ガヴリール「世の中の事は大抵それっぽく喋ってたら大体許されると思うんだよ」 (12)

田中、上野時空のSSだと思って読んでくれれば恐らく大丈夫なはず
ただしこのSSに上野、田中は出てこないので悪しからず


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なんだかんだで
こうしてサターニャとガヴリールの長年に渡る因縁の争いは遂に幕を閉じたのであった。

ゴゴゴ……

ガヴリール「サターニャ…いや胡桃沢・サタニキア・マクドウェル……
戦いが終わって考えてみれば大した奴だったよアイツは」

ラフィエル「まさかガヴちゃんがサターニャさんの名前を略称以外で呼ぶ日が来るとはですね」

ガヴリール「まあ最後くらいわね。一応?これまでも数々の争いを繰り広げてきた因縁の相手だった訳だし…」

ラフィエル「少し寂しくなりますね」

ガヴリール「あいつにもあいつなりの事情があったんだよな。そう思うとサターニャがこれまでやってきた事をおいそれとは責められないな」

ラフィエル「ですね……」

ガヴリール「本当に悪い奴なんてこの世には居ないんだよ。本当の黒幕はこの社会そのものだったのかも知れないな……」

ラフィエル「……………」

ガヴリール「だからこそもっと違う形で出会っていればサターニャとも分かり合えていたのかもな」

ラフィエル「ガヴちゃん…まさか」

ガヴリール「ああ、長年のアイツとの関わり合い中で、私はいつしかサターニャへの敵意の中にどこか友情や親愛のような感情を抱いていたのかも知れない」

ガヴリール「まさかそれに気付くのにこんなに時間が掛かるとはな…今更もう手遅れだってのに……」

ラフィエル「手遅れだなんてそんな事はありません!残された私たちにはまだやるべき事があるはずです」

ラフィエル「もうサターニャさんのように悲しい最後を迎える人が出てこないよう動く事が、きっと今の私達に出来るせめてもの彼女への弔いになるんですから」

ガヴリール「ラフィ……そうだな!そうだよな!まだうじうじしてる場合じゃないよな」

ラフィエル「そうです。私達にはまだ解決しないといけない目の前の問題が残っています」

ガヴリール「だな」

サターニャ「……………」気絶したサターニャ

ガヴリール「で、この動かなくなったサターニャはどう処理すれば良いんだ?」

ラフィエル「早くどこかに隠さないとヴィーネさんに見つかってしまいますからね」

ガヴリール「流石に今回はやり過ぎたな」

ラフィエル「ですね。これは見つかればヴィーネさんにマジトーンでお説教されるパターンの奴です」

ガヴリール「サターニャの事は一旦ヴィーネに見せてといて上手い感じの言い訳をするルートも考えたけど…日頃の行いがな」

ラフィエル「日頃の行いがですね」

ガヴリール「私達サターニャにロクな事してないし……」

ラフィエル「それを今日ほど後悔した日はありません」

ラフィエル「いくらいつもにこにこポーカーフェイスな私といえどヴィーネさんに怒られるのはマジで怖いです」カタカタ

ガヴリール「そう言う所だぞラフィ!ここでサターニャじゃなくて自分の心配ばっかしてるから、今回みたいにあいつへの配慮不足ゆえの事故が……」ガミガミ

ラフィエル「とか言いつつサターニャさんをロッカーに無理矢理押し込もうとするガヴちゃんに言われたくありませんよ!!」

ラフィエル「と言うか勝手に事故にしてますが、これはどう見てもガヴちゃんの確信的な犯行としか……」

ガヴリール「あ、今私だけのせいにしようとしたな!そこは『私達』のだろ!!」

ラフィエル「私は知りませんよ!やったのはガヴちゃんです」

ガヴリール「ひっでぇ、考えたのはラフィじゃん!!実行犯は私でも計画したのはラフィなんだから実際の裁判だったら計画犯も裁かれるだろ」

ガヴリール「てかそれこそ手口が悪質な場合は計画犯の方が重い刑罰を受けるし」

ラフィエル「手口が悪質だったのは…
まあ流石にあの状態のサターニャさんを見て否定は出来ませんが、まさか私だってガヴちゃんがあんな事を本気にして実行するとは思わないじゃないですか」

ガヴリール「いやいや、私は最初、流石にやめよーぜって言ったらラフィが絶対面白いからって言ったから…」

ラフィエル「冗談に決まってるじゃないですか」

ガヴリール「いや!あれはマジの顔だったね」

わいわいガヤガヤ

ヴィーネ「ごめんねー、ちょっと遅くなっちゃって」ガチャ

ガヴラフィ「「!?」」

ヴィーネ「ちょ、え!?二人とも気絶したサターニャをロッカーに押し込もうとしてるけどこれは何?
それにこの教室の惨状は……一体何をしたらこんな事に……」

ゴゴゴ……

ガヴリール「ヤバい雷が落ちる」

ラフィエル「もう覚悟を決めるしかありませんね」

ガヴリール「ああ、そうだな…」
………………

ガヴリール「逃げろー」ダッシュ!!

ラフィエル「ズルいですよガヴちゃん、私も」ダッシュ!!!

ヴィーネ「二人とも待ちなさい!!!」

サターニャ「………………」ポカーン

天界編へ続く

>サターニャ「………………」ポカーン

気絶してるんじゃなかったの?

