僕「株式会社冒険者に就職しました(49)

そして今日は入社式です

社長「・・・で、あるからみんなが我社に入ってくれたことには感謝の意を捧げます」

30分にも及ぶ社長の長々とした演説に僕は半分眠っていた

司会「ありがとうございました。ではこれで株式会社冒険者の入社式を終わります」

司会「それでは新入社員の皆様は各部署で業務説明を受けるようにしてください」

周りがガヤガヤとうるさくなり僕は顔をこする

「よく眠ってましたね」

突然隣から声をかけられた

僕「え、あ・・・ほら、こういう時に長い話しされると眠くなるじゃないですか」

「あはは、たしかに。私もあと10分長く話されたら眠っちゃうところでした」

「あ、私、冒険部所属の天然乙女と言います。天女と呼んでください」

僕「あ、僕も冒険部所属なんだ。よろしく」

自己紹介していると僕達の周りの人が立ち上がり移動を始める

僕が立ち上がると天女が慌てたように立ち上がり、何故か足を滑らせ僕を押し倒し倒れ込んできた

うまい具合に椅子の間に倒れ込むことができた

僕「いたた・・・」

天女「ご、ごめんなさ~い」

天女の大きな胸が股間付近に押し付けられている

や、柔らかい・・・

じゃなくてヤバイ!

