吹雪「どうして鎮守府に敵が…?」 (212)
吹雪「白雪ちゃん! 白雪ちゃんしっかりして!」
吹雪「大丈夫だからね」オブリ
白雪「う、うぅっ…」
龍驤「吹雪、はよせい!」
吹雪「は、はいっ!はぁ…はぁ…」
ずがぁんっ
白雪「ふ、吹雪ちゃん…私はいいから、もうここで降ろして? このままじゃ吹雪ちゃんまで…」
吹雪「嫌だよ! 絶対助ける、白雪ちゃんを置いて行く位なら、ここでやられた方がましだよっ!」
白雪「吹雪ちゃん…」
龍驤「よ、よし! 吹雪、白雪、こっちや!」
ずどどんっずだぁんっ!
吹雪「はぁ…はぁ…」
吹雪(どうして…どうして、こうなっちゃったの…。なんで、私たちが…)
吹雪(事の始まりは4日前…いや、私が知らないだけでもっと前から何かが始まっていたのかもしれません)
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♦ ♦ ♦
注意!
・敵側の戦闘力などはかなり適当です。
・人間側の利己的でくずな考え方があります。
・百合があります。
・艦娘の食事や、活動の際のエネルギー、艤装、戦い方等に関して、いろいろと独自設定があります。
・ミステリー要素はほとんどありません。
♦ ♦ ♦
・9月11日
~吹雪型の部屋~
吹雪「今日で叢雲ちゃんともしばらくお別れだね、寂しいなぁ」
叢雲「何言ってるのよ、そんなんじゃいつまでたっても私に追いつけないわよ。それにしばらくっていっても一週間程度じゃない」
吹雪「うーん、私も頑張ってはいるんだけどまだ着任したばかりだし…。それに一週間も、だよ!」
叢雲「はぁ…、一応は私の姉なんだからね! 私が帰ってくる頃にはもっとしっかりしてなさいよ!」
吹雪「う、うん!」
白雪「それにしても、まさかこんな末端の小さな鎮守府にまでお呼びがかかるとはね…。一体どんな作戦が始まるんだろう?」
叢雲「うーん、私も詳しくは聞かされてないんだけど…。でもかなりの大規模作戦らしいわ。」
吹雪「確か、私たちの鎮守府の練度が高い艦娘さん達と司令官も行くんだよね?」
叢雲「そうよ」
吹雪「それに資材もほとんど持って行っちゃうんだよね?」
叢雲「そうね、私たちが行く鎮守府はかなりの遠方にあって戦艦や空母の艦娘も行くからね。資材は大量に持って行かないと」
吹雪「じゃあ、残された私たちは何を?」
白雪「うーん…資材がないんじゃ、訓練もろくにできないし。司令官からも留守中になにをすればいいかの指示もないし…」
叢雲「ちょっと、留守を守るのだって大事な仕事なんだからね! 私たちが帰ってきたときに鎮守府内がぐちゃぐちゃ、なんてことはやめてよね!」
吹雪「う、うん、そこは残った艦娘たちでちゃんと綺麗に保つようにするよ!」
叢雲「なら、いいんだけど…。っと、もうこんな時間ね、明日もあるしそろそろ寝るわ」
吹雪「そうだね。じゃあ、おやすみ」
白雪「おやすみなさい、吹雪ちゃん、叢雲ちゃん」
叢雲「…おやすみ」
~同刻、工廠~
??「工廠妖精はあなただけ?」
妖精さん「」ビシッ
??「…これじゃあ、完成はかなり遅れてしまうわね」
妖精さん「」ショボーン
??「まぁ、いいです。…ここに資材があるので…明日、私たちが出た後から建造を開始してください」
妖精さん「」ビシッ
??「…私たちは、本当にここをあの娘達に任せて大丈夫なのかしら」
♦ ♦ ♦
・9月12日
提督「準備はできたか」
赤城「はい、いつでも出発できます」
吹雪「叢雲ちゃん、どんな作戦をするか私にはわからないけど、かならず無事に帰ってきてね…!」
白雪「うん、叢雲ちゃん頑張ってね!」
叢雲「大丈夫よ、私が沈むわけないでしょ? 二人も他の艦娘に迷惑をかけないようにしなさいよ」
吹雪「あー! 叢雲ちゃんったらまた子ども扱いを…」
白雪「大丈夫だよ、吹雪ちゃんのことは私が見ておくから」
吹雪「し、白雪ちゃんまで…」ズーン
叢雲「…っぷ、ふふっ」
白雪「ふふ、ふふふっ」
吹雪「あははっ」
提督「それでは出発する。陣形を崩さないようにしっかりとついてくるように」
提督「艦隊、出発!」
叢雲「それじゃあ、行くわね」
吹雪「うん。じゃあ、さっきも言ったけど…」
叢雲「はぁ…何回言わせるの? 沈むわけないって」
吹雪「あ、そうだったね」エヘヘ
白雪「留守中の鎮守府は私たちで守るから、叢雲ちゃんは作戦に集中してね!」
叢雲「えぇ、ありがと」
叢雲「じゃあ、また…」ザザザザザ
吹雪「またね、叢雲ちゃん!」バイバーイ
ザザザザザーンザザザーン
吹雪「…行っちゃったね」
白雪「そうだね」
白雪「さっ、いつまでもここにいてもしょうがないし、鎮守府に戻ろ」
吹雪「うん、そうだね」
龍驤「あっ、みんな聞いてや~」パンパン
吹雪「ん、なんだろ?」
龍驤「ウチは軽空母の龍驤や。これから先、1週間はウチ達で掃除や炊事などを担当することになるんやけど…」
吹雪「あ、そういえばそっか!」
白雪「うん、給仕の人や、鳳翔さんや間宮さんも行っちゃったし基本的には自分たちでやらないとね」
古鷹「それで、どうするの? やっぱり当番制?」
龍驤「そうやなぁ。っと、まずはここにいる艦娘達の自己紹介せえへんか? ここにいるのはみんな最近着任したばかりやろ?」
川内「そうね、自己紹介しようか! まずは駆逐艦の娘たちからやってもらおっ!」
吹雪「じゃあ、私から行きます! えっと、特型駆逐艦、吹雪型1番艦の吹雪です! よろしくお願いします!」
白雪「同じく、吹雪型2番艦の白雪です。よろしくお願いします。」
霞「次は、あたしね。朝潮型10番艦、霞よ。まぁ、よろしくね」
清霜「夕雲型19番艦、清霜です! 戦艦と一緒に行けなかったのは残念だったけど霞ちゃんと一緒だから大丈夫!」ギュッ
霞「ちょ、ちょっと清霜! あんまりひっつかないでったら!」
川内「駆逐艦はこれで終わり? じゃあ私ね! 川内型1番艦、軽巡川内! …ふわ~ぁ、やっぱり朝は眠いね」ムニャムニャ
川内「って、軽巡は私だけじゃん! まぁ、よろしくね!」
古鷹「重巡も私だけみたいだね。えっと、古鷹型 1番艦の古鷹です。みんな、よろしくね!」
伊58「海の中からこんにちはー! 伊58だよ! ゴーヤって呼んでね!」
白雪(ここは海じゃないけどね…)
U-511「ドイツ海軍所属、潜水艦U-511です。ユーとお呼びください。まだまだ日本に馴染めてないけど、よろしく…」
吹雪「あれ? ユーちゃんは着任したてだからここにいるの分かるけどゴーヤちゃんはなんで残ってるの?」
伊58「え? ゴーヤも着任したてだよ?」
吹雪「え、あれ? でも確かそこそこ高い練度だったと思ったんだけど…気のせいかな?」
伊58「まだ、着任して5日くらいでち」
吹雪「うーむ…」
龍驤「最後はウチやな! ウチは龍驤型1番艦の軽空母、龍驤や! よろしゅうな!」
吹雪「あっ、龍驤さんの前世って関西出身なんですか?」
龍驤「いや、横浜やけど」
白雪「あ、私の前世と同じです!」
吹雪「え、じゃあなんで…」
龍驤「まぁまぁ、細かいことはええやんか」
龍驤「っと、これで全員、9人しか残ってへんのか!」
古鷹「もともと、小さな鎮守府だし、少なくてもしょうがないよ」
白雪「えっと、私たちがしないといけない主なことって料理と洗濯やお風呂洗いなどの掃除ですよね?」
川内「そうだね、大きなこととしてはその2つかな!」
白雪「なら、9人いることですし3人×3組に分かれてローテーションを組みませんか?」
霞「それが一番効率的かもね」
清霜「私、霞ちゃんと一緒ね!」
霞「ちょっと清霜! わがまま言わない!」
伊58「ゴーヤはユーと同じ組になるよ! まだ、こっちに慣れてないみたいだし同じ潜水艦として面倒を見るでち!」
U-511「ゴーヤ、Danke」
古鷹「じゃあ、吹雪ちゃん・白雪ちゃん、霞ちゃん・清霜ちゃん、ゴーヤちゃん・ユーちゃんの組にそれぞれ龍驤ちゃん、私、川内ちゃんがつく、でいいんじゃないかな?」
龍驤「オッケーや! 吹雪、白雪! ウチが仕切るで!」
吹雪「は、はい! よろしくお願いします!」
白雪「よろしくお願いします、龍驤さん」
古鷹「霞ちゃん、清霜ちゃん、よろしくねっ!」
霞「よろしく」
清霜「よろしくです!」
川内「というわけでよろしくね、ゴーヤ、ユー!」
U-511「川内さん、よろしくお願いします…」
伊58「よろしくでち!」
龍驤「というわけで、まずは昼ご飯やな! 今日はウチらに任せといてや!」
吹雪「料理かぁ…自信ないなぁ」
白雪「料理ですね。頑張ります…!」
古鷹「じゃあ、料理は龍驤ちゃん達に任せるね」
霞「じゃあ、あたしたちは訓練…と行きたいところだけど資材もほとんどないし実践的な訓練はできないのよね、はぁ…」
