市原仁奈「もふーん」 (28)


仁奈「……」
http://i.imgur.com/KKhSFBP.jpg

仁奈「……」モゾ

モゾモゾ

仁奈「……」

仁奈「……」モゾゾゾゾ

P「?」


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もぞもぞ


仁奈「……むー」

仁奈「こたつのやろうもあなどれねーです…」

P「…」

P「なあ仁奈」

仁奈「?その声――Pでごぜーますね!」

P「ごぜーます」

仁奈「いつもお仕事ご苦労様ですよ」

P「そりゃどうも」

仁奈「これからもその調子でがんばってくだせー」

P「恐れ入ります」

仁奈「はい!」

P「はい」

比奈「はいじゃないっス」
http://i.imgur.com/nL0ngNG.jpg

P「はい」


P「っと。おはよう、比奈」

比奈「ス」

比奈「で」

P「ん?」

比奈「いや…たったいま、九歳児に丸め込まれる某プロデューサーの図を目の当たりに気がするんでスけど」

P「気のせいだろ」

比奈「気のせいスか」

仁奈「気のせいでごぜーましょう!」

P「ほら仁奈もこう言ってるし」

比奈「いやいや」

仁奈「だったら仁奈が丸まるですよ!」モフモフ

P「おお。丸い」

比奈「いやいやいや」


仁奈「こまけーことはいいですよー」

比奈「はあ」

仁奈「おはよーごぜーます。比奈おねーさん」

比奈「どもっス。まあこたつの天板に隠れて仁奈ちゃんの姿は見えないでスけど」

P「俺からも見えないけどな」

仁奈「ふっふー。お二人から姿の見えない、いまの仁奈になら、なんでもできそーな気がしてきやがります」

P「くそぉなにを企んでやがる」

仁奈「もふふっふ-」

P「くうっ…」

比奈「楽しそうっスね」

P「仁奈にならってフレーズは楓さんが喜びそうだよな」

比奈「いまここにいないのが惜しまれるっスね」

仁奈「もふふっふー」

比奈(なんかもにょる笑い方っスね)


P「とりあえず比奈も入ったらどうだ。こたつ。暖かいぞ」

比奈「はあ…」

比奈「てか気ぃ早くないっスか。まだ九月でスよ?」

P「あー…今年の夏は海に行ってないなぁ…」

仁奈「仁奈は行ったですよ?」

P「仕事ではな。あの衣裳も個性的でよかったな」

仁奈「えへへ。いろんなところを握り放題ですよ!」

比奈(ちょっと危ない台詞っス)

P「握手会が捗るな」

仁奈「捗ります!」

比奈(それもやっぱりちょっと危ない気が)


P「比奈はどうだ?今年の夏はあそんだか?」

比奈「夏っスか。うーん…」モゾ

比奈「汗だくか泡まみれの二択っスね」

P「ふーん」

比奈(?…あれ…なんか仁奈ちゃんに負けず劣らず、いまの私の発言もちょっとまずい気が)

