和「霧がでてきましたね」 (41)
12月
━清澄高校麻雀部部室
まこ「よっしゃ!今日はこれで終わろうかの」
優希「ふぃ〜…今日もつかれたじぇ」
「犬!タコス食いにいくじょ!」
京太郎「犬じゃねえっ!ったく、しょうがねぇな、じゃあ先輩、みんな、お疲れさまです」
咲「おつかれー」
和「おつかれさまです。」
優希「みんな!おつかれさまだじぇ〜」バタン、トタトタ…
和「咲さん、私たちも帰りましょう」
咲「うん!和ちゃん。染谷部長、お先に失礼します」
まこ「おう、気ぃつけて帰りんしゃい」
パタン
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━帰り道
咲「うわ〜、今日も寒いね、和ちゃん」
和「ええ、今日の夜にはまた雪が積もるそうですよ」
咲「そっかー、この調子でいくと今年もホワイトクリスマスかなー」ニコニコ
和(クリスマス…)ドキッ
咲「あ、この前お姉ちゃんと電話してたらね」
「今年はイブからこっちに帰ってくるってはりきっちゃって」
和「え…そ、そうですか良かったですね」(イブ…私の計画が…)ショボン
咲「うん、でもね、今年は白糸台もイブまで学校らしくて」
「お母さんにクリスマスまでは絶対帰っちゃダメって怒られてたよ」クスクス
和「そ、そうですか!」パァ
咲「しょんぼりしたお姉ちゃんかわいかったなー」ニコニコ
和「そ、それは残念。もしかしてイブの予定が空いてしまいましたか?咲さん」
咲「うん、ポッカリ空いちゃったよー。このままだと今年もお父さんとケーキ食べるだけかな」
「だ、誰かが誘ってくれたら、別なんだけど」チラッ
和(これは…!)
「さ、咲さん!」
咲「…な、なにかな?」
和「あ、あの…ええと、ですね」ドキドキ
咲「う、うん」ドキドキ
和「よかったら…」ドキドキ
咲「よ、よかったら…?///」ドキドキ
和「う…あの、お、おねえさんと仲直りできてホントによかったら(な)〜!…なんて」
咲「」
和「思いまして」ハハ
咲「…ありがと」ハァ‥
テクテク
咲「…」
和(うう…気まずいです。私はどうしてこうなのでしょう。せっかく咲さんが誘いやすい雰囲気を出してくれたのに、これでは愛想を尽かされます。よし、言います。言ってみせます。人間の価値は覚悟を持って決断できるかで決まるのです。この原村和、決して臆病者などではありません。『イブは私といてください、そしてその時伝えたいことがあるんです』この言葉で必ずや幸せをこの手に…)
咲「…どかちゃん!和ちゃん!」
和「は、はひ!なんでしょう」
咲「もう、大丈夫?私こっちだからまた明日ねって言ったんだよ」
和「あ…すみません。また明日」
咲「うん、気をつけて帰ってね。バイバイ」フリフリ
和「はい…」フリフリ‥
「……はぁ」
テクテク
和(全国大会で優勝して、咲さんと離れずに済んだのはとても嬉しいのですが)
(お姉さんと仲直りした咲さんは前より明るく、一層魅力的になりました。このままでは)
(いつか…誰かに咲さんを奪われるなんてこと、も、)ゾクッ
「そんなオカルトありえません!」ダンッ
(ありえては、いけないのです……。)
(もしサンタさんがいらっしゃるなら少しの勇気と行動力をプレゼントしてください)
(なんて…クリスマスにもらっても遅すぎますか。)「…ん?」
「霧が出てきましたね、珍しい。とにかく急いで帰りましょう」
スタスタ
和(ん…なんでしょう、この霧。どんどん濃くなって…)
テクテク
和(まえが…)
テク…
和(見えない)ストップ
「ここまで何も見えないと、下手に動くのも危ないですね」
「どこかで休憩していきましょうか……あれ?」
ポウ…
和「不思議な光…あの光色は車などではないですね。何かのお店の照明でしょうか」
「道の真ん中にいるよりは安全ですね。霧が晴れるまで軒下をお借りしましょう」
トテトテ
和「あれ?お店ではない。というかこの光、何もないところに浮いているような」ジー
(なんでしょうこれ。触っても大丈夫でしょうか?でもこれ…まさか霊的なものだったり…)
(いえ、そんなオカルトありえません、また臆病になってくだらないことを…私は原村和です!)