川内「そういえば、ゴーヤもユーも本当に着任したてだったっけ?」
伊58「そうでち!」
U-511「はい、ユー、まだ来たばかり…4日くらいです。それになんだかバタバタしてたから、まだ鎮守府もまともに見てないです…」
川内「じゃあ、せっかくだしちょっと案内するよ! まぁ、2人よりは長いとはいえ、私もまだまだ来て間もないからいろいろ見てみたいしね!」
伊58「おぉ、よろしくでち!」
U-511「少し、楽しみです…」
古鷹「じゃあ、私たちはもしもの場合に提督や他の鎮守府と連絡が取れるように無線の確認とかをしましょうか?」
霞「そうね、訓練もできないんじゃ暇だしね」
清霜「清霜、がんばるぞ!」
龍驤「そんじゃあ、お昼ご飯は1200に出来るようにするから、その時間には食堂にこれるようにしてな!」
「「了解!」」
♦ ♦ ♦
~吹雪・白雪・龍驤サイド~
吹雪「えっと、まずは食糧庫に行かないとですよね」
白雪「お昼ご飯、何を作りますか?」
龍驤「ウチは、カレーがええと思うなぁ。今たくさん作っておけば保存がきくし、なにより楽やろ?」
吹雪「賛成です!」
白雪「そうですね、カレーなら簡単ですし、なにより美味しいですからね!」
龍驤「そんなら、さっそく食糧庫へGOやでぇ!」
~食糧庫~
吹雪「…これ、どういうことですかね?」
白雪「龍驤さん、司令官から何か聞かされてますか?」
龍驤「い、いや、何も聞かされてへん。ウチはただ1週間ほど鎮守府を空けるから留守は頼むって言われただけや」
吹雪「で、でもどうするんですか!? 食料が全然ないじゃないですか!」
白雪「ほんの少しの麦米と、調味料しか残ってないみたいですね…」
龍驤「…とりあえず、みんなに食料がなかったっていうことの報告や」
白雪「でも、どうして食料がほとんどないんでしょうか? 私たちが鎮守府に残るって分かっているなら食料のストック位、残してくれると思うんですけど…」
吹雪「そうだよね。この鎮守府は無人島にあるから食糧の確保が難しいって聞いたし…。何も伝えられないで行っちゃうなんて…司令官のうっかりですかね?」
龍驤「そないなことウチに言われても分からんなぁ…。まぁ、ここでぐちぐち言うててもしゃーないし、みんなの所に行くで」
吹雪・白雪「「はい!」」
~無線室~
龍驤「古鷹~」ガチャ
古鷹「あ、龍驤ちゃん。今、急いで厨房に向かおうとしてたんだけど丁度良かったよ。一大事なの」
龍驤「ちょ、ちょっと待ちや! い、一大事ってどういう事や! こっちだって」
古鷹「無線機器、放送機器がなぜか全て使えなくなっているの」
吹雪「えっ、ど、どういうこと!?」
霞「あたし達だって分からないわよ。でも、機械がうんともすんとも言わないのよ…」
白雪「そんな…無線まで使えないなんて」
古鷹「無線までって…そっちも何か問題があったの?」
吹雪「じ、実は食料がなかったんです!」
霞「しょ、食料がないですって!? どういうことよっ!」
清霜「しょ、食料がないって…たくさん食べないと戦艦になれないのにー!」
龍驤「いったいどういうことや…? 明らかに様子がおかしいで」
龍驤「無線が使えないこと食料がないことも変やけど、一番おかしいのは司令官がそのことをウチらに伝えなかったことや」
古鷹「そうだね、みんなが慌てて出発したんならこういう事態もあるかもしれないけど、別に慌てて出発ってわけでもなかったよね」
吹雪「そうですね、3日前くらいには決まっていたので…。例え食料とかがないんだとしても私たちに伝えないなんてことはないですよね…?」
霞「あのクソ提督! 何考えてんのよっ!」
清霜「ホントに、司令官何してんの…ねぇ、何、何!」
白雪「ま、まぁまぁ清霜ちゃん落ち着いて?」
吹雪「でも、どうしますか? 無線も使えないんじゃ司令官に連絡も取れないし、なにより資材もほとんどないから他の鎮守府に行くこともできないし…」
白雪「そうだよね、それに食料を買う場所もないし…」
霞「はぁ、全くどうしてこんな不便なところに鎮守府を建てたのよ…」
清霜「はっ!」ピコーン
古鷹「どうかしたの、清霜ちゃん?」
清霜「これって、まさか私たちに与えられた試練なんじゃないですか!?」
吹雪「試練? どういうこと、清霜ちゃん」
清霜「これは司令官からの試練なんだよ!」
白雪「司令官…?」
清霜「だから! 私たち新米がこの何もない鎮守府で1週間生き抜くことが出来るかどうか試してるんだよ!」
吹雪「そっか! だから食料がなかったんだね!」
古鷹「えぇ…。そういう事じゃないと思うけどなぁ…」
清霜「きっとこの試練を乗り越えれば戦艦になれるんだよ! 霞ちゃんも頑張ろ!」
霞「ちょ、ちょっと清霜! アンタ、バカなの?」
白雪「私も、そうじゃないと思うなぁ…」
吹雪「そ、そうかなぁ?」
龍驤「はいはい! とにかく今はこの先食料をどうするかを考えへんとな。司令官に連絡がつかない以上本当にウチらで1週間生き抜かなアカンからなぁ…」
龍驤(それにしてもこれは一体どういうことや…?)
霞「食料って言ったって、うちの鎮守府は無人島でしょ? どうやって調達するのよ?」
龍驤「そうやなぁ、とりあえず山と海の二手に分かれて調達やな」
古鷹「それしかないね…。まぁ、とりあえず川内ちゃん達を呼ぼうよ」
龍驤「そうやなぁ…」
吹雪「でも、川内さん達はどこにいるんでしょうか?」
古鷹「あ、そういえばそうだったね…放送で呼び出そうにも放送機器は使えないし」
龍驤「ふふん、ウチに任せとき!」
霞「どうするのよ?」
龍驤「行くでー! 艦載機のみんなお仕事お仕事ぉ!」ブゥーン
吹雪「うわぁ、すごいです龍驤さん!」
清霜「すごいすごい!」キャッキャッ
霞「何で艦攻を飛ばしたのよ、偵察機飛ばせばいいじゃない」
龍驤「うっ…。て、偵察機はウチが改二になるまで待ってや…。それにウチの艦攻は索敵もできるんや!」
古鷹「この場合索敵って言うのかな?」
白雪「ま、まぁ、とにかくこれで川内さん達を見つけるのも時間の問題ですね!」
龍驤「お、居たみたいやで! …って、もう食堂居るし!」
吹雪「そういえばもうそろそろ12時ですね、早く行きましょう!」
~食堂~
川内「みんなおっそいなー」
U-511「そうですね…」
伊58「もう12時なのに、全然ごはんの匂いがしないでち…ホントに作ってるのかなぁ~」
龍驤「おーい、川内、ゴーヤ、ユー待たせてすまんかったなぁ。でも、ちょっと問題が起こってしまってなぁ」
川内「ん、問題?」
伊58「何かあったでちか?」
古鷹「うん。それで楽しみにお箸を用意してるとこ悪いけど今日のお昼ご飯は無しになりそうなの」
U-511「…どういうこと?」
伊58「アイスもないのぉ?」
吹雪「ゴーヤちゃん、お昼ご飯がないんだからアイスもないよ」
伊58「そんなぁ…」
霞「ちょっと話がずれてるわよ!」
清霜「えっとね、実は無線が使えなくて食料もなかったの!」
白雪「なんだか清霜ちゃんが言うと切迫感に欠けるような…」
川内「無線が使えなくて食料もない? どういう事よ?」
古鷹「ごめんね、私達にも分からないんだ。でも、事実なの」
龍驤「まぁまぁ、ここで喋ってても埒が明かん。とにかく食料がないと生きていけへんからな…」
霞「…そういえば、飲み水って備蓄あったっけ?」
白雪「そういえば、食糧庫に水はなかったし…」
清霜「貯水装置にあったお水も司令官とみんなが全部持ってっちゃっているよ!」
吹雪「そういえば、叢雲ちゃんが話してたの聞いたことあるかも…。うちの鎮守府は無人島にあって水道がないから真水は貴重だって」
川内「水がないって、それまずいじゃんっ!」
U-511「なんかよく分からないけど、大変そう…」
龍驤「これはまずいなぁ…。食料の方は何とかなるかもしれんけど、水がないのはあかんでぇ」
吹雪「と、とにかく、山の方に行けば湧き水とか出てるかもしれません! みんなで探しましょう!」
白雪「そうだね吹雪ちゃん、とにかく手分けして探しましょう」
龍驤「そうやな、とにかく水を優先して探すで! そんで、もし食べ物とかがあったら適宜場所を覚えとくようにな!」
「「はーい!」」
U-511「あ、あの…」
川内「ん、どうかしたユー?」
U-511「ユーたちが歩いて探すよりも、川内さんの装備にある水偵を飛ばせば…」
「「…あ」」
清霜「ユーちゃんすごい! よく気づいたね!」
霞「あ、あたし以外にも少しは出来るやつがいたようね。ほ、褒めてあげるわっ!」
川内「ユー、よく気づいたね! 私なんて装備してるのに全然気づかなかったよ…」
伊58「ユー、えらいでち!」ナデナデ
U-511「え、えへへ…」
吹雪「やったね、ユーちゃん! お手柄だよ!」
龍驤「それならウチの艦攻でも探せるで!」
