【バンドリ】やんでれ有咲 (17)
※百合です。かすありです。
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――花咲川女子学園 1-B教室――
市ヶ谷有咲「おーい、香澄ぃー」
牛込りみ「あ、有咲ちゃん。おはよう」
山吹沙綾「おはよー有咲」
有咲「ああ、おはよう」キョロキョロ
有咲「……あれ、香澄は?」
りみ「うん、風邪ひいちゃったみたいで今日はお休みなんだ」
有咲「え、香澄が風邪って……」
沙綾「なんとかは風邪ひかないって言いたいのかなぁ、有咲は?」
有咲「べ、別にバカとは言ってねーし!」
沙綾「私もそこまで言ってないけどなー」
有咲「うっ……」
花園たえ「私も風邪ってひいたことないなぁ」
有咲「うわっ、いたのかおたえ!?」
たえ「? 私のクラスは1-Bだしいるよ?」
有咲「それはそうなんだけどそうじゃなくてだな……」
りみ「いきなり後ろから話しかけられるとちょっとびっくりしちゃうよね」
たえ「あ、そっか。ごめんね、有咲」
有咲「ああいやいいんだけどさ……」
有咲「それより、香澄が風邪ってどうしたんだ?」
りみ「うん、昨日雪が降ったよね?」
有咲「降ってたな。寒いの嫌いだから蔵から一歩も出なかったけど」
沙綾「それで、その雪を見ながら庭で大福のアイスを3つ食べたら体冷やして風邪ひいちゃったんだって」
有咲「……やっぱバカだろあいつ」
たえ「私もオッちゃんと一緒に雪見ながらご飯食べたよ。オッちゃんが寒そうだったからすぐ部屋に戻ったけど」
有咲「ホントに似た者同士だなおたえと香澄は……」
たえ「同じギター担当だもんね」
有咲「そういう意味じゃねーよ!」
りみ「でもそんなに重い風邪じゃないみたいだよ。熱も微熱くらいってメッセージが来てたし……」
沙綾「お見舞い行こうかって聞いても『うつしたら悪いしすぐ良くなるからへーきだよっ!』って返ってきたしね」
たえ「でも今日は家に香澄1人だからヒマーっ、とも言ってたね」
有咲「…………」
りみ「有咲ちゃん?」
有咲「……んで」
たえ「?」
有咲「なんで他のみんなにはメッセージがあって私にはねーんだよ……」
りみ「あ、それは……むぐっ」
沙綾「りみりん、しー」
有咲「なに? 私だけ悪い意味で特別って言いたいのか? なんで? 私だけ違うクラスだから?」
たえ「香澄ってああ見えて結構寂しがり屋だよね。ウサギにもそういう子いるよ。あんまり弱ったところを見せないけど、信頼してる人には素直に甘えてきたりって」
たえ「私にもそういうところを見せてくれるから、すっごく可愛いよね(ウサギって)」
りみ「お、おたえちゃん、それを今言うのは……」
有咲「……ああそうかよそういうことかよ私は信頼に足る人物じゃねーってことかよなんだよポピパ結成の一番最初のメンバーなのに私が一方的に信頼してただけかよそうだよなそもそも結成の時だっておたえがギター弾けるって分かったらすぐにそっち行ってこっちは蔑ろにするし結局はそうなんだよなはいはい分かってたよ分かってたし別に私だって好きとかそういうんじゃないし――」ブツブツ
りみ(た、大変……香澄ちゃんがおたえちゃんにギター教えてもらってた時の有咲ちゃんになってる……)
沙綾「私が言えたことじゃないけど、香澄もちょっと抱え込む癖があるからなぁ。きっと本当は誰かにお見舞いに来てほしいって思ってるよね」
沙綾「でもやっぱり大人数で言っちゃうと迷惑だろうし、やっぱりここはポピパから誰か1人が代ひょ――」
有咲「私が行くから」
沙綾「そう? それじゃあ有咲に任せようかな」
たえ「お見舞い頑張ってね、有咲」
りみ「え、えーっと……うつされないように気を付けてね?」
有咲「うつされるようなことしないから大丈夫」
りみ「そ、そう……」
有咲「それじゃ、私は準備しなきゃいけないから戻るな」
沙綾「うん、香澄のことよろしくね」
たえ「またね、有咲」
有咲「ああ」
りみ「…………」
沙綾「…………」
りみ「沙綾ちゃん、言わなくて良かったの? 私たちを代表して沙綾ちゃんがメッセージ送っただけだって」
りみ「あれだと香澄ちゃんから有咲ちゃんにだけメッセージが行ってないって思われちゃうんじゃ……」
沙綾「うん、平気平気。香澄もホントはお見舞いに来てほしいだろうし、有咲も素直じゃないけどホントはお見舞い行きたいだろうからさ、こうすればすんなり話が進むかなって思ったんだ」
