タプリス「数学で赤点を取ってしまいました……」 (31)

※ガヴリールドロップアウト短編

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黒奈「千咲……お昼食べよ……」トコトコ

タプリス「そうですね……」

タプリス「はぁ……」

黒奈「……?」

黒奈「千咲、テンション低い……」

タプリス「ええ……まああなたには言われたくないですけど……」

黒奈「……」

タプリス「……」

黒奈「……」カパ

タプリス「……」

黒奈「……」モグモグ

タプリス「いや、あの……ちょっと」

黒奈「?」

タプリス「何があったか聞かないんですか?」

黒奈「……」

黒奈「誰にでも元気の出ない日はある……仕方ない……」

黒奈「……」モグモグ

タプリス「た、確かにそうですけど!」

タプリス「そっとしておいてあげる優しさもありますけど……!」

タプリス「ほら、一応ここは何があったか聞くのが友情ってものなのでは……?」

黒奈「『悪魔とは友達にはなれない』ってこの前……」

タプリス「言いましたけど! 一緒にお昼ご飯食べてる間柄としてですね!」

黒奈「……友達って正式に認めてくれたら……聞いてあげる」

タプリス「んなっ」

黒奈「……」

タプリス「……」

黒奈「……」モグモグ

タプリス「……」

黒奈「……」モグモグ

タプリス「じゃあこれはただの独り言なので、勝手に聞き流しておいてください」

タプリス「ああ……数学で赤点取っちゃいました……はぁー」

黒奈「……」

タプリス「数学で赤点……どうしましょう……」

黒奈「……」

タプリス「赤点……数学で……はぁ……」

黒奈「……千咲、強情」

タプリス「黒奈さんもですよ……」

黒奈「数学で……赤点?」

タプリス「そうなんですよー……」

黒奈「千咲、数学苦手……?」

タプリス「そういうわけではないですけど、今回は暗記系の教科に勉強時間かけすぎちゃいまして」

タプリス「それに今回はいつもよりずっと難しかった気がします」

黒奈「確かに……今回の数学は前より難易度高かった……」

タプリス「ですよね!」

タプリス「ちなみに黒奈さんは何点だったんですか?」

黒奈「……てん」

タプリス「え?」

黒奈「……じゅうごてん」

タプリス「15点!? 何だ、黒奈さんも赤点なんじゃないですかー!」

タプリス「いやあ、やっぱり今回は異常に難しかっただけだったんですね!」

タプリス「実は私も23点しか取れなくて! テストで20点台なんてとったの生まれて初めてだったんで、もう憂鬱で仕方なかったんですよー」

タプリス「黒奈さんは悪魔なので15点でもまだ大丈夫かもしれませんが、天使の身で23点はもう他の天使にばれたらなんといわれるか……」

黒奈「……違う」フルフル

タプリス「え?」

黒奈「95点……私の点数」

タプリス「え」

タプリス「95点……あはは、まさかー」

タプリス「あのテストでそんな点数が取れるわけ」

黒奈「……」ピラ

『数学A 95/100』

タプリス「……はい」

黒奈「……うん」

タプリス「ってうそぉ! ホントに95点!?」ガタッ

タプリス「か、カンニングですよね!? きたないですねさすが悪魔きたないです!」

黒奈「そんなこと……」シュン

タプリス「じょ、冗談ですよ! そんなことする方じゃないのはわかってます! はい!」

黒奈「……」フンス

タプリス「あああ……悪魔に数学で負けるなんて……」

タプリス「しかもダブルでもトリプルでもなく……フォーススコア!」

タプリス「これじゃ天使失格ですー!」ウワーン

黒奈「……千咲、それは違う」

タプリス「え……?」

黒奈「『フォーススコア』なんて用語はない……『クアドラプルスコア』が正しい……」

タプリス「慰めてくれるんじゃないんですか!? どうでもいいですよそんなマイナーな用語!」

黒奈「……千咲が勉強できないのは……なんか意外」

タプリス「んなっ!? 聞き捨てなりませんよそれは!」