白雪「じゃ、じゃあさっそくお願いします!」
古鷹「ちょっとまって! 燃料はどうするの? 海を渡ったり偵察機を飛ばすには燃料がないとダメだよね? でも、燃料は確か…」
吹雪「そういえばそうですね…。私たちはご飯を食べれば生きることが出来ますけど、海を走ったり、偵察機を飛ばすには燃料や資材がないと…」
U-511「ユー、間違えちゃったかな…?」
伊58「そんなことないよー! ユーは、いい案を出してくれたでち!」
川内「今のところ私の装備の燃料は満タンだけど、もし燃料も少なくなってるなら節約しないとだね! とにかく資材の確認だね、倉庫に行こうよ」
清霜「そうですねっ! ほら、霞ちゃん行こっ!」
霞「あー、もうっ! だからあんまりひっつかないでよぉっ!」テレテレ
吹雪「清霜ちゃんと霞ちゃんって仲いいよね」ボソボソ
白雪「なんだか、姉妹みたいだね」ボソボソ
川内「ほらほら、駆逐艦、早く行くよ!」
吹雪「あっ、ごめんなさい! 今行きますっ!」
古鷹「駆逐艦の子といると、こんな事態なのに気が軽くなるね」
龍驤「そうやなぁ~。こんな時やからこそあの娘らにはあのままでいてほしいなぁ」
清霜「古鷹さんも龍驤さんもはやく来てくださいよー!」
龍驤「あっ、ちょっと待ちや!」
古鷹「ちょ、ちょっとみんな走るのはやいよー!」トテトテ
~倉庫~
伊58「えっと、燃料は…」
U-511「…少しはあるみたいだけど、もうほとんどないね」
古鷹「これは、無駄遣いはできないね…」
川内「じゃあ、水偵は無し?」
龍驤「そうやなぁ。こんだけ少ないともしもの時に備えてなるべく使わないようにせんとあかんなぁ…」
吹雪「ちなみに弾薬は…」
白雪「弾薬はそこそこあるみたいだよ、魚雷も結構残ってるみたいだね」
伊58「おっきな魚雷大好きですっ!」
霞「でも、こんな状況じゃ弾薬や魚雷があってもねぇ…」
白雪(そもそも勝手に使っていいのかな? …まぁ、一大事だししょうがないよね)
川内「まぁ、とにかく! 燃料が少ない以上なるべく自力でいろいろと動かないといけないね」
清霜「じゃあ、山で湧き水探すの? 冒険!?」
霞「ちょっと清霜! 遊びじゃないのよ!」
吹雪「え、えっとじゃあどうしますか? 飲み水の方が大事だから山班を6人、海班を3人っていう編成にしますか?」
龍驤「せやなぁ…、なぁ潜水艦のお二人さん。海潜って魚突いてこれたりする?」
伊58「もちろんだよぉー!」
U-511「まかせて。必ず成し遂げて見せます…」
龍驤「ほんなら、お二人さんには海潜って魚獲ってきてもらおうか! 潜水艦なら燃料の補給も少なくて済むしなぁ」
古鷹「じゃあ、海班はせ、潜水艦の2人と…さっきまで同じ班だった川内ちゃんが付き添ってあげてよ。それで、もしもの時は水偵を飛ばしてくれれば…」
白雪「そうですね、緊急事態に備えて龍驤さんと川内さんは別になった方がいいですね」
川内「夜じゃないからちょっとテンション上がらないけど、任されたよ!」
清霜「じゃあ、私たちは山だねー! 戦艦と一緒に行きたかったけど…」チラッ
吹雪「残念だけど、戦艦のみなさんは全員司令官と一緒に行っちゃったよ」ペターン
白雪「でも、戦艦の人がいれば確かに安心できたかも…」ペターン
龍驤「まぁまぁ、ウチがおるんやから安心してやぁ!」ツルペタン
霞「…ちょっと清霜、なんで私たちの胸をチラチラ見てるのよぉ」ペターン
清霜「別に? 見てないよー」
古鷹「…私、一応重巡なんだけどな」チョコン
龍驤「それじゃあ、ウチら6人は山に…」
川内「私たち3人は海に!」
「「艦隊、出撃します!」」
鎮守府丸ごとの捨て艦戦法されたんか……
廃墟鎮守府の人
~山班~
龍驤「ちゅーわけで、現在1400。海班と落ち合うんが1800やからみっちり4時間湧き水探すでー!」
古鷹「ついでに食べられる果実や野草などがあれば採取してね!」
古鷹「でも! 分からないやつは触ったり食べちゃダメだよ! これは絶対大丈夫ってやつだけでいいからね?」
吹雪「分かりました! よぉし、吹雪頑張ります!」
霞「はぁ…ちょっと待ちなさい!」
清霜「どうしたの、霞ちゃん?」
霞「アンタ達、どうやって湧き水を探すつもり?」
吹雪「それは、適当に歩いて…?」
白雪「それしかないんじゃないかな?」
霞「はぁ…ほんっと、バカばっかりね」
古鷹「霞ちゃん、何かいい作戦があるの?」
霞「いい? まず探すのは湧き水が通った跡よ! それをみつけたらその跡を登っていけば見つかる可能性が高いわね」
龍驤「なるほどなぁ~、そりゃ効率的や!」
霞「それと崖の下には要注意ね、普段は土の中に隠れている水脈がむき出しになってる可能性があるの」
清霜「わー、霞ちゃん物知りだねぇ! すっごいすっごい! 霞ちゃんすごいよー!」ダキッ
霞「だ、だからぁ、あんまり引っ付かないでってばぁ!」カァァ///
古鷹「でも、本当にお手柄だよ、霞ちゃん!」
龍驤「よっしゃ、じゃあ霞が言うてたことに気ぃつけて探すでー!」
吹雪・白雪「「はーい!」」
古鷹「それにしても…ここ、小さな島だけど真水の湧き水出てるのかなぁ…」
龍驤「それは、もう運任せやなぁ…」
吹雪「きっとありますよ!」
白雪「えっと、湧き水の後、崖の下…」ブツブツ
清霜「…あっ! 霞ちゃん、これって」
霞「何か見つけたの?」
清霜「この虫、なんて虫?」
霞「む、虫って…もうっ! 真面目にやってよ!」プイッ
龍驤「清霜ぉ~、虫なんて無視や無視」チラッ
古鷹「…」
吹雪「あ、あははっ、虫と無視をかけたんですね!」
龍驤「よぉ分かったなぁ吹雪!」ニコニコ
白雪(吹雪ちゃん、偉いなぁ。ちゃんと先輩をたててあげて…私も見習わないと!)
古鷹「はーい、みんな真面目に探すよ」(それにしても最後に水を飲んでからだいぶ経っちゃっているからさすがに喉が…)ゼェハァ
清霜「はーい。じゃあ、よく分かんない虫ばいばい」
霞「真面目に探すとは言っても…なかなか見つかるものじゃないわよね。足元も悪いし結構疲れるかも」
龍驤「せやなぁ…深追いは危険かもなぁ」
古鷹「でも、水がないとどうしようもないんだししっかり探さないと」
吹雪「そうですよね、あっ」ブルッ
白雪「ん、どうかした、吹雪ちゃん?」
吹雪「い、いや、ちょっとお手洗いに…と思ったけど鎮守府から結構離れちゃったからトイレがない…」モジモジ
清霜「吹雪ちゃんトイレしたいの? じゃあ私達向こう向いてるね!」
吹雪「そ、そんな外でなんて…」
龍驤「どうせ誰も見てへんねん、向こうの方でさっと済ましちゃい~」
霞「ちょっと待った!」
吹雪「どうしたの、霞ちゃん?」
霞「今、かなりのどが渇いてる娘はいる?」
白雪「私はまだ大丈夫だよ」
清霜「私も、大丈夫そう!」
龍驤「ウチもまだ大丈夫そうやで」
霞「古鷹は?」
古鷹「じ、実は結構…」
龍驤「…無理もないなぁ。ウチと駆逐艦は身軽で足も軽いけど、古鷹は『何かあったら…』ちゅうて艤装をつけながらウチらについてきたんやから」
吹雪「ご、ごめんなさい古鷹さん! 古鷹さんの事を考えず、私たちのペースで行ってしまって…」
古鷹「い、いやいや、それは大丈夫だよ! みんなのせいじゃないから!」
清霜「ど、どうしよう!?」
霞「だいじょうぶよ。…吹雪、古鷹におしっこを飲ませてあげて」
吹雪「う、うん! …ん?」
白雪「か、霞ちゃん何言ってるの!?」アワアワ
霞「別に適当に言ってるわけじゃないのよ?」
霞「出したてのおしっこはほとんど無菌らしいの。だからこういう時にはおしっこを飲んで生き延びるんだって」
吹雪「で、でも…」
霞「とにかく! こんなところで脱水症状なんかになったら危険でしょ!」
龍驤「せやなぁ…、吹雪お願いできるか? その間にウチらはまた水を探すから」
吹雪「え、えっと…」チラッ
古鷹「…吹雪ちゃん、お願いできるかな? 私、さっきからちょっとふらつくし、みんなに迷惑かけないようにするにはしょうがないことだもん…」
吹雪「わ、分かりました。じゃ、じゃあその、ここではあれなんで向こうで…」スタスタ
古鷹「う、うん…」スタスタ
白雪「古鷹さん…、大丈夫かな」
霞「と、とにかくあたしたちだっていつまでも水を飲まないわけにはいかないんだから、頑張って探しましょ」
龍驤「そうやなぁ…」
白雪「それにしても霞ちゃんってサバイバルとか得意なの? すごい良く知ってるみたいだけど…」
霞「いや、偶然知っていただけよ。さっき吹雪も言っていたけどここって真水が貴重なのは知ってるでしょ?」
龍驤「そうやなぁ…、いつも大量に仕入れとったもんな。雨水の貯水装置もしっかりしとるみたいやし」
霞「それでね、ここに着任したての頃…といっても最近だけど、足柄に捕まってね。お酒に付き合わされたのよ」
白雪「うん」
