モバP「橘ありすの表と裏」 (33)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
橘ありすちゃんをメインで書いてみました。
キャラ崩壊・独自解釈・コテコテのテンプレ展開が多分に含まれます。
粗が目立つと思いますが、お付き合いくだされば幸いです。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1517501470


モパP(以降P)「ありすー、次の仕事の打ち合わせするぞー」

ありす「橘です。何回言えば分かるんですか!」

P「あぁすまんすまん。ほら、こっちの部屋でやるから、な?」

ありす「もう……!」スタスタ


バタン


卯月「ありすちゃん、事務所に来てからもう半年以上経つのにまだプロデューサーさんにはツンツンしてますね……」

ちひろ「そうねえ……他のみんなと話す時はあんな感じじゃないのに……」

心「プロデューサーがなんかしたんじゃね☆セクハラとか☆」

菜々「はぁとちゃん!さすがにそれは言い過ぎです!」

心「めんごめんご☆さすがにそこまでデリカシーないヤツじゃないよな☆」

ちひろ「プロデューサーが嫌いなわけじゃないとは思うんだけど、それにしてもツンツンしすぎよねえ……」

智絵里「ありすちゃん……プロデューサーさんとも仲良くして欲しいなあ……」

凛「ふーん。まあ、私とプロデューサーの邪魔にならないなら別に……」クンカクンカ

卯月「あ~!また凛ちゃんがプロデューサーさんの上着を!」

美嘉「凛!次私だからね!」

ちひろ「……仲が良すぎるのも考えものだけどね……」

菜々「……なんだかひと波乱ありそうですね……」


―――


ありす「ごめんなさいごめんなさい本気で言ってるわけじゃないんですごめんなさい嫌いにならないで」ギュー

P「はいはいわかってるわかってる。気恥ずかしいだけだもんな」ナデナデ

ありす「ごめんなさい…他の人がいると思ってもないことを言ってしまって……」グスッ

P「大丈夫だよ。ちゃんと分かってるから、な?気にすんな」ポンポン

ありす「Pさんっ……!ありがとうございますっ」ギュー

P「よしよし」ナデナデ

P(最初はそれこそさっきみたいなツンツン状態だったけど、いつからか2人の時だけべったりになってしまった)

P(きっかけはあの一連の出来事だったんだろうか……)


――

―――― 

――――――


P『ありす、初めての撮影だけど緊張してないか?』

ありす『信号青ですよ!はあ……。いい加減「橘」って呼んでくれませんか?』

P『そんなに嫌なのか……ありすって名前、可愛くて素敵だと思うんだけどなあ……』

ありす『子供っぽくて嫌なんです!……まあ、緊張してないと言えば嘘になりますけど、アイドルをやると決めたからにはきちんとこなしてみせます』

P『さすが、頼もしいな。期待してるぞ』


―――


P『おはようございます!今日はよろしくお願いします!ほら、ありす』

ありす『あ、あの、橘です。よろしくお願いします』

カメラマン『キミが橘ちゃんか~!可愛いねえ!今日はよろしく!』

ありす『は、はい。お願いします』

スタッフ『橘さ~ん!こちらでーす!』

ありす『……はい』タッ

P『ありす、頑張れよ!』

ありす『……』タッタッタッ

カメラマン『橘ちゃん、ちょ~っと緊張してるかな~?Pちゃん、大丈夫そう?』

P『大丈夫だと思いますよ。なにせ僕よりしっかりしてますから!』

カメラマン『アハハッ!そりゃあ良いね!じゃあこっちも気を引き締めないとね!』

P『はい!よろしくお願いします!』


スタッフ『準備出来ましたー!撮影入りまーす!』


―――


パシャッパシャッ


カメラマン『橘ちゃん、もうちょっと口角上げられないかなあ?』

ありす『こ、こうですか?』

カメラマン『そうそう、あともうちょっと表情筋柔らかくしてみよ~』

ありす『は、はい』

カメラマン『ん~……』

P(表情が硬い……流石にいきなりスムーズにはいかないよな……)


