結華(……む、ドアの向こうに気配が)
『結華が来たけん、スタンばって~』
結華(これは……全員いるかな。はてさて、どう出るかな?)
パンパンパンパン!
『誕生日おめでとう~!』
結華「おっと、王道だね」
恋鐘「何ねそのリアクション!? もっと驚かんと!?」
結華「こがたんの声外までドアの前でも聞こえてたから何かあるかなーって。クラッカーの音にはちょっとビックリしたけど」
霧子「お、驚かせちゃってごめんね……」
摩美々「霧子、そこ謝るところじゃなくないー?」
咲耶「どうやら、結華の方が一枚上手だったようだね」
摩美々「というより、恋鐘の声が大きかったからじゃないー?」
恋鐘「う、うちのせい? ごめんみんな~!」
結華「いやいや、こがたん何も悪くないから!」
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霧子「こ、恋鐘ちゃん、プレゼント……」
恋鐘「そやった! これ、うちらからのプレゼントやけん、受け取って!」
結華「三峰に? そんな、わざわざいいのに」
摩美々「私たちだって貰ってるんだしぃ、三峰だけなしって訳にもいかないしねー」
咲耶「それに、結華に喜んで欲しくて選んだものなんだ。是非受け取ってほしいな」
結華「……そうだね、ありがとうみんな。早速開けてもいい?」
恋鐘「よかよ! きっと結華も気に入るばい!」
結華「……ほぉ、これはメガネケースですか」
咲耶「レッスンの時、メガネをケースに入れてるだろう? そのケースが結華にしてはオシャレが足りないって、摩美々がね」
摩美々「まぁ、三峰にしては地味だなーって思ってたから。誕生日だしぃ、オーダーメイドで刺繍入れてもらったんだー」
結華「これ……山と傘?」
霧子「うん……。山は3つで、結華ちゃんの名字の『三峰』になるからって……恋鐘ちゃんが考えてくれたんだよ……」
恋鐘「我ながらば~りばりによかアイデアと思ったばい!」
結華「おお、確かに三峰のだって分かりやすいね。それで、傘は?」
霧子「それはプロデューサーさんが……結華ちゃんが、傘が好きって教えてくれたから……」
結華「か、傘が好きって……まあ、お気に入りの傘はあるけど。けど、このデザインすっごく気に入ったよ! 三峰がおばさんになっても使わせてもらうね」
結華「あれ、今日そのプロデューサーは?」
はづき「プロデューサーさんなら、朝から打ち合わせですよ~」
結華「あ、はづきちさん! おはようございます」
はづき「三峰さんおはようございます~、それとお誕生日おめでとうございます~」
結華「はづきちさんもありがと! そっか、プロデューサー今日もいないんだ」
咲耶「283プロ全員でのライブも決まってるし、それで忙しいんじゃないかな」
摩美々「それもあるしぃ、みんな売れてきてるからねー。今頃嬉しい悲鳴でもあげてるんじゃないんですかねー」
霧子「私たちも嬉しいけど……プロデューサーに会えないのは……ちょっと寂しい、かな……」
結華「まま、仕方ないよ。プロデューサーいないけど、今日もいつも通り頑張っていきますか」
恋鐘「そうたい。今日は結華と摩美々がインタビューがあるとね?」
結華「うん。昼までレッスンしてから、二人で受けるんだよね」
摩美々「はぁ……インタビュー答えるのめんどくさいなー」
結華「そんなこと言って毎回ちゃんとやってるんだからまみみんは偉いよねー」
恋鐘「とにかく、ライブば向けてレッスン頑張るばい!」
結華(うん、仕方ないよね。仕事だもん)
――――
記者「インタビューは以上になります。お疲れ様でした」
結華「ありがとうございましたー!」
摩美々「ありがとうございましたぁ。んー、疲れたぁ」
結華「まみみん、やっぱりちゃんとやってたじゃん」
摩美々「まぁ、しっかりしないと三峰に迷惑かかるしねー。そうだ、この後どうする?」
結華「んー……実は課題終わってないやつあってさ、図書館で終わらせてから帰ろうかなって思ってたんだよね」
摩美々「……へー、三峰が課題残ってるなんて珍しいねー」
結華「実は最近出たゲームが面白くて手を付け忘れたんですよ……いやぁ、アイドル活動に講義課題にゲーム、大変だよ」
