サシャ「とらんき・・・らいざぁ?」 (127)
【開幕】
アルミン「ふぅ・・・今日も相変わらずの訓練だね」
エレン「もうこの訓練にも慣れちまったな」
アルミン「飽きるほど繰り返したよね・・・」
ミカサ「そう。毎日がこんな感じ。でも、それももうすぐ終わる」
エレン「そうだな」
アルミン「今日が訓練兵団最後の訓練日」
ミカサ「明日は訓練兵団の解散式・・・」
※進撃の巨人と某アニメのクロスSSです
※ネタバレになるのでクロス相手は今はいえません。
※この時点でどのアニメか分かった人には、戦果としてライナーがソコにアレをぶっ刺してくれるそうです。
※それではよろしければ最後までお付合い下さい。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378436293
エレン「確か明日は送別会もあるんだよな?」
アルミン「うん。食事もだいぶ奮発するらしいよ」
アルミン「それで手が足りなくなるから何人か朝食の手伝いに狩り出されるらしいんだ」
エレン「へぇー、誰だろうな?」
ミカサ「・・・誰でもいい。でも、サシャだけはありえない」
エレン/アルミン「まぁないだろうな/ないだろうね」
コニー「残念だったな選ばれなくて」
サシャ「うう・・・・・・なんででしょう?こう見えても料理は慣れてるんですが・・・」
ユミル「そりゃ、決まってるだろ」
クリスタ「・・・サシャは作ったはしからすぐに食べちゃいそうだもんね」
ユミル「『そう』じゃなくて食べるんだよ、この芋女は・・・・・・」
サシャ「あ、味見がちょっとくらい度を越したっていいじゃないですか・・・」
コニー「ん?なんだ味見なのか。ならいいんじゃないか?」
ユミル「お前は黙って想像力働かせてろバカ」
アニ「で、あたし達が当番なのか」
ベルトルト「そんなに難しくない料理だといいね」
ライナー「まぁ、苦手じゃないが、手間のかかるのはちょっとな・・・それよりも」
アニ・ベルトルト「「ああ」」
アニ「明日の送別会中に抜け出して打ち合わせだろ」
ライナー「そうだ。基本的には段取りは同じだがな」
ベルトルト「ただ、警備のレベルは3年前よりあがってる」
アニ「明日の昼の買出し当番も兼任だし、下調べはできそうだね・・・・・・」
ライナー「ああ。俺達は戦士だ。全ては抜かりなく行われるだろう」
アニ「・・・」
ベルトルト(・・・だといいんだけどね)
ユミル「ふぅ、午前の訓練はちょろかったな」
クリスタ「ユミルは凄いね。10位以内間違いなしだね」
ユミル「そ、そんな事はない。クリスタの方があたしより成績はいいよ」
サシャ「案外そうかも知れませんね。クリスタは馬術トップですし」
クリスタ「そんな・・・あたしなんかよりも三人の方が絶対に成績はいいよ」
ユミル「いや、だけどこのバカは座学が足引っ張ってるからなぁ」
サシャ「ははは・・・でもコニーも今日はいつもより凄かったです」
サシャ「まるでどこに巨人の模型があるのか分かってるみたいな・・・」
ユミル「なんとかとバカは紙一重ってやつだな」
サシャ「それって、普通はバカの方を伏せませんか?」
サシャ「って、あれ?コニー、どうしました?顔色悪いですけど」
コニー「・・・あ、ああ。ちょっとな」
>>4
×3年前 → ○5年前
エレン「おう、アルミンお帰り」モグモグ
エレン「コニーは大丈夫そうか?」モグモグ
ミカサ「エレン、口に食事を入れたまま喋らない」
エレン「わかってるよ。いつまでも子ども扱いするな」モグモグ
アルミン「はは・・・うん、ちょっと疲れてるみたいで、精神が不安定らしいんだ」
エレン「そうなのか。最近頑張ってたみたいだしな。気を張りすぎたのかもな」
アルミン「そうかもね。とりあえず僕が衛生・保健担当って事もあって連れてったけど」
アルミン「確かに少し目がうつろだったね」
アルミン「医務室では、精神安定剤を持たせて、午後の訓練は休んで散歩にでも出るように伝えてたよ」
サシャ「あ、じゃあコニーは午後の訓練は欠席ですか」
クリスタ「そうなんだ・・・せっかく頑張ってたのに・・・可愛そう」
アルミン(・・・・・・クリスタはやさしいなぁ)
アルミン「まぁ、午後の訓練もいつもと同じだし」
アルミン「コニーの成績には響かないんじゃないかな」
ユミル「それは良くねぇな。クリスタが10位以内に入るチャンスなのに」
クリスタ「もう!そう言う事言わないの。コニーの心配しようよ」プンプン
ユミル(結婚しよ・・・)
サシャ「って事はコニーの昼ごはんは私が貰ってもいいって事ですね!」ヤッタ!
【午後の訓練】
ライナー「で、どうしてお前がサシャを抱えてるんだ?」
ベルトルト「いや、なんか対人格闘の訓練中にお腹が痛いって言い出して」
サシャ「うー、うー」
ライナー「まぁ、どうせ昼飯を食べ過ぎたんだろ」
サシャ「酷い言い方ですね。コニーの分と、あと・・・」
サシャ「ハッ!」
ライナー「?」
サシャ(またこっそり備蓄庫に潜り込んだとはいえませんね・・・)
サシャ「アイタタタ・・・」
ライナー「・・・さっさとベルトルトに連れて行ってもらえ」
医務官「食べすぎだね」
ベルトルト「やっぱり」
サシャ「やっぱりってなんですか・・・」アイタタ
医務官「はい、この胃薬を飲んで午後は安静にしてるんだよ」
ベルトルト「それにしても、サシャが食べすぎで腹痛なんて珍しいね」
サシャ「一生の不覚です・・・この胃薬、たくさん入ってますけど美味しいんですかね?」
医務官「・・・ラベルの注意書きをよ~く読んで適量を摂取するようにね」
医務官「さ、行った行った」
サシャ「あー、よかったです。これで夕飯も美味しく食べられます」
ベルトルト「腹痛なのにまだ食べるんだ・・・」
ベルトルト(あれ?でもあの薬は・・・?)