僕「く、苦しいから早く・・・」

天女「は、はい!」

天女は立ち上がるとき僕の太ももに手をかけて立ち上がった

立ち上がる時にのぞかせる胸の谷間に興奮して勃起していたから股間掴まれていたらやばかった

それから別室に移動して業務説明

女上司「さて、君たちは自分で希望してこの冒険部に配属された」

女上司「だがこの部署は基本給が安い割に危険な部署だ」

女上司「私のこの顔の傷を見ればわかるように性別関係なく生傷の絶えない部署だと言っておこう」

女上司が目元についている長い傷に触れながら言う

女上司「特に自分の顔に自信のあるお嬢ちゃんは速やかに事務職にでも配置換えをしてもらうといい」

女上司が言うと周りにいる自称顔に自信のある女子が笑っていた

「えぇ~、あたしの顔も傷だらけのなっちゃうのかな~。どうしよ~」

大丈夫、傷ついたほうがモテるよ、オークとかに

女上司「では君たちの最初の駐屯地を発表する」

女上司「名前を呼ばれたものからここを出てそこで詳しい説明を聞いてくれ」

名前を呼ばれて他の部屋に行く

天女も一緒だった

男先輩「これで全部だな」

男先輩「君達には明日から東の街に向かってもらう。そこの周辺ダンジョンの調査が仕事だ」

「せっかく㈱冒険者に就職したのに地方配属かよ~」

色黒のチャラそうなやつが言った

男先輩「一年目でレベルが低いんだからそんなものだ」

男先輩「数年頑張るか、大きなダンジョン行けるようになって俺や女上司さんみたいに前線戦闘不可能な状態になれば本社に戻ってきて管理職になれるぞ」

そう言って男先輩はズボンの裾をめくった

左足が義足だった

女上司さんはそうは見えなかったけど怪我してるのか・・・

男先輩「衣食住戦の基本的なものは支給されるがその他愛用のものや個人的にいると思ったものがあるなら準備しておくように」

男先輩「明日9時に出発するから30分から10分前には集合するように」

男先輩「では解散!」

そう言って男先輩は出ていく

天女「あ~、明日から早速派遣されるんだね~」

僕の隣で説明を聞いていた天女が言う

僕「会社説明会の時からわかってたでしょ」

僕は笑いながら言う

天女「そうだけど、やっぱ実際そのときになるまで実感わかなかった~」

僕「さ~て、必要なもの買いに行こう」

天女「何買うの?」

僕「移動中に食べるおやつ」ドヤァ

天女「持っていったら怒られるよ~」

天女と一緒に笑っていると色黒のチャラ男が天女に声をかけてきた

「よぉよぉそこの巨乳ちゃん、そんなダサ男と話してないで俺と一緒に買い物行かな~い」

天女「あ・・・え~と・・・」

「あぁ俺、肌黒軽男。黒軽って呼んでくれ」

天女「えっと黒軽さん、私は彼と一緒に行くから・・・」

黒軽「さん付けなんかしなくていいよ~。そんなダサ男より俺の方が色々楽しめるよ~。夜の方とか・・・」

天女「はぁ?⤵」

黒軽の言っていることを天女が理解してない

これ以上話させても面倒な気がするから止めておこう

僕「ほらほら、彼女は君に興味ないみたいだから諦めなよ」

黒軽「あんだこのダサ男!邪魔すんじゃ・・・」

「君達・・・いきなり喧嘩か?」

眼鏡をかけた男が声をかけてきた

先頭で話を聞いていたやつだな

黒軽「うるせぇな、関係ないだろ」

「たしかに関係ないかもしてないが、入社初日にトラブル起こしてクビにならないようにと警告してあげているんだよ」

それを聞いて黒軽は表情をゆがめた

黒軽「ち、わかったよ」

そう言って部屋から出ていった

僕「ありがとう」

「いや、あんなやつが同期でしかもしばらく一緒にいないといけないと思うと嫌になっただけだよ」

そう言って眼鏡男は行ってしまった

名前聞くの忘れた・・・まあ、明日また聞けばいいか

それから天女と買い物に行って家に帰り翌日の準備をした


僕「遅刻だ~!!」

昨日妹と喧嘩したらあのバカ目覚まし勝手に止めやがった!!

走れば・・・走れば間に合う!!

全速力で走りなんとか10分前に集合場所に到着した

僕「セ、セーフ!!」ゼェゼェ

天女「あ、おはよ~。朝から張り切ってるね~」

僕「い、いや・・・張り切ってるわけじゃ・・・」ゼェゼェ

男先輩「さてと、これであと来てないのは・・・肌黒軽男と淫売売女か・・・まあ、あいつらは見た目通りだな」

男先輩が頭を掻きながら言う

僕は馬車に荷物を運び一息つく

天女「結構荷物少ないね」

僕「必要なものは支給してくれるって言ってたし当面の着替えと愛用の武器だけ持ってきたよ」

天女「私も似たようなものかな~。着替えと~武器と~相棒の牛ちゃん」

牛ちゃん?