霞「あんまり思い出したくはないんだけどね? 悪酔いした足柄が『はぁー、お手洗いしたくなっちゃたわぁ、でも立つのが面倒~』って言ってきて…」
龍驤「ふむふむ」
霞「それであたしは、『だらしないわね、早く行きなさいったら!』って言ったら、足柄が『でも、確か尿って無菌なのよね? だったら、ここでしても水を零しちゃいましたぁ、で許されない?』なんてこと言ってきたのよっ!」
龍驤「あちゃー、そりゃぁそうとう悪酔いしとるなぁ」
霞「かなり泥酔してたわね…」
白雪「きっと霞ちゃんが着任したのがうれしかったんだね」
霞「そ、それでも、ちゃんとするところはちゃんとしないとダメなんだからっ!」
霞「ちょっと話が逸れちゃったわね。それで私が『ちょっと、ばっちいったらぁ!』って怒ったんだけど…」
霞「そしたら今度は大淀が『でも、尿は出した直後ならほとんど無菌だからサバイバルなどでは飲まれることもあるそうよ』って言ってきて…」
霞「で、そんな会話からここでは真水が必要って話になって、いろいろと水について教えてもらったの。湧き水の探し方とかもその時に聞いたのよ」
白雪「へぇ、そんなことがあったんだね」
龍驤「ちょっとキミィ、そんな楽しそうな飲み会ならウチも誘ってやぁ」
霞「あたしだって半ばむりやり参加させられたんだから他の人を誘うなんて無理よ!」
龍驤「そうかぁ~、なら今度はみんなで飲むでぇー!」
白雪「でも、その知識が役立ったんだからすごいよね」
霞「そうね…ってあれ、清霜は?」キョロキョロ
吹雪「た、ただいま戻りました」
古鷹「みんな、ごめんね」
白雪「あ、吹雪ちゃんに古鷹さん。終わったんですか?」
吹雪「う、うん、なんとか、ね///」
古鷹「私も、大分ふらつきもなくなったし、とりあえず何とかなりそうだよ」
霞「ちょ、ちょっと二人とも! 清霜がどこに行ったか知らない!?」
吹雪「え、清霜ちゃん? 私たちの方には来てなかったけど…」
霞「ど、どこ行っちゃったの!?」
霞「清霜ー!!」
…………霞ちゃーん
霞「清霜っ!?」ダッ
龍驤「ウチらも行くでっ!」
吹雪・白雪「「はいっ!」」
古鷹「うんっ!」
霞「清霜っ!」
清霜「あっ、霞ちゃん見てみてぇー! なんだか湧き水の通り道みたいなのの跡を辿ってたら、お水あったよ!」バシャバシャ
龍驤「お、おぉ! でかしたで、清霜!」
白雪「すごいよ、清霜ちゃん!」
吹雪「お、お水だ! あ、あんなに恥ずかしい思いをしたのに、すぐ見つかっちゃうなんて…」ガックシ
古鷹「…吹雪ちゃん、ごめんね? 私が不甲斐ないばっかりに吹雪ちゃんに…」
吹雪「い、いえっ! そんなことないですよ! …そうですよね、今はお水が見つかったことを素直に喜びましょう!」
古鷹「…! そうだねっ」ニコッ
清霜「霞ちゃん、私やったよ! 褒めて褒めてっ!」ワクワク
霞「…バカっ!」
清霜「えっ…」
霞「バカバカぁっ! 清霜のバカぁー!!」ウルウル
清霜「霞ちゃん…」
霞「心配…心配したんだからぁっ!」ダキッ
清霜「うわっ!?」
霞「どこかに行っちゃったんじゃないかって…、またあたしの前から居なくなっちゃうんじゃないかって…」ギュー
清霜「か、霞ちゃん、落ち着いて、ね?」
霞「…」ゴシゴシ
霞「…あたしったら、ダメね。清霜がせっかく水を見つけてくれたのに喜んだり褒めたりじゃなくてバカなんて言っちゃうんだから…ごめん、清霜」
清霜「…そんなことないよっ!」
清霜「あたし、嬉しかった…! 霞ちゃんに、褒めてもらえるよりも、霞ちゃんが心配してくれて…バカって言ってくれて嬉しかった!」
霞「清霜…」
清霜「バカって言われて…だけど、霞ちゃんがあたしを大切に思ってくれてるのが伝わってきて…」
清霜「とってもあったかい気持ちになったよ? お水を頑張って見つけて本当に良かったって思えた!」ニコッ
霞「清霜…、ありがとねっ」ニコッ
清霜「そんなことよりっ! 霞ちゃんも喉乾いてるでしょ?」
清霜「お水飲んでよ! みんなも、たくさんあるから飲んで飲んでぇ!」
吹雪「うんっ、行こっ白雪ちゃん!」
白雪「うん!」
龍驤「はぁ~、どうなることか思ったけどなんとかなったなぁ」
古鷹「そうだね、とりあえず水は確保できたね」
ごくごくごく
吹雪「ぷは~、生き返るよっ!」
白雪「なんだかとってもおいしく感じるね」
龍驤「よぉ~し、喉も潤ったし、水を持って川内たちんとこ行こかぁ」
古鷹「そうだね、きっと3人とも喉乾いてると思うし」
霞「そうねっ!」
清霜「お水をたくさん汲んでっ…」ジャバジャバ
古鷹「こういうのは私に任せてよっ!」ジャバジャバジャバ
吹雪「わぁ、古鷹さん力持ちです!」
清霜「よぉーしっ! じゃあ行こーっ!」オーッ
霞「ちょっと清霜っ! 焦ると転ぶわよっ! …ほらっ!」ギュッ
清霜「あ、ありがと霞ちゃん!」ギュー
霞・清霜「「」」トテトテ
吹雪「二人とも手を繋いで、やっぱりすっごく仲良しだね」
白雪「なんていうか、さっきの霞ちゃんが清霜ちゃんに本心ぶつけてからさらにいい雰囲気になったね」
龍驤「ふ、古鷹、そんなに持って大丈夫かいな?」
古鷹「よゆーだよ! さっきまで迷惑かけちゃってたから挽回しないとね!」
吹雪「あ、白雪ちゃんも足元気を付けてね?」
白雪「ありがと、吹雪ちゃん。吹雪ちゃんも気を付けてね?」
~波止場~
吹雪「川内さーん、ゴーヤちゃーん、ユーちゃーん! お水とってこれましたよー!」
伊58「海の中からこんにちはー! あっ、お水持ってきてくれたんでちか?」
U-511「ユー、ちょうど喉が渇いてました…」
川内「水が見つかったんだね! 良かったー!」
白雪「清霜ちゃんが見つけてくれたんですよ。さぁ、皆さんもどうぞ!」
霞「清霜に感謝しなさいねっ」
伊58「水だ―! うーんっ! おいしいでちっ!」ゴキュゴキュ
U-511「生き返ります…」ゴクゴク
川内「はぁーっ、補給もばっちりねっ!」ゴクゴク
龍驤「それで、そっちはどうだったんや?」
伊58「ふっふーん、見たらきっと驚くよ?」
清霜「えっ、どうだったのぉ?」
伊58「ドラム缶の中からー…こんにちはー!」ジャジャーン
古鷹「うわっ、すごいっこんなにたくさんっ!!」
川内「うん、ゴーヤもユーもすごかったよっ」
霞「さすが潜水艦、海の中なら敵なしね」
清霜「ゴーヤちゃんもユーちゃんもすっごいよー!」
吹雪「こんなにたくさん食べ切れるかなぁ…」
白雪「ま、まぁまぁ、保存しておいてもいいんじゃないかな?」
吹雪「あっ、そ、そうだったね」
龍驤「まぁ、こんだけあれば、当分は大丈夫やなぁ。水も見つかったし食料の方はなんとかなりそうやな」
古鷹「そうだね! …えっと、あ、なんだかんだもう日が落ち始めてきちゃったね」
霞「えっと、清霜が水を見つけてくれたから…まだ、1700ね」
川内「やっと、夜が来るのねっ!」
U-511「ユー、お風呂入りたいかもです…」
伊58「ゴーヤもお風呂入りたいよー」
川内「そうだね、潮風でもう髪の毛ぼっさぼさだよ…。これから夜戦なのにこんなんじゃテンション上がらないよー」
清霜「たっくさんお水持ってきたからお風呂も入れそうだよ!」
古鷹「じゃあ、とりあえず鎮守府に戻ろうか?」
「「了解!」」
吹雪「ふぅ、今日は一日中歩き回ったから疲れちゃったなぁ」ノビー
白雪「そうだね、私も疲れたなぁ…」
キラッ
吹雪「ん、あれ…?」ゴシゴシ
白雪「どうかしたの、吹雪ちゃん?」
吹雪「なんだろう…今、水平線上になにか光らなかった?」
白雪「水平線上に…? うーん、私には見えなかったけど…」
吹雪「うーん…、見間違いかなぁ…」
伊58「吹雪、白雪どうしたでちー? 早く来るでち」
吹雪「あ、今行くよー! ごめん白雪ちゃん。多分、私の見間違いだと思う。行こっ!」
白雪「うん、そうだね!」
♦ ♦ ♦
・9月12日 1900
~鎮守府~
白雪「夕ご飯、完成しました!」
吹雪「夕ご飯とはいっても、ゴーヤちゃんとユーちゃんが獲ってきてくれたお魚とわかめの味噌汁とほんの少しの麦米ですけど…」
清霜「うわぁ、すっごくおいしそう!」
霞「そうね、早く食べたいわね」
伊58「はやく食べようよー」
U-511「ユー、お腹すきました…」
川内「おっ、出来たんだっ!」
古鷹「こちらもお風呂の準備できてるからご飯食べ終わったら入ろうね」
龍驤「よぉーし、ご飯もできたしお風呂の準備もできたし…。ウチらだけでもなんとかなるもんやなぁ」
龍驤「というわけで、みんな座った?」
「「はーい」」
龍驤「それじゃあ、いただきます!」
「「いただきます!」」
清霜「うんっ、美味しいっ! よーし、たくさん食べて戦艦に…」
吹雪「ご飯は少ないけどお魚は多めに準備してるからたくさん食べれるよ!」
川内「夜の為に腹ごしらえしないとねっ!」