和「オカルトなんて私が許しません!」バッ
ポゥポゥ…ビカッ!—————————
「…………ぅ」パチッ
和「私は…気絶して?ここは、咲さんと別れたあたりですね。霧の中で迷って戻ってきてしまったのでしょうか。いつの間にか霧も綺麗に晴れていますし」
(結局あの光はなんだったのでしょう。私としたことが『臆病』という言葉に触発されて不用意な行動を…今日は帰ったら反省会ですね)
??「ひいっ」
和「えっ」クルッ
??「あ、こ、こんにちは!原村さん。き、奇遇だね」ワタワタ
和「あ、咲さん!」
咲「う、うん」オドオド
和「あの、か、帰ったばかりなのにどこかにお出かけですか?もう晴れましたが霧も出ますし、あまり出歩かないほうが」(こ、これは名誉挽回のチャンスです!さりげなくイブのお誘いを…)トテトテ
咲「え、ちょ、ふ、ふりーず!!」
和「」ピタッ
和「え…っと、咲さん?刑事ごっこですか?それとも私の聞き間違いで、プリーズとおっしゃったのですか?ハロウィンには少し遅いようですが」
咲「ち、ちがうよ!freeze(止まれ)であってるよ!も、もう!ちょっと本屋に行くだけでも現われて、ストーカーは犯罪なんだからね!」オドオド
和「す、スト?」キョトン
咲「それに私がさっき帰ったばかりってなんで知ってるの?!人のうちにカメラを仕掛けるのは止めてって言ったでしょ!あ、もちろん盗聴器もだめだからね!」ビクビク
和「あの、咲さん?おっしゃっている意味が…その、本当に大丈夫ですか」テクテク
咲「ひぃぃ、寄らないでって言ってるでしょ、だめ、わたし婚姻届にサインなんてしないから!iPSサーキットも絶対つかわせないから!」
和「いえ、そんなことはさせませんから落ち着いて。」(iPSサーキットってなんですか?!)テクテク
咲「ひぃぃやぁあ!!わ、わかったから、盗聴器!居間に1個だけなら盗聴器つけていいから!ね、赤ちゃんとかは本当にまだ無理なの!お願いしますお願いします!!」グスグス
和「咲さん?」
咲「お願いしますお願いします…」ボロボロ
和「咲さん!」
咲「」ビクン
和「どうしたのですか、本当に。らしくないですよ?そこまで拒否される覚えはありませんが、咲さんが落ち着かないというなら無理に近づきはしません。ただ体調が悪いのであれば今日は無理をせず家で休んでください。」
咲「え…?いいの?」
和「?はい、年末に風邪をこじらせたら大変です。」
咲「で、でも私まだなにもされてないよ?」
和「私は咲さんの嫌がることはしませんよ」
咲「ほ、本当?」
和「ええ、絶対に。死んでもです。」
咲「…もしかして、治ったの?」
和「?いえ、わたしは今年ずっと健康でしたが、ありがたいことに」
咲「は」
和「は?」
咲「はらむらさーーーーーーーん!!!」ダダッ ギュー!
