(仮眠室)
スッ...
夕美「かの豊臣秀吉は織田信長の草履を懐に入れて温めて忠誠心を示したという逸話があるわ…」
夕美「だったら布団ならもっとすごいんじゃないかな! 褒められるんじゃないかな!」カッ!
夕美「というわけで! いつもプロデューサーさんが使ってる仮眠室の布団に入って温めておくよ!」
夕美「うりゃぁぁッ!」スポ-ン!
夕美「ふふふ…後はプロデューサーさんがここに来るのを待つだけだね♪」ヌクヌク
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(30分後)
夕美「zzz…」スヤスヤ
柚「(夕美サンがお昼寝してる…)」
(しばらくして)
夕美「…ついうっかり寝ちゃってたみたい。起こしてくれてありがとう柚ちゃん♪」ヌクヌヌ
柚「ううん。それよりどうして布団から出てこないの? 夕美サン」
夕美「温めているからだよ!」カッ!
柚「何を? 鳥の卵とか隠し持ってるの?」
夕美「まさか」
柚「だよね」
夕美「私が温めているのは布団よ。こうしておけばプロデューサーさんがお昼寝する時に気持ちよく寝れるでしょう♪」
柚「うわァ。自分がおかしいと少しも疑っていないような笑顔が怖いよォ」
夕美「?」ニコリ
柚「柚もこの事務所にきてしばらく経つけどさ。最初に比べて夕美サンたちの印象はだいぶ変わったよね」
夕美「いい方に?」
柚「ううん。明後日の方向に」
夕美「えへへ…そんなこと言われると照れちゃうよ///」テレテレ
柚「褒めてないよ!?」
夕美「ちなみに最初はどんな風に思ってたの?」
柚「清楚で頼りになるお姉さん」
夕美「今は?」
柚「『青カビチーズ』並みに癖がすごいお姉さん」
夕美「褒めてないじゃんそれ!」バ-ン!
柚「最初からそう言ってたよねッ!?」
夕美「まったくもう。私は私の信念に基づいて行動しているだけだよ」プンスカ
柚「知らないよー。ところで今日は美波チャンと文香サンは来てないの?」
夕美「うん。『イリュージョニスタ』のイベントに出てるの。だから抜け駆けする絶好のチャンス…ごほん。2人がいない時でも、頑張らないといけないのよ」
柚「本音がダダ漏れだね」
夕美「この機会に必ず仕留めるわ」キラ-ン
柚「夕美サンは狩りでもしてるつもりなのカナ」
夕美「ところで。そろそろプロデューサーさんが来る時間だから柚ちゃん隠れてもらえるかな?」
柚「あ、うん。ここから出て行ってもいいでしょうか?」
夕美「駄目よ。私の勇姿を見ていてちょうだい」グッ!
柚「えぇ…」
夕美「ほらほら! そこの物陰がちょうどいいよ! お口にチャックしてシーッだよ?」グイ-
柚「ちょ! む、無理矢理は。ぐゥッ! 思いのほか力が強い!」
夕美「スタンバイOK! 後は待つだけだよ!」
柚「チッキショー。帰りたいナァ」
(10分後)
カチャ
P「ふぁぁ…眠いなぁ…」
柚「(隠れてからプロデューサーサンが来るまで結構長かったね…でも、まあこれを見れば終わりだからいっか)」
柚「…って、ん?」
夕美「zzz…」スヤスヤ
柚「(ま、また寝てるゥー!)」
P「…」
柚「(プロデューサーサン困ってるよ、バッキャロー! 夕美サン起きてェー!)」
P「…」スッ
柚「(プロデューサーサン…布団をかけ直してあげてる…!)」
テクテクテク...パタン
柚「(そして出て行っちゃったよ…)」
夕美「ううん…いちごささみパフェ…」ムニャムニャ
柚「いい加減起きろォ!」
(その後)
夕美「や、やっちゃったよ…」ズ-ン
柚「あれだよね。草履を懐で温めるどころか、『草履の上で暖を取っていた』レベルの無礼さだよね。切腹を言い渡されても仕方がないよ」
夕美「違うの! 布団が全部悪いの!」カッ!
柚「夕美サン。本来、ボケであるはずの柚チャンがツッコミに回ってるんだからせめて負担を軽減してほしいなぁ」
夕美「ぐぬぬ…こうなったらいつも通り作戦会議だよ! 柚ちゃん!」カッ!