パシャッ


カメラマン『……よし!橘ちゃん、喉乾いたでしょ?ちょっと休憩しよう!』

ありす『え、でも……』

カメラマン『いいからいいから!オレも喉乾いちゃったんだよね~』スタスタ

スタッフ『休憩入りまーす!』

P『……』

カメラマン(Pちゃん、頼むね)コソコソ

P(はい)コソコソ

カメラマン『ありすちゃんもちゃんと休憩するんだよ~』スタスタ

ありす『……プロデューサー』トボトボ

P『ありす、いちごオレ冷やしてあるから控室で飲んで休憩しよう。な?』

ありす「……はい」シュン

P(ありすと呼んでも怒らない……こりゃあそうとう参ってるな……)


―――


ありす『ごめんなさい、プロデューサー……』

P『ん?どうして謝るんだ?はい、いちごオレ』

ありす『ありがとうございます……カメラマンさんは喉が渇いたからって言ってましたけど、本当は私がちゃんと指示に応えられなかったから、ですよね……?』

P『……』

ありす『あれだけ偉そうなことを言ったのに、いざ本番になると頭が真っ白になって……顔も強張っちゃって……それで―』

P『ありす』ポンポン

ありす『ひゃっ!?』

P『初めてなんだから当然だよ。それに、緊張なんて誰にでもあることだ。こんな適当な俺にだってもちろんある』ナデナデ

ありす『プロデューサーも……?』

P『ああ。一番最初の営業の時にな?緊張で手がブルブル震えて貰った名刺を落っことしちゃったんだ』

P『それでな、慌てて拾おうとかがんだら、同じように拾ってくれようとした相手の社長さんと頭をゴチーン!』

P『相手の社長さんは笑って許してくれたけど、事務所に帰ってきてから一緒に営業行った先輩に大目玉食らったよ……』

ありす『ふふっ…』クスクス

P『緊張することは誰にでもある。失敗だって誰にでもある。問題はそれを次にどう活かしてくかだと思う』

ありす『でも……私、どうしたらちゃんと出来るのかが分からなくて……』

P『ありす。ただ良く写ろうとするんじゃなくて、どんな自分をみんなに見てもらいたいかを考えて写ってみたらどうかな?』

ありす『どんな自分を見てもらいたいか……?』

P『うん。撮った写真を見て橘ありすと言う人間をどんな風に感じてもらいたいか。可愛いと感じて欲しいのか、綺麗と感じて欲しいのか、それとも、大人びてると感じて欲しいのか』

ありす『……』

P『漠然と良く写ろうとしてもどうしたらいいか分かんなくなるのは当然さ。まずはありすがどう写りたいのか。それが決まれば、カメラマンさんも適切なアドバイスをくれたり、綺麗に撮ってくれたりするはずだよ』

ありす『どんな私を見てほしいか……』

P『それと、次撮る時は俺の方を見てごらん。カメラマンさんの後ろにいるから』

ありす『プロデューサーを?』

P『おう!』ニカッ

スタッフ『撮影再開しまーす!』

P『よし!ありす、力を抜いてリラックスだ!それから、「どう写りたいか」だぞ?』

ありす『……はい!あと橘ですっ』

―――


カメラマン『よーし橘ちゃん、改めて最高の一枚よろしく!』

ありす『は、はいっ!(見てもらいたい私……大人っぽく……!)』

カメラマン『よーし、さっきよりいい感じ!何枚かいってみようか~』

パシャッパシャッ

P(よし、今だ!)ヘンガオ

ありす『!!ふふっ……』

カメラマン『おっ、いいねえ自然な笑顔!いただき!』パシャッ

ありす『あっ…』

カメラマン(これは決まり、かな?)メクバセ

P(……ええ!)コクリ

カメラマン『はーいお疲れ~!いやあ休憩挟んだだけですぐ出来ちゃうなんて、橘ちゃんは大物になる素質があるね~!』

ありす『え、ええと……あ、ありがとうございました……?』

カメラマン『どの写真かはほぼ決定だろうけど、一応撮ったデータをすぐに事務所さんに送っとくから選んどいてね~』

P『ありがとうございました!またウチの娘たちがお世話になると思いますが、その時はお願いしますね!』

カメラマン『Pちゃんとこの娘なら大歓迎!可愛い娘いっぱい連れてきてくれてオレも撮り甲斐があるよ!じゃあまたね~!』スタスタ

P『お疲れ、ありす!』

ありす『橘です!あの……プロデューサーを見て笑ったら撮影終わっちゃったんですけど……?あれでよかったんでしょうか……?』

P(混乱してるな……よし有耶無耶にしよう!)