ベルトルト「・・・サシャ、ちょっとごめんね?」サッ
サシャ「あ、私のおやつ勝手に取らないでくださいよ」
ベルトルト「うん。やっぱりだ」
ベルトルト「これは胃薬じゃないよ。ラベルに書いてある。抗不安薬だ」
サシャ「え・・・この薬ですか?・・・えっと、なんて書いてあるんですかね?」
サシャ「とらんき・・・らいざぁ?」
医務官「あれ?」
医務官「いやぁ、ごめんごめん。胃薬は午前中に来た子に渡しちゃったのかな」
サシャ「ええ!じゃあ私のおやつはお預けですか?」
医務官「君ねぇ・・・」
ベルトルト「予備の壜はないんですか?」
医務官「うん。残念だけど。困ったなぁ・・・彼を見つけないと」
アルミン「すみませーん。ちょっとコニーがまだ体調悪いみたいで・・・」カラン
医務官「おお、狙ったかのようなぁいいタイミング」
コニー「・・・・・・・・・」ゲッソリ
医務官「うわどうしたの君?午前中より悪化してる」
アルミン「それが・・・ちょっと気になることがあるみたいで」
サシャ「大丈夫ですか?胃薬が美味しくなかったんですか?」
ベルトルト「・・・サシャ、君は胃薬もらって帰ろうね」
アルミン「ああ、胃薬ならここに」ハイ
サシャ「ありがとうございます!では失礼します!」
サシャ「コニー、早く良くなってくださいね」
ベルトルト「僕も失礼します」
アルミン「じゃあ僕もここで」
医務官「いや、君にも説明して貰う事があるかも知れないから、付き添いをお願いしてもいいかい?」
コニー「・・・・・・・・・」キョロキョロ
アルミン「・・・・・・そうですね。分かりました」
医務官「・・・・・・つまり」
アルミン「僕らがずっと同じ日を繰り返してるっていいたいの?」
コニー「・・・・・・・・・」コクコク
コニー「俺さ・・・・・・少し遠くの森の中に・・・・・・花畑を持ってるんだ」
コニー「毎週・・・・・・一度っきりの休日に早馬でその花畑に行って・・・・・・」
コニー「手入れをしてると・・・・・・なんか落ち着くんだよ。だから今日も行ったんだ」
コニー「最後に手入れしたのが3日前なんだけど・・・」
コニー「今日行ってみたら雑草が生い茂ってて・・・・・・」
コニー「この季節だぜ。それに3日だ・・・・・・」
コニー「それなのに、まるで一月は放っておかれたみたいに伸びてるんだ」
医務官・アルミン「「・・・・・・・・・」」
コニー「あのさ、雑草って突然一気に伸びるもんなのかな?」
コニー「俺がバカだからそれを知らなかっただけなのかな?」
アルミン「コニー―――」
コニー「それだけじゃないんだ・・・・・・」
コニー「今日の午前中とか、どこに行けば巨人の模型があるのか」
コニー「誰よりも先に向かうにはどうすればいいのか」
コニー「手に取るように分かったんだ」
医務官「コニー君―――」
コニー「なぁ、俺っていつからそんなに勘が良くなったのかな?」
コニー「いくら俺だって、自分がそんなに鋭いやつじゃない事はわかってるんだ」
コニー「それとも・・・・・・みんな、同じように分かってたのかな・・・・・・?」
医務官「コニー君。君は疲れてるんだよ」
アルミン「そうだよ。最近頑張ってたみたいだし」
アルミン「大丈夫。このずっと続いた訓練も今日が最後。明日になれば―――」
コニー「明日になれば・・・・・・どうなるんだ?」
コニー「明日になれば、一晩寝れば・・・・・・本当に第104期訓練兵団は―――」
コニー「解散するのか?」
医務官「そうだよ。だって今日は訓練兵団最後の訓練日じゃないか」
コニー「最後の訓練日・・・・・・・・・」
コニー「今日って、何月の何日だったっけ?」
アルミン「なに言ってるんだ、今日は訓練兵団最後の訓練日」
コニー「でも、その最後の訓練日が永遠に続いてるとしたら・・・・・・?」
コニー「なぁ、俺は悪い夢でもみてるのかな?それとも全部俺の妄想なのか?」
コニー「俺が疲れてるからそう思うだけなのかな?」
コニー「今日は850年の何月何日なんだ?」
アルミン「コニー・・・・・・」
アルミン「君は疲れてるんだよ・・・・・・」
アルミン「疲れてるからそんな事を考えちゃうんだ・・・」
医務官「そう。疲れてるんだ」
医務官「この薬を飲んで、今日一日安静にしてなさい」
医務官「そうすれば、そんな事は杞憂だったと思うようになるから」ハイ ドウゾ
コニー「・・・・・・」イタダキマス
医務官「よし」
医務官「それではアルレルト訓練兵、彼を男子寮まで送ってもらえるかな?」
アルミン「わかりました」
アルミン「さ、コニー行こうか」
コニー「ああ」
トコトコ
アルミン「さ、今日はもう夕飯まで休んでて大丈夫だよ」
コニー「あぁ・・・ありがとうなアルミン」
コニー「でさ・・・・・・ひとつ質問があるんだけど」
アルミン「今日の日付?」
コニー「いや、それはもういいんだ・・・・・・そうじゃなくて―――」
コニー「―――きゆうってどう言う意味だ?」
サシャ「そうなんですか。それでコニーは夕飯にも顔を出さないんですか」モグモグ
ユミル(お花畑って、そりゃあいつの脳内の話か?)
クリスタ「・・・・・・でも不思議な話だね。私達が同じ一日を繰り返してるなんて」
ユミル「あ?可愛いクリスタ様はバカの言った事本気で信じてるのか?」
クリスタ「ち、違うもん!コニーのお花畑が可愛かったから気になっただけだもん」プルプル
アルミン(・・・・・・可愛いのは君だよ、僕の女神)
サシャ「でも、なんか同じような話をベル・・・・えーっと・・トルトから聞きましたね」
アルミン「え?そうなの?」
サシャ「はい。『なんで抗不安薬って分かったんですか?使った事あるんですか?』って聞いたら」
サシャ「『いや、その壜を見たのは初めての・・・・・・筈なんだけど』って火のとおりきってない芋煮みたいな顔で言ってました」
ユミル「そこは無理しないで『煮え切らない顔』でいいだろ」
アルミン(・・・・・・ベルトルトが?)
サシャ「まぁ、昔誰かが使ってるのをみただけなのかも知れませんけど」
アルミン「・・・そう、かもね」
アルミン「ところで突然だけど」
アルミン「みんなは明日がなんの日かわかるかい?」
ユミル「訓練兵団の最後の日だ」
クリスタ「解散式の日だよね」
サシャ「ご馳走の日ですね!」
アルミン「そうだね。じゃあ、具体的には何月何日かな?」
ユミ・クリ・サシャ「「「???」」」
ユミル「そんなん決まって・・・えっと」
クリスタ「今日が・・・・・・何日だったかな?」
サシャ「明日はご飯の日って事は覚えてるんですけど・・・・・・」
サシャ「具体的な日付は・・・・・・」
ユミル「いや、お前には毎日がご飯の日だろ」
アルミン「そうか・・・・・・ありがとう」
アルミン「ちょっと用事を思い出したよ。ごめんね」サッ
ユミル「ん?ああ、またな」
アルミン「と、言うわけなんだ」
ライナー「よくわからんが、ベルトルトに質問があると」
アルミン「うん。どうしてベルトルトはサシャの壜がトランキライザーだって分かったの?」
ベルトルト「えーと・・・・・・なんでなのかな?」
ライナー「分からないのか?」
ベルトルト「うん。でも、なんか昔に似た様な状況があった気が・・・・・・」
アルミン「既視感みたいな?」
ベルトルト「ああ、そう。そうなんだけど・・・・・・」
ベルトルト「おかしいな・・・・・・それがあった事は間違いない筈なのに・・・・・・」
ベルトルト「誰が、とか、どんな状況だったのか、とかは思い出せない・・・・・・」
アルミン(これは・・・・・・)
アルミン「誠に差し出がましい話だとは思うのですが、以上の様な理由で夜の訓練は中止にしていただけませんでしょうか?」
キース「一応事情は聞かせてもらったが」
キース「―――それでも藪から棒だな」
キース「うむ。だがしかし、確かに今日の貴様達の訓練成果は素晴らしすぎる」
キール「わたしが教官の任についてからは異例の成長速度だ」
キース「入団当初の能力は全体としては例年と同じ程度だと言うのにだ」
キース(アッカーマン訓練兵を除いてな)
キース「それが、同じ一日を繰り返し、体が覚えているのだといわれれば」
キース「一理ある。とだけ言えよう」
キース「手放しでは信じられん話だがな。むしろ疑っておるが」
アルミン(・・・・・・・・・まぁ、僕自身あんまり信じてないけどね)
アルミン(でも、これで夜の訓練が中止になれば、コニーも安心して休めるし)
アルミン(もう少し粘ろう)
ジワジワと真綿で首が絞まるような怖さだな……
アルミン「ですが、教官―――」
キース「とは言うものの、今夜の訓練は元々成績には影響しないものではあるし」
キース「全体の能力が平均以上であること、そして訓練兵の疲労を考えれば」
キース「最後くらいは仏心を出してもよいかも知れんな」
アルミン「それでは」
キース「まぁ良かろう」
キース「『現状に変化を与えれば何か分かるかも知れない』か」
キース「誰にデメリットがあるわけでもない。今から通達しよう」
アルミン「ありがとうございます」
――――――――――
―――――――
――――
アルミン(で、どうしてこうなったんだろう?)
アルミン(教官が夜間訓練の中止を言い渡して)
アルミン(各々は自由に夜の散歩にでかけた)
アルミン(その中で、早馬で遠出した者が奇妙な報告をした)
アルミン(『この地域から出られない』)
アルミン(僕も同行し確認したところ)
アルミン(地面に目視で幅およそ30m深さ・長さ不明の溝が)
アルミン(恐らくこの訓練兵舎を囲む様に大きな円形に存在していた)
アルミン(コニーは『俺が花畑に行ったときはこんなのなかったぞ』って言ってたな)
アルミン(一緒にいたキース教官も含め、明るくなってから詳しい調査をすることで合意)
アルミン(その時はとりあえず兵舎に戻ったんだ)
アルミン(でも、そのあとトイレに行くと出て行ったコニーが行方不明)
アルミン(捜索に出た教官以下先輩方も行方不明に・・・)
アルミン(僕達104期訓練兵は、なすすべがないまま夜が明けるのを待った)
アルミン(そう、そして夜が明けたんだ)
アルミン(悪夢のような一夜を終え、朝日が差し込む僕らの部屋の窓から見えた景色は)
アルミン(まさに、夢のような冗談みたいな景色だった)
サシャ「いやぁ、まったく天国ですね」
サシャ「食べても食べても翌日には食料が補充されているなんて」
ユミル「そりゃお前みたいな芋女には天国だろうな。焼き芋もゆで芋も蒸かした芋もできるんだから」
ユミル「なんで芋ばっかで飽きねぇんだ」
サシャ「別に芋だけじゃありません。川には魚がいます」
クリスタ「そうそう。豚舎には豚もいるしね。新しく生まれたのかな?子豚もいたね」
ユミル「川魚は確かに好みなんだが、豚の方はわけがわからないだろ」
ユミル「豚小屋の豚を肉にしても、翌日には元通りなんだぜ」
クリスタ「誰かが夜に運び込んでるのかもよ?」
ユミル「どうやってだ?」
ユミル「こんな壁に囲まれた箱庭みたいな場所だってのによ」
サシャ「ユミル。それは言わない約束ですよ」
アルミン(そう。一夜明けると僕らは兵舎を中心に50M超の壁の中に閉じ込められていた)
アルミン(この箱庭のサイズはシガンシナ区と同じくらい)
アルミン(兵舎以外に建物らしい建物はなく)
アルミン(僕達104期生の、これまでにSSで名前が出ていた同期以外には人間もいなかった)
アルミン(キース教官以下監督兵達はコニーを追って失踪)
アルミン(その他のモブ同期も何故か消えてしまった)
アルミン(ジャン?マルコ?誰それ?)
