「ひどい……」
「誰がこんなことを……」
「事件です、事件ですよこれは!」
わたしが劇場の控え室に入ると、そこは異様な雰囲気に包まれていた。
同僚の各々が部屋の中央に設置されているテーブルを囲んで、なにやら奇声をあげたり緊張した面持ちで固唾をのんでいる。
「あ、志保ちゃん。おはよう」
いつもは迷惑な騒音、もとい元気な声でハイテンションな態度、笑顔を絶やさない可奈がわたしに気づいて近寄って来た。
しかし先にあげたようにひまわりのごとく眩しい笑顔は今日は見られず、他の面々と同じくなんだか悲し気な表情を浮かべている。
わたしはできるだけ可奈にのみ聞こえる程度に声を落として訪ねてみた。
「何かあったの?」
その問いに対し可奈はできるだけ笑顔を作ろうという努力をしてみせたようだが、無理に作るそれこそ痛々しいものはないのだ。
瞬時の努力も虚しく、可奈はすぐにまた元の悲惨な表情に戻ってしまった。
「あのね、それが……」
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語尾を濁す可奈から視線を下げる。可奈の頭の後ろから見える部屋の中央のテーブルには人が集まっていて中々様子がうかがえなかったが、どうやら何かを取り囲んでいるようだ。
なんだろう。わたしはうつむいたままの可奈に道を開けてもらい、テーブルの方へとゆっくり歩み寄った。
机上には大量に積まれ山のような包装されたチョコレート、そしてただ一人突っ伏している赤みがかった長髪の女性。琴葉さんだ。
「これは……」
すぐ近くにいた恵美さんが振り向いて言った。
「や、志保」
いつもはおちゃらけてフレンドリーな態度でいる恵美さんでさえ、普段からは考えられないほど真面目な顔をしていた。
「恵美さん、一体これはどういうことですか?」
わたしはできるだけ抑揚を抑えて尋ねた。
「見ての通りだよ、琴葉が倒れたんだ。原因ははっきりしている。誰かが、誰かが琴葉が口にしたチョコレートに、」
恵美さんの声は心なしか震えていた。腕は微弱に痙攣し、握りしめた拳は青白く血管が浮き上がっている。アイドルがする拳ではない。
「塩を盛り込んだんだ」
わたしは持っていた荷物を思わず落としてしまった。
「一体誰がそんなことを」
わたしがようやく絞り出せた言葉は、そんな意味のない台詞だった。判明していないのだから、この場にはぶつけようもない雰囲気が漂っているのだ。
案の定、恵美さんは静かに首を振るだけだった。
わたしは倒れている琴葉さんの脇を見た。そこには開封され、食べかけのチョコレートが顔を出している。見ただけではもちろん普通のチョコレート。ただし、これが件の凶器だろう。
わたしは手を伸ばしかけたが、それは恵美さんに阻まれてしまった。
「鑑識が来るまで待ちな」
数分すると、恵美さんが言ったように控え室に入ってくる者があった。
先頭の風花さんが真っすぐこちらへ向かってくる。わたしは黙って道を開けた。風花さんは頷いてみせると、慣れた手つきで琴葉さんの首筋や口に手をあてて診察を始めた。
風花さんの後ろからは美奈子さんがやってきて、机の上に置かれている例の開封済みのチョコレートへと手を伸ばした。白い手袋をして慎重に検分し、恵美さんの許可を取って少しだけ切り取った。そしてみんなが見守る中、意を決して口へと運んだ。
「間違いない、食塩ですね」
険しい顔で断言する。チョコレートは元の位置に戻され、わたしたちは一旦部屋のすみに追いやられた。亜利沙さんが事件の現場の状況をカメラに収めるのを邪魔しないためにだ。
一通り現場の調査が終わっても、わたしを含めた野次馬連中はまたテーブル付近に集まろうとはしなかった。
「風花、琴葉はどう?」
恵美さんの声が一層控え室に響く。対する風花さんは一つ小さな溜息をしてみせた。
「失神しているわ」
控えめに舌打ちが聞こえたが、誰が発したものなのかはわたしにはわからない。
「事件です! これは大変な陰謀ですよ! わたしは、この事件を詳しく捜査するべきだと主張します!」
そう声を張り上げたのは百合子さんだった。誰もが心の中で思っていることを代弁しているようだった。しかし。
「そうだね、このままうやむやになんてアタシにはできない。この件はもっと奥深くまで踏み込む必要があるみたいだね」
恵美さんも強気に同調する。でも待ってほしい。口で言うのは簡単で、実行するのも難しくない。だが、それが果たして実を結ぶかどうか、懸念はみんなにあるはずだ。
わたしはそれをつい口にする。
「本当に……できるんですか? そんなこと」
わたしの発言にみんなの視線は自然に一つへ集中する。その対象はわたしではない。
「志保ちゃん……」可奈がわたしの袖を握りしめる。
みんなの視線の先にあるのは、机の上に置かれた、大量の手作りチョコレートだ。
事の発端は、毎年恒例となったバレンタインライブだった。
二月中旬に行われる中規模なライブで、今年は来場してくれたファン全員にチョコレートが配布された。
市販の既製品を配るのも味気ないということで、手作りの様相を出すために765プロ側で作成されたものだ。しかしアイドル自身が作ったわけではなく劇場スタッフによるものという、中途半端な形式が採用された。
