【安価・コンマ】皆で作る物語 (449)

スレタイ通りです。
まずはジャンルから決めます。今決めるのはあくまで大枠で、後の設定安価である程度ミックスさせたりはできます。

1:ファンタジー(ロー、ハイ問わず)
2:SF
3:ポストアポカリプス
4:ミリタリー
5:スーパーヒーローもの

多数決で決めますがこのあと予定があるので、投票期限は長くなりますが再開できるであろう19時ごろまでにします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1659845621

5

3

5

3

5

3

今から1選んでも取れなそうなので3で

5

1

5

3

5

2

1

5

1

5

5

1

1

5

4

5

1

1

3

では5のスーパーヒーローで行きます。

まずは大まかな設定を↓3まで募集します。

地球とは違う世界が舞台とか、獣人がいるとか、ヒーローが国に管理されてるとか、何でもいいです。

色んなヒーローによって都道府県が支配されていて国や政府はそのバランスに大苦戦

ヒロアカみたいにヒーローになるためには資格がいる

異世界からやってきた善から悪から日和見まで集団で住み着いた舞台

本物に成り代わって日本を支配する偽者のヒーロー達の野望を食い止めたいヒーローファン

同じ人のも採用するの?

一人で二つ取るの良いのかな?

採用は一人につき一つとします。ですので採用するのは>>31>>32>>34です。

では設定の深掘を行います。

ヒーローに資格を与えているのは?
1:各国家
2:国連みたいな組織
3:その他(自由安価)

↓5まで多数決

2

3省庁

2

1

1

2

では2でいきます。

続いて組織に関する具体的な設定に移ります。
↓3までで最もコンマの値が高いものを採用

テンプレは以下の通り
名前:
性格:(ヒーローに厳しいのか友好的なのかみたいな感じです)
沿革:(これは別になくてもいいです)

名前:世界戦隊連盟
性格:ヒーローを支援するという思想は一致しているが色々異なる思惑もある

名前:ヒーロー自由連合
性格:表向きはヒーローの権利・自由の保証・国際秩序の平定を謳っているが、内部では賄賂や汚職、新人潰しなどの悪習が横行している

名前:国連(国連そのもの)
性格:ヒーローを全面的に信用している
沿革:長年に渡り世界を救ってきた多くの戦士達を是非政治の世界にと推す全世界の声もあり国連に加入、それ以来彼らも国連に対し大きな発言力を持つこととなった

まさかの同値・・・

ふと思いついたんですが両方を採用するのはどうでしょう?

1:両方採用する
2:改めてコンマでどちらか片方に決める
↓3まで多数決

1

1

では>>46>>48を採用します。

ではひとまず整合性等も考えて整理した設定を載せます。

20XX年、超人的な能力を持った一人の男「スーパーヒーロー」の登場を境に、地球には数多くの超人が登場し始めた。

彼らはその力を活かし、地域の犯罪を防ぎ、治安を維持し、中には戦争を阻止するものまで現れた。次第に人々は彼らを“ヒーロー”と呼称するようになった。

折しも、世界各国で相次ぐ政治的な不祥事や遅々として進まない問題解決に業を煮やした市井の人々はヒーローを主体とした自治組織を結成するようになっていった。

当初はそれも比較的うまく行っていたが、やがてヒーローを騙り、権力の掌握や自らの欲望に走る超人的な人物たちが現れ始めた。いわゆる“ヴィラン”である。彼らの毒牙は政権中枢にまで及んでいるとする見方もある。

これを重く見た国連はヒーローとヴィランを見分け、彼らの活動を政治的、実務的に支援するためにヒーローライセンスを発行するようになった。

一方、かねてからヒーローを主体とした自治に取り組んできたヒーローファンの間では異なる動きが見られた。以前から存在していた国連や政府に代表されるような権威的存在に対する疑念から、独自にヒーローライセンスを発行する組織、「世界戦隊連盟」を発足したのである。

現在、国連と世界戦隊連盟は互いに牽制を行いながらも手を取り合っている・・・かのように見える。だがそれはあくまで表面上の話であり、水面下で何が起きているかは分からない。

そして2つの組織の対立と同時に、いまだにヴィランは増え続けている。また原初の英雄、「スーパーヒーロー」の失踪や、ヴィランやヒーローはなぜ生まれたのか等、課題は山積している。

そんな混乱と希望が両立する不安定な世界で、今、新たなヒーローの物語が始まる。

では続いて主人公を決めます。

テンプレは以下の通り
名前:
性別:
年齢:
出身:
主な活動地域:(国家名でお願いします)
能力:
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)

↓4までで最もコンマの値が高いものを採用

風呂に入ってくるので一時中断します。遅くとも23時には再開します。

名前:カチューシャ
性別:女
年齢:24
出身:ロシア
主な活動地域:ウクライナ
能力:氷の弾丸を操る
見た目や性格等の特徴:青白い髪の毛 淡々と仕事をこなすだけの機械みたいな性格

名前:巽 詩音
性別:女
年齢:17
出身:日本
主な活動地域:日本
能力:翼を生やして自由自在に飛翔したり、翼を硬質化して刃物がわりにしたり羽を弾丸代わりにしたり出来る
見た目や性格等の特徴: 黒髪ロングで華奢な細身の少女 内気で気弱だが心優しい性格
来歴:(これはなくてもいいです) 元々は山で捨てられていた赤ん坊で本当の両親は不明

名前:赤崎 灯(あかざき あかし)
性別:男
年齢:17
出身:日本
主な活動地域:日本
能力:自らの燃える心によって作り出されたアイテムを使って特撮っぽい変身
見た目や性格等の特徴:「絆」重んじる絵に描いたような熱血漢だが例え相手が悪党でも誰の思想や考え方でも頭ごなしに否定せず肯定や共感出来るところは素直にする
来歴:幼い頃両親を交通事故で無くし親戚をたらい回しにされた挙げ句孤児院に引き取られた

名前:不破 恭士郎(ふは きょうしろう)
性別:男
年齢:18
出身:日本
主な活動地域:日本
能力:身体能力強化
見た目や性格等の特徴:見た目は無愛想だが中身は熱血
来歴:かつて暗殺剣を扱う一族の子供だったがテロにより父と自分以外の親族は亡くなってしまう
後に父は一般人の女性と再婚しそこの家庭で育つ

初手で高コンマ来ると作っても絶対採用されねえよって諦めそうになるね…

採用されなかったキャラも登場させて欲しいな

コンマはそういうもんや!

この手のスレって設定決めだけで満足してエタってばっかだから後どれだけ設定作ってから本編始めるつもりなのかだけ早めに確認しておきたいわ

採用されなかったキャラも機会を見て登場させるつもりです。

設定決めは、後は主人公に関することを3つほど決めたら本編入ります。その他の設定は本編を進めながら必要になり次第やります。

というわけで主人公はカチューシャに決定です。

ヒーローネームを決めてもらうのを忘れてたのでこれから決めます。

↓3まで多数決
1:そのままカチューシャにする
2:別に名付ける

タイバニ感
2

2

↓3まででコンマの値が2番目に高いものを採用

コンマって十の位程度なら操作できるから反転したほうがいいと思うけど

安価はニヴルヘイム

コンマ関係無く気に入ったもので良くない?

クールキャット

アイスガンマン

ぶっちゃけこの程度の設定は>>1側で決めてもらわないとテンポ悪くなるような

まぁキャラ案とセットでよかったでしょって気はする

ではクールキャットで決定。

>>67
助言ありがとうございます。次からは反転も検討します。

>>68
確かにそれでもいいかもしれないですね。

>>70
そうかもしれませんね。個人的にはみんなで作っていけたらなーという思いがあったので・・・

>>71
すいません、テンプレに入れ忘れてたんです。

次もテンプレに入れ忘れてたんですけど、ヒーローライセンスについてです。これもテンポ悪いかもしれませんが今回の設定決めに関しては大目に見ていただけると嬉しいです。

↓5まで多数決
1:国連
2:世界戦隊連盟
3:ライセンスを持たないモグリのヒーロー

3

2

2

2

2

では2で。

次はカチューシャのヒーローとしての目的について決めます。悪を罰するためとか、なんとなくとか、生きるためとか、何でもいいです。

↓3までで、反転させた上でコンマの値が最も高いものを採用

目的はない、それがヒーローの仕事だからしているだけ

食っていく為の金稼ぎ

自分には何もないけど何かを持っている人達の助けになりたい

では>>81に決定。

設定はいまのが最後です。次の安価を募集したら本編行きます。

ではこれから第1話を始めますが、エピソードのキーワードを募集します。キーワードは「血」みたいなシンプルなのでもいいですし、作中に登場した人名や、適当に〇〇事件とかでもいいです。
↓3まで募集

※これは実験的な試みなので第1話限りになる可能性があることだけご了承ください。

塹壕

バディ

「あなたは誰?」

ビギンズナイト

第1話「邂逅」

···あんたも物好きだな。あれは泥と血に塗れた塹壕でのことだ。あのとき、俺は確かに天使を見た。宗教画に書かれてるような笑顔は持ち合わせちゃいなかったがな。···確かに世間一般からすれば彼女はヒーローとは呼べないかもしれない。だが、命を救われた俺に取っちゃ紛れもなくヒーローさ。

──とある兵士へのインタビューより抜粋

「ブリャコフ、権威主義のクソッタレは見えるか?」

雪と泥でぬかるんだ塹壕の中、腰を下ろした中年の男性が隣りにいた若者に声をかける。

「サー、見えるのは母なる大地だけです」

双眼鏡を覗きながら地平線に目を配る金髪の若者が答える。

「なら良し。ここは政府の犬どもから俺たちの自治区を守る上で欠かせない地だ。奪われるわけにはいかない」

「そのとおりであります。ただ──」

なんだ、とでも言いたげに中年の男がブリャコフを見る。

「我らがヒーローに来ていただいたらすべて解決するのでは?」

「バカヤローが!」

ゴツンという鈍い音と同時にブリャコフは頭に痛みを感じた。

「事はそう単純じゃねえ。色々と“政治的な”問題があるんだよ」

「はっ。ですが、この睨み合いは一体いつまで続くのでしょうか?」

「さあな。奴さんたちが諦めるまでさ。とにかくだな──」

続く言葉は、空を切り裂くような甲高い音にかき消された。

「砲撃だーっ!」

監視員が大声を上げて叫ぶのと同時に轟音が鳴り響き、地面が激しく揺れる。

視界を揺さぶる衝撃波とともに、塹壕の至るところに鉄の破片や土砂が降り注ぐ。

「ブリャコフ、生きてるか!?」

「ゲホッゲホッ···問題ありません!」

「よし!いいか、気を抜くな!すぐに敵が──」

顔についた泥を払いながら突撃銃を構えようとしたその時、視界の端に塹壕の外からこちらを見下ろす人影がうつった。

「っ!」

その軍服姿は間違いなく政府軍のものだ。ブリャコフと同年代か少し上程の敵兵は、ライフルの引鉄に指をかけている。

冷や汗が額を流れるのを感じ、死を意識したその時。眼の前の兵士が口から血を吹いて地面に倒れ込んだ。

「な、なんだ?」

「サー、か、彼女は!?」

顔にこびりついた血を拭いながら、ブリャコフが指さした方を見ると、そこには一人の若い女性がいた。

白い毛皮の外套に、赤いロシア帽。晴れ渡る空のような青と雪のような白が同居した髪色、そして彫刻のような美しい顔立ちに不釣り合いな鮮血。

彼女は飛び交う銃弾に眉を一つも動かすことなく、こちらを見た。

「命拾いしたね」


なんかミリタリーものみたいになってますが、ヒーローものにちゃんと軌道修正できるとは思います。

今日はここまで。

おつ

おつ

カチューシャは一息つくと、塹壕の中で呆然とする兵士達から正面に視線を戻した。

「何してる!相手は一人だぞ、殺せ!」

政府軍の将校が拳銃を片手に周りの部下に喚き散らしている。

叱咤を受けて政府軍の兵士たちは一斉に銃口をカチューシャに向ける。

「···ふん」

カチューシャが片手を挙げると同時に、彼女の左右に大量の弾丸が展開される。

カチューシャの様子を伺っていたブリャコフがつぶやく。

「あれは···氷?」

カチューシャが片手を振り下ろすと、それに呼応して氷の弾丸が政府軍めがけて飛んでいく。

青白く輝く氷と真っ赤な血が飛び交うさまはどこか美しくもある。

「ええい、身を隠せ!」

将校に言われるまでもなく兵士たちは土嚢や、砲弾によって地面に開けられた大きな穴に既に身を隠していた。

「これで終わり」

カチューシャのつぶやきと同時に、再び氷の弾丸が展開される。ただし、今度は政府軍の頭上に、だが。

腐っても将校、異変に気づいた彼は周りを見渡し、頭上に浮かぶ大量の銃弾に気づいた。

「クソッ──」

そうして文字通り、銃弾の雨が彼らの頭上に降り注いだ。

こうしてこの地での戦いは、突如現れた一人の女性の手によって自治組織側の勝利に終わった。

政府軍と自治組織の塹壕の間、無人地帯をカチューシャはゆっくりと歩く。

ブリャコフは塹壕の縁に腰掛けながらそんな彼女の様子を見ていた。

「どうした、ブリャコフ?」

勝利の祝杯としてウォッカを飲みながら、中年の男性が声をかける。

「いえ···」

言い淀んだブリャコフだったが、カチューシャを目で追いながら言葉を続けた。

「クールキャットの噂は聞いていました。ただ···本当に彼女がそうなのか、と」

クールキャット──ウクライナやその周辺地域で活動しているヒーローだ。とは言っても、大多数のヒーローとは違う、特殊なヒーローでもある。

それはつまり、殺しを躊躇わないこと。そして彼女は自発的に活動することはそう多くなく、基本的には世界戦隊連盟からの依頼を通してのみ活動する。

この特殊な行動規範故に、人によっては彼女のことをヒーローの風上にも置けない“傭兵”だと揶揄することもある。

「あんな人が、どうして···」

そんなブリャコフの様子を中年の男性は鼻で笑った。

「どうした、まさかクールキャットに恋でもしたか?やめとけ、こっぴどく振られるのがオチだ」

「違いますよ!ただ、僕は彼女を見てると何というか···心配になるんです」

「心配だ~?心配されんのはむしろお前の方だよ。さっきもクールキャットが俺たちのケツをふいてくれたおかげで、こうして生きてるんだ」

「そう、ですね」

そんな二人の会話は露知らず、カチューシャは鉄条網と死体を避けながら無人地帯を歩く。

そんなとき、突如カチューシャの背後から声がした。

「死ね、悪魔!」

死体のフリをしていた政府軍兵士のようだ。彼の手にはショットガン。いくらヒーローといえど、この至近距離で散弾を喰らえばひとたまりもない。

だというのにカチューシャの思考は落ち着いていた。彼女にとっては死の存在も、悪魔という罵倒も身近なものだ。とっくにそんなものには慣れてしまっていた。

(死、か···)

そんなとき、また違う方向から声が聞こえてきた。

「危ない!」

↓1声の主は誰?
安価で採用されなかったキャラ、作中の登場人物、新規キャラ、どれでもいいです

>>56のキャラ

声の主はおよそ戦場には不釣り合いな格好をしていた。赤を基調としたフルフェイスのマスクとコスチューム、そして赤い熱気のようなものを帯びている。傍から見ればなにかのアニメのコスプレと思うだろう。

彼は躊躇いもなくカチューシャと兵士の間に立つと、腕をクロスして守りの姿勢をとる。

「クッ···!」

真正面から散弾を喰らった男はうめき声を上げながらも、拳に力を入れると兵士の顔を正面から殴った。

1メートル程吹っ飛んで、兵士は塹壕の中に落ちていった。

「あなた──」

声をかけようとしたその時、男はそのまま地面に倒れて気を失ってしまった。

カチューシャは男を仰向けに寝かし、心臓に耳を当てる。

(生きてる···。外傷もないし、疲労で倒れた?なら、放っておいても死にはしない)

カチューシャは無意識に作り出した氷の銃弾を掌で弄びながら思考を続ける。

(···一応、命を救われた。借りは作りたくない)

仕事を遂行するにあたって借りを作ることほど厄介なことはない、というのが幼い頃からカチューシャが学んできた教訓の1つである。

カチューシャは男を担ぎ上げるとその場をあとにした。


「ん···ここは?」

さっきから止まない振動に思わず目が覚める。

「キーウ」

とっさのことでそれが何処なのか分からなかったが、そう言われてあたりに目を凝らすと市街地の通りを歩いているみたいだ。

ここでようやく男は自分がおんぶされていることに気づいた。

「お、降ろしてくれ!」

17になってまでおんぶされるのは流石に恥ずかしく、思わず声を荒げる。

「わかった」

するとカチューシャはあっさり彼を降ろした。

「あ、ありがとう」

そう言って見上げた先にある顔に、彼は思わず見惚れてしまった。

「あなたは誰?」

しばらく呆けていた男は、こちらを覗き込む瞳に自分の姿が写っているのを認めて我に返った。

「俺は──」

↓1
赤崎のヒーローネームは?


レッドマーゾ

キズナレッド

「赤崎灯、ヒーローネームはレッドマーゾだ」

国連から発行されたヒーローライセンスをカチューシャに見せる。

「私はクールキャット」

赤崎は名前を聞くと握手しようと手を差し伸べる。しかし、カチューシャはその手を取ることなく歩き始めた。

「っ···」

何か気に触ることでもしただろうかと考えながら、赤崎は置いていかれないよう彼女の後を追う。

小走りでクールキャットの横まで移動すると、彼女が口を開いた。

「それで、どうしてここに?」

赤崎はなぜウクライナに?
↓3までで、反転させた上でコンマの値が最も高いものを採用

なお赤崎のヒーローライセンスについてはこちらで決めさせていただきました。

別の国に行く途中にヴィランの襲撃を受けて飛行機が墜落した

氷を使うヴィランを探している

追っていたヴィランが国境を超えて逃亡したため

うまいこと組み合わせられそうなので3つとも採用しますね。


「日本から氷を使うヴィランを追いかけてきたんだ。ただ、そのことがバレてたのか乗っていた飛行機を撃墜されて···」

同じ飛行機に乗っていた人達のことを思い出し、赤崎は悲痛な面持ちになる。

「それで荒野を渡り歩いてたら、気づいたらあの場にいて···」

「そう···」

するとカチューシャは上着の内ポケットから、ヒーローライセンスを取り出した。

「言っておくけど、私はヴィランじゃない」

「別に疑ってなんかない!」

再び大声を出してしまった赤崎は、その気まずさを打ち消そうとするかのように口を開いた。

「俺も質問していいか?」

「ええ」

「···どうして彼らを殺した?」

はじめ、カチューシャは彼が何のことを言っているのか分からなかったが、すぐに目の前の人物が“普通の”ヒーローであることを思い出した。

「やるべきことをやっただけ」

カチューシャの答えに赤崎は顔をしかめる。

「そりゃ、俺だって世界が綺麗事だけで成り立ってるとは思わない。でも、もっとやりようはなかったのか?だって···ヒーローは命を救う存在だろ、奪うんじゃなく」

思いをぶつけるように目の前に立ち塞がる赤崎を、カチューシャはスルーして歩き続ける。

「あなたに理解してもらう必要もないし、何を言われても私の考えは変わらない。ただ、やるべきことを、やっただけ」

「っ···」

赤崎が唇を噛みしめる中、通りの向こうから歩いてきた市民がカチューシャに声をかける。

「やあ、クールキャット!先の戦いでは大活躍だって?ほんと、あんたは俺たちのヒーローだよ!」

確かにクールキャットは普通のヒーローとは違うかもしれない。だが時に、相手の死をもってしか平穏を得ることができない人々もいる。特にここ、ウクライナはその歴史的な経緯を見てもそうだ。

ヒーローの庇護のもとようやく自治を獲得した一部の市民にとって、紛れもなくクールキャットはヒーローなのである。

とはいえ国連はその組織の性格上、人を殺すヒーローにライセンスを与えるわけにはいかない。それ故クールキャットを始めとした、アンチヒーローやそれに類するようなヒーローは世界戦隊連盟が受け皿となっている。

これは国連と世界戦隊連盟との間での、暗黙の分業体制となっている。

「ああ、それにサーシャ婆さんが礼を言ってたぞ。猫を見つけてくれてありがとうってな!」

「仕事だから」

そんな冷たいカチューシャの対応とは真逆で、市民はクールキャットに笑顔で礼を言いながらその場を去った。

「···」

そしてそんな光景──市民に感謝されるヒーローの姿は赤崎がよく見慣れ、憧れてきたものだった。

「ところで、どこに向かってるんだ?」

「私の家」

「はい?」

「だってあなた、今日の宿はないでしょ。うちに泊まるといい」

「えーと···」

ヒーローで熱血な性格とはいえ、赤崎も思春期の男子。喜ぶべきか、嘆くべきか、微妙な心情だった。

だがクールキャットの言うとおりでもある。もちろん国連の支部に連絡すれば手配してくれるかもしれないが、確実ではない。何より、今日はそこまでするほどの体力ももうない。

「じゃあ、お言葉に甘えて。···どうして良くしてくれるんだ?」

「私はあなたに命を救われた。だけど借りは作らないし、仮に作ってもすぐ返す主義なの。だからあなたのヴィラン探しを手伝ってあげる。それで借りはなし」

その言葉を聞いて赤崎は考え込む。

(慣れない土地だし、彼女の力が借りられるのはありがたい。それに、これもある種の絆の始まりかもな。でも──)

「わかった、頼む。ただ、2つ」

「何?」

カチューシャは立ち止まると、振り返って赤崎を見る。

「1つ、できれば殺しは無し。少なくとも俺は誰も殺さない。それでも手伝ってくれるか?」

「ええ」

「よし。じゃあ、2つ。貸し借りは今の時点で無し。俺たちは今から、バディだ!」

カチューシャは首を傾げる。

「どういうこと?」

「だから、その、なんて言えばいいんだ···。とにかく俺たちは互いに背中を預け合う対等な立場、二人で困難を乗り換える、それがバディだ」

1つ目はともかく、正直カチューシャに2つ目の内容はあまりピンとこなかった。何故なら、背中を預けられるものなど居ないというのが、幼少の頃から学んだ別の教訓だからだ。

とはいえここで言い合っても生産性はない。向こうがどう思おうが、自分は彼のヴィラン探しを手伝って借りを返す。それだけだった。

「わかったわ」

それを聞くと赤崎は手を差し出した。

「···はあ」

その手をカチューシャが握ると、赤崎は満面の笑みでこう告げた。

「バディ結成だ!」

第1話、終

早いですが区切りがいいので今日はここまで。

第2話のキーワードを募集しておきます。
↓3まで募集

爆撃

野心

再会

結ばれる絆

おつ

今日は本編は進めませんが、少しキャラを募集します。
まずはウクライナのトップヒーローを決めます。

※トップヒーロー=ヒーローを主体とした自治組織(ヒーロー·コミューン)において強い影響力を持っているヒーロのこと

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用します。

テンプレに少し改良を加えました。
本名:
ヒーローネーム:
ヒーローライセンス:(国連、世界戦隊連盟、無資格のいずれか)
性別:
年齢:
出身:
主な活動地域:(今回はウクライナのみ)
能力:
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)

本名:アレクサンドラ
ヒーローネーム:コールドキャット
ヒーローライセンス:世界戦隊連盟
性別:女
年齢:12
出身:ロシア
主な活動地域:ウクライナ
能力:氷像動物を作って操作する
見た目や性格等の特徴:青白い髪 カチューシャよりは人間味がある程度
来歴:カチューシャの歳の離れた妹、ややシスコン

本名:イグナート・グランキン
ヒーローネーム:シルバーナイト
ヒーローライセンス:世界戦隊連盟
性別:男
年齢:35
出身:ロシア
主な活動地域:ウクライナ
能力:銀を生成し、それを操れる。弾丸として射出も可能
見た目や性格等の特徴:鎧に似た銀のスーツを纏っている。正義感は強いが冷酷で決断的。やらねばならぬことを躊躇わず実行に移す事ができる
来歴:幼い頃はヴィラン組織で銀の生成マシーンとして利用され資金源となっていたが、独自に能力を研鑽しヴィラン全員を皆殺しにして脱走した
世界経済を崩壊させられる危険能力の持ち主として危険視されており、彼を狙う国や組織は多い。シルバーマンは己が自由に正義を実行するために力と地位を望み、世界戦隊連盟のトップヒーローに上り詰めた

本名:エカチェリーナ・ロマノフ
ヒーローネーム:絶対皇女
ヒーローライセンス:国連
性別:女
年齢:25
出身:ロシア
主な活動地域:ウクライナ
能力:絶対零度、あらゆる生命は生存をストップする。
見た目や性格等の特徴:白髪赤目美人。真顔クールキャラだが存外ノリは良い。
来歴:ロシア地域における最強のヒーロー。小さい頃からヒーロー然として生活しまた戦ってきた。そのため市民の命を第一にするヒーローの鑑。

>>114を採用します。あとの二人もおそらく登場させます。

では次は赤崎が追っているヴィランを募集します。

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用します。
本名:(不明でも可)
ヴィランネーム:
性別:
年齢:
出身:
能力:(今回は氷関係に限定します)
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)

ごめんなさい間違えました。採用は>>113です。

ヴィランの案を↓3までどうぞ。

名前:シルバーベルヒ
ヴィランネーム:アイスエイジ
性別:男
年齢:28
出身:アイスランド
主な活動地域:世界
能力:氷
見た目や性格等の特徴:マフィアが来てるような豪華な毛皮のコートを着た長身男。ノリの良い芸術家肌で他人とのコミュニケーションはフレンドリー。
来歴:国際暗躍精鋭組織に所属している。本来群れないヴィランが珍しく連合を組んだ少数による世界組織。世界中で暗躍しており、彼もまたリーダーからの命令に忠実に行動している。

本名:不明
ヴィランネーム:ダイヤモンドダスト
性別:女
年齢:13
出身:北極圏
能力:絶対零度の領域を作り出す。この能力の関係上、他者の氷属性攻撃に対して強い耐性を持つ
見た目や性格等の特徴:白銀のさらさらロングヘアに、仄暗いアイスブルーの瞳を持つ少女。顔つきや体型は年齢よりもやや幼い
性格は悪い意味で天真爛漫。周囲への被害などは一切考えず、自らの思うままに活動する。自分からは平気で他者に暴力を振るうが、暴力を振るわれるのは苦手
来歴:国連や世界戦隊連盟の影響が及ばない地域で生まれる
その異常な能力から忌み嫌われ虐待を受けていたところ、とあるヴィラン組織に救われてそのままそのグループに加わった。彼女の故郷が局所的な絶対零度の吹雪で滅んだのも丁度その日である
彼女は自分を救ってくれたヴィラン組織やその指導者に心酔している

本名:涼宮 蒼冬(すずみや あおと)
ヴィランネーム:白銀
性別:男
年齢:23
出身:日本
能力:凍結
見た目や性格等の特徴:黒髪の短髪で長身。目の下にキズがあり、強面な印象。
気が短くちょっとしたことで怒り周りをよく凍らせる。

>>119を採用します。

ではコンマ判定を一つ行って今日は本編に入ります。

↓1
偶数:巽 詩音
奇数:不破 恭士郎

「それで、どこに向かってるんだ?」

先を行くカチューシャに赤崎が問いかける。

「ここのヒーロー・コミューンよ。そこであなたの追っているヴィランの手がかりが得られるかも」

前を歩きながら、振り返ることもなくカチューシャが逆に赤崎に問う。

「それで、ヴィランについてもう少し詳しい情報は?」

「ああ、本名はわからない。国連のリストではダイヤモンドダストと呼ばれていて、前にも言ったが氷を操る力を持ってる」

「聞いたことない」

「そうか···。年はたぶん10かそこらだと思う」

ふと赤崎の脳裏に日本で見た彼女の姿が浮かんだ。

白昼堂々、人で賑わうショッピング街を襲ったのだ。結局、何がしたかったのかもわからず、挙げ句の上に取り逃がした。

だがそれよりも赤崎が気にかかっていたのは、あんなに幼い少女が強い暴力性を持っていた点だ。

いったいどんな経験を経れば、あのような偏執的な加虐性が備わるのだろう。よほど酷い目にあったに違いない。そう思うと否が応でも拳に力が入る。

「着いた」

そんな赤崎の思考はカチューシャの声によって遮られた。

「ここが···」

赤崎が顔を上げた先には、鮮やかな緑色をした丸みを帯びた屋根に、金色の尖塔が特徴的な建物があった。かつては教会として使われていたのだろうか、歴史を感じさせる佇まいだ。

「行くよ」

カチューシャに促されて中に入ると、大きな空間が広がっていて、大勢に人でごった返していた。

雑談をしに来た老人たち、ヒーローについての展覧を見に来た子どもたち、コミューンの一員として忙しなく働く人々。

そんな人混みの中をすいすいと抜けていくカチューシャに、なんとか置いていかれまいと赤崎は必死についていく。

すいません、タイトル忘れてたのでもっかい最初から投下します。

第2話 「銀と猫と皇女」

ここのヒーローと言えば?そうだな、まずはシルバーナイトだな。確かにチョイと過激かもしれんが、今の時代はああいうヒーローが必要なのさ。おっと、それに絶対皇女も忘れちゃいけねえ。彼女がいる限り悪がのさばることはないさ。それに、何より我らがコールドキャットだ!あんなに幼いヒーローが俺達のために頑張ってんだ、そりゃコッチも頑張ろうって気になるさ!

