アルミン「超過保護なミカサ」 (30)
-入団式-
ヒュォオォォオォォオォ…………
キース「…」ザッザッザッ
キース「おい!貴様は何者だ!!」ピタッ
アルミン「アルミンアルレルトです!人類のために戦う知的好奇心がある可愛い男の子です!」
キース「そうか!貴様には巨人の餌になってもらう!!」
アルミン「はぁい!!!」
キース「回れ右ッ!!」ゴキッ
アルミン「痛っ…!」
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キース「(今期は良い面構えをしている者が多いな)」ザッザッザッ
ライナー「…」
ベルトルト「…」ダラダラダラ
アニ「…」
キース「(…………………………ん?)」ザッ
キース「(……ん?…………ん?)」
ミカサ「いいエレン?あの教官を見る限りおそらく、これからの生活に対する不安や巨人への恐怖やその他諸々の畏れの感情が表情に表れている人間にはああやって恫喝をする傾向がある。だから地獄を乗り越えて来た猛者的な表情を作っておいた方がいい」ピッタリ
エレン「…」コクッ
キース「お………い………何をしている…」
ミカサ「来た。さあエレン」
エレン「…」キリッ
キース「貴様ら二人何をしている」
ミカサ「…………………」
ミカサ「…………私達ですか?」
エレン「……?」
キース「貴様ら以外に手を繋いだまま密着して列を乱してベラベラと口を開いている馬鹿者共が他にいるか?」
キース「今すぐ離れろ。一度だけなら許してやる」
ミカサ「嫌です」
キース「何?」
ミカサ「エレンには常に私が付いていないといけないんです」
エレン「…」
キース「いや分からんな……イェーガーも何とか言ってみろ」
エレン「…………」
ミカサ「辞めてください。エレンが口を開いて顎が筋肉痛になって顎関節症になったら責任取れるんですか?」
ミカサ「それにこの辺りは砂埃が待っていて空気が悪い。エレンの肺に深刻なダメージを与える可能性も…」
ミカサ「……ハッ!誰かマスクを持ってる人はいませんか?エレンの肺を守ってください!協力してください!お願いします!」キョロキョロ
キース「……おいっ……!……おいっ!!!!」ガッ
ミカサ「離してください!!!」
キース「グラウンド走って来い!邪魔だ貴様ら!!死ぬまで走って来い!!」
ミカサ「……死ぬまで…?エレンに死ねと…?」
ミカサ「いくら教官とは言え
エレン「…」スッ
ミカサ「!?…………エレン?」
エレン「…」コクッ
ミカサ「(エレンが私の目を見て頷いた…つまりここは大人しく教官の指示に従おうという意思表示)」
ミカサ「………分かった。でも走ると疲れるからグラウンドは歩いて回ろう」
エレン「…」コクッ
キース「いや頷くな走れ。走って許してもらえるだけで感謝しろ」
ミカサ「(エレンに無理をさせるなんて…!…この教官…絶対に許さない…!!)」
-夕方-
コニー「あのヤバい女とヤバい男まだ歩いてるぞ」
マルコ「でもあれは何をやってるんだろう…?女の人がカーペットを敷いたり巻いたりを繰り返してるけど…」
アルミン「あれはエレンが石に躓いて転ばないように道を作ってるんだよ」
コニー「…」
マルコ「…」
アルミン「エレンがカーペットを歩き終えたらまた巻いてエレンの前に敷き直す。これを繰り返してるんだよ」
コニー「嘘だろ。なんでエレンって奴もカーペットが敷かれるのを律義に待ってるんだよ」
アルミン「待たないとミカサに怒られるからね」
マルコ「君は…あの2人の友達?」
アルミン「うん。幼馴染」
コニー「あの光景を見てなんとも思わないのか…?」
アルミン「僕にとってはいつも通りの光景だからね」
コニー「(あんな状態でこの先やって行けないだろ)」
マルコ「入団式の時も異常に過保護だったよね…」
アルミン「ミカサは心配症だからね」アハハ
マルコ「(そんなに心配なら兵士に志願しなきゃいいのに…)」
コニー「エレンって奴は何も言わないのか…?」
アルミン「なんか口を開いたら顎の筋肉が筋肉痛になるかもしれないから喋るなって言われてる」
コニー「何言ってんだお前?」
マルコ「喋れない病気とかじゃなくて?」
アルミン「いや、喋れるよ。ただミカサが居る時は喋らないだけ」
コニー「ならミカサに言ってやれよ!俺は口開いても大丈夫だって!」
アルミン「僕もエレンもミカサに一度逆らったことあるよ」
アルミン「そしたらミカサが僕ら以上の剣幕で怒って来たから怖くて逆らえなくなった」
マルコ「…」
コニー「…」
-夕食 食堂-
ガヤガヤガヤガヤガヤ
ミカサ「このパンに毒は入っていないから大丈夫。エレン、口開けて」
エレン「あーん」
ミカサ「エレン!!!もっと小さく口を開けて!!!!」
エレン「アーン…」
アルミン「ここのスープは薄いなぁ」
コニー「(普通に飯食ってやがる…)」
マルコ「(死ぬまで走れって言われてたのに大丈夫なのかな)」
ザワザワザワザワ
アルミン「(なんか人が集まってきたなぁ)」
トーマス「ねぇ、君達シガンシナ区出身って本当?」
ミーナ「超大型巨人を見たことあるの?」
トム「少し話が聞きたいんだけど」
ミカサ「…」ピタッ
アルミン「(あっ、マズい)」
ガシャアアアアアアアアアアァァァァアァァァアァン!!!!!!!!!!!!!