摩美々「最後は自分のせいじゃなぁい? それじゃあ、私は三峰の邪魔しないように帰りますねー」
結華「うん、まみみんお疲れちゃーん」
結華(さってっと、私も行くかな)
――――
結華(……結局、1時間くらい図書館で暇潰してから戻ってきたけど)
結華「まぁ、いないよね」
結華(何やってんだろ、課題なんてとっくに終わってるのにまみみんに嘘ついてまでプロデューサー待つなんて)
結華(思えば、最近忙しそうであまり事務所でも会わないし。私のためにわざわざ時間空けるなんてないよね)
結華「……帰ろ」
ガチャッ
P「ハァハァ……お、お疲れ様です……」
結華「……え、プロデューサー?」
P「あ、結華! 間に合ってよかった……」
結華「なになに? 何でそんなに息荒らげてんの? そんな急ぎの用事あったの?」
P「何でって、決まってるだろ」
P「結華、誕生日おめでとう」
結華「……!」
P「面と向かって言いたくてな。頑張って早く仕事終わらせて、急いで帰ってきたんだ。はー、疲れた」
結華「私のためにそこまでしなくていいのに……」
P「結華のためだからだよ」
結華「もうっ、またそんなキザっぽいこと言って……でも、ありがと」
P「ただ、プレゼントは忙しかったのもあって買う暇がなかったんだ、ごめん」
結華「いやいや、三峰はPたんの言葉と気持ちだけでお腹いっぱいですよ」
P「それは俺としても嬉しいけど、何もないってのは……そうだ、よかったらこの後ご飯でもどうだ? プレゼントって訳じゃないけど、奢らせてほしい」
結華「え? Pたん後悔しない? め~っちゃ高いとこ、ご所望しちゃうかもよ?」
P「お、おう、どんと来い! ……やっぱ、少しお手柔らかに頼む」
結華「んー、そうだなー……あ、あそこ。あそこ行きたい!」
P「あそこ?」
P「行きたいとこって、焼肉屋でいいのか? しかも普通の焼肉屋だし」
結華「いいのいいの。Pたんのお財布事情もあるしね」
P「結華がいいならまぁ……」
結華「その代わり、焼肉奉行は任せますよー」
P「よし、任された。最適な焼き加減で提供してやる」
結華「さてと、ドリンクは……あ、そういえば三峰20歳になったんだよね」
P「そうか、もう成人か」
結華「……お酒、よかとですかPたん?」
P「いいけど、飲みすぎるんじゃないぞ」
結華「嗜む程度ってやつね、了解しましたー。Pたんは何飲むの?」
P「最初はビールかな」
結華「おお、大人って感じだ。じゃ三峰もとりあえずビールで」
P「ここ小ジョッキあるんだな。初めてだし、小にしといた方がいいんじゃないか?」
結華「はいはーい。あとは肉を適当に頼んでっと……」
店員「お待たせしました、生中と小でーす」
P「中はこっちで、小は向こうに」
結華「こ、これがぽしゃけ……」
P「それじゃあ改めて……結華、誕生日おめでとう。乾杯」
結華「ありがと、かんぱーい! それじゃあ初飲酒させていただきます!」ゴクッ
結華「にげっ」
P「ハハッ、最初はそうなるよな。俺も苦手だったよ」
P「しかし、本当によかったのか?」
結華「何が?」
P「誕生日に俺なんかと飯食ってて。ユニットのみんなや、友達と居た方がいい気もするけど」
結華「あー、友達は都合合わなくてね。ユニットのみんなとは、他の日にパーティ計画してるらしいから大丈夫だよ」
P「ならよかった」
結華「それに、Pたんとこうして2人で食べながら話す機会も無かったし、三峰的には嬉しいんですよ!」
P「確かにな。俺も嬉しいよ」
結華「っ……」ゴクゴク
結華「あービール苦いっ。Pたん、三峰にも飲めそうなお酒教えて!」
――――
P「さっきも言ったけど結華も成人か……。ん、肉焼けたぞ」
結華「あ、お肉ありがとー。なになに、いきなり親戚のおじさんみたいなこと言っちゃって」
P「大人になった感覚とかあるか?」
結華「三峰はあまり実感ないなー。あ、お酒飲めてちょっと感じたかも」
P「それが一番大きいよな。俺も20歳になった瞬間にコンビニに酒買いに行ったし」
結華「そういえばこがたんが、『うちの誕生日が来たら二人で飲むけん!』って言ってたなぁ」
P「恋鐘も来月誕生日か」
結華「こがたんも三峰と同じアンティーカ最年長だからね。今から色々楽しみだなー」
P「恋鐘と結華のサシ飲み……どうなるか予想つかないな」