天女「夜一緒に寝るぬいぐるみ。この子がいないと眠れないんだ~」

天女のバッグを見るとたしかに牛の頭が見えている

20分ほど待っているとやっと来ていなかった二人がやってきた

男先輩「集合時間に遅れてんじゃねぇ!!」

等と男先輩の小言もあり予定より30分ほど遅れて僕らを乗せた馬車は東の街に向かっていく


東の街に着くと早速班分けをする事になった

男先輩「さて、君たちのやることは至極簡単だ」

男先輩「この町の周辺にあるダンジョンの調査だ」

男先輩「4人1組の班になってそれぞれダンジョンに潜ってもらう」

それを聴いて少し緊張する

男先輩「まあ、調査と言ってもこの周辺にあるダンジョンは地下10階程度までしかないといわれている。」

男先輩「最初は調査が済んでいる地下3階までしか許可しない」

男先輩「それ以上潜りたければ班全員が月一である社内実力試験に合格することだ」

男先輩は言い終わると箱を出した

男先輩「さて、気になる班だがくじ引きで決める」

男先輩「なるべく気があって実力が高い奴と組めるように祈っといた方がいいぞ」

男先輩「長い間現役でいたいんならな」

男先輩が不敵な笑みを浮かべる

自分みたいになりたくないなら・・・という意味かな・・・

順番にくじを引く

僕「5班・・・」

天女「あ、一緒だ。私も5班」

天音がくじの紙を見せながら寄ってきた

僕「ことごとく縁があるね」

「ぼくも5班だ」

振り向くと昨日助けてくれた眼鏡男が立っていた

僕「あ、昨日はありがとう」

「あらためて、ぼくは真剣眼鏡。真鏡と呼んでほしい」

僕「これであと一人・・・」

黒軽「お前ら何班だ?」

うぇ、こいつかよ・・・

天女「5班だよ」

真鏡「君が4人目か?」

黒軽「ざ~んねん。もっさりダサグループに俺が入ればよかったのに俺は7班だ。ラッキーセブン」

よかった

淫売売女「こっち7班だよ、ダーリン」

朝、黒軽と一緒に来た淫売売女とかいう派手な女が声をかけた

ああ、朝一緒にいた理由はそういうことか

黒軽「おぉ、今行く。じゃ、精々頑張れよ~」

黒軽は7班に合流した

僕「さて、それじゃあ4人目は・・・」

「俺も5班だ」

いろいろとデカイ男がそこにいた

「俺の事はオタと呼んでくれ。よろしく」

僕「よろしく」

天女「よろしく、オタ君」

真鏡「よろしく」

男先輩「それぞれ自己紹介は済んだか?」

男先輩「それなら後は各班ダンジョンに向かうように」

男先輩「担当ダンジョンはこの地図に番号を書いておいた」

男先輩「この番号の場所にそれぞれ向かうように」

男先輩が地図を広げた

地図によると僕たちの担当ダンジョンは東の町を出てさらに東に行ったところにあるようだ

僕「それじゃあ、向かいますか?」

天女「よし、がんばるぞ」

真鏡「少し緊張する」

オタ「レベルの低いダンジョンでも気を抜かないようにしないとな」

僕たちは至急品を受け取ってダンジョンへと向かった

つづく

書きためてないのでだらだら続けていきます

肌黒軽男はまだしも淫売売女とかいうあまりにもあんまりな名前

ひでぇなこりゃ

名前が分かりやすい、
別班だし仲良くする必要もないならいいんじゃない?