和「ふええーーーー!!?さっさささっさ、咲さん?!」アタフタ
咲「私ね、ずっと信じてたよ?原村さんはきっと戻ってくれるって!今はちょっと調子が悪いだけで、いつか優しい原村さんが戻ってきてくれるって!」ギュギュー
和「あうあう///」プシュー
咲「よかったよぅ。本当に、本当によかったよう」グスン ヒック
和(正直なにがおこっているのかサッパリですが…)
なでっ
咲「!」
和「悲しい思いをさせたようですみませんでした。もう大丈夫ですからね」ナデナデ
咲「原村さん…///」ギュー
和(もう一生クリスマスプレゼントなくてもいい///)
??「宮永さん?」
咲和「えっ?」クルッ
??「宮永さん、そのひとだれですか?」
咲「え、あれ、なんで?」
和(こんなことって)
咲「原村さんが、2人?!」
和?「そんなオカルトありえません」
咲(服が私服なだけで瓜二つだよ…)
和?(以下、原村)「宮永さん、事実を冷静に分析すればオカルトなんかに迷わされることはありませんよ」
「そして今この瞬間の事実とは、宮永さんとの楽しいデートの待ち合わせ場所に来てみたら…私の宮永さんに汚らわしい淫乱なピンクの肉塊が絡みついていた…それだけです。」
「……排除します!!」ダッ
ブン!
和「きゃっ!」
原村「ふん、上手く避けましたか。次はそうはいきませんよ。咲さんを惑わす淫魔め、懺悔しながらお逝きなさい!」ダダッ
咲「待って!だめーっ!」バッ
原村「!」
「宮永さん!?」ピタッ
「なぜ邪魔をするのですか?どいてください」
咲「な、何がなんだかわからないけど、」
「私にはどっちも原村さんに見えるから…お願いだから落ち着いて、ね?」
原村「無理です。どいてください。その暴漢を片づけてからゆっくり愛を育みましょう」ジリッ
咲「ひっ」ビクッ
和(咲さん!…この状況はわけがわかりません。でも、)
「……咲さん、大丈夫ですよ。危ないですからどいてください」
咲「で、でもっ」
和「大丈夫です、そんな気色の悪い淫乱ピンクに私が負ける道理はありませんから」ニコッ
原村「あ?」プツン
「なぶり殺しです!!」グオン
和「フッ」パシッ
原村「え?」
和「えい!」グルン
ダーーン!!!!
原村「」グテーーン
咲「は、原村さん!」トテテ
和「大丈夫ですよ、気絶しているだけです」
咲「今のって」
和「合気道に近い護身術です。うまく逆上してくれたので技がかけやすくて助かりました。あの、咲さん…私自身かなり混乱しているのですが、色々と話さないといけないことは確かなので、この、えっと、私のようなひとを私のうちに運ぶのを手伝ってもらえますか?」
咲「えと…うん、わかったよ。行こう」
━原村邸・和の部屋
「よいしょ」
ドサッ
咲「ふ〜、重かった。…あ」ワタワタ
和「いえ、私もそう思いましたし…悪気がないのはわかっていますよ」
咲「うぅ、女の子としてはホントに軽いんだよ?あの、ごめんね」
和「大丈夫です、ありがとうございます」ニコッ
「お飲み物をお持ちしますね」トテトテ
パタン
咲(やっぱり最初のころの原村さんみたいでドキドキするな///)
(でも私が知っている原村さんに近いのは、今ベッドに寝てるほう)
(一体どうなっているの?双子にしてもあまりに似すぎだよね。性格以外は同じ人みたい)
(原村さんってまともだとあんなに魅力的なんだ…///)
ガチャ
和「お待たせしました。ココアでいいですか?」
咲「うん、ありがとう」
和「では私は少し作業を。お菓子もありますので咲さんは気にせず召し上がっていてくださいね」
咲「?うん、ありがとう」
≪咲さん召し上がり中≫
和「では、まずは私から少し話したいことがあります。この人にも聞いてほしいので起こしますね」
咲「う、うん」(振り向かないように言われていたけど、寝ていた原村さんがタオルで手足を縛られてるよ…口にもガムテープ、なんか可哀想。)
和「起きなさい」ペシッ
原村「ん………。う!…んんん!ううヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!!。」ガタガタガタンガタ