アルミン(僕にはクリスタがいれば何も問題ありません)
アルミン(フランツ?ハンナ?何のこと?)
アルミン(この箱庭にリア充は一人もいません)
アルミン(消えた同期で気になるといえば・・・・・・)
アルミン(家畜がいるのに家畜以下のミーナがいないのが少々不可解なくらいだ)
アルミン(そんな状況で、延々と僕らは同じ日を繰り返している)
エレン「あぁ、つまんねえ。本当ならとっくに調査兵団入りの筈だぜ」
エレン「巨人を駆逐しながらオレ達だけで壁外調査しようぜ」
ミカサ「エレン。上官不在のなか、経験のない私達だけで行うのは流石に危険」
アルミン「そうだよ、君の気持ちはわかるけど」
アルミン「今の僕らはまだ、たまに壁の外に出て実戦経験を積むくらいが丁度いいよ」
ミカサ「アルミンの言うとおり。今日も私はついてく。だから一緒に巨人と戦おう」
エレン「お前がいると殆どお前の戦果になってるじゃないか」
エレン「だがいいか。すぐにオレはお前を超えてやるからな」
ミカサ「分かった期待している。それでは行こう」
アルミン「行ってらっしゃい」フリフリ
アルミン「はぁ・・・」
ライナー「どうしたアルミン。大分疲れた顔してるな」
アルミン「ああ、ライナーにベルトルト、それにアニ」
ベルトルト「疲れた顔の原因は・・・・・・」
アルミン「そう。この箱庭みたいな状況だよ・・・」
アニ「でも、あんたの幼馴染二人はそれなりに楽しんでるじゃないか」
アルミン「エレンは文句を言いながらも巨人を実践で駆逐できてるからね」
アルミン「ストレス解消はできてるんじゃないかな」
アニ「へぇ・・・」
アルミン「ああ、そう言えば」
アルミン「いつか超大型巨人と鎧の巨人が出るのを待ってるって言ってたかな」
ライナー・ベルトルト((え!))ギクゥ
アニ「ふぅん・・・・・・」
ライナー「ミ、ミカサも同じなのか?」
ライナー(エレンはいいとして、ミカサに狙われてるんじゃ、しゃれにならん)アセアセ
アルミン「ミカサは、エレンが巨人と戦うのは好きじゃないみたいだけど」
アルミン「調査兵団に行くよりはましだと思ってるみたい」
アルミン「だからそれなりに満足してるみたい」
アニ「そう・・・よくわからないね」
アルミン「まぁ、あの二人の生い立ちはちょっと特殊だからね・・・」
ベルトルト「アルミンはあの二人と別の時は、兵舎の図書室でよく見かけるけど」
ベルトルト「あれは巨人の性質とかを勉強してるのかい?」
アルミン「それもあるんだけど・・・」
アルミン「この状況をどうにか理解したくてね」
三人「「「理解?」」」
アルミン「うん」
ライナー「できるのかそんなもん」
ライナー「この、まるで冗談みたいな世界だぞ?」
ライナー「妄想か夢でもなけりゃありえねぇ」
アルミン「そうかもね。でも、だからって何もしないでいるのも嫌なんだ」
アルミン「何より、教官達や他の同期が行方不明になった原因が分からないと」
アルミン「また僕らの中から行方不明が出るかも知れない」
アニ「真面目だね、あんた達三人は」
アニ「人数が減って静かになったし、巨人と人が戦う必要もなくなったんだ」
アニ「もう少し力を抜いてもいいと思うけどね・・・」
急にメタなこと言い出したのが怖い
アルミン「はは、これはもうなんて言うか、性分だから」
アルミン「でも確かに三人は大分やわらかくなったね」
三人「「「?」」」
アルミン「自分ではわからないものかも知れないけど、特にアニなんて」
アニ「私?」
アルミン「うん。前は他の女子とでさえ距離を置いてたのに」
アルミン「最近はよく一緒にいるよね」ニコリ
アニ「・・・暇なだけだよ」
ライナー「確かにな。クリスタとも仲良くなったみたいだしな」
ライナー(こいつに仲介してもらってクリスタと結婚できねぇかなぁ・・・)ボー
ベルトルト(・・・なんて事考えてるんだろうな)ジトー
アルミン(僕の女神は神聖にして侵さるるべからず)ギロッ
アニ「・・・三人とも、何となく考えが顔に出てるよ」
クリスタ「アニー!いたいた」トテテテ
アルミン「あ・・・」
クリスタ「あ、みんなも」ニコッ
アルミン(噂をすれば天使)
クリスタ「ねぇアニ、今みんなでお洋服作ろうって話してるんだけど」
クリスタ「アニの意見も聞きたいからちょっと来て」
アニ「洋服?でも、材料なんてどこに?」
クリスタ「白いカーテンを使って、草木染するの」
ライナー「ほぅ、女の子らしいな。クリスタは得意なのか?」
クリスタ「うん、昔教えてもらったんだ」ニコリ
ライナー(結婚しよ)
クリスタ「そんなわけだから、ごめんね。アニ借りてくね」
ベルトルト「あ、別に僕達のってわけじゃないから・・・」
アニ「それじゃ・・・」
ベルトルト「うん・・・」
ライナー(ほほぅ)ニヤニヤ
ベルトルト「なんだよライナー、その顔は」
ライナー「いや。クリスタが相変わらず可愛いなと思ってるだけだ」
アルミン「ライナーって下ネタ得意だもんね」
ライナー「・・・アルミン、お前、段々性格がキツくなってきたんじゃないか?」
アルミン「そうかな?自分ではわからないものだから何とも言えないなぁ」シラキリー
ライナー「・・・」ブスッ
ベルトルト「・・・」クスッ
アルミン「じゃあ僕は図書室に行ってくるよ」
アルミン「妄想だろうと夢の中だろうと、調べることは山ほどあるだろうからね」
ライナー「おう。何か分かるといいな」
ライナー「この状況が変わる何かがな」
ベルトルト「・・・アルミン行ったね。ライナー。さっきの君はどっちだい?」
ライナー「ん?なんの話だ?」
ベルトルト「アルミンがこの状況を好転させたら」
ベルトルト「つまり、もとの様に訓練兵団に戻れたらだけど」
ベルトルト「僕らは壁内人類に対して攻撃を再開しなきゃいけない」
ライナー「・・・わかってるよ。あの夜も話したろ?もとよりそのつもりだ」
ベルトルト「そうか。ならいいんだ」
ベルトルト「だけど・・・」
ライナー「ああ、そうだなベルトルト。俺もわかるよ。今は時々思うんだ」
ベルトルト/ライナー「「この時間がずっと続いてくれたらいいね/ってな」」
アルミン「なるほど・・・、夢って言うのは本人でも制御できない現象なのか」パラパラ
アルミン「素になるイメージは起きてる時にみている物で」パラパラ
アルミン「それらが現実とは違う組み合わせで夢に出てきたりする」パラパラ
アルミン「夢の内容は、その組み合わせ次第でいくらでも変わる」パラパラ
アルミン「いい夢も悪夢も、もとをたどれば組み合わせの成せる技なんだ」パラパラ
アルミン「でも、一つ確からしいのは」パラパラ
アルミン「悪夢を見るのはストレスを感じてる時が多いって事か」パラパラ
パタン
アルミン「ストレスか・・・」
アルミン「もう現実的な路線でいけないから、夢って仮定で考えてみるけど」
アルミン「はは、本当に夢想だね」
アルミン「これは誰の夢なんだろう?」
アルミン「僕の夢?だとしたら、みんなは僕の作ったイメージなのかな?」
アルミン「それにしてはあまりにリアルすぎるよね」
アルミン「僕にはあそこまで皆をリアルにイメージできるとは思えないんだけどな・・・」
アルミン「じゃあ、別の誰かの夢かな?」
アルミン「でも、その誰かは夢の中にいる僕を見てるわけで」
アルミン「僕の考えもその誰かの想像の産物で・・・」
アルミン「でも酷い言い方だけど」
アルミン「僕より思考力のある同期はここにいる中にはいないよね」
>僕より思考力のある同期はここにいる中にはいないよね
