雪歩「なおるお守り?」(54)
私の名前は萩原雪歩。17歳で765プロダクションというアイドル事務所に所属していますぅ。
男の人が苦手で…ネガティブな所が多くて…それを変えようと思ってアイドルになろうと思ったんですぅ…
そう…この間までは…
雪歩「やっぱり…私にダンスは無理なのかな…」
真「そんなことないよ!もっと練習すれば出来るようになるよ!」
雪歩「真くんや響ちゃんはいいよね…凄くカッコ良くて…」
真「雪歩もなれるって!今度お互い予定空いた時に一緒に練習しよう!ね?」
雪歩「うん…」
※タイトル訂正
なおる→なおす
真「じゃあね雪歩!」
雪歩「また明日…」
雪歩「…いっぱい練習しなきゃ…」
タタタタタタ…
雪歩「?ひぃ!!」
泥棒「どけ!!」ドンッ
雪歩「きゃっ!」バタン
店長「こぉらまちやがれ!!」
雪歩「いたた…さっきの人って…あ…ジャージ……!!」
雪歩「そんなぁ…これじゃあ洗濯してもとれないよぉ…はあ……!」
雪歩「お婆さんがこんなところでなにしてるのかな?あの…」
謎の老婆「いらっしゃいませ。」
雪歩「え?お店やってるんですか?何のお店ですか?…え?『なおす絆創膏』…?」
謎の老婆「左様でございます。」
雪歩「普通の絆創膏とどう違うのですか?」
謎の老婆「はい。『なおす』という意味でございます。」
雪歩「絆創膏って確か、怪我したときに、傷口から黴菌が入らないようにするためだけで…」
謎の老婆「それはお買いになった方だけがわかるのでございます。」
私は詳しい説明を聞こうとしても、答えはさっきと同じだったので、どうしても気になって50円で買いました。
謎の老婆「お買い上げ、ありがとうございます。」
支援
P「今日は『ゲロゲロキッチン』で春香と千早、真と雪歩の4人で出演だ!みんな頑張ってくれ!」
「「「「はい!」」」」
春香「千早ちゃん!頑張ろうね!」
千早「ええ。」
真「緊張しちゃうね!雪歩は大丈夫?あのカエルとか…」
雪歩「あれくらいなら大丈夫だよ!」
カエル「さあいよいよスタートしました!まずは前回勝利をおさめたアマガエルさんチーム!ふむふむ。千早選手はキャベツの千切りをしている模様。前回は足を引っ張ったが今回は果たして!?」
カエル「一方こちら惜しくも敗北したガマガエルさんチーム!おお!2人とも料理が得意なのか?順調に進めている!我那覇さんや四条さんの敵討ちとなるか!?」
カエル「果たして勝つのは如何に!ここで一旦CMで~す!」
千早「痛っ!」
春香「千早ちゃん!大丈夫!?」
雪歩「千早ちゃん?指切ったの?」
千早「ええ…でも大丈夫。こんなこともあろうかと絆創膏…用意したから…あれ?ない…」
雪歩「千早ちゃん!これ良かったら使って?」
千早「ありがとう…萩原さん…」
千早「あれ…?」
春香「どうしたの?」
雪歩「?」
真「?」
千早「さっきはあんなに痛かったのに、絆創膏を貼ってから…全然痛みを感じなくなったの…」
雪歩「え?」
真「あははは!まさかそんなw」
千早「…私もそう思いたいわ…」
雪歩(まさか…)
ストーリーランドかな?
期待
雪歩(『なおす絆創膏』って…ケガを『治す』絆創膏なの?だとしたら…)
雪歩「千早ちゃん!その絆創膏…剥がしてみて?」
千早「ええ…」ベリッ
千早「!!傷口がないわ…」
雪歩(やっぱり!!『なおす絆創膏』すごいですぅ!!)
さらに、『なおす絆創膏』の力はこれだけではなかったですぅ。
カエル「さあ皆さん最後に…せーの…」
ゲロゲロ~キッチ~ン!
カエル「また来週!」
千早「萩原さん…さっきは本当にありがとう!」
雪歩「いえいえお礼なんてそんな///」
千早「あれから千切り続けたけど…一度も指を切ることなく順調に進んだわ。前は何回も切って傷だらけだったから…失敗を『直して』くれたのも含めて、お礼を言うわ。」
雪歩「それは良かったですぅ!へ?『なおす』?」
そうですぅ!『なおす絆創膏』はケガを『治して』くれるだけじゃなく、失敗を『直して』してるという意味もあったんですぅ!
