【ガルパン】好きな食べ物の、車長達の話。 (31)

※聖グロ戦前の車長達の作戦会議のシチュエーション

※食べ物シリーズ最終回です

※数日に分けて投下していきます

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【角谷杏編】

親睦を深めるための雑談タイムねえ。
確かに作戦会議を経たとは言え、私達はほぼ初対面だもんな。
良い考えだと思うよ、西住ちゃん。

んで、テーマが好きな食べ物か。

ありきたりだけど難しいんだよね。
私、好きな食べ物ってパッと思い浮かばないし。

じゃあちょっと、視点を変えて喋ってみようかな。

好きな食べ物の代表格ってどら焼きなんじゃないかなと思うんだよね。
と言っても、どら焼き好きな人が多いって意味じゃないよ。

誰かの好物っていうイメージが一番強い食べ物って意味でさ。
まあ、誰かと言いつつどら焼きと言えば一人しか居ないんだけど。
そう言えば、あいつの数え方は一人でいいんだろうか。
一機か、一体か、はたまた一個か。

まあ、あれだよ。
あの青いロボットの事だ。
未来の世界の猫型ロボット、って奴ね。

どら焼きって言うとまず思い出すよね、青いやつ。

あの青いやつは自身の知名度もさる事ながら、好物に対する姿勢も完璧なんだよ。
どんだけ食べても飽きる気配を見せないだろ。
あれは本当にすごい事だぞ。

まあ漫画的な表現って言っちゃえばそれまでなんだけどさ。
でも皆さあ、意外とその漫画的表現に毒されてるもんなんだよね。
あの青いやつは、好物に対する完璧な姿勢ってものを自身の知名度によって日本中に浸透させちゃったんだ。

皆、うっすら思ってるだろ。
好きな食べ物って言うからには、どんだけ食べても飽きないレベルじゃないと、ってさ。
その意識を根付かせたのは、あの青いやつだと思うんだよねえ。

実際は、あんまり居ないと思うよ。
どんだけ食べても飽きない食べ物がある人ってさ。

ん。

さっきからずっと食べてるのは何かって、ああ。
干し芋だけど、それがどうかしたのかな。

【角谷杏編終了】

【澤梓編】

あ、えっと、会長の話の青いやつって言い方で思い出しました。
次は私でいいですか。

私の好きな食べ物は、卵焼き(甘いやつ)。
変な書き方ですけど、これには意味があるんです。

まず、そうですね、これは実家の話からしないといけません。
実家には祖父母と両親と、あと弟がひとり居ます。

弟は、甘い卵焼きはご飯に合わないって言いますけど、私はそうは思わないんです。
お寿司のたまごって、甘いじゃないですか。
まあ、全部が全部甘い訳じゃないですけど、私は甘い派なんです。

小さい頃、私にとってお寿司と言えばたまごでした。
他のお寿司っていう選択肢が全く無くて、たまごばっかり食べていました。
今思えば、たまごが好きと言うよりもワサビが駄目だったんだと思います。
今でも少し苦手ですし。
でも、よくある話で、たまごばっかり食べてるうちに好きになっていったんです。

祖父母も両親もそれはもちろん分かっていて、たまごは梓のだからと言って残してくれていました。
弟はワサビが平気で他のお寿司も食べられたから、たまごの取り合いになるような事もありませんでした。
我が家だけのちょっとした常識として、私が食べるお寿司はたまごって事になっていました。

それで、小学生の頃ですね、ある日お爺ちゃんが私を喜ばせようとお寿司屋さんの厚焼き卵を買って来たんです。
お寿司のたまごじゃなく、お寿司に乗せる前の厚焼き卵を丸ごと買って来たんです。

調べてみると、丸ごとの厚焼きを売ってくれるお寿司屋さんは意外に多いみたいです。
それを知らない当時の私にとっては衝撃でした。
言ってしまえば、ホールケーキみたいなものですから。
なんというか、軽く夢が叶った瞬間だったと思います。
その日の晩御飯にはもちろん厚焼きが並んで、その至福の塊を頬張る私に、お爺ちゃんが言ったんです。