タプリス「別に勉強できないわけじゃないですからね! たまたま今回の数学が悪かっただけなんですからね!」

タプリス「ほら! 英語のテストはこの通りです!」

『英語読解 87/100』 『英語文法 92/100』

黒奈「……」

タプリス「ふふーん、どうですかどうですか」

黒奈「……」ピラ

『英語読解 95/100』 『英語文法 97/100』

タプリス「んなっ……」

タプリス「ちょ、ちょっとテストの点数みせてください!」

黒奈「……うん」

タプリス「世界史……現社……化学基礎……」ペラペラ

タプリス「物理基礎……家庭科……う、うそ……全部負けてます!」

黒奈「……」フンス

タプリス「そ、そんなはずは……あっ!」

タプリス「保健! 保健は私のほうが上ですよ! ほらほらほら!」

黒奈「……私が74点で」

タプリス「私が97点! や、やったぁー! やりました!」

黒奈「……」

タプリス「……な、なんですか」

黒奈「……」

タプリス「別にいいじゃないですか! 保健の点数が高くたって!」

黒奈「……」

タプリス「た、確かに今回のテスト範囲はちょっとえっちなところも入ってましたけど! それがなんだっていうんですか!//」

黒奈「……」

タプリス「や、やめてくださいよそんな目で見るのは!//」

黒奈「……普通に見てるだけ」

タプリス「あーあ……」

タプリス「テストが終わってしばらくゆっくりできると思ったのに、追試に向けてまだ勉強しなおさないとです」

黒奈「……千咲」

タプリス「なんですか?」

黒奈「数学……私が教えようか……?」

タプリス「黒奈さんが……私に?」

黒奈「……」コクン

タプリス「だ、ダメですよ……悪魔のあなたに勉強を教わるなんて」

黒奈「……どうして?」

タプリス「どうしてって……そりゃあ天使が悪魔に借りを作るようなことできませんし」

黒奈「……だったら、教えあいっこ」

タプリス「え?」

黒奈「……私のわからないところを、千咲に教えてもらう」

タプリス「いや、私が黒奈さんに教えられることなんて……」

タプリス「……まさか」

─────
──


タプリス『ふぅー……これで追試対策はばっちりです』

黒奈『……じゃあ、次は私が千咲に教わる番』

タプリス『って言っても、私が黒奈さんに教えられることなんてありませんよ』

黒奈『ううん……そんなことない』

タプリス『え?』

黒奈『……保健』

黒奈『……保健のことは、千咲のほうが詳しい』

タプリス『な、何言ってるんですかもう……そういうハレンチな冗談は好きじゃありません!//』

黒奈『私は……本気……』

黒奈『真剣に教えてほしい……ベッドの上で……』シュル

タプリス『黒奈さん!? ちょっと……まずいですよ!』

黒奈『千咲も……ほら、マフラー脱がすよ……』

タプリス『い、いけません!//』

黒奈『よいではないか……よいではないか……』シュルシュル

タプリス『あ~れ~!///』クルクル

────

──


タプリス「く、黒奈さんのえっち!//」

黒奈「……?」

黒奈「今回の英文法はほぼ丸暗記で乗り切ったから……ちゃんと理解しておきたくて……」

タプリス「……そんなことだろうと思ってましたよ、もちろん」オホン

タプリス「で、でもやっぱりダメですよ……私が教えてもらうことのほうがずっと多いですし」

黒奈「……」

黒奈「……まあ、千咲が嫌なら……それでいい」

タプリス「……」

黒奈「……私は応援だけしとく」

タプリス「応援……」

黒奈「……応援するだけなら……いいよね?」

タプリス「え、ええ……」

黒奈「……頑張って、千咲」

タプリス「……どうも」

黒奈「……じゃあ、また」スタスタ

タプリス「ま、待ってください!」

黒奈「……?」

タプリス「この流れで別れたら明日からちょっと気まずいやつじゃないですか! もう!」

タプリス「……わかりました、わかりましたよ」

タプリス「今回は黒奈さんの力を借りることにします」

黒奈「……!」

