アルミン「ぎゃふん」(35)
アルミン(うーん、休暇日だからって遅くまで本読んじゃったな。完全に寝坊だ。
もう皆、食堂にいっちゃったのかな。僕も早く着替えて……?)
アルミン(窓越しに誰かが走ってるのが見える、あれはサシャ?
休暇日だから私服なんだ。スカートなんか履くんだね)
アルミン(あ、こっち見た。近づいてくる)
サシャ 「ア゛ル゛ミ゛ーン゛!」ブワァ
アルミン「うわあああ」
サシャ 「びんだがびどいんでずぅう!」
アルミン「皆が酷い? 何があったの」
サシャ 「ウワアアアアン!うぁあああん!」
アルミン「うんうん、朝ご飯のパンを皆から貰おうとしたら?」
サシャ 「ビェエエエン!ヒックヒック」
アルミン「お前みたいな芋女にやるパンは無いって言われて?」
~
朝食 食堂
サシャ 「紳士の皆さーん。飢えた子供に愛の手をー」
ジャン 「飢えた子供ってのは、お前のことだろ?」
サシャ 「いや、まぁ、そうなんですけど」
ライナー「こう毎回来られてもな」
コニー 「オレのパンはやらないぞ」
ジャン 「今までは体調が悪かったりで、気まぐれにパンをやったりする奴がいたみたいだけどな、
お前にパンやってもこっちに何も見返りがないんだ。何時までも貰えると思ってるんじゃねえぞ」
ライナー「ジャンのは言い過ぎにしても、確かにパンをくれてやる理由はないな」
サシャ 「じゃ、じゃあ、これでどうですか?」ススス
コニー 「何やってんだ? 足首なんて出して」
サシャ 「もうちょっとだけなら、見せてあげてもいいですよ?」
クリスタ「コラーッ」ガツン
サシャ 「ギャアアアア」
クリスタ「何してるの! 女の子がそんな事しちゃ駄目じゃない!」
ライナー(頭突きするクリスタも可愛い)
サシャ 「うぅぅ、こうでもしないと、パンを貰えなくて」
コニー 「そんな事をされても、パンをやるとは言ってないぞ」モグモグ
ライナー「サシャの足を見ても腹は膨れないしな」モグモグ
ジャン 「違ぇねえ、芋女よりも芋見てた方がマシだな」モグモグ
サシャ 「ううぅ」
クリスタ「サシャ、私のパンあげるから、向こうで食べよ?」
ユミル 「やめとけよ、一回やったから癖になってんだ。ほっといても逞しく生きるよ、コイツは」
ダズ 「種芋は水やら無くても芽が出るらしいぜ」
ハハハハハ
ハハハハハハハハ
サシャ 「うわぁぁあああああん」ダダダダ
クリスタ「サシャ!」
~
サシャ 「という訳なんでず」ズビー
アルミン「半分くらいは自業自得だよね」
サシャ 「ワダジバ!」
アルミン「うん、鼻かんでね」
サシャ 「」チーン
サシャ 「私は、見返してやりたいんです!
私を恥ずかしい目に合わせた人たちを、ぎゃふんって言わせてやるんです!」
アルミン「気持ちは分からなくもないけど、どうするのさ」
サシャ 「それをアルミンに相談したくて、ここまで来ました」
アルミン「えぇぇええええ」
サシャ 「頼りになるのはアルミンだけなんです!」
アルミン「……」
サシャ 「お願いします!」
アルミン「仕方ないなぁ」ハァ
サシャ 「ありがとうございます!」パァアア
アルミン「その代わり、ちょっとお金がかかるよ」
サシャ 「構いません! どうすればいいんですか!?」
アルミン「じゃあ、まず市場に行って……」
~
夕食 食堂
サシャ 「パンをくれる紳士はいませんかー?」
ジャン 「全然、懲りてねえな、芋女」
ライナー「最早、かわいそうに見えてくるレベルだな」
ジャン 「じゃあ、パンをくれてやれよ」
ライナー「それとこれとは、話が別だ」
サシャ 「アルミン、パンを貰えませんか?」
アルミン「しょうがないなぁ、はい」
エレン 「体調でも悪いのかよ、サシャにパンやるなんて」
サシャ 「ありがとうございます、お礼にボタンあげますね」
アルミン「う、うん。ありがとう」
エレン 「?」
ジャン 「?」
ライナー「?」
コニー 「?」
マルコ (確かに見た。サシャは、自分の上着を止めているボタンを外してアルミンに渡していた)