たえ「有咲はなんであんなに怒ってる風だったんだろ? ウチのウサギと遊びたかったのかな?」
沙綾「……まぁおたえの言葉でああなるのは予想外だったけど」
りみ「そ、そうだね……大丈夫かな……香澄ちゃんと有咲ちゃん……」
――――――――――
―――――――
――――
……
――1時間後 香澄の部屋――
戸山香澄「あっちゃんは当然学校、お母さんも町内会の集まりで留守……」
香澄「あー、さーやにはああ言ったけど退屈だなー」
香澄「熱ももうほとんど下がっちゃったし……今からでも学校行っちゃおっかなー……」
香澄「あーでもそれでみんなにうつしちゃったら悪いし……」
香澄「さみしいなー、誰かお見舞いにでも来てくれないかなー」
香澄「…………」
香澄「みんな学校なんだし来る訳ないよね……はぁー……」
――ピンポーン
香澄「あれ、呼び鈴……宅配便かな?」
香澄「お母さんもいないし……やっぱりここは私が出なくちゃだよね!」
香澄「それで、ちょっとくらい軒先でお話してもセーフだよね、セーフ!」
香澄「マスクしてっと……」
――ピンポンピンポンピンポーン
香澄「はいはーい今行きまーす!」
――タッタッタ、ガチャ
香澄「宅急便ですかー! それとも新聞の勧誘ですかー!」
有咲「……よう」
香澄「えっ、有咲!? なんで!?」
有咲「私がいちゃわりーのかよ」
香澄「ううん、全然そんなことないよ! でも今、11時だよ? 学校は?」
有咲「サボった」
香澄「サボっちゃったの? 大丈夫? 有咲もどこか調子悪いの?」
有咲「う、うるせーな! 沙綾から風邪ひいたって聞いたからお見舞いに来てやったんだよ!」
香澄「有咲……」
有咲「ていうかお前なんかすげー元気そうじゃねーかよ! もしかして仮病か!?」
香澄「うぅ、有咲ぁ~っ!!」
有咲「うわっ!? なんでいきなり抱き着いてくんだよ!? 嬉しいけど心の準備ってもんがな……!」
香澄「ありがとーっ! さーやからは心配するメッセージが来てたんだけど、みんなにあんまり心配かけたくなかったからちょっと強がっちゃったの後悔してたんだー!」
有咲「沙綾からメッセージって……お前から私以外のみんなに送ったんじゃねーの?」
香澄「ううん! さっきね、さーやから『風邪って聞いたけど大丈夫? みんなでお見舞い行こうかって話出てるけど』ってメッセージが来たんだっ!」
香澄「でも『風邪うつすのも悪いし、すぐ治るからへーきだよっ』って返したんだけど……こういう時ってヒマだしさみしーなーって思ってたら有咲が来てくれて嬉しい!」
有咲「そ、そっか……そうだったんだな……」
香澄「それにみんなに送って有咲にだけ送らないってことは絶対ないよ~! 私、有咲のことだーい好きだもんっ!」
有咲「ばっ、そ、そういうのは2人っきりの時に言えよ!」
香澄「えへへ~有咲~」
有咲「あーもう、こんなとこにずっといたらまた体冷やして熱が上がるぞ!? ほら、さっさとお前の部屋まで案内しろよな!」
香澄「うんっ! それじゃあ上がって上がって~!」
……………………
――香澄の部屋――
香澄「はい、それじゃあテキトーなとこに座ってね」
有咲「はいよ。あ、そうだ。これお土産」
香澄「お土産?」
有咲「2Lのスポーツドリンクと、風邪用の栄養剤だろ、それにこういう時にも食べやすいものをって思ってゼリーにプリンにヨーグルト各3個ずつ、それから薬用のど飴……お前のことだから苦いのはダメだと思ってフルーツ系のやつにしといたからな」
香澄「うわー、すっごい沢山買ってきたね!」
有咲「悪かったな。その、なんだ……お見舞いとかあんましたことねーからさ、どんなものをどれくらい買ってきゃいいか分かんなかったんだよ」
香澄「ううん、すっごい嬉しいよ! ありがとっ、有咲っ!」
有咲「まぁお前が喜んでくれたなら……私も嬉しいけどさ」
香澄「えへへ~有咲有咲っ」
有咲「なんだよ」
香澄「私、このプリンが食べたいな~!」
有咲「……食えばいいだろ」
香澄「あーでもなー、風邪ひいてて体が重くてだるいな~。あー食べたいのにな~。チラっ」
有咲「…………」
香澄「こういう時ってやっぱり近くにいる人にー、食べるの手伝って貰いたいな~。チラチラっ」
有咲「あーもう分かったよ! 食べさせてやるからそうやって可愛くおねだりしてくんな!」
香澄「わーいやったー!」
有咲「ったく、しょうがねえなぁ」
香澄「と言いつつも何だか嬉しそうな有咲だった……」