柚「いつも通りって何!? あたし初耳だよ!?」
夕美「私と美波ちゃんと文香ちゃんは困ったことがあるとすぐに集まって会議を開くのよ♪」ウキウキ
柚「知らないよ? 嬉しそうな顔されても知らないよ?」
ニュッ
フレデリカ「ワタシ ニホンジン カイギノタイセツサ シッテマース♪」
柚「ウワァァァッ! 片言のエセ日本人がやって来たァ!」
フレデリカ「へーい。そこの可愛いヤングたち。フレデリカと一緒に汗水流してディスカッションの青春を謳歌しないかーい?」
柚「どういう青春なのさ…」
夕美「乗った!」
柚「乗らないで」
フレデリカ「let's go」
柚「英語て。国籍くらいは固めてきてほしいなぁ」
(しばらくして)
夕美「それでは! 第1回髪の毛の色も性格も明るいティーンの娘っ子たち会議を始めます!」
フレデリカ「フゥー♪ パチパチパチパチ♪」
柚「長いよ」
フレデリカ「そうだね。アタシたちはショートヘアだもんね」
柚「そこじゃないんだよなぁ」
夕美「では改めまして! 第1回髪の毛の色も性格も明るいティーンの娘っ子たち ~ショートカット仕立て☆~ 会議を始めるよ!」
柚「なお長いよ!? 長くなってるよ!?」
夕美「それじゃあ何から話そうか」
フレデリカ「フレちゃん。おやつに何を食べたらいいかな?」
夕美「ケーキはどうかな。私、近くに美味しいケーキ屋さん知ってるんだ♪」
フレデリカ「わぉ♪ それじゃあ案内してシルブプレ~♪」
夕美「もちろん。柚ちゃんも行くよね?」
柚「うん。行くけど会議は?」
夕美「かいぎ?」キョトン
夕美「…」
夕美「!」ハッ!
柚「夕美サンは壊滅的に司会進行に向いてないね…」
夕美「そ、そそそんなことないよ! 私だって美波ちゃんみたいにビシバシキリッと司会進行をすることができるよ! 余裕だよ!」カッ!
フレデリカ「そうだよ! かつてフレちゃんの中では夕美ちゃんは司会進行の名手と呼ばれていたんだよ!?」
柚「どこから突っ込んだらいいのかなぁ。とりあえず過去形!」
夕美「ふふん♪」フンス
柚「夕美サン。まさかフレちゃんの言ったことを真に受けてるのカナ?」
夕美「私は司会進行の名手だよ!」バ-ン!
柚「こ、こやつ…増長している…!」
フレデリカ「よっ、日本一♪」パチパチパチ
夕美「アテンションプリーズ。本日の司会進行は346プロダクション所属。わたくし相葉夕美が務めさせていただきます。皆さまよろしくお願いします」
柚「なんかそれっぽく寄せてきた!」
夕美「わたくし相葉夕美は褒められると伸びるタイプなのでございます。お客様。どんどん褒めて伸ばしてくださいませ」
フレデリカ「へっへっへっ。お姉ちゃんいい耳の形してるねぇ…俺と一緒にフレデリカしないかい?」
夕美「まあ。喜んで♪」
フレデリカ「では踊りましょう」
夕美「エブリバディ!」
ダバダバダバダ-♪
ズンチャッチャッ♪
柚「(なんか手を繋いで踊り始めたよ…)」
柚「…」
柚「2人とも。踊り終わったら教えてね」
2人「「YES!」」
(10分後)
夕美「まず私たちの目的をはっきりさせようか!」
柚「『たち』?」
夕美「私たちは同志よ♪」キラ-ン
柚「い、嫌だ…!」
フレデリカ「ゆ、ユズちゃん。アタシたちとは格が違うっていうの…!?」ワナワナ
夕美「そ、そんな…!」ワナワナ
柚「違うよ。単に同じ穴のむじなだと思われなくないだけだよ」
夕美「なら許す!」カッ!
フレデリカ「夕美ちゃん! 多分、フレちゃんたち敬われていないよ!」カッ!
夕美「なんですと!」ガ-ン!
柚「多分じゃないんだよなぁ」
フレデリカ「ここ日本。年功序列がモノを言う世界。アナタわかるか?」
柚「日本のルールを主張するわりには片言だね」
夕美「さて、おしゃべりはこれくらいにしてそろそろ始めましょう。私たちの目的はただ一つ! プロデューサーさんの布団に潜り込んで温めておくことだよ!」カッ!
フレデリカ「わぉ、情熱的~♪」
柚「柚。帰っていいカナ」
夕美「寂しくなるじゃない!」ガシ-
フレデリカ「駄目駄目!」ガシ-
柚「ふぐぅ! 思いのほか執着されている! ヒグマか!」
夕美「柚ちゃんも布団を温めよう!」
柚「お断る!」
夕美「楽しいよ?」
柚「柚は遠慮しておきます」
フレデリカ「冷静になってみたまえ…こんな機会でもなければプロデューサーの布団に潜ることなど未来永劫ないのだよ…?」
柚「い、いや。未来永劫ってことはないんじゃないカナ。もっと仲良しになれば同じ布団で寝ることも…」
夕美「あー! いまのダウトー!」ピシ-!