マルコ 「サシャ、僕のパンもあげるよ」
サシャ 「本当ですか! ありがとうございます」
マルコ 「その代わり、僕にも」
サシャ 「ええ、ボタンあげますね」
ライナー「どうしたんだ、マルコまでパンをやるなんて」
コニー 「腹でも壊したのか?」
ジャン 「何かあったのか、マルコ」
マルコ 「いいかい、ジャン。サシャの服をよく見てみるんだ」
ジャン 「あん? あいつの服なんて見慣れてるだろ」
マルコ 「今日のは、初めて見る服だよ」
ジャン 「そうなのか? まぁ、芋女の服なんて」
マルコ 「肩のところ、ボタンがひとつ無いんだ」
ジャン 「そうだな、あいつのことだから、どうせ安物でも買ったんだろ」
マルコ 「今、サシャが着ている服は、肩ボタンで留めるタイプの服だ」
ジャン 「あぁ、そうみたいだな……ボタンって、まさか」
マルコ 「気づいたね。今朝、君たちが散々馬鹿にしたから、きっとサシャは賭けに出たんだよ。
ボタンがなくなると、あの服は……」
ジャン 「」ゴクリ
マルコ 「他の女子が食堂にくるまで時間がある。今のうちが勝負だ」
ジャン 「サシャ、俺のパンもやろう」
サシャ 「えぇっ! いいんですか!?」
ジャン 「あぁ、その代わり」
サシャ 「はいっ、ボタンあげますね」
ジャン (ボタンを外した部分が、ひらひらと揺れている)
マルコ (ボタンは左右に3個づつ。あと4個のボタンが無くなれば、支えのない布は、ハラリと落ちて……)
ライナー(……胸が、というわけか)
ライナー「そういうことなら、俺もパンをやろう」
サシャ 「フヒヒ、ありがとうございます」
ライナー「俺だけ仲間はずれってことはないよな」
サシャ 「ええ、勿論ですよ。ボタンどうぞ」
マルコ (左右交互にボタンを取っているから、ちょっと肩が見えるだけだ)ヒソヒソ
ジャン (あともう少しなんだが……)ヒソヒソ
ライナー(おい、ベルトルト。お前のパンもくれてやれ)ヒソヒソ
ベルトル(えぇ……なんで僕が)ヒソヒソ
ライナー「サシャ、ベルトルトもくれるみたいだぞ」
サシャ 「うわぁい、ベルトルトもありがとうございます。ボタンあげますね」
ベルトル「うん……ありがとう」
サシャ 「今日はパンが沢山集まりますねぇ」
ジャン (あと二個か……他に誰か、パンをやりそうな奴は)
ジャン 「コニー、お前のパンを渡してやれよ」
コニー 「はぁ? 何でそんなことしなきゃいけないんだよ」
ジャン 「今度、から揚げおごってやるから」
コニー 「本当か。絶対だぞ? 俺は馬鹿だけど、食い物の約束は忘れないからな?」
ジャン 「ああ、だからパンを」
コニー 「サシャ、俺のパンもやるぞ!」
サシャ 「コニーにもボタンあげますね」
コニー 「別にいらないけどな」
ジャン 「なっ!?」
マルコ 「はっ!?」
ライナー「おいっ!?」
サシャ 「どうしたんですか?」
ジャン 「いや……何でもねぇ」
マルコ (まさか、スカートのボタンを外すなんてね)
ライナー(中々、もったいぶってくれるじゃねえか)
ジャン (こうなったら、全部のボタンとってやる)
ジャン 「ナック、ミリウス、トーマス。何も言わず、お前らのパンを分けてくれ」
ナック 「あぁ、俺たちも事態は把握している」
ミリウス「俺たちのパンを使ってくれ」
トーマス「確かに、託したぞ」
マルコ 「……すまない」
ライナー「サシャ、3人分だ」
サシャ 「うわぁ、こんなにいいですかね!ありがとうございます!」
マルコ (スカートのボタンは残り3つだったはずだ。いよいよ、スカートを支えられないはずだ)ゴクリ
ジャン (3つのボタンを順に外して……)
ライナー(スカートが……)
パサッ
(落ちた)
マルコ (上着が長いから、足の付け根までは見えないけれど)
ジャン (しかし、チラチラと白い布が……)
ライナー(これはこれで、たまらないものがあるな)
マルコ (あとは、上着のボタンを2個、残すだけだ)
ジャン (クソッ、他に誰かいないのか!?)