なんだこれは

僕たちは担当ダンジョンに到着した

真鏡「洞窟ダンジョンだね」

地図の通りやってくるとほら穴が見える

オタ「ジトジトしてそうだな」

洞窟の階段を下り地下1階に潜る

天女「松明が壁についてるね」

僕「3階までは調査できてるって言ってたから設置したんじゃない」

僕「こういうのって1個火をつければ全部燃え移るんじゃなかった」

松明に魔法で火をつけてみると他の松明にも燃え移り洞窟が明るくなった

僕「ほらね」

真鏡「いや、普通でしょ」

オタ「ドヤ顔で言われても」

天女「えっと・・・すごいよね!」

天女の気遣いが逆にきつい・・・

真鏡「とりあえず、どんな魔物が出るかわからないから固まっていった方がいいかな?」

オタ「それに一緒に行くならお互いが何をできるのか確認しないと」

オタ「俺は片手斧使い。魔法は基本魔法と火と土の中級魔法を使える」

オタは背負った斧を指さしながら言う

真鏡「それじゃあ・・・僕は剣使い。使える魔法は基本魔法と風と土の中級魔法」

僕「剣っていうか刀?」

真鏡の腰に下げている剣を見て言う

真鏡「いや、刀ほど立派なものじゃない。太めな細剣と言う方が正しいかもしれない」

天女「へー、へんなの~」

天女が真鏡の剣を見ながらいう

天女「私は魔道杖使い。魔法は基本魔法と中級魔法全部と回復魔法」

真鏡「回復魔法も使えるのか」

天女「少しの怪我なら治せるから安心して」

天女がガッツポーズをとるときているコートの前がはだける

天女「あっと・・・支給品の魔道のコートじゃサイズが小さいや」

君の胸がでかいんだと言ってやりたいがセクハラになるので黙っておく

僕「武器は特に専門で何使うって決まってない。今は支給品の鋼鉄剣使っていこうと思ってる」

天女「あれ?愛用の武器持ってきてるんじゃないの?」

僕「愛用の武器ではあるんだけど正直言って支給品のほうが性能がいい」

僕は懐に入れておいたナイフを取り、見せる

僕「爺さんからもらったものだからなくしたくないしね」

僕「あと使える魔法は基本魔法と水と風と氷の中級魔法。雷の中級を練習中ってところかな」

真境「なんか少し意外・・・」

僕「意外って?」

オタ「見た感じ基本魔法しかできないように見える。しかもそれも満足にできないような」

真鏡「そもそも繊細さが求められる水や風の属性を扱えて、派生魔法である氷や雷が使えるようになるセンスがあるようには見えない」

真鏡「オタ君のように火や土ならまだわかるけど」

オタ「確かに」

軽く馬鹿にされているとは思うのだがオタは納得したように真鏡の言葉に頷く

天女「人は見かけによらないって事だね」

天女のフォローにならないフォローをされて少し落ち込みつつ僕らはダンジョンの奥へと歩き始める

地下2階への階段を見つけるまでゴブリン10匹とミニスライム20数体と遭遇した

この2種はさして手こずることはなく難なく倒せる

ゴブリンの持っていた剣や棍棒、ミニスライムのゼリーやスライムコアを手に入れ地下2階に向かった

地下2階、地下3回と出てきたモンスターは変わらなかったがレベルが少し上がっているようだった

1人で来ればかなり苦労しただろうが4人いればお互い助け合って進んでいけた

真鏡「さて、地下4階への階段まで来ることができたね」

オタ「階段には鍵をかけられて進めないな」

天女「試験に合格しないと先に進ませてくれないって言ってたね」

僕「どうする?今午後3時だから戻る時間も考えれば・・・」

報告などもあるだろうし、そもそも寝泊まりする場所もわからないから一度東の街に戻ることにした

何より荷物が重くてしょうがない

天女に軽いゼリー類を持たせて男3人でゴブリンからはぎ取った武器や防具を分担して持っているが、予想以上の量にこれ以上襲撃されると軽快に避けられないかもしれない

数度モンスターの襲撃を受けつつもダンジョンから脱出する

時間は午後4時。まだ日が暮れてはいないが風が吹き、肌寒さを感じる

オタ「さぁ、早く街に戻ろう。あんまないと思うがダンジョンから出たところを狙う野盗もいるかもしれないし」

オタが額の汗を拭いながら東の街に向かって歩き続ける

最後尾にいた天女が出てきたのを見届けて僕もオタの後に続いて歩き始める



