北沢志保「え? 矢吹さんモテるの?」矢吹可奈「も、モテないよー!」 (61)

可奈「何回か告白されただけだよ」

志保「ふ、ふうん……」

可奈「ああいうの、困っちゃうよね。私、昔からアイドルになりたかったし、そういうおつきあいとか考えたことなくて」

志保「そ、そう」

可奈「断る時っていつも、どうやって断ったらいいのかな……って思っちゃって」

志保「う、うん」

可奈「志保ちゃんはああいう時、どうやって断ってるの?」

志保「えっ!?」

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可奈「ほら、メールとかだと『ごめんなさい』でいいんだけど」

志保「そ、そ、そうね」

可奈「面と向かって言われてる時って、なんて言って断ったらいいのかな?」

志保「め、面と向かって? 直接に!?」

春香「わかる! わかるよ、可奈ちゃん」

可奈「あ、春香ちゃ……さん」

春香「相手の子は真剣なんだよね。だから、簡単にお断りってしにくいよね」

可奈「そうなんですよ、春香さん!」

志保「あ、あの、春香さんもそういう経験……」

春香「もちろんあるよ? 多い時は週5ぐらいで」

志保「そ、そうなんですか……」

志保(やっぱり……リーダーなんだ、この人)

春香「やっぱりね、今はアイドルとして精一杯だからそういうこと考えられない、って言ってあげるのがいいと思うんだ」

可奈「なるほど。嘘じゃないですしね」

春香「うん。その上で、良かったら私のファンになってください、って話してるんだよね」

可奈「参考になります! ね、志保ちゃん!!」

志保「そ、そうね……」

可奈「? 志保ちゃん? もしかして……」

志保「え? あ、あの、そ、その……じ、実は……そういう経験……」

可奈「志保ちゃんはクール系美少女だから、そういう言い方って向いてないと思ってるんでしょ!」

志保「ええっ? あ、そ、そうね……ええ、わ。私は、そういう気の利いた言い方って向いてないかも……」

可奈「じゃあちょっと、静香ちゃんにも聞いてみようよ」

志保「え?」

可奈「静香ちゃんはどうお断りしてるか、参考になるかも!」

志保「え? 待って」

最上静香「今、私の事を呼んだ?」

可奈「ちょうどいいところに。あのね、告白とかされた時って、静香ちゃんはなんて言ってお断りしてるの?」

静香「え? そうね……私は」

志保「ちょ、ちょっと待って!」

静香「なに? 志保?」

志保「静香も……やっぱり告白とかされてるの?」

静香「それはまあ……何回かは」

志保「何回か、ってことは、今までに数えるほどってことよね! ね!!」

静香「いいえ? 月に何回か、ってことだけど?」

志保「つ、月!?」


https://i.imgur.com/bS7OZ9h.jpg
※北沢志保さんの脳内イメージです


静香「校門の前で何人か待ってたりするのよね。もう、教室からなんかこっちを見てるのがわかったりすると、帰るのが憂鬱になって裏門から出たり」

志保「ふ、ふーん」ギリギリ

可奈「あー、じゃあお断り以前に告白を受けないようにしてる感じなのかな?」

静香「そうなんだけど、そうもいかない時ってあるじゃない。ね、志保」

志保「え? そ、そそそ、そうね。あるわよ……ね」

静香「? ははあ志保、あなた……」ニヤニヤ

志保「な、ななな、ななななななによ!?」

静香「避けたり逃げたりに失敗して、結局いっつも告白されちゃってるパターンなんでしょ」

可奈「あ、そうなの?」

志保「えっ!? ま、まあー……」

静香「まったく。志保って、要領良さそうに見えて意外とドジだったりする所があるのよね」

志保「わ、悪かったわね」

静香「まあ運悪く告白されちゃった時は、仕方ないから『本当にごめんなさい』って言って頭を下げるわね」

可奈「え、それだけ?」

静香「下手な言い訳をすると、嘘っぽくなっちゃうから。でも、態度だけはこちらも真剣にしているわ」

可奈「そうか。やっぱりそういうの大事なんだね」

静香「まあでも、他にもっと気の利いた断り方もあるのかも知れないけど……」

福田のり子「なになに? どうしたのー」

静香「あ、のり子さん。おはようございます」

可奈「あのですね、告白とかされた時にどう断ればいいのかってお話なんですけど」

のり子「あー、あるよねそういう時」

志保「福田さんもやっぱり、そういうことあるんですね……はあ」

のり子「? ま、ほら、アタシって自分で言うのもなんだけどサバサバした感じでしょ? 話しかけやすいし、そういうのも言いやすいみたいなんだよね」

静香「はい、わかります。私も、すごくお話ししやすいって思ってますし」

可奈「うんうん。それにもしかしたらOKもらえそうな気もしますから」

志保「それで、どうやって断ってるんですか?」

のり子「あ、やってみてあげるから、ちょっと告白してみて」

可奈「え?」

のり子「ほらほら、演技力レッスンだと思って」

可奈「あ、うん……の、のり子さん私とつきあってください!」

のり子「あ!」

可奈「え?」

のり子「大変だ! ちょ、ちょっとこれ持ってくんない」

可奈「あ、は、はい」

のり子「大変だー!」

ブロロロンンンン

可奈「へ? の、のり子さーん!?」

志保「行っちゃったわね……それで、さっき渡されたそれ、なんなの?」

可奈「えっと……『ゴメンね』って書いてある……」

ノーリーコ! ノーリーコ! ノーリーコ! ノーリーコ!