トーマス「!?」ビクッ
ミーナ「!?」ビクッ
トム「!?」ビクッ
ザワザワザワザワ…
アルミン「(あぁ…机が粉々に…)」
ミカサ「貴方達…今エレンは死ぬまで走り回って疲労困憊の中やっと食事にありつけているの」ツカツカ
ミカサ「教官にも理不尽な理由で怒られて精神的に参ってる状態。これが原因でノイローゼになって部屋から一歩も出なくなる可能性だってある」ツカツカ
ミカサ「そんなエレンの貴重な時間を奪ってまで超大型巨人の話…?頭がおかしいの?まさかあの教官に何か唆された?」
ミーナ「ごっ…ごめんなさ
ミカサ「あと女はエレンに近付かないで。エレンが色欲に走って今後の訓練が疎かになるかもしれない」
アルミン「落ち着いてよミカサ。エレンが口を開けて待ってるよ」
エレン「アーン…」
ミカサ「口を閉じて待っててエレン。こいつ等には然るべき報いを」
アルミン「エレンが色欲?そんな訳ないじゃないか!片時も離れずにお世話をしてくれるミカサという奥さんがいるのに」
ミカサ「!?…おっ…奥さん…!?なっ…な…何を言ってるのアルミン…?」ドキッ
アルミン「いやぁ…傍から見たら夫婦にしか見えないよ。こんなに尽くしてくれる人って中々いないと思うよ?」
エレン「…」コクッ
ミカサ「やっ、やめて!恥ずかしい…!」
アルミン「ほら、エレンが可哀想だよミカサ!お腹を空かせて待ってるよ!」
エレン「アーン」
ミカサ「!!!??……あぁ!!ごめんなさいエレン!!今すぐ食べさせてあげるから!!」
ミカサ「ああ…しかし机が粉々になってパンとスープを落としてしまった…これではエレンの食事が…!」オロオロ
アルミン「僕の分をあげるよ」
ミカサ「ありがとうアルミン!!感謝する!」
アルミン「あはは」
ミーナ「あの…ごめんなさい」
トーマス「申し訳な
ミカサ「きえろ。ぶっとばされんうちにな」
アルミン「そういう事だから行っていいよ」
トム「すんません…」トボトボ
ジャン「(マジでやべぇ女だな。美人なのに勿体ねえ…)」
マルコ「(関わらないようにしとこ)」
ミカサ「今日はとても疲れた筈。食べ終わったらいつもみたいに一緒にお風呂に入って一緒に眠ろう」
アルミン「ミカサ。これ言うの207回目だけど訓練所では男女別々の宿舎だから無理なんだよ」
ミカサ「…」
ミカサ「うぅっ…」グスッ
アルミン「(あーもう、まただよ)」
ミカサ「どっ…どうして世界は私からエレンを奪うの…グスッ……私はただエレンと一緒に…いっ…居たいだけなのに…グスン…」ポロポロ
ミカサ「私は貴方達から…な…何も奪わない…グスンッ…だから私からエレンを奪うな…うっ…うっ…」ポロポロ
アルミン「ミカサ、エレンには僕が付いてる。だから安心して」
ミカサ「…………………分かった。でもせめて部屋の前までは付いて行く」
アルミン「そうか。うん、分かった」
ミカサ「エレン、食事が終わったらお姫様抱っこで連れて行ってあげる」
エレン「…」コクッ
アルミン「(とりあえずこの机片付けなきゃ)」
-部屋の前-
ミカサ「じゃあお休みエレン。お風呂は体の隅々まで洗って汚れを落とす事。そして湯舟からは基本100数えるまで上がってはいけないけど本当に熱くてのぼせそうになったら無理をせずに上がってもいい。でもそこら辺の判断はアルミンに任せる。もしエレンがのぼせそうだなーって思ったらエレンをお風呂から上げて欲しい。これはエレンの命を助ける為の重要な役割なのでアルミンはお風呂に入ってるエレンを常に監視しておくこと。それからお風呂から上がったら歯は虫歯にならない様にしっかり磨いて汚れを落とす事。もし、虫歯になったら余りの痛さで訓練なんてやってられなくなるから仮に虫歯になったとしたらすぐに私を呼んで。すぐに診療所まで連れて行ってあ