東の街に戻り最初に班分けをした集会所に戻ると男先輩が暇そうに雑誌を読んでいた

男先輩「お、帰ってきたか」

男先輩は雑誌を閉じ立ち上がる

男先輩「5斑か・・・割と早く帰ってきたな」

男先輩「とりあえずモンスターからはぎ取ったりしたものがあるなら班の番号のついている箱に入れておけ」

男先輩「毎日会社の鑑定員が夜中のうちに鑑定して朝7時には現金にして置いておいてくれる。もし自分で使うなら間違って入れないように気をつけろ」

男先輩に鍵を渡された

男先輩「鍵はこれとマスターキーしかないから大事に持っとけよ」

荷物を卸し、戦利品を箱に入れる

割と大きい箱だが全部はいるとは思わなかった

男先輩「それじゃあ、5斑の寮はこの場所だから行くといい」

男先輩に地図を渡され、僕らは寮に向かった

向かった先はログハウスのような家だった

中に入ってみるとおばさんが出迎えてくれた

「おかえりなさい。私は世話小母。寮母さんとか世母さんって呼んでね」

世母さんに促されて個室を決める前に風呂に入ることにした

もちろん風呂は2つあり男女別で入れる

風呂で汚れを落とし十分に温まってから居間に戻る

居間では天女が牛乳を飲みながらのんびりソファでくつろいでいた

天女「長かったね~。牛乳2本目だよ」

僕「オタ君がかなり筋肉質で色々と盛り上がっていた」

真鏡「その言い方だと微妙に勘違いされそうだね」

オタがはちきれそうなタンクトップ姿で牛乳瓶を持ってきた

オタ「世母さんからお風呂上がりにどうぞだそうで」

なぜ筋肉質な人は筋肉を見せたがるのだろう

真鏡「さて、部屋はどうする?」

天女「さっき部屋覗いてきたけどどこも同じ大きさだったよ」

オタ「ならどこでもいいだろ」

僕「まあ後で見てみればいいでしょ」

世母「さぁさぁ、皆さん落ち着いたみたいだしここの説明をさせてもらうわね」

いつの間にか世母さんがいた

世母「改めて世話小母です。この寮の寮母をさせて頂いてます」

世母「みなさんがダンジョンに行っている間に共有部の掃除や洗濯をさせていただきます」

世母「料理も作りますが、㈱冒険者からこの街で使える食事券が皆さんに支給されているので外食されたほうがいいかと思います」

世母「一応、共用の冷蔵庫に小腹がすいたとき用の食べ物は入れておきますのでお好きに食べてください」

世母「皆さんが2階に個室があるように私は1階で寝泊まりしてますので何かありましたらお声掛けください」

世母「何か質問はありますか?」

特にない

世母「それでは会社の方から支給されてる食事券は玄関にありますのでそれをお持ちになって繁華街で食事されるといいですよ」

世母「あ、そうそう。会社の方から封筒を預かっているので後で読んでくださいね。何か重要なことらしいので」

封筒を置いて世母さんは奥に行ってしまった

僕「じゃ、夕食に行く?」

オタ「だな。腹減ったし」

天女「ついでに街の中も見ていこうよ~」

真鏡「体力あるな・・・」

僕達は繁華街に向かい街中を見学しつつ夕食を取る

とりあえず目についた定食屋みたいなところだが意外と美味かった

食後も街中を適当に見て回り、寮に戻ったときは午後9時を回っていた

真鏡「思ったより遅くなったね」

天女「色々楽しそうなお店もあったから週末の休みにまた見に行こ~」

オタ「そう言えば何か重要な封筒があったな。どうする?」

僕「仕事での事でしょ?明日の朝に読んでもいいんじゃない」

僕はあくびをしながら言う

オタ「それもそうか。それじゃあ早く部屋を決めて今日はもう寝よう」

オタもあくびをする

部屋割りをジャンケンで決め僕らはそれぞれの部屋に入った

部屋は割と広かった

家具はベッドと机と本棚とタンスしか置いてないから余計に広さを感じる

荷物を脇に置きベッドに倒れ込む

初日としてはかなりハードに感じる

まあ、今日この街に来て説明受けてダンジョンに潜ってじゃあ忙しいよね・・・

そんなことを考えているうちに僕は眠りについた



翌朝、目を覚ますと午前6時を回ったところだった

僕「昨日9時半には寝ただろうからかなりゆっくり寝られたな」

部屋を出て居間に向かう

居間に行くと天女が朝食の準備をしていた

天女「あ、おはよ~」

