤、その他諸々の、薬、薬、薬、薬、薬、薬』

『これがなければ彼は生きる事が出来ず、逆にその副作用によって緩慢な死への階段を一段一段丁寧に上ってもいる』

『壊れた精神。それは何もシンジやレイやアスカばかりではなかった』

ゲンドウ「そうすれば、シンジはきっと喜ぶ。ああ、きっとレイもだ」ボリボリ

ゲンドウ「初号機も呼んで、ユイと私とシンジとレイの四人で見物しよう」ボリボリ

ゲンドウ「朝早くから弁当も作って、家族水入らずだ」ボリボリ

ゲンドウ「そうすれば、シンジもきっと心を開いてくれるだろう」ボリボリ

ゲンドウ「そうだ、そうに違いない。冬月、運動会の準備を。すぐにだ、明日までにだ」ボリボリ


『珍しく饒舌に、そして更に珍しく笑みを浮かべてゲンドウは楽しそうに一人で喋っている』

『ゲンドウは薬の影響からか、時々、軽いトリップを起こすのだ』

『冬月は静かに、そうだな……、と頷いた。目尻には涙がたまっていた』

『誰よりも強い意志を持っていた男、ゲンドウ』

『しかし、彼のその強さは元々後ろ向きな発想から出たものであり、表面は鋼の様に固くとも、中は豆腐の様に脆い歪なものだった』

『故に、自分の許容できる範囲を超えた時、その意志はあっさりと修復不可能なまでに破壊される』

『最愛の妻の死。それに続き、その生き写しとも呼べるレイの精神崩壊。加えてシンジの奇行……』

『特別隔離室でレイが大坂名物ポコポコヘッドをやっているのを見た後、実の息子が美味しそうに下痢便を食べているのを見て彼の精神はあっさりと崩壊した』


ゲンドウ「は、はは、はははははっ、あははははははははははははははははははははっ!! わはははははははははははははははっ!!」


『悲劇は連鎖する。不幸はいつだって友達を連れてくる…………』

『ゲンドウに対し、冬月の方は正常である』

『無論、彼とてショックを受けてはいるが、少なくとも精神を崩壊させる程ではない』

『どちらかと言えば、彼はゲンドウの変わりようにショックを受けており、同時に前途多難なこの状況をどうするかにかなりの不安を覚えている』

『ゲンドウの精神崩壊がゼーレに知られるのはまずい』

『それを理由に、ゼーレはきっと新しい司令を送り込み、ネルフは完全にゼーレの意のままとなるだろう』

『事の重大さとやる事の多さ、そしてのしかかった責務が冬月には幸いした』

『彼には途方にくれている余裕もなく、そして、ゲンドウのどうでもいい提案を、なんとかやめさせるよう説得している暇などもなかった』


冬月(誰に迷惑がかかる訳でもないか……。日本政府にはエヴァの演習とでも言っておけばいい……)フゥ……


『冬月はそう判断し、本来なら絶対に認められるはずのない提案、エヴァの運動会をあっさりと認めた』

【午前9時】

『葛城ミサトがネルフの発令所に顔を出す』

『他の職員たちと軽く挨拶を交わした後、彼女はすぐに作戦本部へ』

『なお、この時、オペレーターの三人組とも挨拶は交わしているものの、それらはどことなくぎこちないものだった』

『この三人のせいで引っ越しを余儀なくされたミサトは、彼らを恨むとまではいかなくとも、小さなわだかまりを持っていたのは事実である』

『なお、リツコとは完全に友達の縁を切った模様ではあるが』


リツコ「ミサト、大変よ、こっちに来て! それに、日向君、青葉君、マヤ、あなたたちも急いでこっちに来て!」


『未だに、リツコが何故その場にいた全員を呼んだか、その理由は謎のままである』

『一方で、リツコはと言えば、この何日間かずっと、自分の研究所にこもりっぱなしであった』


リツコ「私はとにかく、シンジ君とレイの精神汚染をどうにか治すよう研究してみます」


『そう宣言した時のリツコは輝いており、ネルフ職員、特にカヲルやアスカの希望の星であった』

『その日以来リツコは、研究に没頭したいという理由で助手のマヤさえもつけず、ずっと研究所で泊まり込みの生活を送っている』

『出てくるのはトイレと風呂の時だけであり、それ以外は一切顔を出さない。おまけに研究所の扉は常にロックされており、ほとんど引きこもり同様であった』

『一説には、ミサト家ゲロ屋敷事件の責任を感じていて、誰とも会わす顔がないからそうしている、とも囁かれてはいるが…………』

『実際のところはそんな事はまるでなく、それどころかリツコは二人の精神汚染を治す気など初めから全くなかった』


リツコ「もう少し、もう少しできっと完成するわ……ふふ」

リツコ「証拠が一切残らない、この遅効性の毒薬が……あははっ!」


『…………リツコもまた、時間逆行者である』


『今の彼女は、人類補完計画の全容を知っており、そして、その結末がどうなるのかという事まで知っている』

『どう転んでも幸せになれない自分』

『利用されるだけされて、ゴミの様に捨てられる自分』

『それなら、こんな世界など、どうだっていい』

『そういう結論にリツコが至ったのも、無理からぬ事ではあった』

『赤木リツコの目的』

『それは、綾波レイ、碇シンジの殺害である』

『何故、こういった結論に彼女が至ったかと言えば、それはやはりゲンドウからの愛を求めての事だった』


『この両者はゲンドウの精神を壊した直接の原因である』

『それに加えて、綾波レイは碇ユイのクローンであり憎むべき対象』