可奈「あ、のり子さんから着信だ。もしもし?」

のり子「ってカンジかな」

可奈「これ、いつもやってるんですか?」

のり子「うん。まあ、ね。割としょっちゅう、つきあってくださいとかは言われるからね。なんとなく笑ってハイおしまい、って空気にするんだよ」

志保「なるほど。でもこれ、バイク持ってないとできない方法よね」

可奈「って、志保ちゃん言ってますけど」

のり子「まあね。参考にはならなかったかもしれなくてゴメンね」

可奈「いいえ、ありがとうございましたー♪」

静香「くだけたノリで、ちょっと楽しく断る……なかなか上手な断り方だったわよね」

志保「でも、さっきも言ったけど私たちはバイクには乗れないし……」

可奈「自転車ならどうかな?」

静香「追いつかれちゃうんじゃない? 男の子相手なんだし」

可奈「そっかあ」

宮尾美也「おやおや~みんなで、なんの相談ですかな~?」

静香「美也さん! あのですね、告白をされた時の上手な断り方について、話してたんですけど……」

志保「宮尾さんも、当然その……あるんですよね? 告白されたこと」

美也「それはまあ~。ありますよ? 私とおつき合いしたいとは、なかなかのつわものですなあとは思いますね~」

可奈「そういう時、なんて言ってお断りしてるんですか?」

美也「私、強い人が好きなんですよ~」

静香「え? あ、はい」

美也「だから、私より強い人じゃないと、おつき合いはできませんね~って」

可奈「強い……って、もしかして拳で?」

美也「うふふ。そうじゃなくて、将棋でお相手をお願いしてるんですよ~」

志保「ああ、なるほど。でも、それで負けちゃったらどうするんですか?」

美也「う~ん。まだ負けたことがないんですけど、もしも負けたらその時は~」

静香「そ、その時は!?」

美也「次は囲碁で対戦をお願いしますね~」

志保「な、なるほど。でもそれも負けちゃったら……?」

美也「その時は最終手段を用意していますよ~」

可奈「さ、最終手段!?」

静香「どんな手段なんですか!?」

志保「教えて下さい!!」

美也「プロデューサーさんですよ~。プロデューサーさんは強いですからね~プロデューサーさんに勝てたらおつき合いしてあげますよ~って」

志保「え?」

静香「プロデューサー?」

可奈「強い……って、もしかして今度こそ拳で?」

美也「違いますよ? プロデューサーさんは、とっても将棋が強いんですよ~」

志保「そうなんですか?」

静香「初耳よね」

美也「一度、お手合わせをお願いしたいと思ってるんですけど、プロデューサーさんは忙しいですからね~」

可奈「え? 実際にプロデューサーさんと将棋をさしたことはないんですか?」

美也「はい~」

志保「それなのにどうして強いってわかるんですか?」

美也「それはですね……以前、私が詰め将棋をして悩んでいたら、後ろからプロデューサーさんに『▲7六飛』って言われて、はっとしたんですよね~」