P『いやあ、凛とした佇まいからの自然にこぼれた笑み!綺麗だったぞ!』

ありす『は、はあ……?』

P『緊張して疲れたろ?荷物まとめて事務所に戻ろう!車回してくるなー!』タッタッタッ

ありす『え!?ちょっとプロデューサー!……もう……』


―――

―――


P『よし着いた―!事務所戻って写真のデータ見るか!』バタン

ありす『……』バタン

P『車置いてくるから、先に事務所戻っててくれ!』

ありす『あ、あの…』

P『ん?どうした―』

女性『キャー!!』

ブゥーン キキィー!!

ありす『え!?あっ、あぁっ……!』

P『!?ありすっ!!』ガバッ

ガシャーン

車が暴走したのか!?

電信柱にぶつかって止まったぞー!!

けが人はいないかー!!

P『ハアハア……ありす!ありす!大丈夫か!?』

ありす『うっ…う~ん……』

P『怪我は無いが、気を失ってる……怖かったよな……』ギュウ

おっちゃん『おい兄ちゃん!大丈夫か!?』

P『ええ、大丈夫です……』

おっちゃん『嬢ちゃんも怪我はなさそうだな……俺は警察と救急車を呼んでくる!兄ちゃんは?』

P『僕は一度この子を上の事務所に連れていきます。怪我は無いですが、軽く気を失ってるので……』

おっちゃん『わかった!落ち着いたら実況見分手伝ってくれよ!』タッタッタッ


―――


ガチャリ


P『戻りました……』

ちひろ『おかえりなさ…!?どうしたんですか!?スーツが傷と埃だらけじゃないですか!?あ、もしかしてさっきの大きな音って…』

P『ええ、居眠りか飲酒かわかりませんが、車が突っ込んできて……』

ちひろ『ええ!?お怪我は!?ありすちゃん!大丈夫!?』

ありす『……う~ん……』

P『怪我はありませんが、ショックで軽く気を失ってます。仮眠室空いてますか?』

ちひろ『え、ええ!大丈夫です!他の子たちは出払ってますから』

P『わかりました。仮眠室に寝かせてきます。』


―――


ガチャ

P(とりあえずベッドに寝かせよう……)

P(一応ぶつかる軌道じゃなかったけど、相当怖かったはずだ……)

ありす『……う~ん、プロデューサー……?』パチ

P『ありす!気がついたか!』

ありす『あっ……わたし……車に……!あぁっ……!』ガクガク

P『大丈夫……大丈夫だよ』ギュウ

ありす『あっ……』

P『怖かったなっ……もう大丈夫だ……』ギュウウ

ありす『はあっ……はあっ……ふぅー……』

ありす『ちょっと落ち着きました……あっ!プロデューサーは怪我してないですか……?』

P『大丈夫!この通り!な?』

ありす『……ふふっ、スーツが傷と埃だらけじゃないですか……』

P『こんなもの、ありすの命に比べれば安いもんだ!』

ありす『……プロデューサーが助けてくれたんですね、ありがとうございますっ……』

P『当たり前だろ?俺はありすのプロデューサーなんだから』ナデナデ

ありす『プロデューサー……』

P『写真のチェックはいいから今日はもう帰ろう、な?とりあえず親御さんに連絡してくるから』スクッ

ありす『あの!今日は二人とも帰りが遅くてっ……!』

P『でも、さすがに連絡しないと……』

ありす『プロデューサー、一緒にいてください……』グス

P『ありす……』

ありす『まだちょっと怖くて……一人にしないでくださいっ……』グスグス

P『分かったよ。でも親御さんにはちひろさんから連絡してもらうからな?』

ありす『……分かりました……』グス

P『ちひろさーん!ありすの親御さんに緊急事態で迎えに来て欲しいって連絡入れてもらえますかー!?』

ハーイ!