咲「わわっ」
和「暴れるならまた痛い目にあわせますよ?」
原村「うううう!ぐうううヴヴヴヴヴ!!」ガタンガタン
和「…ふぅ」
「言いなおします。暴れるなら咲さんにキ、キスします」
原村「」ピタッ
「(睨み)」
咲「…///」
和「よろしい、では…」
≪不思議な霧と光の話し中≫
咲「おかしいな、今日は霧なんか少しもでてなかったと思うけど」
和「咲さんが家の中にいるときに出たのでしょうか?」
咲「うーん、でも原村さんが言った通り、私家に帰ってすぐにまた出てきたから、多分家にいたのって5分くらいだよ」
和「ふんふむ…確かにあの霧には私も普通じゃないものを感じました。そして咲さんの私に対する認識とこの私もどきの性格の一致…まるで私がパラレルワールドに迷い込んだような…」
咲「パラレルワールドって小説でよくある?」
和「はい、もちろんそんなオカルトはありえません。私はこれが明晰夢のようなもので、その夢の設定でこのような世界に迷い込んだのではないかと考えています。」
咲「夢…ここは原村さんの夢の世界で、私も夢の住人ってことかな」
和「あ、いや、その、便宜上ですね、精神衛生を考えてそう捉えようかと」ワタワタ
咲「クスッ…大丈夫だよ。小説みたいでちょっと素敵だなって、少しわくわくしちゃった。そっか、私が夢の住人かー」ニコニコ
和「失礼な仮説で申し訳ありません。でも…」クスッ
咲「?」
和「咲さんは私が知っている咲さんと変わりありませんね。文学を愛していて、ちょっと夢を見ているような」
咲「もう、馬鹿にしてるー?」
和「いえ、褒めているのです」
キャッキャッ
原村「」ギリギリギリギリギリ
「ヴゥ!」ガタン
和(!…また。こうなったら咲さんにキス…なんて私にはまだできません。い、いえ、いつかきっと)ハァ
「咲さん、あなたと違ってこっちの原村和はわたしの自己認識像と少しかけ離れているように感じるのですが」
咲「うん、全然ちがうね」キッパリ
和「出会ったときの咲さんの様子から、かなりご迷惑をおかけしているようにみえたのですが、」
咲「」プルプルプルプル
和「…こちらの私の普段の様子、話していただけますか」
咲「…う、うん」
≪咲さん説明中(淫ピと呼ばれる原村さんの風潮を煮詰めたような話)≫
和「」
原村「(誇らしげ)」
咲「えぐっ…えぐっ…」
和「な…な…」
「なにやってんですかあなたはーー!!」バリリッ
原村「あぐっ、痛いですね。愛情表現に決まっています」シレッ
和「咲さんの飲み物に薬を仕込むのが!?」
原村「愛情表現です」
和「咲さんの部屋にカメラを仕掛けたりトイレの音を録音するのが?!」
原村「恋人の義務ですね」
和「妙な器具(iPSサーキット)で妊娠をせまるのは!?」
原村「2人の夢です!もちろん宮永さんも望んでいます」
咲「」ブンブンブンブンブン
和「……めません」
原村「はい?」
和「認めません!パラレルだろうとなんだろうとあなたは私じゃありません!」
原村「当然です、宮永さんとお付き合いしているのは私一人で十分です」
和「なっ!!?咲さん、こんなのと交際しているのですか!?」
咲「し、してないよぅ」
原村「宮永さん?」
咲「ひっ…し、してないもん!いつも迷惑してるんだからっ」
原村「そんなオカルトありえ 和「黙りなさい」ギロリ
和(なんでこのひとは堂々としていられるのでしょう…その図太さは少し羨ましいです)
「咲さん」
咲「は、はい」
和「申し訳ありませんでした」ドゲザッ
咲「えっ、えっ、そんな、和さんが悪いんじゃないよー!」
原村「そうです誰も悪くありません」
和「」ブチン
和「いえいえ、先ほどは認めないといいましたが、もう一人の私がご迷惑をお掛けしたなら私も責任を感じます。せめて償いをさせてください」スクッ ガシッ
咲「和さん!?」
原村「っ…何ですか、放してください。わたしに触れていいのは宮永さんだけです」