静香「じゃあプロデューサー、やっぱりかなり強いんですね。将棋」

美也「いつか対戦したいと思ってますけど、いつそういう機会が来るのですかな~……」

可奈「美也さんらしい断り方だったね」

静香「でも、美也さんじゃないとできない断り方でもあったわね」

志保「将棋に限らず、何か得意で強いことがないとね」

真壁瑞希「みなさん集まって、なんのお話ですか?」

高山紗代子「なにか相談事? 私たちでよければ、力になるよ!」

可奈「あ、瑞希さんと紗代子さん。そうだ、瑞希さんたちは男の子から告白された時って、なんて言ってお断りしてるんですか?」

瑞希「告白……ですか。英語で、ぶらっくアンドほわいと」」

志保「や、やっぱり瑞希さんも、告白とかされたりしてるんですよね」

瑞希「それは……ええ。まあ、時々……ドキドキしますね。告白は……時々でも」

可奈「そういう時、瑞希さんはなんて言ってお断りしているんですか?」

瑞希「私は……お断りしたことは、ありません」

静香「え!?」

可奈「う、受けちゃうってことですか!?」

瑞希「いいえ」

志保「ど、どういうことなんですか?」

瑞希「どう……断ろうか考えているうちに……相手の人はなぜだか『すみませんでした』って頭を下げて、去っていってしまうんですよね……不思議です」

志保「……それって、どのくらい考えていたんですか?」

瑞希「測ったわけではないのですが、おおよそ1時間ぐらい……でしょうか」

可奈「それは……1時間も表情を変えない瑞希さんに黙っていられたら……」

静香「真似はできないけれど、そういう断り方もあるのね……」

瑞希「よくわかりませんが、結果おーらいです」

志保「あの、高山さんも告白とか……されますよね?」

紗代子「うん。私、普段は目立つ方でもないけど、それでも……ね。マネージャーやってた時は、部の人から言われることもあったなあ」

可奈「紗代子さん、可愛いですもん」

紗代子「わあ、ありがとう」

静香「それでそういう時は、どうやってお断りしてるんですか?」

紗代子「私はそういう時、初心に戻る事にしているの!」

志保「初心……?」

紗代子「今でこそアイドルしてやっているけど、私はあちこちのオーディションとか全部落選だったし……本当になんにもできなかったんだ」

志保「そんな……」

紗代子「そんな、あの時の自分を思いだ……」

志保「……あれ? た、高山さん?」

可奈「紗代子さん? あ、あれ? 紗代子さんがいなくなっちゃった!?」

瑞希「……そこです!」ビシッ

志保「あ、高山さん!」

可奈「え? いつそこに? 全然気がつかなかった~♪ 気がつ可奈かった~♪」

紗代子「やっぱり瑞希ちゃんには見つかっちゃうかあ。あのね、アイドルになる前の、なんにもできない、なんにもない、透明みたいだった頃の私を思い出すことで存在感も透明みたいに消せるんだ」