アルミン「分かったよミカサ」
エレン「…」
ミカサ「最後にお休み前のキスとハグを30回ぐらいやっておこう」
ベルトルト『ライナーあれ』ヒソヒソ
ライナー『バカ!目を合わすな!』ヒソヒソ
ミカサ「…!」ギロッ
ベルトルト「…!?」サッ
ライナー「…!?」プイッ
アルミン「人が通ってるからやめた方がいいかも…」
エレン「…」ウンウン
ミカサ「エレンは私とキスやハグをするのを人に見られる事が嫌なの?」
アルミン「(はぁ…)」
アルミン「だってムードが無いじゃん。ねえエレン」
エレン「…」コクッ
アルミン「そういうのは2人っきりの時にやった方がエレンだって燃えると思うよ」
ミカサ「もももも燃える…!?アルミンは一体何を言ってるの…」ドキドキ
アルミン「だから今日はもう寝よう。お休みミカサ」ガチャリ
エレン「…」
ミカサ「そういう事なら仕方がない。お休み2人とも」
バタン
ミカサ「…」
アルミン「ふぅ…僕達の寝場所は二段ベッドの上かなエレン」
エレン「…」
ベルトルト『ライナー…ヤバいの2人が隣だよ』ボソッ
ライナー『参ったな…極力関わりたくないんだが…』ボソッ
アルミン「………エレン。もう喋っても大丈夫だよ」
エレン「……あぁ」
アルミン「……なんだか久しぶりにエレンの声を聴いたよ」
エレン「……俺も久しぶりに声を発した」
アルミン「大丈夫エレン?続けられそう?」
エレン「いやもうとにかくミカサが怖い助けてくれ」
アルミン「うん…でも逆らったら大暴れするからね…」
エレン「あぁ……どうしたらいいんだ…」
アルミン「ハァ………」ズーン
エレン「はぁ…………」ズーン
ライナー『………なにやらエラく凹んでるみたいだぞ』
ベルトルト『…放っておこうよ。島の悪魔共に情なんかかけなくていい』
ライナー『いや、同期から信頼を得ておくのも悪くない。前も言っただろ?』
ベルトルト「…」
ライナー「おい、どうかしたのか?」
エレン「ん…?」
アルミン「え…?あぁ…君達か…さっきは扉の前で変な所を見せてごめん…」
ライナー「いや、いいんだ。何か困ってる様だから声を掛けたんだが」
エレン「大丈夫だ…気にするな…」
ライナー「相談ならいつでも乗るぞ」
アルミン「どうも……」
ベルトルト「もしかして、一緒にいる女の子の事で困ってるの…?」
エレン「…」
アルミン「…」
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ライナー「成程な。家族が過保護すぎて困ってると」
エレン「そうなんだよ…急に目の前に超大型巨人が現れたぐらい困ってるんだよ…」
ベルトルト「えっ!?!?」ビクッ
エレン「?」
アルミン「?」
ライナー「そっ、そっ、そりゃ大変だな」
ライナー「(取り乱すなベルトルト!)」ドキドキ
ベルトルト「(急にワケの分からない例えぶち込んで来るなよ!!)」ドキドキ
エレン「だからなんとかミカサ離れ出来ねぇかなって…」
ベルトルト「確かに食堂での様子見てたらあれはやり過ぎだね」
ライナー「入団式の時は度肝抜かれたぞ」
ミカサ「あの」
アルミン「過保護っていうか介護の領域だよ…」
ライナー「いい加減にしろって言い返せないのか?」
ミカサ「聞いて、ちょっといい?」
ベルトルト「こっちから言ってやらないといつまでも終わらないよ」
ミカサ「ねえ!!!!」
4人「「!!!?」」ビクッ!!