──ある市民へのインタビューより抜粋

「それで、どこに向かってるんだ?」

先を行くカチューシャに赤崎が問いかける。

「ここのヒーロー・コミューンよ。そこであなたの追っているヴィランの手がかりが得られるかも」

前を歩きながら、振り返ることもなくカチューシャが逆に赤崎に問う。

「それで、もう少し詳しい情報は?」

「ああ、本名はわからない。国連のリストではダイヤモンドダストと呼ばれていて、前にも言ったが氷を操る力を持ってる」

「聞いたことない」

「そうか···。年はたぶん10かそこらだと思う」

ふと赤崎の脳裏に日本で見た彼女の姿が浮かんだ。

白昼堂々、人で賑わうショッピング街を襲ったのだ。結局、何がしたかったのかもわからず、挙げ句の上に取り逃がした。

だがそれよりも赤崎が気にかかっていたのは、あんなに幼い少女が強い暴力性を持っていた点だ。

いったいどんな経験を経れば、あのような偏執的な加虐性が備わるのだろう。よほど酷い目にあったに違いない。そう思うと否が応でも拳に力が入る。

「着いた」

そんな赤崎の思考はカチューシャの声によって遮られた。

「ここが···」

赤崎が顔を上げた先には、鮮やかな緑色をした丸みを帯びた屋根に、金色の尖塔が特徴的な建物があった。かつては教会として使われていたのだろうか、歴史を感じさせる佇まいだ。

「行くよ」

カチューシャに促されて中に入ると、大きな空間が広がっていて、大勢に人でごった返していた。

雑談をしに来た老人たち、ヒーローについての展覧を見に来た子どもたち、コミューンの一員として忙しなく働く人々。

そんな人混みの中をすいすいと抜けていくカチューシャに、なんとか置いていかれまいと赤崎は必死についていく。

階段を登り2階に移動する。やがてある部屋の前に到着した。

「あら、クールキャットさん。今は会議中なのですが──」

全て言い終える前に部屋の中に入っていった彼女を見て、受付係が呟く。

「いつもどおりですね···」

そんな光景を尻目に部屋の中に入ると、そこでは3人のヒーローが議論を重ねていた。

「だから何度言えば分かるんだ?政府の連中は今にもここを掌握しようと、常に睨みを効かせている。隙を見せれば、この地の人々は終わりだ」

一人はシルバーナイト。年の割に深く刻まれた皺が、数々の苦労を経験してきたことを思わせる。

「へえ、あなたって頭まで銀でできているなんて驚きね。わからない?政府側は決して敵というわけではないわ。彼らだって私達が守るべき命よ」

もう一人は絶対皇女。比較的ロシア地域のヒーロー事情に疎い赤崎でさえその名を聞いたことがある。

「コホン...現状維持、でいいのではございませんか?」

そして最後はコールドキャット。その体に不釣り合いな大きな椅子に腰掛けている姿からは、どこか愛玩動物のような可愛らしさが醸し出されている。しかしそれとは対象的に目つきは鋭い。

「…よろしい、今はな。だが、いずれこの問題にも本腰を入れて取り組まざるを得ない。動くのならば迅速に、だ。では私は失礼する」

そうして出口の方へと向かおうとしたシルバーナイトはカチューシャの横に立つと、彼女の肩に手を置いた。

「先の戦いでの活躍は聞いている。流石は私が見込んだヒーローだ。いつもの通り、活動の‘‘支援金’’は振り込んでおいた。今後も頼むぞ」

そう告げると、彼は部屋から出ていった。

「あら、誰かと思えばニャンニャン姉妹の上の方。…相変わらず、血の匂いが落ちないわね」

「シャワーは浴びた」

二人の間に沈黙が流れる。絶対皇女のクールキャットを見る目には、人殺しに対する侮蔑と同時に、どこか捨てられた子猫を見るかのような同情の意もこもっていた。

「ところで、そこの少年は?」

「俺は赤崎灯。ヒーローネームはレッドマーゾだ」

すると絶対皇女は赤崎と同じ目線まで屈むようにして顔を持ってくると、その真っ赤な瞳で彼を見る。彼女の瞳はまるで万華鏡の様に多様な色味の赤が入り混じっている。

「あなたのこと、知ってるわ。野暮用で日本に行ったときに見たのよ」

「えっ?」

「こういうやつでしょ、へんしーん!」

すると彼女は、赤崎がヒーローの姿に変身する際の身振りをしてみせる。

「あー…」

絶対皇女のような名を馳せるヒーローに知られているなんて普段であれば喜ぶところだ。だが部屋に入ったときから彼女は変わらず真顔のままなので、赤崎は反応に困っていた。

「あら、意外とノリが悪いのね。まあいいわ。それじゃ、私もこれで」

そう言い残すと絶対皇女は颯爽とその場を後にした。

(なんかテレビで見るのと違った印象だな。さっきもニャンニャン姉妹とか言ってたし。…ん、姉妹?)

そんな赤崎の疑問は次の言葉で打ち消された。

「会えて嬉しいです、お姉さま」

「元気みたいね、サーシャ」

そう言って椅子から降りると、コールドキャットはカチューシャの目の前まで移動して、スカートの裾をつまみながらお辞儀した。

「その男は…まさか…」

赤崎は明らかに年下の少女にその男呼ばわりされた事に引っかかったが、先にカチューシャが口を開いた。

「彼はバディの赤崎。ダイヤモンドダストという名のヴィランを追っている」

「バディ…ですか。それは…」

赤崎は何故か一瞬、コールドキャットに睨まれた気がした。だがふと目を擦ると、彼女の目はカチューシャに向いていた。

「そういう事でしたら、シルバーナイトに聞いてください」

「わかった」

「キミはトップヒーローなんだろ?このあたりのことなら何でも知ってるんじゃ?」

赤崎の問いに、コールドキャットは彼の顔を見上げながら答える。

「日本がどうかは知りませんが、わたくしは名目上のトップヒーローですわ。人々からの人気が高いから据えられただけで、いわば客寄せのマスコットです」

とはいえ、彼女も強い力を持ったヒーローではあるのだが。

「ここのヒーロー・コミューンを実質的に差配しているのは先ほどのシルバーナイトと絶対皇女のお二人です。そしてシルバーナイトさんは…色々と政治的にも精通している方ですから」

「だから、普通の人が知らないことも知っている、と。なるほどな」

「ええ。ああ、それとお姉さま。師匠とはいえ、シルバーナイトさんにはその…少し気をつけてください」

「どうして?」

「あの方の秘密主義的な傾向は以前からありましたが、近頃はそれが輪をかけて酷くなっています。どんな野心があるにせよ、信条からして少なくともここの人達に害は及ばないでしょうが…」

「わかった」

すると用事を終えたカチューシャを引き止めるように、コールドキャットが袖をつかむ。

「たまにはゆっくりしてはいかが?その、おたがい忙しくしていて、あまり話せていませんし…」

「…考えておく」

そうして部屋を出ると、赤崎はカチューシャに話しかける。

「彼女、コールドキャットは妹だったのか」

「ええ」

自分の妹が組織のトップに立つというのはどのような感じがするのだろうか?そんなことを思いながら、赤崎はカチューシャとともにシルバーナイトの執務室に入った。

電話の最中だったようで、部屋に入るとシルバーナイトが少し待つように手で合図してきた。

「わかった。よし、進めろ。じゃあ切るぞ」

電話を終えると、シルバーナイトは椅子から立ち上がりロシアンティーを淹れ始めた。

「それで、なんの用かな?」

「こっちのレッドマーゾがダイヤモンドダストと言う名のヴィランを探してる。手がかりはない?」

3人分のロシアンティーを淹れ終わったシルバーナイトは、席に座って香りを味わいながら喉を潤した。

「ない、こともない。だが、少し頼みたいことがある」

「頼み?」

てっきりあっさり情報を教えてくれると思っていた赤崎が疑問を口に出す。

「ああ。ヒーローとは言え、全てが対価なしに手に入るわけではない。もしそうなら、それは盗人だ、だろ?」

「…確かに」

実際、悲しいことにヒーローだからという理由で増長し、謙虚さを失うヒーローも何人かいる。そういったヒーローは得てしてヴィランへと転身することがほとんどだが。

「それで何をすればいいの?」

カチューシャの問いにシルバーナイトが口を開く。

「そうだな──」

シルバーナイトの頼みとは?
↓3までで反転した上でコンマの値が最も高いものを採用

我が国が取り逃がしたヴィランが日本に潜伏しているという情報が入ったので協力を要請

力と地位を利用して小規模な不正を行っているヒーローがいる。それを退治してほしい。シルバーナイトが粛清してもいいが、自分一人で何でもやり過ぎると反感を買うため

>>129

取り逃がしたヴィランとは?

↓1コンマ
偶数:アイスエイジ
奇数:白銀

「実は我が国で活動していたヴィランが日本に高飛びしてな。アイスエイジと言う厄介者だ。彼を捕まえてほしい」

「ってことはつまり、はるばるウクライナまでやって来たのに今度は日本にとんぼ返りしろって事か?」

「まあ、そうなるな。本当は他の者に頼もうかと思っていたが丁度、日本人の君が来たのでね」

「私は構わない」

そう答えたカチューシャが赤崎を見る。

「…やろう、情報を得るためだ。それに、ヴィランを止めるのはヒーローの役目だしな!」

「よし、奴についての簡単な情報はこれだ」

そう言って差し出された資料をカチューシャは手に取った。

「ではよろしく頼むよ」

差し出された手を赤崎は強く握る。

二人が部屋から出ようと席を立ったとき、シルバーナイトが口を開いた。

「クールキャット、また以前のように私の下でサイドキックになるつもりはないか?」

「考えておく」

振り返ることもなく、部屋を出ながら彼女はそう言った。

「失礼します」

一礼すると赤崎も部屋を出て、扉を閉める。

相も変わらず先を急ぐカチューシャを追いかけながら、赤崎は後ろ手に渡された資料に目を通す。

「コイツのことは知ってるのか?」

「ええ。何ヶ月か前にここにやってきたヴィラン。飄々としてるけど油断ならない男」

「そうか…。まあ、まずは日本に行かないとな。向こうについたら俺に任せてくれ。一人、力になってくれそうな知り合いがいる」

そうして二人は日本の、東京まで赴いたのだった。

「ここのヒーロー・コミューンに行くべきだと思う」

赤崎に連れて来られたとあるビルの屋上で、忙しなく行き交う車の流れを見ながらカチューシャが意見を口にした。

「まあそう言うなって。ヒーロー・コミューンに入ってくる情報にはヴィランに関わるものが多いだろ」

赤崎の言葉を聞いて、カチューシャは訳がわからないという表情をしながら腕を組む。

「だからコミューンに行くべき」

「確かにな。だけどヴィランに繋がる情報ってのは意外なところからやってくるもんなんだ。少なくとも俺の経験上はな」

そう言った赤崎の目は確信に満ちていた。少なくともカチューシャが度々遭遇した、人を騙す目つきとは違っている。

「いつも通りならもうそろそろのはずなんだけど…ああ、居た!」

赤崎が視線を向けた方に顔をやる。だがカチューシャの目にはオレンジ色に染まる夕焼けが見えるだけだ。だが、よく目を凝らしてみるとその中に一つ、黒い点がある。

その点はどうやらこっち向かってきているようだ。次第に点が大きくなり、やがてそれが赤い翼を生やした人だとわかる。

「おーい、詩音!俺だー!」

いきなり大声を出した赤崎に驚いたのか、詩音と呼ばれた女子は両手で抱えていた買い物袋を落としてしまった。怪我人は居なかったようだが、下ではちょっとした騒ぎになっており、スマホで上空を撮影してる者もいる。

詩音はあたふたと地上の様子を窺っていたが、改めてこちらを見ると猛スピードで接近し、赤崎の隣に降り立った。

「な、何回言えば分かるの、赤崎くん!急に声出さないでって言ったじゃぁん…!これじゃ、また爆撃ガールなんて呼ばれちゃうよ…」

「ハハハ、悪い悪い!後で俺が皆に謝っておくよ」

すると詩音が人差し指をモジモジさせながらカチューシャの方をチラチラと見る。

「え、えーと、そのお綺麗な外国人の方は…?」

「彼女は…クールキャット、ウクライナのヒーローだ」

そう言えば本名を聞いていなかったな。そんなことを考えながら赤崎は話を続ける。

「実は今、アイスエイジって名前のヴィランを追ってるんだ」

それを聞いて詩音が首を傾げる。

「あれ?確かダイヤモンドダストを追ってたんじゃ?」

「あー…話せば長くなる。とにかく、最近変な噂を聞かないか?妙な外国人が居たとかさ。‘‘空飛ぶヒーローの会’’に入ってる詩音なら、何か聞いてないかと思ってさ」

「うーん…」

詩音が両手の人差し指をこめかみに当てながら考え込む。無意識だろうか、翼がバサバサと羽ばたいている。

「これか分かんないけど、最近会ったヤンキーさんが、いつもの溜まり場を怖い大人たちに奪われたって言ってたな~。そこに外国人の人も居たとか」

「時期は?見た目は何か言ってたか?」

「2、3週間前かな。見た目は…ノッポで暑い中毛皮のコートを着てたって」

「ピッタリだな!場所は?」

ガッツポーズをしながら赤崎が喜ぶ。

「河川敷近くの廃工場だって言ってたよ」

「わかった。じゃあ、そこに向かうってことで良いか?」

赤崎の問いにカチューシャは無言で頷いた。

「本当に助かったよ、詩音!困った事があったら何時でも俺を頼れな!それが絆だ!」

詩音が二人を引き止める間もなく、そう言いながら赤崎とカチューシャはその場を去っていった。

「あはは…相変わらずだなぁ。嬉しいような、悲しいような…」

残されたのは詩音の乾いた笑い声だけだった。

今日はここまで。

せっかくなんで詩音のヒーローネーム募集しときます。
↓1


スカイウイング

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すっかり日が沈み、あたりは闇に包まれていた。聞こえてくるのは川の流れる音とカエルの鳴き声だけだ。

「詩音が言ってたのはあそこだな」

二人は近くの物陰に身を潜めながら廃工場の様子を窺う。

辺りに人の気配はない。だが中に誰かがいるのは確かなようで、搬入口のシャッターの隙間からぼんやりと光が漏れている。

「さて、どうする?」

「…2手に別れて奇襲」

「孤立するのは危険じゃないか?詩音の話しぶりからして相手は何人かいるみたいだし」

「なら忍び込んで、敵の戦力を把握する」

「それか、二人で一気に突入するかだな。どうする?」

↓1
1:2手に別れる
2:忍び込む
3:正面から突入する

2

「潜入する」

「わかった」

そうして物陰から出ようとした時、カチューシャはふと気づいた。

「変身は?」

すると赤崎は気まずそうに頭を掻きながら、それなんだが、と口を開く。

「実は変身する時、かなり光ってしまうんだ。それに変身を終えたあとも炎のオーラのせいで、周りを照らしてしまう」

なるほど、とカチューシャは呟く。

赤崎は光を放つことをマイナスに見ているようだが、歩く光源になりそうで便利だ、という感想がカチューシャの頭に浮かんだ。

「だから戦いの直前に変身するよ」

「分かった。なら行こう」

そうして猫のように身軽な動きで廃工場に向かっていくカチューシャを、赤崎は音を立てないように追い掛けた。

二人は割れた窓から工場の中に入ると、放置されたドラム缶の裏に身を隠した。

「積み荷の中身は何か知ってるか?」

黒いスーツを身に纏い、日本刀を持ったイカツイ男が隣の見張りに尋ねる。

「知るかよ」

そう答えた男は拳銃に不備がないか確認する。

「でも気にならないか?」

すると拳銃を持った男は大きなため息をついた。

「あのなぁ、気になる気にならないの問題じゃねえんだよ。信用の問題だ。勝手に中身でも見てみろ、オヤジの評判が地に落ちちまうぞ」

「…それは困る」

「だろ?わかったらその空っぽな頭で見張りの仕事を全うするんだな」

へいへい、と日本刀の男は答えて口を閉じた

「あれは?」

カチューシャが後ろにいる赤崎に振り返ることなく尋ねた。

「あれはヤクザだな。いわゆる…マフィアみたいなものだ。詳しくは分からないがアイツラはただの雇われみたいだな」

「なら、先を急ぐ」

赤崎は頷くと、カチューシャの後を追った。

↓1コンマ
40以上:警備に見つからなかった

先程の小部屋からしばらく進むと、組み立てラインだったと思われる広い大部屋に出た。

部屋の中央には山積みになった黒いケースが散乱している。

当然のことながらその周囲にはドスや銃器を手にしたヤクザが周囲に目を光らせていた。

「あれがさっき言ってた積み荷か?」

「みたい。けどアイスエイジは居ない。もう少し探そう」

「分かった」

二人は足元に注意しながらボロボロのキャトウォークによじ登り、先を進む。

廃工場に電気が通っていないことが幸いして、天井付近はかなりの暗さだったので見張りに気づかれることなく進むことができた。

広場を通過し、キャットウォークから降りたあと、しばらく進んでいると、奥の小部屋から話し声が聞こえてきた。

「ああ。ちゃんと仕事は果たしたぜ?」

カチューシャはその声に聞き覚えがあった。どこか人懐っこさを感じさせるような、一方で小馬鹿にしているような、そんな両面性を備えた軽妙洒脱な声。

「アイスエイジ」

カチューシャは声を落としながら小部屋を指差す。

「本当か?」

そう問われたカチューシャは改めて耳を澄ます。

「大丈夫だよ、ヤツらに俺の素性はバレてない。ぜ~んぶ、アンタの計画通りさ」

ここまで聞いてカチューシャはより一層確信を深めた。

「間違いない」

「…分かった。タイミングは任せる」

カチューシャは頷くと、ドアノブに手をかけた。

↓1コンマ
55以上で奇襲成功

a

ドアノブに手をかけると、カチューシャは躊躇いなくドアを開けた。それと同時に背後から光が漏れてきた。おそらく赤崎が変身したのだろう。

ドアを開けると机に腰掛けながら電話をしている男が目に入った。

赤地に白の毛皮がよく映えるコートに、黒のシルクハット。間違いない、アイスエイジだ。

「へえ」

そう呟くアイスエイジに、カチューシャは躊躇いなく彼の脚を狙って氷の弾丸を飛ばした。が、しかし、アイスエイジはそれを防ぐように氷の壁を現出させた。

「ウオオオォォ!」

気合のこもった掛け声と同時に、カチューシャの横をすり抜けるように赤崎が飛び出した。その勢いのまま赤崎は炎が宿った拳で氷の壁を砕く。

「ブラボー、ブラボー!いいパンチだ!」

壁が崩れて露わになったアイスエイジは大きな拍手で赤崎を褒めた。

「こんな夜遅くに誰かと思えば、子猫に…コスプレ野郎と来た!おかしいな、今夜のパーティーにそんな客は招待してないがねぇ?」

「諦めろ、アイスエイジ!おとなしく投降するんだ!」

その言葉を聞いてアイスエイジは腹を抱えて笑い始めた。

「ハハハハ!おいおい、言ってやれよ、クールキャット。諦めるのはお前たちの方だってな」

アイスエイジの言葉に答えることなく、カチューシャは次の一手を繰り広げる。

↓1
81~ ダメージを与えた(次の判定緩和)
41~80 ダメージを与えた
21~40 膠着
11~20 ダメージを受けた
01~10 ダメージを受けた(次の判定悪化)

今度はアイスエイジの手を狙って弾丸を放つ。しかし氷のキューブが現れ、弾を防いだ。

(弾の雨を降らせれば早い…けど、それだとアイスエイジは死ぬ)

そんな事を考えるカチューシャをよそに、赤崎はアイスエイジに真正面から突っこむ。

「いいねぇ、ガッツのある少年は嫌いじゃない!」

アイスエイジは氷のナイフを2本創り出すと、それを両手で構えた。

赤崎のストレートを横に躱すと、アイスエイジは肩の腱を狙ってナイフを振り上げる。

すかさずカチューシャは氷の弾丸でナイフを弾いた。だがアイスエイジはそれを気にすることなく、ナイフを振り下ろすような動作をする。するとその動きに合わせて、アイスエイジの右手に再び氷のナイフが現れる。

「くっ!!」

赤崎は身体を引き締めるように力を入れる。すると彼の纏っていたオーラが更なる輝きを放つ。すると、赤崎の肩に切っ先が触れるか否かというところでナイフが溶けた。

(…俺の氷を溶かすとは。ポテンシャルは悪くない。だが…)

するとアイスエイジは素早く赤崎の首を片手で締める。

その様子を丁度アイスエイジの側面に当たる位置から見ていたカチューシャは再び弾丸を放つ。

当然それを予期していたかの様に、氷の壁がせり上がる。カチューシャはその壁の横を通り抜けるようにしてアイスエイジの背後に回る。

するとアイスエイジは右手で赤崎の首を絞めたまま、これまたカチューシャが来ることを予期していたかのように左手でナイフを振るってきた。

カチューシャはそれをかがんで避けると、しゃがんだ状態からアイスエイジの顎をめがけて回し蹴りをお見舞する。

「ガハッ!?」

蹴られた勢いで、アイスエイジは自分の作った氷の壁を粉々にしながら吹っ飛んだ。

「ゲホッ、助かった!」

喉をさすりながら赤崎が感謝を述べる。

「まだ終わってない」

↓1
81~ ダメージを与えた(次の判定緩和)
36~80 ダメージを与えた
21~35 膠着
11~20 ダメージを受けた
01~10 ダメージを受けた(次の判定悪化

カチューシャの言葉通り、アイスエイジは立ち上がるとこちらに向かって駆けてきた。

靴のつま先に氷のナイフを創り出すと、赤崎めがけて飛び蹴りをする。赤崎はそれを躱し、カチューシャは弾を撃とうとしたが、アイスエイジは飛び蹴りと同時にナイフを投げてきた。

アイスエイジは受け身を取りながらこちらを向くと、次々と氷のナイフを投げてくる。

すると赤崎がナイフめがけて拳を振り抜く。すると熱波が飛び出し、ナイフはあっという間に溶けた。

赤崎は水蒸気でできた煙の中から飛び出すと、アイスエイジの顔面に再びストレートを繰り出す。

(芸がないなぁ~)

そんな事を思いながら軽く躱そうとしたアイスエイジだったが、丁度避けようと思っていたとこを狙うようにして氷の弾が放たれた。

(クソッ!)

そのまま避ければ弾が頭を貫通して間違いなく死ぬ。それ故、アイスエイジは赤崎の全力を真正面から受けるよりほかはなかった。

再び吹っ飛んだアイスエイジがつばを吐きながら立ち上がると同時に、赤崎の背後にあった入り口からヤクザ達が部屋に入ってきた。

「ようやく来たか、お前ら。給料分の働きはしろよ」

「おうっ!」

↓1
46~80 倒した
21~45 膠着
11~20 ダメージを受けた
01~10 ダメージを受けた(次の判定悪化

赤崎がヤクザ達に向かっていくのを尻目に、カチューシャはアイスエイジと相対する。

「全く、やんちゃな猫は俺の手に余るぜ」

チッ、チッ、チッ、と音を立てながらアイスエイジは人差し指を立てる。

カチューシャは弾を放とうとしたが、それよりも早くアイスエイジが動いた。

再び靴先にナイフを創り出すと、足技による連撃を見舞ってくる。厄介な事に、それだけでなく手に握ったナイフをも振りかざしてくる。しかも度々ナイフの刃渡りを変えてくるので油断ならない。

対するカチューシャも足技を主体として何とかアイスエイジの攻撃を防ぐ。

「おお、子猫ちゃん!少しは腕を、いや爪を磨いたか?」

アイスエイジはそんな軽口を交えながら、笑みの混じった余裕そうな表情のまま攻撃を繰り出す。

喉仏を目掛けて繰り出された蹴りを、カチューシャは左腕と左膝で挟むように受け止める。

「おお!」

驚くアイスエイジをよそに、右手でナイフを折ろうとする。しかし、アイスエイジは掴まれた体勢を利用してカチューシャを投げ飛ばそうとする。

しかしカチューシャもそれに反応し、投げられた勢いを利用して1回転をしながら着地する。アイスエイジが立ち上がる前に弾を放とうとするが、牽制の投げナイフが飛んでくる。

すっかり体勢を整えたアイスエイジがナイフを構える。対するカチューシャはアイスエイジに向かって走りながら弾を2発放った。1発は頭、もう1発は胸だ。

「っと!」

案の定アイスエイジは氷のキューブで弾を防ぐ。

だがそんな事はカチューシャも織り込み済みだった。2つの氷のキューブを踏み台のようにして飛び上がると、肩車のように彼の肩に乗りかかり脚でアイスエイジの首を絞める。

そのままアイスエイジを地面めがけて投げ飛ばすと、ようやく彼は気を失った。

「…ふう」

ふと赤崎の方を振り返ると、向こうも既に終わったようで、ヤクザ達が地面で伸びていた。

「やったな、クールキャット!」

赤崎がハイタッチしようとするが、カチューシャはそれを無視してアイスエイジを引きずって部屋から出る。

「あ、待てよ!…ま、後始末は警察に任せるか」

赤崎はヤクザ達が気がかりだったが、取り敢えずクールキャットを追うことにした。

2人は大部屋の屋外に面したシャッターから外に出たが、そこに待っていたのは複数台の車だった。

「…もう警察を呼んだの」

「いや…」

事もあろうに、車から出てきたのはヤクザ達だった。

2人はすぐに戦闘態勢に入る。

「さて、そこまでだ!大人しく俺達のクライアントを返してもらおうか!」

黒いサングラスをかけたスキンヘッドの男が脅しをかけるように叫ぶ。

「あと3秒で解放しないと、蜂の巣にするぞ」

それを聞いた赤崎に冷や汗が流れる。

「さーん!」

「クールキャット、ここは一旦中に!」

赤崎の問いにカチューシャは答えない。

「にーい!」

(いつも通り…殺せばいいだけ…)

「いーち!」

カチューシャが氷の弾丸を展開する。

「撃てぇっ!」

その言葉と同時に、ヤクザ達の頭上に何かが降り注ぐ。どうやら赤いボールのようなもので、ヤクザ達は次々と気を失って倒れていく。

「これは…」

そう呟くとカチューシャはボールを拾った。よく見ると硬質化した赤い羽根が丸められている物のようだ。

「詩音!」

赤崎が空に向かって大きく手を振る。

そんな光景を上空から見ながら、詩音は一息つくように額の汗を拭った。

「ま、間に合って良かったよ~」

「なるほど、経緯はともかく実に助かった」

シルバーナイトが椅子に腰掛けながら満足そうに微笑む。

「それで、アイスエイジはどうなるんだ?」

「勿論、法の裁きを受けるさ。今は特製の檻に閉じ込めているがな」

「そうか!」

赤崎は満足そうに笑った。

「それで、情報は?」

カチューシャが尋ねる。

ああ、そうだったな、とシルバーナイトは顎の前で手を組む。

ダイヤモンドダストについての手がかりとは?
↓3までで反転させた上でコンマの値が最も高いものを採用


今日はここまで。

神出鬼没ではあるが比較的暑い地域では絶対に見掛けない

最近ある地域で液体窒素の水溜まりが多数目撃されている。ダイヤモンドダストの仕業である可能性が高い

実は先月半殺しにしたのだが別のヴィランの手引きで脱獄した

氷の能力者割と多いな

「彼女はどこに現れるか予測のつかないヴィランだ。だがこれまでの動向を見るに、気温の高い地域には現れないようだ」

それを聞いた赤崎が、そういえば、と呟く。

「確かにダイヤモンドダストが現れるのは北海道や東北だったな。東京でも事件を起こしてたが、決まって冬だった」

「だけど、寒い地域なんていくらでもある」

カチューシャの言葉を聞いて、シルバーナイトは軽く笑った。

「確かにな。だが少なくとも世界中を這いずり回る必要はなくなっただろう?何であれ彼女を見つけたいのであれば、寒い地域を当たるといい」

「そうだな!シルバーナイト、本当に助かった!」

「構わないさ。クールキャットは私が信頼しているヒーローだ。であれば、彼女がともに行動している君を助けるのも吝かではない」

すると赤崎が握手をしようと手を差し出した。シルバーナイトは笑顔を見せながらそれに応じる。赤崎の目にはそれが友好の証であるように映った。

だがカチューシャにはそれが他人を利用するときの作り笑顔のように見えた。彼女はそういった顔には鋭敏に反応する。

「追加の情報が入れば君たちにも教えよう。では仕事もあるので、そろそろ…」

「そうだな!」

そう言うと今回は珍しく赤崎が先に部屋を出た。

カチューシャは去り際に改めてシルバーナイトを見る。

「どうした?」

彼は笑顔を崩さない。

「…何もない」

そう告げるとカチューシャは部屋を出て扉を閉めた。

そうしてカチューシャの自宅に帰る道すがら赤崎が口を開いた。

「これで1つ前進だな!」

そんな赤崎をよそにカチューシャは思慮に耽っていた。

(私の知っているシルバーナイトはどこまでも合理的なヒーロー。正義のために、正義とも思えないような冷徹な決断を下す)

そんな彼が親切心でダイヤモンドダストの情報を教えてくれたとはとても彼女には思えなかった。赤崎はすっかり彼のことを信じているようだが。

(そもそもどうしてシルバーナイトはダイヤモンドダストの情報持っていたの?少なくともレッドマーゾが来るより前から彼女を探ってたことになる)

一時的とはいえ、ここから遠く離れた日本で活動していたヴィランの情報をわざわざシルバーナイトが探っていた。その事実がカチューシャには引っかかる。

(それに…関係あるかはわからないけど、思えばアイスエイジも何か変だった。どこか手を抜いていたような?)

電話の内容もカチューシャの疑念を深める材料だ。

(彼は何かの計画を進めている様子だった。それも他人に従って…)

基本的にヴィランとなる人物は往々にして我の強い人物ばかりだ。そんな彼らが徒党を組むことは──一時的なものを除いて──そう多くない。ましてや、従えることができる人物などいるのだろうか?

「大丈夫か?」

カチューシャの思考は顔を覗き込んできた赤崎によって中断された。

「悩みがあるなら言ってくれ。俺たち、バディだろ!」

そう言った赤崎の笑顔は、薄暗い荒野の中で周りを照らす焚き火のようだった。

彼の赤い瞳。見ている者の心を穏やかにするような温かい光。

「何でもない」

だがその光はカチューシャのもとには届かないようだ。光はいずれ消える。ならば最初から暗闇に身を置くほうがいい。そうすれば、惑わされることもない。

第2話、終

では第3話のキーワードを↓3まで募集します。

>>159
ヴィランに関しては私が氷限定で募集したからですね。もしかすると差別化のためにもダイヤモンドダスト以外のヴィランの能力を、アイスエイジも含めて変更するかもしれません。

そして非常に短いですが今日はここまで。

雪解け

3人組

氷と翼

おつー

第3話「暗躍する影」

作戦名:サプレッション作戦
概要:国防高等研究計画局が新たに開発した試作兵器AH01、通称─(検閲済み)─の性能試験評価を行う。試験地及び対象は─(検閲済み)─に決定された。具体的な手順として─(検閲済み)─が考えられる。
備考:他国における許可のない軍事行動であるため、本作戦に従事する隊員たちの公的な取り扱いは退役兵となる。

──アメリカ国防総省の内部リークより抜粋

とある地域の荒野、雪嵐が吹きすさぶ中、三人の屈強な男たちが洞窟の中で暖を取っていた。

「目的地までは後4日ってところか」

僅かな明かりのもと、地図を読み解きながら男が呟いた。

「…今回の任務、どう思う」

すると、味が良いとは言えない戦闘糧食を食べていた男が口を開いた。

「どうって、何がだ」

「…ターゲットについての情報が正確すぎる。こんなピンポイントに何処に行くか分かるはずがない」

「だが、情報部の連中はこれにかなりの力を入れているようだ。そのおかげじゃないか?」

「…だといいがな。奴らを信用していないわけじゃないが、出来過ぎている気がする」

すると洞窟の入り口の方で見張りを行っていた男が口を開いた。

「そんな事より交代の時間だ。寝させてくれ」

「分かったよ」

『日本のヒーロー、スカイウイングの実態に迫る!』

そう題されたネットニュースを、赤崎はカチューシャの自宅で読んでいた。

『日本の読者にとっては爆撃ガールという名前の方が馴染み深いであろうこのヒーローについて、新たな実態が明らかになった!これまで彼女が爆撃してきたものは自身の財布、買い物袋、カバンと枚挙に暇がないが──』

「ハハハ、相変わらずの扱いだな」

あたふたと慌てふためく詩音の姿が赤崎の脳裏によぎる。赤崎はそのまま記事をスクロールする。

『──そんな彼女だが、つい最近手柄を上げたようだ。アイスエイジと称されるヴィランの密取引を防いだのである!警察によると貨物の中身は大量の銃器であり──』

「へぇ~。おーい、クールキャット!」

すると赤崎はリビングで何らかの資料に目を通しているカチューシャに記事の内容を伝えた。

「大量の銃器…」

カチューシャは資料をめくる手を止め、目を瞑る。

(アイスエイジがただの銃器密売をしていただけ?…何か引っかかる)

だがその思考は携帯にかかってきた世界戦隊連盟からの電話に遮られた。

ちょうど同じタイミングで赤崎にもメッセージが届いたようで、アイスエイジのことは2人の頭から消え去った。

「はい」

「私だ」

その声はシルバーナイトのものだった。

「どうかした?」

「ああ、ダイヤモンドダストに繋がるかは分からんが、気になる情報が手に入った」

カチューシャは返事をせず、無言で話し続けるよう促す。

「何でもここ最近、西部の山岳地帯でヴィランが活動したと思しき痕跡が見つかった。残念ながら背格好や性別は分からないが、可能性はあると思ってね」

「…分かった。調べてみる」

「そうしてもらえるとコチラとしても負担が減る。では健闘を祈る」

そう告げるとシルバーナイトからの電話は切れた。

今伝え聞いたことをレッドマーゾにも伝えるためにカチューシャは口を開こうとしたが、赤崎が先に話を始めた。

「なあ、前会った詩音って覚えてるよな?」

カチューシャの頭に、内気な性格とは不釣り合いな真っ赤な羽を広げた女子の姿が浮かぶ。

「ええ」

「実はその詩音がこっちに来るらしいんだ」

「そう」

その返答に赤崎は呆気にとられた。

「理由とか、聞かないのか?」

その言葉にカチューシャは氷のような冷たい目で応える。

「私には関係ないこと」

「…とにかく、詩音が来るんだ。ってのも───」

↓1詩音が2人のもとへ来る理由は?