多分、気絶していることを擬音で表現しているだけじゃないかな

天界編

ゼルエル「フッ……」自嘲するような薄笑い

マルティエル「ゼルエル……あの事はもう忘れましょう」

ゼルエル「く、忘れられるものか!私がトドメをさしてしまったようなものなのだぞ……」

マルティエル「貴方はよく頑張りました。そうです…神の腕と呼ばれ天界で最も評価される大天使である貴方が死力を尽くしてもどうようもなかった事なのですから、きっと最初から助かるはずのなかった運命だったのです」

ゼルエル「こんな私を慰めてくれるというのか…ありがとう。でも私は……私はっ!!!」ドン

悔しさで机を叩くゼルエル

マルティエル「そうですか……ゼルエル。貴方はまだ過去の事を引きずっているのですね」

ゼルエル「……………」

マルティエル「数年前、確かに貴方は多くのものを奪って来ました。でもそれは……」

ゼルエル「ああそうさ!それくらい自分でも解っている!!
だから!だからこそ私は残りの人生を全て救う事に費やさなければいけなかったのに……。
それが私の存在意義だったのに!!」

マルティエル「ゼルエル……」

ゼルエル「それなのに私は…私は……」

ゼルエル「可愛い妹が楽しみにしていたロールケーキを転んだ拍子に潰してしまったんだ!!」

ぺしゃんこになったロールケーキの残骸「……………」

マルティエル「ハニエルちゃんならきっと許してくれます」

ゼルエル「だから辛いのだ。いっそのこと感情に身を任せ怒りをぶつけられた方がどれだけ楽なものだろうか……」

ゼルエル「しかし私の妹は、きっとまたあの儚げな笑顔でこんな愚かな私に慈悲と赦しを与えてくれるのであろう。
私はそれが心苦しい、家で一人ぼっちの幼い妹に我慢を敷い続けるこの現状と自分の不甲斐なさで押し潰されそうだ」

ゼルエル「ガヴリールの時もそうだった。あの子もいつも私の不甲斐なさを笑顔で許す良い子だった。
きっとその時から蓄積されたストレスが原因なのだろう。今や我が妹ガヴリールは穢れきった駄天生活を謳歌する始末」

ゼルエル「ハニエルの時にまで同じ轍は踏まない!と…そう決めていたのに……」

マルティエル「ゼルエル……」

マルティエル「………この状況を変える方法があるにはありますよ」

ゼルエル「ほ、本当なのか!?一体それはどんな方法で……はっ!?まさか…」

マルティエル「そのまさかです。現在この天界の洋菓子店ではもうロールケーキは完売で替えはきかないでしょう」

マルティエル「しかし!魔界の洋菓子店になら、まだあるはずですよ。ロールケーキが」

ゼルエル「でもそれは天使としては禁断の手段……」

マルティエル「やるかどうかは貴方次第です」

ゼルエル「くっ……」

マルティエル「ただ一つだけ言える事があります。今ここで動かなければ貴方は今日の出来事を一生後悔する事になると…」

ゼルエル「ふっ、マルティエル、お前は昔から私に道筋を示しはするものの、その選択と答えだけは教えてくれなかったな。とんだ捻くれ者の天使だよ」

マルティエル「よく言われます」

ゼルエル「………………」

ゼルエル「決めた!決めたぞ!!例え天使としての禁忌に触れ私が処分される事になろうとも、この世界で守るべきたった二人の妹為なら悔いは無い!!!」

ゼルエル「私は魔界の洋菓子店に出向きロールケーキを買って愛しの妹の待つ家に帰るのだ!!」

マルティエル「貴方ならそう言うと思いましたよ」クス


ゼルエル「問題はどうやって天界から魔界に行くかなのだが………」

マルティエル「天界と魔界の境目には門番が居ますからね。彼らの目をどう掻い潜るか」

ゼルエル「天界と魔界の門番、言わば天国と地獄のバランサーと言っても過言ではない立場の彼らの目を欺くのは流石の私でもそう簡単に出来るものではない」

ゼルエル「どうした者か……」

天界の門番「あーあ、今日も寒いなぁ、だろ?魔界の門番」

魔界の門番「そうだな!こんな日には休憩室でバンホーテンのミルクココアを飲むに限るぜ!だろ?天界の門番」

天界の門番「俺たちは不真面目な門番二人組」

魔界の門番「そんな二人が今から仕事をサボる訳だが」

天界の門番「あれあれ?その間に天界から魔界へケーキを買って戻って来る位の時間があるんじゃね?」チラ

魔界の門番「ははは、まあしかし俺たち二人がサボっているこの時に限って、侵入者が入ってくるそんな事はきっと起きないさ」

天界の門番「だな。仮にそんな奴が来たとしてもココアに夢中な俺たちにはどうする事も出来ないだろうしな」

ゼルエル「ま、まさかこれは…」

マルティエル「どうやら事情を察した彼らが見逃してくれるみたいですね」

ゼルエル「門番達…なんとお礼を言えば良いのか……」

魔界の門番「おっとこれはこれは」

天界の門番「大天使ゼルエルさんじゃないですか」すっとぼけ

魔界の門番「俺たちは今サボり中の身でしてね」

天界の門番「こんな所を見られたら上司に何を言われるかわかったもんじゃないんですよ」

魔界の門番「だからどうか俺たちの事は見なかった事にしてくれませんかね?」

天界の門番「お願いしますよ」

ゼルエル「お前達二人の様な優しい門番は見た事がない…感謝する!」圧倒的感謝

マルティエル「頑張って来て下さいね。ゼルエル」

ゼルエル「ああ、すぐに戻ってくる!ロールケーキを持ってな!!」ダッシュ

こうしてハニエルの笑顔は守られたのであった

終劇!!!

雑だけどこれで終わり

おつおつ

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