フレデリカ「ふむふむ。仲良くなるとどーして同じ布団で寝るのかなー? おしくらまんじゅうでもするのかなー♪」
柚「」
夕美「私たちにツッコミを入れていたと思ったら柚ちゃんもとんだスケベだったね!」バ-ン!
柚「ち、違っ…///」
フレデリカ「え、なんでスケベなの? どーして、どーして♪」
夕美「あ、いや…その…なんていうか…///」モニョモニョ
柚「夕美サン。責めに弱いナー」
夕美「と、とにかく! 柚ちゃんも私たちと同類だよ! 私の目は誤魔化せないよ!」バ-ン!
フレデリカ「その通り。フレちゃんは最近眼鏡を新調したからね。どんなものでもくっきり見えるのだよ」スチャ
夕美「認めなさい! プロデューサーさんの布団に本当は入りたいと!」カッ!
柚「…」
柚「ええい! もう認めるよ! 入りたいよ! できればぬくぬくと温めるだけじゃなくて一緒に布団で寝てたいよ!」
夕美「そうよ! 自分に正直になりなさい!」
フレデリカ「夕美ちゃん! 柚ちゃん! お腹が空きました! ケーキを食べに行こう!」
夕美「よしきた!」ジュルリ
柚「決戦の前の腹ごしらえだね!」ジュルリ
柚・夕美「「食べに行こう!!」」ガシッ!
(しばらくして)
夕美「よーし。それじゃあ腹ごしらえも済んだし。布団に潜り込むよー!」ゲプ-
柚「おうとも!」ゲプ-
フレデリカ「おみやげにケーキ買ってきたから布団の中でプロデューサーと一緒に食べよっか♪」
柚「崩れちゃいそうだね」
フレデリカ「んー、じゃあ口移し♪」
夕美「く、くくくく口移しだとぅ!」
柚「駄目だよ! そいつぁ反則だよ!」
フレデリカ「まずね。こうやってショートケーキのイチゴを唇で咥えてね」パクッ
夕美「ん?」
フレデリカ「はい。こうやってね♪」グイッ
夕美「あ、ちょ」
夕美「」
柚「ゆ、夕美サァァン!!!」
フレデリカ「んふふ。こうやれば完璧でしょー♪」ペロリ
夕美「」
柚「夕美サンが顔を真っ赤にして倒れてるよ! どうしよう! 起きてェ!!」ユサユサ
フレデリカ「フランスだと『グッモーニン』と同じなんだけどなー」
柚「フランスで英語使わないでしょ! てゆーか日本だと『アイラブユー』と同じだよ!」
夕美「」キュ-
フレデリカ「大丈夫、大丈夫。フレちゃん事務所のみんな愛してるから」
柚「夕美サンが平気じゃないんだよなぁ。とりあえずベッドに寝かせておこうか」
フレデリカ「そうだね。起きてほしい時はキスすればいいからね」
柚「白雪姫じゃないんだから…」
柚「よし。じゃあ布団をめくって、と」
バサッ
凛「…何?」デデ-ン!
まゆ「あら…何をしにきたのですか?」デデ-ン!
柚「布団の中にクセ者だァァァ!!!」ガ-ン!
フレデリカ「今日はちょっぴり寒い日だからね。てんとう虫みたいに集まってくるんじゃないかな」
凛「違うよ」
柚「違うんだ?」
凛「布団を温めておけばプロデューサーに褒められると思ったから入ってたんだよ」キリッ
まゆ「凛さんと同じ考えに至ったのは引っかかりますが、まゆもだいたい同じです」
柚「おかしいな。夕美サンが異常だと思ってたら柚のほうが少数派になっちゃったよ」
凛「普通は思いつくはずだよ」
まゆ「ええ。ごく自然に」
柚「普通とは」
フレデリカ「ところでみんな。そろそろプロデューサーが来る時間だけどいいの?♪」
凛「!」
まゆ「!」
柚「!」
柚「夕美サン! 起きて起きて!」ユサユサ
フレデリカ「へい。任せなさい」
チュ-
柚「」
夕美「ん…何かあった?」ムクリ
柚「あちゃー…」
フレデリカ「夕美ちゃん。そろそろプロデューサー来るよー♪」
夕美「な、なんですって! こうしちゃいられないわ!」ズサ-!
柚「ゆ、柚も!」ズサ-!
凛「ふーん」ズサ-!
まゆ「♪」ズサ-!