時間も取れないし誰しもがノルマ分作れるわけではない。しかしそこで一人あたりの作成量が偏るのもよろしくないので、苦肉の策として採られたものだ。もちろん、そんなことは表向きには公表されていないし、それは関係ない。
ライブは無事成功し終了。その後スタッフから申し出があり、チョコレートの材料や包装が大量に余ったのだ。
スタッフはもうこれ以上作りたくないらしく、かといって廃棄するのもためらわれる。そこで一式丸ごとアイドルに提供され、各自自由にしてくれとのこと。
美奈子さんや春香さんが興味を示すのも容易に予想できたが、普段料理に無関心な者もこの機会にと手を出していた。
その後特に取り決めたわけではないが、自然とみんなは作ったチョコレートを劇場に持ち込んで、置いていくようになった。誰でも好きにつまんでいってくれとのこと。
まだ肌寒い季節だしすぐに腐るものでもなく、適当に置かれていても大丈夫だったこともあるだろう。手作りチョコレートは未だ数を減らすことも無く積まれて行って、今ではすっかり劇場内では一種の備品のようなものになり、誰もが気ままにかじっている。
ちなみにプロデューサーさんにあげようという発想は誰にもなかったらしい。本人がそう嘆いていたので間違いないが、まあそれはどうでもいい。
問題は、そうして作られた大量のチョコレートの一つを取り上げて、作成者を特定しようということがどれほど苦行の道を進むのかということだ。
「無茶、なのかな?」
可奈がわたしに聞く。
「無理、よ」
人はわたしにもっと愛想を持てというが、今回ばかりは冷酷だろうが事実を突きつけるしかない。
重苦しい空気が控え室を覆うが、損な役回りがたまたまわたしだっただけだ。みんな心中察していることなのだ。別にわたしは睨まれているわけではない。
「無理なのはわかっている」それでも恵美さんは口を開く。「でも、アタシには事件捜査を敢行する義務が、いや、大切な琴葉の友人として解決をする責任がある。例えそれが先の見えない闇の中でも、アタシには真相を解明しなければ……」
誰も口を挟めない。こんな声の恵美さんは、エドガー以来だった。
しかし、そんな空気を厭い明るく振る舞おうとする人物がいることも、みんな承知していることだった。春香さんである。
「ねえみんな、難しく考えすぎじゃないかな? もっとこう、簡単に、前向きに考えられない? 誰かが悪意を持ってやったとかじゃなくて、もしかしたらただ間違えただけなんじゃないかって。ほら、わたしもよく料理はするからわかるんだけど、失敗とかよくやっちゃうし……」
それはありえない。わたしがそれを言う前に、遮ったのは紬さんだった。
「それは、どうでしょうか。それではお聞きしますが、みなさんはこのようなあからさまな間違いを犯したことがおありでしょうか? 野球でヒットを打ったら三塁側に走ったり、注射器の中身をオレンジジュースにしてしまったり」
「そ、それは……」
「今回の事件は、そういった類の劇場型の犯罪です。映画の中でしか起こりえない、意図的に狙ってでしか達成できないケースなんです。それほど出来すぎている」
そのとおり。砂糖と塩を間違えるなんて、文明人がうっかりでできることじゃない。
「大根と人参を間違えることはあるでしょう。しかし、こんなベタなうっかりミス、とても教養ある人間の仕業とは思えません」
「言い過ぎじゃないかな……」可奈が震える声で、わたしにだけ聞こえるようにささやいた。わたしは返事をしなかった。
エミリーがチョコレートの山に近づいて言った。
「こんなに多くのみなさんの想いを恐怖に変えるなんて、わたしは許せません。わたしは、みなさんが寄り添ってお作りになったこの猪口令糖が大好きなんです」
「そうね、エミリー」静香もエミリーの肩に手を置いて同調した。「わたしも食べ物を粗末にする人は、許せないわ」
「みんな……」
春香さんが残念そうな顔をした。わかっている。この人はただ、不穏な空気が流れるのを阻止したいだけなのだ。決して事件解決に否定的なわけじゃない。
「決まったね」
エドガーの一声で、この場にいるみんなはその気になった。
「でもみなさん、これからお仕事ですよね、撮影に言ったり、収録があったり、衣装合わせの人もいます」
「そうだね百合子。でも、それがなにか?」
「だからですね、その間、各自自前の推理を考えておく、というのはどうでしょうか?」
少し辺りがざわめいた。
「どういうこと? 百合子」
「みなさんで一緒になって事件を調べても、それはあくまで一視点による独断でしかありません。当然、その捜査内容によって凝り固まった目でしか事件を見られなくなってしまうのです。これでは公平な解決は望めません。そこで、わたしたちは一人ずつ、独自に調査を進めていくのです。そうして今日の夕方、再びみなさんが集まった時に各々自分の推理を発表し合うのです。それでこそ、平等に事件を俯瞰できるのではないかというのがわたしの言いたいことなんです」
百合子さんは自慢げにそう主張した。
たしかに百合子さんの言うことには一理ある。誰も反対を唱えなかった。
