ガチャリ
美穂「プロデューサーさん、ダンスレッスン終わりました!」
P「おかえり、美穂。今日も頑張ったな」
美穂「はい、頑張りました!」
P「レッスンを頑張った後の美穂は、一段と美少女に見えるよ」
美穂「び、美少女!? も、もう、プロデューサーさん、いきなりそんなこと言われたら照れちゃいますよぅ」
P「そのかわいらしさ、まさにスウィーティーだな」
美穂「そんな、スウィーティーだなんて……えへへ……」
美穂「って、スウィーティー?」
P?「あの赤丸急上昇中の美少女アイドル・佐藤心にも肩を並べるくらいだ」
美穂「…………」
美穂「……あの、なにしてるんですか? 心さん」
心「んもう、ノリ悪いぞ美穂ちゃん♪ あとはぁとって呼んでよ☆」
美穂「どうしてプロデューサーさんの席に? おかげで私、すっかり騙されちゃいましたよ~」
心「どうよ、はぁとの声真似♪ うまいっしょ☆」
美穂「本当にそうですよ。私、てっきりプロデューサーさんがそこにいるものかと思っちゃいました」
心「本物のプロデューサーは打ち合わせで会議室に行ってるぞ☆ で、はぁとは暇だから、主のいなくなったデスクを占拠してプロデューサー気分を味わってたの☆」
美穂「いいのかな、勝手にそんなことして……」
心「別に汚したりちらかしたりするわけじゃないんだからいいっていいって♪ なんなら美穂ちゃんもどう? 結構座り心地いいぞ、これ♪」
美穂「い、いえいえ、私は」
心「いつも頼りにしているプロデューサーが、どんな気分でアイドルを見ているのか。仕事中、どんな視点に立っているのか。美穂ちゃんは知りたくない?」
美穂「うっ……」
心「ほらほら、かもーん小日向♪」
美穂「ううっ……」
美穂「ちょ、ちょっとだけ……いいですか?」モジモジ
心「そうこなくちゃ☆」
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美穂「で、では、失礼します」ポスッ
美穂「これが、プロデューサーさんがいつも座っている椅子……」
心「どう、感想は?」
美穂「…………」
美穂「プロデューサーさんの匂いがする……」ポワポワ
心「さらっとアブナイ発言飛び出したぞ」
美穂「えっ? ……あっ!? いえ、その、私そういうつもりで言ったわけじゃ」
心「わかってるわかってる♪ 美穂ちゃんホント、いちいち反応がかわいいな~」
美穂「む、むむ……と、とにかく、もう少し座ってみます」
心「どーぞどーぞ♪ はぁとの椅子じゃないけど」
美穂「……でもこの椅子、本当に座り心地がいいですね。なんだか気持ちよく休めそう」
美穂「…………」
美穂「すぅ」
心「ってオイ☆ 寝るの早いぞっ!」
美穂「ごめんなさい、私すぐに居眠りしちゃって」
心「大丈夫? 疲れとか溜まってない?」
美穂「そういうわけではないと思います。毎日よく眠れてるし……」
心「ふーん、そっか。ならいいけど」ゴクゴク
美穂「心さんが飲んでるの、コーヒーですか?」
心「うん♪ オトナのブラックだぞ~」
美穂「ブラックなんですね。私、なんとなく心さんは甘いほうが好きなのかと思ってました」
心「あー、好きなのは甘いやつだよ? でもブラックのほうが目が冴える気がするから、こういう時はノースウィーティーなの♪」
美穂「なるほど……私もコーヒー、飲んでみようかなぁ」
心「ブラック?」
美穂「ブラック……もいいんですけど。甘い味も飲んでみたいような」
心「つまり両方味わいたいってこと?」
美穂「そういうことです。欲張りかな、私」
心「欲張りなのはいいことよん☆ というわけで、その願いを叶えちゃう♪」
美穂「え?」
心「ちょい待ってて☆ えーと、アレはどこに置いてたっけ……」ガサゴソ
美穂(何を探しているんだろう?)