フレデリカ「フレちゃんは…」キョロキョロ
フレデリカ「…」
フレデリカ「ケーキ食べたから緑茶が欲しくなっちゃったな~♪」テクテクテク
パタン
(しばらくして)
P「ふぁぁぁ…やっと終わった。昼間は夕美かいたから眠れなかったし…ちょっと休憩…」
【膨らんだベッド】テテ-ン
P「…」
ベッド「「「「カモン」」」」
P「ベッドから変な声が聞こえるゥ」
ベッド「「「「怖くないヨ」」」」ガタガタガタ
P「怖えェェェ! あのベッド近寄りたくねェェェ!」
ベッド「逃すか!」
シュタ-ン!
P「い、入り口に回り込まれた…!?」
まゆ「おいでやすです! プロデューサーさん!」シュタ-ン!
凛「お疲れ様! プロデューサー!」シュタ-ン!
柚「遅くまでご苦労様です!」シュタ-ン!
夕美「昼間は寝ちゃっててごめんなさい!」シュタ-ン!
P「なんか出てきたァ!」
4人「「「布団温めておきました! どうぞ!」」」スッ!
P「…ん?」
夕美「『ん?』じゃないよ。温めておいたんだよ?」
柚「さあ。ごゆるりと」
凛「褒めていいよ」
まゆ「これでぐっすり寝れますね♪」
P「…」
P「え、もしかして特に用事はないの?」
夕美「うん。プロデューサーさんにぐっすり寝てもらいたいだけだよ?」
凛「他に何か?」
まゆ「おやすみなさい♪」
柚「…」
P「そ、そういうことなら…ありがたく?」
ポスン
P「じゃ。俺は寝るから」
4人「「「おやすみなさい!」」」
P「…」
P「zzz…」スヤスヤ
4人「「「…」」」
柚「さぁーてと…」スタスタスタ
夕美「待ちなさい。柚ちゃん」ガシ-
まゆ「プロデューサーさんの隣で寝ようとして何をしているつもりですか?」ガシ-
凛「抜け駆け禁止」ガシ-
柚「ゆ、柚は温める目的じゃないもん! 添い寝するためにきたんだもん!」カッ!
夕美「!」
凛「!」
まゆ「!」
柚「あ、でもみんなは温めるだけって言ってたもんね! さよならだね! ははは! これで柚が独占だァ!」
夕美「ふ、ふざけないでよ!」ゴゴゴゴ
まゆ「…これは舐めてますねぇ」ゴゴゴゴ
凛「許さないよ!」ゴゴゴゴ
柚「へんだ! 知りませんー! さあ! その手を離してよ!」ブンブンブン!
3人「「「やらせるか!」」」キッ!
柚「負けないよ!」
ギャ-ギャ-!!
P「…」
P「キミらうるさい」パチクリ
4人「「「「ごめんなさい」」」」
(後日)
柚「この前は失敗しちゃったね」
夕美「柚ちゃんが土壇場で裏切らなければ…」ブツブツ
柚「いやいや。自分に正直って言ったのは夕美サンでしょ」
夕美「そ、それはそうだけど…」
柚「まあ。でも柚も抜け駆けしちゃったのは悪かったよね。今度はさ、2人で添い寝できる方法を探そうよ」
夕美「ゆ、柚ちゃん…!」ジ-ン
柚「やろう! 夕美サン!」カッ!
夕美「そうね! 柚ちゃん!」カッ!
2人「「添い寝するぞ!」」ガシ-
カチャ
P「おはよう」
柚「あ、おはよう。プロデューサーサン」
夕美「おはよう。プロデューサーさん」
P「ふぁぁぁ…眠っ」
柚「これは仮眠室チャンスカナ!」カッ!
夕美「プロデューサーさん! 仮眠室! 仮眠室をどうぞ!」カッ!
P「ごめん無理」
柚「ん?」
夕美「無理とは?」
P「昨日、誰かが仮眠室でケーキ食べてぶちまけたみたいでね。ちひろさんが怒って『しばらく利用は禁止です』って閉じちゃったんだよ」
柚「」
夕美「」
P「しばらくは早寝早起き。早帰りの生活だな」ハハハ
柚・夕美「「…」」
(後日)
フレデリカ「あのね。わざとじゃないんだよ。フレちゃんはついケーキが美味しくて…」
柚「そっかー。でもこぼしちゃったのは駄目だよね」
夕美「うん。そうだね。私なんかおまけにキスされてたみたいだしね」
フレデリカ「そ、それは挨拶で…」
夕美「覚悟はできてるよね♪」ニコリ
柚「張り切ってこー♪」ニコリ
フレデリカ「」
ノォォォォォォォォォ!!
終わり
いつもと違うが、乙
いつも以上にやかましくて面白かった
ノリは好きなんだけど夕美の口調に違和感覚える。
ぎちぎちに縛った柚を、三角木馬の上に置いておくだけでいいんだけどなぁ
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