本当に酷いなオイwwwwww
アルミン「僕の思考がその誰かに真似できるとは思えない」
アルミン「と、言う事はこれは僕の夢?」
アルミン「でも、僕だって他のみんなの思考はなぞれない」
アルミン「となると、もしかして、みんなが一緒に同じ夢を見てるのかな?」
アルミン「そうすると、どうして教官達はいないのだろう?」
アルミン「このメンバーである理由がわからない・・・」
アルミン「案外、そこに解決の糸口があるのかな?」
アルミン「次は原因だけど・・・そこはストレスって事でいいと思う」
アルミン「悪夢はストレスで精神に負荷がかかってる時にみるものらしいし」
アルミン「訓練についてのストレス・・・あるいは、卒業を迎える事のストレス」ハハハ
アルミン「みんな卒業したくないのかな?」
アルミン「そう言えば、箱庭ができた前の日・・・」
アルミン「コニーや教官が失踪した日の夜・・・」
アルミン「食料搬入業者の人が言ってたな」
【回想】
アルミン「あれ、今日はこんな遅くまで食料を搬入してるんですね」
業者『え?ああ、そうです。明日はなんでもみなさんでパーティをするそうで』
業者『食料が大量に要るって注文うけましてん。こんな時間になってしまいましたわ』
アルミン「ああ、明日の送別会用の」
業者『そうそう、それですわ。送別会』
業者『聞きましたよ。明日の送別会が終わったら、皆さんの中の何人かは巨人と戦いに壁の外にいきはるんですって?』
アルミン「あ・・・そうですね。僕も一応そのつもりですけど」
業者『へ?ほんまでっか?』
業者『はぁー、みなさんほんま凄いですわ』
アルミン「そ、そうですか?」
業者『さいですわ。わてだったら巨人と戦うなんて考えられまへん』
業者『怖くて怖くて、ひと目見ただけでチビってまいますわ』
業者『坊ちゃんは勇気がありますなぁ』
業者『でも、わてみたいな普通の人間が坊ちゃんの立場だったら』
業者『現実逃避の一つもしたくなるんちゃいますか?』
アルミン「え?」
業者『ほら、こんなストレスフルな生活でっしゃろ?』
業者『妄想でも夢でもなんでもええから、この状況から逃げ出したい』
業者『そう思うのが自然なんちゃいますかね』
業者?『どう思います、坊ちゃん?』
アルミン「・・・」
【回想終わり】
アルミン「あの時は答えが見つからなかったけど」
アルミン「今のみんなを見てると何となくわかる」
アルミン「そっちの方が自然なんだ」
アルミン「僕やエレンみたいなのが特別なんだろうな」
アルミン「―――ふぅ。ちょっと気分転換に夢とは関係なさそうな本でもみてみようかな」トコトコ
アルミン「東洋に関する資料のコーナーか」
アルミン「そういえば、ミカサから昔東洋の『ようかい』とか言う」
アルミン「想像上の生き物について聞いた事があったっけ・・・」
アルミン「あ、この本に載ってるかな?」スッ
アルミン「タイトルは・・・『東洋の妖怪大辞典』か」ペラペラ
【壁上】
エレン「ふぅ、今日も超大型と鎧はいなかったけど、結構倒したぞ」
ミカサ「エレンはどんどん上達してる。でも油断は禁物」
エレン「大丈夫だって。ちゃんとお前が近くで見てるんだろ?」
ミカサ「・・・」コクリ
エレン「なら何も心配する必要ないだろ」
ミカサ「・・・そうかも」
エレン「だろ、そもそもお前は―――ん?あそこにいるのは?」
エレン「クリスタ達じゃないか。でもなにか様子がおかしいな」
エレン「なんか騒いでるぞ。行ってみよう」トコトコ
ミカサ「・・・」トコトコ
エレン「おう、何やってんだ女ばっかりで」
エレン「立体軌道なんてつけて」
ミカサ「・・・私達以外がここにいるなんて珍しい」
アニ「あれ、エレン?」
ユミル「お前らこそ夫婦で何やってるんだ」
ミカサ「!」
ミカサ(・・・あとでユミルの肩を揉んであげよう)
エレン「オレはいつも通り巨人を削ぐ訓練だよ」
ミカサ「私はその付き添い」
クリスタ「そうなんだ。相変わらず元気だね」クスッ
エレン「そんな事はいつもの事だろ?それよりも何をしてるんだ?」
エレン「どうしてサシャが壁の外側にぶら下がってるんだ?」
アニ「・・・それが、どこから話したらいいのかな?」
ユミル「あたしが話すよ」
ユミル「簡単に言うと、サシャは巨人の肉が食いたくなった」
ユミル「でも、直接戦うのは怖いから、固定砲で巨人を狙ってた」
ユミル「その結果、一体倒したんだけど、早くしねぇと巨人は蒸発するだろ?」
ユミル「だからサシャは急いで飛び降りて、今はその帰り道ってやつだ」
エレン・ミカサ「「・・・」」???
>東洋の妖怪大辞典
……あー、まさかあいつか?
ぬーベーにも出てきた……
クリスタ「やっぱりそうなるよね・・・」
アニ「まぁ、巨人の肉を食べた後で別の巨人に食べられたとしても」
アニ「それはそれで本望だったんだと思うけど」
アニ「無事戻って来たわけ。あのドヤ顔をみるとわかるんじゃない?」
サシャ「ふぅーっ!ふぅーっ!」ドヤァァ
ユミル「うぜーなあの顔」
丁度半分くらい終わってキリいいので一旦落ちます。
早ければ今晩、そうでなければ数日後の再開になると思います。
一旦乙ですー
乙
クロス先だと夢見てるのはヒロインだっけ?
多分想像してるクロス先でいいと思うんだけど
乙ー
また随分懐かしいクロスだな……
正直トランキライザーでわかるはずないじゃないか(目そらし
ただいま。ゆっくりまったり再開します。乙くれた方はありがとうございます。
>>24 >>35
メタは多いけど、そんなに怖い展開にはなってないんじゃないかな?とは思います。
>>54 >>58
ぼちぼちわかってくるかなと思います。
クロス先が名作なのでそれに準じてる感じです。
クロス先のキャラ名は今後出てきます。正解は最後に。
>>59
思ったより難しいんですかね。
ライナーがアレをぶっ刺せる程の戦果をあげる人はまだいない・・・と(視線を追う
ミカサ「・・・あの、壁の一部が剥落してるのは?」
ユミル「あれは・・・巨人をしとめた後に誤って固定砲台を落としちまったんだ」
ユミル「固定砲台も一応紐でつながれてたから、一回で落ちなかった」
ユミル「壁に一度ぶつかって、そこで紐に負荷がかかって切れちまった。結局落ちたんだ」
ユミル「その一回ぶつかった時の剥落ってわけだが・・・ん?サシャがその近くで騒いでるな」
クリスタ「ちょっと声が遠くて聞こえないね」
アニ「早くあがってきなよ。そしたら聞いてやるから」
サシャ「みなさん・・・はぁはぁ・・・」
サシャ「巨人は大味でした・・・」
サシャ「・・・じゃなかった」
サシャ「み、見つけたんです・・・コニーを」
全員「?」
サシャ「コニーが、壁の中で、巨人化して眠ってたんです」
全員「!?」
アルミン「それからはちょっとした大騒ぎだったらしいんだけど」
アルミン「僕がそれを告げられたのは、図書室で『超絶美人の妖怪大辞典』を読み終わって考えをめぐらせてた時だった」
アルミン「みんなの話を総合して推理すると」
アルミン「恐らく消えた教官や同期たちは、何らかの理由で壁の中で眠り続けているんだと思う」
アルミン「思う、と言うのは、壁を壊すわけにはいかないから推測してるわけだけど」
アルミン「この壁全体が失踪したみんなでできているなら」
アルミン「一夜にしてできた理由も納得がいく」
ユミル「いや、そこは理解すらできない理屈だろ」
クリスタ(いまアルミン変なこと言ってなかった???)チョウゼツビジン・・・?