心「あれ? おかしいな、前はここにあったはず……」
ガチャリ
飛鳥「ただいま」
心「お、ちょうどいいところに! マスター、いつものあれ出して♪」
飛鳥「ボクはバーのマスターではない」
心「令呪増やしてあげるから」
飛鳥「カルデアのマスターでもない」
美穂「飛鳥ちゃん、おかえりなさい」
飛鳥「あぁ、美穂さん。ただいま。それで、そこの人は何を探しているんだい」
心「アレだよアレ! ほら、アレ!」
飛鳥「単語を全部『アレ』で片付けていると、だんだん語彙力を失っていくらしいよ」
心「飛鳥ちゃんとはまだツーカーの関係には至れてないか……残念☆」
美穂「えっと、コーヒーの苦いのと甘いのを両方味わえるもの? らしいんだけど」
飛鳥「苦いのと甘いの……あぁ、なるほど。理解したよ」
飛鳥「心さんの探し物は、そこの棚に入っている」
心「ここ? ……あ、ホントだ! さっすがマスター、わかってる~♪」
飛鳥「だからマスターではないと」
美穂(でも飛鳥ちゃん、まんざらでもない顔してるような)
心「というわけで、今回紹介するのはこちらの商品☆」
美穂「通販?」
飛鳥「コーヒーをより贅沢に、深く味わうために作られた砂糖。名はストレートに『コーヒーシュガー』だ」
美穂「コーヒーシュガー……? ええと、あのスティックの?」
心「ノンノン☆ それとは別のものだぞ♪」
飛鳥「これが現物だ。スティックの砂糖とはむしろ対照的で、大きめの氷砂糖だね」
美穂「へえ……これがコーヒーのために作られたお砂糖なんだ。普通のお砂糖とはどう違うの?」
心「それを説明するには、実際にこれを使ってコーヒーを飲んでもらうのがわかりやすいかな♪」
心「というわけでコーヒー淹れてきたぞ☆」
美穂「いつの間に……?」
心「はぁとはマスターだから仕事が早いの☆」
飛鳥「いつの間にかマスターの座を奪われているんだが」
美穂「バーのマスターって諸行無常なんですね」
飛鳥「美穂さんは適応力が高いね」
美穂「褒められちゃった」エヘヘ
飛鳥「コーヒーシュガーにはカラメルが含まれていて、コーヒーの香味を高めてくれる役割がある」
美穂「なるほど……でも、こんなに粒が大きいと、溶かすのが大変そうじゃないかな?」
飛鳥「ふっ。いいところに――」
心「いい質問ですねえ! 実は大粒なのにはワケがあるんだぞ☆」
飛鳥(セリフをとられた……)
心「美穂ちゃんの言う通り、コーヒーシュガーは大粒だから溶けるのに時間がかかるの。だからこそ、投入してからしばらくの間は苦めのコーヒーを味わえて、時間が経った後は甘いコーヒーを味わえるのだ☆」
美穂「あっ、そっか! いろんなタイミングで飲めば、いろんな味のコーヒーを味わえる。だから、私の願いを叶えるためのお砂糖なんですね!」
心「その通――」
飛鳥「イグザクトリィ。ヒトの飽くなき欲望が生み出した、至高の嗜好品さ」
心「あっ、セリフ盗られた!」
美穂「あ、あはは……とりあえず、早速味わってみますね」
心「まずはコーヒーシュガーを入れてからすぐに飲む、ストレートに近いコーヒー☆」ゴク
美穂「シャキッとしますね」
飛鳥「にがっ」
心「そして時間が経ってから飲む、シュガーが効いた甘めのコーヒー☆」
美穂「飲みやすいのはこっちですね」
飛鳥「にがっ」
美穂「飛鳥ちゃんの反応、さっきと同じ?」
心「砂糖足りなかったみたいだね」
飛鳥「そのようだ」サトウドバー
美穂(すごい量入れてる……)
心「逆に美穂ちゃんは普通にブラックでもいけそうな感じだね♪」
美穂「甘いほうが好きですけど、苦いのも全然大丈夫ですっ」
心「おー、ストロング小日向☆」
