司会者「さあ、今回≪クイズ・10(テン)≫にチャレンジするのは――」
司会者「数々のクイズ大会を制し、女性ながら“クイズ王”の称号を欲しいままにしているこの方です!」
クイズ王「よろしくなのじゃ」
司会者「いやー、お美しいですねえ」
クイズ王「世辞などいっても何も出ぬぞ」
司会者「クイズに強くなるコツはなんでしょうか?」
クイズ王「年季じゃ。おぬしらとは年季が違う」
司会者「なるほど! 積み重ねが大事ということですね!」
クイズ王「その通りじゃ」
司会者「ちなみにおいくつですか?」
クイズ王「乙女に年を聞くな、たわけ!」
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司会者「≪クイズ・10≫のルールを改めて説明します」
司会者「ルールは至ってシンプル。全10問のクイズを全て正解できれば、賞金1000万円を差し上げます」
司会者「ただし前半5問は問題文読み上げから5秒以内、後半は3秒以内に答え始めなければ即失格です」
司会者「ようするに、考える時間はほとんどなく、テンポよく回答することが求められます」
司会者「準備はよろしいですか?」
クイズ王「いつでも来い」
司会者「では参ります!」
司会者「第一問!」デレッテン
司会者「戦国時代、織田信長に仕えた四人の武将。通称“織田四天王”を全て答えなさい」
クイズ王「柴田勝家、滝川一益、丹羽長秀、明智光秀!」
司会者「正解です! お見事!」
クイズ王「ふん、このぐらい答えられて当然じゃ。懐かしいのう」
司会者「第二問!」デレッテン
司会者「日本では1871年に初めて木製の郵便ポストが登場し、翌年より全国にポストが設置されました」
司会者「この時ポストの色は……何色だった?」
クイズ王「黒!」
司会者「正解です! 最初は黒かったんです。よくご存じでしたね!」
クイズ王「なにしろこの目で……勉強したからのう」
司会者「よく勉強していらっしゃる。さすがクイズ王!」
司会者「第三問!」デレッテン
司会者「1935年に文芸春秋社が創設した文学賞・芥川賞……記念すべき第一回の受賞者とその作品を答えよ」
クイズ王「石川達三の蒼氓」
司会者「正解! 昭和初期のブラジル移民の様子を描いた小説です。ちなみにお読みになったことは?」
クイズ王「もちろんある。出版されてすぐ購入したからのう」
司会者「すぐ?」
クイズ王「い、いや、だいぶ後じゃった。うっかりしておった」
司会者「第四問!」デレッテン
司会者「ペットとしてもおなじみのカナリアですが、カナリアの語源となっているラテン語の単語は……」
司会者「元はどの動物を指す言葉?」
クイズ王「犬!」
司会者「正解です! カナリアやカナリア諸島の語源となっているcanisは“犬”という意味の単語なのです」
司会者「第五問!」デレッテン
司会者「アマゾ……」
クイズ王「ポロロッカ!」
司会者「正解! ……なぜ早押し問題でないのに、早く答えたのでしょうか?」
クイズ王「この問題だけは早く答えねばならないと思ったのじゃ」
司会者「ちなみに問題は『アマゾンのアラグヮリ河流域で起こる河の水が逆流してしまう自然現象は何か?』でした」
司会者「さあ、前半五問終了です。感触はいかがでしょう?」
クイズ王「ふん、楽勝じゃ。このまま後半も突っ走るぞ!」
司会者「もし賞金1000万を手に入れたら何をしたいですか?」
クイズ王「油あ……」
司会者「油?」
クイズ王「あ、いや、オリーブオイルでも買おうかのう! わぁっはっはっは!」
司会者「それでは後半戦参ります!」
司会者「第六問!」デレッテン
司会者「クイズ王さん、あなたの好きなお寿司はなんですか?」
クイズ王「は?」
司会者「三秒以内!」
クイズ王「……稲荷ずし!」
司会者「正解です!」
クイズ王(なんじゃ、この問題は……?)
司会者「第七問!」デレッテン
司会者「ドラえもんの登場人物、剛田武と骨川スネ夫。親近感が湧くのはどっち?」
クイズ王「えぇと、スネ夫!」
司会者「正解です!」
クイズ王(また妙な問題を……クイズなのかこれは?)
司会者「第八問!」デレッテン
司会者「真っ先に思いつく寄生虫は?」
クイズ王「エキノコックス!」
司会者「正解! さあどんどん参ります!」
司会者「第九問!」デレッテン
司会者「ぶっちゃけた話、1000年以上生きている?」
クイズ王「生きてる!」
司会者「お見事、正解です!」
司会者「最終問題……第十問!」デレッテン
司会者「すばり、あなたの正体は?」
クイズ王「妖狐じゃ!」
司会者「正解でーす!」
ワアァァァァァ…
クイズ王(しまった! クイズのテンポに乗せられてつい正体を明かしてしまった……!)
クイズ王「なんなのじゃ、これはどういうことじゃ!」
司会者「すみません。実はネット上で色々と謎が多いあなたの正体についてさまざまな憶測が飛び交ってまして」
司会者「その中には『正体は妖怪じゃないのか』『九尾の狐かもしれない』なんてものもあったんです」
クイズ王「むむむ、そうじゃったのか。クイズ知識はあるが、そういう方面にアンテナを伸ばしてないからのう」
司会者「そこで今回、≪クイズ・10≫に出場して頂けるということで、この機会に……」
クイズ王「クイズを利用して、私の正体を暴こうということになったのか……」
司会者「そういうことです」
クイズ王「してやられたようじゃのう……」
クイズ王「それで? どうするのじゃ? 狐の妖怪である私を……」
司会者「どうもしません。1000万円も差し上げます」
クイズ王「な、なんじゃと? 野放しなのか?」
司会者「あなたはお美しいし、知識も豊富で、人に危害も加えない。いったい何をする必要がありますか」
司会者「むしろ、これからもぜひ大先輩として、芸能界・クイズ界で活躍して頂きたい」
司会者「人間を代表して、お願い申し上げます!」
クイズ王「むむう、しょうがないのう……そこまでいうなら……いいじゃろう」
司会者「顔がものすごいニヤニヤしてますけど」
クイズ王「だまらっしゃい!」
クイズ王「正体がバレた以上、人の姿はすれど人として生きるのはここまでじゃ」
クイズ王「これからは正々堂々“妖狐”として、おぬしたちをあれこれ世話してやるとするか!」
司会者「ありがとうございます。ところで、1000万は何に使います?」
クイズ王「油揚げを食いまくる!」
このクイズ王が史上初の“妖狐タレント”として人気を博し、各方面で大活躍することはいうまでもない。
終わり
スネ夫に親近感で草
幽白ネタ草
乙
乙
>>17
これだけ判らん
キツネとスネ夫ってなんか関係あったっけ
吊り目だとかそんなのしか浮かばない
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