P『これでよし。親御さんが来るまでは一緒にいるよ。隣、座るな?』

ありす『……っ!』ギュウウ

P『よしよし……もう大丈夫、怖くない怖くない』ナデナデ


――――――

――――

――


P(あれから念のためにアフターケアでカウンセリングとかも受けさせたけど、フラッシュバックとかはなかった)

P(車も今まで通り乗れるし、ホント、無事で良かった……)

ありす「…さん!Pさん!」

P「おおっと、どうした?ありす」

ありす「どうしたじゃないですよ!私の話、ちゃんと聞いてました?」ズイ

P「おう……ごめんごめん、ちょっと考え事してて……」

ありす「もう……せっかく二人きりなんですから私のことをちゃんと見ててください!」フンス

P(やっぱあの出来事が俺にべったりになってしまったきっかけ……なんだろうなあ)

P(俺も甘いのかもしれないけど、あんなことがあった後だとどうしてもなあ……)

コンコン

卯月『プロデューサーさーん!今日は私達のレッスン見てくれるんですよねー?もうすぐ時間ですよー!』

P「もうそんな時間か!打ち合わせは終わったから先に行っててくれ!俺もすぐ行く」

卯月『わかりましたー!』

P「ありす」

ありす「なんですか?」

P「ありすも聞いたろ?この後卯月たちのレッスンを見る約束があるんだ。打ち合わせも終わったし、事務所でゆっくりしててくれ」

ありす「むぅ~……しょうがないですね……Pさんの仕事が終わるまで事務所で待ってます」

P「いや、今日はありすは打ち合わせだけなんだし、休憩したら俺を待たずに早めに帰ったほうが……」

ありす「待・ち・ま・す!!親も遅くなるでしょうから、Pさんと帰ります!!」ガタッ

P「アッハイ」

ありす「ちゃんと事務所に戻ってきてくださいね!」ガチャ

バタン!

P「どうしたもんかなあ……」


――

――――

――――――


文香「ありすちゃん、紅茶です。お砂糖もお好みでどうぞ」コトッ

ありす「文香さん、ありがとうございます。頂きます」ズズ

文香「ありすちゃんは、プロデューサーさんがお嫌いですか……?」

ありす「え!?いえ、そういうわけじゃないんです!ただ子供扱いが嫌なだけで……」

文香「プロデューサーさんはきっと、ありすちゃんを子供扱いはしていませんよ?」

ありす「……」

ガチャ

P「いやあすまんすまん。おばあちゃんを道案内してたらちょっと遅くなっちまった……」

ありす「プロデューサー、おかえりなさい」

文香「おかえりなさいプロデューサーさん。すみません、少しお手洗いに行ってきます」

P「はいよ。文香が戻ったら2人の新しいユニットの打ち合わせ始めようか!」

文香「はい。では」ガチャ

バタン

ありす「Pさん……」

P「ん?どうしたありす」

ありす「私、事務所のみんなにPさんのことが嫌いだと思われてるみたいです……」

P「ふ~む……俺としては仕事に支障がなければそれでいいんだけど、さすがに変な噂が立つのは困るんだよなあ……」

ありす「噂……?」

P「そう。今もちょっと流れてるらしくて、ありすが俺にセクハラされた説とか、俺が実はドMで喜んでる説とか」

ありす「えぇ……」

P「前者はともかく、凛が後者を真に受けてムチとか持って来た時は流石に怒ったな……ハハハ」

ありす「凛さんたちはPさんにベタベタしすぎです!Pさんも甘いです!はっきり言わないと駄目です!」

――

凛「ックシュン!誰かが私の噂してる……?まあいいや、プロデューサーの上着は……あった!」クンカクンカ

――

P「凛だって、場所はわきまえてる……と思うからさ。さっきも言ったけど仕事に支障が出なければいいと思うんだ」

P(事務所帰ってきた途端に美嘉と一緒に上着かっさらってくのは勘弁してほしいけど)

ありす「そういうことじゃなくて~……!うぅ~!」

P「どうどう」ナデナデ

ありす「はぅ……も、もっとしてください。あとぎゅってしてください」

P「はいはい」ギュー ナデナデ

ありす「えへへ…」

ガチャ

ありす「!?」サッ

文香「すみません、戻りました……ありすちゃん?どうかしたんですか?」

ありす「い、いえ、なんでもありません……!」

文香「?」キョトン

P「……よし!じゃあ打ち合わせ始めようか!」


――――――

――――

――


ありす「お母さん。お風呂上がりました」

ハーイ


ガチャ

ボフッ


ありす「はあ……なんでいつも素直になれないんだろ……」ゴロン

ありす(タブレットで調べてみたら出てくるかな)スッスッ

ありす「ツン……デレ……?」

タブレット『他の人がいる時はそっけなくても、二人の時だけ素直になる女の子に男子はメロメロ!』

ありす「メロメロ……Pさんも私にメロメロ……なのかな……?」

ありす(意外と有効だったりするのかな?他の人もPさんに好意を持ってるけど、みんなベタベタしてるから)