僕「おはよう・・・朝食?」

天女「うん。朝はバタバタするだろうからここで食べたほうがいいかな~って」

僕「料理できるの?」

僕の言葉を聞いて天女が膨れる

天女「ちゃんと作れるよ~」

僕は洗面所で顔を洗い居間に戻る

中央のテーブルに天女が用意した朝食がおいてある

もうすでに食べ終わったのか何も置かれていない位置で真鏡が新聞を読んでいた

もういつでも出かけられるように着替えている

僕「おはよう」

真鏡「おはよう」

テーブルにつき天女と一緒に朝食を取る

ふと、テーブルの上に紫色の花が1輪、花瓶にさしてあるのに気がついた

僕「あれ?こんなのあったけ?」

天女「朝、真鏡君が散歩のついでに買ってきたんだって」

僕「へー・・・わざわざこの花を?」

真鏡「別にいいだろ」

僕「別に構わないけど・・・」

別に構わないが、この花は街の外に行けばどこにでも生えている

セーフティフラワーという品種で色でその付近のモンスターのレベルがおおよそわかるという不思議な花

色はカラーチャートのように順番があり、一番危険が赤一番安全が紫になる

どこにでもあるから昨日ダンジョンに向かうときも目にした

色も紫で、この辺のモンスターのレベルは全く高くないことを伺える

街の外に出ないような子供じゃあるまいし、買ってくるほどのものでもないと思うんだけどな

そんな事を考えながら朝食をすませ、着替えてまだ起きてこないオタを待ちながら朝のニュースを確認する

僕「ニュースってどのチャンネルで見る?国営放送?」

真鏡「一番無難だろうな。この時間帯じゃあさして変わらないだろうけど」

実家も国営放送でニュースを見る派だったから安心して国営放送にする

しばらく見ていると天女が着替えて降りてきた

オタはまだ起きてこない

午前7時を回った頃に流石に起こしに行ったが大いびきをかいているためか声をかけても気が付かないし揺り起こしても目を覚まさなかった

しょうがないのでオタの頭上に水球を作り落として目を覚まさせた

オタ「もっとスマートに起こしてくれよ」

天女が持ってきてくれたタオルで顔を拭きながらオタが文句を言う

僕「そういう前に自分で起きてくれ。明日から起こさないでおいていくよ」

オタ「ベッドもビチャビチャにして・・・どうすんだこれ・・・」

天女「あ、私が温風で乾かしといてあげるよ」

天女「オタ君は早く朝食食べちゃいなよ」

天女はそう言うと温風を出しベッドを乾かし始める

オタは用意されていた冷めた朝食を食べ僕と同じようにセーフティフラワーに疑問を持ち着替えた

一応集会場に行ったほうがいいだろうと思い集会場に向かうことにした

出る前に昨日読まなかった封筒のことを思い出して封筒の中身を確認する

中に書いてあるのは今月納品するモンスターからはぎ取るもののノルマ表だった

真鏡「こういう職だからね。ノルマがあるのは覚悟してたよ」

天女「ノルマってどれくらいなの?」

僕「えっと・・・スライムコア500、ゼリー2000、ゴブリンコア1000・・・」

僕が読み上げると全員絶句する

オタ「昨日どれくらい納品した?」

真鏡「良くは覚えてないけどスライムコア20、ゼリー80かな」

天女「ゴブリンコアって何?初めて聞いた」

僕「ゴブリンの心臓・・・」

僕の言葉に天女が顔を引きつらせる

真鏡「これは・・・あくまでノルマだよね・・・あくまで・・・」

僕「だと思うけど・・・男先輩に確認しよう」

僕らは急いで集会場に向かった

つづく

集会場に向かうと男先輩はいなくてメモが残されていた

男先輩メモ『事務仕事がたまるので帰ります。昨日皆さんの渡したノルマ表に則って納品願いします。ノルマ達成できないと大変なことになりますよ』

その場にいたのは僕たち5班だけでなく他の同期もいたが全員絶望と言う表所しかなかったことからおそらく同じように無理難題のノルマを課せられたのだろう

とりあえず担当ダンジョンに向かうことにした

真鏡「何より問題はゴブリンコアでしょ・・・スライムコアやゼリーは昨日のドロップ率から考えるとどうにかなると思うけど・・・」

オタ「解体スキル持ってるやついるか?」

僕「普通科だったので持っていません」

天女「魔道科だったので習っていません」