梓は本当に甘いやつが好きだなあ、って。

お爺ちゃんにとっては甘い卵焼きと甘くない卵焼きの両方があったから出た言葉。
だけど小さかった私はそれを聞いて、お寿司屋さんの厚焼きの名前として甘いやつ、と覚えてしまったんです。
それは我が家に広まって、澤家だけで通じる言葉として定着しました。

甘いやつと言えば、お寿司屋さんの厚焼き。
今でも実家に帰省する時は、お爺ちゃんが甘いやつを買って用意してくれています。

自分でも作れるようになったらいいなと思って練習中です。
毎回、焦がしちゃうんですけどね。

だから、私の好きな食べ物は卵焼き(甘いやつ)。
この書き方じゃないと、駄目なんです。

【澤梓編終了】

今回は以上です
あと三人分続きます
よければお付き合いください

乙です

【カエサル編】

成程なあ。
好きな食べ物と言うと、どうしても会長の言うような好物観が先に立つが、思い出の食べ物と考えても良いんだな。

それだったら、私の思い出の食べ物と言うと田舎そばになるかな。
あまり耳馴染みの無い言葉かも知れないけど。

もり蕎麦の形式で出されるのが一般的のようだな。
皿に盛られてて、つゆをつけて食べるやつだ。
いやほんと、蕎麦ってのは調べ始めると奥が深くてキリが無い。
歴女としては実に嬉しい食べ物だ。

もり蕎麦というのは食べ方の名前で、田舎そばというのは蕎麦粉による分類なのかな。
田舎そばっていうのは、蕎麦殻を挽き込んだ黒っぽい蕎麦粉を使った蕎麦の名前らしい。
らしいというのは、実は私もしっかりとした定義は把握してないんだ。

それに一度も食べた事がない。

だけど思い出の食べ物なんだよ。
自分で言っててなかなかミステリーだけど、まあ中身は簡単な話だ。

私には小学生の頃からの幼馴染が居てな、その子とは家族ぐるみの付き合いなんだ。
その子は今アンツィオ高校に居る。
で、うちの家族とその子の家族とで旅行した時の事だよ。

しょうもない事で喧嘩したんだ。
旅行中の喧嘩って止まらないんだよなあ。

まあ、それはそれとして昼飯時だったから蕎麦屋に入ったんだ。
そこで蕎麦を食べて仲直りしたんだ。
喧嘩中なのも忘れて向こうが、美味しいね、って言ったんだよ。
それで私も美味しいねって答えて、それで仲直り。

喧嘩の原因は覚えてないし、蕎麦屋の名前も覚えてない。
食べた蕎麦もかけそばだった。

でもその店の暖簾に田舎そばって書いてあったんだ。
それだけやたら鮮明に覚えてる。

これが私の田舎そばの思い出。

まあ、親に訊けばどこの蕎麦屋か思い出せるかも知れないけどな。
当時と同じ店で同じかけそばを食べても同じ味にはならないんだと思う。

逆に、その子と食べれば学食の蕎麦でも同じくらい美味しくなる。
人と食べるのって大事だよね、って話。

短いけど、こんな所かなあ。
ノリと勢いで話したけど恥ずかしいなこれ。

【カエサル編終了】

実際にはカエサルは車長じゃないんですけども
あのシーンに同席してたからという事で

あと二人分続きます

パッチョさん

【磯辺典子編】

分かるなあ、すごく分かります。
人と食べるのって、本当に大事ですよね。

カエサルさんの話にもありましたけど、美味しいねって言葉、すごく好きです。
美味しい、よりも、美味しいね、って言った方が絶対美味しいんですよ。

私の好物なんか特にそんな感じです。

私の、というか私達バレー部員の好きな食べ物ってみんな焼肉なんですよ。
やっぱり焼肉は大勢で食べるのが美味しいんです。
肉の質とかよりも大事な気がしますね、大勢で食べるのって。