『碇シンジはユイの息子であり、目障りな存在。ゲンドウとの再婚への障害、コブ、他の女の子供』

『殺意を抱かせるには十分過ぎるほどの理由があり、同時にこの二人を抹殺してしまえば、ゲンドウの攻略も容易くなる』

『一時は悲嘆に暮れるであろう。しかし、悲嘆によって出来た隙間は潜り込みやすく、意のままに操りやすい』

『それが愛かどうかはともかく、自分に依存させてしまえば良い。離れられなくさせてしまえば良い』

『この時点でリツコの精神も正常なものとは程遠い事が十分に伺えた』

【午前10時】

『冬月の命令で、明日の運動会の準備が言い渡される』

『言い渡されたのはミサトで、ほとんど丸投げにされたと言っていい』


ミサト「えっと……これは何の為に行うんです?」

冬月「知らん」

ミサト「」


『会話はそこで終了した』

【午前11時】

『ミサトが作戦本部を出て、発令所に移動』

『明日の運動会の予定と段取りを発表する』

『その場にいた全員がアホかと思ったが、それを口に出す者はいない』

『みな、淡々と準備に取りかかる』

『日向はアナウンス役を、青葉は実況役を言い渡され、マヤはウグイス嬢を押し付けられた』

『彼らもまた、こんな状況で考える事が多い』

『オペレーター三人組は、リツコやミサトやゲンドウたちとは違い、ごく常識的な考えをもった人間である』

『その常識さは今回の一件において、同情はするが干渉はしない、という方向に動いており、その点において彼らの取った行動はある意味冷たかったと言える』

『もしもこれが普通の病気であるなら、彼らは花や果物を持ってちょくちょくお見舞いに来たかもしれない』

『しかし、下痢便は彼らの許容できる範囲をゆうに越えており、特にマヤにとってはトラウマ級の一件でもあった』

『伊吹マヤ』

『彼女の人を判断する第一基準は清潔か不潔かだけであり、下痢便は間違いなく不潔の部類に入る』

『例えそれが聖人君子であろうとも、下痢便を食べる人間は彼女にとってはゴキブリと同等の存在であり、そしてゴキブリの見舞いに行く趣味は彼女にはなかった』

『だからと言って、殺虫剤片手に駆除をしに行く程の非常識人でもなかったので、結果、近寄らず記憶から忘却するという事を彼女は選択し今日に至っている』

『トラウマの原因を作ったリツコの事を当初は恨みはしたものの、やはり彼女は敬愛する先輩であり、今ではそこまで恨んではいない』

『ただ、リツコは今、研究所に引きこもっている為、話すきっかけもなく、宙ぶらりんとしたモヤモヤさを抱えてはいたが』

『明日の運動会の一件は、話のきっかけとしては十分であり、これを機に関係を修復しようかとマヤは考える』

【正午。リツコの研究室】

リツコ「ふふっ! 出来た! 出来たわ!!」

リツコ「あはっ! あははははっ! 完成よ!!」


『リツコの乾いた高笑いが研究室にこだまする』

『絶対に証拠の残らない、遅効性の毒薬。それが完成をみたのである』

『この時の彼女は珍しく子供の様に浮かれており』

『溜まりに溜まった疲労とストレスを解消するべく、外に出てコーヒーを飲みながらタバコを吸う事を選択した』

『その際、鍵をかける事をうっかり忘れたのは、完成をみて気が緩んだ事が原因であろう』

『リツコにとっては有り得ない程の致命的なミスであり、そして有り得ない事態に有り得ない事は往々にして重なるものである』

【研究室前、廊下】

コンコン

マヤ「先輩」


コンコン

マヤ「お昼ですし、ちょっとお茶でもしませんか?」


コンコン

マヤ「いないのかな……?」


ピッ……

プシュンッ……

マヤ「部屋のロックがかかってない……?」

【研究室内】

マヤ「……いない」キョロキョロ……

マヤ「どこに行ったんだろ……?」

マヤ「ん……。何かしら、これ……?」


『ふと、机の上の薬品と、書きなぐったメモ紙が目に入る』


マヤ「これ…………まさか……!」


『そのメモに書かれてあったのは、蜂の巣状の複雑な化学式』

『マヤはそれほど詳しい訳ではなかったが、しかし、その内の幾つかには見覚えがあった』

『有害物質、毒素』

『慌ててマヤは机の上のパソコンを立ち上げる。パソコン自体にロックをかけていなかったのも、リツコの致命的な油断である』

マヤ「」カチカチ、カタカタ


『フォルダを片っ端から開けていく。マヤの顔がその度に青ざめていった。不吉な予感は外れる事なく、的中した』


マヤ「これ……毒なの……!?」


『何の為にリツコがこんな物を研究していたのか。それはマヤにはわからなかったが、とにかくこんな物を使わせる訳にはいかなかった』


マヤ「ど、どうしよう……! 早くしないといつ先輩が戻ってくるかわからない!」


『彼女は咄嗟にその瓶の中身を全て排水溝に流し捨て、代わってそこらにあった薬品を代わりに瓶に詰めた。ほとんど無意識の行動である』

『マヤがそれらの行動を終え、部屋から飛び出た数分後、リツコが入れ違いで研究室に戻ってくる』

『もしも、マヤの行動があと一分でも遅かったら、リツコに見つかっていたのは間違いなく』

『マヤは隣の部屋で身を隠して激しく息をつく』


マヤ「」ハァハァ、ハァハァ

マヤ「先輩、一体何であんなものを……!」