日本とロシアのヒーローが共闘しているのでこれを気に両国の関係を円滑にしていきたいという上の目論見がありその第一歩として両国のお使い役に指名された

数日前に自分はヴィランだと言い張る子供が襲って(?)来た
どう見ても普通の子供だったが居候という形で居ついている
何かヴィランの事件に巻き込まれたかもしれないので、一緒に調査して出来れば子供の両親を探して欲しい

突然の休暇を貰ったため、赤崎へ個人的に助力しに来た

「俺も難しいことはよくわからないんだが、政府から国連を介してこっちに来るようお願いされたらしいんだ。聞いた感じでは俺とクールキャットがバディを組んでることをきっかけに、日本とロシアの間で良好な関係を築きたいとかなんとか」

「そう」

「あー、だからしばらく詩音も俺達と一緒に行動するらしい。いいか?」

「ええ」

というより、カチューシャにしてみればどうでもいいというのが本音だ。国家同士の駆け引きも、レッドマーゾやスカイウイングの意向もどうでもいい。ただ借りを返す、それだけだ。

「ところで、1つ情報が手に入った」

カチューシャは先程シルバーナイトから聞いた話をそのまま赤崎に伝えた。

「その西部の山岳地帯ってのは寒いとこなんだろ?」

「ええ」

「なら、可能性はあるな!ほんの少しでも可能性があるなら行くに決まってるさ!丁度詩音が空港につく頃合いだ。迎えに行って、そのまま現地に向かおう!」

「分かった」

そうして2人は空港へと向かった。

「お、いたいた!おーい、こっちだ!」

赤崎が詩音に向かって大きく手を振る。それを見た詩音は重そうなキャリーケースを2つ引っ張りながらコチラへと小走りで向かってくる。

「赤崎くん!」

先程まで強ばっていた詩音の表情がみるみるうちに和らいでいく。

「ひ、ひとりで海外に行くなんて初めてで、すっごく緊張したよ~」

「それぐらい大したことないだろ?」

「私にとっては大事なの!」

「それに荷物多くないか?」

「多くない!」

すると詩音がカチューシャの方を見た。どうやら正面から目を合わせることはまだ無理らしい。

「え、えと、よ、よろしくお願いします。赤崎くんから聞いてると思いますが、私の名前は巽詩音です。ひ、ヒーローネームはスカイウイングです」

深々とお辞儀をする詩音を見ながらカチューシャは、わかった、と手短に挨拶を済ませる。

「それじゃ早速で悪いけど、今から西部の山岳地帯に行くぞ。荷物はそこの国連のスタッフさんが運んでくれるからな」

詩音がこくりと頷く。

「じゃあ、乗って」

カチューシャはリモコンで車の鍵を開けながら2人に告げた。

そうして目的地へと向かう道中、後部座席に座った詩音が声を落としながら隣の赤崎に尋ねた。

「あの、クールキャットさんっていつもあんな…感じ?」

「ああ。変わらないぞ」

それを聞いて詩音は胸をなでおろす。

「よ、良かったよ~。てっきり私、嫌われてるのかと」

「そんな事ないさ。俺が家にいるときもいつもああだし、誰に対してもああだと思うぞ」

その言葉を聞いた途端、詩音の眉がピクリと動いた。

「い、家?」

「ああ、言ってなかったな。今は彼女の家に泊めて貰ってるんだ。最初は色々と問題あるかと思ったが、無下にするのもあれだし、それに意外と居心地が良くてな」

「…い、いや、大丈夫じゃないでしょ!そんな若いふたりがひ、1つ屋根の下なんて…!」

突然の大声に耳を塞ぎながら、赤崎は必死に弁明を試みる。

「い、言いたいことは分かるけど、現に何もないし大丈夫だろ?」

「そ、そういう事じゃなくて…。もしゴシップ記者とかに嗅ぎつけられたらどうするの!」

「いやー、誰も俺のゴシップに興味なんかないさ」

その言葉を聞いて詩音は大きくため息をつくと、それっきり目的地に着くまで口を開くことはなかった。

山岳地帯の麓に続く森林の入り口で、3人は車を降りた。

「ここからは歩きながら、痕跡を探す」

カチューシャの言葉にふたりとも頷く。

「これを渡しておく」

そう言ってカチューシャが取り出したのは無線機だった。

「別行動するときはこれで連絡を取ること」

そうして3人は森の奥へと足を踏み入れる。

どこまでも続く木々と白い雪。カチューシャの案内がなければとっくに日本人2人は遭難していただろう。それどころか地元の人間でも下手をすれば迷いかねない。

「これだけ見通しが悪いと、ヴィランを見つけるのは苦労しそうだな」

「うん…。森の中じゃなかったら、私が上から手伝えるんだけど」

すると赤崎が大きなくしゃみをした。

「追跡がバレる。静かにして」

「わ、悪い」

気まずそうに頭を掻く赤崎に詩音がカイロを渡す。

「いいのか?」

「うん。私は羽のおかげでそこまで寒くないから」

「羽?」

貰ったカイロを頬に当てながら赤崎が尋ねる。

「うん。ほら、羽毛があるからそれで熱がこもってあんまり寒くないの」

「へぇ~、羽ってのは飛べるし暖かいし便利だな!俺も変身すればかなり暖かくなるんだが…」

すると2人は突然止まったカチューシャの背中に激突した。

カチューシャが無言で指を指す。その方向には小さな山小屋があった。

3人は素早く山小屋の入り口近くに移動する。カチューシャの合図とともに、3人は室内へとなだれ込んだ。

「これは…」

「もぬけの殻、だな」

「うん。ちょっと調べてみようよ」

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用

ごめんなさい。何を見つけたかです。
↓3までどうぞ

蛙の氷漬け

謎の薬

血液の痕

特に矛盾もないので3つとも採用します。

「な、なにこれ…」

詩音が吐きそうな顔をして指差したところには、氷漬けにされた蛙が置いてあった。

「非常食」

「ひ、非常食って…。蛙を食べるんですか?」

「味は悪くない」

「た、食べたことあるんだ…」

「2人とも!こっちに来てくれ!」

そう叫んだ赤崎は裏口近くの窓際にしゃがみこんでいた。

「こ、これって…」

「ああ、血だ」

窓のあたりには飛び散ったガラス片とともに血痕が付着していた。

「…誰かに襲われたみたいだな」

「それじゃあ、ここで誰かがヴィランに襲われたってこと?」

「かもな」

付近を見渡していたカチューシャは、血痕が続く裏口のすぐ横に小さなシリンジが落ちていることに気がついた。中身は青色の液体だ。

「それは?」

「分からない。鎮痛剤の類かも」

「麻薬とかじゃないですよね…?」

後で成分を分析してもらおうと、カチューシャはそれをポッケに突っ込んだ。

そのまま裏口から外に出ると足跡が続いているのを発見した。

「どうやら怪我をした人物は慌てて逃げ出したみたいだな」

「だね」

カチューシャは周りを見渡して、ある違和感に気づいた。

「1人分の足跡…」

「ど、どうしたんですか?」

「ここには逃げた者の足跡しかない。なら、襲撃者はどこに?」

こめかみに手を当ててしばらく考え込んだ後、詩音は目を見開いた。

「私みたいに空を飛ぶヴィランなんじゃないですか?」

カチューシャは上空を見渡す。

「飛ぶには少し木が多い」

「うーん。じゃあ…」

そんな2人の会話を赤崎が遮る。

「とにかく!この跡を追えば、少なくとも怪我をした人には会えるさ!」

「…ええ。行きましょう」

そうして3人は足跡を追いながら、更に森の奥へと進んでいった。

↓1コンマ 遭遇したのは?
00~15 何者かと交戦するヴィラン
16~70 3人組
71~ ヴィラン

戦っているヴィランとは?
>>120か新キャラでお願いします。

新キャラの場合は以下のテンプレートでどうぞ
本名:(不明でも可)
ヴィランネーム:
性別:
年齢:
出身:
能力:
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用

本名:無し
ヴィランネーム:キメラ
性別:不明
年齢:不明
出身:不明
能力:異能力は無い
見た目や性格等の特徴:色んな動物が組み合わされたおぞましい化け物
来歴:手軽に戦力を増強させるために作り出された兵器

名前:テオドシウス・ローディアヌス
ヴィランネーム:シャドウ
性別:男
年齢:30
出身:ギリシア
主な活動地域:世界
能力:影中移動や影操作などの影支配系能力
見た目や性格等の特徴:ギザギザボロボロの黒衣と大鎌を常に持ち歩いている危ない人。ただのクソ真面目殺し屋さん。
来歴:暗殺稼業の一族に生まれた生粋のヒットマン。金次第で誰でも[ピーーー]が仕事以外では虫も殺さない。金を積めば暗殺以外でも何でもする。ベビーシッターから暗殺までなんでもござれ。影からの奇襲が得意。

>>120

本名:ダグラス・ハワード
ヴィランネーム:博士
性別:男
年齢:26
出身:アメリカ
能力:毒
見た目や性格等の特徴:白衣の似合う伊達男。仮面をしており素顔は不明。毒物使いのため戦う相手は掠り傷すら致命傷になり得る。性格は糞オブ糞
来歴:優秀な研究者だが研究のためにやり過ぎたため学会から追放。しかしある組織からの支援を受け裏で研究を続ける。様々な兵器を作り出すが基本的にヒーローからもヴィランからも嫌われたトップクラスのお尋ね者。

本名:不明
ヴィランネーム:アイスクローン
性別:女
年齢:0
出身:無し
能力:氷系で何かの能力が一つ
見た目や性格等の特徴:見た目はヴィラン側がこれまで確認してきた氷系能力者の誰かに酷似している傾向がありそれぞれ差はあれど基本的に能力はそれほど強くないが数が多い
来歴:数々の氷系能力者のデータや採取した細胞などで作り上げた安く多く作れるクローン

すいません、今回は人型のヴィランを想定してたので>>181ではなく、2番目に高い>>183を採用します。

そんでもって氷系が多いので涼宮の能力は放電、ヴィランネームも雷光に変えさせていただきます。



暫く足跡を追って森の中を進んでいると、ものすごい爆音が聞こえてきた。

「な、何だ?!」

一行が先を急ぐと、少し開けた空間に出た。

そこでは凍った滝を背後に謎の3人組と戦っている黒髪の男性がいた。

「ど、どういう状況なんですか?!」

詩音の困惑した声は、目の下のキズが特徴的な若い男性の指先から閃光が走ったと同時に突如鳴り響いた爆音にかき消された。

光の先では、謎の3人組が隠れていた大きな岩が小さな煙を上げながら真っ二つに割れている。

カチューシャはいち早く状況を把握しようと集中する。

(恐らく、シルバーナイトが言っていたヴィランはあの男)

それは間違いないだろう。だが何より不可解なのは彼と対峙している3人の男だ。

彼らが一般人でないのは火を見るよりも明らかだ。寒冷地仕様に調整、塗装された白い軍用装備。所持している装備、銃器、いずれも先進国の特殊部隊が使うような一級品。少なくともチャチなギャングや犯罪者ではない。

(だけど彼らの情報は何も聞いていない。シルバーナイトは彼らの事を知らなかった)

彼女の脳裏にまたもや妹の言葉がよぎる。

『あの方の秘密主義的な傾向は以前からありましたが、近頃はそれが輪をかけて酷くなっています』

(…あるいは彼はこの事を知っていたけど敢えて隠した、か。もしそうなら、あの3人組から情報が得られるかも…確証はないけど)

ヴィランを止めるにしても素性のしれない集団と関わり合いになるのは厄介事を招くのみ。しかし仮に静観すると決めたとして、赤崎は従うだろうか?

(…決めるしかない)

↓3まで多数決
1 3人組に加勢してヴィランを止める
2 ヴィランも3人組も無力化する
3 静観する

2

3

2

2に決まったところで、今回はここまで。

おつー

どちらも無力化する。カチューシャがそれを伝える前に、赤崎は木々の合間を通り抜けると3人組に向かって叫ぶ。

「撃つのをやめろ!俺はヒーローのレッドマーゾだ!」

突然現れた闖入者にヴィランも3人組も、状況を計りかねていた。

そんな様子を動揺しながら見守る詩音と異なり、カチューシャは唇を噛む。

(まずい…このまま共闘する流れになったら無力化して情報を聞き出すことができない…)

そんなとき3人組のうちの1人が銃口を赤崎に向けた。もっともその射線上には赤崎より奥に居るヴィランも含まれていたので、本当に赤崎を狙ったかは分からないが。

だがカチューシャはそれを、対立に持っていく絶好の機会だと捉えた。氷の弾丸を1発、男の頬をかすめるように放つ。男の頬からは血が流れ出た。

その瞬間全員の視線がカチューシャに集まる。

「クールキャット!?」

そう叫んだ赤崎の目は、どうして、と訴えかけるようだった。

するとすぐに多数の銃弾がカチューシャ達を狙って飛んできた。赤崎は慌てて変身を終えると、詩音と同じ様に木の裏に急いで身を隠す。

「なんで撃った!」

語気とともに、赤いオーラが激しく揺れる。

「ごめんなさい、威嚇射撃のつもりだったの」

赤崎の方に視線を送ることもなく、カチューシャは淡々と答えた。

「お、落ち着いて、赤崎くん!銃で狙われてたのは事実だし…」

マスクに覆われて表情は分からないが、身体を纏うオーラの具合から、赤崎は冷静さを取り戻したように見える。

「…分かった、こうなったら仕方ない。取り敢えずどっちも黙らせるぞ!」

「ええ」

「う、うん!」

一方で、ヴィラン──雷光と呼ばれる涼宮蒼冬──は苛立ちを募らせていた。

(ただでさえ訳のわかんねえ軍人野郎どもに襲われてんのに、ヒーローだと!?ふざけんな!)

怒りのあまり目の下の傷跡がピクピクと痙攣している。

そしてその怒りを放出するかのように辺り一帯に電気を撒き散らした。

(…っし、落ち着け。よく分かんねぇが、アイツラは味方同士って訳でもなさそうだ。なら、うまいこと立ち回ればコッチにも勝ち目はある。…それに、まだアレがあるしな)

そして謎の3人組はこの場にいる者達の中で最も冷静だった。

「ふん、まさかヒーローが来るとはな」

弾倉を装填しながら、スキーマスクを被った男が悪態をつく。

「少々予想外だが…やるしかあるまい」

「だな。テストの対象が増えたとでも思うとするか」

↓1
91~ 戦局有利(次の判定緩和)
51~90 戦局有利
31~50 膠着
16~30 戦局不利
06~15 戦局不利(次の判定悪化)
01~05 戦局不利(次の判定大幅に悪化)

「そ、それでどうするの?」

「3人組は私が相手する。近接タイプのレッドマーゾは分が悪い」

「分かった!じゃあ俺はヴィランだな!」

「貴方は…」

カチューシャが詩音の赤い翼に目をやる。それを受けて詩音は恥ずかしそうに羽を折りたたむ。

「その羽、前に会ったときは硬質化してたけど銃弾には耐えられるの?」

「は、はい!」

「なら、貴方は状況を見て適宜私かレッドマーゾの援護を」

「わ、わかりました!」

作戦会議を終えた3人はそれぞれの持ち場へ移動する。

カチューシャは赤崎と詩音の移動の援護の為、3人組に大量の弾丸を放つ。流石の弾幕に彼らは岩陰から一切頭を出せない。

その隙に赤崎は雷光のもとへ駆け寄る。

「ちっ!来んな!」

そう言いながら雷光は指先から、赤崎めがけて電気を放つ。最初の数発は外した。だが、次の一発は確実に当たる。そう思った時、空から鋭利なものが飛んできた。

「なんだこれ…赤い羽根?」

何とか避けた雷光が、羽根が飛来した方向を見ると凍った滝の上に詩音が陣取っていた。

高所を取られた、そう思うのもつかの間、身体の正面に熱気を感じる。慌てて視線を戻すと、レッドマーゾのストレートが目前に迫っていた。

「なにっ!?」

決まったと思った赤崎は、雷光が己の拳を片手で受け止めたのを見て驚いた。

↓1
91~ 戦局有利(次の判定緩和)
51~90 戦局有利
31~50 膠着
16~30 戦局不利
06~15 戦局不利(次の判定悪化)
01~05 戦局不利(次の判定大幅に悪化)

「さて、準備できた」

岩陰に隠れていたガスマスクの男はグレネードランチャーを構えると、カチューシャが隠れている森に向かって発砲を始めた。

着弾と同時に爆発が周囲を襲う。それも数発ではない、数十発だ。加えて軽機関銃による制圧射撃まである。

(かなり連携が取れている…)

そんな事を考えているカチューシャの鼻が妙な臭いを感じ取った。これは何かが焦げているような臭いだ。背後を振り返ってみると木が何本か燃えている。

(焼夷弾…!何発か見当違いのとこを狙ったのかと思ったけど…!)

このままだと火炙りにされてしまう。カチューシャは追い立てられる獣のように森の外に出るが、そこに待っていたのは軽機関銃の弾幕だった。

「クールキャットさん!」

それを見ていた詩音は急いでカチューシャのもとに降り立つと、しゃがみこんで覆うようにして羽を広げて彼女を守る。

「だ、大丈夫ですか!?」

カチューシャが顔を上げると、潤んだ栗色の瞳がこちらを見ていた。

「ええ。貴方は?」

「な、何とか」

辛さを悟られまいと詩音はカチューシャに笑顔を向ける。

「くっ!」

どうしても2人の事が気にかかってしまう赤崎は苦戦を強いられていた。

「ちょこまか避けるなぁ!」

雷光の能力は放電。それ故、単なる殴り合いでも気は抜けない。少しでも掠ってしまえば恐ろしい程の電流が身体を襲うからだ。

赤崎は雷光のパンチ、蹴り、頭突き、それらを触れずに避けるので精一杯だった。

「これならどうだっ!」

雷光は赤崎の目の前で掌を合わせる。すると閃光が走った。

「くっ!?」

目の前で雷の光を見たかのような光景に、赤崎の視覚が混乱する。

その隙を見逃すことなく、雷光は赤崎の頭を両手で掴むと電気を流した。

「ぐあああぁぁぁぁ!!」

↓1
91~ 戦局有利(次の判定緩和)
51~90 戦局有利
31~50 膠着
16~30 戦局不利
06~15 戦局不利(次の判定悪化)
01~05 戦局不利(次の判定大幅に悪化)

「はっ!見掛け倒しなヒーローだったな」

雷光が両手を離すと、赤崎は全身から煙を上げながら膝をつく。

「赤崎くん!」

そのまま倒れ込む、かと思ったが赤崎は手を地面について留まった。

「何!?」

雷光は再び拳を握りしめ、電気を蓄える。

詩音はそれを防ごうと翼の片方だけを振るって硬質化した羽を飛ばす。

「ちっ!」

雷光の右手が赤崎の頭をめがけて振り抜く寸前で、彼は慌てて後ろに飛んで羽を避けた。

だが、今度は詩音が危ない。軍用ヘルメットを被った男が、露わになった詩音の頭に銃口を定める。

引き金に指が掛かったその時。

「…了解」

胸につけた無線機で誰かと連絡を取ったかと思うと、彼は腰にさげていたスモークグレネードを投げた。

そうして3人組は煙の中へと消えていった。

(逃げられた…!仕方ない、当初の目的を果たす)

↓1
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
36~80 戦局有利
21~35 膠着
11~20 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

ラッキー起これ

「赤崎くん!」

詩音は今にも倒れそうな赤崎のもとへ駆け寄る。実際、気力で踏みとどまっているのが精一杯の様だ。

詩音は雷光を睨みつけると、空に飛び上がって戦いを始める。

スカイウイングの羽、クールキャットの氷の弾丸。その両方から四方八方を攻撃されている雷光は、自らに迫るそれらを放電で叩き落とすことで必死だった。

赤い羽根と青白い氷に囲まれる中、雷光はズボンのポケットからとあるシリンジを取り出した。中に入っているのはあの青い液体だ。

(軍人どもは去って、ヒーローも1人は動けねえ。2対1でこっちが数的には不利だが、こいつを使えば…)

雷光は躊躇いなくそのシリンジを首元に刺すと、中身を血管に注入した。血液が体内で煮えたぎっているような痛みと共に、強大な力の感覚が雷光を恍惚とさせる。

「ククク…!」

まるでテスラコイルのように、雷光の周囲にバチバチと電気がはしる。彼の黒の短髪は逆立ち、凶暴さを思わせる表情はより深まっている。

(麻薬でも鎮痛剤でもない…それよりももっとたちの悪い‘‘なに’’か…!)

↓1
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
41~80 戦局有利
36~40 膠着
01~35 敗北

たった一人に負けるか

「はぁぁっ!」

雷光が光り輝く右手を天に掲げると、まるでそれに呼応するかのように彼の周囲に雷が落ちる。

空から攻撃していた詩音も、今は翼を雷に焼かれてしまわないよう地面に降り立っている。

「このままじゃ…」

何とかこの状況を脱したいが、今は少しでも物陰から姿を晒そうものなら、まるで意志を持っているかのような電流に焼き焦がされてしまうだろう。

とはいえ、ただ指を咥えて見ているわけにもいかない。

(これはかなり体力を消耗する…。でもやるしか、ない)

カチューシャは目を瞑り、意識を集中させる。氷のように冷たい意志と力。自分を構成する核。それを解き放つように、息を吐き出す。

目を見開いたカチューシャは右手で指を鳴らす。

すると視界を埋め尽くすほどの弾丸が展開される。そしてそれらは竜巻のように渦巻く。地面や岩を削り取りながら、雷光のもとへと氷の竜巻がすべてをなぎ倒しながら進む。

それを認めた雷光は両手から、巨大な木の幹と同じ程の直径を持った電流を放電する。

氷と電気がぶつかり合い、周囲は激しく照らされる。電流が氷の弾丸に触れて、それを砕くごとに銃声のような乾いた音がこだまする。

気づけば周囲の森はすっかり火が広がっており、その場は異様だった。赤い炎と蒼白の氷と白い光が入り混じる風景。

そんな中、赤崎が立ち上がった。

「くっ…!」

何とか、立ち上がれる程度にまで回復したようだ。或いは気力で何とか立っているのか。

↓1
41~ 勝利
21~40 膠着
01~20 戦局不利

レッド復活

意識を取り戻した赤崎は目の前の光景に驚嘆する。彼のヒーロー人生の中で、ここまでの光景を見たのは初めてだ。

そんな気持ちを振り払うように頭を振ると、赤崎は腕に力が入るかを確かめる。

「まだやれるぞ…!」

氷の弾丸の嵐が遂に全て砕け散り、視界が開けたその時。

赤崎は雷光めがけて全力で拳を振り抜く。そうして放たれた炎の波が雷光を襲う。

(今!)

カチューシャはそれに合わせて雷光の頭上を目掛けて氷の弾を数十ほど放つ。

赤崎は意図していなかったが、炎によって溶けた氷が水となり雷光に降りかかる。

「ふっ、ハハハハ!」

だが雷光は赤崎の炎を防いだばかりか、水にも気づいて放電を止めていた。

「これで俺を倒せると思ったか?甘いんだよぉ!」

そう高らかに宣言した雷光だったが、突如頭を押さえると呻き出した。

「ぐっ…いてぇ!」

その時、力の制御を失った一筋の光が雷光のもとに降り注ごうとしていた。

彼が気づいたときには目の前は既に光に覆い尽くされていた。そして次に訪れたのは暗闇。

「うう…」

だが、その暗闇は死ではなかった。雷光に飛びかかって彼の命をすんでのところで救ったレッドマーゾの影だった。

今日はここまで。

おつー

乙乙

乙です

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「無事、だな」

大きく肩で息をしながら赤崎が呟く。

その言葉を聞いて雷光は目を丸くしていたが、直ぐに気勢を取り戻し、目の前の青年を睨みつける。

「どうして助けた…」

赤崎は呼吸を整えると立ち上がって、雷光に向けて手を伸ばしながら口を開いた。

「ヴィランだろうと誰だろうと、死に値する人間なんていない」

「っ!」

そのとき、雷光の胸中は久しぶりの感覚に騒がしくなっていた。バケモノや異端者、悪党としてではなく、ただ一人の人間としての感覚。まるで春の陽射しで雪が溶けていくように、彼は心を開いた。

「ふっ…」

凶暴さを感じさせる表情は和らいでいき、雷光は赤崎の手を取って立ち上がった。

「わ、私、警察と消防隊と国連に連絡してきます!」

そう言って詩音は少し離れて場所で電話を始めた。

一方で赤崎と雷光のやり取りは少し下がったところから見物していたカチューシャにとって1つの発見を与えた。

これまで彼女は情などというものは、決断力を鈍らせる足かせに過ぎないと考えていた。だが目の前の光景を見るに、必ずしもそうではないようだ。

(だけど…)

しかし学びを得たとはいえ、それを実行するかはまた別の話だ。

(今更自分を変えようとも、変えたいとも思わない。私はこのままでいい)

「それで、何があったんだ?」

赤崎が変身を解きながら雷光に問う。

「ああ、俺はあるガキからこの薬を渡された」

雷光が取り出したのはあの青い薬だ。

「この薬を使ってここらで暴れれば、金をくれるってんでな」

「その子供は、どんな子だった?」

「ああ、奴は…ダイヤモンドダストとか言ったか」

「ほ、本当か!?」

思わず赤崎は雷光の肩を掴む。

「あ、ああ」

「何か…彼女の居場所に関する手がかりを知らないか!?」

ダイヤモンドダストに関する手がかりを募集。今回は居場所とかアジトとかの直接的な手がかりでお願いします。

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用

北極海に浮かぶ国籍不明の戦艦に今は滞在している

カナダ

北の方に周囲一帯ごと氷漬けになった街がある

「そうだな────」

雷光はダイヤモンドダストとの取引を思い返す。

あれはサンクトペテルブルクの工業地帯でのことだ。工場の事務室でのダイヤモンドダストと数人の部下との話し合いの場。

「これを打って暴れろって?」

「そうだよー」

目の前の少女は天真爛漫な笑顔を見せる。

雷光は手渡された薬に目をやる。

「これ、何だ」

「いいものだよ!それをチクっとするだけで最強になれるの!」

テーブルに頬杖をつきながら彼女は足をブラブラさせる。

「…ったよ。金のためだ」

するとその時、部下の一人が少女に耳打ちをした。

「はぁ?なんで!」

まるでおもちゃを取り上げられて駄々をこねる子供のように声を上げる。すると彼女と部下は部屋から出ていった。

「しばらく待て」

そして1人、部屋に残った部下が雷光にそう告げる。

「…ふん」

(コイツらが何もんかは知らねえが、信用できないのは間違いないな)

その時、雷光の目にテーブルの上に置かれた情報端末が入った。

(これだ!)

雷光は監視の目が違うところを向く機会を待ち、それを素早く手に取った。

(パスワードか。当然だな。だが…)

雷光は端末に電気を流して回路の操作を試みる。

(っし!なになに…)

『積荷をムルマンスク州のZATO52に送れ。しばらくそこに滞在する』

(はぁ、どこだよそれ?)

それだけしか確認できなかったが、ダイヤモンドダストが戻ってくる気配を感じたので雷光は端末をもとに戻した。

そして時間は今に戻る。

「ってなわけだ。どこか知ってるか?」

「うーん…」

「知ってる」

後ろに控えていたカチューシャが口を開いた。赤崎と雷光がカチューシャを見る。

「ムルマンスク州はロシアの北方にある州。ZATOは閉鎖都市のこと。ソ連崩壊後、多くの閉鎖都市が開放されたけど、中には今も秘匿されてるものがある。ZATO52は…心当たりがある」

「本当か!」

「ええ。何年か前に、ZATO52が一夜にして氷漬けになったって噂話を聞いた」

赤崎が輝いた目で彼女を見る。一方、雷光はどこか納得いかないという表情だった。

「閉鎖都市…ってことはロシアが管理してんのか?だったらあのガキもロシアの手先ってことか?」

「…一部の閉鎖都市は政府でさえ持て余してる場所もある」

「つまり…分かんねえってことか」

「それで、あの3人組は?」

カチューシャが話題を変えるように雷光に問う。

「…俺もよくは分かんねえ。山小屋で休んでたら急にあのクソ共に襲われたんだ。勿論ぶっ倒そうとしたんだが、うまく力が出なくてな」

「…何か異常はなかった?」

「そうだな…特にないが。あ、そう言えば、山小屋に入る前に首元に違和感があったな」

それを聞いたカチューシャは断りもなく雷光の首元を探り始めた。そして彼女は雷光の後ろ首に何かの跡を発見した。

(これは…針の跡?この男が自ら使った薬でないとしたら、一体…?)

それを確認したカチューシャが側から離れると、雷光は話を続けた。

「そんで…逃げてるうちにここに追い込まれて…まあ、後は知っての通りだ。それで、俺はどうなるんだ?」

「罪は償ってもらおう。まずは国連に引き渡して──」

電話を終えて戻ってきた詩音はカチューシャが近くにいない事に気づいた。

(どこに行ったんだろう?)