ザワザワザワザワ
アルミン「えっ!?ミカサ!?」
ライナー「(一番やべぇのが来た…)」
ベルトルト「(普通に男部屋に入って来たよ)」
ミカサ「今、エレンが喋ってなかった?」
アルミン「はぁ!?しゃっ…喋ってないよ!!」
エレン「…」コクッ
ミカサ「それなら良かった」
アルミン「それより何しに来たの!?ここ男部屋なんだけど」
ミカサ「エレンが心配だから見に来たけど、見に来て正解だった」
アルミン「え……?」
ミカサ「そこの体が大きい2人。貴方達は下で寝て」
ライナー「…俺達か?」
ミカサ「そう。もし体が大きい2人がいると寝ている時に二段ベッドの上が崩れてエレンが怪我をするかもしれない」
ミカサ「もしくは2人の寝相がすっっごく悪くてエレンがぐっすり眠れない可能性もある」
ベルトルト「…」
ライナー「悪いが…俺達の寝床はここだと決まってるからな…」
ミカサ「そんなの知ったこっちゃない」
ライナー「…」
ミカサ「こうやって言い争ってる間にも時間はどんどん過ぎて行く。つまりエレンの睡眠時間がどんどん削れていく」
ミカサ「エレンが可哀想だと思わないの?」
アルミン「大丈夫だよミカサ。僕ら4人でベッドに乗ってるけど軋む音すらしてないよ」
ミカサ「ベッドが崩れる可能性が1%でもある限り私は戦い続ける」
アルミン「(なんだよ戦うって)」
ミカサ「さあ降りて。今すぐ降りて」
ベルトルト「あわわわわこの人怖いよライナー…」
ライナー「だからここが俺達の指定の位置なんだよ…」
ミカサ「分かった。こうなったら実力行使で
マルコ「教官、あそこです」
キース「うむ」
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-翌日-
キース「今から腰にロープ付けてブラブラする適性検査をやるぞ!!!!!」
キース「これ出来ん奴は兵士になる資格無し!!帰れ!!!!」
アルミン「(昨夜は教官が来て1時間ぐらい揉めてからなんとかミカサを宥める事に成功しました)」
ミカサ「教官、質問があります」
キース「(またこいつか…)」
キース「言ってみろや」
ミカサ「これはバランスを崩して頭を打って怪我なんてしませんよね?」
キース「しない!」
ミカサ「分かりました」
ミカサ「さあ、いよいよエレンの番」
アルミン「…」
キース「準備はいいな?」
エレン「…」コクッ
キース「上げろワグナー」
カタカタ…
ミカサ「待って下さい」
キース「は?」
ミカサ「もう一度装備を確認しましょう。壊れているかもしれない」
キース「……必要ない」
ミカサ「エレン、一度装備を外して」
キース「おい待て。本当にやめろ」
キース「上げろ!早くぶら下げろ!!」
トーマス「はい」カタカタカタカタカタカタ
ガクンッ!!
エレン「痛たッ"…!!!」ゴンッ
エレン「」ガクッ
アルミン「あっ…」
キース「…」
ミカサ「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!!!!!!」
ミカサ「う"わ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"え"れ"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"ん"!!!!!!!!!!」
ミカサ「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!」
キース「落ち着け。頭を打っただけだ」
ミカサ「いやあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!!」
ミカサ「1人にしないでッ!!!戻って来てエレン!!お願いだから死な"な"い"でえ"え"ぇ"え"ぇ"え"!!!!!!!!!!」
アルミン「大丈夫だから…泣かないでミカサ…」
ミカサ「このハゲは嘘を付いた!!!バランスを崩しても頭は打たないと言った!!!私は許さない!!エレンを傷付けたこのハゲを許さない!!!!!」
キース「…」
こうして本気でキレたミカサはエレンを連れて訓練所をやめた。
でも僕は兵士になる為に頑張ります。
by アルミン
終わり
笑ったwww
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