『何の為に? それはマヤには想像がつかない』

『しかし、それをリツコに問い詰めたら、自分の命が危ないという事だけは容易に想像がついた』


マヤ「」ブルブル、ブルブル


『自分の命が間一髪で救われた事を認識し、今更ながらに彼女は恐怖で小刻みに震える』

【午後一時、男用特別隔離室】

アスカ「シンジ様……///」

シンジ「…………」


『そこには再び裸にひんむかれたアスカと』

『自分の服を脱ぎ捨て、全裸になって仰向けに寝転がるシンジがいた』


『シンジの昼食の時間である』

『アスカが大量の食事を摂るのはひとえにシンジの為であるが、これは同時に自分の為でもある』

『食べた物を全て下剤で出してしまうのだから、アスカには栄養としてあまり残らない』

『普通の食事量ではアスカの体の方がもたず、結果、大量摂取を必然と義務付けられる事となる』

『シンジの方は方で、多少なりとも下剤入りのを食しているのだから、結局、彼もお腹を下す事となりほとんど栄養はとれない』

『それ故、カヲルが夜中にこっそり点滴を打たねばならず、シンジの命は結構ギリギリのところにある』

『ところで少し話は変わるが、男の性欲というものは10才頃にはもう目覚めており』

『そこから急激に跳ね上がって、ピークを迎えるのが18歳前後とされている』

『早い話、中学生から大学生ぐらいまではかなり強い性欲を持っているという事になる』

『これは、もちろんシンジとて例外ではなく』

『これまで、アスカの裸を思い出してオナった回数は軽く百回を越える』

『シンジの精神の六割方は壊されてしまってはいるが、人間の三大欲求の一つである性欲はやはり微かに残っており』

『アスカの裸を前にして、シンジのロンギヌスの槍は通常の状態ではなくなっていた』

『日本には、「弁慶の泣きどころ」という諺がある』

『向こう脛の骨が、他所に比べて比較的表面に近いところにあり』

『武蔵坊弁慶ほどの豪傑でも蹴られれば痛くて泣く事から』

『向こう脛の別称、急所や弱点のたとえとして用いられている』

『この武蔵坊弁慶の有名なエピソードと言えば、弁慶の立ち往生であり』

『体に何十本もの矢を受けながらも、主君の義経を守ろうと、絶命してからもなお立ったままだったという話である』

『それぐらいの雄々しさと気高さとをもって』

『まるで迷える船を導く灯台の如く』

『シンジのチンコはそびえ立っていた』

アスカ(……大きい…///)カアッ


『アスカは処女であり、勃起したチンコを見るのは初めての事である』

『勃起してない方のは、逆行前に見た事がある』

『夜中、誰もが寝静まった頃、こっそりシンジの部屋に忍び込み』

『1時間以上かけて気づかれないようそっと服を脱がして、まじまじと観察した』


アスカ(……意外と可愛いのね…………///)サワサワ


『その時は確かにそう思ったのだが、今は可愛いどころかたくましくすらある』

『まるで、子供の頃バカばかりやってしょっちゅう先生に怒られていた幼馴染みが、何年かぶりに会ったら立派な社会人になっていた様なものである』

『ふとアスカの頭の中に、globeのFACEが横切った』

『太陽が飲まれてく 夜がときどき強がり』

『晴れた日は月明かり 自分の逃げ道を知ってる』

『反省は毎日で 悔やまれる事が多すぎて』

『青春が消えていく でも情熱はいつまで続くの』

『少しくらいはきっと役にはたってる でも時々自分の生きがいが消えてく』

『泣いてたり 吠えてたり かみついたりして そんなんばかりが女じゃない』

『鏡に映った あなたのチンコ』

『情けないようで たくましくもある』

『顔と顔を寄せ合い 慰めあったら それぞれ』

『玄関のドアを1人で開けようー♪』


アスカ「あっ、いやっ、シンジ様……!///」ドサッ

シンジ「アスカ!///」チュッ、レロレロ


『シンジがアスカを襲った瞬間である』

俺はこのチャレンジを応援しているぞ

がんばって!

なんだこれww

シンジ「アスカ、アスカ、アスカ、アスカ!」モミモミ、グニグニ


『アスカの名前を連呼しつつ、シンジはアスカの胸を揉みしだく』


アスカ「あっ! やだ! やめて下さい、シンジ様!/// 乱暴にしないで!///」イヤイヤ


『朝の時と同様、口では拒否しつつも、抵抗をほとんど見せず、されるがままのアスカ』


シンジ「アスカ、アスカ、アスカ、アスカ!!」グニッ、ギュッ!!

アスカ「あぐっ!」


『シンジは潰れるぐらいに強くアスカの乳房を掴み、揉み、なぶり回す』

『それは愛撫などとは程遠く、アスカにとっては快楽よりも痛みの方が激しい』

『それでもなお彼女は抵抗を見せず、体を多少はよじりはするものの、手を使ってはねのけようとはしなかった』

『失語症により、一言も喋らなかったシンジ』

『それが今は、自分の名前を連呼している』

『例えこの先どんな事をされようとも、アスカにはそれが嬉しい』

『唇を噛み、悲鳴だけはあげないようにと、彼女はただ耐える』


アスカ「シ、シンジ……!」ギュッ!!


『首に手を回して抱きついたのは、ほとんど無意識』

『それによってシンジの乱暴を抑えようとした訳ではなかったが、結果的にはそうなった』


シンジ「アスカ、アスカ!」チュッ!