美穂「熊本の女は強いんです!」
心「気に入った! 美穂ちゃん、はぁととユニット組まない?」
美穂「えっ、ユニットですか?」
心「そう♪ 美穂ちゃんもはぁとと同じで、スウィーティーなアホ毛あるし、スウィーティーなハートのポーズもとれるし」
美穂「スウィーティーですか?」
心「もうめっちゃスウィーティー☆ 結構前からアイドルを夢見てたところも同じだしね」
美穂「言われてみると、似ているところが多いですね。私と心さん」
心「ホント、夢諦めないでよかったな~~!」
美穂「本当ですね!」
飛鳥「…………」
飛鳥「コーヒーシュガー、か」ボソ
心「ん、どしたの飛鳥ちゃん?」
飛鳥「あぁ、いや。なんでもない。ただの語呂合わせだから」
美穂「語呂合わせ? なんだか気になるなぁ」
心「言っちゃえ言っちゃえ☆」
飛鳥「なら、言うけど……ちょうどこの氷砂糖が、心さんと美穂さんのユニットの名前になるかも、と思ったんだ」
美穂「コーヒーシュガーが?」
心「どうして?」
飛鳥「……『コーヒー』なた(小日向)美穂と、『シュガー』ハート」
美穂「…………」
心「…………」
飛鳥「ほら。だからただの無理がある語呂合わせだと――」
心・美穂「それ、いいかも!」
飛鳥「えっ」
心「なかなか溶けないっていうのが、アイドルとしての強さを示しているような気がするし」
美穂「いろんな味が出せるっていうのも、いろんな仕事をこなせるっていう意味になりますし」
心「プロデューサーに直談判してみるか!」
美穂「相談してみましょう!」
飛鳥「……まあ。ふたりが盛り上がっているのなら、それでいいけど」
美穂「やっぱり決めポーズはハートを手で作る感じですよね」
心「わかってる~☆ さすが美穂ちゃん、スウィーティー☆」
その後
飛鳥「議論、白熱していたね」
心「ホントにね~。白熱しすぎて疲れちゃった♪」
美穂「すぅ……」
心「美穂ちゃんなんて疲れて寝ちゃったし」
飛鳥「コーヒー飲んだ意味、なかったね」
心「熊本の女はカフェインにも強いんじゃない? ちなみに、飛鳥ちゃんはお昼寝しなくて大丈夫?」
飛鳥「心配いらないさ。昨日は夜更かししなかったからね」ドヤ
心「普段も夜更かしすんなー」
美穂「ん……プロデューサーくん……♪」
心「プロデューサーをくん付けしながら幸せそうな寝顔……いったい夢の中でなにを」
飛鳥「プロデューサーくんは、彼女が大事にしているクマのぬいぐるみの名前だろう。いつもベッドの上で一緒に寝ているらしいし」
心「あ、なるほど。はぁともぬいぐるみ買って『プロデューサー』って名づけようかなぁ」
飛鳥「心さんがやるとかなり重く聞こえるね」
心「重いってなにが?」ニコニコ
飛鳥「なにとは言わない」
心「言えよ☆」
飛鳥「さて、ボクは用があるから失礼するよ」スタコラ
心「おいっ、逃げんな☆」ダダダ
飛鳥「うわっ、本気で追いかけてきた」
美穂「すぅ……」
美穂「プロデューサーさん……コーヒーシュガーって知ってますか……私が教えてあげますから、一緒に……」
美穂「私も、いろんな味を出せるアイドルになるので……見ていてくださいね……」ニコニコ
おしまい
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
コーヒーシュガーの字面だけで書きました
??「菜々も年齢と共に固有名詞が出て来なくなって、アレって言ってしまうんですね…」
?「わかるわ」
?「おい、コレス」
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