エレン「ところでアルミン。お前さっきから誰に向かって話してるんだ?」
アルミン「第四の壁を越えようとしてるんだ。僕は狂言回しだからね」
ベルトルト「ああ、なる程ね」
エレン「今のでわかったのか、凄いなベルトルト」
ベルトルト「まぁ、僕の名前も伊達じゃないって事かな」フフフ
サシャ「ベルトルトまた笑いましたね。最近良く笑います」
ベルトルト「そうかな?よくわからないや」
ライナー「しかし、何がなんやらわからねぇのは俺がコニー病に感染したからてわけじゃないよな?」
ユミル「バカ病って事か?大丈夫。みんなわかってねぇよ」
ミカサ「とりあえずみんなの行方は知れた。それで充分」
アニ「あの大きさだと、目が覚めても相手のしようがないね・・・」
アルミン「そうだね・・・」
クリスタ「どうしよう・・・」
ユミル「どうしようもないんじゃないか?」
ベルトルト「僕には何も考え付かないよ」
ライナー「俺もだ」
アニ「私も」
ミカサ「私も」
サシャ「残念ながら、私もです」グー
エレン「オレもだ。だが・・・きっとアルミンなら」
アルミン「え?」
エレン「アルミンならなんとかしてくれる」
エレン「アルミンには正解を導く力があるんだ」
アルミン(ああぁあああぁ・・・・・・)
アルミン「・・・はぁ」キリキリ
アルミン「わ、分かったよ。実は少し考えが浮かんできてるんだ」
エレン「そうなのか!流石だなアルミン!」
アルミン「といっても整理するために少し時間が欲しいんだけどね」
アルミン「そうだな・・・3日くらい欲しいかな」
アルミン「それでもいいかな?」
全員「ああ/アルミンを信頼している/それでいいと思うよ/いいと思うぜ/うん、もちろん/クリスタに同じ/任せるよ/巨人・・あんまり美味しくありませんでした」
アルミン「・・・じゃあそれまではいつも通りって事で」
アルミン「解散・・・でいいかな」
全員「OK」
アルミン「あ、ミカサにはちょっと聞きたい事があるからちょっと残ってもらえるかな?」
ミカサ「?」
エレン「じゃあまた後でな」
ミカサ「わかった。エレン、また後で」
ミカサ「それで、何を知りたいの?」
アルミン「うん。昔ミカサがお母さんから教えてもらった物語の中に」
アルミン「悪夢を食べる『獏』って動物がでてきたよね?」
ミカサ「そう。その話は何度かお母さんから聞いた。悪夢を食べる動物」
アルミン「実は、図書室で本を見つけて、その中にも『獏』がいたんだ」
アルミン「このページなんだけどね」
アルミン「それで、このページの反対側にいるこの人みたいな妖怪」
アルミン「これについて、何か知ってたりしないかな?」
アルミン「ここに書いてある説明が少なすぎて良く分からないんだ」
ミカサ「ええと、名前は・・・ああ。この妖怪も知っている」
ミカサ「この妖怪の特徴は―――」
アルミン「ありがとう。じゃあこの線で考えるとして」
アルミン「あとは作戦をどうするかだね」
ミカサ「私に手伝える事があったらいつでも言って欲しい」
アルミン「うん。その時はよろしく頼むね。でも今の所は他言無用って事で」
ミカサ「わかった」
ミカサ「・・・?」
エレン「おおーい、アルミン、ミカサ」
アルミン「あれ?エレンどうしたの?」
エレン「お前らが遅いから俺の方から来てみたんだ。話は終わったのか?」
アルミン「うん。三日後にはちゃんと話をできると思うよ」
ミカサ「・・・アルミン、ちょっと気になったことができた。相談したい」
アルミン「ん?(作戦の話かな?)わかった。ちょっと待ってもらえる?」
ミカサ「ごめんなさい。今すぐ話したい。誰にも聞かれないところで。来て」
アルミン「う、うんわかった。(作戦の話なら早い方がいいよね)場所を変えよう」
アルミン「ごめん、エレン。またあとで」
エレン「あれ?行っちまうのかよ」
エレン「しかたねぇ、またあとでな。アルミン、ミカサ」
――――――――――
―――――――
――――
【三日後】
エレン「ったく、アルミンのやつ」
エレン「わざわざこんなところに呼び出しやがって」
エレン「しかも手紙なんかで」
エレン「『この状況の原因がわかったから、今日、日が暮れたら南端の壁の足元にある駐屯兵団の待機所らしき場所まで来てくれ。そこで全て説明する』」
エレン「・・・回りくどいな」
エレン「それにしても、やっぱり誰もいないんだな。みんなには秘密にしろって書かれてたしな」
エレン「おーい、アルミン!いるかー?」
アルミン「待ってたよ」
ミカサ「いらっしゃい」
エレン「あれ?ミカサもいるのか?」
アルミン「やっぱりミカサには秘密にできないなと思って」
アルミン「ミカサにも事前に来るように話しておいたんだ」
エレン「そうか。もうミカサには話したのか?」
アルミン「うん。ちゃんと揃ってから話したいなと思って」
エレン「そうだな。じゃあ、順番に話してくれ」
エレン「この箱の上に座ってもいいか?」
アルミン「大丈夫だよ。立ち話もなんだし、長くなるだろうからね」
エレン「そんなに難しい話なのか?」
アルミン「大丈夫。ちゃんと簡単に話すから。あとは君次第だよ」
エレン「俺次第?・・・そうか。じゃあ頑張って理解できるよう努力するよ」
ミカサ「そう。それがいいと思う」
アルミン「じゃあ、とりあえず結論から話そうか」
アルミン「君は、いま僕らがみんな夢の中にいるって言って信じるかい?」
エレン「・・・?」
アルミン「信じられないかい?」
エレン「いや、アルミンが冗談を言うとは思えないし、信じるけど」
エレン「夢ってどう言うことだ?」
アルミン「可能性を一つずつ排除していった結果だよ」
アルミン「物理的に一晩で壁を建てるのは不可能だし」
アルミン「その中にみんなを埋め込むのはもっと不可能だ」
アルミン「そんな事は、僕達や巨人ですらできる事じゃない」
アルミン「そうなると、未知の力か・・・非現実的な現象・・・夢しかないんだ」
エレン「・・・残った可能性が『夢』なのか」
アルミン「そう、しかも『悪夢』だね。同じ日が何度も続くっていう」
エレン「それが悪夢なのか」
アルミン「ああ、だって僕らはこのままずっと成長もせずに暮らしていくんだよ」
アルミン「この箱庭の様な世界で、何の新しい刺激もなく」
アルミン「これが悪夢でなかったらなんなんだろうね」
エレン「・・・そうかも知れないな」
エレン「でも、夢だとするとこれは誰の夢なんだ?」
エレン「俺の夢か?それにしちゃ俺の想像を超えてるんだが」
アルミン「そう、夢だと仮定したときにそれが最初の問題だった」
アルミン「これは状況証拠しかない話なんだけど」
アルミン「僕達は多分夢を共有してるんだ」
エレン「共有?一つの夢をか?」
アルミン「うん。元々この箱庭みたいな世界が最初にあって」
アルミン「そこに僕ら一人ひとりが夢の演者として招かれていると思うんだ」
アルミン「ただ、ここに一つ問題があって」
アルミン「世界と役者が別々にあるのだとしたら」
アルミン「どうして僕達だけが役者に選ばれたのかと言う問題なんだ」
エレン「そりゃぁ、それが本当の話だとしたら」
エレン「他のみんなはこの夢が気に入らなくて、みるのをやめたんじゃないか?」
アルミン「うん。そうとも考えられる。でも、僕はこう考えたんだ」
エレン「?」
アルミン「この世界には主人公がいて」
アルミン「他のみんなはその主人公に招かれたんじゃないかな」
アルミン「だとしたら、主人公の好み次第で役者は自由に選ばれる」
エレン「おいおい、それはつまり、俺達は他の誰かの夢の中にいる夢を見てるって事か?」
アルミン「うん。平たく言うとそうなるのかな?」
エレン「そうか、じゃあその主人公ってのは誰なんだ?」
エレン「みんながこの世界を楽しんでるみたいだし、主人公なんて本当にいるのか?」
アルミン「そこはね、僕も最初は悩んだんだけど」
アルミン「消去法で答えが出るんだ」
アルミン「順番に行こう。まずライナー」
アルミン「もしも君がライナーなら、こんな世界を望むかい?」
エレン「どうだろうな・・・あいつは面倒見がいいから」
エレン「こんな世界でみんなの兄貴分ってのもいいなとおもってるんじゃないか?」