有咲「うるせー! 実況すんな! 食べさせねーぞ!」
香澄「あーごめんごめん有咲ぁ~」
有咲「まったく……この焼きプリンでいいか?」
香澄「うん、それでお願いっ」
有咲「はいよ。それじゃほら……あーん」
香澄「あーん♪ ……うん、おいしー!」
有咲「そりゃよかったな」
香澄「何だかいつもよりおいしーなー。有咲があーんってしてくれたからかな~?」
有咲「それで味が変わる訳ねーだろ」
香澄「えぇ? 変わるよ~」
有咲「変わるか」
香澄「じゃあ試してみる? はい、プリン貸して~」
有咲「え?」
香澄「はい、有咲もあーんして」
有咲「…………」
有咲(いやいや待てよお前常識的に考えろよ今のお前と私の状況考えろよ普通に考えれば分かることだろうよお前それいわゆる間接キスだろヤバいってマズいだろそれ香澄の口の中に入ったものが同じく私の口の中に入るってそれもうアウトだよ完全に)
香澄「あーん?」
有咲(やめろそうやって首傾げながら言うのは理性もたねーよミイラ取りがミイラだよ完全に香澄の中の風邪のウィルスが私の中に入ってくるけどそれはつまり香澄菌ってことだから私の抗体は無抵抗で受け入れるってことだし明日風邪ひくよ絶対これ罠だよなんで分かんねーんだよそれが)
香澄「あーん……」
有咲(あ、もう無理だ。香澄がちょっと寂しそうな顔してるわ。無理無理、抗えないって)
有咲「……あーん」
香澄「あーん♪ ……どう?」
有咲「……今までで食べたプリンの中で一番うまいかもな」
香澄「でしょ~!」
有咲「っつか、なんかお前元気だな……ホントに風邪ひいてんのか?」
香澄「朝はちょっと熱があったよ?」
有咲「今は?」
香澄「んー、喉がちょっとイガイガするけどだいたいいつも通りって感じ!」
有咲「ホントかよ……」
香澄「ホントだよ~。あ、じゃあこっちも試してみよっか」
有咲「はぁ? どうやっ――」コツン
香澄「んー、ほら、私のおでこ、そんな熱くないでしょ?」
有咲「……っ!!」
有咲(おでことおでこくっつけて熱計るってなんだよお前それありえねーだろそんなん00年代前半のゲームやアニメでしか見たことねーよバカじゃねーのマジで顔ちけーしここ香澄の部屋だしいつもよりすげー香澄のいい匂いするし若干汗が混じったような匂いだし顔ちけーしああ頭クラクラしてくるし私の顔すっげー熱いし絶対今熱あるの私の方だよこれ)
有咲「っ、っ……ま、まぁそうだな、むしろ私の方が体温高いっていうまであるかもな」
香澄「ねっ! だからさーすっごくヒマだったんだ~。本当に有咲が来てくれて良かった!」
有咲「そ、そっか……それならいいんだけどさ」
香澄「でも喉が調子悪いとあの時のこと、ちょっと思い出しちゃうな~」
有咲「あの時って……SPACEのオーディションの時か?」
香澄「そうそう! いや~大変だったね、あの時は」
有咲「まぁ……まさか香澄があそこまで追い込まれるっていうか……悩んでるなんて思わなかったな」
香澄「私もあんなにスランプに陥るなんて思わなかったよ~えへへ」
有咲「軽いなっ!?」
香澄「もう昔の話だもん、いつまでも引きずってられないっ!」
有咲「……お前ってホント……なんつーか強いよな」
香澄「え~そうかなぁ?」
有咲「私から見たらすげー強いわ……」
有咲(そんなところも好きだけど)
香澄「その強さはきっとみんながくれたんだよ! あの公園で、一緒に前へススメ歌ってくれたの、すっごく嬉しかったし!」
香澄「それに有咲も言ってくれたもんね! 私はいっつも周りを見ないで強引だけど、その強引さのおかげで頑張ってみようかなって思えたって!」
有咲「……まぁな。元気がない香澄なんて見てられなくてどうにかして助けてあげたくなるしそういう香澄も好きっちゃ好きだけどやっぱり私はいっつもみたいに強引に周りを巻き込んで突き進んでいく香澄が一番好きだしな」
香澄「有咲……」
有咲「……やべ、口に出てた」
香澄「ありがとー有咲っ!」
有咲「うわっ、だからいきなり抱き着いてくんなって!」
香澄「もー、またまたぁ、嬉しいくせに~」
有咲「そ、そりゃ嬉しいけど……」
香澄「えへへ~、素直な有咲も大好きーっ!」
有咲「は、はぁ!? 私はいつでも素直だって! その……好き、だし……香澄のこと」
香澄「ふふふー! 素直な有咲にはちゃーんとお礼をしなくちゃね!」
有咲「……お礼?」
香澄「そう、お礼!」
有咲「お礼ってなに……をっ!?」ドサッ
有咲(え? ベッドに押し倒された……!?)