真鏡「ダンジョン課だったので習ってないです」

オタのため息が聞こえる

僕「オタ君も持ってない・・・」

オタ「俺は持ってるよ・・・俺だけかよ・・・」

僕「それじゃあ解体はオタ君担当と言うことで・・・」

オタ「おまえ・・・解体がどんだけ面倒か・・・1000・・・」

真鏡「それじゃあオタ君以外でモンスター討伐してオタ君は解体を専門にやっていくということでいいかな」

オタ「それしかないだろ・・・ゴブリン討伐したら端に寄せといてくれ。解体の準備してから後から付いて行くから」

ダンジョンに到着し地下に潜る

昨日書いたダンジョンの地図を取り出す

僕「何階でアイテム集める?」

天女「レベルの低いところで集めた方が楽じゃない?」

真鏡「ゴブリンはいいけどスライムはレベルが低すぎると倒した時にアイテム落とす前に消滅することがあるからやっぱり地下3階でやった方がいいでしょ」

真鏡「まあ、ここは全体のレベルが低いから地下1階も 地下3階も変わらないかもしれないけどね」

僕、天音、真鏡は地下3階に向かった

僕「地下3階に着いたのはいいけど歩き回ってモンスター探すのも効率良くないよね」

真鏡「それなら・・・」

真鏡は自分の荷物から袋を取り出した

天女「なにそれ?」

真鏡「モンスター寄せのお香。これに火をつければモンスターが好きなにおいがして寄ってくる」

僕「じゃあさっそく使ってみよう」

真鏡「ちょっとまって。このダンジョンでどれくらいの量が適量か調べながら・・・」

天女「えい」

天女は真鏡の持っているお香に勝手に火を付けた

真鏡「わぁぁぁ!!」

真鏡はあわててお香の火のついた部分を掴み投げ捨てる

真鏡「なにやってるの!これ全部に火をつけたらこの階だけじゃなくて他の階からもモンスター来ちゃうよ!!手におえなくなる!!」

天女「あ、ごめん・・・」

天女はショボンとする

僕「そのお香、結構効果あるね。団体さんの登場だよ」

ダンジョンの奥からスライムとゴブリンの団体がやってくる

僕「ちょっと効果ありすぎかな」

天女「た、倒しきれるかな・・・」

真鏡「倒しきるしかないでしょ」

天女に補助をお願いして僕と真鏡が先頭切ってモンスター討伐に挑む

第1陣の討伐が終わり山のように積まれたゴブリンの死体を横に地下2階へ続く階段部で一休みしているとオタ君が階段を下りてきた

オタ「おお、多いなこりゃ・・・」

オタは早速ゴブリンの解体に入る

少し見たが気持ちが悪くなるのですぐ目をそらした

真鏡「それじゃあ第2陣、呼んじゃいますか」

真鏡がお香を少量取り出し火をつける

白い煙がふわっと上がるとゴブリンとスライムが走ってやってきた

真鏡「これくらいの量が適量だね」

3人でやってきたモンスターを迎え撃つ



その日寮に帰ったのは7時をまわった頃だった

先に集会場に行き今日の分を納品しようと納品箱を開けると中にお金の入った封筒が入っていたので寮に持ち帰った

寮に戻ると先に風呂に入り汚れを落とす

風呂上がりにのんびりと世母さんが出してくれた牛乳を飲みながら封筒のお金を確認する

僕「えっと・・・こんなものか・・・これって適正なのかな?」

オタ「内訳書もあるな・・・まあ・・・昨日の今日で鑑定してくれているからその分特急料金を取られているが適正だろ」

真鏡「どうする?このお金」

天女「山分け?」

オタ「普通に山分けでいいだろ。不満があるか?」

特にないので山分けすることにする

割り切れなかった分は次の分と混ぜて分ける事にする

夕食を食べに街に出て帰ってきてそのまま部屋で眠ってしまう

今日と同じペースでやればなんとかノルマをこなせそうだ・・・



翌日、翌々日とコツをつかみより効率よくモンスターを討伐していけるようになってきた

最初の週末はなんとか休みを取ることが出来る

朝起きて居間に降りると今日も真鏡が新聞を読んでいた

テーブルにはいつもどおりセーフティフラワーが花瓶に活けてある

真鏡は毎日この花を買ってくる

僕「おはよ~」

真鏡「おはよう・・・」

天女「おはよう。朝ごはん食べる?」

完全に朝食当番となった天女が台所から顔を出す

僕「そうだね、お願い」

休みだから遅くまで寝ててもよかったのだがなんとなく目が覚めたのでおきてきた