「なるほど、それは良い案だね。百合子の言う通り、この方式を採ってみよう。判定役はアタシがしよう。琴葉の仇はアタシが討つよ」
険しい顔をしながらそういって、エドガーもとい恵美さんは退出していった。
わたしの今日の仕事は麗花さんと一緒に雑誌の撮影だった。
どうやら麗花さんは直接仕事場に来ていたらしく、今朝がたの騒動を知らなかった。なので、休憩時間にわたしは事の顛末を話したのだ。
「ふうん、チョコレートに塩がねえ。でも、それはそれで美味しそうだね」
たしかに塩を含むチョコレートの調理法などいくつもある。しかし、砂糖の代わりを丸ごと塩に置き換えるものはない。これは明確に故意的に行われた所業なのだ。
「それで、志保ちゃんは何か考えがあるの?」
「いえ、これと言って。そもそも、わたしは推理なんて持ちませんよ。それはわたしには荷が重い仕事です」
実際、そういうのはやる気があってかつ資質を持ち合わせている人がやればいい。琴葉さんには気の毒に思うが、わたしには何も貢献できるものはないとわかっている。
「あれあれあれ? 志保ちゃんあんまり乗り気じゃなさそうだね。こういうズバっとしたことは志保ちゃん、似合っていると思うんだけどなー」
「ズバッとってなんですか」
「こう冷静で、目を付けた相手を論理的に追い込んで最後の決め手も外さないようなビシッとした感じ?」
「わかりません」
だいたい、わたしは最初に控え室で主張したように、今回の件が解決するとは思っていない。
それはあまりにも楽観的過ぎる憶測だ。容疑者は劇場内の全員と言ってもいい。出入りできる人間ならば、誰にでも材料と包装を持ち去り、同じように置いてある完成品の中に凶器を紛れ込ませることができるからだ。
それを特定しようだなんて、そうそうできることじゃない。
「せめて、なにか手がかりがあればとっかかれるんですけどね」
包装は一律どれも同じ。手のひらサイズの透明なビニール袋と四色の閉じゴム。そしてチョコレート本体に敷く銀紙だ。材料は溶かされたチョコレート。そのまま冷蔵庫に入れれば何の味気もないものが出来上がるが、みんな何かしらアレンジをしている。
独自の形にするものや、新たに味を加えるもの。特徴的なデコレーションでもしてあればわかりやすいが、わたしが見たところそのようなことはされていなかった。
知らず知らずのうちにうんうん唸っていたのを麗花さんに指摘されて、わたしは思わず赤くなってしまった。
「チョコレートっていえば、そういえば……」
「え? それって……」
麗花さんの何気ない一言は、わたしをある推論へと導いていった。
夕方、わたしは劇場の控え室へと戻っていった。
そこには事件を解決しようと意気込んだ人たちが集結しており、わたしはどうやらその最後の一人のようだった。
「お待たせしたかしら」
「志保、来たのね。あなたはてっきりこういった俗事には興味ないと思っていたのだけれど」
静香が笑みを浮かべている。わたしはそれを無視し、席についた。
テーブルには最前と同じように琴葉さんが突っ伏している。紬さんはそんな琴葉さんを心配そうな目で見守り、エミリーは両手を握りしめてうつむいている。
百合子さんは明後日の方向を向いて何やら呟いており、静香はわたしが目を向けるとそっぽを向いた。
「それじゃ、始めるよ」
と、恵美さんが言った。
わたしは頬杖をつきかけたが、なんだか偉そうに見られても嫌なのでやめた。
「最初は誰からやる?」
みんなの視線があちこちさまよったが、結局百合子さんが提案した。
「時計周りでいきましょう。琴葉さんを0時にして」
誰も異存をあげることなく、そういうわけでトップバッターは静香になった。
「最初にわたしは、みなさんに謝ろうと思います」と、静香は開口一番にそう言った。「だって、わたしが最初に真実を暴いてしまうもの。後ろに控えている四人には、無駄な労力を割かせてしまったかしら」
「たいした自信ね」
わたしは嫌味を込めて言った。
静香はわたしに一瞥をくれ、それからまた目を逸らした。
「みんなはわかっていると思うけど」恵美さんが釘を刺すように言った。「狂人や愉快犯による動機も目的も無い凶行っていうのは無しね」
一同は頷き、静香が咳ばらいをした。
「今回の事件の特徴は、なんといってもその不確定さにあります。例え琴葉さんに標的を絞ったとして、塩を盛り込んだチョコレートを琴葉さんが手に取る保証なんてほとんどありません。琴葉さんはあのチョコレートの山から凶器を一つランダムに選び、口にしたはずです。包み紙にはどこにも『Dear 琴葉』などは書いてなかったのですから。ではどういうことか? 考えられる可能性は二つ。一つは『標的は誰でもよかった』」
「ふうん」
恵美さんは感心したような声をあげた。わたしも少し見直した。静香は続ける。
「しかしこれが真実だとしても面白くはないし、第一先に恵美さんに禁止されたことです。わたしもこんな案を掲げるつもりはありません。それではもう一つの可能性の方へいきましょう。それはこうです。『琴葉さんが飛びつくような細工がしてあった』です」