暫く辺りを探すと、カチューシャは3人組が居た辺りでしゃがみこんでいた。

「大丈夫ですか?」

「ええ」

(結局あの3人組の正体は分からなかった。つまり…シルバーナイトの疑念についても)

2人の間に沈黙が流れる。気まずさに耐えかねた詩音が先に口を開いた。

「あ、あの、赤崎くんの事…」

「何?」

鋭い声色に狼狽えながらも、詩音は話を続ける。

「え、えと、バディの事、どう考えてるのかなって」

「…何も」

「え?」

カチューシャの答えは詩音が考えていたものとは全く違った。ある意味喜ばしいように思えたが、それ以上に、詩音は彼女の発言に形容し難い悲しみを感じた。

(何もって…さっきも命がけでヴィランと戦ったのに…)

詩音も人付き合いが得意な方という訳ではないが、それでも人と関わることの暖かさを知っている。それがあの赤崎なら尚更だ。

だがカチューシャの態度はまるで、人との関わりを可能な限り排除しようとしている。

(どうして、だろう…)

「おーい、ふたりとも!そろそろ行こう!」

詩音の思考とカチューシャの調査は、赤崎の呼び掛けによって中断された。

「そうね、行きましょう」

カチューシャは立ち上がると赤崎の方へと向かった。

(クールキャットさんは今、何を考えているんだろう)

彼女の背中を見ながら、そんな事を思う詩音も後を追う。

そうして4人はその場を去ることにした。

第3話、終

では第4話のキーワードを↓3まで募集します。

太陽

巨大ロボ

第4話 「閉鎖都市」

ZATOというのは正式には閉鎖行政地域組織を指します。核兵器や新技術の開発の為に設置されたものが多く、その性質上、地図からは抹消され秘匿されているのが殆どでした。ソ連崩壊を機にそれらの多くに名前がつけられ、開放されました。しかしながらその排他的な性格故、一部では現在もその居場所を隠し存続しているものがあると言われています。特にソ連崩壊時には何かと不都合な書類等は内々に処分されたこともあり、その実数は正確には把握できていません。実際にソ連崩壊後、政府の支援を受けられなくなったZATOが大規模な犯罪集団となって命脈を保っていた、というケースも存在します。ですのでこれらの実態を把握することは喫緊の課題とも言えます。

────とある学者の書籍より抜粋

「…うん、うまい!」

「だね。ロシアンティーにハマっちゃうかも!」

赤崎と詩音はキーウの街角にある喫茶店で一休みしていた。

「クールキャットさん、どれくらいかかるかな?」

「さあ?まあ、そう長くはかからないって言ってたし、待とう」

「うん…」

一方、カチューシャは自宅でアレクサンドラと会話をしていた。クールキャットとコールドキャットとしてではなく、姉妹として話をするためだ。

「本当にあそこに行かれるのですか?」

俯きながらアレクサンドラが呟く。

「ええ。そこにダイヤモンドダストがいる」

「ですが、あそこは…」

カチューシャは目を瞑る。

「サーシャ、ただの場所よ」

ゆっくりと目を開きながら、姉は妹に諭すように告げる。

「そう、ですわね」

するとアレクサンドラはカチューシャの手を取った。

「これ、覚えていますか?」

手渡されたものは小さな人形だった。昔、カチューシャがあり合わせの材料を使って作ったものによく似ている。もっとも、出来はそれよりも遥かに良いが。

今よりずっと幼い頃、アレクサンドラはカチューシャが作ってあげた人形をいつも大事そうに抱えていた。

「今度は私からお姉さまに差し上げます」

「…ありがとう。それじゃあ行ってくる」

「はい…」

そうして3人は国境を越え、ロシアへと赴き、ムルマンスク州まで向かった。

カチューシャの運転で舗装もされていない道をゆく。

「ロシアって本当に広いね~」

詩音が窓に顔をくっつけながら話す。

「これだけ広いとノビノビ飛べそうだよ~」

「ハハハ、それにここなら荷物を落としても大丈夫だしな!」

「ちょっと!」

「悪い悪い!」

そんな2人のやり取りをバックミラー越しにカチューシャは見ていた。

「もうすぐ着く」

「本当ですか?」

詩音はキョロキョロと周りを見渡す。やがて丘を越えると、その向こうに大きな氷の塊が見えた。

「…あれ、ですか?」

みるみるうちに詩音の顔が青ざめていく。

「ええ、そうよ」

「これは…氷漬けどころか…」

思わず赤崎も絶句する。

ZATO52──海に面した崖の近くに築かれた閉鎖都市。その全体が氷のドームに覆われ、まるで何かに飲み込まれたようだった。

「ま、まさか、昔からこうなんですか?」

「いえ、こうなったのは数年前だそうよ。一夜にしてこうなったらしい」

「冗談だろ…」

3人は車を降りると氷の壁のそばによる。

赤崎がコンコンと壁を叩く。

「かなり分厚いな。俺の炎でもぶち抜けるかどうか」

「空もザッと見てきたけど、完璧に囲まれてました。崖の方も、何故か崖下までしっかり氷に覆われてました」

「…こっち」

そう言うとカチューシャは近くにある斜面の方へと向かう。

「ここよ」

「これって…」

「排水口か?」

「ええ。ここからなら中に入れるはず」

カチューシャは懐中電灯を取り出すと暗闇の中に入って行った。

「ほ、本当に行くの?」

「当然だろ?」

そう言って先に入る赤崎。詩音は自分の服を改めて確認する。

「気合い入れて来るんじゃなかった…」

ため息をつきながら、詩音は翼を折り畳むと置いて行かれないよう急いで二人の後を追った。

下水道の中は思ったよりもきれいだった。もちろん鼻の曲がるような臭いは染み付いていたが。

「何も流れてない…ね」

「それもそうか。こんなふうになった街に人が住んでるはずもない。そりゃ出るもんもない訳だ」

「き、汚いよ…」

カチューシャは無言で前を歩く。心なしかその速度はいつもより速い。

彼女の脳裏にかつての光景が蘇る。

幼い妹の手を取りながら懸命に暗闇を走る。足元で飛沫が上がり、汚物が顔の近くに飛んでくる。それでもただひたすらに前に進む。妹の手は震えている。…いや、これは自分の手の震えだったか?

「クールキャット?」

レッドマーゾの声でふと我にかえる。気づけばかなり進んでいた。

「…ここから外に出れる」

今日はここまで。

おつ

乙乙

はしごを登ると、大通りに出た。

「きゃあ!」

詩音が叫び声を上げながら尻餅をつく。その視線の先には氷の彫像があった。

「なんだこれ…びっくりさせるなよ」

赤崎が軽く小突く。

「…これ、人ね」

「ああ、人の彫像だな」

「そうじゃない。氷漬けにされた、人よ」

「なっ…!」

確かに彫像にしては随分リアリティのある表情だ。まるで何か恐ろしいものから逃げようとしている顔だ。

「じゃ、じゃあ、これ全部が、人、ですか?」

詩音は辺りを見渡して、そこら中に置いてある彫像に目をやる。中には倒れて砕けたものや体の一部がないものもある。

「そうね…」

「不気味だな。けど…あたりの景色は壮観だ」

街の内部はやはり完全に氷のドームに包まれている。高さも相当のものだ。街そのものも完全に氷漬けになっており、あたかも氷の彫刻でできた街のようだ。

「暗いね。でも、キレイ…」

詩音は空を見上げる。

分厚い氷のドームに覆われた内部は太陽の光も届かずかなりの暗さだ。だが僅かに届いた光が内部で反射し、天井に写り込んで、その様は小さな宇宙のようだ。

それはこのドームを作り上げた者の心を反映しているようにも思われる。太陽も及ばないような暗闇に、僅かな明かりが入り込み、中をぼんやりと照らす。

「ところで、クールキャットはこの街に何で詳しいんだ?」

「それは──」

その時路地裏の方から声が聞こえてきた。

「おい、さっさと来い」

「悪い悪い、こんな寒さじゃアソコも萎びちまってな」

「ったく、トイレくらい見回りの前に行っとけ!」

彼らの足音は間違いなくこちらに近づいてきている。

「隠れましょう」

「ああ!」

3人は近くの建物中に逃げ込み、窓から様子を窺う。

「大体、こんなところに来る奴なんて誰も居ないだろう?」

「そんな事言ってるとお前も氷漬けにされるぞ」

「はいはい…」

そんなことを言いながら見張りと思われる人物達は建物の前を通り過ぎていった。

「ふぅ…」

気が抜けたのか詩音が床に座り込む。

「アイツらは何者だ?」

「分からない。けど1番可能性が高いのはダイヤモンドダストの部下でしょうね」

「だといいんだが。…それにしても─」

赤崎はふと部屋の中を見渡す。どうやらバーか何かの店の類だったようで、特に変わった点はない、氷漬けな事以外は。

「建物の中にいるのに寒いな…」

腕をさすりながら赤崎が呟く。

「ま、まあ、建物ごと凍ってるしね…」

二人をの会話を聞きながら、カチューシャは再び過去の記憶に直面していた。

どのような過去か?
↓3までで反転した上でコンマの値が最も高いものを採用

姉妹で非人道的な組織に誘拐された

元ヴィラン

一番古い記憶
雪原に1人、凍死寸前

双子の妹がいたが現在行方不明

肌を刺すような寒さが過去を思い出させる。それも覚えている中でも、最も古いものだ。

それが何歳ごろだったかも検討はつかない。ただ一つだけはっきりと感じたのは、死の予感だ。

どこまでも続く雪原に、猛吹雪。何故そんなとこにいたのかは分からない。それでもただ一人歩き続け、やがて倒れた。

白い視界が徐々に暗くなっていく。吹雪の音も次第に薄れ、意識が朦朧とする。そして向こうからボンヤリとした影が近づいてくるのを見たのが、最後の記憶だ。

カチューシャは我にかえると、その記憶を振り払うように頭を軽く振る。すると床に落ちている小さな人形に気がついた。

手に取ってよく見ると、それがかつて妹に渡した人形だったことに気がついた。

(どこにいったのかと思ってたけど、こんなところに…)

妹が宝物を失くしたと、さんざん泣き喚いたことが思い出される。それを丁寧にポケットにしまうと、カチューシャは口を開いた。

「これからどうする?」

「当然、ダイヤモンドダストを見つける!」

「でもどうやって見つけるの?私が空から探す?」

詩音が軽く翼をはためかせる。

「けど他にも見張りはいるはず」

「そうですよね…。いっそのことあの人たちの後を追うのはどうでしょう?」

「それか、取り敢えず中心部を目指すのはどうだ?」

カチューシャと詩音の疑問の眼差しを受けて、彼は話を続けた。

「だって、いかにもヴィランが居そうな時計塔があっただろ?」

その答えをきいてカチューシャは静かにため息をつき、詩音は苦笑いするしかなかった。

「とにかく選択肢は限られる。なんにせよ早く決めましょう」

↓1どう動くか自由安価

中心部を目指す

「中心部を目指す、それで行こう!」

「どうしますか、クールキャットさん?」

「…まあ、いいでしょう。最悪何もなくても、時計塔からなら安全に周囲を見渡せる」

「そうですね。それじゃ、いこっか?」

「ああ!」

そうして3人は建物を後にした。

↓1コンマ
20以下で時計塔につくまでに見張りに見つかった

あい

「異常なし、と」

「ボスにどやされる前に帰るとするか」

銃を手にした男たちは車に乗り込むとその場を去った。

「また見張りか、ずいぶん多いな」

「その分ダイヤモンドダストがいる確率も高いってことだよ、きっと」

「だといいけどな」

「…ダイヤモンドダストは少女、それであってる?」

質問の意図が汲み取れず困惑した顔をしながらも赤崎は頷く。

前を歩く二人を追いながらカチューシャは思考を巡らせる。

(ダイヤモンドダストは10歳前後の少女。なら部下という存在に2つ疑問が生じる)

1つは、いくらヴィランといえども幼い子供に、大の大人が─それも見た感じでは犯罪者崩れの─従うのかという疑問。

とはいえこれに関してはある程度の妥当な結論は出せる。赤崎の話によればダイヤモンドダストの気性は激しい。であれば、恐怖によって部下を従えているのかもしれない。

(だとしてもまだ疑問は残る。少女に部下の組織化が可能なのかという点。もしかすると優れた副官のような存在がいるのかもしれない。…けど目的は?)

そんな事を考えている内に、気づけば時計塔の近くまで来ていた。

時計塔は大きな噴水のある広場に位置している。その広場付近は要塞化、というほどでもないが多少手が加えられており、見張りも十数人はいる。

「思ったより多いな。流石に正面から挑むのは無茶だな」

「ええ。ダイヤモンドダストに気取られたくもないし、何とか忍び込むしかない」

「が、頑張りましょう!」

↓1コンマ
35以下で見つかった

「おい、ちょっとタバコ吸ってくる」

厚手のコートを着た中年男性が仲間に語りかける。

「はあ?あんた、見張りはどうすんのよ!」

「お前がいるだろ?大丈夫、ほんのちょっとだけだ」

それだけ言うと男はその場を離れてしまった。

「ったく!これだから中年オヤジは…」

ネオンオレンジのダウンジャケットを着た女性は悪態をつく。すると男が行ったのとは反対方向の塀の向こうから、何かが砕ける音がした。

まさかこんなところに侵入者が来るはずがない、そんなことを考えながらも彼女の鼓動は早鐘を打つ。

銃のセーフティが解除されていることを確認して、塀の向こう側を覗き込む。そこにあったのは氷が砕けちった破片だけだった。

「…ほ、ほら見たことか。どうせ上から氷の粒が落ちてきたとかそんなだろ」

そんな事を呟きながら持ち場に戻る彼女だったが、自分が見張っていた扉が僅かに揺れていたことには気づかなかった。

時計塔の内部では赤崎と詩音が一息ついていた。

「ふう、うまく入れたな」

「クールキャットさんのおかげで証拠も残りませんでしたね!」

「…とにかく中を調べましょう」

時計塔の大きさはかなりのもので、見取り図を見る限り各フロアに複数の部屋が存在しているようだ。

「1つずつ調べるしかなさそうね」

「ああ。とりかかろう!」

そうして3人は1階ずつフロアを捜索した。その殆どは氷漬けになった当時のままが殆どで、あとはいくつか見張りのものと思われる雑貨等が置いてあるだけだった。

そして最上階のひとつ下のフロアまで来た。その中に1つだけ、雰囲気の異なる扉があった。息を合わせて、3人が突入する。

「ひっ!?」

すると中にいた白衣の男が怯えるようにしてしゃがみこむ。

どうやら中は研究室のようだ。いくつかのモニターと実験器具、そして例の青い薬があった。

「おい、大丈夫か?」

赤崎が男に近づこうとするが、彼は怯えたように頭を抱えたまま動こうとしない。

「や、やめてくれ!言われたとおり働いてるじゃないか!?」

その声は酷く混乱しており、かなり震えている。

「お、落ち着け。俺達はヒーローだ」

その言葉に男はビクリと体を震わせる。

「ひ、ヒーロー!?やめろ、放っといてくれ!どうせアンタらもあのヴィラン共には敵いっこない!なにを相手にしてるかもわかってないんだろ!?下手に動いて殺されたくないんだ!」

「かなり怯えてるけど…」

「でも放っとけないだろ?」

「…」

↓3まで多数決
1放っとく
2保護する

今日はここまで。

2

2

2

おつ

「やっぱり連れ出すべきじゃないか?」

赤崎の問いに答えることなく、カチューシャは研究者を見つめる。

(…見張りは居なかった、少なくともこのフロアには)

「と、取り敢えず、顔を上げてください」

そう言いながら、詩音が男の顔を覗き込むようにしてしゃがみこむ。するとその時、男が舌打ちをした。

「え?」

すると男が顔を上げる。若者らしい溌剌とした整った顔立ちで、見るものを強く惹き付ける。だがそこには同時に不気味さを感じさせるものもあった。

彼は素顔ではなく、仮面をかぶっているようだ。よく見ると、高名な科学者たちの肖像──アルベルト・アインシュタイン、ロバート・オッペンハイマー、フリッツ・ハーバーなど──の集合によって、モザイクアートのように一つの顔が形成されていた。

そこには過去の偉人たちに対する、彼なりの敬意と傲慢が込められていた。

男は袖の下から噴射器を取り出し、詩音に向ける。

「な、何ですかっ!?」

中身が噴射されるすんでのところで、カチューシャが密かに用意していた氷の弾丸によって狙いがそらされた。

噴射された液体は詩音の隣にあったテーブルにかかったが、その箇所には拳大ほどの穴が空いていた。

「ちっ…。これだから、ヒーローというのは嫌いなのさ。人の話を聞かずに、傲慢な振る舞いしかしない」

科学者は立ち上がりながら白衣の裾を払う。

「お前、ヴィランか!」

変身を終えた赤崎が男に問う。

「ヴィラン?違う違う、僕はただの博士だよ」

男は気怠げにスプレーを持ちながら戦闘態勢に入る。

「コイツを黙らせる」

「ああ!」

「は、はい!」

↓1
76~ 1発KO
21~75 戦局有利
16~20 膠着
6~15 戦局不利
01~06 戦局不利(次の判定悪化)

ふん

博士と自らを自称した男の動きは速かった。彼が毒が入った容器を放り投げると、炎が燃え上がっているかのように毒の壁ができた。詩音と赤崎を、一歩引いたところにいたカチューシャから分断したのだ。

(…これじゃ弾も防がれる)

赤崎は博士の懐に入り込もうとするが、牽制で放たれる毒の噴射のせいで思うように行かない。

詩音は室内ということで能力がうまく発揮できずにいる。いくつか羽を飛ばして赤崎の援護を試みているが、効果はあまり芳しくない。

↓1
76~ 1発KO
21~75 戦局有利
16~20 膠着
6~15 戦局不利
01~06 戦局不利(次の判定悪化)

はあっ

赤崎たちが決定打を与えられない一方で、博士にも焦りはあった。

(だいたい、僕は武闘派じゃないんだよ。今だって何とか分断して拮抗できてるけどさ。早いとこここから逃げないとね)

幸い近くに出口はあるが、背中を見せようものなら一撃を食らうのは間違いないだろう。

博士がそんな事を考えている内に、次第に毒の壁が消滅しつつあった。

↓1
76~ 1発KO
21~75 戦局有利
16~20 膠着
6~15 戦局不利
01~06 戦局不利(次の判定悪化)

ようやく毒の壁が消えたのを確認すると、クールキャットは弾を2つ用意した。

博士も壁が消えてしまったのは見えていたが、スカイウイングの羽根を避けるので精一杯だった。その上次第に精度がよくなってきている。

そんな博士の窮状に気づいたのかレッドマーゾが仕掛けようとする。白衣の科学者もやられまいと、毒の噴射機を用意する。

「っ!」

鋭い痛みが手の甲を襲う。見てみると、手の甲に小さな穴が空いていた。

「科学者の大事な手に穴を開けるなんて、それでもヒーローかよ…!」

そんな言葉に構うことなく、レッドマーゾは膝蹴りを博士の鳩尾に容赦なく叩き込んだ。

博士は腹を押さえながら倒れ込む。仮面をつけているので表情は変わらないが、口元の方から涎らしき液体が垂れていた。

「こ…降参だよ…」

震えながら両手を挙げて、博士は力なく呟いた。

「や、やりました!」

レッドマーゾは博士を後ろ手に拘束すると、床に膝立ちさせた。

「それで、どうする?」

「情報を聞き出す」

↓1
博士に何を質問する?

こんな設備を用意できる組織はいったい何だ?

まず「あのヴィラン」とは誰のことか

では組織についての募集を行います
テンプレは以下の通り

名前:
目的:

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用

アケロン
国家の解体

名前:アルティメットワン
目的:究極の異能【全知全能】に至りたい

コレクターズ
世界を滅ぼす力を持つお宝の収集

ついでなので組織のボスも募集します
テンプレは以下の通り

本名:(不明でも可)
ヴィランネーム:
性別:
年齢:
出身:
能力:
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)

↓2までで反転した上でコンマの値が高い方を採用

本名:ロギア・ジアース
ヴィランネーム:ファースト
性別:ナゾ
年齢:ナゾ
出身:ナゾ
能力:超強力なサイコキネシス
見た目や性格等の特徴:中性的な見た目をした白髪赤目美人。性格は慈愛と冷酷さが表裏一体で掴みどころがない。
来歴:人間社会の闇をいっぱい見てきて心が痛いから、思ったことを何もかも叶える全知全能を手に入れて世界全てを幸福にしたいと願うようになった人類最初の異能者。願いを何でも叶えることを餌に世界中から選りすぐりの異能者を募り組織を作った。


本名:不明
ヴィランネーム:モノ
性別:女
年齢:不明
出身:不明
能力:能力の強奪と付与
見た目や性格等の特徴:ゾッとするほどに無表情な背の低い銀髪の少女(精神年齢がそれと同じかは不明)

「…どう考えてもあなたやダイヤモンドダストに、こんな設備や大勢の部下をを用意できるはずない。バックについているのは?」

その問いを聞いて博士が鼻で笑う。

「まぁ、教えてもいいか。僕らはアルティメット・ワン」

「アルティメット・ワン、ですか?」

「うん。僕らの…いや、ボスの目的は究極のスーパーパワー、全知全能をその手に得ることさ」

「全知全能?それってあの伝説の“スーパーヒーロー”と同じようなやつか?」

「いや、彼の力よりももっとすごいものだよ。全知全能を手にしたら、願うだけで全てが叶う。この世のすべての仕組みを解明することも、新たに宇宙を作ることも、人々を1つの意志のもと統一することもね」

語っている内容の割に、博士の口調は随分と冷めた物言いだ。まるでそれを侮蔑しているかのようにも思える。

「そもそもヒーローやヴィランがスーパーパワーを扱えるのは、突然変異によるヒーロー遺伝子が原因なのは知ってるよね?」

「そうなのか?」

博士を取り押さえながら、レッドマーゾがスカイウイングとクールキャットの顔を見る。

「が、学校で習ったやつだよ…」

苦笑いをしながらそう言ったスカイウイングを無視しながら博士は話を続ける。

「これだからバカは…。とにかくそのヒーロー遺伝子だけど、実は君たちのそれは不完全な型となってるんだ。にも関わらずその力は凄まじい。なら、それが完全になった暁にはどうなるだろうね?」

薄気味悪い笑い声を上げながら博士は三人を見回す。

「で、でも、どうやって完全にするんですか?」

「そうだなあ、3つ考えられるね。1つ、更なる突然変異による完成。2つ、人為的に完成させる。3つ、ま、これはあり得ないけど、完全な型を持った人物を見つける」

「つまり貴方は型を完成させる為に研究をしている。この薬もその一環?」

クールキャットが例の青い薬を見せる。

「察しがいいね」

「それじゃあ、お前は全知全能を手に入れる事が目的なのか?それで何を叶えるつもりだ?」

博士はレッドマーゾの問いに対し、首を横に振る。

「いや。僕の目的は全知全能を手に入れるお手伝いをしながら、自分の好きなように研究を行う事だよ、予算も制約も、何も気にせずにね」

「そう。それで構成メンバーは?…例えばヒーローや政府の人間が関わってたりする?」

博士は肩をすくめる。

「さあ?僕は研究ができたらいいから、他の奴らはあまり知らなくてね」

「…そう」

↓1
博士に何を質問する?(最後の質問)

ダイヤモンドダストはどこ

「それじゃあ、ダイヤモンドダストはどこ?」

「あのどうしようもない子供なら崖下の港にいると思いますよ」

「どうしてそこに?」

「港といえば当然、船に荷を積み込むためですよ。それくらいプリスクールに通ってる子供でもわかると思いますけど」

博士の馬鹿にしたような物言いは無視しながら、クールキャットは二人に話しかける。

「誰かがこいつをここから連れ出さないと」

「確かにな。誰が連れて行く?やっぱりスカイウイングがいいんじゃないか?」

「そうだね。私ならここのてっぺんからあの下水道まで飛んでいけると思うよ」

「…でもダイヤモンドダストは氷の能力を使う。私とは相性が良くない。だから私がこいつを移送したほうがいいかも」

「何でもいいけど、早くしてくれないかな?腕がかなり痛いんだ」

↓1
誰が博士を外まで運ぶ?

スカイウィング

では今日はここまで。

更新が遅いにも関わらず付き合って頂いている皆様には感謝しています。

「任せてもいい?」

クールキャットは博士から目を離すことなくスカイウイングにそう伝えた。

「あなたなら屋上からあの下水道まですぐにたどり着ける。ここでコイツを逃すのは惜しい」

「わ、わかりました!」

「何かあればこれで連絡を」

クールキャットは懐から通信機を取り出してスカイウイングに渡した。

「それじゃあ俺達は港に向かうか」

「ええ」

「ソイツは任せたぞ!」

そうしてクールキャットとレッドマーゾはその場をあとにした。

残されたスカイウイングは博士の方をチラリと見る。マスクに描かれた顔は真顔のはずだが、どこかニヤついているようにも見えた。

「え、えと、それじゃあ、行きますね?」

スカイウイングは博士の腕を拘束する。

「…飛ぶときは落とさないよう頼むよ」

↓1コンマ
35以下で港につくまでに見つかった

レッドマーゾとクールキャットは街に点在している見回りの目を掻い潜りながら港へと向かう。

氷漬けにされた街は時すらも止まったようで、聞こえてくるのは二人の足音だけだ。

「それにしてもアルティメット・ワン?だったか。博士の話は本当だと思うか?」

「たぶん。実際、奴らはかなり組織だって動いているようだし。それにあの状況でわざわざ嘘をつく理由はない。…狂人でもなければね」

「あんな変なマスクを付けてるんだ、狂人かもな」

肩をすくめながらレッドマーゾが軽口を叩く。

「…あなたが言えた台詞?」

「ちょっと待て、どういう意味だ!このスーツはな──」

そうして特撮のロマンだかなんだかを語り始めたレッドマーゾをよそに、クールキャットは歩みを進める。

そうこうしているうちに二人は崖下に位置する港へと続く区域へとたどり着いた。どうやらここは工業地域だったようだ。その中でも目を引くのは崖下の港と崖上の工場を繋ぐ大きな貨物用エレベーターだ。おそらく資材の搬入や製品の輸送等に使っていたのだろう。

「でかいなぁ…」

「当然見張りがいるわね」

「だな。詩音が居れば楽に行けたんだろうが…。流石にこれで降りたらバレると思うぞ…」

「そうね。他の道を探してもいいけど…」

クールキャットは博士の言った言葉を思い出していた。

「どうした?」

「いえ。ただダイヤモンドダストがわざわざ荷物の積み込みに訪れているのなら、彼女もその船で移動するのかもしれないと思って」

「つまり、急がないと彼女ごと船が出航するってことか?」

「おそらくね」

↓1
1 エレベーターで下まで行く
2 他の道を探してみる

1

「ならエレベーターでさっさと行こう!」

握りしめた右の拳を左の掌に当てて気合を入れるレッドマーゾ。

「それじゃあ行きましょう」

↓1
21~ 見張りを倒した
06~20 足止めされた
01~05 負傷

合図とともにレッドマーゾが飛び出す。

「な、何だ!?」

当然、侵入者に対して見張りが反応する。彼らは慌てて目の前の赤い人物に銃口を向ける。しかし──

「ぐはぁっ!」

「うぐっ!?」

突然彼らの手足に鋭い痛みが走る。痛みに耐えながら傷口を見ると銃創のような跡ができていた。

銃を持った仲間が倒れるのを見て驚きながらも、鉄パイプを持った見張り二人がレッドマーゾに襲いかかる。

「死ねぇ!」

左側から襲ってきたフルスイングを、レッドマーゾが左手で受け止める。

「なっ!?」

見張りの男は何とかその手を振りほどこうとするがびくともしない。

その隙を狙ってもう一人の見張りが右側からレッドマーゾに襲いかかろうとする。だがレッドマーゾは素早くその男の右脛を蹴り飛ばす。

「──っっ!!」

倒れ込む見張りをよそに、レッドマーゾはもう一人の見張りの鳩尾に右手で拳を叩き込む。痛みで手放した鉄パイプを奪うと素早く二人の頭をそれで殴った。

「見事ね」

後ろから近づいてきたクールキャットが声をかける。

「まあな。さあ、早く行こう!」

二人はエレベーターに乗り込むと下へのボタンを押した。しばらくすると大きな音とともに格子戸が閉まり、耳をつんざくような高音をたてながら下降を始めた。

「これ、落ちたりしないよな?」

「…氷漬けの影響があるかもしれない」

その言葉を聞いて、思わずレッドマーゾは格子の隙間から下を見る。とてつもない高さでここから落ちればいくらヒーローでも死は免れない。

「落ちないことを祈る…」

そんな事を言っていると上の方から声が聞こえてきた。

「くそっ!侵入者だぞ!」

「見ろ、エレベーターに乗ってる!」

するとやってきた見張りの何人かが飛び降りてエレベーターに乗ってきた。

「コイツらを殺せ!」

↓1
31~ 見張りを倒した
06~30 足止めされた
01~05 負傷

降りてきた見張りは4人。それぞれ2人ずつレッドマーゾとクールキャットに相対している。

ナイフを持った女がクールキャットに襲いかかる。しかし彼女はナイフを蹴り飛ばした。

すかさず警棒を持った男がフォローに入ろうとする。クールキャットの喉元めがけて突きを喰らわせようとするが、彼女はそれをいなすと見張りの腕を掴んで肘の骨を折った。

「グギャアァァ!」

苦悶の表情を浮かべながら倒れ込む男。女は落としたナイフを急いで拾おうとするが、クールキャットに手を踏まれて阻まれる。女は慌てて顔を上げるが、視界に入ってきたのは膝蹴りだった。そのまま格子に打ち付けられて彼女は気を失った。呻いていた男の顔面に蹴りを入れるとクールキャットは赤いロシア帽を被り直す。

クールキャットがレッドマーゾの方を振り返ると、丁度最後の一人を背負い投げで倒したところだった。

「やったな、ふぅ。…あと、どれくらいだ?」

レッドマーゾがそう呟いた少し後に、大きな揺れとともに格子が開いた。戦っているうちにいつの間にか下に着いたようだ。

だがどうやらまだ終わりではない。身長2メートルは超えているであろう巨漢が目の前に立っていた。

↓1
36~ 見張りを倒した
11~35 足止めされた
01~10 負傷

ゾロ目ボーナスで次の判定緩和

レッドマーゾが巨漢の鳩尾に右ストレートをぶつける。

「…」

スキンヘッドでサングラスをかけた男は首の関節をポキポキと鳴らす。次の瞬間丸太のような腕がレッドマーゾを襲った。

「グハッ!」

吹き飛ばされながらも何とか受け身を取る。

その様子を見てクールキャットは遠距離戦に持ち込もうと距離を取って弾を展開した。だが近くに置いてあった鉄板を軽々と持ち上げるとそれを盾の代わりにして近づいてくる。

「ふんっ!」

巨漢が投げた鉄板を避けることができず、クールキャットは下敷きになってしまった。

「このっ!」

レッドマーゾは二人の間に割り込むと、男の身体に何度もパンチを喰らわせる。だがびくともしていないようだ。

(くそっ!せめて頭に手が届けば!)