雪歩「この絆創膏!すごいですぅ!」
私は真くんと別れた後、お婆さんを探し回った。もちろん、犬や男の人を避けつつですぅ…
雪歩「…!お婆さん!」
謎の老婆「いらっしゃいませ。『なおす絆創膏』は如何だったでしょうか?」
雪歩「凄かったですぅ!おかげで私の友人を助けることが出来ました!」
謎の老婆「それはよろしゅうございました。」
雪歩「お婆さん!お金たくさんありますから!あの絆創膏。たくさん買いますぅ!」
謎の老婆「申し訳ございません。『なおす絆創膏』はあれ1つだけでございます。」
雪歩「そうなんですか?うぅ…残念ですぅ…」シュン
雪歩「……!これは……?」
謎の老婆「『なおす懐中電灯』でございます。」
雪歩「懐中電灯で何をなおすんですか?」
謎の老婆「それはお買いなった方だけがわかるのでございます。」
雪歩「そこは買ってからのお楽しみですぅね…」
雪歩(どうしても気になりますぅ!)
雪歩「お婆さん!これも買いますぅ!おいくらですか?」
謎の老婆「1万円でございます」
雪歩「」
雪歩「い、1万円!?た、高いですぅ…」
謎の老婆「高いか安いかは、お客様のお考え次第でございます。それにお客様は『買う』と申しましたので、キャンセルはききません。」
雪歩「そんなぁ…うぅ…わかりましたぁ…はい…」
謎の老婆「お買い上げありがとうございます。」
雪歩「うぅ…キャンセルきかないからって買ってしまったですぅ…はぁ…」
雪歩「懐中電灯…何に使うんでしょう…?」
ガチャ
雪歩「ただいま!あれ?誰もいない…」
カチッ
雪歩「あれ?」
カチッカチッ
雪歩「電気がつかない…停電かな…どうしよぅ…そうだ懐中電灯!」
カチッ
雪歩「ブレーカー探さなきゃ(ブルブル」リビングの電気に向け
パチパチ
雪歩「え?」
パッ
雪歩「あ!ついたですぅ!でもどうして…?」
雪歩「ひょっとして…この懐中電灯………」
雪歩「この前、溝に落として汚れたジャージ…もし私の予想が正しければ…えいっ!」
カチ
雪歩「やっぱり!!綺麗になったですぅ!それなら…お父さんの大事にしている壺……えいっ!」
ガシャン!!
雪歩「これを懐中電灯で照らすと…」
雪歩「凄い!元通りになったですぅ!!」
雪歩「『なおす懐中電灯』…壊れたものを直してくれる懐中電灯だったんですぅ!」
全力四円
しかし、『なおす懐中電灯』の力はこれだけではありませんでした。
貴音「お寿司…」パクパクパクパク
P「ちょっと貴音!」アセアセ
亜美「お姫ちん食べ過ぎだよ→!」ブーブー
真美「真美の分も残してよ→!」ブーブー
あずさ「あらあら~」
真「相変わらず貴音さんよく食べるよな~」
雪歩「そうだね」アセアセ
てす
P「はあ…貴音が大食いだからもっと多く注文すべきだったと思うけど…そんなお金ないしな…」
雪歩「ですよね…これ洗いますね!」
P「ああすまない」
雪歩(ん…?もしかして…この懐中電灯を当てれば…)
カチ
雪歩(!!やっぱり!!)
雪歩「Pさん!ちょっと…」
P「ん?…!!これ…」
雪歩「えへ、実はそういうことだろうと思って私がこっそり隠してました!」
P(雪歩マジ天使)
雪歩(本当のこと話しても信じて貰えないしね…)
雪歩(でも、元の状態にまで直してくれるなんて凄いですぅ!)
こうして私は『なおす懐中電灯』使って色々なものを直して貰った。
サイズがあわなくてビリビリに破いてしまったライブの衣装。
雨で水浸しになった白のワンピース。
片方だけしか聞こえなくなったイヤホン。
もちろん他の人のものもですぅ!
1万円の価値があっても納得ですぅ!しかし…
雪歩「あれ…事務所のエアコン…こわれてますぅ」
雪歩「でも…この懐中電灯で…!」カチ
雪歩「あれ?」カチカチ
雪歩「点かない…どうして…?」
雪歩「もしかして電池切れ…?えっと…あれ?ない…?もしかしてこれ…電池がなくなると二度と使えなくなるの…?」
雪歩「あのお婆さんを探さないと…きっと別売りで売っているはずですぅ!」
私は『なおす懐中電灯』の電池を買うためにあのお婆さんを探し回った…
雪歩「!お婆さん!あの…この懐中電灯…点かなくなって…電池を買いに来たのでくださぁい!」
謎の老婆「申し訳ございません。電池はございません。」
雪歩「じゃあ…やっぱり…はぁ……ん?これは…『なおすお守り』……?」
雪歩(お守りで…何をなおしてくれるのかな…?)