和「黙りなさい、私はもう限界を超えています。あなたが宮永さんにしてきたことは立派な犯罪です。時間は戻せませんが、せめて私の手で償わせます」グイグイ
咲「和さん、原村さんをどうするの!あの、私は大丈夫だから落ち着いて、ね?」
和「咲さんはもうお帰りください。送っていけず申し訳ありませんが、代わりにこの人が咲さんの手を煩わせるようなことは二度とありませんから」グイッズルズル
「この人のことは綺麗に忘れて生きていってください」ズルズル
原村「っ…ひっ」
咲(和さん…本気だ)ゾクッ
これはいい設定だ
「だ、だめ、やめてっっ!!」ダキッ
和・原村「「!!」」
咲「だめだよ、和さん!わたし、和さんにも原村にも悲しいことして欲しくない!」
和「ですが、その人はあなたにご迷惑を…」
咲「それでも大切な人だから…!変態行為は嫌だけど、私がつらい時にずっと支えてくれて、一緒に泣いて、一緒にわらってくれたから!一緒に歩いてくれた人だから」ヒグッ
原村「…」
咲「だからお願い…原村さんを傷つけないで」ポロポロ
和(………これじゃあ私が悪者みたいじゃないですか。それにしても……この世界の咲さんにとって、原村和は彼女だけということですか。…少し妬けますね。)フゥ‥
「わかりました…彼女に危害は加えません。咲さん、もう遅いので送りますよ。先に外に出ていてください」
咲「で、でも」
和「咲さんの嫌がることはしませんよ。絶対に、死んでも、です」ニコッ
咲「……うん、わかった、待ってるね。」パタン トテトテ
和「…」
原村「…」
和「…あなた命拾いしましたね。咲さんはあなたの命の恩人です。感謝しなさい」
原村「そんなの、あなたに言われるまでもないですよ」ムスーッ
和「私のおかげで咲さんの気持ちも聞けたのです、私にも感謝してくださいね」
原村「余計なお世話です」ツンッ
和「そうですか?感動して目がウルウルしているようですが」
原村「そんなオカルトありえません」プイッ
和「あなたは…」クスッ
原村「?」
和「やっぱり私なのですね。口癖もですが…咲さんが大好きで、でも勇気がでないとこは残念ながらそっくりです。大方無理矢理行動しようとしたら歪なものになってしまって…止めどころもわからなくなったのでしょう」
原村「…うるさいです」
和「…図星ですか。でも咲さんが怯えてしまっては」
原村「うるさいですよ!!わかっています…わたしだって!…でも正解がわからないんです。途中でやめてしまったら、もうただの気持ち悪かったやつです!バカみたいなことでも宮永さんは反応してくれます。私をみてくれます。もう、ここまできたら、せめてその視線までは失いたくないって…突っ走るしかないって、私」
和「でも、ちゃんとあなたを想ってくれていましたよ」
原村「…でも」
和「まぁ正直ここから恋愛に持っていくのは骨が折れるでしょうし、私は応援しません。咲さんにも迷惑がかかりますし、こんな変態に先を越されるのはプライドが許しませんからね」
原村「ぐぐぐ」
和「でも、咲さんはどれだけ傷ついても、人生を懸けて挑戦する価値のある女性だと思いますよ。あなたなんぞを身を呈し、涙を流してかばう人なのですから」
原村「…」
和「まぁ、私も夢の中とはいえ咲さんが他の誰かとくっつくところなんて見たくありませんからね、せいぜい頑張ってください。とりあえず変態行為はもうやめなさい」
「その上で、まずは私のように和ちゃん、と名前で呼んでもらえるような仲を目指せばいいのではないでしょうか」シレッ
原村「な!」ガタン
和「では咲さんを送ってきます。今日はお留守番して頭を冷やしてくださいね、では」パタン パタパタ
原村「…………[ピーーー]」
(咲「和ちゃん」)
(いい…///)ニヨニヨ
━帰り道
咲「…それでね、原村さんは変態みたいなことはするけど、私のなかの一線みたいなのは守ってくれるの」テクテク
和「そう、なんですか?」テクテク
咲「うん、お薬も私の目の前でしか飲み物にいれないし、カメラや盗聴器をつけたときはメールで場所つきで教えてくるし、サーキットや婚姻届を持って追いかけてくるときだって、わざと追いつかないように速度を調整してくれるの」