――

凛『あんたが私のプロデューサー?ふーん、まあ悪くないかな』クンカクンカ

美嘉『カリスマギャルのハグ~★』クンスカクンスカ

卯月『卯月、今日もプロデューサーさんのために頑張りました!』エヘー

智絵里『プロデューサーさん……見捨てないでくださいね……』ウワメヅカイ

心『いやぁ~ん☆とってもスウィーティー☆』

――

ありす(最後のは……多分違う)

ありす「とにかく、Pさんも気にしてないって言ってたし、急ぐ必要はない……のかも……」ウトウト

ありす「でも……二人きりになれることも少なくなってきたから……ちょっと……寂しい……な……」ウトウト

ありす「Zzz……」


――――


ガチャ

ありす「おはようございます」

ちひろ「おはよう、ありすちゃん」

心「ありすちゃん、おっつスウィーティー☆」

菜々「ありすちゃん、おはようございまーす!」

卯月「おはよう、ありすちゃん!」

凛「おはよう、ありす」

美嘉「おはよう、ありすちゃん★」

智絵里「ありすちゃん、おはようございますっ」

ありす「あの、プロデューサーさんは……?」

ちひろ「あ~……プロデューサーさん、ありすちゃんに伝えるの忘れたのね……もう」

ありす「……え?」

心「今度のツアーライブあるでしょ?それぞれの会場確認と挨拶回り☆」

卯月「一気に複数回るみたいで、2、3日は帰ってこれないみたいですね……」

ありす「え?どうして急に……?」

凛「ホントは他の人が行く予定だったんだけど、急病で行けなくなったんだって」

智絵里「それで、しばらくみんなもレッスンだけだからってプロデューサーさんが……」

ありす「……そう、ですか……」

ちひろ「ありすちゃん、今日はレッスンだけよね?」

ありす「はい。自分のスケジュールはちゃんと把握してますから」

ちひろ「さすがありすちゃん。プロデューサーさんがいなくても問題なさそうね」

ありす(Pさんが、いなくても……?)ズキン

凛「まったくもう。プロデューサー、せめて脱ぎたての上着ぐらい置いてってくれればいいのに」クンカクンカ

美嘉「凛、なにそれ?」

凛「プロデューサーのロッカーにあった替えのYシャツ」クンカクンカ

美嘉「ちょっとー!それは反則でしょ―!アタシだって我慢してるのに―!」

凛「これは渡さないよ」タタタッ

美嘉「待てー!アタシにも貸しなさーい!」タタタッ

卯月「凛ちゃん、美嘉ちゃん!待ってー!」タタタッ

菜々「あ、あはは……」

ありす(……Pさんがいない……?)ズキズキ


――――


ルキトレ「はい!今日はここまで!汗を流して、ゆっくり体を休めてくださいね」

アイドル達「「「ありがとうございました!」」」

疲れたー 今日カフェ寄って帰ろうよー あ、いいねー!

ありす(Pさん……)

文香「ありすちゃん、お疲れ様。隣、いいですか……?」

ありす「あ、文香さん!どうぞ」

文香「ありすちゃん、なんだか調子がよくないみたいですね」

ありす「そんなことはっ!ない……と、思うんですけど……」

文香「何か悩み事なら、相談に乗りますよ……?」

ありす「いえ!わざわざ話すようなことではないので……!」

文香「だったらいいんですが……ホントに困ったらプロデューサーさんに相談しては?まあ、今はいませんが……」

ありす「プロデューサーに……?」

文香「私も、自分の方向性に悩んでいた時にプロデューサーさんに相談に乗ってもらいましたから……」

ありす「文香さんも……ですか……」

文香「プロデューサーさんは普段は飄々としていますが、困ったときは親身になって助けてくれますよ……?」

ありす(親身になって……そうだ、Pさんは撮影でガチガチだった私をほぐしてくれて……)

ありす(轢かれそうになった私を、命がけで助けてくれた……)