アスカ「あっ、んっ!///」


『シンジは自分の唇でアスカの唇を塞ぎ、そして次は舌で口中を犯し始めた』

【同刻、ドアの外】

カヲル「…………一体、今度は何を……」


『カヲルが心配するのも無理からぬ事である』

『失語症のシンジが喋った事に関しては、彼も喜んではいたものの』

『続けてドタバタとした物音、そしてアスカの嫌という声』

『それから急に物音が消え、静かになった部屋』

『中で一体何が行われてるかは流石のカヲルも知る術がなく』

『かといって、シンジが食事中だったとしたら、ドアを開ける訳にもいかない』


カヲル「………………」


『彼は自分が第一使徒に堕とされた時よりも不安な顔を浮かべ、ただドアの前で佇んでいた』

\ あっ! ぐっ!/// /


カヲル「………………」


\ アスカ、アスカ、アスカ、アスカ!/// / パンパン

\ ひっ、あっ!/// い、痛い、シンジ様! もっと優しくして下さい! /


カヲル「………………」


\ アスカ、アスカ、アスカ、アスカ! / パンパン

\ ぐっ、あっ!/// や、んっ! ぎっ!/// /


カヲル「………………」

支援

【午後2時、特別隔離室】

アスカ「…………」バタンッ


『シャワーを浴び、身体中についた精液を洗い落として、アスカはバスルームから出る』

『この時の彼女の心境と表情はかなり複雑であり……』

『嬉しさがある反面、悲しさも同時に内包しており、そして空しさが一番多い』

『一連の行為が終わった後、シンジは再び自分の殻に閉じ籠もってしまい、アスカの呼びかけに対しても完全に無反応だったからである』

『シンジが求めていたのは体だけであり、アスカの心までは求めてはいなかった』

『処女と引き換えにアスカが手に入れたものは、シンジの性欲処理係という役割だけであり』

『自分は前進したのか、あるいは後退したのか。シンジの症状は多少回復したのか、あるいは暴発しただけなのか』

『…………アスカには答えが出せなかったし、出すのが怖くもあった』

『ただ、求められる以上は、アスカは拒むつもりはなかったし』

『例え性欲処理の対象でしかなかったとしても、それに対して不満を唱えるつもりは彼女には一切なかった』

『シンジがそれで喜ぶのなら、私はそれでいい』


アスカ「私はシンジ様の奴隷……。シンジ様にただ尽くすだけ……。それだけ…………」


『暗く澄んだ重い瞳…………』


マリ「………………」


『マリはアスカを悲しそうな表情で眺める』


レイ「………………くっ」ブルブル


『レイもこの時ばかりは流石に空気を読み、一発ギャグをしたい衝動を懸命に抑えていた』

『その隣の部屋では、まるでシンデレラの様に、カヲルが泣きながら床の掃除をしていた』

【午後3時、リツコの研究室】

リツコ「どうしたものかしらね…………」


『作り終えた毒薬を、誰の目にもつかないところにしまいこんだ後』

『リツコは思考の海へと長らくダイブしていた』

『彼女が次に考えなければならない事は、当然、この毒薬をどうやってシンジとレイに飲ませるかであり』

『この簡単そうな事が、意外となかなか難しい事に気がつき、彼女は悩む羽目となっている』

『シンジの食事は、現在、アスカの下痢便であり』

『これにどう毒を混入するか』

『不可能に決まっていた』


『それならレイはどうかと言えば』

『レイの食事は食堂で作られている訳ではなく、外部で作られた注文品の弁当である』

『これはネルフ職員も多数注文しており』

『送られてくる弁当の中のどれか一つがレイの物となる』

『当然、その中のどれがレイの物となるかなどわかる訳もなく』

『これもまた混入が難しい』


リツコ「何かいい方法はないかしらね……」ガチャッ


『特に思いつかないまま、彼女は再びタバコを吸いに行く』

【発令所】

青葉「マヤちゃん、どうしたの? なんか顔色悪いけど……」

日向「本当だ、真っ青だよ。熱でもあるんじゃないの?」


『この頃、オペレーター二人がマヤの異変に気付く』


マヤ「あ、いえ、あの…………な、何でもないです」フイッ……


『もちろん、何でもない訳がない』

『しかし、例の薬の事を果たして二人に話していいものかどうか』

『マヤには決断がつかず』

『結果、その優柔不断さによってマヤの命はギリギリのところで助かったと言ってよい』


リツコ「」トコトコ


『この時、タバコを吸い終えたリツコが、久しぶりに発令所に訪れたからである』

リツコ「あら、マヤ、どうしたの? ずいぶん顔色が悪いけど……」

マヤ「せ、先輩!」ビクッ


『咄嗟の事で、マヤの表情が強ばる』

『しかし、彼女はかなりの強運の持ち主なのか』

『オペレーター二人がリツコにすぐ話しかけた事により』

『リツコの注意は二人の方へと向けられる』


日向「あっ、久しぶりです、赤木博士。シンジ君たちの症状を治す手段、見つかりましたか?」

リツコ「いいえ、まだよ。なかなか難しくてね」

青葉「そうですか……。残念です。早目に何とかしてあげないと可哀想ですから……」

リツコ「ええ、そうね……。最善を尽くしてはいるのだけど……」

マヤ「………………」

リツコ「それよりも、マヤ。あなた、本当に顔色が悪いわよ。医務室に行ってきた方が良いんじゃない?」

マヤ「あ、あの……はい……。そうします…………」ガタッ


『聞きたい事や言いたい事をぐっとこらえ、マヤは席を立つ』


青葉「ああ、じゃあ、念の為、俺が送っていくよ」

マヤ「いえ、あの、大丈夫です。一人で行けますから」タタタッ


青葉「?」


『……もしもこの時、マヤが青葉の申し出を受けていたら。青葉が無理矢理にでもマヤに付き添いをしていたら』

『送る途中、マヤは青葉に毒薬の事を話していたかも知れず、その点、リツコにも運があったと言える』

『何にせよ、時計の針が逆戻りする事はなく、話題は転じて明日の運動会の話へと変わる』

リツコ「……そう、運動会を」

日向「ええ、そうなんです」

青葉「はい」


リツコ「………………」

日向「………………」

青葉「………………」


リツコ「それで、私は何の係をする事になっているの?」

日向「葛城さんの話によると、赤木博士は、チアリーダーだそうです」

リツコ「」

青葉「当日には、ねじり鉢巻きと和太鼓が用意されるそうです」

リツコ「…………まだ根に持ってるのね、ミサト……!」

『もんじゃ焼きを大量にミサトの家に送りつけるか、あるいは当日バックレるか、の二者択一でリツコが悩んでいると』

『思わぬ一言がメガネの口から飛び出す』


日向「何でも、手製の弁当まで用意するとかで。葛城さん、エプロンまで発注させられてましたよ」


『これよ!』

『突如、リツコの頭の中に名案が浮かぶ』

『明日の運動会のプログラムに、料理大会を付け加えてしまおう』

『これなら、外で行われるのだから、シンジとレイの食事に毒を盛る事が出来るはずである』

『少なくとも、可能性はある』

『出来なかったら出来なかったで、また別の手を考えれば良いだけなのだから、リスクは全くないし』

『何より、滅多にないこの機会を無駄にするべきではないと彼女は考える』

『幸いと呼べるかどうかはともかく』

『今のゲンドウは、まともな思考回路ではない』

『適当に理由をでっち上げてしまえば』

『料理大会をプログラムに組み込む事は容易いであろう』


リツコ「そう……。それなら私は用があるからこれで」


『リツコはそそくさとその場を後にし』

『真っ直ぐ司令室へと向かう』


『日向と青葉は、「はい、また」と爽やかな笑顔で彼女を見送ったが』

『明日、リツコがバックレるであろう事を予想し』

『彼女の住所と、家の電話番号、ファックス番号をMAGIからハッキングして』