「うん? ちょっと待ってください。チョコレートの包装にはどこにも不審な点はなかったのではないんですか?」
百合子さんが当然の疑問を放つ。
「その通り。チョコレートが入れられていたビニール袋はここで配布されたものと同一で、ペンで何かが書かれた形跡もない。辺りには何もなかったことから、小さなメッセージカードが添えられていたという可能性も省けるわ」
「だったら、どこにも琴葉さんが飛びつくような細工をする余地なんかないんじゃ……?」
「いえ、一つだけ残されているわ。それは」静香はにやりと微笑を浮かべた。「チョコレート本体よ」
「!?」
わたしは思わず息をのんだ。
「じゃ、じゃあ静香は、琴葉が食べたチョコレートには文字が刻まれていたというの!?」恵美さんも驚いたような声をあげた。
しかし静香は首を振る。
「いいえ、わたしはそうは思いません。何故なら、もしそんな細工がされていたのなら、残されたチョコレートを調べればすぐにわかるからです。しかしわたしたちが調べたところ、とても何かメッセージが刻まれていたとは思えません」
恵美さんはカバンから犯行に使われた凶器である、琴葉さんがかじりかけたチョコレートを取り出してみせた。
「よく見てください。このチョコレート、琴葉さんが少しかじってしまって判別し辛いかもしれませんが、元の形が何だったのか想像できませんか?」
わたしはジッとよく見てみた。色々と調べ回されてたしかに少し形が崩れてしまっているが、わからないこともない。これは……。
「わかりました! これは扇の形をしていますわ!」
と、エミリーは言った。
「正解よ。厳密にはもう少し丸みを帯びているけど」
得意げに言う静香にわたしはつい口を挟んでしまう。
「でも、それがなんだって言うの?」
静香はそれでも笑みを絶やさなかった。
「わからない? 横から見てみればもう少しわかりやすいかもね」
わたしは顔を傾げて真横から観察してみた。
「これは……中央に向けて斜面が盛り上がっていっているわ。それが両面同じように。まるで山を二つくっつけたように。どういうこと?」
「これでピンとこない? これが元々どういう形をしていたのか」
「琴葉さんが目聡く見つけられて……」百合子が呟く。
「少し丸い扇型をしていて……」紬さんも呟く。
「猪口令糖で表現できるもの……」エミリーも呟く。
恵美さんはハッとしたようにささやいた。それは控え室全般に響く。「しじみ……か」
「そうです」ようやくわたしたちは静香の言いたいことに気づいた。「これは、しじみを形どっていたのです」
「この間、伝統工芸を雑誌のコラムで紹介するお仕事があったそうですね」そう言って静香はホワイトボードに近づいた。そこには各人の予定表が貼られてある。
「その中で、アイドルはアクセサリー用に作られる形どりを一つずつもらったと聞きました。わたしは撮影先の陶芸店へ確認の連絡を取りましたが、しじみの形を作れる形どりも置いてあるそうですよ」
「……それが?」
「店主によると、たしかにしじみ形の形どりを一つ渡したそうです。誰なのかははっきり覚えてられませんでしたけどね。でも十分です。昨日が休日で、劇場へ来た人がそもそも数えるほどしかいなかったということがわかっていれば」
「琴葉は今日は朝一番に来てチョコを口にした。あの手作りチョコレートの山に凶器を紛れ込ませるには、昨日のうちに仕込んでおかないとダメ、か」
「そうです。そして、これが昨日の出勤名簿です」静香はそう言ってホワイトボードの一角を指した。「もうわかりますね? この間の撮影に顔を出し、しじみ形の形どりをもらい昨日休みにも関わらず出てきた人物は、この劇場内に一人しかいないんです。それは……」
静香はそう言って、わたしを見た。
「志保、あなたよ」
「わたしじゃない!」
思わず熱くなってしまった。よりにもよって静香に指摘されるだなんて。
「志保さん……」
「北沢さん、どうして……」
「ま、まさか志保が!?」
わたしは恵美さんに談判した。
「恵美さん、信じてください。わたしではありません」
対する恵美さんは良くも悪くも動じてはいないようだった。
「静香の推理はそれなりの説得力があった。しかし、アタシは評価は保留にするよ。みんなの推理もまだ聞いていないからね」
わたしはそれで黙るしかなかった。静香の「命拾いしたわね」という視線が耐えられなかった。
何より、わたしはすぐにでも汚名を払拭することができるのだ。その方法はただ一つ。真犯人を指摘することだった。次はわたしの番である。
「先に言っておくわ。わたしが指摘する犯人というのは、あなたよ。静香」
静香は面白そうにわたしを見た。
「へええ?」
「別に、さっきの意趣返しで衝動的に言っているわけではないわ。この部屋に入って来た時からもう決めていたことなの」
「聞かせて貰おうじゃない」
「そのつもりよ。わたしは一部はあなたと同じ意見よ。凶器であるチョコレートを忍び込ませるには、昨日以外ありえないという点はね。でも、わたしはあなたとは逆の探り方をしたの。それは麗花さんの一言から天啓を受けたわ」
「というと?」恵美さんはあくまで公平に扱ってくれる。