和(なんというヘタレ…想像以上に悲しい変態です)
咲「自惚れかもしれないけど、多分私の気を惹きたいだけなのかなって」
和(しかも見透かされています)
咲「和さんの世界の私は、和さんとどういう関係なの?」
和「ど、どうとは?」
咲「私ね、最初に和さんと会った時、ドキドキしちゃった。でも、そうだよね、変態行為に隠れているけど、原村さんってすごくかわいいし、頭もスタイルもいいし、実は優しいしね」
「だからそっちの世界の私が少し羨ましいなって」
和「私は……私は、この世界の私と本質的には変わりません」
咲「えぇ!?和さんも変態行為するの!?」
和「しませんよ!しませんが…臆病で、咲さんが伸ばしてくれる手すらもなかなかつかめません」シュン
咲(付き合ってはないんだ…そっちの私も苦労してるのかな)アハハ‥
「和さんは、そっちの私のことが好きなの?」
和「な!や!………はい」
咲「そっか」(なんかちょっとジェラシー)テクテク
「…あれ?」
和「霧が…でてきましたね。」
咲「これって」
和「わかりません、とにかく急ぎましょう」スタスタ
咲「うん」
━宮永宅
和「なんとかたどり着きましたがもう周りが見えませんね。」
咲「うん、危ないからうちに寄って行って」
和「すみません、お邪魔することにします…」
「…!」
ポウ‥
咲「あ!あの光」
和「私が見た不思議な光ですね。もしかしたらこの夢から抜けられるかも」
咲「…行っちゃうの?」
和「…はい、お別れです」
テクテクテクテク
ポウ‥
咲「それじゃあ…」
和「はい、ここで。……咲さん」
咲「ん?」
和「元いた場所に戻って、私がこの想いを伝えたら、咲さんは受け入れてくれるしょうか?」
咲「……………わからないよ」
和「」ガーーン
咲「私は和さんの知っている宮永咲じゃないし、その答えは勇気を出した人だけに聞く権利があるんじゃないかな。」
和「あ…」
咲「…でもお世話になったから、ヒントだけ、ね」
「私ね、原村さんの暴走には困っているけど、一番最初に暴走した時は、困ったより嬉しいのほうが大きかったよ」
和「!」
咲「まあいきなり『私の子どもを産んでください』にはひいたけどね」フフ
和「」
咲「頑張って、和さん。あんまりモタモタしてると尻に敷いちゃうよ?こっちでも、そっちでもね。」
和「!ま、まかせてください!この原村和、もう決して二の足を踏んだりはしません!」
咲「ん、じゃあまたね!」
和「またいつか!」
ポゥポゥ…ビカッ!—————————
咲「行っちゃったか…霧が晴れていく」
「不思議だな、本当に夢みたい。やっぱりオカルトってあるじゃん」ニコッ
「そういえば原村さんのこと縛りっぱなしだよ、怖いけど解放しに行くかな」
「あれはもう、私が尻に敷かないと矯正不可能だよね。」
「よーし、がんばるぞ!」
「咲さんかわいいしか言えなくしてやるー」オー
「………………ん。」
和「ここは…戻ってきたのでしょうか、私の家の近くのようですが」
(なんとも、不思議な夢でした。そして夢でも咲さんは素敵でした)テヘヘ///
(そして、咲さんに勇気を出すと約束した以上、破るわけにはいかいませんね)
「それに、あんな変態に勇気で後れをとるわけにもいきませんし」フフッ
スー、ハー スー、ハー
「よし!」
Prrrr Prrrrr
『はい、和ちゃん?どうしたの?』
「あ、さ、咲さん、今度のクリスマスイブなんですが…」
おしまい.
>>26で禁止用語使ってた。
すみませんでした
おつです!
面白かったです
次に書くときはメール欄にsagaって入れたら大丈夫だよ
てっきりミスト・レックスかと
乙 のどちゃんは変態でもかわいい はっきりわかんだね
乙
すばらです!乙乙
乙
静岡かと思った
乙
乙、ショッピングモールでエラいことになるアレかと
すばら
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