男はレッドマーゾの攻撃を払いのけると、首を両手で掴んで彼を持ち上げる。

「ぐっ…カハッ!!」

意識が朦朧として視界が白ばむ。そんな中レッドマーゾは何とか自らのオーラに意識を集中させる。するとみるみるうちにレッドマーゾを包むオーラの温度が上昇していく。

「─っ!!」

思わぬ熱さに巨漢は手を押さえながらうずくまる。その隙に、鉄板の下から抜け出したクールキャットが男の肩に乗りかかる。

両足で首を絞められている男は彼女を引き剥がそうともがくが、それを何とかレッドマーゾが押さえる。

最初は暴れていたが次第に動きが緩慢になり、やがて腕がだらりとぶら下がる。そしてクールキャットが肩から飛び降りるのと同時に地面に突っ伏した。

「ったく、何て相手だ…」

「そうね」

するとその瞬間、一気に周りの温度が下がった。

「クールキャット、近くに!」

あまりの急激な温度変化に手足がしびれる感覚を覚えながら、何とか彼女はレッドマーゾの近くまで移動した。

「なーんか騒がしいと思ったらヒーロー?うっざー」

氷の様に綺麗な、だけどどこかどんよりとした瞳。つややかな白銀のロングヘアー。間違いない、ダイヤモンドダストだ。

「あれ…もしかしてそこのアンタ…」

↓1コンマ
偶数:クールキャットの事を知っている
奇数:特に何もなし

ダイヤモンドダストの無邪気な顔は、クールキャットの姿を認めるやいなや怒りの表情に変わった。

「アンタ…!」

周りの温度が一層低くなる。その上吹雪いてきた。

「おい、知り合いか?」

隣に立つクールキャットに耳打ちする。

「…知らない」

だがダイヤモンドダストがクールキャットに向ける敵意は明らかに他人のそれではない。

「アンタ、許さない!」

「…悪いけど身に覚えがない」

その言葉を聞いてますます彼女の瞳に宿る憎しみの炎は勢いを増す。

「ああ、そう!ならこう言ったら分かる?ワタシも、このZATO52のクソ豚どもの、そしてアンタの被害者の一人!」

その言葉でクールキャットにはようやく意味が分かった。彼女自体に面識はないが、おおよそ予想はつく。

「おい?」

「…今はヤツの相手に集中しましょう」

「あ、ああ」

二人が戦闘態勢に入るのを見て、幼い少女は残忍な笑みを浮かべる。

「キタキタ、そうこなくっちゃ!絶対にアンタをぶっ殺す!」 

↓1コンマ
さっきのゾロ目ボーナスで+10
クールキャットとダイヤモンドダストの相性不利により-10
レッドマーゾとダイヤモンドダストの相性有利により+5
86~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~85 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

メスガキが

くっ

ちなみにですが絶対零度についての化学的知識は適当にググった付け焼き刃の知識なのでご了承ください。

16+15-10=21 戦局不利 

ダイヤモンドダストが腕を振り降ろすと同時に嵐が二人を襲う。

「っ!」

腕や脚に痛みを感じた。小さな切り傷がいくつか見える。

「氷か…!」

氷と言っても普通の氷ではない。極限まで研ぎ澄まされた、刃物のような氷だ。一つ一つは致命傷にはならない。だが頸動脈などの箇所に当たればただではすまないだろう。

(長期戦はまずい…氷で体力を削られる)

痛みをこらえながらクールキャットはダイヤモンドダストに弾を放つ。だが少女が手をかざすとそれはピタリと止まり、地面に落ちてしまった。

(これは…)

そんな時二人の足元が白く光りだすと同時に温度が急激に下がった。

「移動するぞ!」

掛け声に合わせて二人は前転で白い光から離れる。その直後、先程まで二人がいた場所には淡い青色や無色透明の結晶らしきものが転がっている。

「リストに書いてあったとおり、絶対零度だ!」

猛吹雪の中レッドマーゾが声を荒げてクールキャットに伝える。

(かなり強力…勝つには何か弱点を見つけないと…)

「ほらほらどうしたのぉ、もっとかかってきなよ?コワくてうごけない~?」

そう言いながら笑う彼女の顔は実に楽しそうだ。

↓1
クールキャットとダイヤモンドダストの相性不利により-10
レッドマーゾとダイヤモンドダストの相性有利により+5
86~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~85 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

たあっ

戦隊ヒーロー風なら凄い武器とかロボットとか出して見せろレッド!

後出しの説明になって申し訳ないですが、コンマの補正に関しては最低値(01)より下がるあるいは最高値(00)より上がることはありません。なので今回は04-05=01(最低値)となります。

「どうする!?」

自分の熱が下がらないよう必死に気持ちを奮い立たせながらレッドマーゾが問う。

「…もう少し考えさせて」

「なるべく早くな!幸いアイツは積極的には攻撃してこないが…!」

それは恐らく彼女の加虐趣味にあるのだろう、とクールキャットは考えた。人をいたぶってジワジワ苦しむ姿を見るのが楽しいのだ。

(とはいえ早く打開策を見つけないと…)

そうは思いながらもうまくは行かない。レッドマーゾがいるとはいえ、気温は極寒であり頭の回転も遅くなる。くわえて嵐による視界不良まである。

そうこうしている内にも二人の体力は削られていく。

↓1
クールキャットとダイヤモンドダストの相性不利により-10
レッドマーゾとダイヤモンドダストの相性有利により+5
46~ 戦局有利
31~45 膠着
01~30 敗北

どんなチート相手でも弱点見つけて勝つのが戦隊ヒーローだがこのヒーロー達は果たして

特撮風に言うなら序盤に出てくる幹部クラス

(…だめ、早く、しないと。でも…)

身体から血が失われていくのを感じる。体温は体の芯から冷えていく。僅かに感じるレッドマーゾの暖かさも段々と感じられなくなる。

「おい、しっかりしろ!」

意識を失いつつあるクールキャットに必死に呼びかけるものの、彼女は応答しない。

かくいうレッドマーゾもクールキャットよりいくらかマシとはいえ確実に思考は鈍化しつつある。

「ねえ~、もう終わり?」

先程まで二人が苦しむさまを見ていてあんなに楽しそうだった少女はすっかり退屈してしまったようだ。こういったところは歳相応の子供らしさが残っていると言える。

「…なんかこんなにあっさり復讐って終わっちゃうんだね。ま、いいや。今のワタシはアンタみたいなゴミカスよりも太陽のように暖かいロギア様の方が大事だから」

ダイヤモンドダストが両手をこちらに向ける。

「クソッ…!」

二人の足元が白く光り始めた。

(…せめてクールキャットは助けないと!)

元はといえば巻き込んでしまったのは自分だ。そんな負い目を感じていたレッドマーゾはせめてクールキャットだけでも助けようと覚悟を決める。

(恐らくだが…心を燃やし尽くせば絶対零度を凌げる)

だがそれは文字通り精神を燃料にする行為だ。全てが終わった時、彼は廃人と化しているだろう。

(それでも…!)

レッドマーゾは震える腕でクールキャットを抱きしめる。

「な…にを…」

朦朧としながらクールキャットが呟く。

自分の顔はマスクで見えない。そうわかっていながらもレッドマーゾは微笑んだ。

そして光が二人を包み込む。


今日はここまで。今更ですが「皆で作る物語」と銘打っていますので、ご意見ご要望、改善点等あれば遠慮せずにどうぞ。

レッドさん早くも退場か

皆で作るといえどもキャラ設定がたまに作れるというだけで世界観そのものを作る機会がないから世界が拡がらないのはある

>>290
確かにそうですね。でも世界観を拡げるってどんな感じでやればいいですかね?政府の動きとか他の組織を登場させるとかですかね?あんまり大雑把に募集しても皆さんやりにくいと思いますし…
自分でも考えてみますがいい案があれば是非教えてください。

いつでもキャラ設定や要素設定募集受付とか?
読者の案9割使わなくてもだいぶ改編して使ってくれても好きにしてくれて良いんだけど

一方、それより少し前。街の外に博士を運んだスカイウイングは不安に駆られていた。というのも通信機ごしに呼びかけても二人からの返事がないからだ。

「どどど、どうしよう~!?きっと何かあったんだよ!」

ワチャワチャと忙しなく歩き回る彼女を見て、博士が提案をする。

「僕なら、何とかできるかもよ?」

その言葉を聞いてスカイウイングは立ち止まる。振り返るとジト目でマスク越しに見える瞳を見つめた。

「ほ、本当ですか?」

「もちろんさ!僕は人類の為に働く偉大な科学者だよ?」

「…」

もちろんスカイウイングはこの言葉を信じていたわけではない。とはいえ今の自分にできることがないのもまた事実。であれば賭けに出るべきではないだろうか?そんな考えが頭をよぎったのである。

「わ、わかりました!」

彼女は博士の拘束を解いて、二人を助けるよう促す。

手の傷に文句を付けながらも、博士は座りながら白衣の懐からリモコンのようなものを取り出した。さらに何処に忍ばせていたのか小さなモニターまで出てきた。

「さて、と」

博士がセッティングを終えると街の方からとんでもない轟音が聞こえてきた。地面も大きく揺れている。

「な、何ですか!?」

音は崖の方から聞こえてきている。

「ほら、コレ」

博士が指差したモニターに視線を移すとそこにはダイヤモンドダストらしき少女とレッドマーゾとクールキャットの二人が映っていた。

「ど、どういう事ですか?」

「フフフ…これは僕が発明した巨大ロボ、メタロギコンの巨人さ!」

「す、すごいです!」

興奮したスカイウイングの翼が思わずはためく。

「それじゃあ、早く助けてください!」

「断る」

「…はい?」

一瞬の沈黙のあと、博士は嘲笑しながら立ち上がるとスカイウイングの方を向いた。

「まさか本気で僕を信じたのか?君ってピュアなんだね、気に入ったよ」

やはりヴィランに頼るべきではなかったと、歯を食いしばりながらスカイウイングは自分の愚かさを噛み締める。すぐに羽を飛ばそうとするが博士が人差し指を立ててそれを制止する。

「僕に何かすればこのボタンを押す。そうしたら君のお仲間二人は…まあ、肉片…いや床の染みになって見つかるだろうね」

「このっ…!」

「おおっと、落ち着いて。大丈夫、ここから僕を逃してくれれば何もしないさ」

二人の間で睨み合いが続く。

──────

「んん…」

光に包まれた気がしたが、クールキャットはまだ自分に意識があることに気づいた。レッドマーゾが自分に抱きついていることに気がつく。

「ちょっと…?」

↓1コンマ
35以下で死亡

こんま

昔の戦隊は戦隊メンバーで殉職したりレッド途中交代とかあったなあ

でやっ

ここで生きられる運は大したヒーロー力だ

>>292
なるほど、試しに後で募集かけてみます。


「何だ、生きてる?」

クールキャットに抱きついたままレッドマーゾが呟く。当の彼も今の事態に困惑しているようだ。

「な、何だ、あれは…」

振り返ってみると、海中から出現した巨大ロボがこちらを見下ろしながら立っていた。全長はかなりのもので、崖上から海面を覆うようにして築かれていたドーム状の氷の壁の一部が破壊されている。

どうやらロボの方にダイヤモンドダストの気が逸れたお陰で命拾いしたらしい。

「ちょっとコレ!あのクソゲス博士のオモチャじゃん!邪魔しないでくれる!」

そう叫びながら少女は巨人に向かって中指を立てた。そうしてひとしきり罵声を浴びせると、二人の方を振り返った。

「さ~て、邪魔が入っちゃったけど、次で終わらせてあげるね♪」

再びダイヤモンドダストが手をかざす。

今度こそ終わりだ。そう二人が覚悟を決めたとき─

「へぇ、随分と大きいわね」

目の前に居たのは赤い瞳に白髪の女性、絶対皇女だ。

「ど、どうしてここに!?」

赤崎の問いに答える前に彼女はロボに向けて手をかざす。

すると一瞬のうちにをロボの全身が白く変化していく。やがて音を立てて軋みはじめた。急激な温度変化によりパーツの耐久性が脆弱化したのだろう。

左脚がおかしな方向に曲がったかと思うと、ロボは体勢を崩して海に倒れ込んだ。大きな水飛沫はこちらにまで飛んできて、あたりはまるで雨が降っているかのようだ。

その様子を見てダイヤモンドダストの表情が曇る。続けて絶対皇女は少女に手をかざす、が、何も起きない。

(なるほど…私と同じ絶対零度の使い手ね)

自分の攻撃が通用しないとみると、絶対皇女は倒れ込んでいる二人の方を見た。

「たまたま近くを通りかかったらすごい音がしたから立ち寄ってみたけど、まさかアカレンジャーと大きなニャンコに会うとはね」

「と、とにかく助かった!」

意識が落ち着いてきた二人は立ち上がる。そのまま皇女と話をしようと思ったが、何やら海の方が騒がしい。

「あれは…」

どうやら近辺に待機していたアルティメット・ワンの構成員が騒ぎを聞きつけてやってきたようだ。ブラックマーケットで入手したと思われる軍の哨戒艇まである。

「…ここは引きましょうか」

絶対皇女の言葉を聞いて、レッドマーゾは肩で息をしているクールキャットの方を見た。体調は戻りつつあるが万全ではなさそうだ。

「分かった、行こう!」

クールキャットも頷くと、エレベーターの方へ向かった。三人が乗り込むと、遠くの方から少女の叫び声が聞こえてきた。

「このっ…待ちなさいよ!必ず、必ず殺してやるからね、カチューシャッッッ!!」

こちらを指差しながら喚き始めるボスを見て、やってきた周りの部下が銃を撃ち始める。幸い、皇女が絶対零度の力で弾を直前で止めてくれている。

だが全てを防ぎ切ることはできず、何発かがエレベーターのエンジン部分に被弾した。鈍い音を立ててエレベーターが大きく揺れる。

「っ!」

必死に手すりに掴まるクールキャットの懐から人形が2つ、崖下に落ちていった。格子の隙間から手を伸ばすが、届くことなく見えなくなってしまった。

あれは大事な妹の宝物。失いたくはなかったが当然取りに戻れるはずがない。それよりもまずはこの窮地を脱しないと。思考をクリアにする。

「上に着いたら間違いなく攻撃がくる」

「ナルホドね。出口までどれくらいかしら?」

「…急げば5分かそこら」

それを聞いて絶対皇女は考え込む。

「ギリギリね。まあ氷で足が滑らなければ間に合うわ」

「…」

皇女としては冗談のつもりだったが、真顔のせいもあって二人には通じなかったようだ。咳払いをして皇女が口を開く。

「とにかく遅れないでね。それと道案内もヨロシク」

「待ってくれ。道がわからないって、あなたはどうやってここに?」

ああ、それね、と皇女が続ける。

「パワーのおかげで氷の壁なんて私にとっては無いに等しいの。それで適当なところから入って適当に歩いてたら港までついたの。だから道は分からない」

レッドマーゾはこれも冗談の一種かと思ったが、特にその後の反応もなかったので本当の事だと悟った。

「さあ、行くわよ」

皇女の掛け声と共にゲートが開く。

そうして三人は何とか下水道から外へと脱出することがてきた。出口には地面にのびている博士と、それを見張っているスカイウイングがいた。

「皆無事だったんだね!」

そう言ってクールキャットとレッドマーゾを抱きしめたスカイウイングだったが、その後ろに立つ女性の顔を見て表情が固くなる。一方で目は輝いていた。

「ま、まさか、あなたは…あの絶対皇女ですか!?」

「ええ」

勿体ぶった動きで髪をかきあげながら皇女が答える。

ファン特有の目つきを察知した皇女はファンサービスのつもりでカッコつけた動きをしたのだが、目の前の内気な女子から黄色い声が上がることはなく、真顔のまま少しがっかりした。無論、原因はその表情にあるのだが。

「それで、何でコイツは気絶してるんだ?」

スカイウイングはビクリと肩を震わせてからレッドマーゾの方をゆっくり振り返る。

「え、と。は、話せば長くなるんだけど…」

「とにかくここを離れましょう」

「猫ちゃんの言うとおりね…私も、制限時間が…」

皇女が頭を押さえながらよろめく。

「だ、大丈夫ですか!?」

すかさずスカイウイングが肩を支える。

「ええ、ありがとう。とにかくここを離れましょう」

そうして5人はその場を後にした。

──────

テーブルを挟んで椅子に座る二人。口を開いたのは姉の方だった。

「ごめん、サーシャ。あなたの大切な宝物をせっかく見つけたのに。それに貰った人形も…」

申し訳なさそうな表情の姉とは対照的に妹は穏やかな微笑を浮かべている。

「構いませんのよ。だって私の宝物はお姉さまただ一人だけですから。無事に帰ってきて何よりです。それよりも…あそこを訪れて辛くはありませんでしたか?」

「それは問題ない。でも…」

カチューシャが口を噤む。

「どうされました?」

あの時、自分を庇ったレッドマーゾの姿がフラッシュバックする。

「何でもない」

アレクサンドラはテーブルの上の姉の手を両手でそっと包み込む。

「分かりました、お姉さま」

第4話、終

それでは第5話のキーワードを↓3まで募集します。

常夏

修行

交友

では今日はここまで。

それと試しにですが設定の募集を行います。内容はホントに何でもいいです。ヒーローやヴィラン、それ以外のキャラクター案、組織、ヴィランや他のヒーローの動き、世界観等、何でもOKです。
できるだけ出されたものは採用しようと考えてますが、改変や採用できない可能性がある事はご了承ください。テンプレートの要望や質問もあれば対応します。
では取り敢えず次の投稿まで募集します。ただ多すぎるとさばききれない可能性があるので最大で↓10までとします。

世界戦隊連盟でのヒーローはその強さを厳密に評価され星5から星1に区分けされ、最強のヒーローである星5は世界で7人しかいない。上に行くほど特権も増える。営利組織なのでヒーローは人気商品。国連と比べるとフレッシュな組織で若者も多い。

国連におけるヒーローは一応皆対等であるが、実力者は自然と名声を得る。(例:ロシア最強ヒーロー)
国連中央理事会が最高意思決定機関であり、数人の理事が全国連ヒーローの動きを統括している。この理事会も全知全能という一つの目的のために世界権力を悪用している。

日本にはレッドマーゾ達日本のヒーローを支援するための超巨大ロボットがある
あくまでも「戦闘兵器」ではなく「人命救助」という名目で作られたマシン
戦争のためには絶対に使わない
人命救助は勿論相手の巨大戦力制圧のためには戦闘行為も辞さない
全てのマシンには使用する際にヒーローが要請して上の人に承認してもらう必要がある

名前:ゲオルク=シュターゼン
ヒーローネーム:ヘル・オーガ
ヒーローライセンス:世界戦隊連盟
性別:男
年齢:38
出身:ドイツ
主な活動地域:ヨーロッパ
能力:肉体強化と自己再生。圧倒的なフィジカルと大抵の傷は瞬時に治る回復力で敵を叩き伏せ、遠距離にいる敵には大口径の拳銃を撃つ。
見た目や性格等の特徴:
身長190cm程度。筋骨隆々とした体格。オールバックにした金髪。日に焼けた肌。眉間に傷跡がある凶悪な人相で傷跡が全身にある。
荒っぽいながらも正義感が強く悪人には容赦が無い。(人質がいれば、そちらの無事を優先するが)
子どもには優しい。
来歴:ドイツの警官でヴィランに妻子を殺害された過去をもつ。
相手がヴィランなら殺害しても構わないというスタンスで立ち向かう。
能力とは別に捜査や射撃、尋問など警官としての能力も優秀。


・設定
強いヒーローの存在やヒーローの多寡は国際社会への影響力に繋がるため、ヒーローに対する数々の優遇措置や婚姻の斡旋(ヒーロー遺伝子狙い。出産の推奨。ヒーローの重婚を認める国もある)などで超人を増やそうとしている国は珍しくない。
中には自国のヒーローやヴィランからクローンを量産しようとした国もある。

各世界のヒーローにはそれぞれ国ごとにランキングが存在し救命やヴィラン確保等でランキングが変動する事がある。ランキングが高いほど市民からの人気も高くなりヒーローに関するグッズも出たりする(ランキング以外で有名になることもある)。現在クールキャットはロシアでのランキングが高く、レッドマーゾは日本でのランキングはそんなに高くない。各世界の1位のヒーローが集まって会議することもある。

ヴィランも同様にランキングが存在しているがヴィランの場合は全世界でのランキングなっている。悪名が高いほどランキングが上がる。ヴィランは1位~10位まで世界最強のヴィランが存在する(ダイヤモンドダストは15位)。

名前:エイラ・ルーズベルト
ヒーローネーム:炎帝
ヒーローライセンス:世界戦隊連盟
性別:女
年齢:25
出身:カナダ
主な活動地域:北米
能力:業火
見た目や性格等の特徴:赤色のドレスの金髪巨乳女、高飛車でありちょっとおバカ。
来歴:世界戦隊連盟星5ヒーローにしてカナダ第一位のヒーロー絶対皇女のライバルで北極圏あたりでよく激突している。そこはかとなくボケキャラ。バカだけど強い。作戦は突っ込んで行って全部燃やす!ファンサービスをよくしてくれる。


設定
・世界戦隊連盟本部は空中機動戦艦内にあり、ニューヨーク国連本部をよく見下ろして小馬鹿にするような飛行をしている。

心の力によって物を具現化させる能力者は極めて少なく謎が多い

名前:ルシャ・フェネクス
ヒーローネーム:ナチュラル
ヒーローライセンス:無資格
性別:男
年齢:12
出身:ブラジル
主な活動地域:ブラジルを中心とした南米、時には世界全体に移動する
能力:自然や動植物と意思疎通が出き、彼らの力を借りて戦う
見た目や性格等の特徴: 白い肌と太陽のような金色の瞳を持つ小柄な少年 普段は大人しくぼんやりとした性格であるが、戦いの時は人が変わったようにきびきびと動く
来歴:(これはなくてもいいです)彼自身はあくまで何かによって苦しんでる自然や動植物の為に戦ってる為、自身の名声に興味関心が無く組織にも属していないため世間一般の知名度は低いが、実力は世界戦隊連盟や国連の上位のヒーローとも引けを取らない

本名:エリック・レイネル
ヒーローネーム:ジュエルブレイブ
ヒーローライセンス:国連
性別:男
年齢:25
出身:ロシア
主な活動地域:アメリカ
能力:ダイヤモンド(自身の体をダイヤモンドに変える能力。硬度はダイヤモンドそのまま為、攻撃や防御ができる。腕をハンマーや足を剣など自由に体を変える事ができる。能力解除すると元に戻る)
見た目や性格等の特徴:ピンク髪で逆立っており、額にサングラスをかけている。耳にはピアスをしている。白色のロングコートをきて見た目チャラ男っぽい。見た目とは違い性格はしっかり者で兄貴肌。よく地域でボランティアや人助け等を活躍している為、アメリカでは人気のヒーロー。
来歴:ヒーロー絶対皇女とは幼馴染みで共に修行したり人助けしていたことがある。戦闘では能力を使用し肉弾戦で戦う(たまに体を武器に変えて戦う事がある)。絶対皇女と炎帝が激突している時には必ず止めにきている。

名前:黒龍院長門
ヒーローネーム:ブラック
ヴィランネーム:ドラゴン
性別:男
年齢:19
出身:日本
能力:巨大な龍になる能力。硬い鱗に飛行能力、ドラゴンブレスなど
見た目や性格等の特徴:黒髪黒目の黒スーツのイケメン。帯刀している。性格は、楽しければそれでいい快楽主義者。
来歴:表向きは日本一位の世界戦隊連盟所属ヒーローだが、裏ではアルティメットワンの9人いる幹部の一人でもある。普段のヒーロー活動時は、龍の筋力だけを用いた闘剣スタイル。他人を驚かすのが好きで、自分がヴィランとバレたら世間がどう驚くのか期待している。



設定
全知全能とはどうやって手に入るのか。
それは、世界クラスの超強力な能力者たち10人をとある伝説の魔法陣上で人柱にすることで、神の力を引き摺り降ろせる。その神の力こそ全知全能である。魔法陣に関する情報は必要なまでに揉み消されており、それを知ることが全知全能を手に入れる鍵となる。

本名:青島令司
ヴィランネーム:ブルースクリーム
性別:男
年齢:18
出身:日本
能力:戦隊モノのブルーのような姿に変身し、体から青い炎のようなオーラを発して戦う。戦いの場ではオーラを纏った徒手空拳の他、アサルトライフルや爆弾や毒ガスなど戦闘に有用なものは何でも使う
見た目や性格等の特徴:目付きの鋭い長身の青年。目的の為なら手段を選ばない冷徹さを持つ
来歴:かつては赤崎と共に日本で活躍するヒーローの一人だったが、裏のある国連や商業主義に走る戦隊連盟を見限り、自身の信じる正義を遂行するためにヴィランへと転じた
ロギアの掲げる思想に理解を示し、現在はアルティメット・ワンに身を置いて活動を行っている。最終的にロギアが全知全能を手にすればそこに至るまでの犠牲は些末なもの、と考えてはいるものの、それでもダイヤモンドダストの破壊活動は流石に目に余りいつも手を焼いている

名前:リエル・ロスチャイルド
性別:女
年齢:不明
出身:不明
能力:不老不死
見た目や性格等の特徴:長い黒髪を一本に纏めて肩から垂らしている微笑みが素敵なお姉さん。
来歴:国連中央理事会理事長。ヒーローでもなくヴィランでもない。突然変異によって人間を越えた異能を得てしまった遥か古代の人物。永い時を生きることに疲れて、死ぬために全知全能を手に入れようとしている。自分の遺伝子情報から作った遺伝子組み換え剤を大気散布して、適合した人類は能力者になるという、世界に能力者が現れた理由、元凶である。どれだけの能力者を犠牲にして不幸にしてでも絶対に死んでやると意気込む。ロギアとは昔殺し合った仲。ロスチャイルド財閥は世界戦隊連盟の大スポンサーでもある。



設定
アルティメットワンの幹部クラス以上は暁みたいに目印の指輪をしていて、これにはロギアの力が込められているので解放すると一時的にパワーアップできる。

肌を焦がす暑い日差しに、鼻にツンとくる潮の匂いを含んだ海風が吹き付ける。寄せては返すエメラルドブルーの波と陽光を反射して輝く白い砂浜。ビーチサイドには大勢の旅行客や、彼ら相手に商売をしている地元住人でごった返している。

人々がせわしなく行きかう中、クールキャットは石垣に腰掛けながら水平線を眺めていた。Tシャツにショートパンツという簡素な格好にもかかわらず、そのスタイルの良さもあって周囲の目を集めている。だが人殺しだからこそ滲み出るオーラと、サングラスによって表情が読み取りにくいこともあって誰も声をかけようとしない。

陽射しを遮るように太陽に手をかざしながら、クールキャットは水平線に目をやる。

そう言えばあまり口には出さないが妹が海に行きたがっていたことを思い出した。ダイヤモンドダストのゴタゴタが終われば連れて行くのもいいかもしれない。

そう思って頭によぎったのは妹の笑顔だったが、次に現れたのはレッドマーゾの姿だった。

「ちっ…」

舌打ちをした彼女に周囲の視線が一瞬集まる。胸の騒ぎを落ち着かせようと氷の弾丸を指で弄び始める。

来てた
出た設定全部取り込んじゃうんだろうか?
パッと見難しそうにも思えるが

タイトル忘れてましました。

>>319
無理のない範囲でできる限り採用します。ただもちろん話の都合上改変等ありますし、出せる時期も不確実なのはご了承ください。


第5話 「会計士を追え」

我が社のサービスは世界一!たとえどんな“お荷物”であろうと必ず指定時間にお届け!万が一ヴィランの襲撃にあってもご心配ありません、我が社専属の警備員が対応いたします!くわえて充実の保障プランも!詳細はこちらのwebサイトへ!https://───
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─────とある配送会社の広告より

肌を焦がす暑い日差しに、鼻にツンとくる潮の匂いを含んだ海風が吹き付ける。寄せては返すエメラルドブルーの波と陽光を反射して輝く白い砂浜。ビーチサイドには大勢の旅行客や、彼ら相手に商売をしている地元住人でごった返している。

人々がせわしなく行きかう中、クールキャットは石垣に腰掛けながら水平線を眺めていた。Tシャツにショートパンツという簡素な格好にもかかわらず、そのスタイルの良さもあって周囲の目を集めている。だが人殺しだからこそ滲み出るオーラと、サングラスによって表情が読み取りにくいこともあって誰も声をかけようとしない。

陽射しを遮るように太陽に手をかざしながら、クールキャットは水平線に目をやる。

そう言えばあまり口には出さないが妹が海に行きたがっていたことを思い出した。ダイヤモンドダストのゴタゴタが終われば連れて行くのもいいかもしれない。

そう思って頭によぎったのは妹の笑顔だったが、次に現れたのはレッドマーゾの姿だった。

「ちっ…」

舌打ちをした彼女に周囲の視線が一瞬集まる。胸の騒ぎを落ち着かせようと氷の弾丸を指で弄び始める。

彼女がこうしてハワイにいる理由は数日前まで遡る。

カチューシャは自宅のリビングテーブルで家計簿の計算を行いながら、ZATO52での出来事に思いを巡らせていた。ダイヤモンドダストによって危機に追い込まれたとき、記憶違いでなければレッドマーゾは命を懸けて自らを助けようとした。

その出来事が楔を打ち込まれたかのように心の中に残っている。だが彼女はこの感情がどのようなものであれ、捨て去るべきものだと理解していた。

その時丁度赤崎がエカチェリーナとともにカチューシャを訪れてきた。“訪れてきた”というのは、彼がカチューシャ宅での居候を止めてこちらでの仮住まいを見つけたからだ。理由としてはやけに詩音に説得されたこともあるが、それ以上に彼の実直な性格がある。いつまでも世話になるのは悪いと考えたのだ。

「やあ」

片手を挙げながら屈託なく笑顔を浮かべる赤崎。エカチェリーナは挨拶することなく目線だけを向けてきた。

「何の用」

家計簿の数字に目を戻しながらカチューシャが返事する。そんな態度も気にすることなくエカチェリーナが口を開く。

「私はアナタのお見舞いよ。一応ね」

すると赤崎が気まずそうに頭を掻きながら、それなんだが、ときりだした。

「俺は…その…ダイヤモンドダストのことなんだが…何か訳ありみたいだったからその事が気になって…」

「私は出たほうがいいかしら?」

その言葉を聞いてカチューシャは手に持っていたペンをテーブルに置いた。

「別に隠してるわけでもない。話してあげる」

思ったより肯定的な返事が返ってきて安心した赤崎はカチューシャの向かいに座った。特に否定もされなかったのでエカチェリーナも赤崎の横に座って耳を傾ける。カチューシャは無意識のうちに弾丸を弄りながら、話を始めた。

「ZATO52だけど、あそこはただの閉鎖都市じゃない。ヨーロッパにおける人身売買の中心地だった」

「人身売買!?」

思わぬ事実に赤崎は身を乗り出した。

「ええ。能力の有る無しの区別なくね。私とコールドキャットは数年間あそこに囚われていた」

「そ、そんな馬鹿な…」

狼狽える赤崎をよそに、エカチェリーナは二人に聞こえないほどの声で呟く。

「クズ共…」

混乱する赤崎の頭の中には様々な疑問が湧いて出てきた。だが一番始めに口をついて出たのは、何故能力を使って逃げなかったのか、だった。

「仕組みは分からない。だけど奴らは能力を無効化する何らかの装置を持っていた」

自分でそう言いながら、カチューシャは奇妙な共通点に気づいた。そういえば雷光は突然力が使えなくなったと言っていた。あの近辺にそれらしき装置はなかったはずだ。それに商人の姿もなかった。あの異様な3人組は居たが…

「そんな装置聞いたこともないぞ…」

「私もよ。ともかく、運のいいことに私と妹には長らく買い手がつかなかった。そしてある日、チャンスが訪れた。酔っ払った間抜けな見張りの一人が鍵を檻の目の前に落としていった。それを何とか手に入れて、後は妹を連れてあの下水道から逃げた」

「そうだったのか…」

今の時代に人身売買が都市ぐるみで行われていたという事実に驚くと同時に、クールキャットや他の人達が受けた苦しみを思うと赤崎の心に怒りが湧き出てきた。それは隣に座るヒーローも同じだった。