「今日の昼、麗花さんと少し話したんです。そのとき言っていたんですけれど、チョコレートに異物を紛れ込ませて気づかれないようにするにはどうしたらいいかって聞き込みまわっていた人物がいたんです」
「それが静香ってこと?」
「そうです」見ると、静香は顔を真っ青にしていた。「静香も昨日劇場に来ていた、数少ないうちの一人なんです。わたしはここから、静香一人に絞って調査を進めました」
「どうしてそんなこと!?」
「これは、ここ一週間静香が近場の図書館で借りた本の一覧です」
そう言ってわたしはカバンからコピーした用紙を取り出して、テーブルの中央に置いた。
「静香の代理と言えば、快くくれましたよ」
「個人情報は!?」
その用紙には三冊の書籍の名前が並んでいた。『砂糖とその他の調味料』『チョコレートの作り方 基本』『味付けはどうとでもなる』
「そしてこれは、静香のスマートフォンでのインターネット検索履歴です。今回の事件に関連する事柄にのみ絞りましたが」
「そんなことどうやって!」
同じようにコピー用紙を取り出し、みんなに見せた。そこには『チョコレート 混ぜ物 段階』『チョコレート 違和感』『白い粉 見えなくなる 方法』とある。
「さて、わたしはあなたの推理のようにどうやって琴葉さんを上手く狙い撃ちできたのか、それはわからないわ。もしかしてあなたの言う通りかもね。動機もわからない。でもここまで熱心に調べものまでして、あなたは一体」静香はうつむいて震えている。「あなたは一体、何を作ろうとしていたのかしら?」
控え室は静寂に包まれた。みんなの視線が静香に注がれている。何も言わない静香にしびれを切らしたわたしは、取りたくはなかった最終手段を決行した。
「さて、どうやら最後の切り札を切らざるを得ないようね」
「……まだ、なにかあるの?」
わたしはカバンからビニール袋を取り出した。
「あなたのロッカーから見つけたものよ。……砂糖では、ないようね」
ビニール袋には、大量の白い粉末が入っていた。流石にここまでの物的証拠を目の当たりにしたら、誰も静香の有罪を疑う者はいなかった。
「静香」恵美さんはこれ以上にない冷えた声で問いかけた。
見ると、静香は声を殺して泣いていた。やりすぎたかな、とわたしは少し反省した。
「わたしは……違うんです」静香はわたしの出したビニール袋を優しく手に取り、胸元へと移動させた。「わたしがチョコレートに入れようとしたものは……これは、塩なんかじゃなくて……うどん粉です」
「!?」
「わたしは! チョコレートにうどん粉を混ぜれば、もっと美味しくなると思ったんです! コシができて、出汁をつけて食べるものに、美味しくないものが存在するはずがない! それがわたしの信念なんです。完成したものはたしかに持ってきました。でも、琴葉さんが口にしたチョコレートは、わたしが作ったものでは……ないです」
わたしは当分、あの山のように積まれた手作りチョコレートを食べるのはやめようと思った。ここにいる全員がそう思っていることだろう。
「次はわたしの番のようですね!」百合子さんはそう言って、元気よく立ち上がった。「わたしの考えは、実は二つあるんです」百合子さんは指を二本立ててピースサインをした。
「二つ?」
「そうなんです! どう考えても、わたしにはこれしかないように思える推理が、なんと二つできてしまったんです。でもまあ、わたしは一つ目の方を推すんですけど」
「話が見えないよ、百合子。順番に説明して」
「はい。まずは一つ目の方を説明します。これは単純。劇場スタッフによる、ミスです」
「なんだって?」
恵美さんは素っ頓狂な声をあげた。わたしも同じような気分である。
「それは百合子さん。なんというか、それを言ったらおしまいじゃないですか」
「うん。だからこれは、わたしの二つ目の推理が違うだろうということになったときのための、わたしの意見ということにしておいてくれたら、助かるかな」
百合子さんは何が言いたいのだろう。一向にわたしにはわからなかった。
「じゃあ百合子、そのもったいぶっている二つ目の推理とやらを、さっさと言ってよ。じれったい」
「わかりました」
百合子さんはわざとらしく咳ばらいをし、テーブルの周りをウロウロし始めた。
「静香ちゃんも志保も、目の付け所は悪くないよね。でも、まず根本的に押さえてないといけない情報にはまったく触れていない。それは、『琴葉さんがどうして今日の朝チョコレートを食べようと思ったのか』という点だよ」
「あ」
わたしはそれをすっかり忘れていた。見ると静香も同じように喪失していたようだ。
「いくら事前に凶器を紛れ込ませることに成功して琴葉さんの目を引くように細工しても、琴葉さんがチョコレートを食べようと思わなかったら意味ないよね」百合子さんは一つ一つ確認するように丁寧に指を折った。「実は、この情報を知っている人ってすごく限られているんだ。恵美さんは知っていました?」
「……いや。なんでだろう」
恵美さんの答えに、百合子さんは満足したようだった。
「実は琴葉さん、チョコレートを食べないようにとドクターストップを受けていたんです」
「ドクターストップ!?」
琴葉さんが医者にチョコレートの摂取を禁じられていた?