『延々とエロファックスを流す準備を整えていた』

【午後4時】

リツコ「あなたは、明日、運動会と一緒に料理大会を開きたくなるー、開きたくなるー、開きたくなるー、開きたくなるー」ユラユラ

ゲンドウ「料理大会ヲ開コウ……。料理大会ヲ開コウ……」


『司令室でリツコがゲンドウに対し、振り子を振っていた頃』


アスカ「…………こんな事するんだ……////」ドキドキ


『アスカはネットで、シンジの為にHの勉強をしており』


マリ「あ、あの、これ下さい……////」スッ

店員「……はい」ジロジロ

マリ「うぅ……////」フイッ


『マリはアスカの為に大量のコンドームを購入していた』

ミサト「何で私ばかりこんな目にあうのよ……」シュン


『ミサトは自分の運命と不幸を愚痴り』


加持「今日もお前たちは元気だな。後で、肥料も持ってきてやるからな」ポンポン


『加持はスイカ畑で我関せず水をまいて』


カヲル「歌はいい、歌はいいねえ、傷ついた心を慰めてくれるよ」ポロロン、ポロロン♪


『カヲルはピアノを泣きながら弾き』


レイ「右肘見て、左肘見て♪ 右肘見て、左肘見て♪」クイッ、クイッ♪


『レイはその隣で音楽に合わせて踊っていた』

マヤ「私は一体どうすればいいの……」ガクガク、ブルブル


『マヤは医務室のベッドの上で、一人恐怖に脅え』


日向「この画像とか良くないか?」

青葉「おっ、なかなかいいね」


『日向と青葉はエロ画像を検索しながら猥談を始め』


冬月「ふう……」


『冬月は深いため息をつきながら黙々と仕事をこなし』


シンジ「………………」


『シンジは外をぼんやりと眺めていた』

シンジ「僕は…………」ボソッ

シンジ「何を…………」ボソッ

シンジ「何のために…………」ボソッ

シンジ「何でこんな事を…………」ボソッ

シンジ「僕は…………」ボソッ


『それはつながりのほとんどない言葉』

『意味のない言葉』

『無意識の言葉』

『無自覚の言葉』


『彼の精神は未だに壊れたままであり』

『つながりのある言葉を容易には見つけ出せない』

『しかし、元の自分に戻ろうともしている』

『このままではいけないと思う自分と、このままでいいと思う自分とのせめぎあい』

『シンジは自分の中の精神世界で静かに戦っている』

【午後5時】

ゲンドウ「冬月。料理大会ヲ開コウ」

冬月「そうだな」


『あっさりと可決』


マリ「姫……はい、これ」ドサドサ

アスカ「ありがとう……悪いわね」


『マリ、アスカに買ってきたコンドームを渡す』


カヲル「そろそろ行こう。検診の時間だ……」

レイ「ええ……」


『レイは小さくうなずいた。カヲルは幸せそうには見えなかったが微笑んだ』

『この日、ミサトは何だかんだで運動会の準備を整え』

『マヤは心の整理がつかぬまま、早退し』

『リツコは心の中でほくそ笑んで』

『シンジも何だかんだで夕食の時もさんざんアスカを犯した』


『アスカにとっては精神的にも肉体的にも苦痛しか残らなかったが、彼女はそれでも何も言わなかった』

『マリはその日、アスカを抱きしめながら涙を溢して眠りにつき』

『レイは、でもそんなの関係ねえ、と寝言で言ってアスカから首を絞められかけた』


『全員にとって、長い一日はこうして終わりを告げ』

『全員にとって、更に長い一日が始まろうとしていた』

【翌日】

『エヴァだらけの運動会が始まる』

『……と言っても、カヲルの乗る初号機は父兄席で待機しており』

『そのすぐ隣にはゲンドウとシンジが並んで座っていて』

『家族水入らず、とは言いがたいが、とにもかくにもゲンドウの願いは成就される』


ゲンドウ「シンジ……運動会だぞ。楽しみだな」

シンジ「………………」

カヲル&エヴァ初号機「………………」

『何故ゲンドウが運動会にこだわったのか』

『それは彼にあてられた一通の手紙のせいであると推測される』

『その手紙はシンジが幼い頃書いたものであり』

『中身を要約すると、明日の運動会に父さんも来て欲しいという内容のものである』

『ゲンドウはこれまで運動会や授業参観に行った事は一度もなく』

『せめて人並みらしく、親らしい事をしてやろうとゲンドウが考えた結果であろう』

『そういう点においては彼も人の子である』

『さて、少し話は変わるが、ネルフが現在所有しているエヴァは三機だけである』

『零号機、初号機、弐号機、の三機』

『この三機の内、初号機は見学に回っている為、必然的に運動会は二機だけで行われる事となる』

『つまり、トウジの乗る零号機とマリの乗る弐号機である』

『二人と二機だけで行われる運動会を、果たして運動会と呼称していいかは置いとくとしても』

『何とも味気ないものであるのは確かであった』

青葉「さあ、それでは始まりました。第一種目は10キロ走です」

日向「各機はスタートラインまで待機して下さい。1コースはトウジ選手。2コースはマリ選手です」


『日向のアナウンスによって二機がガショガショと移動を始める』

『本来なら、選手の呼び出しはマヤが務めるところであったが、彼女は急遽休みをとってしまったので日向が兼任している』

『この時、マヤは自宅のベッドの上でうずくまりながら、毒薬の一件をどうしたものかと苦悩しており』

『居間ではファックスから大量の猥褻画像が途切れる事なく送られ続けていた』

『その事にマヤが気づくのはもう少し先の事であるが、ここでは割愛する』

【一方、エヴァのエントリープラグ内】

『ここでは両機のパイロットがお互いに通信しあっていた』


トウジ「全く、ワシらが何でこないな事をせなあかんねん」

マリ「まあ、それはもうしょうがないじゃん? それよりさ、関西人」

トウジ「人を訳のわからんくくり方すなや。そもそも日本の人口の半分は関西人やで」

マリ「流石、ツッコムねー」

トウジ「関西人やなくても、それぐらいするっちゅうねん」

マリ「ま、それは置いといて、と。どう? 一つさ、賭けをしない?」ニヤリ

トウジ「賭け?」

マリ「今日一日は二人でずっとタイマンなんだからさ、どうせなら何かしないと面白くないじゃん?」

トウジ「ふうん。まあ、それはかまへんけど、何を賭けんねん?」

マリ「そうだね……。勝った方が、相手の言う事を何でも一つだけきくってのはどう?」

トウジ「何でも?」

マリ「そう、何でも」ニヤリ

トウジ「ちょい待て! それ、何でも言うたらホンマに何でもか? どんな事でもええんやな?//」ドキドキ

マリ「いいよ、別に。で、どうするの?」

トウジ「やる! 受けて立つで、その賭け!」メラメラ

マリ「いいねー。そうこなくちゃ面白くないしね」ニヤリ

『この時、トウジの頭の中はエロくてゲスな事で一杯であり』


トウジ(勝ったら何させたろ/// やっぱアレしかあらへんやろな……////)ムクムク


『それに合わせて、プラグスーツの股間部分も一杯にしていた』


『それに比べてマリはと言えば』


マリ「♪」


『楽しみが一つ出来たというだけで特にこれといってエロい事は考えておらず』

『余裕しゃくしゃくで、スタートの合図が来るのを待っていた』

日向「それでは位置について」


零号機&トウジ「」スッ

マリ&弐号機「」スッ


『日向のアナウンスにより、両機ともクラウチングスタートの構えをとる』

『その少し横ではミサトが空砲を宙に構えながら、片耳を塞いでいた』


日向「ヨーイ、スタートッ!!」

ミサト「」パンッ!!


トウジ&零号機「行っくでー!!」ダダダダダッ

マリ&弐号機「よっしゃ、ゴーっ!!」ダダダダダッ


『壮大な砂煙を上げ、二機はほぼ同時に走り出した』

完結!!カンケツ!!!

なんでこんなに話として整合性を保っているんだ(困惑)

この主なら簡潔に完結させられる!