アルミン「うん。でもね。君はそう言う事がからっきしだからはっきり言うんだけど」
アルミン「ライナーはクリスタが好きなんだ」
エレン「だったらライナーで決まりじゃないか」
エレン「クリスタだってちゃんといるんだし」
アルミン「でも違うんだ。ユミルがいる」
アルミン「ユミルのせいで、クリスタに自由に接近できない」
アルミン「役者は自由に選べるんだ。ライナーだったらユミルは入れない」
エレン「そう・・・なのか?」
アルミン「だからライナーはシロ。次は・・・そうだね、ユミルにしようか」
エレン「ユミルじゃないのは簡単にわかる」
エレン「あいつだったらクリスタを独り占めするはずだ」
アルミン「そう。これは簡単だね。ユミルもシロ。次は・・・サシャかな」
エレン「あいつも誰か好きなやつがいるのか?」
アルミン「それは・・・わからないんだけど」
アルミン「サシャがシロな理由は・・・コニーがいないからなんだ」
アルミン「サシャはコニーと仲が良かったし」
アルミン「コニーの精神が不安定になった時にさりげなく心配してやさしい言葉をかけてた」
アルミン「そんなサシャが、コニーを外すのはちょっと考え辛いんだ」
エレン「そう・・・か。ちょっとわからないけど、まぁアルミンがそう言うならそうなんだろうな」
アルミン「コニーがいるお陰でユミルから来るストレス発散になってたようだしね」
アルミン「サシャが出たから、次はクリスタかな」
エレン「クリスタもシロなのか?」
エレン「確かにこんな風に人を巻き込むような事をしそうじゃないな」
アルミン「そう、まさにそこだね」
アルミン「クリスタは人を利用してまで自分の思い通りの世界を作る様な子じゃない」
アルミン「それに、彼女は馬術一位。つまり馬をとても大事にしている」
アルミン「この箱庭は馬を走らせるには狭すぎるんだ。運動不足になる」
アルミン「クリスタだったら、馬にもそんな事を強いる筈がない!」
エレン「お、おう」
アルミン「だからクリスタもシロだ」
エレン「・・・わ、わかった」
アルミン「次は・・・僕達かな」
アルミン「まず、僕は違う。僕は昔よく話した通り壁の外の世界に行きたいんだ」
アルミン「こんな壁に囲われる世界なんかいたくない。だから違う」
アルミン「次にミカサ。ミカサもシロだ。何故ならこの世界には巨人がいるからだ」
アルミン「ミカサなら、巨人のいない世界で家族と一緒に過ごしたいはず」
アルミン「そんな夢のはずだ。そうだよね?ミカサ?」
ミカサ「・・・そう」コクリ
ミカサ「これが私の夢だったら、私は家族に巨人がいるような危険な場所にいさせたくない」
ミカサ「それと、アルミン、あなたも」
アルミン「ありがとう。だからミカサもシロ」
エレン「おいおい、じゃあ俺か?」
アルミン「言ったよね?消去法だって」
アルミン「エレンが最後じゃない。だからエレンも主人公じゃない」
アルミン「訓練兵団を卒業したら巨人を駆逐する為に調査兵団に入ると言っていた」
アルミン「そんな兵士が、わざわざ壁の中に篭っているなんて考えられない」
アルミン「だからこの夢もエレン=イェーガーのものではない」
エレン「そうか・・・」ホッ
アルミン「そうなると残るのは二人」
ミカサ「ベルトルトとアニ・・・」
アルミン「実はこの二人とも、シロの理由が見つからなかったんだ」
アルミン「じゃあ、どっちがより怪しいかって言うのを考えてみても」
アルミン「やっぱり二人とも同じくらい怪しくなかった」
エレン「おいおい、じゃあ消去法ってやつは結局そこで終わっちゃうのか?」
エレン「主人公は二人いるって事か?」
アルミン「うん。だからここからは本当に僕のこじつけになるんだけど」
アルミン「僕はアニがこの夢物語の主人公だと思ってるんだ」
エレン「・・・・・・・・・なんでだ?」
アルミン「理由は、アニがこの世界でより生き生きしてるからさ」
エレン「おいおい、さっきお前は悪夢って言ったじゃないか」
エレン「悪夢の主人公ってのはそんなに生き生きしてるもんなのか?」
アルミン「確かに僕は悪夢と言ったけど、それは僕にとっての事だ」
アルミン「例えば、ジャンが憲兵団にいけないとしたら、それは彼にとって悪夢だ」
アルミン「でも、その代わりに上位十名に入れた誰かにとっては良い夢かも知れない」
ミカサ「・・・」
エレン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
エレン「言ってる事はわかる」
エレン「だけど、それは・・・なんていうか根拠が・・・」
アルミン「希薄?」
エレン「もう一人の人物?」
アルミン「ああ。この物語において、僕らは役者だ。舞台は用意されている」
アルミン「じゃあ、物語を演じるために不可欠なもう一つの役割ってなんだと思う?」
エレン「・・・?舞台があって・・・役者もいて・・・・・・?」
エレン「あっ!観客か!?」
アルミン「いい線いってるよ。でも、観客はこの第四の壁の向こうにいるんだ」
エレン「ん?良くわからねぇけど、観客は関係ないのか?じゃああとは・・・なんだ?」
アルミン「観客と同じだよ。直接舞台には上がってこないけど、劇の進行を見てる」
アルミン「舞台監督。脚本家と言ってもいい」
エレン「あぁ、なるほど。舞台監督か。で?そいつがいるとして、どこだ?」
ミカサ「?」
エレン「ん?どうしたミカサ?変な顔して」
ミカサ「何を言っているの?舞台監督はあなたでしょ、偽エレン」
エレン「・・・は?」
エレン「・・・俺がなんだって?アルミン、ミカサは何を言ってるんだ?」
アルミン「残念だけど、そのままの意味だよ。君はニセモノだ」
アルミン「僕らは最初から君をエレンだなんて一言も言ってない」
ミカサ「あなたからはエレンの匂いがしない」
エレン「いやいやいや、ちょっと待ってくれよ」
エレン「俺は自分の事がわからないほど死に急いでないぞ」
ミカサ「そう。あくまでしらを切りとおすつもり・・・それなら」スチャ
?「まぁ、待てよミカサ。オレが出てけば済むことなんだろ?」
エレン「!?」
?「それにしても、良く似せたな。どこからどう見てもオレそっくりじゃないか」
エレン?「・・・」ポカーン
ミカサ「そんな事はない。エレン。あなたとこいつでは頭のてっぺんから足の先まで全部違う」
エレン(本物)「そうか?自分じゃわかんない部分が違ったりするのかな?」
偽エレン「・・・」ハハハ・・・
アルミン「・・・と、言う事なんだ」
アルミン「三日前、君が図書室で僕に近づいて来たとき、ミカサがすぐに気付いててね」
アルミン「僕はミカサからそれを後で聴かされて、急遽この作戦を立てたんだ」
アルミン「ごめんね、罠にはめるようなことしちゃって」
アルミン「でも、こうでもしないと君は逃げそうだったからね。偽エレン・・・いいや」
アルミン「人に夢を・・・悪夢を見させて、困惑させる妖怪。夢邪鬼!」
夢邪鬼「はぁ~」
エレン「お!いきなりオレが変なおっさんに!」
夢邪鬼「坊ちゃん、あんさんは本当に鋭いでんなぁ・・・」
アルミン「やっぱり、夢邪鬼はあなただったんですね、食料を搬入してたおじさん」
夢邪鬼「かなわんなぁ。はい。わての負けです。なんなりとご質問してください」
アルミン「じゃあまず・・・やっぱりこれはアニの夢って事でいいのかな?」
夢邪鬼「さいです。あの娘さんの願いをわてが夢にしましてん」
エレン「願い?アニの願いは憲兵団に行くことじゃないのか?」
夢邪鬼「へ?なんですそれ?そんな事は一言もいうてませんでしたよ」
やっぱりあってたよ!?
けど20年以上前の作品の映画だもんな…
【夢邪鬼の回想】
夢邪鬼「あー、どうしていつもいつもあのガシンタレが来てまうんやろうな~」
夢邪鬼「ほんま腹たつわ~。腹がたちすぎて腹へってきてもうた」
夢邪鬼「ん?あの建物からいい匂いが・・・。お邪魔しますで」フフフ
アニ「・・・?」
夢邪鬼(うお!ドストライク!)
夢邪鬼(なんでこんな美人が朝からエプロンつけてスープ作ってるんでっしゃろ?)
夢邪鬼(でもなんか悲しそうな顔しとるなぁ。なんでやろ?)