瑞希「あいかわらず見事です。まさにvivid color」

静香「いや、透明みたいだったというか、完全に透明でしたよ!」

可奈「私もがんばれば、オリジナルの声だけになれるかな?」

紗代子「一生懸命やれば、きっとできるよ!」

可奈「2人とも、意外な方法だったけど……」

静香「ええ、参考にはならなかったわね」

志保「他に参考になりそうな人っていうと……」

百瀬莉緒「みんな~おはようー」

可奈「……」

静香「……」

志保「……誰かいないかしら」

莉緒「ちょっと! なに? 今の間!!」

可奈「え。えっと……」

静香「告白とかされた時に、どうお断りをするかという話を……」

志保「……そうなんです」

莉緒「ああ! なるほどね。そういうことなら、私に聞いてよ」

可奈「え!?」

静香「あ、あるんですか!?」

志保「告白されたことが!!」

莉緒「ちょっと!? 失礼ね、私だって打ち上げとかそういう時は大人気なんだから!!」

可奈「どう思う?」ヒソヒソ

静香「確かに莉緒さんは美人だし、優しいし、可愛い所もあるし」ヒソヒソ

志保「一応の参考にはなるかも知れないわね」ヒソヒソ

可奈・静香・志保「じゃあ……お願いします!」

莉緒「だから何なの、その間は!? まあいいわ。上手な告白の断り方……それは!」

可奈「それは?」

静香「それは?」

志保「それは?」

莉緒「相手の年収を聞いちゃうのよ」

可奈「……え?」

莉緒「もちろん、本気でそういうのを知りたいわけじゃないのよ? でもね」

静香「は、はい」

莉緒「そういうのを聞かれると、本気じゃない男の人ってすぐ離れていっちゃうのよね」

志保「そうなんですか?」

莉緒「本物の、愛を求めている人はそんなこと気にしないわ。でもね、目先の女性しか見えてない人は……ね。試すつもりで聞いただけでも……」

可奈「莉緒さん、もしかして……」

静香「そういう経験が……」

莉緒「いい女はね!」

志保「え?」

莉緒「過去は振り向かないの……じゃあね」

志保「思っていたよりも、深いお話が聞けたわね」

静香「意外といったら失礼かもしれないけれど、なんというか大人の雰囲気を感じたわね」

可奈「さすがだよねでも……」

静香「ええ。参考にはなったけど、私たちには使えない方法だったわね」

志保「でも、いつか使える日が来るかもしれないわよ」

可奈「あ、うん。そうだね」

静香「私たちも、いつかは大人になるんですものね。でも、とりあえず今使える断り方を知りたいのよね、志保は」

志保「ええ。……え? わ、私は……べつに……というか、ほ、本当は……」

可奈「? あ、誰か来たよ。大人の女性の断り方はわかったから、次は違うタイプの娘だと嬉しい可奈~♪」

志保「あ、え、うん……」

静香「えっと、あの声は……」

中谷育「おはよう」

周防桃子「あれ? どうしたの? みんな集まって」

可奈「……」

静香「……」

志保「……さすがに中谷さんや周防さんに聞くのは……」

育「?」

桃子「なんのこと?」

可奈「え。えっと……」

静香「告白とかされた時に、どうお断りをするかという話を……」

志保「……そうなのよ」

育「ああ! なるほどね。そういうことなら、わたしたちに聞いてよ」

桃子「ね」

可奈「え!?」

静香「あ、あるの!?」

志保「告白されたことが!!」

育「とうぜんあるよ。わたし、クラスの中でも人気あるんだから」

可奈「た、確かに育ちゃんや桃子ちゃんは可愛いから」

静香「人気あるのはわかるけど」

志保「今時ってそうなのかしら……もしかして……りっくんも!?」