『さて、この頃、アスカとレイが何をしていたかと言えば』

『アスカはマリの代わりにレイの面倒を見ており』

『レイはリツコの代わりにねじり鉢巻をして和太鼓を叩いていた』


レイ「えんやーとっと、えんやーとっと、えんやーとっと、えんやーとっと♪」ドンドン、ドンドン

レイ「さよえーんやあーーーあーーあー♪」ドドン、ドンドン


『レイの唄は非常にこぶしがきいており』

『かつプロ顔負けの歌唱力を誇っていたので』

『それが逆にアスカを困惑させた』


アスカ(これが日本流のチアリーダーなの……?)

『一方、レイに自分の役割を押し付けたリツコはどうしていたかと言えば』

『昨日完成したばかりの毒薬の瓶を白衣のポケットにこっそり隠し持ち』

『料理大会の会場をこっそり下調べしていた』


リツコ(……しまったわね……私が段取り全てを決めるべきだったかしら……)


『リツコがそう悔やむのも当然の事で』

『この大会のやり方では、毒物の混入が難しかったのである』

『全く普通の料理を食べようとしないシンジの為に、というリツコの名目は正しい』


リツコ「大会の様なものなら、勢いでシンジ君も食べてくれる可能性があります」

リツコ「また、参加者がシンジ君に近しい間柄の人なら尚更効果はあるかと」

ゲンドウ「ソウダナ、ソノ通リダ」


『これにより、エヴァパイロット全員を引き込む事に成功し』

『その中には暗殺対象となるレイも当然いた』

『ここまでは彼女の計算通りであり』

『これ以上疑惑を生むような事は避けた方がいいだろうという、その慎重さも概ね正しかったと言える』

『しかし、誤算は生じた』

『料理大会を開くようゲンドウから要請を受けたのは冬月であり』

『冬月はそれをミサトにまた丸投げしたので』

『ミサトは運動会のセッティングだけでも、嫌気がさしていた事もあり』

『シンジ、アスカ、レイ、マリ、カヲル、トウジを参加者と決め』

『この六人でそれぞれ料理をさせて、後は六人で勝手に一位を決めればいいだろうというかなり大雑把な計画を立てた』

『これにより、リツコは参加者としても審査員としても大会に加わる事が出来なくなったのである』

リツコ「どうしたものかしら……」


『彼女は軽く辺りを見回す』

『調理台の上には、まな板や包丁や鍋やフライパンが整然と並んでおり』

『そのすぐ近くには設置された大型冷蔵庫と、ありとあらゆる食材の山』

『この中のどれかに毒を混入すればかなりの確率で誰かは死ぬだろうが、それでは意味がない』

『シンジとレイだけに毒を盛るには、シンジとレイの食事だけに毒を盛らねばならないのだ』

『チャンスはまだある。今は怪しまれない方が大事』

『そう思い、引き返そうとした時、不意に名案が浮かぶ』

リツコ「ご飯を私が先に炊いてしまえばいいのではなくて?」


『誰が何を作るかはわからないが』

『菓子やデザート類を除けば、例え何を作ろうともご飯には合う』

『それに、ご飯なら先に用意されていても全く不自然ではない』

『何もかもが名案に思われた』


リツコ「そうよね。そうすれば、シンジ君とレイの分だけに毒を混入できるし」

リツコ「といっても、ご飯は炊飯器で炊くからご飯だけでは駄目……。何かもう一工夫が……」

リツコ「そうよ、これだわ!」


『そう言うとリツコは、冷蔵庫を開けて中の物を探り始めた』

『一方、トウジとマリ』

『このどちらが先にゴールテープを切ったかと言えば』


マリ&弐号機「ふふん♪ ま、当然だね」

トウジ&零号機「くううううっ!」ダンダンッ


『マリ、である』

『トウジは悔し涙を流して、地面を思いきり叩く』

『その度に地面が揺れ、地震観測所はこの日17回の微弱な揺れを気象庁に報告した』

『実際問題として、これは始めからトウジに勝ち目のない勝負であった』

『マリは急遽呼ばれたパイロットとは言え、時間逆行者であり』

『通算で十何年ものキャリアを持つベテランパイロットである』

『それに対してトウジは本当についこの間呼ばれたばかりのぺーぺーであり』

『例えるなら、新入社員と熟練社員が営業成績を競ったようなものである』

『加えて、エヴァの性能もプロトタイプの零号機よりも弐号機の方が格段に良く』

『そこにはザクとギャンぐらいの性能の差があった』

『これで勝てるようなら正に奇跡であり』

『トウジはニュータイプを越える素質を持っていた事になる』

『無論、彼はニュータイプではない』

トウジ&零号機「なあ、頼むで! かけっこなんて、こんなん卑怯やがな! 無効にしてくれへんか!」


『男らしくないというのは重々知りつつも、トウジは食い下がる』

『これは、それだけマリにエロい事をしたかったという一つの証明で』

『それが証明されたから何だという話でもある』


トウジ「ワシが負けたんは腕のせいやない! エヴァの性能の差や! 別の種目にしてへんか!!」


『シャアと全く同じ様なセリフを、トウジは股間を膨らませながら言う』

『彼の夢も膨らむばかりだが、それは人類を粛清する以外のものであって、ゲスの極みでもある』


マリ「言い訳ねえ……。まあいいけどさ。じゃあ、勝ち負けは運動会の種目の通算でいいよ。勝ち越した方が何でも言う事をきく。それでいい?」

トウジ「もちろんや! おおきにな!!」メラメラ


『彼は再び燃え上がった』

『第二種目。玉入れ』

『これはミサトがめんどくさがったので、浅間山の火口にN2爆雷を落とす競技に代わり』


ドカーンッ!!!

サンダルフォン「ピギャー!!」


『その過程でサンダルフォンが人知れず殲滅される』

『もちろん、勝者はマリである』


トウジ&零号機「まだやっ! まだ種目はある!!」

『第三種目。綱引き』

『これもミサトがめんどくさがったので、たまたま近くに来ていたという理由でアラエルを代用し』


ブチッ!!

アラエル「ピギャー!!」


『アラエルも殲滅される』

『ちなみに勝者は変わらずマリであり』

『トウジは精神汚染されかけたところを、すんでのところでマリに命を助けられる』


トウジ&零号機「お、おおきにな!」

マリ&弐号機「いいって事さ♪」

トウジ&零号機「///」ドキッ


『ちょっとマリに惚れかけるトウジ』

支援する

>>2まだ?