「そうなんです! 実は琴葉さん、ファンからもらったチョコレートを、律儀にも全部食べようとしていたんですよ。半分くらい食べたところで気分が悪くなって病院に行ったところ、当分の間、糖分は避けるように言われたそうです」
わたしは黙っていた。
「ちなみにファンからのプレゼントの残りはすべて廃棄されました。そして医者から止められていたその日数というのは二週間。そしてその期間が明ける日が、なんとまさに今日なんです」
「なるほど」恵美さんは感心したように言った。「琴葉はあんな性格だからね、医者からダメと言われたら、ちゃんとしっかり守ろうとするだろうね。そして普段はそうでもないのに下手に禁止されると、無性にそれが食べたくなるときがある。琴葉のそんな心理程読みやすいものもない、か」
「はい、そしてこの部屋には余るほど、まさに腐るほどチョコレートが積まれています。わざわざ自分で買う必要なんてないんです。琴葉さんを狙い撃ちするのなら、これ以上の状況は考えられません」
「ふうむ。で、百合子はそこからどう展開するの?」
静香の問いに百合子さんは頷いて見せた。
「問題は、この情報を知っている人物がすごく限られているということなんです。なにしろ親友の恵美さんでさえ知らないことなんですからね。琴葉さんが二週間チョコレートを食べられなかったことは、琴葉さんがファンからの大量のプレゼントと格闘しているところに居合わせた人たちしか知りません」
「それならわたしも居合わせたので知っていました。はっ、まさか、七尾さんは犯人はわたしだと、そう仰りたいのですか?」
「ち、違いますよ紬さん。たしかに紬さんもあの場にいましたが、昨日は金沢に帰省して劇場には来ていなかったじゃないですか。紬さんには500キロ弱の鉄壁のアリバイがあるんです。犯人は紬さんではありません」
「なるほど……安心しました」
紬さんは安堵したようで、ホッと胸をなでおろした。
「このように、わたしが挙げた二つの条件から犯人を絞り込めるんです。琴葉さんが二週間ぶりにチョコレートを食べられるという心理から朝一番に手にするということ、そして昨日のうちに劇場にやって来ていた人物。それがなんと、一人しかいないんです」
わたしは手に汗を握っていた。
「それは……誰ですか?」
百合子さんはゆっくりと全員を向き、胸に手を置いた。
「それが……なんとわたしなんです」
「は?」
「え、百合子。それは自白しているの?」
みんなのジト目の集中に、百合子さんは顔を真っ赤にして否定した。
「ち、違いますよ! わたしはわたしがそんなことをやっていないって、自分でしっかりとわかっているんです。わたしは潔白です無罪です」
「でも今自分でわたししかいないって」
「わたしの推理では、絞り込んでいくと犯人はわたししかいないという結論に達した。わたしは推理小説のように論理的に検証を重ねていった結果、自分以外が犯人ではないことを証明したにすぎないんです。それだけです。かと言ってわたしは、チョコレートに塩を盛り込んでなんかいません。神に誓いますよ!」
「なるほどね」わたしは納得した。「つまり百合子さんは、与えられた材料からゲームのように推理をした結果、それは一人の容疑者をあげることに成功した。
しかしそれは誰であろう百合子さん本人だった。そういうわけですね?」
「そうなんです!」
胡散臭そうな目で恵美さんも納得したようだ。
「はーん。だから推理をわざわざ二つも用意し、納得がいかなかったら一つ目の愉快犯説を取ってくれと前置きしたわけだ。百合子さあ」
百合子さんは自説が納得してもらえたようで満悦の様子だったが、その他全員は呆れたようにその姿を眺めていた。
「さて、次はわたしの番のようですね」
エミリーはおしとやかにそう言ったが、なんだか自信がないように見えた。
「実は、わたしはみなさんのように誰かを疑うということができなくて。この劇場に悪意を持っている方がいるだなんて、どうしても思えなかったんです……」
「エミリーさん、優しい!」
紬さんが思わず叫んだ。
「でもねエミリー。誰かが琴葉さんが食べたチョコレートに塩を入れたことは事実なのよ。それが誰であれ、悪意抜きには語れないわ。うっかりミスで混ぜるにはあまりにもベタすぎるもの」
静香が諭すように言った。
「そうでしょうか? わたしはみなさんとは違う考え方から推理を始めました。それは、動機です」
たしかに、ここに至るまで動機の件はあまり重要には語られなかった。誰も明確に答えられる人はいないんじゃないだろうか。
「それでエミリー。動機から考えると、どういった結論になるの?」
「はい。そこでみなさんに考えてもらいたいのですが、今回琴葉さんが食べた猪口令糖に塩を入れておくことで、一体どういうことが起りえると考えられるでしょうか」?」
「今回起こったこと?」
わたしは考えてみた。
「こういう風に、推理合戦が行われたわね」
しかしエミリーは首を振った。
「たしかにそうですけど、それは百合子さんが提案したからこそ起こったことです。一般的に考えて、こんなことが開かれることは予想し辛いでしょう」
その通りである。誰も百合子さんのエキセントリックな提案を予想できるとは思えない。
「もっと単純に考えてもらって構いません。みなさんにとっては自明の理のはずです」
恵美さんが神妙な顔で答えた。
「琴葉が倒れた」
エミリーは首肯した。
「そうです。そして、それによって起こったことといえば……琴葉さんが今日のお仕事を休まれたということです」
「……? それって……」