香澄「えっへっへ~」
有咲「ちょ、待て香澄、目がなんか怖いぞ……?」
香澄「有咲は強引なのが好きなんだよね?」
有咲「そ、それは言葉の綾だろ!? 意味が違うだろ!?」
香澄「またまたぁ~。いいからいいから……」
有咲「いや良くねーって! 確実に良くねーってこれ! ちょっ、待っ……ちょま、ちょまま……あっ――」
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――――
……
――翌日 花咲川女子学園1-B――
香澄「おっはよー!」
りみ「あ、おはよう香澄ちゃん」
たえ「おはよう、香澄」
沙綾「おはよう。もう風邪は治ったの?」
香澄「うんっ! 有咲がお見舞いに来てくれてね、そのおかげですぐ元気になったんだ!」
沙綾「そっかそっか。ならよかった」
香澄「まさか午前中に来るとは思わなかったけどね!」
りみ「え、午前中って……」
香澄「そーだ、有咲にもちゃーんとお礼を言ってこないと! ちょっと有咲のクラスにいってくるねっ!」
たえ「行ってらっしゃい」
沙綾「……昨日、あのあとすぐにお見舞い行ったんだね、有咲」
りみ「みたいだね……」
沙綾「香澄のことになると本当に行動力ハンパないね、有咲って」
たえ「それだけ香澄のことが好きなんだよ。美しい友情だ」
りみ「友情……なのかな……アレ……」
沙綾「うーん……」
たえ「あ、香澄帰ってきた」
香澄「ただいまー……」
りみ「どうしたの、香澄ちゃん。元気がないけど……」
香澄「うん……有咲、今日風邪でお休みだって」
沙綾「え、そうなの?」
香澄「クラスにいなくてメッセージ送ったら風邪ひいたって……」
たえ「香澄の風邪、うつっちゃったのかな」
香澄「やっぱりそうなのかな……うう、ごめんね有咲ぁ……」
りみ(昨日風邪がうつるようなことはやらないって有咲ちゃん言ってたけど……まさか……)
たえ「りみもちょっと顔赤くなってない?」
りみ「えっ!?」
沙綾「大丈夫? 熱とかない?」
りみ「だ、大丈夫だよ、おたえちゃん、沙綾ちゃん……」
香澄「よーし、こうなったら今度は私が有咲のお見舞いをする番だねっ!」
たえ「授業サボって行くの?」
香澄「ううん、私は有咲みたいに成績優秀じゃないから放課後!」
沙綾「ま、普通そうだよね」
りみ「香澄ちゃん、有咲ちゃんにお大事にって伝えておいてね」
香澄「オッケー! 待っててね、有咲ー!!」
――その頃 市ヶ谷家――
有咲「うう……めっちゃ寒気するし頭が痛ぇ……」
有咲「やっぱり香澄菌には……勝てなかったよ……ゴホッ、ゴホッ」
おわり
なんかごめんなさい。
「(風邪を)やん(だ香澄に)でれ(でれな)有咲」だからタイトル詐欺ではないというのが自分の見解ですすみませんでした。
百合に対する理解をもっと深めたいのでどなたかバンドリ百合SSを書いて頂けないでしょうか。
具体的には『どっちの方が花音と仲良しか小学生みたいに張り合う千聖さんと美咲ちゃん、だけど肝心のかのちゃん先輩の前ではすかした態度を取る二人』とか『リサ姉に友達付き合いについての相談をしに行ったら具体例に友希那さんとのエピソードばかりを語られて「そっか友達付き合いってそういうものなんだ」と英才教育される有咲』とか読みたいですよろしくお願いします。
HTML化依頼出してきます。
イッチが書いたらええんやで
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