結華「お、気になるならPたんも参戦しますか?」
P「……ちょっと保留で」
――――
結華「そだそだ、メガネケースあるでしょ?」
P「あぁ、みんなからのプレゼントか」
結華「あれすごく気に入っちゃったよ。三つの峰に傘、三峰を体現してる感じだし」
P「気に入ってくれたなら、みんなも嬉しかっただろうな」
結華「それに、プロデューサーも傘のアイデア考えてくれたでしょ?」
P「考えたって程でもないけど……個人的に入れたかったからな」
結華「なんて言うのかな……アンティーカだけじゃなくて、プロデューサーの気持ちも籠ってるって思うと、すごく素敵なプレゼントだなって。だからプロデューサーも、ありがとね」
P「今日はやけに素直だな」
結華「んー、三峰だって誕生日くらいは素直に喜ぶよ? あと、お酒飲んでるってのもあるかもね。って、あー恥ずかしかー! っていうかこの肉うまっ!」
~~♪
結華「あ、電話だ。ちょっと出てくるね」
P「ん、分かった」
――――
結華「お待たせしましたー。こちら三峰結華になりまーす」
P「店員みたいに戻るな。というか、もしかして酔ってる?」
結華「いや、そんなことないと思うよー。あ、さっきの電話兄さんからでした」
P「それって、俺のこと?」
結華「ん? どゆこ……まだその話する? もういい加減忘れてよ~」
P「はははっ、悪い悪い。それで、お兄さんはなんて?」
結華「誕生日おめでとうだって。あと、アイドルと学業両立して頑張れって言われた。プレゼントも今度送るってさ」
P「優しいお兄さんだな」
結華「兄さんだけじゃないよ。家族全員そうだし、アンティーカのみんなにはづきちさん社長さん、それに……プロデューサーもね。アイドルになってから、三峰の周りは優しい人でいっぱいだよ」
――――
結華「はー、お腹いっぱい。人のお金で食べるお肉、こんなに美味しかったんだね。Pさん、ゴチになりやす! 押忍!」
P「美味しそうに食べてくれて俺も嬉しいよ。それじゃあ会計してくるから先に外で待っててくれ」
結華「はいはーい」
P「お待たせ……って、雨降ってるのか」
三峰「そうなんだよー、ニュースじゃ降水確率30%って言ってたのに」
P「あくまで確率だからな。念のために傘持ってきてよかった」
結華「三峰も…………あ」
P「どうした?」
結華「あはは、折りたたみ傘うっかり家に忘れちゃったみたい……」
P「それは大変だな……。小雨って訳でもないし、どうするか……」
結華「ねね、Pたんの傘大きい?」
P「まぁ、小さくはないが」
結華「じゃあさ、駅まででいいから傘入れてもらってもいい?」
P「えっ。いや、誰かに見られたら……けど冬だし結華が風邪なんか引いたら……」
結華「三峰、風邪引きたくないなー。どこかに、傘に入れてくれる紳士な御方はいらっしゃらないかなー。チラッ、チラッ」
P「……仕方ないか」
結華「おっ、ここに紳士な御方が! ありがとうございます、Pたん!」
結華(まぁ、ほんとはあるんだけどね)
結華(でも、今日くらいは自分のための、小さな隠し事を許してね。自分へのプレゼントってことで)
P「大丈夫か? 肩濡れたりしてないか?」
結華「うん、ばっちり三峰を守ってくれてるよ」
P「無理しなくていいからな。俺は別に濡れてもいいから」
結華「してないってば。それにしても、こういう傘もいいものですなー」
P「これがか? 結華が気に入りそうな傘でもない気がするけど」
結華「いやいや、三峰は好きだよ、この傘。プロデューサーは好き?」
P「好き……うーん、まあ好きというか悪くはないかな」
結華「えー、そこは好きって言おうよ。傘が可哀想だよ?」
P「分かった、俺もこの傘好きだよ」
結華「えへへ……」
結華(傘は傘でも、相合傘のことだけどね)
おわり
短いSSですが読んでいただきありがとうございます。結華誕生日おめでとう
三峰が寝るまでは1/16日なので実質ギリギリセーフで
誕生日なので三峰のコミュ読み返したらやっぱり良かったのでハロー三峰を引きに行ったら十峰目のレイニーが出ました
乙です
おつおつ
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