文香「ありすちゃん……?」

ありす「!あ、すみません……あの、アドバイスありがとうございました。私はこれで、失礼します」スクッ

文香「はい。気を付けてね……」

ありす(Pさんに相談……電話すれば……!)スタスタ


文香「ありすちゃん、大丈夫でしょうか……?」


――――


ありす(Pさんに電話……番号は知ってたけど、今まで一回もしたことなかったから緊張する……)

ありす「20時か……これぐらいの時間なら、迷惑にならないかな……?」

ありす(メールにしようかな……ううん、私は相談がしたいわけじゃない……Pさんの声が聞きたい……)

『プルルルルル』

ありす(Pさん……)

『プルルルルル』

ありす「出ない……」

『ガチャッ』

ありす「!!あのっ……」

『只今電話に出ることが出来ません。御用の方はピーッという発信音の――』

ありす(……やっぱり忙しいのかな……?)プツッ

コンコン

ありす「はーい」

ありす母「ありすー、明日も学校とレッスンでしょう?早く寝るのよ?」

ありす「はーい……」

ありす(明日は出てくれる……よね?)


――――


凛「あ゛あ゛あ゛あ゛~」グデーン

ありす「凛さん……なんて声出してるんですか!」

凛「……だって、プロデューサー分が足りなくて……」

ありす「まだ2日じゃないですか!」

凛「『もう2日』だよ!……ああ、プロデューサーの匂いが恋しい……」

ありす「匂いですか……そういえば、昨日のYシャツはどうしたんですか?」

凛「ああアレ?昨日あの後美嘉と卯月と揉みくちゃになって、ただでさえ薄かった匂いが女子の香りに……」グスン

美嘉「だーかーらー!ゴメンって言ってるじゃん!アタシだってプロデューサー分補給できないから辛いの―!」

卯月「私は平気ですっ!」エヘッ

ちひろ「はあ……今までプロデューサーさんがこんなに留守にしたことって無かったものね」

智絵里「プロデューサーさん、もう帰って来なかったり……しないですよね……?」ウルウル

アイドルたち「「「!?」」」

ちひろ「まさか!そんなことあるわけないですよ。プロデューサーさん、あなたたちのことしか頭にないですから」クスクス

凛「私たちのことだけ……?」

ちひろ「そうですよ~。事務所に戻ってくるなりありすが~、凛が~、美嘉が~ってうるさいんだから!」クスッ

アイドルたち「「「!!」」」キュン

ガタタッ

凛「もう我慢できない!愛しのプロデューサーのとこに行かなきゃ!ちひろさん、プロデューサーは今何処にいるの!?」ズイッ

ちひろ「えっ!?えっ!?」

美嘉「そうだよ!今日はレッスンだけなんだし、プロデューサーに会いに行ってもいいでしょ!?」ズズイッ

ちひろ「でっ、でも……!」アセアセ

凛・美嘉「「何処!?」」ズズズイッ

ちひろ「あ、あの……北海道です……」

凛・美嘉「「」」

智絵里「北海道は……さすがに今からは……」

卯月「北海道ですかっ!いいですね~!札幌の美味しいスープカレーとか食べてみたいですっ!」

ありす「はあ……」

ちひろ「ま、まあ明日の昼頃には帰ってきますから!それまで頑張って!ね?」


凛「明日までもつかな~……」グデー

美嘉「せめて声ぐらい聞きたいけど、プライベートの番号教えてくれないし……仕事に関係ないメールはそっけないし……」グデー

ありす(えっ……?)

ちひろ「当たり前です!特に凛ちゃんと美嘉ちゃんに番号を教えたら、プロデューサーさんの仕事に支障が出ますから!」

ありす(もしかして、番号を知ってるのは……)

ちひろ「スケジュールや仕事の変更は私から連絡しますし、緊急時でも個人個人で直接連絡を取るより、常に事務所にいる私が連絡を受ける方が色々とスムーズですから」

ちひろ「仕事用の携帯もありますけど、アイドルからは基本緊急時用で、私用でかけたらダメですからね」

凛「……前、仕事用の携帯にかけたらすごく怒られて、『もう上着貸さないぞ!』って言われたんだよね」ズーン

美嘉「同じく……『何かあったんじゃないかって心配になるからやめてくれ!』って……」ズーン

ありす(Pさん……私だけに教えてくれたんだ……)

ありす(あっ!そう言えば……!)