アニ「・・・業者の人?」
夢邪鬼「ははぁ!始めまして、わて、名前を夢邪鬼って言います」
アニ「はぁ・・・」
夢邪鬼「お嬢さんの名前を聞いてもよろしいでっか?」
アニ「・・・アニ」
夢邪鬼「アニさん。・・・ええ名前ですなぁ」
アニ「・・・そうかい?」
夢邪鬼「ええええ、ええ名前ですわ。親御さんのお気に入りって感じの名前です」
アニ「・・・そうかな?」
夢邪鬼(ちょっと笑った顔もまた可愛いでんなぁ)
アニ「で、あんたはこんな所で何を?」
夢邪鬼「ああ!せやった。すんまへん。ちょっと外を通りがかったら、いい匂いがしてきましてん」
夢邪鬼「朝ごはんがまだでしてなぁ」
アニ「・・・ああ。いいよ。今日はたくさん作るから。少しぐらいなら」スッ
夢邪鬼「おおきに」
夢邪鬼「ふぅー、満腹満腹」
夢邪鬼「流石アニさんの作った料理や。天下一でんな」
アニ「大分食べたね」
夢邪鬼「えろうすんまへん。でも、朝ごはん恵んでいただいた代わりと言っては何ですが」
夢邪鬼「アニはんの望み、一つだけ叶えさせてもらえまへんか?」
アニ「望み?」
夢邪鬼「さいです。まぁ、言うても夢の中でですけどね」
夢邪鬼「わて、名前を夢の邪鬼って書きますねん。夢を取り扱うのを生業にしております」
アニ「・・・?」
夢邪鬼「疑いたくなるのもわかります。こんな外見ですからな」
夢邪鬼「せやけど、わて本気でっせ」
夢邪鬼「騙されたと思って、一つ願いを言ってみまへんか?」
夢邪鬼「どうにも今は『なーばす』になっておられるみたいですし」
夢邪鬼「夢の中だけですが、幸せになってみてもええんやないでっしゃろか?」
アニ「・・・良く分からないけど」
アニ「本当に望んだとおりの夢が見れるなら、そうだね・・・」
アニ「・・・今日が来て欲しくなかった」
夢邪鬼「それは、つまり昨日までの日々が恋しいと?」
アニ「そうだね・・・訓練は楽じゃないけど」
アニ「でも、今日これからの事を考えると」
アニ「ライナーやベルトルト、エレンにアルミンにミカサにサシャやクリスタ達。他の同期のみんな」
アニ「あいつらがバカやってる中に入るチャンスのあった昨日までが、やけに遠く感じる・・・ね」
アニ「できれば、昨日という日が永遠に続けば・・・」
アニ「私もあの輪に入れるのかな・・ってね」
――――――――
―――――
――
【夢邪鬼の回想終わり】
ミカサ・エレン・アルミン「「「・・・・・・・・・」」」
ミカサ「・・・」
エレン「そうか、アニが・・・」
アルミン「そんな事を・・・」
ゴボゴボゴボ
三人「「「!!!???」」」
アルミン(こ、これは!なんで僕ら三人とも水槽の中に???)
夢邪鬼「甘いで~甘いでんな~、利発な坊ちゃん」
夢邪鬼「どんなに賢くても、やっぱりまだ子どもでんな」
夢邪鬼「亀の甲より年の功」
夢邪鬼「何千年も人類に夢を見させてきたわてには敵わん。いうことでんな」
夢邪鬼「ま、幻の水です。死にません」
夢邪鬼「後で落ち着いたら他の人と同じように、夢の中にいざなってさしあげますわ」
夢邪鬼「ま、しかしなんでしょうな」
【コニーの夢水槽】
コニー「母ちゃん!俺、憲兵団になったよ!」
コニ母「あんたこの三年で髪の毛だけじゃなくて背も伸びたんじゃないかい?」
コニ母「立派になったねぇ。オ・・・アエリ」
夢邪鬼「人間の夢ってのは元来利己的にできてるものでありまして」
【キースの夢水槽】
キース「ブラウン兵長か!おめでとうブラウン!」
エルヴィン「おめでとう、ブラウン。君の昇格を歓迎するよ」
ブラウン「ええ、あの巨大樹の森帰還後すぐに昇格の報ですからね。驚きました。ありがとうございます!」
夢邪鬼「じゃあ、わてだって利己的に生きたかてええんやないかと思ったりする最近ですな」
【ジャンの夢水槽】
ジャン「ふぅー、酒がうめぇ。憲兵団様々だぜ」
ジャン「しかし、ミカサがいねぇな。あいつも憲兵団に入った筈なんだが」
マルコ(ミカサはエレンと一緒に調査兵団だよ、ジャン・・・)
夢の中でさえ…ジャン…
夢邪鬼「とりあえずあの三人は脱落いう事で・・・ひぃふぅみぃ・・・」
夢邪鬼「大分数が減ってもうたな」
夢邪鬼「まぁええでっしゃろ。これ以上へったら、また最初からやりましょ」
夢邪鬼「アニはんもそれを望んでますしなぁ」
夢邪鬼「ほっほっほっほっ・・・・・・・・・ほっほっほっほっ」
アニ「・・・」
夢邪鬼「ほっ・・・・・・・・・ほぅう?」
夢邪鬼「ア、アニはん、どうしてここに?」
アニ「・・・アルミンにね、呼ばれてたんだよ」
アニ「夕暮れ前にここに来るように」
夢邪鬼「はぁ・・・」
ライナー「ここで日が落ちるまで待ってれば全てわかるってな」
ベルトルト「ただし、静かに隠れてるようにも言われてたよね」
夢邪鬼「な、なんですって?」
ユミル「まぁ、つまりこう言う時の保険だったんだろうな」
サシャ「やっぱりアルミンは凄いですね」
クリスタ「そうだね」
夢邪鬼「うわわわわわわ。美女がこんなに」
サシャ「え?」
クリスタ「美女って・・・そんな」テレテレ
夢邪鬼「いやいや、皆さん綺羅星のようで。しかもアニさんとおそろいの服で」
夢邪鬼「ええですなぁ」
サシャ「これはクリスタが作ってくれたんですよ」
サシャ「クリスタは本当に多才ですから」
クリスタ「そ、そんなに誉めないでよサシャ」テレテレ
ライナー(結婚しよ)
夢邪鬼「なるほど。こんな綺麗な娘さん達に会えてわては幸せですわ」
夢邪鬼「ほな、ちょいと用事があるんでこれで」サッ
アニ「待ちな」グイッ
夢邪鬼「ははは・・・やっぱりダメですか」ハァ
夢邪鬼「で、どうします?アニさん?」
アニ「どうするって、夢物語の幕は下りたんだ」
アニ「あとは夢から覚めるしかないんじゃ?」
夢邪鬼「いやいや、もう一つありますねん?」
夢邪鬼「みんなの記憶をリセットして一からやり直しって力技が」
夢邪鬼「アニさんが前に選んだ方法ですわ」
アニ「・・・私が選んだ?」
ライナー「おいおい、どう言う事だ。この夢を見るのは初めてじゃないって事か?」
ベルトルト「・・・いや、そうじゃなくて、同じ劇を2回やったって事じゃないかな?」
夢邪鬼「さいです」
夢邪鬼「この長い長い夢物語は、一回巻き戻されてるんですわ」
夢邪鬼「前回もアニさんにバレてしまって。これが二回目です」
夢邪鬼「あの時アニさんは『この夢をまたみたい』言うてました」
夢邪鬼「どうでっか、アニさん。今も気持ちは変わらんのではないですか?」
アニ「・・・」
ユミル「あたし達に選択権はないのか?」
ユミル「あたしは別に構わないぞ。クリスタが居てくれたらな」
サシャ「私は・・・コニーが心配ですから・・・」
クリスタ「私も・・・楽しかったけど。他のみんなとも遊びたかったかな・・・」
夢邪鬼「残念ですが、他の皆さんには選択権はありまへん」
夢邪鬼「これはアニはんの夢ですから」
アニ「・・・」
ライナー「・・・ベルトルト」チラッ
ベルトルト「・・・そうだね」
ベルトルト「アニ。ちょっと僕達と相談しないか?」
ライナー「俺達はなんでお前がこんな夢を望んだのか何となくわかるぞ」
ベルトルト「僕らも多分君と同じ夢を望んだんじゃないかな」
ライナー「だが、相談なしに決められたのは困るな」
ベルトルト「だから、ここは僕達3人だけで相談したいんだけど・・・」
アニ「ライナー・・・ベルトルト・・・」
アニ「・・・ねぇ夢邪鬼」
アニ「・・・この夢から覚めても、記憶は残るの?」
夢邪鬼「残すことはできますよ。わてが作った夢は他の夢とは格がちがうんですわ」
アニ「・・・そうか」
アニ「じゃあ、とりあえず私とこの二人を除いて夢から覚まさせてあげて」
夢邪鬼「わかりました」パァァァ
クリ・サシャ・ユミ「「「え?」」」シュウゥゥゥ
アニ「よし・・・」
アニ「ライナー、ベルトルト」
ライナー「おう」
ベルトルト「なんだい?」
アニ「いい夢だった?」
ライナー「あたりまえだろ」
ベルトルト「僕も楽しんだよ」
アニ「そう・・・」