P「まあ比奈の趣味と仕事だとそうなるか」

仁奈「??汗だくになって泡まみれになる趣味でごぜーますか」

比奈「多大なる語弊がありまス」

P「間違ってはないからいいんじゃないか?」

比奈「間違ってないからこそっス」


P「みかんいる?」

比奈「あ、ども」

比奈「ってみかんまであるんスか。本格的っスね」

P「面白い評価の仕方だな」

比奈「高かったんじゃないでス?」モグモグ

P「奮発した」

比奈「あほっスねぇ」

P「だってこたつにはみかんだろ」

比奈「ばかっスねぇ」

P「なんだとぉ」モグモグ

仁奈「仁奈にもみかんをくだせー」

P「寝ながら物を食べるような子に育てた覚えはないぞ」モグモグ

仁奈「なっ…ぐぬぬですよ……」

P「ふははは」モグモグ

比奈「…」モグモグ


P「お茶飲む?」

比奈「あ、ども」

比奈「……、なんか、今日のプロデューサーは妙に優しいっスね」

P「見直したか?」ハイ

比奈「落ち着かないっス」ドモ

P「なんでだよ」

比奈「なんででしょう」

仁奈「みかんのくれねーPなんてやさしくねーです」

P「ほう。言うじゃないかこひつじが」ガシ ズルズル

仁奈「ああっ。こたつのなかに引きずり込むのはおやめくだせぇ!」アーレー

比奈「……」ズズ…


比奈「はふ」

P「…」

コト

P「なんとなく、今日の比奈は元気がなさそうに見えたからな」

比奈「へ?」

P「気のせいならいいんだが」

比奈「……。ふふ」ニヘ

比奈「あーなるほどぉ。気の弱ってる女の子にちょいっと付け入ろうとしてるわけっスね。さすが変態P」

P「心配してるやってるのになんて失礼な」

仁奈「変態ピーでやがりますね」

P「仁奈は懲りないなあ」ズルズル

仁奈「そこなしぬまの気持ちになるですよ」アァァァァァ

比奈「……」クス


むに


P「?」

比奈「むー…」

比奈「元気…なさそうに見えまス?」

P「…あ、うん」

比奈「?なんスか」

P「…いや」

P「自分で頬をつねってるのって可愛いなーって」

比奈「うるせーっス」ゲシ

P「いって」


比奈「ま…いつも通りっスよ。こんなもんでス」

P「そんなもんか」

比奈「無事夏も終わりそうでスし。まあ元気になる前の中弛みってとこっスかねぇ」

P「…無事夏も終わりそうって、言ってて虚しくなりそうなフレーズだな…」

比奈「否定はしないっス」


比奈「ふふっ。まあ今年はプロデューサーと泡まみれにもなったし…悪くなかったっスけどねぇ」ニヘー

P「誤解を招くような言い方をするな」

仁奈「Pと比奈おねーさんが一緒に泡まみれでごぜーますか」

P「こら」

仁奈「それから一緒に汗まみれでごぜーもがもが」ズルズル

P「危ない発言はこたつに飲まれてもらおう」

比奈「飲まれたのは仁奈ちゃんでスけどね」


だるーん


比奈「なんでまあ…たしかに元気がないというか。やる気がちょっと下火なのは否定できないかも」

P「そっか」

P「まあそういう時期もあるよな」

比奈「あるっスー。へへ、プロデューサー分かってるっスね」

P「まあな。人間、怠けるのも必要だよ」

比奈「仰る通りス」コクコク

仁奈「ニートの気持ちになるですよ?」

P「そこまではしなくていい」

仁奈「杏おねーさんの気持ちになるですよ!」

P「ああうんそのくらいで」

比奈(わりと冗談にならない気がしまス)


比奈「あ」

比奈「でもそれ。それっスよ」

P「ん?」

比奈「普段私が元気なのって、いやまあ普段から言うほど元気じゃないっスけど」

P「卑屈だな」

比奈「えへへ」

P(ここでなぜはにかむのかはよく分からないが)

比奈「普段私が辛うじて、最低限アイドルなりの元気があるのは、仁奈ちゃんと柚が元気だからっスよ。あの二人を見てたら大抵の人は元気になるっス」

P「……」


Pサーン! ペカー


P「たしかに」

比奈「ね」

仁奈「へへっ。照れちまいますよー」


P「じゃあ、今日は柚がここにいないから元気が出ないってことか?」

比奈「いや、そうじゃなくて…その」

比奈「私じゃなくて仁奈ちゃんの方が、ちょっといつもと違うんじゃないかと」

P「仁奈が?」

仁奈「ぎくーん」

P「いまの聞いた?」

比奈「聞きました」

仁奈「に、仁奈は聞いてねーですよ」

P(しどろもどろだ)

比奈(愛くるしいっス)


P「そういえば、比奈が来たころになにか話をごまかされたんだったな」

仁奈「ぎくもふ」

比奈「ほうほう。仁奈ちゃんがなにか隠しごとってわけでスか」

仁奈「…も、もふもふ」

P「なんだそれ」

仁奈「なんとかごまかそーとしてるです」

比奈「なんでできると思ったんでス?」

P「もふもふかー。じゃあ仕方ないな」ウン

仁奈「はい!仕方ねーです!」

P「おう!」

比奈「なんでごまかされてるんでス?」

P「はっ」


P「あぶない、あぶない」

比奈(あぶないのはアンタの頭っス)

