【ミリマス】P「あの子と待ち合わせ」 (17)
恐らくはこちらに立てようとしたのが例のバグによってR板に立ってしまったものだと思いますので、よかれと思って代行しておきますね!
アイドルマスターミリオンライブ!のSSです。
地の文形式で書いていきます。短いです。
では、投稿していきます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1553598334
>>1 代行感謝です!
◆
午前7時。
アラームに設定していたオルゴール音を聞き、七尾百合子はハッキリしない頭で身体を起こした。昨日の晩、一応日をまたぐ前にはベッドに入っていたのだが、緊張で神経が昂っているせいか、眠りについたのはそれから2時間は経った後だった。
目を覚ますために洗面所へ。あえてお湯を使わずに顔を洗い、意識を覚醒させる。今日はPと2人で出かける日である。
…うぅ~、緊張する~!
Pとは収録終わりや遠方のロケ地に行った際に2人で過ごすことはあれど、お互いのオフの日に出かけるということは一切なかった。あくまで「仕事の延長線上」としてその時間を楽しんでいた。しかし、今日はその建前は一切通用せず、「プライベート」で会うことが百合子を一層緊張させた。
ホントにこの恰好で大丈夫かな?
鏡の中の自分に問いかけるが、もちろん答えは帰ってこない。薄い青を基調としたブロックチェックのブラウスにディープブルーのカーディガン、ブラウンをベースとしたスカートというどちらかといえば落ち着いた印象を与える服装である。
前日の夜に、アイドルを務めている仲間でありライバルであり唯一無二の友人の望月杏奈に電話し、相談した結果、このコーディネートに落ち着いた。杏奈に関しては百合子がどれだけ意見を求めても「百合子さんは、なにを着ても、可愛い、よ?」としか言わなかったため、相談になったかどうか怪しいところではあるが。
「えぇい!女は度胸!」と声に出すことで自らを鼓舞し、百合子は朝食を食べるためにリビングへと向かっていった。
◆◆
朝8時。
携帯でセットしたアラーム音によってPは目を覚ました。今日は久しぶりの休暇である。普段の休暇なら、時計の長針と短針が頂点で足並みを揃えてからでないと動き出さないところである。しかし、今日はそんなわけにはいかない。自身の担当しているアイドル、七尾百合子と出かける約束をした日なのだから。Pはまだ起きていない身体を気だるげに動かし、ベッドから下りた。
…シャワー浴びるか。
シャワーを浴びたことにより脳が覚醒したのか、思考が働き始める。
今日は10時に駅の時計の下で待ち合わせして、最近できた大きな本屋に行く予定だ。さすがに女の子を待たせるわけにはいかないから、9時30分には着くようにするか。目的の駅まで、徒歩と乗り継ぎの時間を加味して30分はかかるから9時には出ないと間に合わない計算だ。
朝飯はコンビニとかで済ませればいいか。
服装はどうするか。春を迎え、気温も上がり始めているためそんなに厚着をする必要もない。上は某量販店で購入した黒の無地のタートルネックに、灰色のケーブル編みニット。下は白地のチノパンツ。無難すぎる服装である気もするが、初めて出かけるんだそんなに気取らないほうがいいだろう、と自身を納得させ着替える。
見てくれを確認するために姿見の前で一応ポーズなんて決めてみたものの、自分のステータス以上のものにはならず思わず苦笑いがこぼれる。
同じ服装でも、スーパースターが着たらもっとイケてるんだろうな、なんて自嘲的なことも考えてしまう。
そんなような歌、どっかのバンドが歌ってたな。
◆◆◆
午前9時15分。
ちょっと早く着きすぎたか。Pは左腕につけられた腕時計で時間を確認しながら心の中で呟いた。まだ来ているはずもないし、構内のコーヒー店で朝食でも済ませようか。そんなことを考えながら歩いていたら、彼女を見つけた。
決して派手な服装ではないが、百合子によく似合っている。人ごみの中で目立つわけではないが、埋もれてしまうわけでもない。身近にいるから忘れそうになってしまうが、やはり人々を魅了するアイドルなんだな、と離れて見ることで改めて実感する。
よくよく見ているとやけに落ち着きがない。手元のケータイを見たかと思えば自宅から持ってきたのだろう文庫本を開いて、すぐに読むのを止めてしまう。きっと緊張して内容が入って来ないのだろう。そんな様子がいじらしく、悪戯心が働いてしまった。
なんでか百合子ってからかいたくなっちゃうんだよな。
◆◆◆◆
午前9時18分。