タプリス「私に数学を教えてください」ペコ

黒奈「……うん」

黒奈「じゃあ早速今日の放課後……私の家で勉強する……」

タプリス「え……黒奈さんの家でですか……」

黒奈「……」コクン

タプリス「私の家に来ていただく形ではダメなのですか?」

タプリス「悪魔の家に単身乗り込むのはちょっと……」

黒奈「効率のいい勉強は……まず環境から……」

黒奈「私の家なら……その環境が整ってる……」

黒奈「それに私の家のほうが学校から近い……」

タプリス「うぅ……反論できません」

黒奈「大丈夫……私に……任せて」フンス

タプリス「……」

タプリス「ええい! こうなりゃどんとこいです! 行きましょう!」

タプリス「でもいいですか! あくまで勉強を教えてもらうだけですからね!」

タプリス「隙をついて襲ったりなんて考えないことです!」

黒奈「……」コクン

タプリス「そんなことしても返り討ちですよ、私は一時たりとも気を緩めたりしませんからね!」

黒奈「……御意」

~放課後 黒奈の家~


タプリス「はぁ~……極楽ですぅ~……」モミモミ

タプリス「こんな高性能のマッサージチェアがあるなんて、黒奈さんお金持ちなんですね……」ウットリ

黒奈「それはマッサージチェアじゃなくて……普通のリクライニングチェア」

タプリス「え?」

黒奈「私……人形遣いだから……お札を貼って動くようにしてる……」

黒奈「引っ越しとか模様替えも……楽だし」

タプリス「なるほど~……すごい能力なんですね~……」

黒奈「……」フンス

タプリス「ああ~……そこそこそこ……気持ちいいです……」トントン

タプリス「日頃の疲れが癒されていきます……」ウトウト

タプリス「なんかもう……ここに住みたい……くらい、で……」

タプリス「……zzz」

黒奈「……」

タプリス「っていけません! 寝るところでした!」ガバッ

黒奈「……千咲……3分くらい寝てた」

タプリス「ね、寝てません! 寝たふりです! 黒奈さんを試したんですよ!」

タプリス「寝たふりをした私にあなたが危害を加えようものなら、返り討ちにしようとしたんです……!」

黒奈「……」スッ

タプリス「何ですかこれ……手鏡?」

『目』

タプリス「……んなっ!?」

黒奈「……水性で書いたから……すぐ消える……」

タプリス「……」

タプリス「……こ、こんなことしてる場合じゃないです! 早く勉強を始めましょう!」

タプリス「では早速参考書の例題10を教えてほしいのですが……」

黒奈「ちょっと待って……」ゴソゴソ


黒奈「暗記ピコピコハンマー……」テッテレテッテッテーテテー♪


タプリス「……え」

タプリス「何ですかそれ?」


黒奈「暗記ピコピコハンマー……」テッテレテッテッテーテテー♪


タプリス「いや聞こえてますって! 説明してくださいよ!」

黒奈「教える側がいくら言葉を尽くして説明しても……真に『理解できた』という境地に至るのは短時間では困難……」

黒奈「まずは論理の流れを理解して……頭の中に入れて……演習の繰り返しと類題への取り組みを通して初めて……それで初めて解法を『理解できた』ことになる……」

黒奈「でも……それは本来すごく時間がかかること……」

タプリス「それで、そのピコハンにどんな効果が?」

黒奈「まずこのピコハンを私のおでこに当てる……」ピト

黒奈「そして私がこの例題10の解法を思い浮かべる……」

ピピピピ

黒奈「すると私の脳内のシナプスの発火状況がピコハンに記録される……」

黒奈「そしてこのピコハンで……千咲の頭をたたく……」

ピコ

タプリス「あた」

黒奈「すると……」

タプリス「……!? す、すごい!」

タプリス「問題を見た瞬間に解法の流れとポイントが思い浮かびます!」

黒奈「……」フンス

タプリス「さっそく類題を解いて……あれ?」

黒奈「?」

タプリス「私が手にもってる『これ』、何でしたっけ?」

黒奈「……それは『シャーペン』」

タプリス「しゃーぺん?」

タプリス「しゃーぺん……しゃーぺん」