支援

諦めんなよ>>1

『第四種目は料理大会だが』

『この時点で既にマリの勝ち越しが決定しており』

『トウジはマリの言う事をきかざるをえなくなる』


トウジ「ワシも男や。一度言うた事は守る! 何でも好きな事を言うてくれや!」キリッ


『こんな事を言ってはいるものの』

『やはり彼の頭の中はエロい事で一杯であり』

『例えば、私の足を舐めろだとか、私のふくらはぎを舐めろだとか、私のくるぶしを舐めろだとか、私の膝を舐めろだとか、そんなエロい事を言ってくるんじゃないかと内心期待して』

『ちょっと勃起していた』

『しかし、トウジの夢も虚しく』

『マリは彼に全裸になるよう命令する』


マリ「それで今日一日過ごすんだよ」ニヤリ

トウジ「なんやてっ!!」


『トウジはなぜだかわからないがとても興奮した』

『一方その頃』

『リツコは一仕事終え、晴れ晴れとした顔をしていた』

『彼女が考えた良い案とは、ご飯にあう簡単なおかずを作る事であり』

『その中で彼女がチョイスしたのはそぼろだった』

『これを参加する六人分作り終えたリツコは、シンジとレイの分にだけこっそり毒薬(とリツコが思っている物)を加える』


リツコ「ふふっ、完璧だわ」アハハッ


『リツコは愉しげに笑う』

【料理大会】

『人形の様にぼうっと突っ立っているシンジ』

『それを心配げな表情で見つめるカヲル』

『うつむいたままのアスカ』

『まな板を上に掲げラウンドガールの真似をしているレイ』

『料理ねえ、と興味なさそうな目を向けるマリ』

『全裸のトウジ』


『この六人による、決して熱くない料理大会が始まる』

カーン♪

『開始の鐘』

『それと同時にまず三人が動く』

『動いたのは、アスカ、マリ、トウジである』


『実況役の青葉が日向に解説を求める』


青葉「日向さん、どうして他の三人は動かないんでしょうか?」

日向「これはですね。まずシンジ君は精神汚染によって料理する意思自体がないという事ですね」

青葉「なるほど」

日向「本来なら間違いなく優勝候補なだけに残念です」

青葉「もったいないですね」ウンウン


『意外とノリノリな二人』

紫煙

青葉「では次にカヲル君はどうでしょう?」

日向「あの子の注意は今シンジ君に向けられてますから。とりあえず様子見という事でしょうね。その内動き出すと思いますよ」

青葉「そうですか。それなら期待して待つとしましょう。ちなみに日向さん。カヲル君の料理の実力は?」

日向「未知数です。ただ器用な子なので、結構いけるんじゃないでしょうか」

青葉「わかりました。では次にレイちゃんの事ですが……」

日向「まず、料理をしてくれるかどうかが問題ですね。今度はレンゲを目に当ててウルトラマンの真似をしていますし」

青葉「誰かが止めてくれる事を祈るしかないですね……」

『一方で動き出した三人、アスカ、マリ、トウジはと言えば』

『この中でまともに料理経験のあるのは唯一マリだけであり』

『マリがオムライスを作ろうと、その準備を着々と整えているのに対し』

『アスカは、何を作るかも考えもせず適当に食材探しに移り』

『トウジに至ってはフルチンでそこらをうろついていただけである』

マリ「そんじゃまあ、やりますか」

マリ「~♪」トントントン


『包丁を使って、リズミカルに野菜や肉を切り刻んでいくマリ』

『決して手慣れたという訳ではないが、それでも順調にカットしていく』


『一方、アスカ』


アスカ「……何を作ろうかしら…………」


『冷蔵庫をのぞきこみながら、難しい顔をして考え中である』

『彼女はこの料理大会参加者の中で、もっとも真面目に取り組んでいる唯一の人間であると言ってよい』

『それは、ひょっとしたらシンジが食べてくれるかも、という淡い期待によってのものであり』

『出来る事なら最高の料理を作ろうと考えてはいる』

『気持ちだけなら文句なく優勝候補であるが、あくまでそれは気持ちだけのものである』

アスカ「……ハンバーグ、は作り方がよくわからないし……」

アスカ「シチューもそうよね…………」

アスカ「パスタは茹でれるけど、ソースの作り方を知らないし……」

アスカ「魚なんて焼いた事もないし…………」


『料理は知っているものの、その詳しい作り方など何一つ知らないアスカ』

『彼女がまともに作れる料理など目玉焼きとベーコンエッグぐらいであり、それですらも人に出せる自信などあまりない』

『結局、悩み悩んだ末に彼女が出した結論は……』


アスカ「野菜炒めね……」


『かなり無難なものに落ち着いた』

『一方、トウジ』


トウジ「料理なんかワシ出来へんちゅうの」ボリボリ


『股間ではなく頭をかきながら、食材の山を眺めつつ適当にそこらを歩く』


トウジ「大体料理なんて男のするものやない」


『全裸でうろつくのはまともな人間のする事ではない、とは誰もツッコミを入れなかった』

紫煙

保守

保守

続きはよ

あげ

頑張れ

トウジ「全く……何でワシがこないな事せなあかんねん」ブツブツ


『そう言いつつ、トウジが冷蔵庫から取り出した物は』

『肉』

『豚肉、鶏肉、牛肉をひたすら取り出し、ついでに焼き肉のタレも出す』

『何を作るつもりかは一目瞭然で、果たしてそれを料理と呼ぶかはともかく、トウジはチンコをプルプルさせながら調理台の前へと進む』


アスカ「…………」

アスカ「」ハッ…


『それを見て鼻で笑うアスカ』

『トウジは何だかわからないが、再びとても興奮した』

【開始から10分経過】

青葉「こちら調理台です。解説席の日向さん、聞こえてますか?」

日向「はい。何でしょう? 青葉さん」

青葉「遂にレイ選手が動きましたね。今、食材の山へと向かっているところです」

日向「遂に動きましたか!」

青葉「はい! えーっと……レイ選手は魚コーナーで止まってますね。鯛とか鰹を眺めてます」

日向「これは期待ですね。魚介類はさばかないと駄目なんで、調理する人の腕が問われますから」

青葉「はい。あっ、今、選び終わったみたいですね。持ってきたのは……牡蠣です。意外にも牡蠣です。続いて野菜コーナーに向かいます」

日向「牡蠣ですか……。牡蠣は海のミルクと言われるぐらい栄養豊富ですから、これはシンジ君の体調を考えての選択でしょうか。何にしろ、次の野菜コーナーで何を選ぶかで、作る料理の大体の見当はつきますね」