僕「2人は今日何か予定あるの?」

真鏡「僕は買い物に行ってくるよ。お香を思ったよりも使ったから補充しないと」

天女「私も街でお買い物してくる。この前見たお洋服買ってきちゃおうかな~」

君は仕事用のコートを新調したほうがいい。いつまで支給された小さいサイズのものを着てるんだ

僕「さて・・・僕はどうしようかな・・・忙しくて街をよく見てないから外に行くか」

天女が運んでくれた朝食を食べながらつぶやく

天女「オタ君はどうする?」

真鏡「今日は起こさないでいいでしょ。一番疲れているのは彼だよ」

真鏡がオタの部屋の扉を見上げながら言う

僕「今日は世母さんもいないし、メモ残しておけばいいでしょ」

オタへの伝言用にメモを残し僕らは街へと向かった

寮を出てしばらく歩いていると7斑のメンバーに出会った

黒軽「お、何だお前ら。休みか?」

僕「まあね。最初の週末だしね」

黒軽「はぁ~、そんなこと言って後で泣きを見ても知らないぞ~」

そう言って黒軽は自分の班員と共に行ってしまった

真鏡「それじゃあ、僕はあっちに行くから」

真鏡は何事もなかったかのように行ってしまう

天女「私もあっちのお店だから。じゃあね」

天女も別方向に行ってしまう

僕「さてと」

僕は気が向くままに街を見て回る

途中で同期を見かけたりもするが、声をかけることはしなかった。話すの面倒だし、顔知ってるだけだからあっちが判ってるかもわからないし

適当に昼食をとり夕方に寮に戻るとオタが寮の外にある広場で片手斧を素振りしていた

僕「精が出ますな」

オタ「お、帰ってきたか。一緒にやるか?」

僕「遠慮しとく。今日は完休日ということで」

オタ「なんだそれ?」

僕「完全に休みの日」

僕の言葉にオタはしばらく考え納得したように笑う

オタ「なるほどな。完休日、うまくいうものだ」

僕は素振りを続けるオタを置いて寮に入った

室内では天女と真鏡が何かをこねていた

僕「ただいま。何やってるの?」

天女「あ、おかえり~。これ魔物寄せのお香の素なんだって」

真鏡「後は乾燥させて粉にすればお香になる」

僕「あれ自作だったのか・・・」

真鏡「だから量を調整して使わないといけないんだ。材料とか作った日の気温や湿度とか粉にした時の感想具合で結構かわってくる」

僕「しかし・・・この大きさを乾燥って結構かかるんじゃないか?」

山のように積まれたお香の素を見て言う

真鏡「1週間くらいかな。粉にするのは1時間かからない」

僕「今余っているお香って1週間持つの?」

真鏡「ぎりぎりだね。最悪市販のものを購入しないと」

僕「こういうのも経費で落ちるのか?」

真鏡「必要経費だから大丈夫でしょ」

ダンジョンで使用するものは経費として会社に請求できる

天女「それにしてもこんなものも作っちゃうなんて真鏡君すごいね」

天女がお香の素の山をペチペチたたきながらいう

真鏡「僕が通っていたダンジョン科はそういうところだよ」

真鏡「自分たちでダンジョンを作ってモンスターの生態を調査したり、自然にできたダンジョンを壊したり逆に直したり」

僕「なるほどね~。ダンジョン科も面白そうだな・・・普通科じゃなくてそっちに行けばよかったか?」

真鏡「今の時代、普通科に行くのがどうかと思うが」

僕「ぐ・・・その時はやりたいことが判らなかったから普通科にしたんだ・・・」

真鏡「それならなおさら特進科とか天女のように魔道科とかの方が良かったんじゃないか?せっかく水と風の属性得意なのにもったいない」

僕「あ~、進路指導してくれた教官にもそんなこと言われた気がするけど勉強するのが面倒だったから・・・」

真鏡はため息をつく

真鏡「まあ、君の人生だし、今はこうして普通に就職できたんだからいいけど・・・」

天女「後悔先立たずって奴だね」

真鏡が微妙に濁してくれていたのに天女はざっくりと僕の心を切り落とすようなセリフを吐く

オタ「何だ、大丈夫か?」

素振りを終えて室内に戻ってきたオタが落ち込んでいる僕を見て声をかける

僕「別に・・・何でもない・・・」

オタは不思議そうに僕を見ていたそうだ

つづく

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