桃子「もう! みんな、小学生だからって子供扱あつかいしないで。育や桃子ぐらいなら、告白やプロポーズなんて当たり前なんだから」

可奈「ぷ!」

静香「プロポーズ!?」

志保「そ、そんな……まさか……」

育「でも、わたしも桃子ちゃんも、いいことわり方を覚えたんだ」

可奈「それは?」

静香「それは?」

志保「それは?」

桃子「あのね、相手の年収を聞いちゃうんだよ」

可奈「……え?」

静香「あれ?」

志保「それって……」

育「もちろん、本気でそういうのを知りたいわけじゃないよ? でもね」

静香「え、ええ」

桃子「そういうのを聞かれると、本気じゃない男の人ってすぐはなれていっちゃうんだよね」

志保「そ、そうなんだ」

育「月に1000円って答えた子もいたけど、わたし思わず『それっておこづかいでしょ?』って言っちゃった」

桃子「やっぱり、自分の力でちゃんとかせいでいる人じゃないとね」

志保「そ、そういうもの……かしらね」

育「いくらわたしがお仕事してるからって、わたしより収入がすくない人はね……」

桃子「まあ将来性があるなら、それを加味してあげてもいいんだけど」

可奈「いやでも、相手の子も小学生でしょ?」

静香「将来性はみんなあるんじゃないかしら」

育「いい男の人はね!」

志保「え?」

桃子「若いうちから、そういうのにじみ出てるものなんだよ、静香さん」

静香「あの、ひとつ聞いてもいい?」

育「なに? 静香さん」

静香「その方法……他の誰かにも教えたり……した?」

桃子「え? うん、莉緒さんとかにも話したかな」

可奈「あー……」

志保「なるほど」

静香「そういうことか」

育「? ともかく、よかったら試してみてね」

静香「さて、他に誰かもう少し具体的な参考になりそうな娘は……」

志保「あ、あの、もういいんじゃないかしら……」

可奈「あ、誰かきたよ」

伊吹翼「なになに、なんの話~?」

静香「あー、また参考にならない娘が来たわね」

翼「え~? なんのことぉ~」

可奈「うん、あのね。告白された時、なんて断ればいいのかって話なんだけどね」

志保「伊吹さんはいつも『告白された~い』とか『これで告白とかされちゃうかなあ~』と言ってるわよね? そうよね!」

静香「それってつまり、告白とかされたことないってことでしょ?」

志保「あ、でも気にすることないわよ。そもそも14歳で『好きです』とか『つきあってください』って言われることの方が珍しいことでしょうし」

翼「え? 好きですとかつきあってくださいっていうのは、よく言われるよ?」

志保「だからね。むしろ言われた事のない方が普通……え?」

可奈「あるの? 翼ちゃん、告白されたこと」

翼「ううん。告白は、されたことないかな」

静香「ちょっとどういうことよ、翼。今、好きとかつきあってとは言われたことがある、って」

翼「え~? でもそれって告白じゃないでしょ?」

可奈「ま、待って待って。じゃあ翼ちゃんの言う告白ってどんなものなの?」

翼「それはやっぱり~素敵な場所とか特別な場所っていうシチュエーションで、カッコいいとか優しいとかでもちょっとクールなトコもある人に、好きとかつきあってください、って言われるのが告白でしょ~?」

志保「それってつまり、なんとも思ってない人に学校とかで好きって言われるのは……」

翼「あ、それはノーカン。告白には含まれないってことで、ヨロシク~」

静香「いや、それは違うんじゃないかしら。好きって言われたり、つきあってって言われるのは告白よ」

翼「そんなことないよ~。あのね、お姉ちゃんが小さい頃よくわたしに『翼は可愛いね』ってほっぺにチューとかしてくれてたんだけど、それってファーストキスじゃないでしょ~?」