雪歩「お婆さん…お守りで何を…?あっ…聞いても答えは同じですよね…?うぅ…」
雪歩(お守りか…もうすぐライブあるし…成功の祈願に持っておこうかな?)
雪歩「いくらですか?」
老婆「1万円でございます。」
雪歩「うぅ…高いですぅ…」
老婆「高いか安いかは―。」
雪歩「わ、わかりました!わかりましたから!買いますぅ…」
老婆「お買い上げありがとうございます。」
雪歩「うーん…今度は何をなおしてくれるんだろう…?」
雪歩「病気をなおすとか…かな?」
雪歩「うーん…予想がつかない…」
ピリリリリ…
雪歩「ん?電話?プロデューサーさん…?」ピッ
雪歩「はい?」
P『もしもし?突然だが…すまない雪歩!明日の収録の件だが…やっぱりスタッフ全員を女性だけにするのは無理みたいだ…すまないが…頑張って怖がらずにいてくれ!俺がついてるから!』
雪歩「そうですか…わかりました…はい…おやすみなさい…」
雪歩「はぁ…やっぱりダメだったね…でもこんなんじゃあダメ…それを変える為にアイドルになるって決めたから…」
雪歩「そろそろ寝なきゃ…でも…どうしたらいいかなぁ…」
翌日。私は『なおすお守り』の効果はわからないので、とりあえず持ち歩くことにした。
P「雪歩!お待たせ!」
雪歩「プロデューサーさん!おはようございますぅ!」(ニコッ
P「ん…?ああおはよう…!さ、乗って!」
雪歩「はい♪」
P(何かいいことでもあったのか?まあいいか)
P「じゃあ今からディレクターさんと打ち合わせにいくから、そこの楽屋で待っててくれ!」
雪歩「はい!」
『765プロダクション 萩原雪歩様』
雪歩「ここだね。」ガチャ
犬「わんわん!」
雪歩「ひっ!なんだ…犬か…よしよし。でもどうしてこんなところに?」
コンコン
雪歩「はい?」
ガチャ
D「失礼。君が雪歩ちゃんかな?」
雪歩「はい…?」
D「ちょっとちょっとプロデューサーさんどういうこと?雪歩ちゃんが男と犬が苦手だって聞いたからウチの飼い犬連れてどんな反応するか試したっていうのに、全然驚いてないじゃん。むしろ可愛がってるし」
P「は、はぁ…」
雪歩(!!そういえば…確かに…こうして撫でたり抱っこしたりして…それに…ちゃんと男の人と向かい合って…)
雪歩(!!もしかして…このお守り…)
P「雪歩?どうした?」
雪歩「え?い、いえ…」
犬「くぅ~ん」ペロペロ
雪歩「ひゃっ!」ポトッ
雪歩「ん?ひぃいい!!」
犬「きゃん!?」
P、D「!?」
雪歩「あわわわわ……い、犬と男の人はダメですぅ(ガクブル」
P「雪歩…?」
雪歩(あ…お守り…)拾う
雪歩「ごめんね?痛くなかった?よしよし」
犬「わんわん!!」
雪歩「怒らないでよ~」
D「ゆ、雪歩ちゃん?何もそこまでして演技しなくても…なぁ?」
P「そ、そうだよ雪歩!犬や男嫌いが『なおった』ならそれでいいじゃないか!それに前よりポジティブな雰囲気に見えてきてるし…」
雪歩「プロデューサーさんにディレクターさんは意地悪ですぅ」
P、D「あ、あははは…」
雪歩(やっぱりそうですぅ!!この『なおすお守り』は…持っていれば自分が苦手なものや、短所な所を『なおす』ことが出来るお守りだったんですぅ!!)
雪歩(これはいいものを手に入れました!!)
こうして私は、初めてのバラエティ出演の収録に成功。みんな、私についてのことを、プロデューサーさんから聞いたのか、イメージとは全く違うと思ってるような顔をしていました!
私ももちろん。それくらい驚きました!おかげでディレクターさん達に誉められ、もちろんプロデューサーさんやほかのアイドル達も!
放送が終わってからその次の日、私宛てのファンレターがたくさん来てて、ダンボールの蓋が閉まらないくらいでした!
トップアイドルへの道を少しずつ進んで行ってるように思いました!