♦ ♦ ♦
古鷹「ふぅー、ごちそうさまでした」
清霜「おいしかったぁー! これであたしも戦艦に近づけたかな?」
霞「清霜ったらまた…」
伊58「満腹でち」
吹雪「お粗末様でした!」
白雪「お魚たくさん焼いたのに、なくなっちゃったね。ま、まぁ私もたくさん食べちゃったけど…」
U-511「ユー、ご飯食べたら少し眠くなってきたかも…」ウトウト
川内「ちょっと、ちゃんとお風呂入ってから寝ないとダメだよ!」
龍驤「じゃあ、キミ達はお風呂入ってやぁ。食器はウチと吹雪と白雪で片づけとくからなぁ」
霞「あたしたちも手伝うわよ」
吹雪「大丈夫だよ、この位なら3人でやっちゃえばすぐ終わるから! 霞ちゃんたちはお風呂入っちゃてて」
川内「そうだね、順番に入っちゃった方が効率良いし…だいぶ眠そうな娘もいるみたいだしねー! ここは任せても大丈夫?」
U-511「」ウトウト
白雪「もちろんです。みなさんはゆっくりくつろいでいてください!」
伊58「ユー、寝ちゃダメだよ! お風呂入らないとダメでち!」
古鷹「じゃあ、任せちゃうね? 3人ともよろしくね」
吹雪「はい!」
~お風呂場~
清霜「お風呂だー! 霞ちゃんはいろーう!」
霞「き、清霜っ! は、裸で抱き着かないでよぉっ! そ、その、いろいろ当たってるからぁ///」
伊58「あれ、なんかお湯少ない?」
U-511「ほんとだ…」
伊58「これじゃ、潜れないでちね…」
古鷹「みんなでお湯のかさまししながら入ろうね? いくら湧き水が見つかったからって限度はあるし節約しないとね」
伊58「そうでちね…」
川内「ふー、さっぱりするね!」バシャバシャ
おもしろい
清霜「霞ちゃん、髪洗ってあげるよっ!」
霞「そう? ありがとね。終わったらあたしも清霜の髪洗ってあげるわね」
清霜「霞ちゃんの髪さらさらだねー!」ワシャワシャ
伊58「ゴーヤもユーの髪を洗ってあげるでち」
U-511「Danke。ありがと、ゴーヤ」
川内「…私も洗ってあげよっか、古鷹?」
古鷹「え、いいよそんなの」
川内「えー、ちょっと残念かも」
古鷹「それより、夜の見張りの件だけど…」
川内「そうだね、駆逐の子と潜水艦の子は疲れてるだろうし私たちで、っていうか私だけでもいいけど、夜なら任せてよっ!」
古鷹「私も夜は得意な方だよ。だから二人で担当しようね、一人じゃつまんないでしょ?」
川内「ほんとっ!? やっぱり二人の方がテンション上がるよねー!」
川内(なんか古鷹が夜っていうとエロく聞こえるような…ま、いっか)
古鷹(これだけ騒がしかったら私も眠くならないと思うし…)
霞「よし、清霜も洗い終わった?」
清霜「うん! 湯船に行こー!」
霞「そうね…うん、温度は丁度良いけど…」ザブーン
清霜「腰のあたりまでしかお湯がないね…」
伊58「ゴーヤに任せるでち!」ザブーン
U-511「ユーも手伝う…」ザブーン
霞「ん、かさが増えたけど、まだ肩までつかれないわね」
伊58「お湯の中潜りたいよー!」
川内「じゃあ、私たちが入れば肩までつかれる?」ザブーン
古鷹「さ、さすがに6人も入ると狭いね…」ギュウギュウ
古鷹(ご、ゴーヤちゃんの胸が…。せ、潜水艦だけど、仲間なんだし怖くない怖くない…)
川内「あっはは、ぎゅうぎゅう詰めだねっ」
霞「なんだか、別の意味で暑苦しいわね」
清霜「確かにちょっと狭いかも…そうだっ! 私が霞ちゃんにもっとくっつけば少しは余裕ができるよねっ!」モギュー
霞「きゃっ!? ちょ、ちょっと恥ずかしいったら!」カァァ///
U-511「これが、日本のお風呂…やっぱり楽しいです」
川内「さっ、あんまり長湯してるとのぼせちゃうからそろそろ出よっかー!」
古鷹「そうだね」
伊58「ぎゅうぎゅう詰めで結局潜れなかったでち…」
U-511「ゴーヤ、明日海でたくさん潜ろ?」
伊58「そうでちね」
霞「終わったら、白雪と吹雪と龍驤を呼びに行かないとね」ワシャワシャ
清霜「そうだね!」ワシャワシャ(そういえば、次は三人しかお風呂に入らないけどお湯の量は大丈夫かな…?)
川内「よしっ。はぁー、さっぱりした! じゃあ、龍驤たちを呼んでくるね」
古鷹「そうね、えっとみんなはこれからどうする? もう特に予定はないけど…」
伊58「ゴーヤはちょっとはやいけどユーと寝るでち」
U-511「Danke…」ムニャムニャ
清霜「私、霞ちゃんと一緒の部屋で寝たい!」
霞「えっ? そうね、今日は部屋に私一人だし、一緒に寝ましょ」
清霜「やった、霞ちゃんとお泊りっ!」
霞「お泊りって、ただ少し部屋が変わるだけでしょ…」
古鷹「今日はいろいろあって疲れたしゆっくりしてね? それじゃあ、おやすみ」
川内「おやすみー!」
古鷹「じゃあ、私たちは龍驤ちゃんたちを呼びに行こうか?」
川内「そうだねっ! よーし、夜だぁ!!」
~食堂~
古鷹「3人ともお待たせ」
吹雪「あっ、古鷹さん!」
古鷹「お風呂あがったから呼びに来たよ!」
白雪「ありがとうございます。あれ、他の艦娘さん達は…」
川内「あぁ、私たち以外は寝ちゃったよ! 今日は4人とも大活躍だったし疲れちゃったみたいだね」
古鷹「食器の片付けもありがとうね」
白雪「いえいえ、この位は別に何とも…」
龍驤「よし、ほんなら入りに行こうかー」
吹雪・白雪「「はい!」」
♦ ♦ ♦
~風呂場(入渠ドッグ)~
吹雪「うーん、なんだか私も眠いかも…」
白雪「吹雪ちゃんも? 実は私も…」
龍驤「ほっほーん、ならさっと入って今日はすぐ寝よか?」
吹雪「はい、そうします…」ワシャワシャ
白雪「汗でベトベトだったから気持ちいいですね」
龍驤「せやなぁ、潮風にもさらされたしさっぱりして生き返るようやなぁ」ワシャワシャ
ざっぱーん
吹雪「ふぅ、吹雪、綺麗になりました!」
白雪「うん、じゃあ、湯船に行こうか?」
吹雪「うん…って、なんかお湯が…」
龍驤「これはなぁー、寝っ転がって入るんやでぇ」ゴローン
吹雪「寝っ転がってですか? え、えっと、おおっ! 私の身長と湯船の長さがぴったりですっ!」ゴローン
吹雪「なんだか寝ながらお風呂入るって変な感じですね! でも、あったかくて気持ちいいかも…」
白雪「あっ、じゃあ私は吹雪ちゃんの隣に…」ゴローン
吹雪「わぷっ、水位が上がって…えっと、この段差に頭をのせれば大丈夫かな…」
白雪「ご、ごめんね。大丈夫、吹雪ちゃん?」
吹雪「うん、大丈夫だよ! って、この段差がちょうど枕代わりになって…、本当にこのまま寝ちゃいそう…」
白雪「枕代わり…、えっとこうかな? …あっ、ほんとにちょうどいい枕かも」
龍驤「こらこら、二人とも寝たらあかんでぇ」(ウチの身長だと足が延ばせないから膝小僧がちょっと寒いなぁ)
吹雪「ふぁぁーい…」ムニャムニャ
龍驤「欠伸で返事かいな」
白雪「うっ、まずいですね…このままだと本当に寝ちゃいそうです…」
白雪「吹雪ちゃんも本当に寝ちゃダメだよ。さ、上がろ?」
吹雪「あ、うん…そうだね。そろそろ上がろっか」バシャー
龍驤「それにしても…キミら髪の毛おろすと見分けがつかへんなぁ。白雪の髪の毛がちょいと茶色がかってるから分かるけど、もし黒かったらホントに分からへんでぇ」マジマジ
吹雪「そんなに似てますか…?」
白雪「うーん、でもこういうのって本人たちは分からないって言うし…」
龍驤「まぁ姉妹なんやし、似てても不思議じゃないなぁ。さっ、湯冷めする前に着替えるでぇ!」
♦ ♦ ♦
龍驤「んで、キミらはどうする? もう寝るん?」
吹雪「はい、すっごく眠いので…」
白雪「私も、もう寝ようと思ってます」
龍驤「そう? なら、おやすみ。ゆっくりやすみや~」
吹雪「はい、おやすみなさい」
白雪「おやすみなさい、龍驤さん」
龍驤「さて、ウチは川内と古鷹と合流しようかなぁ」
~吹雪型の部屋~
吹雪「ふぅ、今日は疲れたね…」ゴロン
白雪「そうだね」
吹雪「そういえば、白雪ちゃんと二人っきりって初めてだね」
白雪「そうだね、私たちが着任する頃にはもう叢雲ちゃんがいたから…」
吹雪「叢雲ちゃんも頑張ってるかなぁ」
白雪「きっと大活躍してると思うよ! 叢雲ちゃんの練度すっごく高いし」
吹雪「そうだね。うん、私たちも頑張らないとね!」
白雪「そうだね、頑張ろ!」
吹雪「それにしてもこの生活が後、1週間かぁ。大丈夫かなぁ…」
白雪「そうだね…。でも一応お水の確保は出来そうだし、ゴーヤちゃんとユーちゃんが魚をたくさん獲ってくれるからなんとかなるんじゃないかな?」
吹雪「うーん、そうだよね!」
白雪「うん! それじゃあ、今日はもう寝ようか? おやすみ、吹雪ちゃん」
吹雪「うん、白雪ちゃんもおやすみ」
~朝潮型の部屋~
霞「えっと、清霜はそこの朝潮ねぇの布団使ってね」
清霜「うん、分かった!」
