「その子を殺そうだなんて酷い話だと思いませんか?」
彼女は僕にそう言うとあえて隙を見せるように背中を向けた。
ここで殺してしまうのは容易い。僕はそれなりに場数を踏んでいた。
行動>>2
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「結局、お前はどうしたいんだ?」と問う
「結局、お前はどうしたいんだ?」
そう言うと彼女は少しだけ振り向いた。口元が緩んでいるように見えた。
でもそれは僕に向けられたものではなくて、何か諦めに近い気がした。
「どうもしませんよ。殺されるなら、大人しく死んじゃいます」
年齢の割にあっさりとした態度をとる彼女に、僕は納得がいかなかった。せめてもう少し抵抗されないと変な罪悪感に苛まれる気がしてならない。
行動>>4
マクドナルドのクーポン券をあげてケンタッキーに連れていく
「最後の晩餐くらい奢ってやる。これ持ってろよ」
ポケットからくしゃくしゃになったクーポンを出した。いつもらったものか、有効期限なんかも覚えていない。彼女は露骨に嫌そうな顔をした。
「せめて好きなもの食べさせてくださいよ。最後なんだから」
「高いのはごめんだ。仕方ない」
そう言って車に乗った。不満が視線から痛いくらいに伝わった。
「隣に乗ってくれ。後ろは散らかってるんだ」
「本当だ。汚いですね。あなたらしいです」
今にも爆発するんじゃないかと心配になる音はいつものことなので、思い切りアクセルを踏み込んだ。
「あまのじゃくですね。まさか奢りってのも嘘ですか?」
「これから死ぬっていうのに金のこと心配しているのか?」
彼女は一瞬だけむっとして、すぐに笑ってみせた。
「冗談です。こういう風に人と過ごすこと滅多になくて」
楽しんでいるのだろうか? 僕はコーヒーを飲みながら考察を始めた。
「もうすぐクリスマス、ですね。殺し屋さんはその日もお仕事なんですか?」
「お前には関係のないことだ」
「そうですね」
店内にはその日に向けた広告がいくつか張り出されていた。余計なことをしてくれるものだ。
行動>>7
トイレに行く
「どちらへ?」
「トイレだ」
後になって気がついたのだが、かなり早足で歩いていたようだ。携帯電話の画面にはネットニュースが写っていた。
新種の寄生虫から人魚の目撃情報まで眉唾ものばかりで、世の中は平和なのだと実感させられる。僕は殺人鬼なのでそんなこと言えた立場じゃないのだけれど。
「僕に彼女を殺せるのだろうか」
おそらく、やれる。私情はないし、その時は一瞬で済む。容易だ。だからと言っていつまでも間延びさせるわけにはいかない。今日が終わるまでには完遂させよう。
「晩餐の後は……」
行動>>9
家に連れていくか
「さて、食事も済んだことですし私を殺しに行きますか」
「まだだ。その前に寄るところがある」
それに気がついたのは店を出てからだった。普段は絶対にあり得ないことだったが、どうやら車のキーをどこかで落としたらしい。
「仕方ない。歩くぞ」
「逃げると殺されそうなので、大人しくついていきます」
彼女といると調子が狂う。なのに、なぜかまだ生かしたままでいる。これ以上考えてもどうにもならないのでやめた。
煙草に火をつけた。真っ白な煙が夜空に溶けていく。
僕よりもかなり高齢のくたびれたアパート。殺風景な部屋を見た彼女は「殺人って儲からないんですね」と言った。
「悪かったな。あいにく金とは無縁の人生だ」
「そのようですね」
真っ当な人間じゃないのだから、ろくな人生を送れないのはわかっている。しかし、この仕事をずっと続けてわかったこともある。
いつも殺される人間は生きることを大して望んでいないということだ。
つまり殺される奴らだって僕と同じでろくな人生を送れはしない者たちばかりだった。
そういうのに限って死に際は馬鹿みたいに悪足掻きをするものだ。
何を思ったのか僕は棚から酒を取り出した。かなり非常識な判断だが、そんなことはわかっていた。
「お仕事中にそういうの飲むんですか?」
「一緒にどうだ?」
本当にどうにかなってしまったようだ。
「……では、少しだけ。人殺しとお酒を飲むなんて二度とないでしょうから」
僕は、いや、彼女も含めて僕らは寂しかったのかもしれない。人間関係とは無縁で人恋しくてこうなったのだろうと、酔いが回り始めてから気がついた。
酔っ払ったついでに僕は彼女にいくつか質問を投げかけた。
>>13
「セックスしたいんだろ?」
「セックスしたいんだろ?」
「はあ……。あなたはまだ、自分が最低だということに気がついていないようですね」
「ああ。どうやら僕は酔っ払っているらしいからな」
目を伏せて彼女は言った。
「もし私を襲うつもりなら、やめた方がいいですよ。そういう関係になった人いないので、きっと面白くありません」
「安心しろ。これから殺すやつにそんなことしない」
「ふふっ……意味がわかりません。せめて乱暴せずに楽に殺してくださいね」
彼女は部屋の隅に置いてあるCDのパッケージをまじまじと眺めていた。マイナーなバンドのしょぼくれたシングルが数枚だけ積んであるのだ。
>>15
彼女は超ビッチで主人公腹上死寸前まで搾り取られる
質問の形で安価下
歌は好きか?
「歌は好きか?」
「いいえ。音楽というもの自体を特別好きになったことはありません。ただ、この部屋のそのCDには魅力を感じたんですよ」
「変わってるな」
「たしかに変わってるのかもしれません。だってほら、殺し屋さんと晩酌してるなんて」
それは僕への皮肉なのだろうか。「殺し屋と酒を飲む女子高校生」が変なら「女子高校生と酒を飲む殺し屋」は言うまでもない。
彼女は僕の目を盗んでとっておきのウィスキーにまで手を出した。
「おいおい、いつのまに」
「いいでしょう? どうせこれから死ぬんだから。加害者さんへの嫌がらせですよ」
最後に>>19
何も、願わないのか?
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