タプリス「あ、あれ……すごくありふれた道具な気がするのになぜか使い方をド忘れしちゃいました」

黒奈「……」ピピピ

黒奈「えい」ピコ

タプリス「あた」

タプリス「あっ! 思い出しました! これ『シャーペン』ですね!」

タプリス「な、なんで忘れてたんでしょうか……」

黒奈「説明してなかったけど……『暗記ピコピコハンマー』の使用にはデメリットがある」

タプリス「デメリット?」

黒奈「物理的にシナプスの結合に影響を与えるから……新しい記憶を得られる代わりにランダムで何らかの記憶が失われることが多い……」

黒奈「おそらく千咲からはさっき……『シャーペン』に関する記憶が失われた……」

タプリス「……」

タプリス「いやいやいや、それめちゃくちゃリスク高いじゃないですか!」

黒奈「忘れたのが『呼吸の仕方』とかじゃなかったからマシな方……」

タプリス「そんな重大なこと忘れる可能性があるんですか!? 怖すぎですよ!」

黒奈「……じゃあ今の調子でテスト範囲の勉強を続けるから」ピピピ

タプリス「いやいやそのピコハンは使いませんよ!? 普通に教えてください!」

黒奈「こっちの方が早いし効率的……」

タプリス「いやいや! 大事な記憶が抜けたらどうするんですか!」

黒奈「例えば?」

タプリス「歩きかたとか! 自分の名前とか!」

黒奈「……それなら私が知ってるから千咲が忘れても記憶を移せる」

タプリス「で、でも……キャッシュカードの暗証番号とか印鑑の隠し場所とか忘れたら!? これは私しか知りませんよ!」

黒奈「そのときは……」

黒奈「……」ウーン

黒奈「……」ハッ

黒奈「そのときは責任もって私が千咲を養えばいい……」

タプリス「えぇ……」

黒奈「そう……私が養う……」

黒奈「だからむしろ積極的に忘れてもらって構わない……!」

ブンッ

タプリス「ひぃっ! 何か逆にやる気になってませんか!?」

黒奈「忘れろ……忘れろ……」

ブンブン

タプリス「趣旨変わってますって! や、やめてくださいよ!」

黒奈「覚悟……!」スッ

タプリス「う、うわあ!」ドンッ

ピコ

黒奈「あた」

タプリス「あ……」

タプリス(払いのけた勢いでピコハンが黒奈さんの頭に……)

タプリス「だ、大丈夫ですか黒奈さん!?」

黒奈「……」


黒奈「あなた……誰……?」

タプリス「」

タプリス「も、もしかして……私に関する記憶が失われてしまった……?」

タプリス「どどどどうしましょう……!」

黒奈「あなた……天使?」

タプリス「え、ええ……クラスメ」

黒奈「不法侵入……許さない……」

タプリス「ちょ、ちょっと聞いてくださ」

黒奈「『開幕(カーテン・アップ)』──」


ゴゴゴゴゴゴ


タプリス「!? い、いったい何が……」

タンス「……」ズズズ

本棚「……」ガタガタ

本「……」バサバサバサ

タプリス「!? 家具が動き出しました……まさか」

黒奈「部屋の家具にはすべてお札を張り付けてある……」

タプリス「つまり……家具は全部黒奈さんの操り人形、というわけですか……」

タプリス「こ、これは大ピンチ……!」

タンス「……」ヒュンッ

タプリス「うわっ!?」サッ

本「……」バサッ

ガツン

タプリス「あいたぁっ!」

タプリス(四方八方から攻撃が来る……とても避けきれないですよこんなの!)

タプリス(何とか黒奈さんに記憶を取り戻してもらわないと!)

タプリス(まずはあのピコハンを回収して……)

カッター「……」ヒュン

タプリス「ひぃっ!?」バッ

タプリス「ちょ、ちょっと! 凶器は無しでしょ凶器は!」

黒奈「不法侵入者……正当防衛……」

タプリス「もともとあなたが『家に来て』って言ったんですよ!? もうっ!」

タプリス「天使の矢!」

ビュンッ

黒奈「っ!」バッ

タプリス(黒奈さんが体勢を崩した隙に……)

タプリス「そいっ!」パシッ

タプリス(床に落ちたピコハンゲットです!)

タプリス(あとは……これで黒奈さんを叩けば……!)