もう何回目か、携帯で時間を確認してすぐにまたポケットにしまう。もうこの場所に着いてから30分近く経つ。まだ待ち合わせの時間まで40分はあるのだからどこかのカフェで座って待っていればいい気もするのだが、今この時にでも彼が来るかも知れない。そう思うと移動する気になれなかった。
突然、ケータイの画面が切り替わる。PからのSNSアプリによる通話の通知だ。普段の仕事のときはPは携帯に最初から搭載されている通話アプリを使用する。だから、彼がSNSアプリで連絡を取って来るということは、今がプライべ―トなのだと改めて実感し、百合子の頬に赤みがさす。
…っといけない、電話に出なくちゃ。
「もっ、もしもしっ?」
『もしもし。百合子?』
「はっ、はい!どうかしましたか?」
『ほんっとうに悪い!寝過ごした!着くの遅れそうだ!』
「あっ、大丈夫ですよ!私も今から家を出るつもりだったので、焦らずにゆっくり来てください!」
『本当に悪い!また着きそうになったら連絡する!』
◆◆◆◆◆
電話を終え、アプリを落とす。百合子の様子は…、と姿を確認してみると「うわっ」と思わず声が出た。漫画でよく見るような背景に浮かぶ線が見えるかのごとく、分かりやすく沈んでいる。それなのに、自分もまだ家から出ていないなんて嘘をつくことでPの罪悪感を減らそうとする気配りがいじらしい。
そんな百合子の様子を見て、ちょっとやりすぎた、と自責の念が浮かんでくる。これは本格的に謝らないと許してもらえないかもなぁ。そんなことを思いながら、Pは時計の下へ歩を進めていった。
◆◆◆◆◆◆
はぁ、プロデューサーさん遅れちゃうのかー。でもしょうがないよね、プロデューサーさん忙しいんだし。
しょうがないと理屈では納得してもやはり気持ちは沈んだままである。でも、Pと会う時に沈んだ可愛くない自分を見せたくない。百合子は乙女的に計算を働かせ、切り替えることにした。
なにか甘いものでも食べてゆっくりしようかな。
◆◆◆◆◆◆◆
「百合子!」
百合子が時計の下から移動しようとしていたため、慌てて声をかける。
「悪い悪い、ちょっとしたイタズラのつもりだったんだけど…。百合子?」
キョトン、という表現がぴったりの表情を浮かべているため、心配になり再度呼びかける。
「…プロデューサーさんのドッペルゲンガー?」
「ぶっ!」
この文学少女は脳内スロットルを全力で回した結果、この場にまだいるはずのない俺のドッペルゲンガーが代わりに現れたと判断したらしい。
アホかわいいなぁ、コイツ。
「誰がドッペルゲンガーだ」
ツッコミ替わりのチョップを振り下ろすと、脳内お花畑妄想少女は「あ痛ぁ!?」と悲鳴を上げる。
「あっ、えっ、本物ですか?」
「なんだその芸能人に会った一般人みたいな反応は。立場逆だろ、逆」
「~~~プロデューサーさん!!!」
ようやくさっきの電話が嘘であり、Pにからかわれていたことに気づいたようだ。
プロデューサーさんはいつも私をからかってばっかです、とか、さすがにタチが悪すぎます、といった不満が次々とあふれ出す。そんな姿を見て、やっぱ百合子はイジけてる様子が可愛いんだよなぁ、とPは内心思う。こんなこと言ったら底意地が悪いとそしられそうなので口には出さないが。
「悪かった悪かった。お詫びに今日なんか本でも奢るから」
「えっ、あっ、ほんとですか!?」
「ちょろいなぁ」
「プロデューサーさん聞こえてますからね!!」
「別に隠す気ないしな」
「…もうっ!」
そんな他愛ない会話をしながら二人は待ち合わせ場所から離れて行った。
時計の9時30分頃を示している。本来の待ち合わせ時間のまだ30分も前だ。
これにて完結です。
有川浩さんの小説が面白すぎて自分でも似た感じで書こうと思ったんですけど無理でしたね。有川浩さんマジ神。
ということで、恋愛模様を書かせたらピカイチな有川浩さんの小説オススメです。『阪急電車』とか神作です。
では、またどこかでまたお会いしましょう。
本をおごるところも見たかったな
乙です
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/vn3y6mh.jpg
http://i.imgur.com/0T9CcHt.png
>>3
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/olHxThh.jpg
http://i.imgur.com/qpyaPQy.png
お疲れ様でした
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