「ここで一つ。今日の琴葉さんのお仕事はわたしが確認しました。内容は」エミリーはホワイトボードに近づいて一枚の紙を手に取った。食品会社の広告である。「これです。『あさり汁の宣伝大和撫子』」
「!?」
たしかにそこには、琴葉さんの名前とコメンテーターとしての依頼内容の詳細が書かれていた。それの撮影、取材が今日だったのか。
「ちょ、これってどういうこと!?」
「わたしの想像ですが、琴葉さんはこのお仕事、受けたくなかったのではないでしょうか。しかし、はっきりとお仕事を断ることができなくて……」
「琴葉ならありえるかも……え? それってまさかエミリー」
「はい。わたしの推理はこうです」エミリーは真剣なまなざしで、突っ伏している琴葉を見つめた「『琴葉さんが食べた猪口令糖に塩を入れたのは、琴葉さん本人』だと」
場の空気が一変した。まさか。
「自殺……?」
「そんなことって……」
「自分で、自分を……あんなものまで食べて……」
反論したのは、静香だった。
「そんな! ありえないわ!」
しかし、恵美さんがそれを遮った。
「いや、ありえない話じゃない。琴葉のような性格の子っていうのは、耐えられないことから逃れるためには、自分を傷つけることさえ厭わない。自分のせいで誰かを傷つけるくらいなら、いっそ自分がって……」
沈黙がおりた。
「確かに、不可解で不確定な要素が多い事件ではありました」百合子さんが言った。「でも、確実に事件を起こす方法が一つ、見つかりましたね。この方法なら、必ずと言っていいほどに不安定要素は省けます。わたしは、このエミリーちゃんの意見に一票いれます。これが一番現実的で、確実です」
百合子さんは悲痛な面持ちでうつむいてしまった。
「たしかに。真実は残酷だっていうことね。わたしも、これ以上の真実はないんじゃないかと思えてきたわ……」
静香も慎重に同意した。
わたしは……。
「わたしも、そう思えてきました……。琴葉さん、辛かったんですね」
どうしても逃げたい仕事。自分の信念を揺るがすほどの仕事から逃げるために自作の塩入りチョコレートを嚥下する気持ちは、一体どれほどだったのだろう。わたしには、とても真似できない。
真実は残酷なもの、か。
「あの、よろしいでしょうか?」
発言したのは紬さんだった。
「どうしたの? 紬」
「いえ、エミリーさんの推理が終わったので、次はわたしの順番が来たのかな、と」
ああ、そういえばそうだった。でも、今の空気でこれ以上何を言うつもりなのだろう。わたしと同じ考えのものは、どうやらわたしだけではないようだった。
みんなが同じような目をしている。どうぞご勝手に、と。
「わたしは実は、これと言った推理は持ち合わせてはいませんでした。みなさんが言う発言一つ一つに合点し、納得してしまっていました。それを次の人が覆してしまうと、ああ、そうだったのかという付和雷同な有様」
紬さんはこの場で一番自信のなさそうな表情をしていた。
「ですが、みなさんの推理を聞いて一つ、気づいたのです。みなさんがあげていった条件、犯人たる条件を備えた人物が、本当に誰もいないのかと」
「え?」
「ですから、みなさんの提示した犯人足りうる要素を兼ね揃えた人物がもしいるのなら、それはエミリーさんの言う意見をも凌駕する新事実となるのではないでしょうかと、そう思ったのです」
ふうん。
「でも、いるんですか? そんな人」
わたしは聞いてみた。
「まず最初に、みなさんの仰ったことを反復させてください。もしそれがエミリーさんの言う『琴葉さん本人』ではないのだとしたら、それは許しがたいことですから。それでは行きます」
わたしはみんなを見回した。紬さんを見直したのか、みんながそれなりに真剣な態度で聞いている。
「まず第一に、『しじみ形の形どりを入手できた人物』。最上さんの言う通り、チョコレートはしじみの形をしていたはずです。それを手に入れるには、この間の陶芸品の取材へと赴いた方に絞られるでしょう」
それ自体は何人かいる。しかし……。
「そして次に、最上さんが聞き込みして入手した『チョコレートに異物を違和感なく紛れ込ませる方法を知りえた人物』。これは劇場近くにある図書館で調べることができるので、劇場内付近にいる方なら誰でも当てはまりますね。さらに三つ目。『田中さんがチョコレートを医者に禁止されているのを知っており、かつその後の心理を察することのできる人物』」
「待ってください、でも……」
「続けさせてください。四つ目。それは、『琴葉さんにチョコレートを食べさせる動機のある人物』、です。詳細はあとにしましょう。最後に五つ目です。これは幾度も出てきたものですね。『休日にも関わらず、昨日劇場に来ていた人物』」
「それは表を見ればわかるわ。でも、そんな五つもの条件を満たした人なんているはずが……」
「いえ、それがいるのです。もっと言えば、それはその表には記録されていません。だからこそわたしたちの目から逃れ、思わず見落としてしまったのです。その表とは別に出勤が記録され、あらゆる仕事先に同時に現れることができ、劇場周辺をウロウロでき、いつもこの劇場内にいることができる人物。そんな人に、心当たりはありませんか……?」
室内は一瞬静まり返ったが、やがて全員が同じ結論に達したようだった。
「もしかして」
「まさか」
「そんな」
「やっぱり」
「間違いない」
「「「「「プ、プロデューサー!?」」」」」
「はい、その通りです。すべての条件を満たしかつ動機があるのは、プロデューサーしかいません。動機は明白です。バレンタインデーに誰からもチョコレートを貰えなかったことの、彼なりの復讐です。なんと恐ろしい……」
「貰えなかったのにホワイトデーにお返し!? 気持ち悪……」