あと、これはちょっと恥ずかしいのでチームの皆には内緒にしてて下さいね。
ここだけの話で。
実は私、人に食べさせるのがすごく好きなんです。

はい、あーん、ってやつじゃないですよ。

何て言うのかな、食べてる人を見るのが好きなんです。
うちの部員達は本当に食べっぷりが良いので、いくらでも食べさせてやりたくなるんですよ。
全然見てて飽きないです。

まあ店の焼肉は高価ですからね、だいたい家でやってます。
ホットプレート使って焼肉パーティやりますよ。
あいつらに食べさせるのが楽しみで料理の腕も上がりました。
焼肉に限らず、よくうちに集まってご飯食わせてますよ。

あいつらはまだ伸びますからね、いっぱい食べさせてやらないと。

いや本当、羨ましくなりますよ。
河西なんか身長170もありますからね。
一年生で170って、ねえ。
佐々木も近藤も凄いでしょ、色々。

あいつらに肉を食わせるのって本当に楽しいですよ。

ああ、でもテーマ的にはどうなのかな。
自分で食べるんじゃなくて、食べさせるのが好きっていうのは、好きな食べ物って言えるんですかね。
この流れならセーフかなあ。

くれぐれも、あいつらには内緒でお願いしますね、恥ずかしいから。

【磯辺典子編終了】

【西住みほ編】

聖グロリアーナ戦を前にしての作戦会議。
それ自体は可も無く不可も無く終わりました。

その後、私の提案で好きな食べ物の話をする事に。
親睦を深めるための無難な話題と思っての提案だったのですが、これが思った以上に盛り上がってしまいました。

会長、澤さん、カエサルさん、磯辺さん。
それぞれの好きな食べ物にはそれぞれの理由がありました。

好きな食べ物と一口に言っても理由は一つじゃないんだと知りました。

そして、肝心の自分には好きな食べ物が無い事にも気が付いてしまいました。

いくら食べても飽きない物も、家族や友人との思い出の食べ物も、大勢で楽しく何かを食べた事も。
よくよく思い返せば何も無いわけじゃなかったけど、熊本に居た頃の事を思い返すのは、少し辛かったから。

だけど、自分で話題を振っておいて私には好きな食べ物が無いですと言うのも気が引けました。
だから何か無いかと考えて、考えて、口をついて出た言葉。

私の好きな食べ物はマカロンです。

自分でも困惑しました。
今度は何故そんな言葉が口をついて出たのか、分析して解説しなくてはいけなくなりました。
まず、私がマカロンを目にしたのはどこだったか。

少し考えて、思い出したのが、通学路にあるコンビニのスイーツコーナー。

通学路。
毎日、新生活が始まった事を噛みしめながら歩く道。

コンビニ。
黒森峰に居た頃はあまり行けなかった、俗世というものを凝縮したような場所。

スイーツコーナー。
当たり前のように、娯楽としての食べ物が並ぶ場所。

そこで、普通に買い物をする同年代の女の子達。

その中の一人が手に持っていた、マカロン。

ああ、そうか。
羨ましかったんだ。

私にとってマカロンは憧れ。
通学路の、コンビニの、スイーツコーナーで、普通に、買い物をする、同年代の、女の子達への、憧れ。

ただ単に好きな食べ物の話をしていたらマカロンという言葉は出て来なかったと思います。
ここまで皆さんが色々な理由を語ってくれた事で引き出されたんです。

私の好きな食べ物はマカロンで、理由は憧れているから。

いずれは皆さんとも、一緒に買い物が出来るようなお友達になれたら。
そんなお話をさせて頂きました。

今日ここに来て良かった。
そう、思えました。

だから私の好きな食べ物は、マカロンという事になっています。

【西住みほ編終了】

以上です
お付き合いありがとうございました

おつですなぁ

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