霞「なんか朝潮ねぇ以外と部屋で一緒なんてちょっと違和感…」
清霜「朝潮型で着任してるのは朝潮ちゃんと大潮ちゃんと霞ちゃんだっけ?」
霞「そうよ。いつもは大潮ねぇがうるさいけど、いざ居なくなっちゃうと少し物足りないわね…」
清霜「霞ちゃんってお姉さんたちが大好きなんだねっ!」
霞「なっ! …ま、まぁ尊敬はしてるわね。二人とも自慢のお姉ちゃんよ、練度もすごいし頼りになるし」
清霜「霞ちゃんには姉妹の艦娘さんがいて羨ましいなぁ」
霞「そういえば、夕雲型で着任してるのは清霜だけだっけ?」
清霜「うん、そうなんだぁ」
霞「うーん、まぁ小さい鎮守府だからね…」
清霜「うん…。でも、私寂しくないよ!」
霞「そうなの?」
清霜「うん! だって霞ちゃんがいるもんっ!」
霞「そ、そうなの? …あ、ありがとね清霜」ゴニョゴニョ
~潜水艦の部屋~
伊58「ユー、布団まで頑張るでち」
U-511「うん、あと少し…」ウトウト
伊58「ふぅ、なんとかベッドまでつけたでち…」
U-511「ゴーヤ、Danke…」ドサッ
伊58「ちょっとユー! そんなに勢いよく倒れて大丈夫?」
U-511「すぅ…すぅ…」zzz
伊58「あれ、もう寝ちゃったの? は、はやいでちね…」
伊58「それにしても、この部屋に来てから思っていたんだけど本当に何もない部屋でち…」
伊58「訓練は何度かしたけど着任してからまだ一回も出撃してないんだよね…。初日と2日目はよっぽど暇な鎮守府だとおもったけど…」
伊58「大規模作戦が発令されたって聞いて出撃する間もないくらい提督は忙しかったって納得したでち」
伊58「イムヤは大丈夫かなー。元気でやってるといいけど…」
ひょいっ
伊58「それにしても、この髪飾り…。なんでゴーヤの髪飾りがベッドの横にあったんだろう…?」
伊58「ゴーヤは自分のを持っているのにどうして着任したてのゴーヤの部屋にもう一つ同じ髪飾りがあったのかな…」
伊58「うー、考えても分からないよぉ…。うん、もう寝ちゃうでち!」
♦ ♦ ♦
~鎮守府見張り室~ 2200
龍驤「お二人さん、風呂あがったでぇ」
川内「おっ、来たねー!」
古鷹「吹雪ちゃんと白雪ちゃんは寝ましたか?」
龍驤「もう寝るって言ってたで」
古鷹「そう…、みんな活躍してくれたもんね」
川内「さぁーて、じゃあ早速夜戦に…」
龍驤「夜戦って…。キミ、それよりも今は話し合いやろぉ?」
川内「あっ、そうだったね…うーん、せっかくの夜なのに夜戦出来ないなんてー!」
古鷹「え、えっと、じゃあ早速今の状況について話し合おうよ!」
龍驤「そうやな、明らかに異常事態やで、これは」
川内「そうだね、駆逐艦の娘達は楽観的に見てるけど明らかにおかしいよ」
古鷹「明らかにおかしいのは2点。1つ目は、食料、真水がなかったこと。無線室が使えなかったって言うのはもしかしたら提督たちが出発した後に壊れてしまった可能性があるけど食料がないって言うのは考えられないよね」
川内「そうだね、もし無くても何か一言くらいはあってもいいよね」
龍驤「あきらかにおかしいよなぁ」
古鷹「そして2つ目。1週間という間、この鎮守府で過ごすというのに私たちに何も指示がくだらなかったこと」
龍驤「それや。1週間もの間、鎮守府を留守にするというのに提督はウチらに何も指示を出さなかった」
川内「そうだよね。私たちは着任したばかりでまだまだ鎮守府の事には詳しくない。普通なら、鎮守府の管理などで注意事項などを言ってくれるはず」
古鷹「出発までそこまで時間がなかったわけでもないのにおかしいよね」
龍驤「そうやなぁ。これじゃぁまるで…」
古鷹「そうだよね…。これじゃ、『捨てられた』みたいだよね」
川内「うっ!…まぁ、薄々気づいていたけどさ。いざ、言葉にされると現実味を帯びるね…」
龍驤「ま、まぁ、まだ決まったわけではないやどな。燃料が少し残っていたり、それにユーやゴーヤは本当に着任したばかりやからな」
古鷹「そうだよね。捨てると決まっている鎮守府に新しい艦娘を着任させるわけないと思うけど…」
川内「うーん、考えれば考えるほど分からないなぁ」ノビー
キラッ
川内「んっ?」ゴシゴシ
古鷹「川内ちゃん、どうかした?」
川内「…今、海の向こうでなにか光らなかった?」
龍驤「ん? ウチには見えへんかったでぇー、なにかあったんか?」
川内「うーん、見間違いかなぁ…」
古鷹「月の光が反射しちゃったんじゃないかな? ここは基本的に船は通らないし、ほど近い陸地もないし」
川内「うーん、月の光だったのかな」
龍驤「まぁ、とにかく駆逐艦と潜水艦に余計な気を負わせる必要もないから捨てられたっちゅう可能性は今は黙っとこうな」
古鷹「そうだね。捨てられたって言う確証がないのに不安を煽る必要はないよね」
川内「そうだねっ!」
龍驤「そんじゃ、ある程度話もまとまったことだしウチらも交代で休もかー?」
川内「えーっ、せっかくだしなんかしたーいっ!」
古鷹「でも、明日もいろいろしないとだし…ちゃんと休んでおかないとダメだと思うな」
川内「むぅ…分かったよ」
♦ ♦ ♦
・9月13日 0500
吹雪「ふわ~ぁ…よし」ヌギヌギ
吹雪「今日もランニングを、っと待って。そういえばいつもはランニングしたら当たり前のようにご飯を食べてたけど…今日はご飯、ないんだよね?」
吹雪「…給仕の人や鳳翔さん、間宮さんには感謝しないとだね。本当にいつもありがとうございます」
吹雪「うん、せっかく起きたし私が作ろうかな。まぁ作るとは言っても昨日のお魚と麦米と味噌汁しか作れないんだけどね…」
吹雪「味噌汁は…ワカメの味噌汁かな? …朝ごはん食べ終わったらアサリとか採りに行ってみようかな。…採れるかな?」
吹雪「まぁ、とにかく厨房に行かないと」
~厨房~
吹雪「よし、着いた…ってあれ、古鷹さん?」
古鷹「あれ、吹雪ちゃん?」
吹雪「あ、おはようございます古鷹さん!」
古鷹「うん、おはよう! もしかして朝ご飯作りに来てくれた?」
吹雪「はいっ!」
古鷹「そっかぁ。あれ、今日はランニングはしなくていいの?」
吹雪「あ、はい。今日はご飯を作らないとなって思って…って、私がランニングしてたの知っているんですか?」
古鷹「うん、吹雪ちゃん着任してから毎日朝早く走っているでしょ?」
吹雪「は、はい! まさか見られてたなんて…なんだかちょっと恥ずかしいです…!」カァァ///
古鷹「なんで恥ずかしいの? 私、吹雪ちゃんが着任してからは吹雪ちゃんのランニングを見ることで今日も一日頑張ろうって思ってたんだ」
吹雪「そ、そうだったんですか! え、えっとありがとうございます…?」
古鷹「お礼を言うのは毎日元気をもらってたこっちの方だよ、ありがとね吹雪ちゃん」ニコッ
吹雪「…!」
古鷹「今日だって走ってきていいんだよ? 朝ごはんは私が作るから」
吹雪「い、いえっ! 私も手伝いますよ! 二人でやればすぐです!」
古鷹「そうだね。じゃあ一緒に作っちゃおっか」
吹雪「はいっ!」
川内「古鷹ー、なんか手伝おうかっ?」
川内「あれ、吹雪も起きてきたんだ? おはよっ!」
吹雪「おはようございます! 川内さんももう起きてたんですね!」
川内「もうって言うかずっと起きてたけどね」
吹雪「えっ」
古鷹「川内ちゃんったら、ちゃんと寝てって言うのに全然寝ようとしないんだもん」
川内「まぁまぁ、いいじゃんいいじゃんっ! それより何か手伝おうか?」
古鷹「うーん、簡単なものしか作らないし私と吹雪ちゃんで作っちゃうから大丈夫そうかな」
川内「そう? んー、じゃあみんなを起こしてくる?」
吹雪「えっと、ご飯は後15分くらいで出来そうなので、できればお願いしたいです!」
川内「オッケー! じゃあ起こして食堂に呼べばいいかなっ?」
古鷹「うん、じゃあお願いね」
川内「了解したよっ!」テクテク
古鷹「じゃあ、川内ちゃんが起こしてきてくれる間に完成させちゃわないとね」
吹雪「はいっ!」
~食堂~
白雪「吹雪ちゃん! ごめんっ、私全然吹雪ちゃんが起きたの気づけなくて朝ご飯のお手伝いできなかったよ…」
吹雪「そ、そんなに謝ることないよ白雪ちゃん。私だって今日はたまたま古鷹さんのお手伝いしただけだから」
白雪「…次、何かすることとかあったらすぐ私に言ってね? 何でも手伝うから!」
吹雪「うん、ありがと白雪ちゃん」
清霜「みなさん、おはようございます!」
霞「おはよう」
伊58「おはようでち! …朝ごはんありがとでち!」
U-511「Guten Morgen。おはようございます、みなさん」
龍驤「おはようさん! お、出来とるなぁ」
古鷹「うん、とはいっても昨日の夜ご飯とほとんど同じだけど…」
川内「いやいや、ありがたいよ!」
龍驤「それじゃあ、いただきます!」