可奈「それはそうだよね」

翼「お兄ちゃんも、わたしを遊びに連れてってくれて、ランチとか奢ったりしてくれるけど、それってデートでしゃないでしょ~?」

志保「ま、まあお兄さんとかお姉さんが弟や妹にそういうことしても、それは……ファーストキスとかデートには含まれないわね」

翼「だからあ、同じ。家族とかなんとも思ってない人からの『好きです』は、ノーカンで~す」

静香「なんというか……翼らしいわね」

翼「え~静香ちゃんは、なんとも思ってない人からの『好きです』も告白に入れちゃう派~?」

静香「私は、というか普通はそうなの!」

翼「わたしは告白って特別なものだし、そういうのは特別に思っている人からだけにしたいな~」

可奈「あー……うん。そういう気持ちは……私も、理解できるかな~♪ 私は可奈~♪」

静香「まあ変だとは思ってたのよね。翼みたいな娘が誰からも告白されたことないっていうのは」

志保「じゃ、じゃじゃじゃじゃあ、伊吹さんも好きとかつきあってくださいは、言われてるのよ……ね!?」

翼「うん。割としょっちゅう」

志保「はあ……」

可奈「? それで? その時はなんて言ってるの?」

翼「ゴメンね~……かなあ」

静香「まあ翼らしいわね。ところでちょっと気になったんだけど」

志保「なに?」

静香「莉緒さんが大人すぎて参考にならなかったのはわかるんだけど、ここにはおない歳、14歳組のほとんどの娘がいるじゃない?」

翼「うん。あ、そういえば未来は?」

静香「それよ。未来とかも絶対、告白とかされたことあると思うんだけど、あの娘どんな風に断ってるのかしら」

志保「いい意味でも悪い意味でも、空気が読めないものね。春日さんは」

可奈「よ~し! じゃあ未来ちゃんに聞きにいこうよ!」

志保「わざわざ春日さんの最寄り駅まで来なくても、劇場で待ってれば良かったんじゃないかしら」

可奈「少しでも早く、聞きたいから~♪ あ!」

静香「どうしたの? あ!」

翼「未来、知らない男の子に呼び止められてる~」

志保「え? こ、これってもしかして……」

可奈「ナマ告白だよ! な、なんて言って未来ちゃんは断るのかな!!」

未来「それで? 私に用って?」

男子「あ、あの春日さん……! ぼ、僕……あなたのことが……す、す、す……」

志保「ほ、本当に告白されてるわ!!」

静香「それは当然、そうだろうけど……」

可奈「人の告白を実際に見るなんて、あんまりないよね」

未来「す?」

男子「好きです!」

未来「あ、うん。ありがとう」

男子「……」

未来「……」

男子「……?」

未来「……?」

男子「あの……」

未来「なに?」

男子「それで……返事は……」

未来「返事?」

男子「ありがとうってことは、それは……つきあってくれるということ……?」

未来「突きあう? 闘牛みたいに?」

男子「え?」

未来「闘牛! 見たことある?」

男子「え? いえ、ない……です」

未来「私もないんだ!」

男子「はあ……」

未来「……」

男子「……」

未来「なんの話だっけ?」

男子「あの、僕とつきあってくれるんですか……?」

未来「突きあう? それって……」

男子「闘牛じゃなくてですね!」

未来「え? 違うの?」

翼「ねえねえ、このシーンさっきも見なかった~?」

静香「確かに会話がループしてる気がするわね」

男子「僕、春日さんが好きなんです! 僕とつき合ってください!!」

志保「い、言い切ったわ。あの男子」

可奈「はっきり言わないと、未来ちゃんわからなそうだもんね」

未来「突きあう? それって……」

男子「闘牛じゃなくて、僕と交際をして欲しいんです!」

未来「闘牛……? どうして急に闘牛の話題が出てくるの?」

男子「え?」

未来「闘牛、見たことあるの?」

男子「ないです!」

未来「私もね、牛乳は見たことあるんだけど闘牛は見たことないんだ」

志保「なんの話なの!?」

可奈「なんだかよくわからないけど、相手の子も困惑してるね」

静香「芸能人としても友人としても未来は断るべきだとは思うけど、なんだかあの男の子を応援したい気がしてきたわ」

翼「がんばれ~」

男子「とにかく! 僕は春日さんが好きなんだ!! 春日さんは僕をどう思います!?」

志保「あの子、力押しできたわ!」

翼「このままだとらちがあかなそうだもんね」

未来「あなたを? えっと、別に好きではないかな」

男子「ガーーーン!!!」

静香「未来~! 包みなさいよオブラートに!! いくらなんでもハッキリいい過ぎよ!!!」

