藍子「なんでしょう、これ？」

自主練を終えて飲み物を取り出そうと冷蔵庫を開けると、見慣れないビンがありました。

興味本位で手に取って見ると

ﾗﾍﾞﾙ「志希ちゃん特性、ちょっとだけ胸が大きくなる薬だよー」

『ちょっと』って何センチなんでしょう。２センチ？ １センチ？ それとも0.5センチでしょうか。

でも、0.5センチだとしてもちりも積もれば山となりますよね。

……………………

…………

……

はっ、いけません。

つい反応してしまいました。

こういう時は注意書きをよく読まないといけません。

もしかしたら、男性が胸筋をつけるための薬だったり、

針に薬をつけて胸を刺したら腫れて大きくなるだけの薬だったりするかも……。

説明書「正真正銘、ちょっとだけおっぱいが大きくなる薬だよ。使い方は、この小ビン１本分を全部飲むだけ。自由に飲んでいいよー」

ｺﾞｸﾘ

ｺﾞｸｺﾞｸ

読み終えた私はすぐ、その薬を飲み干していました。

それにしても志希ちゃん、こんな薬を作るなんて、83もあるのにまだ大きくしたいんでしょうか。

確かにこの事務所にはもっと大きい人もいますけど。

それにしても、効果はいつ出るんで

ﾑｸｯ

ﾑｸﾑｸｯ

ﾊﾞｲｰﾝ

ﾀﾌﾟｰﾝ

藍子「えっ？！」

レッスンウェアの下に着けていたスポブラ（してますからね！）が急にきつくなり、外してみたら現れたのは『ちょっと』どころではなく膨らんだ私の胸でした。
どれだけ大きくなったんでしょう。

藍子「確か、あっちの部屋に採寸用のメジャーが……」

というか、歩くと揺れるし、足元が見えにくいしで歩きにくいです。

雫ちゃんが言っていた時は自慢だと思ってましたが、本当なんですね。

藍子「自分で測るの難しい。えっと、94センチ？！ ということはGカップですか」

藍子「雫ちゃんや拓海さんには負けますけど、これだけ大きければ、時々『ブラの中で胸がずれちゃうんですよー』ってこれ見よがしに手をブラの中に入れて直して見せてくる愛梨さんや（※ただの天然です）」

藍子「ポジパでの泊まりのお仕事の時、お風呂で胸を持ち上げて洗ってるから『何してるんですか？』って聞いたら『こうしないと胸の下って洗えなくない？』と自慢してきた未央ちゃんや（※素です）」

藍子「座っているときにいつも胸を机の上に乗せて、『この方が楽なんだよねー』って大きいアピールをしてくる加蓮ちゃん（※素です）を見下すことができます！」

藍子「それにしても、20センチも大きくなるなんて、全然ちょっとじゃないですよね」

志希ちゃんにとって、20センチはちょっと、ってことはないですよね。

だとしたら、志希ちゃんが気づいてなかっただけで、実は個人差があるとかでしょうか。

そんなことを考えているとふと気づきました

藍子「あれ？ 説明書に続きがある」

説明書「ちなみに『ちょっと』っていうのは時間のことだよー」

えっ？

えっっ？

ﾌﾟｼｭｰ

ｼｭﾙｼｭﾙ

ﾍﾟﾀｰﾝ

藍子「ああっ、せっかく大きくなった私の胸が台無しにーーーー」


おわり