「「いただきます!」」
伊58「朝ご飯を食べないと力が出ないでちからね」
U-511「和食はやっぱりおいしい…」
清霜「たくさん食べて戦艦になるぞー!」
霞「うん、おいしいわね」
~食後~
古鷹「ところで、これからの予定なんだけど…」
吹雪「とりあえず、やらないといけないのはお水の確保ですね!」
古鷹「そうだね、また昨日の所で補給だね」
霞「今日は私に任せなさいっ!」
清霜「清霜も手伝うよっ!」
古鷹「じゃあ水汲みは私と霞ちゃんと清霜ちゃんでやるね」
吹雪「私は食器の片付けとか昨日の洗濯物とかを片付けちゃいますね!」
白雪「あ、私も手伝うよ!」
龍驤「じゃあ、ウチも手伝うでぇ!」
吹雪「ありがとうございますっ!」
川内「じゃあ私たちは、また魚を獲りに行こうか?」
伊58「海の中ならまかせるでち!」
U-511「ユーも頑張ります」
古鷹「よし、とりあえず役割は決まったね」
霞「そうね」
清霜「今日はお水だけじゃなくて、食べられそうな山菜とかあったら採ってきますねっ!」
龍驤「おぉ、それは助かるなぁ」
吹雪「楽しみにしてるねっ!」
白雪「山菜があれば、油も少し余ってたしてんぷらが作れるかも…」
川内「よし、じゃあご飯も食べ終わったし動き始める?」
龍驤「そうやなぁ、じゃあ行きますか」
古鷹「じゃあ、また後でね」
白雪「みなさん、気を付けてくださいね!」
霞「ただ、水を運ぶだけなんだから危ない事なんて別にないけど…」
清霜「うん、気を付けていってくるね」
古鷹「じゃ、霞ちゃん、清霜ちゃん行こ?」
霞・清霜「「はーい!」」
川内「ゴーヤとユーは私がしっかり見ておくから安心してよ!」
伊58「昨日よりもたくさん獲ってくるでち!」
U-511「期待していてください…」
川内「よーし、いこーっ!」ムニャムニャ
吹雪(川内さんだいぶ眠たそうだけど大丈夫かなぁ…)
吹雪「じゃあ、私たちも始めますか?」
白雪「うん、そうだね!」
龍驤「よぉーし、ぱっぱと終わらせるでぇー!」
♦ ♦ ♦
~川内・伊58・U-511サイド~
川内「ムニャムニャ…」
伊58「川内ー、川内ったらぁ!」
川内「はっ!ど、どうしたの?」
U-511「川内さん、眠いの…?」
川内「あ、あぁー、やっぱり朝は眠いねぇ…」
U-511「川内さん、少し眠ってても大丈夫です…」
川内「え、でも…」
伊58「川内は潜れないから、少し位休んでてよ! お魚はゴーヤたちに任せるでち!」
川内「ん、そうかな? …じゃあ、お言葉に甘えて少しだけ寝させてもらうねっ」
U-511「ユーとゴーヤに任せて」
川内「うん、お願いね…」
川内「すぅ…すぅ…」zzz
伊58「よーし、ユーどっちがたくさん獲れるか勝負でち!」
U-511「負けない…!」(川内さん、よくこんなところで眠れる…)
~1時間30分後~
伊58「だいぶ獲れたねー」
U-511「ちょっと疲れた…、えっと…1時間30分くらい経ってる」
伊58「そろそろ戻るでち?」
U-511「うん、じゃあ川内さんを…川内さん、川内さん…起きてください」ユサユサ
川内「ん、んんっ…夜…?」
伊58「川内、大分獲れたからそろそろ戻るでち」
川内「あっ、そっか私眠ってたんだっけ…、ってすごい獲れてるじゃんっ!」
伊58「ゴーヤたちにかかれば楽勝でち!」
川内「うんうん、これだけあれば大分持つんじゃないかな! ワカメもたくさんだね!」
ざざざーんざざざざーん
U-511「今日は波があんまりたってなくて海が透き通ってたからやりやすかったです」
川内「ん、そうだねー、天気も良くて風もほとんどないし、海も…」
ざざざざざざざざざ
川内「ん…あれ、なんだろ…?」ゴシゴシ
伊58「どうしたでちか?」
川内「なんだろ、なんか黒い点が近づいてきてない?」
U-511「うーん、ユーには見えないです…」
川内「…いや、確かに見えるよ。…なんだか嫌な予感がする」
伊58「ど、どうしたんでち川内、そんなに考え込んで。鳥とかの群れじゃないの?」
川内「ゴーヤ、ユー、魚雷は装備してきてる?」
伊58「ぎょ、魚雷でちか?」
U-511「一応、装備はしてきてます…」
川内「良かった…」ボソッ
川内「ごめんちょっと水偵を飛ばすよ。お願いっ!」ブゥーン
U-511「どうしたのかな…」
ざざざざざざ…ざざざざ…
川内「…やっぱり! 駆逐、軽巡一隻ずつ! 敵艦だよっ!」
伊58「えっ!? て、敵でちか!?」
U-511「て、敵? ど、どうしよう、とりあえずみんなに…」アタフタ
川内「だめだよっ! ここから鎮守府まではそこそこ距離があるっ! 水偵もまだ戻ってきてないから助けは呼べない、ここで迎え撃つよ!」(あの程度なら私達だけでやれる…!)
伊58「そ、そんないきなり言われてもまだゴーヤとユーは実戦経験が…」
川内「それでも、やるしかないよ! ゴーヤとユーは先制で魚雷を撃つ準備をして! 二人とも軽巡を狙ってね!」
川内「少しは訓練したでしょ?」
U-511「はい、ユーもゴーヤも先制魚雷を打つ訓練は少しだけどしました」
川内「それなら大丈夫! 訓練通りにやれば必ず当たるから! 駆逐は私が沈めるから、2人はとにかく軽巡を狙って!」
伊58「わ、分かったでち! 怖いの二つ…大丈夫、ゴーヤなら大丈夫!」バシャーン
U-511「ユー、出ます」バシャーン
川内「くるよっ!」
駆逐イ級「」ざざざざ
軽巡ホ級「」ざざざざ
川内「よし、砲雷撃戦よーい! 撃てー!」
伊58「ゴーヤの魚雷さんはお利口さんなのでち!」ドゴーン
U-511「Feuer!」ドゴーン
シュルルルルルッルル
どがーんっ!
敵軽巡「ぎゃぁぁ!」ぱらぱら…(砕け散る音)
川内「敵軽巡、撃破! 後は駆逐だけっ…!」シュー
敵駆逐「ぐおおおおおっ!」
川内「夜戦じゃないけどこれくらいならっ…! 沈めっ!」ドガドガーン
敵駆逐「ぐぎゃあああっ!」ぱらぱら…
ぱりぱりぱりーん…しゅぅぅぅ
川内「敵駆逐撃破っ! ゴーヤ、ユー勝ったよ!」
伊58「や、やったでちっ! ユー、初撃破だよー!」
U-511「ユー、やったよ。軽巡倒せたよ」
川内「うん、二人ともいい先制だったよ! 初めての実戦なのに初撃でしとめるなんてすごいよっ!」
U-511「敵の駆逐艦、軽巡初めて見ました。目が青かった…」
伊58「怖いの倒せてよかったー!」
川内「よし、それじゃあ二人はお魚持って先に戻ってみんなにこの事を報告しておいて!」
伊58「わかったでち」
U-511「川内さんは、どうするんですか?」
川内「私は一応、鎮守府の周りに敵がいないかどうかを確認してから行くよ」
U-511「分かりました…、じゃあ先に戻ってます」
伊58「川内も気を付けるでち」
川内「うん、ありがとねっ! じゃあよろしくっ」
伊58・U-511「「了解」」
川内「…さて、一応確認しておかないとね。それにしてもなんで駆逐と軽巡が来たんだろ…?」
川内「…問題はあの駆逐と軽巡がたまたまこの鎮守府に来ただけなのか。それともなにか目的を持ってこの鎮守府にやってきたのか」
川内「後者だとしたらまずい…。私たちはまだ着任したばかりで、練度は低い。それにゴーヤたちは今のが初の実戦で吹雪と白雪も確か実戦経験はないはず」
川内「それに燃料も少ないし、敵と戦う力はほとんどない…」
川内「とにかくみんな…いや、龍驤と古鷹と後で話し合いだね」
川内「よし、鎮守府の周りに敵もいなかったしとりあえず私も戻ろう」スタスタ
♦ ♦ ♦
~会議室~
龍驤「なるほどなぁ…。でも、とにかく無事でよかったわ」
吹雪「まさか、そんなことになっていたなんて…」
白雪「ゴーヤちゃんもユーちゃんもすごいです!」
霞「駆逐と軽巡が2隻、どうして鎮守府に…?」
清霜「なんでだろう…」
川内「あっ、みんな揃ってるね」
古鷹「川内ちゃん、お疲れ様。大変だったね」(駆逐艦の娘達が心配そうにしちゃってるね…)
吹雪「でも、本当にどうして鎮守府に敵が…?」
川内「うーん、多分航路を外れちゃった敵だったんだと思うよ? …すごいぐにゃぐにゃと海の上を走っててとても目的地があるようには見えなかったし」
清霜「そうなんですか? でも…」
古鷹「私もそう思うな。だって小さいとはいえここは鎮守府だよ? たったの二隻なんてすぐ沈められちゃうもの。それに航路がめちゃくちゃだったんでしょ?」
川内「うん、だからそんなに心配することはないと思うよ」
霞「大丈夫よ、清霜! もし敵が来てもあたしがやっつけてあげるんだからっ!」
清霜「う、うんっ! でも私だって負けないよっ!」
龍驤「そうやな、たまたまはぐれた敵なんやからそこまで気にする必要はないやろ!」
古鷹「そうだね。…でも、これからは一応鎮守府近海を監視していた方がいいかもしれないね」