わたしは背筋が寒くなる思いがした。
「でも、どうして琴葉さんだけに?」
「いえ、北沢さん。それは違います。彼はおそらく劇場のアイドル全員に、お返しのチョコレートを用意しているはずです。見てください」
そう言って紬さんは手作りチョコレートの山から幾つかを引っ張り出した。わたしは自分の目を疑った。
「こ、これは……黒猫の形のチョコレート!?」
「う、嘘。うどんの形をしたのもあるじゃない!」
他にも続々と出てきた。
「これは大和撫子の猪口令糖ではありませんか! すごいある意味すごいです……」
「このチョコレート、書籍の形をしていますよ!」
「ドリンクバーの形をしたものまであるじゃん!」
それは無駄に精巧にできていて、偏執狂的なものを感じる。わたしは恐怖を覚えた。
「ええ、先ほど瑠璃色金魚の形のチョコレートを見つけ、もしやと思ったのです。みなさん気を付けてください。わたしの考えが正しければ、これらには全部……」
「砂糖の代わりに塩が入っているっていうの!? 信じられない! 食べ物を粗末にするなんて、許せないわ!」
恵美さんは意を決したように立ち上がった。
「これだけ決定的な証拠があれば言い逃れはできないね。みんな! 今からプロデューサーのところへ乗り込むよ!」
その掛け声にみんなは勢いよく控え室から出ていった。わたしはなんだか下らなく思えたので、手に取った黒猫のチョコレートを口にした。
覚悟していたとはいえ、衝撃的な風味が口の中を襲った。わたしの意識は、そこで途絶えてしまった……。
完
なんで食べてしまうのか
乙
突っ込みどころ満載で面白かった(小並感
想像してたよりも悪質な事件だったよ....
乙です
>>1
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/YBR2cZB.jpg
http://i.imgur.com/SOfcYG2.jpg
矢吹可奈(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/CfdULRs.jpg
http://i.imgur.com/1qJgUVy.jpg
>>2
田中琴葉(18) Vo/Pr
http://i.imgur.com/5cGQanJ.jpg
http://i.imgur.com/jVMavG6.jpg
所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/kzw1B6Z.jpg
http://i.imgur.com/RN3cTiy.jpg
>>3
豊川風花(22) Vi/An
http://i.imgur.com/61iE4NY.jpg
http://i.imgur.com/dXr4ywy.jpg
>>4
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg
http://i.imgur.com/cOBTJeA.jpg
>>6
天海春香(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/EKKI6QK.jpg
http://i.imgur.com/f6ombAr.png
白石紬(17) Fa
http://i.imgur.com/G09quRI.png
http://i.imgur.com/FGSeBlr.png
>>7
エミリー(13) Da/Pr
http://i.imgur.com/vrX9A7M.jpg
http://i.imgur.com/K9iYBzX.jpg
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/elElgN9.jpg
http://i.imgur.com/xwths3z.jpg
>>8
北上麗花(20) Da/An
http://i.imgur.com/FVZicNJ.jpg
http://i.imgur.com/kP8kHJM.jpg
本気で間違えたに一票
はるかさんのいたずらとかでね
変な書き方で読みにくかった
志保が食べた理由は二つある
一つはなんだかんだ言ってもPが好きだから
そんなPが作ったのを残せないから食べた
二つ目は出来が良すぎて溶けたら勿体ないから(つまり猫の形に釣られた)
スレタイで最初ははるるんのよくあるミスを思い浮かべるよね
塩チョコじゃなくて?
はるるんの間違いが過剰に否定される中で
ちゃんとPがチョコレートをもらえなかったという話にも序盤から触れている
百合子の自爆推理もいい箸休めになってる
構成がいいから読了感も素敵でした
八幡「入学式の日に犬が飛んできたから蹴り返した話」
八幡「入学式の日に犬が飛んできたから蹴り返した話」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526039029/)
このシアターのP、好感度低っいな全員0とか一桁レベルなんじゃ…
むしろマイナスまである
はるるんのミスパターンだと思ったしいいミスリードだった
おつ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm33351197
二次創作というには文章そのままですけど
>>40
このSSが書かれた日付とそれが投稿された日付を確認しろ
そっちは9時間前だぞ(現時点では)
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