ライナー「だから俺はお前を責めない。例えこのまま夢の中に囚われたとしてもだ」
ベルトルト「僕は・・・・・・故郷に帰りたいけど、ここまで来ちゃうと・・・明日が怖いよ」
アニ「・・・」
アニ「夢邪鬼、一回目の時ライナーも一緒にいたの?」
夢邪鬼「アニさんにばれた時でっか?」
夢邪鬼「あの時はライナーはんが精神衰弱気味でしてね。今回のコニーはんみたいなもんです」
夢邪鬼「ベルトルトさんが看病してましたけど」
夢邪鬼「繰り返す『訓練最終日』にだいぶ参ってた様でしたな」
夢邪鬼「殆ど寝込んでましたわ」
ベルトルト「そうか、じゃあ僕がトランキライザーだって分かったのは」
ライナー「今回じゃなくて一回目の時の記憶だったんだな」
ライナー「しかし情けねぇな。心をやられちまったなんて」
アニ「・・・まぁわかるよ。仕方がない」
アニ「じゃあ前の時はライナーが居なかったも同然・・・」
アニ「・・・」
ベルトルト「・・・アニ?」
アニ「夢邪鬼。この夢は終わりだ」
ベル・ライ・夢邪鬼「「「!!!???」」」
ライナー「おいアニ、何を言ってるんだ」
ベルトルト「そうだよ。僕らはこのままでも構わないんだよ?」
アニ「代わりに、私達に故郷の夢を見せて欲しい」
ベル・ライ「「!!」」
ベルトルト「ア、アニ・・・それって」
ライナー「お、おい」
夢邪鬼「ええんでっか?なんかお二人はんが困ってるみたいですが」
アニ「・・・二人とも」
アニ「・・・これが最後の故郷になるかも知れない」
アニ「・・・ちゃんと楽しんでね」
ベル・ライ「「??」」
夢邪鬼「ほな、いきまっせー」シャララララララララ
――――――――
―――――
――
【解散式当日・兵舎調理場】
コトコトコトコト
アニ「・・・夢邪鬼、ありがとう」
夢邪鬼「礼を言われる事はありまへん。わては夢を見せただけ。仕事ですから」
夢邪鬼「でも、本当に夢から覚めて良かったんでっか?」
夢邪鬼「しかも、みんなに記憶を残して・・・なんて」
アニ「・・・いいんだ。最後にお父さんにも会えた」
アニ「本当に楽しかった・・・でも、あそこにいたら何も進まないんだ」
アニ「一回目、もう一度同じ夢を望んだのは、ライナー達がいなかったから」
アニ「今回みたいに、三人が同じ思いだとわかった今なら・・・」
アニ「明日に背を向ける事はないよ・・・」
夢邪鬼「さいですか」
アニ「でも、不思議だね」
夢邪鬼「何がでっか?」
アニ「あれだけ長い夢だったのに」
アニ「新しいスープが出来上がるぐらいの時間しか経ってないみたいだ」
夢邪鬼「わての生まれた東洋では『一炊の夢』って言葉がありますねん」
夢邪鬼「どんな長いように思える夢も、ほんの一眠り程度しかないんです」
アニ「『一炊の夢』・・・か」
夢邪鬼「さてと、わてはおいとまさせていただきますわ」
夢邪鬼「そろそろ皆さんが起きて食堂に来はるでしょうから」
アニ「ああそうなの」
アニ「じゃあ、さよならだね」
夢邪鬼「明日がいい日だとええですな。アニさん」
アニ「大丈夫だよ。私達さんに・・・いや、9人なら答えは見つけられるさ」
夢邪鬼「さいでっか。確かにええ顔してまんな」
夢邪鬼「ほな、さいなら」ピュルルルル
アニ「行ったね」
夢邪鬼「ふぅ」
夢邪鬼「おーい、ガシンタレ!」
ミーナ「ピー!」
夢邪鬼「すまんなぁ、豚小屋の中で待ってたって言うのに」
夢邪鬼「今回はアニさんが記憶を持っていたい言うたさかい」
夢邪鬼「お前に食わせるわけにはいかんかったんよ」
夢邪鬼「さて、今度の夢はどんな夢や思う?」
ミーナ「ピー!ピー!」
夢邪鬼「お前が食える夢だとええけどな」
夢邪鬼「でも、わては悪夢にならないピュアな夢の持ち主を見つけたいなぁ・・・」
夢邪鬼「ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・」
( >>115 間違イアリ。下記訂正済ミ)
夢邪鬼「ふぅ」
夢邪鬼「おーい、ガシンタレ!」
獏「ピー!」
夢邪鬼「すまんなぁ、豚小屋の中で待ってたって言うのに」
夢邪鬼「今回はアニさんが記憶を持っていたい言うたさかい」
夢邪鬼「お前に食わせるわけにはいかんかったんよ」
夢邪鬼「でもお前も友だちできたみたいやったし。友だちが覚えとってくれるでー」
獏「ピー!」
夢邪鬼「さて、今度の夢はどんな夢や思う?」
獏「ピー!ピー!」
夢邪鬼「お前が食える夢だとええけどな」
夢邪鬼「でも、わては悪夢にならないピュアな夢の持ち主を見つけたいなぁ・・・」
夢邪鬼「ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・」
ちょ、ミーナwww
と思ったら誤字か
わざとだと思ったら間違いなのかwwwwwww
アニ「来たね」
ドタタタタタタ
エレン「おいアニ!夢邪鬼の奴はどこだ?」
ミカサ「あいつは分不相応にもエレンに化けてみんなを欺こうとした。万死に値する」スチャ
アルミン「ごめん、僕が油断なんてしなければ・・・・・・」
アニ「ははは・・・」
ユミル「何笑ってるんだ。お前の笑顔はちょっと怖いんだよ」
クリスタ「もう、そんな事いわないの!可愛いじゃない」
サシャ「朝ごはんできてますか?」
コニー「お、おい、俺はもっと寝てたかったのになんで連れてこられてるんだ?」
ミーナ「もー、なんであんな夢見たあとに引っ張られなきゃ?」
アニ「まぁみんな、落ち着いて」
アニ「夢邪鬼はさっき出て行ったよ」
アニ「とりあえず、朝ごはんを食べながらみんなで話そう」
アニ「みんな、夢は覚えてるんだろう?」
全員 コクリ
コニー「???」
ミーナ「アニはあの夢について何か知ってるの?」
ミーナ「なんで私は豚になってたの!?」
アニ「ライナーにベルトルトも、入り口でぼーっとしてないで、こっちに来なよ」
ライ/ベル「「ああ/うん」」スッ
ミーナ(無視された!?)ガーン
アニ「大丈夫。今日は訓練兵団解散式の日」
アニ「訓練はないから。みんなで楽しく話す時間はいっぱいある」
アニ「夢の中ほどじゃないけどね」
【アニ「ビューティフル・ドリーマー?」―――閉幕】
と、言うわけで、クロス相手は
うる星やつら劇場版第二作「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」です。
そこから夢邪鬼(と獏)だけを取り出してクロスさせました。
時間軸的には劇場版より前の時間軸のつもりで書いていました。
なんとか今日中に閉幕を迎えることができたので、いい夢が見られそうです。
長いことおつきあいいただき、ありがとうございました!
乙ー
本当懐かしいな……トランキライザーも保健室で使われてたし、あれでわかる人なんてなかなかいないよ(目そらし
そして、ミーナwwwwww
>>14でそれっぽいなとは思ったな
元だと医務官ポジがサクラさんでコニーポジが温泉マークだったな
乙
スレタイでわかったよ
古参のアニメファンならスレタイで一発だな
うちにLDあるし
それはともかく面白かった。舞台の見せ方とクロスのさせ方がすごく上手かった
>>122-126 乙ありです。いい夢見れました。
そして>>85 と >>86 の間に 以下を補完してください。入れたと思ってたら入ってなくて違和感満載になってしまった。
それでは改めて完結です。ありがとうございました。
エレン「そう、その単語だ」
エレン「三日前に誰かが言ってたけど、ベルトルトだってこの箱庭ができてから」
エレン「前より更に笑うようになった」
エレン「たまたまアニとベルトルト、二人にだけはいい夢だったって事はないのか?」
エレン「ん?でもそれだとどっちが主人公か結局わからないのか?」
ミカサ「・・・」
アルミン「君の言う通り、確かに根拠は薄いんだ」
アルミン「だから僕はもう一人、この物語に関わる人物を紹介しなければいけない」
このSSまとめへのコメント
サクラ先生の「とらんきらいざー…?……しまった!」
だと真っ先に気がついた