「だがそれがダイヤモンドダストとどう繋がる?」

「そうね。それが気になるわ」

「…おそらく彼女もあそこに囚われていた。私達が逃げ出したあと、見張りや罰則が厳しくなって、体罰や虐待がそれまで以上に横行したと聞いた。だからそれで私を恨んでいる、のだと思う」

「それは…」

おかしい、と否定したい気持ちはあったが、実際自分がその立場に立ったら恨まずにいられるだろうか。異常な環境の中にいれば、その恨みが歪んだ方向へ傾くことも当然じゃないか、そんな思いが赤崎にはあった。
どうやらエカチェリーナはそうでもなさそうだが。彼女の中には明確な線引きがある。それは殺しは悪、ということだ。

「とにかく!話してくれてありがとう!バディなんだ、悩みがあったら話してくれな」

その言葉がカチューシャの琴線に引っかかった。

「バディ?だから私を命を懸けて助けようとしたわけ?」

「別にバディだからって訳でもないが、まあ、そうだな」

さも当然のように語る赤崎。彼にとってヒーローは無私の奉仕者であり、目の前に助けられる命があるのなら迷うことなく助ける存在だ。

「はっきり言って、迷惑」

カチューシャは赤崎の瞳を正面から覗き込む。赤崎は思わず彼女と出会ったときのことを思い出した。

「迷惑って何がだ?」

赤崎は混乱しながらも、怒りではなく純粋な疑問をぶつけてきた。

「…とにかく、やめて」

氷の弾を握りつぶしながら答えるカチューシャ。

「でも──」

ちゃんと彼女の事を理解したい。そう思って話を続けようとした赤崎だったが、カチューシャは無言で出口を指差した。

「…分かった。とにかく、無事でよかったよ」

怒りはなく、だが寂しそうな背中で赤崎は部屋を出ていった。

「ふぅ…」

一息つくカチューシャにエカチェリーナが口を挟む。

「アナタ…コミュニケーションってものを学んだほうがいいわよ」

そんな助言はいらないとでも言いたげにカチューシャは話題を変える。

「ところで、貴女のパワーは絶対零度のはず」

「そうよ」

テーブルにおいてあったカチューシャのロシア帽を被りながらエカチェリーナが答える。

「なら弱点を教えて。ダイヤモンドダストを捕まえるために」

「そうね~」

被っていた帽子を脱ぐとエカチェリーナはカチューシャにそれを被せた。彼女はそれをすぐに脱いで机の上に戻す。

「教えてあげたいのは山々だけど、同じ絶対零度と言っても、完全にパワーの条件や能力が同じってことはありえないの。だから、参考にはならないと思うわ。ま、一応教えておくと、私は範囲や物質その他諸々にほぼ関係なく温度を瞬時に絶対零度に下げられる。代わりにパワーが使えるのは5分間だけ。その後は24時間のインターバルが必要」

「ありがとう」

「別にいいのよ。アカレンジャーが来てからのアナタは少し…“マシ”になった」

椅子から立ち上がりながらエカチェリーナが僅かに口角を上げながら答える。といってもほぼ表情は変わっていないが。

「とにかく、ケンカするだけの元気はあるみたいだし、私はドロンと消えるわ」

玄関まで移動すると、カチューシャの方を振り返って口を開いた。

「いまアナタに必要なのは…心の修行かもね。彼と正面から向き合うっていう。ロシア1位のヒーローからのアドバイス」

そう言い残すとエカチェリーナはその場を去った。

「ケンカなんて安っぽいものじゃない…」

一人つぶやくカチューシャ。すると今の出来事に思いを巡らせる暇もなく携帯の呼び出し音が鳴る。

「はい」

「私だ」

冷たく低い声、シルバーナイトだ。

「なんの用?」

「情報だ、2つ。1つは例の薬について。君たちが連れ帰った博士の話と薬の分析結果から考えるに、あれは人々のヒーロー遺伝子を活性化させる類のもののようだ」

「やっぱりね」

「だがどうにも副作用があるようで、個人差はあるが使用の後、激しい体調不良や能力の暴走を引き起こすらしい」

そう言えば雷光の時は能力の制御が失われていた。

「…アルティメット・ワンの連中はその薬を使って全知全能を得るつもり?」

「さあな。そこまでは聞き出せなかった」

「聞き出す?」

「ああ。尋問だ」

カチューシャの疑問を聞いて、シルバーナイトはそれに淡々と答えた。

「喋るとは思わなかった」

「まあ、ヘル・オーガの名前を出せば、博士もアイスエイジも気が変わったみたいだ」

ヘル・オーガは聞き覚えのある名前だ。確かシルバーナイトの友人だとか。ドイツ警察の“苛烈”なヒーロー兼捜査官だと聞き覚えがある。

「とはいえ奴らも情報を小出しにしてるようだ。全て吐けば自らに価値がなくなるとでも考えているのだろう。ハッ、如何にもヴィランらしい利己的な考え方だ」

その声色には嘲笑の念がこもっていることをカチューシャは聞き逃さなかった。

「あるいは奴らも組織の全貌は知らないのか…」

「それで2つめの情報は?」

「ああ。どうやら二人の話を総合するに、奴らは物資の移動等にあるダミーの配送会社を使っているらしい。その金の流れを追えば何か分かる、と」

「それで、追えと?」

「いや。追跡それ自体はコミューンの監査部門が行ってる。君に頼みたいのはエージェントのサポートだ」

「サポート、ね」

「ああ。その会社の会計士がハワイで仕事をするらしい。捜査自体はエージェントにやってもらうが、君にも念の為現地に赴いて万一の自体に備えてほしい」

「ヴィランが現れると?」

「さあな。とはいえ可能性がゼロではない。頼めるかな?」

「…分かった」

「よろしい。これはアルティメット・ワンの核心に迫り得る一件だ。ヴィランによる連合などと唾棄すべきものは必ず壊滅させなくてはならない。責任は重いがよろしく頼むよ。では」

電話がプツリと切れる。携帯をテーブルの上に置くとカチューシャはそれを見つめる。

しばらく考えて赤崎は連れて行かないことに決めた。少なくとも今は、一緒に行動しないほうがいいと思ったからだ。

そういう訳でクールなキャットは年がら年中ホットなハワイに赴いている、と言うわけだ。

ちょっと思いついたので軽く安価します。

↓1
1監査部門のエージェントをネームドにする
2モブのままで行く

ちなみに今後もエージェントに出番があるかは不明です。

ではモブのままで。

今日はかなり短いですがここまで。

それと軽く募集しときます。募集内容はハワイかダミー会社に関する設定とします。
今でも結構設定が渋滞してる感はあるので様子見で少なめに↓2までとしときます。

ハワイというかアメリカは国連と世界戦隊連盟がどっちの勢力がアメリカ1位のヒーローを輩出するかバチバチに勢力争いをしている場所であり、少しでもうちが手柄を立てようとヒーロー同士の手柄上げ競争が盛ん。今回は、ダミー企業を両勢力が追っている。

なんか今とんでもないものがダミー会社で運搬されているらしい

大筋には関係ないし重要でもないけどふと思いついたので少し設定の変更します。会計士の捜査を担当するのはコミューンじゃなくて世界戦隊連盟のマーケティング部と言うことにします。そしてその来歴は以下の通り。

名前:世界戦隊連盟マーケティング部
来歴:その名の通りヒーローのイメージ戦略等を担う重要な部署。というのも国連と違いあくまでも民間の有志によって設立された組織であるため、運営資金の獲得は最優先課題の1つであり、どうすればヒーローのイメージが向上するかあるいはグッズがよく売れるかを追求していた。やがて彼らはヒーローのイメージ作りのためにどのヒーローがどのヴィランや悪党と対峙すると人々からの人気が得られるのかという戦略を考えるようにもなっていた。その過程において彼らはヴィランの行動や性格、繋がりや潜伏場所を調査し、最もそれに適切──戦術的にも営利的にも──なヒーローを策定するという諜報機関的な役割をも担うようになった。彼らのネットワークは国家に縛られない組織の特性を活かした脅威的な柔軟性、網羅性を誇っているため、諸国家の諜報機関にも警戒されるほどである。




思考の海に潜っていたクールキャットの意識が携帯の着信音で引き揚げられる。

番号はシルバーナイトから教えられたエージェントのものだ。連絡の時間にはまだ早い。

「もしもし?」

「クールキャットさん?」

聞こえてきたのは息を切らしながら話す女性の声だった。

「ええ。どうかした?」

「実はその…厄介な状況で…」

↓1
厄介な状況とは?

個人情報が入ってるものをどっかに落とした

諜報員的な仕事をしてるのに荷物を落とすのか(困惑)

「す、すいません、実は大切な物を落としちゃって!」

「大切な物って?」

「え、えーと…ヒーローの皆さんやヴィランの情報が記載された書類です…」

「書類…」

別に怒りを顕にしたつもりはないが、クールキャットの冷たい口調に勘違いしたのか、エージェントは慌てて取り繕う。

「ああ、いや、書類自体はロック付きのケースに入ってるんで、そう簡単に中を見られるってことはないと思うんですが…。ただ、今は会計士の尾行で手が離せなくて…お願いできますか?」

「…ええ」

これもシルバーナイトに頼まれた“サポート”の範疇だろう、しかたない。

「ありがとうございます!それで落とした場所なんですが、国連のヒーロー事務所の近くです!」

名目上は協力体制にあるとはいえ、よりにもよって国連事務所の前で重要な書類を落とした事には驚きを隠せない。

世界戦隊連盟もアルティメット・ワンという脅威については国連との連携が必要だと考え、情報共有が先日なされた。とはいえこれによって両組織の対立が解消されるわけではない。むしろこの件について手柄を上げたほうが今後の情勢をリードし得る可能性すらある。場合によっては“スーパーヒーロー”の失踪以来空席だったアメリカランキング1位──それは同時に世界一を意味する──のヒーローを輩出するかもしれない。
だからこそシルバーナイトは会計士については国連にその情報を提供しなかった。とはいえ国連もある程度こちらの動きは掴んでいるようで、ハワイで手がかりを探そうとしているらしい。

「分かった。それじゃあ会計士の尾行はしっかりと」

「も、勿論デス!」

大声に驚いて携帯を耳から離す。そのままポケットに入れるとクールキャットは国連事務所に向かって移動し始めた。

「お嬢ちゃん!チアシード入りのスムージーはどうだい?」

露店の店主の呼び込みを無視してクールキャットは通りを歩く。しばらくすると国連のロゴが刻まれた建物についた。辺りを見回してみるがそれらしい物は見当たらない。通行人や国連の職員にも質問してみたが特にめぼしい返事は得られなかった。

しばらく探し回っていると近くの路地裏から声が聞こえてきた。

「てめぇには関係ねぇだろう!」

声のする方に足を進めると、ガラの悪い3人組の男と、彼らと同じくらいガラの悪そうな格好をした男が対峙していた。フラミンゴのような色の逆だった髪に、額のサングラス、耳につけたいくつかのピアスが目を引く。青っぽいアロハシャツに短パンと、いかにも軟派な男だ。

「いーや、関係あんだよなぁ。それ、アンタらのじゃないだろ?」

「だったらなんだ?3人相手にやろうってのか!」

その言葉を聞いてピンク髪の男はニヤリと笑った。クールキャットに気づいてそちらを見るとウインクをする。

すると正面に立っていた男が手に持っていたケースでウインクした男の頭を思いきり殴った。

「な、どういうことだ!?」

男は倒れるどころか微動だにしていない。むしろスーツケースの塗装が禿げている。

「ちょっと待っててくれよな、レディー」

白い歯を見せて笑うと、彼は正面で驚いていた男の鼻っ柱を殴る。目を回しながら男が倒れるのを見て、左右にいた二人が動こうとする。

左にいた男がナイフを取り出すと、両手でしっかりと柄を握って相手の腹に突き刺す。

「こしょばいな」

そう呟くと男の手からナイフを取り上げて、鳩尾に1発喰らわせた。それを見た最期の一人は後ずさりながら拳銃を取り出した。

引き金が引かれ、弾が発射される。だが光を宝石のように反射して輝くピンク髪の男の肌に当たっても、甲高い音と共に一瞬火花が散るだけで、血が吹き出ることはない。

それを見て男はいよいよ逃げ出す。クールキャットの横を通って大通りに出ようとするが、彼女の回し蹴りを側頭部にくらって壁に叩きつけられた。

「ハハハ!俺の見せ場、取られたな?」

男は笑いながらスーツケースを拾うとクールキャットに跪きながら差し出した。

「はい、どうぞ」

「ありがとう。…早く立てば?」

クールキャットの冷たい反応に動じることもなく男は立ち上がる。

「俺はジュエルブレイブ、ヨロシクね。にしてもまさかここでクールキャットに会えるなんてね」

ジュエルブレイブは身体をダイヤモンドに変化させるパワーを持ったヒーローだ。出身はロシアだが主にアメリカで活動しており、市民からの人気も高いと聞いている。

「私の事を?」

「もちろん!あの性格のひん曲がった博士を捕まえてくれたんだ、嫌でも覚えるよ!」

「そう」

「ああ、勿論君に会えたのは嫌じゃないよ?ところでそれ何だい?」

ジュエルブレイブがケースを指差す。

「…機密書類」

「へえ~。ま、俺は政治には興味ないし別に良いんだけど」

「それじゃあ私はこれで」

「あっ、待って!」

「なに?」

「絶対皇女にヨロシク言っといてくれ!それと、困った事があったらいつでも連絡してくれな!」

そう言うとジュエルブレイブは名刺を投げ渡してきた。

「…どうも」

それだけ伝えるとクールキャットはその場を去った。

「…警察に連れてくか」

三人の男を見ながらジュエルブレイブが呟いた。

一方その頃、キーウのヒーロー・コミューンではコールドキャットとレッドマーゾが机を挟んで話していた。

「それで、話って?」

「お姉さまのことです」

不機嫌そうな表情でコールドキャットが答える。

「クールキャットの?」

「はい。お姉さまはあなたのせいで心を乱されています。…こんな事をあなたに言うのは癪ですが」

自分に向けられた妙な敵意は無視してレッドマーゾはコールドキャットに問いかける。

「そうはいっても…向こうは話もしたくなさそうだぞ?」

「そうですね。正直、わたくしもどうすればいいかなど分かりません。ただある話ならしてあげられます」

「話?」

「はい」

コールドキャットは遠い目をしながら窓の景色を眺める。

「お姉さまからZATO52の話は聞きましたよね?」

「ああ。人身売買、だろ?」

「ええ。ただ、お姉さまにはもう1つ辛い思い出があります」

人身売買を経験する以上に辛いことなどあるのだろうか、レッドマーゾはそう思った。

「お姉さまは、雪原で一人倒れている所をわたくしの村の人間が見つけたのです」

「そうだったのか。…ん、待てよ。ってことは2人は本当の姉妹じゃないのか?」

「“本当の”姉妹が何を指すかによりますわ。まぁ、世間一般的に言えばそうなります」

「それじゃあなんだ…その事実を知ったことが辛いことだったのか?」

「いいえ。…拾われてからお姉さまはわたくしの家族と共に住むようになりました」

家族という言葉と共に、コールドキャットは苦虫を噛み潰したような顔になった。

「毎日温かい食事を食べて、キチンと毛布をかぶって寝て。お姉さまはきっと自分達が愛されていると感じたことでしょう。…わたくしもそうでした」

レッドマーゾは静かに彼女の話を聞き続ける。

「ですが違います。もともとわたくしの村は幼い子どもを攫い、人売り共に引き渡すことで生活の糧を得ていたのです。当然、わたくしとお姉さまもやがて売られました」

レッドマーゾは思わず絶句する。

「その時にお姉さまは心に傷を負ったのでしょう。…おそらくは、もう誰も心から信じないと。信じて、裏切られたら…つらいから」

「で、でも俺はそんな事しない!」

「でしょうね、あなたみたいな熱血バカは。でもそれが絶対という保証はありません。何せお姉さまは、この世界に生まれて、初めて所属する家族という共同体に真っ先に裏切られたのです。それ以上の友人や国家を、信じられるはずがありません」

レッドマーゾは口を閉ざす。クールキャットのその不安を自分なら取り除けるという確信などなかったからだ。その時、ふと彼は気づいた。

「そういうコールドキャットはどうなんだ?辛くないのか?」

「わたくしにはお姉さまが居ますから。それだけで充分です」

「…そうか」

コールドキャットは咳払いをすると、いくらか声の調子を上げて話を続ける。

「とにかく、このままじゃお姉さまの調子が戻りません。絶対に、何とかしてください」

そう強く告げると、レッドマーゾをジト目で睨みつける。

「わ、わかったよ。少し、考えてみる」

そう言いながらそそくさと部屋を出たレッドマーゾだったが、どうすればいいかなど全く思い浮かばない。

「俺に…何ができる?」

今日はここまで。

乙乙

おつ

「ほら」

「ありがとうございます!」

エージェントは双眼鏡を覗きながら、差し出されたスーツケースを受け取る。街なかの尾行で双眼鏡なんて使うものなのだろうか、そんな疑問をいだきながらクールキャットは話しかける。

「それで、状況は?」

「ホシはあの埠頭で輸送の責任者と会っているみたいです!」

わざとらしくエネルギーゼリーを流し込みながらエージェントが答える。クールキャットは彼女の手から双眼鏡をひったくるとそれを覗きこんだ。

「見張りは……」

入り口に2人、奥に3人。多いどころか少ないくらいだ。それにアルティメット・ワンの人間、というよりは地元のチンピラだろうか?

「ここで間違いない?」

「勿論ですよ!ずっと瞬きすることなく追ってましたから!」

「そう…」

「んー、でも確かに警備が緩いですよね?もしかして私達、博士に騙されたんでしょうか!?」

コロコロと表情を変えながらエージェントは狼狽える。

「どうかな、奴らもそんなことをすればどうなるかは分かっているはず」

「ですよね…?」

いずれにせよここで引き下がるという選択肢は無い。この程度の警備なら仮に見つかったとしても充分対処可能だ。

双眼鏡を返すと、クールキャットは氷の弾丸を出現させる。

「それじゃあ、ここで待ってて」

「はい!」

エージェントの敬礼に見送られながら、クールキャットは埠頭の入り口へと近づいていく。

↓1コンマ
41以上で制圧

入り口の見張りは拳銃を片手に周囲を警戒している。

「さて…」

氷の弾丸を作り出すと、彼らの近くにあったコンテナに飛ばして注意を逸らす。

2人が背中を見せている間に忍び寄り、見張りの首を絞める。男もはじめは抵抗していたがやがて力が抜け意識を失った。クールキャットは男をゆっくり地面に降ろす。

「気のせいみたいだ」

そう言いながら振り返った見張りの頭にしなやかなハイキックが直撃する。男はうめき声を上げながら仰向けに倒れ込む。

男たちの手から拳銃を拾うと、クールキャットはそれを海に投げた。続けてコンテナの陰に隠れながら奥に進む。

「それじゃあ帳簿上の操作はこっちでやっておくから、積み荷はきちんと運んで下さいね」

「分かった。到着予定時間だが─」

どうやら会計士と輸送責任者が詳細について話し合っているようだ。2人の手前には3人の見張り。2人は拳銃、1人はサブマシンガンを手にしている。

クールキャットは再び弾丸、というよりは氷の塊を展開する。狙いは見張りの頭だ。スピードも少し緩めて当てれば、少なくとも死にはしないだろう。

意識を集中させながら、クールキャットは氷を飛ばす。だが見張りに届く前にそれは砕けちった。

「──!?」

突如として地面の中から現れた死神のような男が大きな鎌を振るったのだ。かなり着古したと思われるフード付きのボロボロの黒衣を身に纏っている。フードを深く被っており、前髪が目にかかるほど長いこともあって表情は捉えにくい。

「敵です」

黒衣の男がかろうじて聞き取れるほどの声で呟く。それを聞いた会計士は彼を指差すと大声で喚き散らし始めた。

「こういう時のために我々はあなたを雇っているんですよ、シャドウ!仕事を果たしてください!」

「あー、分かりました」

↓1コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~80 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)


今更ですけど戦闘の難易度ってちょうどいい感じですかね?

戦闘の難易度自体は問題ないけど、全部反転コンマにした方が完全な運任せって感じするのでそうして欲しいかなあとか。もしくはクリティカルとファンブルはゾロ目時限定にするとか

個人的に「46-80戦局有利」のコンマをもう少し縮めてもいいと思う逆に「11-25戦局不利」のコンマを広げた方が難易度もいいかな思う。

シャドウと呼ばれた男が動く前に、まずは見張り達がクールキャットに向けて銃を乱射してきた。近くに置いてあったフォークリフトの裏に飛び込んで弾丸を避ける。

しばらくすると弾丸の雨が止んだ。どうやら装填中のようだ。フォークリフトの陰から頭を出して彼らの位置を確認する。シャドウがどこにもいないのが気にかかったが、ひとまずクールキャットは見張りの男たちに氷をぶつけた。

「よし…」

見張りは無力化したが、シャドウの姿が見当たらない。彼の姿を探して周りを確認するクールキャット。すると目の前の地面から、より正確に言えばクレーンの影の中からシャドウの上半身と鎌が出てきた。

銀色に光る鎌がクールキャットの胴を切り裂こうとするが、華麗な側転で彼女はそれを躱した。

(今のと名前で分かった。あいつは影に関するパワーを持ったヴィラン。恐らくは影の中を移動する力)

それならばと、クールキャットは周りに影のない場所まで移動する。もちろん自身の影から出てくる可能性はあるが、それは同時にシャドウの現れる位置を容易に予測できることも意味する。

↓1反転コンマ
36~ 戦局有利
26~35 膠着
01~25 戦局不利

それでは意見を参考にシャドウ以降の戦闘では少し弄りたいと思います。ただクリティカルとファンブルはとりあえず今のままにしときます。もしかしたらあとから変えるかもしれません。

クールキャットが影のない場所に移動したのを見て、シャドウはクレーンの影の中から這い上がって全身を晒した。

(出てきた…。影と影が繋がっていないと移動できない?)

するとシャドウはクールキャットに向かって走り始めた。すかさず氷の弾丸が襲いかかるが、彼はそれを全て手にした鎌で防ぐ。するとシャドウは手のひらサイズの鎌を投げてきた。

身体をひねって避けたクールキャットだったが、気付けばすぐ目の前にまでシャドウが迫ってきている。袈裟斬りにするように振るわれた鎌を間一髪で避けると、クールキャットは足技による連撃を御見舞する。

しかしシャドウはそれを鎌の刃と持ち手で器用に捌く。それを見たクールキャットは蹴りによる攻撃を続けながらその合間に弾丸を放つ。

「──!?」

シャドウは歯を食いしばりながら、肩を狙った弾丸を小さな鎌で防ぐ。この展開は彼の予想外だった。というのもクールキャットはその能力から遠距離主体のヒーローだと思っていたからだ。
だが彼女はいつでも、そして360°どこからでも展開できる弾丸と蹴りを組み合わせた独自の格闘術を用いる。実際、彼女の強みはそこにある。前方の人間に対処しながら後方の弾丸を避けるなどそうそうできることではない。赤崎と出会う前の殺しを躊躇わない彼女ならその脅威はなおさらだ。

シャドウはその場で円を描くように鎌を振りかぶると、バックステップで距離を取った。

「っ…」

脇腹に鈍い痛みを感じるシャドウ。どうやらすべての弾は避けられなかったようだ。

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~80 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

今日はここまで。多分明日もやります。

おつ
おっと

後ろにひいたシャドウはその場から再び小さな鎌を3つ投げてくる。クールキャットは捻りを加えたバク宙でこちらに飛んできた全てを回避する。

視線を前に戻したとき、シャドウの姿は消えていた。その時、自分の足元に小さな影が落ちていることに気づく。シャドウが真上に放り投げた4つ目の鎌のものだ。

瞬時に危険を察したクールキャットはその影から離れようとする。しかし、影の中から飛び上がって現れたシャドウが振るった鎌が左肩に命中する。

「っ…」

思ったよりも深く入ったようで、押さえた右手に血がこびりついている。

(訂正。影が繋がっている必要はないみたい)

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~80 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

シャドウは続けて痛手を与えようと動き出す。しかしクールキャットもそうはさせまいと、大量の弾丸を展開するとそれを放った。

(あいつの力量を考慮すれば、致命傷には至らないはず)

彼女の予想通り、シャドウは鎌を回転させて弾を防ぐ。しかし全てを捌けているようではなく、ところどころ手足から出血している。

(次で決める…)

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~80 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

シャドウは弾の嵐を防ぎながら後退すると、コンテナの影の中に沈んで消えた。

(いったい何のつもり…?)

クールキャットは改めて周囲を見渡す。自分の周りに影はない。シャドウが何かを投げていたわけでもない。

先程までとは打って変わって、静寂だけがその場を支配している。

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~80 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

よい

シャドウはまだ現れない。クールキャットは周囲を観察するが、異常はない。

一方遠くから戦いを眺めていた会計士と輸送責任者は、シャドウが仕事を放棄したのではないかと気が気でない。

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
46~80 戦局有利
26~45 膠着
11~25 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

穏やかな波風の音だけが埠頭に響く。だがその時、流れてきた雲が太陽を覆い隠した。

シャドウはずっとこの時を待っていた。ようやく訪れた好機を逃すまいと、クールキャットの近くに現れようとしたその時。

「─くっ!?」

埠頭の夜間作業用に置いてあったワークライトが起動し、影を打ち消した。シャドウが潜っている間に、クールキャットが目をつけていたのだ。シャドウは強制的に影の中から引きずり出され、無防備な姿でクールキャットの目の前に現れた。

そこからの流れは早かった。クールキャットの足払いによってシャドウは体勢を崩す。鎌の持ち手でバランスを取ろうとするがそれも崩されてしまい、シャドウは仰向けに倒れ込んだ。

倒れながらもシャドウは黒衣の内側から小さな鎌を取り出そうとするが、クールキャットは彼の右足を踏みつけてそれを防ぐ。そのまま流れるように彼の鼻っ柱に右ストレートが叩き込まれる。

「っ!?」

声にならないうめき声を上げながらシャドウは意識を失った。

ヴィランを無力化したのを確認すると、クールキャットは会計士の方へ向かおうとする。

「しまった!」

だが彼と輸送責任者は一足先に船に乗り込んでその場から離れていた。ここからでは操舵手を狙うこともできない。会計士の男は船上で冷や汗を拭いながら、勝ち誇ったように笑う。

すると頭上からプロペラのけたたましい回転音が鳴り響いた。数台のヘリコプターと巡視艇が海上に現れる。

「今すぐ止まってくれるかな?」

扉を開け放ったヘリコプターの後部座席にはジュエルブレイブが居た。彼はクールキャットの方を見ると、シャカのハンドサインを送ってきた。

───────

「それで、本当に会計士の身柄はこちらで預かっていいの?」

「もちろんだよ!」

クールキャットの疑問にジュエルブレイブは笑顔で答えた。もっとも彼の背後に控えている国連の補佐官は鬼のような形相をしていたが。

それもそのはず、国連は独自の情報網によってダミー会社が何か特別なものを運んでいる事を掴んでいたからだ。これを国連のヒーローが押さえれば、アメリカ1位のヒーロー輩出も夢ではない。
だから何としても会計士を世界戦隊連盟には渡したくない。しかし同時に悩みもあった。それはジュエルブレイブである。彼はアメリカでも高い人気を誇っており、仮に国連側からアメリカ1位ヒーローを出すとしたら、彼が一番手堅い。だが一方で、既にわかっているように彼自身はそう言った事柄には興味がない。もっともそんな性格も人気の理由でもあるのだが。
もちろんジュエルブレイブを無視して国連が独自に確保してもいいが、そうすればヒーローの支援者達からの突き上げは避けられない。というのも国連はヒーローを監督しているとはいえ、あくまでそれは彼らの行動を支援するため、という名目だからである。にも関わらずヒーローの意思を無視するような行動を取れば非難は避けられない。

そんな訳で補佐官は上司の人選ミスを恨んでいた。加えてこのあと自分が行わなければならないであろう報告会のことを考えると、胃が酷く痛むのは当然のことだった。

「俺は埠頭の騒ぎを確認しに来ただけだからね。それに君の手柄を奪うのも気分が悪いし」

「まあ、そちらに文句がないならいいけど」

クールキャットはそのままその場を去ろうと思ったが、ふと思いついた事をジュエルブレイブに尋ねることにした。

「あなたは、自分の中にうずまく“何か”と向き合ったことはある?」

「何か?それって何さ?」

ジュエルブレイブの疑問はもっともだったが、クールキャットにはそれを言い当てる言葉が見つからなかった。

「…わからない」

それを聞いてジュエルブレイブは少し考え込んだかと思うと、両手を頭の後ろに回して笑いかけた。

「いやー、俺ってポジティブ人間だからそんな経験はないな」

「…そう」

「でも、そういう事ならケイレブと話すといいかもね。彼はまさにそんな経験をした男だからね」

そう言うとジュエルブレイブは、船舶を調査していた集団の中から一人を呼び寄せた。

そうしてクールキャットの前までやってきたのはヘルメットと防弾チョッキを身に着けた青年だった。彼はクールキャットを見るなり、目を輝かせた。

「は、はじめまして、クールキャットさん!僕は特別支援局のケイレブと申します!」

特別支援局──Special Support Agency──は国連の下部組織の1つである。主にヒーロー達の活動の支援や調整を行っている。今回のように武装した上で取締に同行する事もある。

「どうも」

「実はずっとお会いしたいと思っていたんです!」

頬を紅潮させながらケイレブは嬉しそうに話す。

「会いたかった?」

「はい!何せクールキャットさんは僕の人生を変えてくれた人ですから!」

興奮した様子でケイレブは話を続ける。

「実は、僕もZATO52で捕まっていたんですよ!」

それを聞いてクールキャットの表情が僅かに揺らぐ。

「当時、僕は逃げることはおろか生きることすらも諦めていました。でも、あなたが脱走したって聞いて衝撃を受けたんです!あんな状況下にあってまだ希望を捨てない、強い人が居たんだって!」

彼の言葉はクールキャットにとって驚きだった。なんせ、当時の彼女はただ目の前に転がり出たチャンスを必死につかもうとしただけだったからだ。

「それで僕も勇気をもらって、何とか逃げ出したんですよ!それでその後どうしようかと考えた時に、僕もあなたみたいに誰かに希望を与えられるヒーローになろうと思ったんです!ただ僕にはパワーがなかったので…」

ケイレブは少し俯いて口ごもったが、すぐに顔を上げて続きを話し始めた。

「それならせめてヒーローの手助けをしようとSSAに入局したんです!まあ、クールキャットさんが世界戦隊連盟に所属してるって聞いたときは少しショックでしたが…」

熱のこもった長話に若干圧倒されながらも、クールキャットは気になった事を尋ねようとする。

「私のせいで、ZATO52の体制は厳しくなったはずだけどそのことは恨んでないの?」

「まあ、それは事実ですけど、でも僕にとってあなたの行動は勇気をくれたんです。そりゃ、恨む人もいるかもしれませんが…。結局は捉え方次第だと思います」

あっけからんとした調子でケイレブは答えた。

「捉え方次第…」

するとケイレブがおずおずと右手を差し出した。

「あのー、握手していただいてもいいですか?」

「ええ」

赤崎との事も、捉え方次第なのだろうか。そんな思いが頭をよぎりながら、クールキャットは握手に応じたのだった。

第5話 終

では第6話のキーワードを募集します。↓3まで

最高権力

愛と友情

破滅

孤児

解散

ではちょっとした試みですが、こういうエピソードあるいは絡みが見たいというものを募集してみます。例えば国連の内幕が見てみたいとかそんな感じです。幕間的な感じにするか、本編に組み込むかはまだ分かりません。