青葉「あっ、日向さん! レイ選手、白菜やネギを選びました! これは……!」

日向「間違いないですね、牡蠣鍋です!」

青葉「日向さん! 大変です! カヲル選手も動き始めました!」

日向「なんとっ!? ここまで静観していたカヲル選手が遂に!」

青葉「はい! 今、真っ直ぐ肉コーナーへと向かっています!」

日向「これは期待大です! 何を作ってくれるんでしょうか!」

青葉「日向さん!」

日向「はい、何ですか、青葉さん!」

青葉「マリ選手、もうチキンライスを作り終わってます! これから玉子で包むだけです!」

日向「早い!」

青葉「また何かありましたら報告します!」

日向「はい! お願いします!」


アスカ「うっさいわね……アイツら……。何であんなノリノリなのよ……」ボソッ……

『一方で、シンジ』


シンジ「…………」


『彼は調理台の上でぼんやりと佇みながらも、必死に自分の中で戦っていた』

『一人でいいと思っていた自分』

『一人がいいと思っていた自分』

『自分に優しくない世界から逃げて』

『自分に優しくない他人を排除した』

『でも、逃げた先には、誰もいない虚無しかなくて』

『そして、逃げる前の世界ではアスカやカヲルがひたすら自分の心配をしている』

『壊された心』

『だけど、どんな時にだって必ず希望は残っている』

『カヲルの言葉が胸に染み込む様に溶けていく』

『ココロの奥底で、彼は何を見るのか』

【???】


シンジ「」ハッ

シンジ「……ここは?」

シンジ2「ここは僕の世界。僕から見た君の世界で、君から見た僕の世界でもあるんだよ」

シンジ「誰……? 僕……??」

シンジ2「うん。僕は僕だよ。僕から見た僕で、君から見た僕さ。僕という存在は常に二人いて、僕は君を見てる僕で、君は僕から見た君だよ」

シンジ「……言ってる事がわかんないよ」

シンジ2「何か未知なものに対して、君はすぐに考える事を諦めるよね。自分で考えるんじゃなく、他人に任せっきりで。聞いてそれで納得しちゃう。それ以上は考える事もせず」

シンジ「わからない物を聞いてどこが悪いのさ」

シンジ2「悪いなんて一言も言ってないよ。ただ、そういう性格だよねって確認しただけだよ。もしも、悪いと思うのなら、それは君がそう思ってるって事だよ」

シンジ「……別に思ってなんかないよ」

シンジ2「それは嘘だね。自分自身でさえ誤魔化そうとするんだよ、君は」

シンジ「……別にいいじゃないか。誰に迷惑をかける訳でもないんだから」フイッ……

シンジ2「例えば、エヴァ」

シンジ「…………」

シンジ2「何なのかもわからず、何で乗っているのかもわからず、でもずっと乗り続けてるよね」

シンジ「違うよ! 僕は……ただ、父さんに誉めてもらいたくて……!」

シンジ2「それも嘘だね」

シンジ「嘘じゃないよ! 父さんに誉めてもらいたくて! 僕を認めてもらいたくて! だから!」

シンジ2「違うよ。君は一度捨てられてるんだから。その時泣いたよね? 覚えてないの?」

シンジ「やめてよ! 聞きたくないよ! そんな事!」

シンジ2「君の成長はさ。あの時からずっと止まってるんだよ。いつか父さんが迎えに来てくれるって信じて、父さんの言いなりになってるただの人形だよ」

シンジ「違う違う違う!!」

シンジ2「その一方で君は怯えてもいるんだよね。優しくされた後、また冷たくされるかもしれないって。だから、優しくされるのも怖いんだよね。失うのが怖いから」

シンジ「違う! 違うよ!! 僕はそんなんじゃないよ!!」

シンジ2「他人から逃げて、でも他人から優しくされたくて、ずっと身動き出来ないままそこにいる。遂には、自分はその位置がいいとまで思い始めている」

シンジ「違う……! 違うよ……!! 僕は……僕は……そんなんじゃないよ…………!」


『だが』

『言葉とは裏腹に、シンジの声は段々と小さくなっていく』


シンジ2「アスカをさんざん犯しといてよく言うよ。優しくされるのが怖くて、優しくされたくなくて、でも、どうしていいかわからなくなって、あんな行動に出ちゃったんじゃないの?」

シンジ「あ、ぐ……うぅっ…………!!」


『頭を押さえ、思わず涙を溢す』

シンジ2「結局さ、君は逃げてるんだよ。今の状態なら誰にも傷つけられずに済むし、周りが優しくしてくれるからね」

シンジ「もう……やめて…………。お願いだから、もう…………」


『か細い声』

『反論しても意味がない事を悟ったシンジには、もうそれしか言う事がなかった』


シンジ2「そして、アスカを傷つけた事に対しては知らんぷりなんだよね。見たくないものを見ない為に、自分の殻にとじ込もって」

シンジ「助けて…………。誰か僕を……助けてよ…………」

シンジ2「逃げ場がなくなったら、今度は誰かに救いを求めるの? でも、誰が助けてくれるの? アスカもカヲル君も君にずっと無条件で優しくしてくれるなんて保証はないよ?」

シンジ「あっ……ぐっ……や…め……やめて…………」


『嗚咽混じりの声は、ほとんど声になっていなかった』

シンジ2「逃げてばかりで、その上他人を傷つけて……」

シンジ「ぎっ……っ…………」

シンジ2「君だってもうわかってるはずだよね? アスカにどれだけひどい事をしたかって」

シンジ「…………やめ……て…………」

シンジ2「君の自分勝手な行動のせいで、カヲル君を殺してしまったって……」





シンジ「うわあああああああああああああああああああああああ!!!」

【調理場】

『最初にその異変に気づいたのはカヲルだった』

『サイコロステーキを作ろうと極上の牛肉を取りに戻ってみると、シンジが立ったまま静かに涙を流していたのである』


カヲル「シンジ君!?」


『慌てて駆け寄るカヲル』

『しかし、シンジはカヲルの言葉など聞こえなかった様に、微動だにしなかった』


シンジ「…………ご……めん…………ご……めん…………」


『ポツリ、ポツリと泣きながら謝罪の言葉を繰り返すシンジ』

『カヲルも、それを聞いて動けなくなった』

『この時、シンジが何に対して謝罪していたのかをカヲルは知る術がなかった』

『自分の事なのか、はたまたアスカの事なのか、それとも全く別の事なのか』

『もしも、自分の事であれば、カヲルは優しくシンジを抱き締めたに違いなかった』


『もういいよ、シンジ君。もういいんだ……』


『その一言がカヲルには言えず、彼もまたその場に佇む事しか出来なかった…………』

保守

意地でも保守

ほしゅ

保守

あげ

あけおめ

保守

保守

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