サムエル「俺たちの」
ダズ 「出番のようだな」
ジャン 「サムエル! ダズ! お前たち、サイコーに輝いてるぜ!」
サシャ 「さらに2個もらえるんですね。じゃあ、ボタンもこれで最後ですよ」
ライナー「」
マルコ 「」
ジャン 「」
サムエル「」
ダズ 「」
ナック 「」
トーマス「」
ミリウス「」
ゴクリ
ふぁさぁ
ジャン (おぉ……結構、胸でかいな)
マルコ (チラチラと見えていた、白い布とお揃いの)
ライナー(揃いの……白い)
(水着だ)
ユミル 「ぶはははははは、見たかクリスタ!こいつらの顔!」
クリスタ「ユミル、声だして笑ったらだめだよ」
ジャン 「なっ!? 隠れてやがったのか!?」
エレン 「お前らはさっきから、何やってるんだ?」
ミカサ 「エレンは、何も知らなくていい。サシャの方も見なくていい」
サシャ 「アルミンの言うとおりにしたら、パンを沢山もらえましたよ!」
ライナー「謀ったな、アルミン!」
マルコ 「一杯食わされたね」
サシャ 「ふふん、今朝はあんなこと言っておいて、皆さん私に興味津々ですね」
ジャン 「チクショウ、何も言い返せねえ」
ライナー「パンも取られて踏んだりけったりだな」
マルコ 「まぁ、僕らの自業自得だよ」
アルミン「サシャ、集めたパンを半分もらってもいいかな」
サシャ 「ええ、どうぞ。アルミンの取り分ですよ」
アルミン「うん、それじゃあ。ボタンを持ってる人は、パン半分と交換するよ」
サシャ 「え? いいんですか?」
ライナー「遠慮なく交換するが、いいのか?」
ジャン 「半分だけでも返ってくるなら、ありがたく貰うけどよ」
マルコ 「じゃあ、僕から交換してもらおうかな」
アルミン「ボタンはサシャに渡してね」
マルコ 「あぁ、サシャは魅力的だから、つい乗せられちゃったよ。はい、ボタン」
サシャ 「ヘへへ。面と向かって言われると照れますね」
ジャン 「今朝は、俺も言いすぎた。お前を否定したわけじゃねえんだ、ほらよ」
サシャ 「いいんですよ。ジャンの鼻の下の伸びた顔は忘れませんから」フフン
ライナー「俺の顔共々、忘れてやってくれ、ボタンだ」
サシャ 「パンに免じて、考えておきます」ウフフ
ワイワイ ガヤガヤ
エレン 「結局、なんだったんだ?」
ミカサ 「皆が、前より仲良くなった。それだけ」
エレン 「そっか」
マルコ 「ここまでアルミンの想定通りなんだろ?」
アルミン「どうかな」ハハハ
ミカサ 「何でアルミンはサシャの手助けをしていたの?」
サシャ 「そういえば、私からお願いしましたけど、パンも渡しちゃって、アルミンに見返りはないですよね?」
アルミン「……このパンは美味しくないよね」
サシャ 「そこまで悪くないですよ、結構イケます」
アルミン「食べる価値は無いよ」
サシャ 「何で急にそんなこと言うんですか!? 悲しいですよ!」
アルミン「それが、サシャを馬鹿にされた僕の気持ち」
サシャ 「は?」
アルミン「サシャは可愛いから、みんなに思い知らせたかったんだ」
サシャ 「……え?」
アルミン「だから、この結果が僕の見返りかな」
サシャ 「…………」
アルミン「サシャ?」
サシャ 「アルミンは」
アルミン「うん」
サシャ 「私に、こんな恥ずかしい思いさせてからに」
アルミン「うん」
サシャ 「……何か、言ってくださいよ」
アルミン「ぎゃふん」
(おわり)
EDのパンを食べるサシャを見守るアルミンのシーンが最高に可愛い
乙ジャン
乙!
この二人いいね
乙です!
よければこの二人の短編を他にも書いて欲しいです
乙乙!
アルサシャ……神ぃぃぃ!!!
短くまとまってるし面白かった!
乙!
アルサシャが開拓されていってるな
乙
乙!
乙です
アルミン相変わらずの策士
それを差し引いても>>2の涙声のサシャの言ってること、よく理解できたなw
そつがなさすぎワロタ
このアルミンには抱かれたい
これはまじでできるアルミン
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