テストなので少なめに↓2まで

今日はここまで。

前日談みたいな感じで赤崎と詩音の過去のヒーロー活動について

各組織の黒幕たちのフフフな暗躍劇

文章ちょっと抜けてた
可能なら>>371は赤崎と詩音の出会いや本編前の過去のヒーロー活動についてに訂正できますか?
更新乙

おつー

暗躍劇は多分6話で描きます。


5.5話 「私のヒーロー」

これは本編より前の時期、赤崎がレッドマーゾとしての活動を始めたばかりの、そして彼とスカイウイングの出会いを描いた話である。

東京の某区、スカイウイングは夕焼けをバックに住宅街の上を飛んでいた。日課である放課後のパトロールである。だが彼女はある課題を抱えていた。

「あっ、お婆さんが困ってる!で、でも、私が手伝いに行っても余計なお世話じゃないかな…」

そうこう悩んでいるうちに他の一般人がおばあさんの手伝いを始めた。

「こ、今度は迷子の子供が泣いてる!どうしよう…。あっ──」

もたもたしている間に母親が子供を見つけたようだ。

そう、彼女の課題とはその内気な性格のことだ。ヒーローとして人々を助けたいという意識はあっても、内気な性格が災いして率先して声をかけたり手伝ったりすることができないのだ。

(結局今日もこうやって無駄に1日を過ごすのかなぁ…。ほんと、駄目なヒーローだな、わたし)

俯きながら空を飛んでいるスカイウイングだったが、4人の青年が目に入った。何か話し合っているようだが、距離が遠いこともあって途切れ途切れにしか聞こえない。

「今日も──って言われたぜ」

「相変わらずだな。大体───能力養成学校だって───活躍できるはずだ!」

「だな。ところで──するのにいい場所を見つけた。ここから西の倉庫だ」

「ああ、あの特訓に───だな。そしたら────いつか俺達も認められるさ」

すると青年の1人がスカイウイングに気づいて空を見上げた。それに続いて残りの3人も顔を上げる。空に漂うヒーローの姿を見て、4人の青年はその場を立ち去った。

「あっ、行っちゃった…。随分落ち込んだ顔をしてたから困ってるのかと思ったんだけど…」

結局、今回も声をかけることはできなかった。

(毎日毎日おんなじことして…。ただメモが増えていくばかりだよ…)

彼女は行動できなかった自分を戒めるために、自らの行動と見聞きしたものを丁寧にノートにまとめているのである。ここ1ヶ月で行動できたのは15件の内、2件だけだ。大半が迷子猫の捜索だか、お年寄りが困ってただかで大したものではないのだが、スカイウイングにとっては何よりも行動できない自分が歯がゆかった。

今日のところは大人しく家に帰ろう、そう思ってスカイウイングが帰路につこうとしたその時、1人のヒーローが目に入った。

「あれは確か──」

朝にやっている戦隊もののテレビに出てくるような、赤いコスチュームを身に着けたヒーロー、レッドマーゾだ。

(そう言えば最近よく見かけるなぁ。私なんかと違って、あの人はいつも誰かを助けてる…)

その時スカイウイングは妙案──少なくとも彼女自身はそう考えた──を思いついた。彼の1日を追えば、自分に足りない積極性に必要なものが分かるかもしれない、と。

だが今日はもう遅い、明日にしよう。そう思い至ったスカイウイングは自宅への帰路についたのだった。

そして翌日、レッドマーゾはいつものように街の見回りを行っていた。転んだけが人を自宅まで送ったり、壊れたバイクを修理屋まで運んだり、落とし物を探したりと彼の1日は忙しい。

「いやー、本当にありがとうね」

「これもヒーローの務めさ!」

お礼を言いながら去りゆく老人に、レッドマーゾは笑いかけながら手を振る。

「さて…」

レッドマーゾはふと空を見上げた。視界の端に映った黒い影が慌てて電柱の後ろに隠れる。

「何が目的か知らないが、いつまで付け回すつもりだ?」

すると電柱の陰から女性が顔を出した。

「なあ!何か話したいことがあるなら降りてきてくれないか?」

女性はしばらくレッドマーゾをじっと見つめていたがやがて赤い翼を広げると、正面にゆっくりと降りてきた。

「は、は、はじめまして。わた、わたしはスカイウイング、です」

手を後ろで組んで、顔を背けてもじもじしながら女性は答えた。

「俺はレッドマーゾだ。よろしくな」

スカイウイングは躊躇いがちに、レッドマーゾが差し出した手を握った。

「それで、何のようだ?」

「えと、何ていうか、コツ?を聞きたくて…」

「コツ?」

「は、はい。どうしたら…そんなに自信が持てるのかなって」

スカイウイングは伏し目がちにレッドマーゾを見る。しかし彼の表情はマスクのせいで読み取れない。

「自信、か。うーん、自信とは少し違うけど、俺を突き動かしているのはヒーローへの憧れと誇り、かな」

「憧れと誇り?」

「ああ!」

レッドマーゾは拳を天高く掲げながら話を続ける。

「ずっと幼い頃からヒーローになるのが夢だった。今、ようやくスタートラインに立てた。そしてヒーローを名乗る以上、それを汚しちゃならいない!つまり、困ってる人は助ける、だ!」

「な、なるほど…」

スカイウイングはレッドマーゾの熱意に若干押されて後ずさる。とはいえ彼の言っていることは理解できる。彼女自身、ヒーローになったのは困った人を助けたいからだ。

(根っこはきっとおんなじなんだ。…なのにわたしは──)

「あんたら、ヒーローか?」

スカイウイングの思考は突然聞こえた声によって中断される。声の主はフードを被った青年だ。

「ああ。何か困りごとか?」

「けっ、何がヒーローだ。何であんたらは尊敬されて、俺達は…」

レッドマーゾに答えることなく青年はブツブツと呟く。

「おい?」

レッドマーゾの言葉を無視して、男は片手をスカイウイングにかざす。次の瞬間、スカイウイングは空を見上げていた。

「へ?」

どうやらコケたらしい。それを見た青年はポケットからナイフを取り出すとレッドマーゾに襲いかかる。

「な、なんだ!?」

「死ねっ!特権階級の偽善者共が!!」

そう喚き散らしながらナイフを振り回す青年をレッドマーゾは何とか取り押さえようとする。だがかなり錯乱しており、とてもじゃないが手加減はできない。そう考えたレッドマーゾは諦らめて彼を気絶させることにした。

「ガハッ…!」

正拳を喰らった青年はナイフを落としながら倒れ込む。

「ふぅ…。大丈夫か?」

レッドマーゾが地面に倒れ込むスカイウイングに手を差し伸べた。

「──っ!」

だが彼女はその手を払うとその場から走って立ち去った。恐怖からではない、自分の不甲斐なさからだ。転んだあと、青年がナイフを振り回してる間、立とうと思えば立てたはずだ。

にもかかわらず自分は立ち上がらなかった。いや、立ち上がれなかった。挙げ句の果てにヒーローのくせして他のヒーローに守られている。そんな自分が情けなかった。

(わたしなんてっ…!!わたしなんてっ!!)

自分が飛べることも忘れて、ただひたすらに走る。流れる涙も鼻水も無視しながらただ走る、情けない自分を置き去りにするかのように。

一方、レッドマーゾは事態に困惑していた。突然襲われたかと思えば、スカイウイングは立ち去ってしまった。

「ん、これは?」

彼は近くに手帳が落ちているのを見つけた。

「中を見るのは…」

悪いと思いながらも持ち主を特定するためにページを開く。おそらくスカイウイングのものではないかと推測してはいたが。

「ふむ…」

中にはびっしりとメモが書いてある。

「やっぱり彼女のか。…とりあえずコイツを警察に運んで、それから彼女に届けよう。…でもどこに行けば会えるんだ?」

レッドマーゾはそれから数日間スカイウイングを探し続けたが、ついに見つけることはできなかった。というのもあの一件以来、ヒーローとしての自信をすっかり失った彼女は自宅にひきこもっていたからだ。

「はぁ~」

布団の中に引き篭もって、勇気を出すきっかけにとヒーローの話題を見ては自分に嫌気が差すという負のスパイラルに陥っていた。

その時ふと、街がいつもより騒がしいことに気がついた。

「何だか今日はやけにサイレンがなってるなぁ」

丸まった布団から頭だけを出して呟く。すると携帯の通知が鳴った。

「あれ、国連からの連絡だ。えーと…ゆ、誘拐!?」

能力養成学校──パワーを持った人物の全員がヒーローかヴィランになる訳ではない。能力を持ちながらも普通に働く人々、あるいはヒーローになれるほどの能力ではないがその扱い方を学び、制御したいと望む人のための学校だ──の生徒が何者かに誘拐されたらしい。

「捜索にあたっていたレッドマーゾの行方もわからず…!」

報せを聞いて、ようやく詩音は布団から這い出て立ち上がった。もっとも彼女は無我夢中だったので、自分が遂に1歩を踏み出したことには気づいていなかったが。

「誘拐…そうだ!いつもパトロールしてた時に、危険そうな場所や人通りの少ない場所はメモしてたんだった!」

慌てて手帳を探し出す。だが机の上を探しても、収納箱をひっくり返しても、ポケットを探っても手帳は見つからない。

「な、なくした…!?」

再び、自分なんて、という言葉が頭に浮かびそうになる。だが彼女はそれを振り払った。

「落ち着け…。あのメモは何度も何度も読み返した。だから…うん!憶えてる!!」

スカイウイングは窓を開け放つと、躊躇うことなく飛び立った。そうして子供とレッドマーゾを探しに、街を飛び回る。

散々探し回って、いよいよ最後の候補である倉庫があるあたりまでやってきた。

「あれ、何か聞こえる…」

耳を澄ましてみると誰かのうめき声と怒声、そして鈍い音が聞こえる。屋根の上にそっと降り立つと、天窓から様子を窺う。

「──っ!」

中ではレッドマーゾが2人の青年にタコ殴りにされていた。彼が反撃しないのは、残る1人が子供にナイフを突きつけているからだ。

「レッドマーゾさん…」

スカイウイングは天窓から視線を外すと、自分の両手を見つめる。

「…やる。助けないと!」

力を込めて両手を握り、そして手のひらを開いて力を解放する。手はまだ震えている。だが彼女は顔を上げて、天窓に近づく。

翼を硬質化させると叩き割るようにして中に飛び込む。中にいた全ての人物が彼女を見る。

「クソッ!」

子供を人質に取った男が動く前に羽根を飛ばして無力化、流れるように残りの2人にも羽根を飛ばす。

泣くのを我慢している子供を確保すると、レッドマーゾのそばに近寄る。

「だ、大丈夫ですか?」

「─っ!あ、ああ」

脇腹をさすりながら返事をすると、レッドマーゾは手を伸ばした。

「悪いけど起こしてくれないか?」

「は、はい!」

手を掴んで引っ張り上げると、レッドマーゾは膝に手をつきながら息を吸う。

「はは、“今度は”掴んでくれたな?」

「あ……は、はい」

スカイウイングが笑いかけると、レッドマーゾはヘルメットを脱いだ。何だか突然気恥ずかしくなったスカイウイングは目線を反らす。

「え、えと、警察にはもう通報しました」

「わかった、ありがとう」

レッドマーゾは子供のそばによってしゃがみこむと頭を撫でた。

「よく頑張ったな」

「う、うん!」

子供に笑いかけると、レッドマーゾは立ち上がって誘拐犯のそばによった。

「どうして、こんな事を?」

地面に倒れ込みながら腹を押さえた男がレッドマーゾを睨みつける。

「あんたらにはわからねえよ…。俺達ミスフィットの境遇はな」

ミスフィット。これは本来の意味では、パワーを持っているにもかかわらずそれを活かす場所を見つけられない人々を指す言葉だ。しかし現在では中途半端なパワーを持った人々を指す差別用語となっている。

彼らはヒーローに、そしてヴィランになれるほどの力もない。しかし一般人にしてみれば、仮に犯罪に手を染めたならば普通の犯罪者よりも遥かにたちが悪い相手となる。そういった恐怖から、中途半端な能力を持った人物、特に特定の職についていない人物に用いられる。

「全くふざけた話だ。そこのガキどもは…俺らと大して変わんねえ癖に、親が金持ちだから能力養成学校に通える。んで、職を得て、みんなに尊敬される」

痛みで顔を苦痛に歪ませながら青年は語る。

「一方俺らはどうだ?親がミスフィットのせいで金がねえ。だから学校にも通えねえ。んで、なんだ?ミスフィットと呼ばれバカにされる。……本質的にはそこのガキと同じなのによぉ!!」

青年は拳を地面に叩きつける。

「だからガキを誘拐して、金を得て、俺は無理でも弟たちは学校に通えるようにしようとしたんだよ!」

「そう…だったのか」

「ま、てめぇら正義ぶったヒーローに阻止されたがな」

彼らの話を聞いて2人のヒーローの顔色が暗くなる。

「クソッ…。ようやく翼女の監視がなくなったから、実行したってのにこのザマなんてな…」

すると落ち着きを取り戻した子供がスカイウイングの袖を引っ張った。

「お姉さん、助けてくれてありがとう!それに、いつも見守ってくれて!」

「え?」

「いつもお空から僕達のこと、見ててくれてるでしょ?だからいつも安心なんだ!」

子供は無垢な笑顔を見せる。心の底から彼女を信頼しているようだ。

「え、えと…」

スカイウィングが動揺していると、警察が倉庫に到着した。彼らは誘拐犯と子供を外へと連れ出して行った。

スカイウイングはその様子を見ながら呆然としていた。するとレッドマーゾがそばによってきて、肩に手を置いた。

「スカイウイング、君は自信が無いって言ってたよな?」

「は、はい」

「でも今回のことで分かったじゃないか。君は立派なヒーローだ。いつも空から人々に安心を与えて、犯罪を抑止していた。そして、真っ先に俺と子供を助け出した。これでヒーローじゃないって言うなら、何なんだ?」

「私が…ヒーロー…」

子供から向けられた笑顔が頭に思い浮かぶ。

レッドマーゾは笑いかけながら、ゆっくりとその場に座り込む。それに釣られてスカイウィングも翼をそっと降りたたんで座る。

「良かったな、スカイウィング!」

「はい…」

彼女は隣に座って屈託なく笑うヒーローの顔を見る。

「…詩音です」

「え?」

「私の名前、詩音って言います」

「……そうか!俺は赤崎灯だ、よろしくな!」

改めて差し出された手を、スカイウイングは握った。

「はい。あか…さき君」

その日からずっと、彼女にとってのヒーローは赤崎灯、その人だ。

5.5話 終

今日はこれだけで終わりです。

乙です


主人公のカチューシャいるから恋愛面では厳しそうだけど詩音頑張れ

間が空きすぎて人いるかわからないけど投下。


第6話 「会合」

窓もない狭い取調室の中、アイスエイジは両足を机の上にのせながら両腕を組んでいる。その傲慢な態度、シルクハットのつばから見え隠れする鋭い眼差しは、拘束されている人物のものとは思えない。

「なら、本当にこの製薬会社については何も知らないんだな?」

抑揚をつけず淡々と話すシルバーナイトに萎縮することもなく、アイスエイジは笑い飛ばした。

「どうだったかなぁ?最近、物覚えが悪くてね」

「…ふん」

アイスエイジの軽薄な態度に呆れながら、シルバーナイトは自分の後ろに控えていたクールキャットの所へ移動する。

「どうやら話すつもりはないようだ」

「みたいね。博士の方も空振りだったし」

二人はハワイで得た情報をもとに、アイスエイジと博士に尋問を行っているところだった。

得られた肝心の情報というのはある製薬会社が、例の配送会社に血液サンプルの輸送を依頼した、ということだった。

しかし肝心の血液サンプルは既に数日前に輸送済みであり、今からそれを差し押さえるのは法的にも難しいとのことだ。配送会社にしても護衛にヴィランを雇っていたことは、会計士および輸送責任者の独断ということにされ、本格的な調査を行うのも厳しい。

マーケティング部が秘密裏に調査を行っているが、しばらくは時間がかかりそうだ。

「ヘル・オーガを呼べば?前回は名前を出しただけで話したんでしょ」

「こっちに来るには時間がかかる。それに──」

するとシルバーナイトの携帯が鳴った。

「その電話、出たほうがいいと思うけどなぁ」

ニヤつきながら指を指すアイスエイジを一瞥すると、シルバーナイトは電話に出た。

「ああ、そうだ。…なに?」

シルバーナイトの眉がピクリと動く。

「本気で言っているのか?……ああ。ひとまずそちらに連れて行く。だが決めるのは話をよく聞いてからだ。ああ」

ため息をつきながら、シルバーナイトは携帯をポケットにしまう。クールキャットは話の内容を聞こうとしたが、アイスエイジを見る、彼の刃物のように冷たい眼差しがそれを躊躇わせた。

「だから言ったろ?」

口の端を上げながらアイスエイジが楽しそうに呟く。そんな彼を無視して、シルバーナイトは口を開いた。

「用事ができた、今からニューヨークの国連本部まで行く」

「そう。なら私はここで──」

「いや。君も一緒だ、それとアイスエイジと博士もな」

──────

眼下に広がるは摩天楼。人類の進歩を体現するように上へ上へと伸びるビル群。それらの頂上には黒い影が落ちている。

世界戦隊連盟の空中機動戦艦のブリッジに居たクールキャットはぼんやりと外を眺ていた。

「どうかしましたか?」

声が聞こえた方を肩越しに見ると、スカイウィングが両手を後ろに組んで立っていた。

「……なにも」

彼女のつっけんどんな態度にもいよいよ慣れてきたスカイウィングは横まで来ると、一緒にニューヨークを見下ろした。

「たまに国連本部に来たときはいつも下から戦艦を眺める側だったんですけど、こうやって乗ってみるとすごい良い眺めですね」

ガラスのギリギリまで近づいて、手を双眼鏡のようにしながら外を見回す。

「でもビックリです。まさかこうして国連と世界戦隊連盟の会合に私達も参加するなんて」

そう呟いた彼女の肩は小さく震えていた。彼女の性格だ、この後ヒーロー界の大物と会うということで緊張しているのだろう。

「そうね。けど、私達の出る幕は恐らくない」

「どういうことですか?」

目を瞬かせながらスカイウィングが問いかける。

「今回の会合、シルバーナイトによればインナーサークルの連中も承認済みらしい」

インナーサークル──彼らは世界戦隊連盟の運営陣を支援する各界の有力者、つまり影の支配者だ。

「インナーサークルの手回しに加えて、国連の中央理事会じきじきの要請。ヒーロー業界の運営における最高権力者たちが決めたことに、今更シルバーナイトや私達の意見が通るとは思えない」

「そう言われると…そうですね。私も噂で今回のことは理事長のリエル・ロスチャイルドさんが提案したとかなんとか」

「リエル・ロスチャイルド…」

国連の中央理事会の理事長だ。彼女は大財閥ロスチャイルド家の首領でもあり、世界戦隊連盟に多額の出資をしているとの噂もある。それが事実なら今回の急な流れにも納得がいく。

「でも理事会はどうしてアイスエイジと博士の引き渡しを要請したんでしょうか?」

「私は知らないけど。国連に所属するあなたにも連絡はなかったの?」

「私は末端のぺーぺーヒーローなので……」

恥ずかしげに頭をポリポリとかきながら答える。

「けどそれならシルバーナイトさんがわざわざ私達も連れてきたのはどうしてでしょうか?」

「……」

その点についてはクールキャットも引っかかっていた。彼らを捕まえたとはいえたった3人の、ランキングトップ10に入っているわけでもないヒーローを連れていくことに意味があるとは思えない。だが、彼は意味のないことはしない。

「ところで…」

押し黙ってしまったクールキャットを見て、話題を変えようとスカイウィングが口を開いた。

「赤崎くんと仲直りはしないんですか?」

「仲直り?」

虚を突かれたクールキャットの声が若干うわずる。

「あれ、えと、喧嘩したんじゃないんですか?」

「違う。ただ…ちょっとした行き違いがあっただけ」

それを聞いたスカイウィングは胸をなでおろす。

「なら良かったです。二人とも私の好きな人たちですから」

「…好き?」

「はい!私、クールキャットさんのこと、頼れる年上のお姉さんみたいに思ってて──」

するとクールキャットの少し驚いた表情を見たスカイウィングが目を伏せた。

「ご、ごめんなさい。私が一方的にそんな風な友達になれたらって思ってるだけで…」

「いえ。……別に嫌というわけではない。けど、レッドマーゾも同じように友人として好きということ?私はてっきり──」

すると突然スカイウィングがクールキャットの口を両手で押さえた。

「わ、わー!な、何のことですかー?」

クールキャットは顔を動かすことなく、赤面しているスカイウィングに目線を向ける。すると彼女はがっくりと項垂れると小さく呟いた。

「……はい、男の子として好きです……」

スカイウィングは勢い良く顔を上げると、クールキャットを真正面から見据えた。

「そ、そう言うクールキャットさんはどうなんですか?」

彼女はすぐに答えようとして口を開いたが言葉に詰まる。

「…分からない。友人とは少し違うし、好きというわけでもないと思う」

「じゃ、じゃあ何なんでしょう?」

「…今は答えられない。けど、いつかは答えを見つけられると思う」

自分に言い聞かせるようにそう呟いた。

─────

スカイウィングとしばらく話した後、会談までまだ少し時間があったのでクールキャットは艦内を見回ることにした。そうしていると、ある人物と顔を合わせた。

↓1
出会ったのは誰?登場済みのキャラ、もしくは既出のキャラ案からお願いします。ただスカイウィングはさっき話したので無しで。

艦内に誰がいる設定なのか分からんが
>>57

不破くんのヒーローネームはこっちで適当に決めました。ちなみに所属は世界戦隊連盟ということにしました。


クールキャットはアイスエイジ達の様子でも確認しようと監房エリアに向かった。するとアイスエイジ達の監房の前に見知った顔が一人いた。

黒髪で仏頂面、刀を手にした若者だ。右眉のあたりにある傷痕のせいで18という年齢の割に威圧的な印象を与える。

「シャドウソード、ここで何を?」

「クールキャット。見張りだ。この悪党たちが逃げないようにな」

シャドウソードのことだ、命令された訳でもないが、内から湧き出る使命感とやらに突き動かされているのだろう。

シャドウソードは見た目のせいで冷徹な人間という印象を与えがちだが、実際にはヴィランを捕まえ、人々を守る事に情熱を注ぐ熱い人間だ。

詳しい事情は知らないが、テロで父親以外の家族を失ったらしい。彼の性格はそれが影響しているのかもしれない。その後父親と共にウクライナに移り住んで、現地で出会った継母との関係も良いらしい。

「ご苦労なことで」

「万が一があってはいけないからな。それに…アンタが彼らを殺さないとも限らないだろう」

「──そう」

そんな性格をしているので、殺しを躊躇わないクールキャットのことを彼は警戒しているのである。軽蔑とまではいかないが、快くは思われていない。とはいえこんな態度は慣れたものだ。

そんな彼の仏頂面を見ていると、クールキャットはふとレッドマーゾの事を思い出した。

シャドウソードとレッドマーゾは少し似ている。例えばその情熱的な性格なんかがそうだ。けど思い返してみれば、レッドマーゾは殺しを行うクールキャットの事を否定はしなかった。

彼のように理解を示してくれるヒーローはそう多くない。そう考えると、彼は少しズレているのかもしれない。

そんなことを思いながら、クールキャットはふと気づいた。レッドマーゾに対する葛藤が和らいでいる。

(──捉え方次第…)

↓1
シャドウナイトと話したい事があればどうぞ。なしと書いていただければそのまま進みます。

なんとなく友人や恋人いるのか聞いた

「ところでシャドウソード、あなた、友人や恋人はいる?」

突然の質問にシャドウソードは面食らった。といっても右眉がピクリと動いた程度だったが。

「これは…いったいどういう心境の変化だ?アンタはそういったものに興味はないと思っていたが」

「別に、なんとなく」

「なんとなく?それこそおかしいな。俺の知るアンタは“なんとなく”で動いたり話したりしないが」

「それは…」

その通りかもしれない。今までクールキャットがヒーローと会話をするのは事務的なもののみだった。他人のプライベートなどどうでもよい。

「──折り合いをつけるべき感情がある。その参考にしようと思っただけ」

シャドウソードは目を細めてクールキャットを見る。

「まあいいか。友人はいる。ヴィランを追ってブラジルに行ったとき、面白い少年と会った。ルシャっていう名前で、今でも時々連絡を取ってる。後は、キーウの柔道教室の連中とはよく話す」

「恋人は?」

「…いない」

少しの沈黙の後、シャドウソードが口を開く。

「今はヒーロー活動に専念したいからな」

そう告げた彼の言葉は、いつもより少し早口だった。

「満足か?」

「後ひとつ聞かせて」

シャドウソードは大きくため息をつくと、目線を送ってクールキャットに話すよう促した。

「あなたにとって友人はなに?」

真剣な表情で尋ねるクールキャットを見て、シャドウソードは目を瞑る。やがて目と口を開いた。

「友人は…そいつらと一緒にいると楽しくなれる相手だ、互いにな」

「楽しく……」

なら、やはりレッドマーゾは友人ではない。一緒にいて楽しいとは特段思わない。それならまだスカイウィングの方が当てはまる。彼女の姿は、性格も見た目も違うがどこか妹を思い出させるもので、共にいると微かに楽しいという気持ちが湧き出なくもない。

しかし、それならレッドマーゾの存在はいったい自分にとって何だろうか。

「おい?」

シャドウソードの呼びかけで、クールキャットはまぶたをゆっくり開けて我にかえる。

「なんでもない。参考になった」

「ならいいが。さて、俺も暇じゃないんだ。用が済んだらもう行け」

「ええ」

そう言って立ち去るクールキャットの背中をシャドウソードは見つめる。

「ったく、調子狂う態度だったな……。大体、年下に何聞いてんだよ…」

今日はここまで。

乙乙
ゆったり待ってるから問題ない

乙 

「通信室、ね」

そろそろ会合が始まるとのことで、クールキャットはシルバーナイトに通信室に来るように呼び出されていた。

彼女が近づくと、扉を守っていた警備員が道を空ける。薄暗い室内にはシルバーナイト、炎帝、ブラックがいた。

炎帝、ブラックどちらとも面識はないが二人のことはよく知っている。どちらも世界戦隊連盟に7人しかいない星5ヒーロの一員だ。

「来たか」

「この二人は?」

シルバーナイトは炎帝とブラックに目をやると、ため息まじりに呟く。

「勝手についてきた」

「勝手に?」

「ああ。この会合、できる限り関係者は減らしたかったが…この二人は諭すだけ無駄だろうな」

どうやらシルバーナイトの秘密主義はこの会合においても鳴りを潜めてはいないようだ。しかし何を警戒しているのだろうか?

すると真紅のドレスを纏った炎帝がクールキャットに詰め寄る。身長がかなり高い上に、ハイヒールを履いているのでクールキャットを見下ろす形になっている。

「こんなちんまいのが、アイスエイジと博士を捕らえたって?マジなのか?」

「ま、シルバーナイトさんが目を掛けてるだけはあるってことですね」

気づく間もなく背後に回ったブラックがクールキャットの肩に手を置く。19歳とは思えないほど黒スーツの似合う彼は、クールキャットの目を見ると微笑した。

「それで、なぜここに?」

「僕はただの野次馬です」

ブラックは笑顔を崩さないまま炎帝の横に移動すると、彼女を指差した。

「で、炎帝さんは──」

彼女はニヤリと笑うと、胸の前で右手を固く握った。

「国連の野郎に売られた喧嘩は買わないとな!」

真顔でふたりを見るクールキャットとは異なり、シルバーナイトの表情はどこかいつもよりぎこちなかった。

「今、少し話しただけでも分かっただろう?」

「ええ」

背後から炎帝とブラックの騒ぐ声が聞こえるが、無視して話を進める。

「ところでレッドマーゾとスカイウィングは?」

「彼らは国連所属だからな。ついてきてもらったが、会合には参加しない」

「ならどうしてふたりを?」

クールキャットの疑問に答えることなくしばらく黙ったかと思うと、シルバーナイトは目線を部屋の中央に向けた。

「……そろそろ会合が始まる」

すると薄暗い部屋が青白い光で満たされた。部屋の中央には国連の中央理事会の面々、そして理事長のリエル・ロスチャイルドがいた。

「ごきげんよう、みなさん」

リエルはただでさえ糸のように細い目を更に細めて微笑みながら礼をした。顔を上げて、後ろで一本にまとめた艶やなや髪を肩に垂らすと、続けて口を開く。

「世界戦隊連盟の星5ヒーローに3人も参加していただいて光栄です」

「そっちは理事会のみか…。ヒーローはいいのか?絶対皇女はともかく、てっきりジュエルブレイブあたりが来ると思ったが」

「それについては──」

「彼らなど必要ありません」

とある理事の言葉を、強い口調でリエルが遮る。遮られた理事は不満と苛立ちを思わせる表情で、リエルを横目に見ていた。

「そもそも今回の会合には、あなた達も含めてヒーローなど不要なのです。既に決まったことなのですから」

その言葉を聞いて、炎帝とブラックが笑みを浮かべる。もっとも炎帝は挑発的な、一方ブラックは心底楽しそうな笑み、という違いはあったが。

「決まっているからと言って、話を聞かない理由にはならない」

冷静なシルバーナイトに続いて、炎帝が輝くブロンドの髪を揺らしながら口を開く。

「そうだ!なんならそっちに行って無理に話を聞かせてもイイんだぜ?」

「そんな事をすればインナーサークルの方々が黙っていないでしょう。除籍処分が下されますよ?」

余裕綽々、笑みを崩すことなくリエルが答える。

「ハッ、上等だ!アタイは別にアイツらに認められたくてヒーローやってるわけじゃないんでね!」

鼻息荒くまくし立てる炎帝をシルバーナイトが片手で制止する。

「炎帝、ここは抑えろ」

「僕も、シルバーナイトさんの言う事に従ったほうがいいと思いますよ」

炎帝は二人を交互に見ると大人しく下がった。

「それで、アイスエイジと博士を連行する理由はお聞かせいただけるのかな?」

「勿論です。彼らは国連の機密情報を握っている可能性があります。それ故、彼らは私たちで拘束させていただきます」

「機密情報……?」

シルバーナイトは黙ってしまうと、考え込み始めた。

「ようはそっちの落ち度だろ?なんでアタイたちが──」

「まあまあ」

ブラックが炎帝の口を押さえる。彼女は手を無理に引き剥がそうとするが、ブラックは意にも介していないようだ。

クールキャットが周囲の様子を眺めていると、ふとリエルと目があった。

「クールキャットさん、あなたはずっと黙っていますが何も言いたいことはないのですか?」

相変わらず笑顔のままリエルが問いかけてくる。

↓1
リエルに何か聞きたいことor言いたいこと

アイスエイジと博士の処遇について

なぜこんな秘匿の会合に自分たち末端も呼んだのか

ちょっとだけですが今日はここまで。

おつ

乙乙
続き待ってる

「二人の処遇はどうするつもり?」

クールキャットの言葉を聞いたリエルは軽く首を傾げた。

「そんなこと聞いてどうなさるおつもりですか?」

「理由が必要?」

「──いえ」

リエルがクールキャットを凝視する。彼女の微かに見える瞳はどこか虚ろで、自分ではない誰かを見ているかのようだった。

「では教えて差し上げましょう。まずは両名から“じっくり”とお話を聞かせていただきます。その後は彼ら次第。我々に協力するか、残る一生を日の届かない暗闇で過ごすか…。納得頂けました?」

リエルは顔の正面辺りで両手を合わせると、クールキャットに向かって微笑んだ。

「わかった」

クールキャットの返事を確認すると、リエルは咳払いをして注目を集める。

「それでは──」

その後は国連側から二人の引き渡しの予定についての説明など、実務的な話が続いた。

やがて話も纏まり──といっても世界戦隊連盟は殆ど話を聞いていただけだが──リエルが会合の終了を宣言した。

ホログラムが消えると、通信室の照明が点いた。暗闇に目が慣れていたせいで少し目眩がする。

「そんで、どうすんだ、シルバーナイトのダンナ。殴り込みに行ってもいいぜ?」

会合の中身がつまらなかったのか、ぶっきらぼうに炎帝が呟いた。彼女の横ではブラックが退屈そうにアクビをしている。彼の興味をひいたのは会合の前半部分のみだったようだ。

「…やめておいたほうがいい」

シルバーナイトの様子を見て炎帝があからさまに溜息をつく。

「ビビってんのか?随分腑抜けになったんだな」

「どうとでも言え。だが、まだ終わりではない」

「あぁ?それってどういう……。ま、イイや。ダンナがそう言うならなんかあんだろ。それを楽しみに待つとするよ」

すると炎帝の視線がシルバーナイトからクールキャットに移った。

「そういやちんまいのは絶対皇女と同じウクライナに居るんだったな。なら伝えといてくれ」

「いいけど、何を?」

「バーカってな!」

そう言いながらはにかんだ彼女は、まるでイタズラを楽しむ子供のようだった。大人っぽいドレス姿にはとても不釣り合いな笑顔なのに、それがどこか独特の魅力を生んでいる。

炎帝が通信室を後にしたのを見て、ブラックもそれに続こうとする。

「それじゃあ、僕もここらへんで失礼しますね~」

ブラックは大きなアクビをしながら通信室を出ていった。

「…?」

「どうした?」

「……何も」

シルバーナイトに目を向けることなく呟く。

(部屋を出る瞬間、ブラックが笑っていた?)