P『これ、俺のプライベートの番号な。何か困ったら連絡してくれ。他の皆には絶対に内緒だぞ?』ニコッ



ありす「プロデューサー……」

美嘉「お、なになに?ありすちゃんも流石にプロデューサーが恋しいのかなあ~?」

ありす「なっ!そ、そんなわけないです!むしろせいせいしますっ!」

美嘉「本当かな~?寂しくなったら美嘉お姉ちゃんがいるからねえ~……ふひひ★」

ありす「いえ、謹んでお断りします」

美嘉「」

卯月「わあ!美嘉ちゃんが真っ白です!」

凛「当然の報いだね」

ありす「……もうっ……」

ありす(Pさん……会いたいな……寂しい……)


――――


ありす「……明日帰ってくるって言ってたけど……」

ありす(やっぱり寂しい……せめて声が聞きたい……)

『プルルルルル』

ありす(お願い……!出て……!)

『プルルルルル』

『ガチャッ』

P『おう!ありすか!どうしたー?』

ありす「!!Pさん!あっあのっ私っ……!」

P『うん?緊急の連絡か?』

ありす「い、いえ!そういうわけじゃなくて……あの……」

P『そうか!すまん今ちょっと立て込んでてな!明日の昼頃には事務所に戻るから!じゃあな!』

ありす「あっあのっ待ってっ!」

『ツーツーツー』

ありす「…………」

ありす(Pさん……声は聞けたけど……お話、全然できなかった……)ポロ

ありす(Pさん……Pさん……)グスッ

ありす「私……こんなに弱くてワガママな子だったんだ……」グス

ありす(Pさん……)グスグス


――――


凛・美嘉「「あ゛あ゛あ゛あ゛~」」グデーン

ありす「……」

菜々「あの……凛ちゃんと美嘉ちゃんがアイドルらしからぬ声を……」

ちひろ「あ、気にしなくて大丈夫ですよ。プロデューサーさんに会えなくて寂しがってるだけですから」

心「会えない日々が乙女心をシゲキ……☆やぁんスウィーティー☆」

文香「たかが3日、されど3日ってことでしょうか……?」

凛「私からしたら永遠にも思える長さだよ……」グデー

美嘉「これ以上はムリ……プロデューサー……早く帰ってきて……」グデー

卯月「もうすぐプロデューサーさん帰って来ますから!凛ちゃん美嘉ちゃんしっかりしてくださ~い」アワアワ

智絵里「そういえば、今日は珍しく全員集まってるんですね……?」


ちひろ「……はあ。ここ数日の様子も見てるし、プロデューサーさんがいない時に話すのは本当に気が重いけど……」

アイドル達「「「?」」」

ちひろ「部長から早めに伝えておけって釘を刺されちゃったし……よし!」

ちひろ「みんな聞いて!もうすぐ新人さんが入社するの!それでね……」

凛「え……なんか嫌な予感がする……!」

美嘉「ヤダヤダ!聞きたくない聞きたくない!!」

智絵里「ま、まさか……!」

ありす(……え?)