P「余計なお世話だ」サッ

比奈「…………。多少見た目が変わっても、プロデューサーは私たちのプロデューサーっス」

P「う、うるさい。上の方を見ながら言うんじゃない」ササッ

仁奈「ちっですよ」

P「ああ…なんか仁奈がぐれてる…」

比奈「はげかけの人がプロデューサーじゃちっちゃい子はぐれたくもなるかもっス」ボソ

P「なんか言った?」サッ

比奈「いえなにも。気にしない方がいいっスよ。ホント冗談っスから」

P「よ、余計なお世話だって言ってるだろ」グス


比奈「話を戻しまスと」

仁奈「うぐぅ」

比奈「……」

比奈「いや、あの、仁奈ちゃん、話し辛いことなら、べつに無理に聞くつもりもないっスから。そんな苦虫を噛み潰したような顔をしなくても」

P「仁奈に対する声のかけ方じゃないぞ、それ」

仁奈「ザムザの気持ちになるですよ…」

P「そっち!?」


仁奈「あう……い、いえ。どうせかくし通せることではなかったので…この辺りがしおどきってやつです」

P(よく分からんが台詞回しが格好いいな)

仁奈「じ、実はですね」モゾモゾ…

仁奈「…この通りです」

P「?」

比奈「?」

比奈「……?ん…あー……こたつに入ってる間は、きぐるみを着てなかったんスね」

仁奈「おっしゃる通りです」コクン

P「そういえば今日はモフモフしてなかったか」

仁奈「は、はいです」

比奈(……そうだったっけ)ハテ


仁奈「こたつに入るとむれちまいますので。キグルミは脱いでたんでごぜーます」

P「まあそうだよな」

比奈「そうっスね」

仁奈「はい。それでしばらくこたつでもぞもぞしてたらですね。こたつの気持ちになっちまったですよ」

P「は?」

比奈「へ?」

仁奈「そ、それでその、…なんだかやる気がなくなっちまって、ぼーっとしちゃってました……お、お恥ずかしながら」

P「……へー」

比奈「…へー」


仁奈「こたつはおそろしーです…」ブツブツ

P(心配するようなことではなかったな)

比奈(ま、まあひと安心といえばそうでスし。いいんじゃないでス?)

P(まあな)

P「…うん」

P「まあ、たまにはいいんじゃないか」

仁奈「え?」モフモフ

P(もうきぐるみに戻ってやがる…)

比奈(きぐるみの早着替えには定評のある仁奈ちゃんっスからねぇ)

P(また披露する場がなさそうな)

比奈(かくし芸っスね。きぐるみだけに)

P(お、おう)

比奈「…」ゲシッ

P「いってぇ!」

仁奈「??」


P「…」イテテ…

P「さ、さっきもそんな話になったような気がするけどさ。たまにはのんびーりすればいいじゃないか。仁奈だって、ずっと元気いっぱいなのは疲れるだろ?」

仁奈「……」モフ…

仁奈「まあ…その…」

仁奈「そ、そんなことはねーですが…Pがそう言うなら……そうするのもやぶさかではねーですよ」

P(仁奈はどうやって言葉を勉強してるんだろうか)

比奈「いつものことのような気もしまスけどね。のんびり」

P「まあな」

仁奈「です」


仁奈「……えへへ」

仁奈「じゃあ今日くらいは、思う存分こたつの気持ちになるですよ!」

P「こたつの気持ちってどんなかな」

比奈「とりあえず暑そうっスね」

仁奈「あったかい感じですよ!」

P「あったかい感じか」

仁奈「はい!」

比奈「……なるほど」


・・・・・


柚「ただいまー」ガチャ
http://i.imgur.com/7JS243a.jpg

柚「?おっ。またみんなでこたつのんびりしてるのかな…?」



P「あー…だれかみかんとって」

比奈「自分でどぞー」

仁奈「むしろ仁奈のもとりやがれです」モフーン



柚「仁奈チャンがぐれたっ」

楓「ぐれた仁奈ちゃんはグレーだ、なーんて……ふふふっ」
http://i.imgur.com/tkC41PZ.jpg

柚「か、楓サン。冗談言ってる場合じゃないよぉ」ニナチャンガー

仁奈「?あ、柚おねーさん、楓おねーさん。おかえりなせー」

柚「た、ただいまっ」ニ、ニパ

楓「ただいま」

仁奈「立っているならちょうどいーです。みかんをとりやがれです」

柚「今日の仁奈チャンはなんだか怖いよ!」ウエーン

おしまい。お付き合い感謝

おつおつ
比奈と汗まみれになって泡まみれになって汗まみれになりたい

なごんだでごぜーます

タイクンザムザの気持ちになるのですよ…

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