本「……」バサバサバサッ

タプリス「うわぁ!? 前が見えな……」

リクライニングチェア「……」ガシッ

タプリス「うっ!」

黒奈「……捕まえた」

タプリス「し、しまった……」ギシギシ

タプリス「は、放してください!」ジタバタ

黒奈「……暴れないで」

ロープ「……」シュルシュル

タプリス「うぅ、く、苦し……」ギシギシ

タプリス「て、手荒すぎですよ黒奈さん……!」

黒奈「……覚悟して」

タプリス「な、何をする気ですか……」

黒奈「……そんなの決まってる」

タプリス「ま……」

タプリス「ま、まさかえっちなことを!?」

黒奈「……」

タプリス「手始めに私の服をカッターでビリビリに引き裂いて……」

タプリス「羞恥に染まる私の頬をそっと撫で、嫌がる私の唇を無理やり奪い……露わになった私の胸へと手を伸ばしそして……///」

タプリス「へ、へんたいっ! 黒奈さんのへんたいっ!//」

黒奈「……」

黒奈「えっちなことはしない……」

タプリス「え?」

黒奈「不法侵入者の処遇はただ一つ……警察に突き出す」

タプリス「ぎゃああそれだけはやめてください! 何でもしますから!」

黒奈「何でも……?」

タプリス「う……」

タプリス「し、仕方ありません……警察に突き出されるくらいなら、え、えっちなことでもなんでもします……//」

黒奈「……えっちなことがしたいの?」

タプリス「んなっ!? そ、そんなわけないでしょう! 仕方なくですよ仕方なく!」

黒奈「……そういうことは望んでない」

タプリス「ああ、そうですか……」

黒奈「……なんかごめん」

タプリス「んなっ!? 何で謝ってるんですか!」

黒奈「期待してるように見えた……」

タプリス「するわけないでしょう! 天使ですよ私は!?//」

黒奈「……まあいい、警察を呼ぶからおとなしくしてて」

タプリス「く、黒奈さん! お願いですから思い出してください! クラスメートの千咲ですよ!」

黒奈「知らない……」

タプリス「っ」

タプリス「ほら、私がハンカチ拾ってあげたら不気味な人形とか置物とかプレゼントしてくれたり……」

タプリス「一緒に掃除当番になったのに黒奈さんだけ先に帰っちゃったり……」

黒奈「知らない……」

タプリス「毎日一緒にご飯だって……」

黒奈「天使とご飯なんて食べた覚えない」

タプリス「……」

タプリス「今日だって、黒奈さんの方から家に誘ってくれたんですよ……?」

黒奈「天使を家に上げたりなんてしない……」

黒奈「悪魔と天使は相容れない存在……ありえない」

タプリス「……!」

タプリス(あれ……それって私がいつも言ってることなのに……)

タプリス(どうしてこんなにも、悲しい気分になるのでしょうか……)

黒奈「……」

タプリス「……ごめんなさい」

黒奈「……謝っても警察は呼ぶ」

タプリス「そうじゃなくて……今までのことです」

黒奈「?」

タプリス「初めて会ったときから黒奈さんは私と距離を縮めようとしてくれていたのに……」

タプリス「私は天使と悪魔の間柄がどうとか、そんなことで壁を作ろうとしていました」

タプリス「それで黒奈さんを傷つけることもあったんじゃないかって……今にして気付きました」

タプリス「だから……ごめんなさい」

黒奈「……何のことかわからない」

黒奈「……警察に電話してくる」

クルッ

タプリス(背中を向けた……今だ)

タプリス(『神足通』……!)

シュンッ

タプリス「今思い出させてあげますからね……!」ピピピ

黒奈「っ!? いつの間に……!」


タプリス「えい」

ピコ

黒奈「あた」

黒奈「……」

黒奈「……千咲」

タプリス「思い出しましたか」

黒奈「私のクラスメイトの……えっちな天使」

タプリス「んなっ!? だ、誰がえっちですか!//」

黒奈「そして私の……友達」

タプリス「いや、まだちゃんと友達だと認めたわけでは……」

黒奈「……私に流れ込んできた記憶ではそうなってる」

黒奈「それはつまり……」

タプリス「……あ」

黒奈「……」

タプリス「も、もう! 早く勉強を再開しましょう!」

タプリス「今度は普通に教えてもらいますからね!」

黒奈「……千咲、強情」

~後日~


黒奈「……追試、どうだった?」

タプリス「合格ですよ、その節はお世話になりました」

黒奈「……」フンス

タプリス「でも次のテストでは負けませんからね! 覚悟しておいてください!」

黒奈「……御意」

黒奈「……ところで千咲」

タプリス「なんですか?」

黒奈「銀行からお金下ろせなくなった……」

タプリス「え」

黒奈「前にピコハンで叩かれたとき……カードの暗証番号と印鑑の隠し場所忘れちゃった……」

黒奈「だから……しばらく養って……」

タプリス「……えええええっ!?」


END


いいオチで話も面白かった

タプリスが保健の成績がかなり良かったのが気になるな。
同棲とは先輩たちより先に行ってしまいましたな。

二人の新婚編マダー

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