ちひろ「まだ完全に決定したわけじゃないけど、担当プロデューサーが変わる「「「えぇ!?」」」かもって、あの……」

凛「私は絶対イヤ!担当がプロデューサーじゃないならアイドルやめるから!」

美嘉「アタシだって!プロデューサーが変わるなんて耐えられない!」

智絵里「プロデューサーさん、私のことを見捨てたんですか……?」ポロポロ

心「……まあよくあることだよね☆プロデューサー、結構激務っぽかったし☆」

菜々「……新しい人、ですか……」

卯月「私は皆と一緒がいいですっ……」

ありす「……」

ありす(プロデューサーが、変わる……?)ウル

文香「ありすちゃん……?」

ありす(プロデューサーがいなくなる……?私を置いて……?)ウルウル


ギャーギャーワーワー


ちひろ「ちょっみんな落ち着いて!変わるかもってだけで変わるって決まったわけじゃ……!」


ガチャ


P「只今戻りましたー!お、みんな勢揃いだな!」

アイドルたち「「「!!プロデューサー(さん)!?」」」

ダッ

ありす「Pさぁんっ!」ダキッ

P「うおっと!あ、ありす!?」ハシッ

ありす「やぁっ!いやぁ!Pさん、私を置いてかないでっ!一緒にっ!一緒にいてください……!」グスグス

ありす「うぅ~っぐすっひっく、うぅ~」ポロポロ

アイドルたち「「「え?」」」ポカーン

文香「ありすちゃん……」

P「これは……どういうことだ?」


――――――

――――

――


P「あ~新人くんの件ですか!それなら、俺のとこの娘たちは俺が全員面倒見ますからってさっき部長に言ってきましたよ」

ちひろ「まあそうだろうとは思いましたけど……よかったです……」ホッ

P「こんな個性的な娘たちを一人でも新人君に任せたら、新人君がかわいそうですからね!」ケラケラ

凛「笑い事じゃないよ!ホントにびっくりしたんだから!」クンカクンカ

美嘉「そーだそーだ!」クンスカ

心「そーだそーだ☆」

P「静かに、佐藤」

心「~!!」バシッバシッ

P「痛い!」

卯月「私はプロデューサーさんを信じてました!」

智絵里「見捨てないでくれるんですね……よかった……」ホッ

菜々「よかったです……」


―――


文香「それにしても……」

ありす「……」ギュー

凛「こっちもビックリだね……」

美嘉「だね……」

文香「これは嫌っているどころか……」

心「もはやラブ☆」

凛「そんな素振り全然なかったのに……」

美嘉「アタシたちの前ではツンツンしてたからね……」

ありす「……」グス ギュー

P「よしよし」ナデナデ


ちひろ「プロデューサーさん、これってもしかしてあの件で……?」

P「たぶんそうだと思います……」

凛「あの件って?」

美嘉「もしかして、暴走車の話?」

智絵里「でも、けが人はいなかったって聞いてましたけど……」

P「ありすの初めての撮影の日の帰りだったんだ。確かにけが人はいなかったんだが、ありすの方に車が向かって来てて……」

ちひろ「プロデューサーさんが間一髪でありすちゃんを抱きかかえて無事だったの……」

菜々「そうだったんですか……」

心「プロデューサーやるじゃん☆」

P「精神的な後遺症はなかったんだが、二人きりの時だけこの通り甘えるようになってな……」ナデナデ

ありす「……」ギュー


卯月「数日甘えられずに寂しさが募ってたところに、プロデューサーが変わるかもって話で……」

心「大爆発っ☆」

凛「ってことだね。私も抱きつきたかったけど……」

美嘉「インパクトが強すぎてなんか吹っ飛んじゃった……」

P「そうだったのか……心配かけてごめんなありす」ナデナデ

ありす「イヤです。許しません」ギュー

P「困ったなあ……どうしたら許してくれる?」ナデリ

ありす「たまにこうやって甘えさせてください……!それと……」

P「それと……?」

ありす「Pさん、あと4年、待てますか?」ジッ

P「4年……?どういうことだ?」

ありす「いいから待てるか答えてください!」

P「ん~?」

美嘉「4年……?ってえ!いくらありすちゃんでもそれは見逃せないよ!」

凛「ハッ!?4年ってそういうこと!?それはダメ!」

P「?どういうことだ?」

ありす「はあ……バレたからには仕方ありません。私にはプロデューサーが必要なんです。誰にも渡しません」ギュウ

凛・美嘉「「ぐぬぬ……!」」ワナワナ

P「ちょっ!何だか分からないけど、とりあえず落ち着けって!」

凛・美嘉・ありす「「「プロデューサー(Pさん)は黙ってて(ください)!!」」」

P「」


心「思わぬライバル登場☆ってやつ?」

菜々「若いって、良いですね~……」

卯月「?ナナちゃんは私と同い年ですよね?」

菜々「そ、そうですよ~!ナナは永遠の17歳ですっ!キャハッ」

智絵里「?」

ちひろ「……はあ、やれやれ……」

文香「でも、ありすちゃんがプロデューサーさんを嫌いじゃなくてよかったです……」

ちひろ「それはそうなんですけど……まあ、なるようにしかなりませんよね」

菜々「……これからもひと波乱ありそうですね……」


おわり

おつおつ

まだまだ反省点が多いですね……
あと凛Pと美嘉Pの方すみません……
今度はちゃんとした形で出せたらなと思います
HTML化依頼出してきます!









あまあまありすもよいものじゃ

ありすが可愛かったのでとても良いと思いました。

凛はいつも通りとして、このカリスマだった何か焼却していい?

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