それも今までに見た笑顔とは少し違ったような気がした。

─────

通信室を出たクールキャットは割り当てられた艦内の自室で考え事に耽っていた。

リエルの話によれば──すべてを信じるならば、だが──博士とアイスエイジは国連に関する何らかの情報を握っている事になる。

状況を整理しよう。そもそもアイスエイジを捕らえることになったのはシルバーナイトに協力してもらうためだった。アイスエイジは世界各地を転々としていたようだが、数ヶ月前にウクライナにやってきて何かをしていた。そして丁度レッドマーゾがウクライナを訪れたのと同時期に日本へ訪れ、銃器を密輸した。
素直に考えるなら日本同様、各地で銃器を密売していたのだろう。しかし問題は2つある。1つは、アルティメット・ワンは何の為にそれを指示したのか、だ。活動資金の為、というのがもっともらしいが……。2つ目は銃器の密輸、その過程で果たして国連の機密情報を知る機会があるのか、ということだ。仮にあるとすれば銃器、あるいは何らかの密輸に国連が何らかの関わりを持っている、だろうか?

博士の方はというと、ダイヤモンドダストを捕まえる為にZATO52に行った際に偶然捕らえた。彼は研究の自由と引き換えに、アルティメット・ワンの為にヒーロー遺伝子を人為的に活性化させるための薬を製作している。
研究優先の性格からして出歩くことはそうないはずだ。だとすると国連の情報を得る機会は限られる。推測に過ぎないが、アメリカの学会に所属していた頃に何らかの接触があったのかもしれない。

色々考えてはみたが、やはりどうも二人と国連をつなぐ線どころか、点すらも怪しい。シルバーナイトの警戒もここにあるのだろうか?

少し頭を落ち着かせようとロシアンティーを淹れようとしたその時、強い揺れでティーポットが倒れた。

「っ!!」

すぐさま身をかがめると同時に、入り口の方に視線を移す。

揺れは一度で収まった。

「乱気流…?」

だが部屋の外から聞こえてくる騒ぎを聞くに、そうではなさそうだ。

警戒しながら外に出ると、黒ずくめの武装した二人組に出くわした。

「くそっ、予定より早いが仕方ない!」

そう吐き捨てると二人は自らの首筋に青い液体が入った注射を射した。

(あれは博士の薬……)

手に持ったサブマシンガンを使うことなくクールキャット目掛けて蹴りを放つ。しかし側転をして避けた彼女に当たることはなく、蹴りはドアに当たった。

(速い…)

素早くドアの方に視線を移すと大きなへこみができている。

(薬でパワーとスピードが増してる…)

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
41~80 戦局有利
31~40 膠着
11~30 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

蹴りを放った巨躯の男はその大きさとは不釣り合いな速さでパンチを2発繰り出してくる。顔面を狙った拳を軽く躱したクールキャットは男の次の動きを確認しようと視線を移す。

再び拳を振るう素振りを見せた男だったが、突然しゃがみこむとその背後からもう一人の男がナイフを投げてきた。

「っ……」

回避はあと少しのところで間に合わず、神経は逸れたようだが肩から血が流れている。

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
41~80 戦局有利
31~40 膠着
11~30 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

肩に刺さったナイフの柄を握るクールキャットに、巨漢がじりじりと近づいてくる。

(フェイント…それとも……ならこっちから!)

刺さったナイフを引き抜くと目前の男に投げる。クールキャットの血をまき散らしながら飛んでいくナイフは前の男にも後ろの男にも当たることはなかった。回避の動作で反応が遅れた巨漢の側面に蹴りを入れる。

「ぐっ…」

うめき声を上げながらも蹴りを受け止めた男がニヤつく。

(本命はあなたじゃない…)

クールキャットの蹴りで態勢が崩れた男の肩越しに銀色に光るナイフが見えた。

それを投げ飛ばそうと腕を振り上げた男は小さなうめき声をあげたかと思うと、うつ伏せに倒れた。彼の背中には氷の弾丸による傷跡が見えた。

「クソッ!」

前にいた男は振り返ることなく悪態をついた。

↓1反転コンマ
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
41~80 戦局有利
31~40 膠着
11~30 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

相手が一人なら後は楽だ。右足に氷の弾丸を撃ち込むと、男はそのまま片膝をついて崩れ落ちる。

そのまま回し蹴りを頭に当てると、男は黒目をぐるりと1回転させたかと思うと、白目をむいてしゃがみこんだ姿勢のまま気絶した。

クールキャットはハンカチを取り出して肩の止血を行うと男たちの服を探る。

(身分証はなし…。博士の薬を使っていたことから考えると、おそらくはアルティメット・ワン…)

しかしどのようにして世界戦隊連盟の戦艦に入り込んだのだろうか?

(なんであれ状況を把握しないと。シルバーナイトはおそらくは船首にいる。スカイウィングとレッドマーゾは…分からない。それとも監房の様子を見に行くべき?)

↓1
1:シルバーナイトのもとへ行く
2:監房へ行く
3:その他(自由安価)

2

(シルバーナイトは星5ヒーロー。それに艦首には他にも警備部隊がいる。それよりも監房に行くべき。もし他にもさっきの連中が居るとしたら、普通の人間では分が悪い。シャドウソードが持ちこたえてるといいけど…)

即座に呼吸を整えるとクールキャットは船尾の監房エリアを目指して駆け出した。

艦内には警報を知らせるサイレンが鳴り響いているが、今の所誰にも遭遇していない。が、時折叫び声や争うような音が聞こえてくるので侵入者は他にもいるようだ。

地上の国連本部も襲撃を受けているのだろうか?そんな事を考えながら走っていると監房エリアまであともう少しだ。通路の角を曲がると廊下は襲撃の影響か、照明が点滅していた。

光と闇の世界に交互に移り変わる廊下を駆けながら、クールキャットはある異変に気づいた。廊下の壁に爪痕のような傷が多数残っている。

「っ…」

思わず足を止めたのは、暗闇の先に異様な気配を感じたからだ。吸い込まれそうな闇の中、2つの光がゆらりと動く。ゆっくりと姿を現したのは獅子の頭と胴体、竜の翼、尻尾の代わりに蛇がついた異形だった。

クールキャットを認めると、その異形は口に加えていた警備員の上半身を投げ捨て、咆哮する。

↓1反転コンマ
86~ 戦局有利(次の判定緩和)
56~85 戦局有利
36~55 膠着
11~35 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

その異様な姿に僅かに怯んだクールキャットだったが、人ではない化け物相手に容赦する必要はないことに気づいた。素早く氷の弾丸を化け物に浴びせる。

異形は身を守るように翼を広げる。爬虫類の体表のような見た目に反して、鋭い金属音のような音と共に弾は弾かれた。

(なるほど…)

翼で身を守ったと言う事は、おそらく獅子の胴体はそこまで打たれ強くはないのだろう。翼が防げるのは正面のみ、ならば側面から弾を浴びせればいいだけのこと。

予期せぬ方向からの攻撃に、獅子の頭は耳をつんざくような雄叫びを上げた。

↓1反転コンマ
46~ 戦局有利
31~45 膠着
01~30 戦局不利

異形もこのままでは命が危ういと感じたのか素早い動きで爪を振るう。

しかしもとから離れていた位置にクールキャットが居たことに加え、痛みで動きが若干鈍っているようで、それを回避するのは余裕だった。

その間も変わらず氷の弾は獅子の胴体を傷つけ続ける。

↓1反転コンマ
86~ 戦局有利(次の判定緩和)
56~85 戦局有利
36~55 膠着
11~35 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)

ストレート勝ちされたキメラさんかわいそう……



結局、キメラは手も足も出ずクールキャットに敗れた。はっきり言って相性が悪かったとしか言いようがないだろう。

物言わなくなった異形のそばを通り抜けると、クールキャットは監房エリアを目指して先を急いだ。

監房エリアの入り口に到達したクールキャットだったが、彼女の予感は見事に的中していた。辺りには戦闘の痕跡が残っており、警備員の死体が転がっている。

ヴィラン2人が収容されている独房の近くまでくると、争い合う音が聞こえた。角を曲がるとその先ではブラックがアイスエイジ、博士、そして見慣れないヴィランと戦っていた。そのヴィランは青いスーツに、炎にも似た青いオーラを身に纏っていた。その姿はまるでレッドマーゾをそのまま青色に変えたかのようだ。ただ1つ違うのは、彼が肌を刺すような鋭い殺気を放っていることだ。

数的不利にも関わらず、ブラックは3人と対等に渡り合っている。近くには座り込んで壁にもたれかかったシャドウソードがいた。負傷しているが致命傷ではない。

すると博士とアイスエイジがこちらに気づいた。

「僕のキメラがもう倒されたのか!?…帰ったら研究のやり直しだよ…!」

「おっと…猫チャンの登場かぁ?」

アイスエイジはシルクハットのつばを人差し指で持ち上げながらそう呟くと、青いヴィランに呼びかける。

「ブルースクリーム、そっちはいけるか?」

「ああ」

ブルースクリームと呼ばれたヴィランは低い声で短く答えると、オーラの輝きが更に増した。それを見たブラックの口角が思わず釣り上がる。

「だ、そうだ。じゃあ猫の遊び相手になってやるとするか」

「僕も手伝おう。彼女には恨みがあるからね」

声色だけでも仮面の下の素顔がニヤついているのがわかる。

(2対1……)

↓1反転コンマ
96~ 戦局有利(次の判定緩和)
86~95 戦局有利
61~85 膠着
26~60 戦局不利
01~25 戦局不利(次の判定悪化)

あい

まず動いたのはアイスエイジだった。氷のナイフを作り出すとそれを投げながらこちらに近づいてくる。体を左右にひねってナイフを躱すクールキャットに、アイスエイジは更に創り出したナイフを振り上げる。

「うおっ!?」

すると突然アイスエイジの目の前に酸が降り注いだ。

「お前、何考えてんだ!?」

「君が勝手に突っ込むからいけないんだろ?」

(あのクソ野郎、絶対にわざとだろ…)

舌打ちをしながらクールキャットに視線に戻すと、彼女の蹴りが鳩尾に命中した。

「──クソッ…!」

↓1反転コンマ
96~ 戦局有利(次の判定緩和)
86~95 戦局有利
61~85 膠着
26~60 戦局不利
01~25 戦局不利(次の判定悪化)

よろめいたアイスエイジに追撃を加えようとクールキャットが更に回し蹴りを入れようとする。だがアイスエイジはそれを左腕で受け止めると、靴先にはやした氷のナイフで蹴り上げるように首元を狙う。

「仕方ない、キチンとサポートしてあげるよ…」

そう呟いた博士は酸が詰まった容器をクールキャットの背後に投げ捨てた。容器が破裂したかと思うと、酸の障壁が形成された。

「っ!」

アイスエイジの攻撃を後ろにさがってやり過ごしたかったが、酸の障壁に阻まれてしまった。致命傷を避けるため右腕を犠牲にしてナイフの勢いを殺したが、アイスエイジの靴を伝って彼女の血が滴り落ちる。

「ワーオ、痛そうだぁ!」

アイスエイジはわざとらしく驚いてみせる。

↓1反転コンマ
96~ 戦局有利(次の判定緩和)
86~95 戦局有利
61~85 膠着
26~60 戦局不利
01~25 戦局不利(次の判定悪化)

痛みをこらえながら、クールキャットは自分の右腕で止めたアイスエイジの脚に肘打ちを入れようとする。

しかしアイスエイジは足首をスナップさせて靴先のナイフを折った。

「──っ!!」

その反動で傷口がえぐられるように痛む。

「ハッハァ!!」

楽しげに笑いながらアイスエイジは回し蹴りをクールキャットの頭に容赦なくぶち込む。

視界が大きく揺れたかと思うと、そのまま壁に頭を打ち付ける。目の前が一瞬白く明滅したかと思うと、途端に鈍い痛みが頭に響く。

「大丈夫かァ?視線が揺れてるぞ?」

↓1反転コンマ
91~ 戦局有利
76~90 膠着
01~75 戦局不利

「それじゃあ終わらせようか?」

博士はその場で頭を押さえるクールキャットに近づくと、彼女の両脚に躊躇なく酸をふりかけた。

「──ッッ!!」

緑色の液体がかかった途端、足に力が入らなくなる。まるで足の表面を針のついた棒で掻き回されているような痛みが襲う。

大量の冷や汗が目の中に入り込み視界がボヤケていく。

「猫には9つの命があるって言うが、それが本当か確かめるとしようか?」

アイスエイジが氷のナイフを手に持つ。その刃の表面には真っ青な顔をした自分の姿が写っている。ナイフが徐々に首もとに持っていかれる。そして氷の冷たさを首筋に感じたその時──。

「彼女から離れろ!」

久しぶりに聞いた暑苦しい声と共に、赤い羽根がアイスエイジを襲う。

「チッ!」

ナイフを捨てて後ろに下がったアイスエイジはクールキャットの背後を睨みつける。その視線の先にはレッドマーゾとスカイウィングが居た。

「大丈夫ですか!?」

慌てて駆け寄ってきたスカイウィングはクールキャットの両脚に目をやると、小さく驚きの声を上げた。

「お前たち…よくも──」

そう言って拳を握りしめるレッドマーゾだったが、更に奥にいるブルースクリームの姿を見ると思わず力が抜けた。

「そんな…バカな…。令、司…?」

「赤崎くん!?」

呆然とするレッドマーゾをよそに、いつの間にかブラックを降していたブルースクリームが博士に耳打ちする。

「分かったよ」

そう呟くと博士はひときわ厳重に保管された容器を取り出すと、それを壁面に取り付ける。

「ま、待てっ!」

我に返ったレッドマーゾだったが、動きを止めざるを得なかった。

「動けばコイツを殺す」

ブルースクリームは片手に持っていた拳銃の銃口をブラックに向ける。

どうすることもできずに動けないでいると、容器が破裂し、壁面に大きな穴が空いた。

「それじゃあヒーロー諸君、また会おう!」

ウインクをしながらアイスエイジが穴から飛び降りると、残りの2人も彼に続いた。

「に、逃げられちゃった…」

「大丈夫か?」

レッドマーゾはクールキャットに近づこうとするが、轟音と共に艦内が大きく揺れた。

「ば、爆発だよ!」

クールキャットはその爆発が音の方向から考えておそらく機関部であると気づいたが、声を出すことができない。

すると突然、床が大きく傾いた。どうやら戦艦そのものが傾いているようだ。突然の揺れに対応することが出来ず、クールキャットが体勢を崩す。その行く手には博士が空けた穴がある。

(まずいっ──!)

壁に手を掛けようとするが、足の痛みで力がうまく入らない。

「クールキャットッ!!」

レッドマーゾの叫びも虚しく、クールキャットは船外へと放り出される。

空に放り出されたクールキャットは目を瞑る。さっきまでの喧騒とは打って変わって空はとても静かだ。

(死ぬ…)

そう思ったが、その割には彼女の思考は冷静だった。

(サーシャ……。でも、きっと大丈夫。あの子なら──)

すると突然、誰かに体を掴まれた。思わず目を開けるとそこには赤いマスクがあった。

「レッドマーゾ…。どうして?」

いつの間にか足の痛みは感じなくなっており、声も出るようになっていた。

「…迷惑かもしれないけれど、俺はヒーローで、バディだからな」

その言葉を聞いた瞬間、クールキャットの頭の中の霧が晴れたような感覚がした。

「けど、このまま2人とも死ぬ」

「…体が勝手に動いたんだ」

マスクで顔は見えないが、きっとその下には穏やかな微笑みがあるのだろう。

「──そう」

クールキャットが再び目を瞑ると、今度は何かにぶつかったように大きく揺れた。またしても目を開けると、今度は涙と鼻水を流しながら泣きじゃくるスカイウィングが居た。

「ふ、2人とも死なせない、からっ!!」

「し、詩音!ありがとう!」

「──ありがとう」

2人の言葉を聞いてスカイウィングがぐちゃぐちゃの顔のままはにかむ。

「ど、どういたしまして!」

彼女は下に視線を移してからこちらを見る。

「──え、えと、が、頑張ってみるけど、たぶんかなりの勢いで地面に衝突すると思う!」

「どれくらいだ?」

「死にはしないけど、すごく痛いと思う!!」

「よしっ!なら、気合で乗り切るぞ!」

「えっ、う、うん!?」

そんなやり取りをした少し後、3人は地面に頭から突っ込んだ。

「──ケホッ、ケホッ!2人とも生きてる!?」

土煙で何も見えないがスカイウィングの声は聞こえる。

「い、生きてる!」

「私も」

やがて煙が晴れるとスカイウィングとレッドマーゾの2人がよろめきながら立っているのが見えた。安堵のため息をついたクールキャットは、レッドマーゾに呼びかける。

「な、何だ?」

「私、前にあなたが命を懸けて助けるのは迷惑だって言ったでしょ」

「ああ」

「それは今も変わってない」

「え…」

「だから私はそれを絶対に止める、バディとして」

クールキャットは微かに笑い掛けた。言葉の意味を察したレッドマーゾは、仮面の下で笑顔になる。

「分かった!」

そう言ってレッドマーゾはクールキャットに手を差し伸べる。一瞬だけ動きを止めたが、クールキャットはすぐにその手を握った。

「仲直り中ゴメンだけど、2人とも、アレ見て!」

スカイウィングが指差したのは国連本部の正面に設置された巨大モニターだ。そこには雪よりも白い髪と、ルビーのような目の色をした女性にも男性にも見える人物が映っていた。まるで人形のような見た目をした彼女が口を開くと、3人は話に意識を向けざるを得なかった。

『みなさん、こんにちは。私はロギア・ジアース。アルティメット・ワンという団体のトップを務めています』

彼女の透き通った目が見ている者を射抜く。

『私たちは世界の平和を望む者です。みなさんは今の世界が平和だと思っていますか?ヒーローたちに守られ、安心して過ごせていると?』

ロギアはまるで他愛ない世間話かのように話を続ける。

『ですがそれはあくまで仮初めです。世の中にはまだ多くの問題が残っています。何故ヒーローが存在するのに犯罪は無くならないのでしょう?それはこの世の中にまだ数多くの不正義や不公平が存在するからです』

「い、一体なにを…?」

レッドマーゾがボソリと呟く。

『それはミスフィットに対する差別、ヒーローと能力を持たない一般市民との間の超えようのない差、ヒーローが独占する権力、そういった物に起因しています』

「ミスフィット…」

詩音ら赤崎との出会いを思い出した。

『ではそれらをなくすには?答えは簡単です、みながヒーローになればいい。でしょう?ですので我々は本日から、世界各地にこの薬品を配布いたします』

そう言ってロギアが取り出したのは例の青い薬だ。

『こちらの薬品はミスフィットの方々も、能力が顕現していないみなさんでも、ヒーローに劣らない力を手に入れることができます。そうすれば不公平は解消されるでしょう』

するとスカイウィングが2人に携帯を見せた。

「こ、これ、ネットでも配信されてるよ!」

『ですが、ヒーローが権力を独占する不正義は解消されません。ですので我々アルティメット・ワンは国連、そして世界戦隊連盟を崩壊させ、誰も力を独占しない真の正義を実現します。もし、もしも私達に賛同していただける方は、彼らへの攻撃に参加してください。あなた方ひとりひとりの献身が世界をより良い方向へ導くのです』

そう言い終えると、ロギアはうやうやしく礼をする。

『それではみなさん、さようなら』

放送は突然終了し、画面は砂嵐になった。

「…こ、こんなの誰も賛成しないよね?」

「そう願うよ…」

「だけど──」

2人がクールキャットを見る。

「もし多くの人が彼女の言ったことを信じたら……今の危ういバランスのもと均衡している世界秩序は──破滅する」

────

「さて、みなさんのおかげで遂に私たちの計画が1段階進みました」

穏やかな物腰で話すのはロギアだ。

「ハッハッハッ!それにしてもボスも人が悪いね!あの大層な演説、どれも本心じゃないだろう?」

アイスエイジがシルクハットを指でくるくる回しながら笑い掛ける。

「確かに大義の部分は昔ある人から聞いたものうまく利用できるように少し変えた物ですね。ですが、世界平和を実現したいのは本当ですよ?ただ、手段がお話ししたものとは異なるだけです。ところで研究の進捗は問題ないのですね?」

ロギアは博士に説明するよう目線で促す。

「まあ、僕のような天才科学者がいる時点で当然だね。必要な材料は10人分。そのうち殆どは集まってるし、問題はないよ。ただ、厄介なのはシルバーナイトだね。アイツは警戒心が強い」

「ふふ、その点に関しても抜かりはありませんよ。彼は1番最後です」

するとずっと黙っていたダイヤモンドダストが口を開いた。

「ロギア様、私はあのブルースクリームとかいう奴は信用できないと思います!」

「確かに、この会議にも出てないな?」

アイスエイジがキョロキョロとあたりを見渡す。

「心配ありませんよ。確かに私たちの目的とは少し違う方向を向いているかもしれませんが、少なくとも私たちの協力者ではあります」

「で、ですが、私たちを、こう──」

「出し抜く?」

言葉に詰まったダイヤモンドダストにアイスエイジが助け舟を出す。

「そう、それ!」

「プッ、バカなガキ…」

地獄耳なダイヤモンドダストは博士のつぶやきを聞き逃さず、彼を睨みつける。一方博士はそんな彼女をおちょくるように手の平をひらひらさせる。

「落ち着いて、ダイヤモンドダスト。ブルースクリームはそんなことしませんよ」

ロギアは微笑んだかと思うと、恐ろしいほど冷たい声色で続ける。

「もし私たちを出し抜くつもりでも、モノがこちらにある限り全知全能は私たちのものです。博士、状態はどうですか?」

「常時モニターしてるけど問題なし。使えるのは1回限りだけど、いいんだよね?」

「はい、もちろん」

ロギアはそう言うとヴィランたちを見回す。

「それでは、本日はここまで。今後も計画通りにお願いします」

第6話、終。


今日はここまで。
なんかリエルさんとロギアさんの書き分けがうまくできてない気がする…。


ある程度設定を消化できたので新たに↓5まで募集しておきます。

どんどん話が大きくなっていく…
「特別チーム」

活路

束ねて繋ぐ手のひらを

ご飯

あー、ごめんなさい。設定って7話のキーワードのつもりじゃありませんでした。でもせっかくなんでキーワードは>>431から>>433までを採用します。

設定ていうのはキャラ案とか世界観設定とか組織の動向とかです。では↓5まで募集します。

能力者と非能力者の格差問題を笠に政府は全ての能力者から能力を剥奪出来るようにしろとか能力者の排除といった反能力者主義の思想や団体がいる
※そういった主張をする者のほとんどは社会的問題は建前で生理的嫌悪など個人的感情が殆どな傾向にある
※そのため全ての人間が能力者になることに反対の傾向が強い

名前:日山 玄志(ひやま げんし)
ヒーローネーム:赫灼将軍(かくしゃくしょうぐん)
ヒーローライセンス:国連
性別:男
年齢:80
出身:日本
主な活動地域:日本
能力:体をマグマに変えることができ、噴火やマグマを流すことなどできる。マグマの火力で空を飛ぶことが可能。
見た目や性格等の特徴:藍色の着物で杖をついている。着物で隠れているが実際かなり筋肉質。白く長い髭があり、右頬には傷がある。性格は正義感があり、優しい(ヴィランに対しては容赦ない)。国連、世界戦隊連盟関係なく色んなヒーローに対して相談やヒーローについての心構え等を教えている。レッドマーゾやスカイウィングからは「先生」と呼ばれている。年齢によるボケかわざとなのかよくヒーローの名前を間違える。
来歴:元日本ランキング1位のヒーローで世界の誰もが知っているレジェンド。しかし年齢の関係で引退を考えていたが国連の方から反対され話し合いの結界、今は10位で落ち着いている。80歳になっても強さと活躍はかわりなく、たった一人でヴィランの撲滅する事もある。今はアルティメット・ワン撲滅を目的に捜査をしている。リエル・ロスチャイルドとは古くからの知り合いでもある。

広報支援特化ヒーロー
戦闘や諜報活動などは専門とせず広報や宣伝を専門とするヒーロー達のこと
方法は国によって様々であるがアイドル文化が強く根付きアイドル的な活動を主とする日本が一番成果を挙げている
これには能力者でなくてもなれる

本名:ユスティーツァ・ユーグラウム
ヒーローネーム:ビックウェーブ
性別:女
年齢:29
出身:セントクリストファーネイビス
主な活動地域:カリブ海
能力:何もないところでも膨大な水を生み出し操り何もかも洗い流す。海においては更に無敵。
見た目や性格等の特徴:豊満スタイルの蒼髪碧眼の美人さん。我儘自己中好き勝手な性格。私のことが好きな人が好き。
来歴:中米カリブ海地域最強の世界戦隊連盟ヒーロー。自由人でヒーロー活動も興がノッた時だけしか行わないヒーロー界の問題児。昔国連と世界戦隊連盟とアルティメットワンに同時に勧誘されたが一番報酬が良かった連盟に靡いただけで特に正義心はない。いつでもふらりとヴィランにもヒーローにも振れる危ない人材。連盟の星5ヒーロー会合には大体参加しないが、もし参加することがあるなら何か大事件の前触れではないかと訝しめられる。何もかも欲しいものは実力でもぎ取ってきた彼女だが、時間による老化だけはどうにもならず、このまま美しさを保てないことに絶望気味。家族や地元の村の人間にだけは滅法優しく、カリブ海を荒らすなら相手が誰であろうと海の底に沈めてやる。


星5ヒーロー会合
世界戦隊連盟が特別な任務を星5ヒーローたちに下すときに招集する。大体は世界的案件の時に招集される極秘の会合だったが、最近連盟が拝金主義に走り始めてからは、例えばテレビの星5ヒーロー大集合企画やお偉いさんとの懇親会に呼ばれたりとかなり俗っぽい招集理由が一部散見される。

本名:不明
ヴィランネーム:ゴースト
性別:不明
年齢:不明
出身:不明
能力:自分や触れている物体を電子化して電子世界に侵入出来る
見た目や性格等の特徴:電子世界では変幻自在
来歴:能力に目覚めた時からずっと電子世界にこもりっきりでほとんど現実世界に戻ってこない
電子世界であらゆる犯罪を犯して世界を混乱させている
動機は死ぬまでの暇潰し

すみません>>437書いた者です。文の一部訂正します。
・「ヒーローの名前を間違える」→「他のヒーローの名前をよく間違える」
・「80歳になっても強さと活躍はかわりなく」→「80歳になっても強さと活躍は衰えることはなく、1位だった頃のまま維持している(もしくはそれ以上の強さと活躍を見せている)」

設定多い世界だ

あげ

    

楽しみ

ピヨピヨ

【空気中のスパイクタンパク汚染に気をつけましょう】

スギ花粉や様々な化学物質に対して過敏な方がおられるように
スパイクタンパクに対し過敏な方がおられます

特に二価ワクチンを接種された方に遺残した
オミクロン対応の
mRNAから生成されるスパイクタンパクは
従来の武漢対応のものと比べ
60~70倍人体に結合しやすくなっており
シェディング被害は甚大なものになっています

また一部の方に感じる臭いに関しても
酸化したPUFAの代謝産物であるアルデヒドの可能性も否定できません

科学的証明は難しい案件ですが
徹底したシェディングング対策や
イベルメクチンやグルC点滴などで
改善することから
臨床的に起こっている事案は
化学物質過敏症やスパイクタンパクそのものでしか説明できないものばかりです

スパイクタンパクが体内に侵入すると
自覚症状が無くても
徐々に毛細血管レベルでは
血栓を形成する恐れがあり
酸素や栄養素が
細胞全体に十分行き渡らなくなる可能性があります
これは老化の促進を意味し
新たな病気が発生する素因にもなります

既接種者で
コロナ後遺症やワクチン後遺症になった方は
非接種者に比べ
シェディング被害を被りやすくなっています
そのため治療が難渋している可能性もあることに留意してください

なんで書き溜めないのかな?
書き溜めないでスレ立てする時の心情ってどーなってるの?

普通に友達関係や上下関係作ってる人で人間関係の最低常識が解ってる
人ならこんな非常識な事を出来無い筈なんだがな?

一応は読物で素人の発表場所で読み手をイライラさせるって
なに考えてるの?
確かに俺はお前に金銭を渡してる訳じゃない

お前もプロ意識なんてある訳じゃないと思う
でも、書き手と読み手が居たらそれは一つの作品なんだよ

これはお前の作品であり可愛い子供なんだよ
それをネットで流して俺みたいな奴からダメ出し受けて
悔しくないのか?

なんでその場凌ぎの子供を世間に晒すんだ?

ちゃんと考えて書き溜めしてからスレ立てして
恥ずかしくないお前の子供を世の中に送れよ

お前の意識の問題だぞ

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