可奈「別に~♪ 好きではない可奈~~~~~~♪♪♪」

翼「うわ、いいビブラート」

男子「っ……で、でもこれから……! そう、これから僕のことを好きになってもらえませんか!!」

志保「ね、ねばるわね」

翼「熱意は感じるかな」

未来「うーん。でもあなたとは初めて会ったわけだし、次につい会えるか……」

静香「意外ね。ちゃんとしたことを未来が言ってるわ」

可奈「静香ちゃん? 未来ちゃんをなんだと思ってるの?」

男子「えっと……あの、会ったのは初めてじゃなくてですね」

未来「え?」

志保「なになに? 2人は今日より前に出会っているの?」

翼「運命の再会とか~? うわあ。それ、ちょっといいなあ」

男子「毎日、教室で会っています……」

未来「え?」

志保「え?」

可奈「え?」

静香「え?」

翼「えぇ?」

男子「同じクラスです……僕」

静香「覚えなさいよ未来! クラスメイトの顔ぐらいは!!」

可奈「静香ちゃん? 未来ちゃんをなんだと思えばいいの?」

未来「そうだっけ? ほら。ウチのクラス、人数多いから」

翼「そういえば未来、握手会に何人来てたって聞いたら『うーん……いっぱい?』って答えてたっけ」

志保「なにそのエピソード」

男子「いやでも……」

未来「?」

男子「僕、となりの席です」

未来「あれ、そうだっけ?」

男子「今日も、教科書忘れてきた春日さんに、教科書見せてあげました」

未来「本当に?」

静香「こっちが『本当に!?』よ!! なんでそのこと自体を忘れてるのよ!!!」

翼「それにそもそも、教科書忘れてくるのが問題かな~」

可奈「え? 翼ちゃんは、そういうことないの?」

翼「わたしは教科書、学校に置いて帰ってるからね~」

志保「それも駄目でしょ?」

男子「ともかく、毎日顔は合わせるんだから、今日からでも僕のこと少しずつ意識してくれたら……」

未来「うーん。でも私、君に全然興味ないよ?」

男子「うわあああぁぁぁーーー……」

静香「もうやめて未来……!」

翼「相手の男の子のライフはゼロだよ~」

志保「さすがにあの男子も、地面に崩れこんじゃったわね」

可奈「ちょっと可哀想……」

未来「? どうかしたの?」

男子「……わかりました」

未来「?」

男子「でも、これからも僕は春日未来さんを見ていきたいと思う」

未来「え?」

男子「がんばってね、春日さん」

未来「それって……私のファンってこと?」

男子「ファン……うん、まあこれからはそういう立場で、春日さんを見ていきたいかなって……」

未来「ありがとう!」

男子「え?」

静香「み、未来!?」

翼「お、男の子の手を両手で握ってる~!!」

未来「あなたのためにがんばるから……だから、これからもアイドル春日未来をよろしくね!」

男子「あ、は……はい!」

未来「じゃあ、またね!」

男子「はい!!!」

男子「……帰りに春日未来のCD買って帰ろう」

志保「これって、天海さんの言ってたファンになってもらうっていう……」

可奈「うん! すごいね、ああやって断ってるんだ」

静香「相手の男の子、立ち直れないんじゃないかと思ってたけど……」

翼「なんかウキウキして帰ってったね」

未来「ふんふ~ん♪ あれ? みんなどうしたの?」

可奈「えっと、告白された時の断り方の話をしていて……」

志保「……」

静香「未来はどうやってるのかって話題になってここまで来たんだけど……」

翼「聞かなくてもわかっちゃった」

未来「え? 告白? 私、そういうのされたことないかも知れないなあ……」

志保・可奈・静香・翼「「いや、今されてたでしょ!!!」」


未来「?」

~翌日~


志保「みんな、告白とかされてるんだ……それはやっぱりみんなキレイで可愛いから当然かも知れないけど……やっぱり私がそういう経験ないのは……」


男子1「マジかよ。ついに告るのかよ」

男子2「ああ、これまでは協定に従って北沢さんに告白するのは控えてたけど……」

男子3「いいさ、見せてもらうぜ。お前の男気」

男子4「当たって砕けてこい!」

男子2「あ、あの……北沢さん!」

志保「え? あ////」

男子2「その……好きです。つき合って下さい!」

志保「……ごめんなさい」

男子2「ああー……」

志保「でも」

男子2「え?」

志保「ありがとう」

男子2「北沢さん……」


お わ り

以上で終わりです。おつきあいいただきまして、ありがとうございました。

乙でした

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