真「雪歩ってさ…ホントに変わったよね!初出演の番組収録の前日まではいつも通りだったのに…何かあったの?」
雪歩「あ、ううん…別に何でもないよ?あの時正直怖いって思ってたけど…こんなんじゃダメだって思って…」
真「…あのね雪歩…」
雪歩「え…?」
真「プロデューサーが収録のあとからずっと、雪歩の様子がおかしすぎるって考えてたそうだよ。夜に電話をするまではいつもの雪歩だったのに。翌日会ったらまるで別人のようだったってね。」
真「プロデューサーから言われてみれば、確かに人には短所や長所、それぞれ1つでもあるはず、でも、それを数時間で変えるなんて、出来るわけがないし、出来たとしても現実的に有り得ない。」
雪歩「……真くん……」
真「さっきの言葉。何度言っても結果は同じだったじゃないか!いつもの雪歩なら「穴掘って埋まってますぅ」とか言って…」
真「ねぇ…みんなが知っている雪歩は演技だったの?みんなが自分を見てくれるようにするための…」
雪歩「違う……」
真「じゃあどうして?」
雪歩「…今から本当のことを話すけど…信じてくれる…?」
千早の牛乳と響の首輪の人か
>>42
いえすあいあむ
私はお婆さんとの出会いから今までの全てを真くんに打ち明けた。
真「なるほどね。確かに信じられない。」
雪歩「そうだよね…」
真「でも、やっぱり…雪歩が嘘をつくなんて到底思えないし、僕は信じるよ。」
雪歩「真くん…」
真「でもね雪歩…」
雪歩「……?」
真「雪歩は、自分の短所を変えられたのが、そのお婆さんの都合のいい道具で満足?」
雪歩「え……?」
真「僕は不満だな。だって世の中、都合のいい物事でこうも簡単に変えられたら苦労しないもの。」
雪歩「………」
真「その辺のこと、よく考えたほうがいいよ。」
雪歩「真くん…」
私は愚か者だった。
私は自分を変える為に、アイドルになるって決めてた。
なんとか候補生になれたものの、未だに変化は起こらず、失敗すれば真くんや春香ちゃん、プロデューサーさんにみんなから励ましてくれたり…
そのみんなの苦労を溝に捨てたようなもの…
そう気づいた私は川を眺めながら声を殺して泣いた。
その翌日。
P「雪歩!例の番組なんだが、もう男性がいても大丈夫…なんだよな?」
雪歩「い、いえ…やっぱり怖くて…でも私頑張ります…少しでも早くなれないとダメですよね…」
P「ああ、そうだな」(いつもの雪歩だ)
ダンスレッスン中~
ドンッ
やよい「いたっ!」
雪歩「や、やよいちゃん!ご、ごめんね?」
やよい「大丈夫ですよ!」
雪歩「ごめんなさいみんな…こんな私じゃダメだよね…」
真「雪歩…」
雪歩「でも私頑張るから…!」
そう。私は、真くんと話して1人で泣いたあと、『なおすお守り』を川へ投げ捨てた。
こんなもの必要ない。
自分の力で『なおす』から――。
多少は上手くいかなかった時があったけど、長い時間をかけて、ようやく自分の力で『なおす』ことが出来た。
もしかしたら、『なおすお守り』を売ったあのお婆さんも、自分の力で『なおす』という意味も込めて用意したものだったのかもしれません。
終わり
後半は、下書きせずぶっつけ本番で書き込んだ結果。かなり駄文になってしまったように思います…
見てくださった方に申し訳ないです。
ここまで読んで頂いたかたはありがとうございました。
そしてスライディング土下座します。
おやすみなさい
乙なの
面白かった
あと雪歩は『真ちゃん』て呼ぶからね
今まで気付かなかったスマソ
ここで過去シリーズにおける不思議な商品の解説。ネタバレおkな方のみどうぞ。
大きくなる牛乳
見た目は500mlパックの牛乳。100mlごとに飲めば1cm身長が高くなる。もちろん最大5cmまでしか大きくならない。価格は500円
大きくなるブラジャー
付けると胸が大きくなる。ただし外すと元に戻る。大きくなった胸は本物だが、もちろん肩こりは生じ、結局は周りからはパッドをつけているようにしか見えない。価格は本編では5000円だったが、7200円にするべきだったと気がついた。
もどる首輪
本家のWikipedia参照。また、今作では飼い主以外でも、なくしたものとその持ち主の顔が頭に入っていれば効果はある。
なおす絆創膏
これを貼れば痛みはすぐに消え、傷口もふさいでくれる。ただし、1度しか使えない。価格は50円。
なおす懐中電灯
壊れた部位を照らせば元通りになる。食べ終わったあとの容器にも使用可能。 ただし電池はなく、回数限定なので使い切ると、もちろん二度と使えなくなる。価格は1万円。
なおすお守り
持っていれば自分の短所を全て直して、別人のような自分に変えてくれる。手離すと元通りになる。価格は1万円。
お守りが捨てられた川は、水が綺麗になってるかもな
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