吹雪「そ、そうですね! 念には念をといいますし…」
龍驤「そうやなぁ、ならとりあえず今はウチが監視しに行くから」
川内「あっ、私も行くよ!」
伊58「お昼ご飯はゴーヤに任せるでち!」
U-511「ユーも手伝う…」
吹雪「あっ、私も手伝うよっ!」
伊58「吹雪は朝ごはんも作ってくれたし、お昼は私とユーで作るから大丈夫だよー!」
U-511「吹雪ちゃんと白雪ちゃんは休んでて大丈夫…」
吹雪「そ、そうかな? じゃあ、お任せするね?」
吹雪「じゃあ、私は鎮守府の裏の砂浜でアサリでも探しに行こうかな…」(アサリを漁りに…って思いついたけど言わない方がいいよね)
白雪「吹雪ちゃんアサリ採りに行くの? 私も行っていいかな?」
吹雪「もちろんだよっ! 霞ちゃんと清霜ちゃんも一緒に行かない?」
清霜「アサリ? もちろん私も手伝うよ!」
霞「それなら、あたしも手伝うわね」
吹雪「駆逐艦組だね! じゃあ早速行こうよっ!」トテトテ
伊58「まだお昼までは時間もあるしゴーヤたちは倉庫に行って魚雷の整備でもするでち」
U-511「魚雷は、大事…」
古鷹「じゃあ、とりあえずこれで解散ね。お昼までにはちゃんと食堂に集合ね? 駆逐艦の娘と潜水艦の娘はもし何かあったらすぐに私に報告してね」
古鷹「私は無線の確認をもう一度するために無線室にいるから」
「「はーい」」
古鷹「じゃあ、とりあえず解散ね」
♦ ♦ ♦
~鎮守府4階見張り室~
龍驤「それにしてもまさか航路を外れた敵艦が鎮守府の前を通るとはなぁ…」
川内「…そのことなんだけど、さっきは駆逐や潜水艦の娘がいたから言わなかったけどもしかしたら最初から鎮守府を狙っていたのかもしれないんだ」
龍驤「ん、どういうことや?」
川内「実は、さっきは目的もなしにぐにゃぐにゃ走ってるって言ったけど、敵艦は真っ直ぐにこの鎮守府めがけて航路を取ってたみたいなんだよ。まぁ、たまたまこっちに真っ直ぐ航路を取ってただけかもしれないけど…」
龍驤「なっ!?そ、それって…」
龍驤「で、でもちょっと待ちや! さっきも言ったけどここは小さいけどれっきとした鎮守府やで? いくらなんでもたったの二隻で…」
龍驤「それに、そもそも敵側がここに鎮守府があるっていう情報を持ってるかどうかすら怪しいで? ただ、陸地があったからちょっと寄ってみただけかもしれへんやん」
川内「うん、もしかしたらそうかもしれないけど…。でも今となってはこれを議論しても意味ないかも。だって、結局は敵艦を撃破せざるを得なかったし、敵側にこの鎮守府の存在がばれるのは時間の問題だよ」
龍驤「これはまずいで…。最低でも後1週間程度は他の艦娘は帰ってこない。いや、1週間たっても帰ってこない可能性さえある…」
川内「うん、それにこの島を脱出しようにも燃料はもうほとんどないし、近くに人が住んでいる島もない…」
龍驤「絶体絶命ってやつやなぁ、どうすればいいんや…」
川内「とにかく、1週間はなんとか生き延びて鎮守府を死守しよう。もしそれでも提督たちが帰ってこなかったら…」
龍驤「帰ってこなかったら…?」
川内「それはその時考えるしかないよねっ!」
龍驤「って、キミぃ、結構適当やなぁ…」
川内「だって、無線も使えない、この島から脱出も出来ない。だったらとりあえずはこの鎮守府を死守するしかないじゃんっ!」
龍驤「まぁ、せやな…。幸い弾薬、魚雷はそこそこあるみたいやしなにがなんでも1週間死守するでー!」
川内「やるしかないね!」
川内「…あっ、裏の砂浜で駆逐艦たちがじゃれ合ってる」
龍驤「なんやあの娘達はアサリを漁りに入ったんやないのか」チラッ
川内「…駄洒落?」
♦ ♦ ♦
霞「アサリを採りに行くってことは鎮守府の裏の海岸よね?」
吹雪「そうだね、裏の階段をぐるっと下っていこ!」テクテク
白雪「鎮守府の裏ってすごい崖だよね…」
清霜「だから、こんなに山の周りをぐるっと回るような階段の造りなんだね」
吹雪「そうだね、とても山を突っ切ってはいけないからね…」
霞「山をぐるっと回るからかなり遠回りよね」
白雪「でも、足腰は鍛えられそうだね」
~砂浜~
吹雪「ふぅ~、やっと着いたねー!」
清霜「戦艦になるためにもたくさん採るっ!」
霞「アサリだけじゃなくて他のも採りたいわね!」
白雪「よーし、頑張ろうね!」
吹雪「あ、さっそくおっきいの見つけたよ、あっ」
霞「あ、あたしが先に見つけたのよ?」
吹雪「わ、私だよっ!」トリッ
霞「あーっ! あたしが見つけたのよー!」ガバッ
吹雪「あっ、ちょっと霞ちゃん、飛びつかないでよっ!」ジタバタ
霞「返しなさーいっ!」グイグイ
吹雪「ちょ、ちょっと霞ちゃん、あははっ、く、くすぐったいよ!」
霞「アサリはあたしが貰ったわ」グッ
吹雪「やったなー…えいっ!」ガバッ
霞「きゃっ、ちょ、ちょっとやめなさいったら!」バタバタ
白雪「二人とも、服が砂まみれになっちゃってるよ!」
清霜「吹雪ちゃん、霞ちゃんと遊べて楽しそうだなー」チラッ
白雪「な、なにかな清霜ちゃん…?」
清霜「私たちも遊んじゃおっか!」ガバッ
白雪「ちょ、ちょっと清霜ちゃん!? あれは別に遊んでるわけじゃ」
清霜「問答無用でしょー!」
白雪「も、もう、みんな真面目にやってよー!」
~数分後~
吹雪「はぁ…はぁ…、アサリを採りに来ただけなのになんでこんな…」
霞「あ、アンタがしつこいからじゃない…」
白雪「もう、清霜ちゃんったら…」
清霜「なんだか、久しぶりに遊べた気がする!」
吹雪「でも、なんだかんだアサリは結構採れたね」
白雪「そうだね…だけど、かなり汚れちゃったし、お昼の前にお風呂入っておかないとダメだね」
霞「疲れた…」
清霜「じゃあ、お風呂行くよー!」
~食堂~
吹雪「戻りましたー」
龍驤「ん、もどったかー」
白雪「あ、龍驤さん見張りは…」
龍驤「あぁ、ゴーヤとユーに代わってもろたんや」
霞「そうなの? ならご飯食べ終わったら交代しに行かないとね」
清霜「そうだね!」
川内「そういえば無線の方はどうだった?」
古鷹「うーん、ダメみたい。うんともすんとも言わなかったよ」
龍驤「そうかぁ…まぁ、しゃあないわなぁ」
清霜「無線が使えないんじゃ、やっぱり私たちで頑張るしかないね!」
ドタドタドタ
伊58「た、大変でちっ!敵艦がこっちに向かってきてるでちっ!」
古鷹「ほんとっ!?」
U-511「まだ、遠くの方にいるけど向かっています…。ただ、ユーたちじゃ正確な艦種と数は分かりませんでした…」
龍驤「わかったで、全員出撃準備や! ウチと川内でまず敵艦隊の正確な数を把握するで!」
川内「了解!」
霞「行くわよ、みんな!」
吹雪「え、えっと…」アワアワ
古鷹「吹雪ちゃんは初出撃だっけ?」
吹雪「は、はいっ! わ、私と白雪ちゃんは初めてです!」
古鷹「大丈夫、まずは落ち着くことが大事だよ!」
吹雪・白雪「「はいっ!」」
龍驤「まずは艤装をつけに行くで!」
♦ ♦ ♦
~防波堤~
龍驤「みんな、準備はできたか? 敵は駆逐4軽巡2の水雷戦隊や」
古鷹「目の色はどうだったの?」
龍驤「全艦とも青緑や」
川内「制空権は取ったよ!」
龍驤「よっしゃ、まずはウチがかましたるで! 艦載機のみんなお仕事やで!」
古鷹「ゴーヤちゃんとユーちゃんは先制雷撃の準備をよろしく! なるべく接触をしないように先制で出来る限り沈めるよ!」
伊58・U-511「「了解!」」
川内「私たちは龍驤、ゴーヤ、ユーが沈められなかった敵を沈めるよ!」
古鷹「よし、みんな単縦陣だよ!」
「「了解!」」
龍驤「よしっ! 軽巡ホ級一隻中破、駆逐イ級一隻撃破! …あとは頼むでっ!」
伊58「よし、ゴーヤたちの出番でち!」
古鷹「二人とも龍驤ちゃんが中破させてくれた軽巡を狙って雷撃お願い!」
U-511「了解しました、行きます! Feuer!」ドゴンッ
伊58「魚雷さん、お願いしますっ!」ドゴンッ
しゅるるるるるるるー
どがぁんっ!! ぱらぱら…
川内「よし、中破してた軽巡撃破! 隣の軽巡も小破したみたい! ナイスだよゴーヤ、ユー!」
古鷹「よし、みんな気を引き締めて! 砲雷撃戦、用意!」
ガチャ
ざざざーん…
ざざざざざーん……
軽巡ホ級「ぐがぁぁぁっ」
古鷹「てぇーっ!」
どがぁぁんっ!
駆逐イ級「ぐぎゃっ」ぱらぱら…
清霜「よしっ、一隻撃破っ!」
駆逐イ級「ぎゃあああっ!」
霞「清霜っ!」
どがぁんっ!
清霜「うわっ、あっぶなー…か、霞ちゃんっ!」
霞「くっ…油断しちゃダメでしょっ! けどっ、仕留め損ねたっ!」
吹雪「お願い、当たってくださいっ!」ズガンッ
駆逐イ級「ぐぎゃっ」ぱらぱら…
霞「ナイスよ、吹雪!」
吹雪「霞ちゃんが、ダメージを与えてくれたから当てられたんだよ!」
古鷹「沈んでっ!」ドガァンッ
軽巡ホ級「ぎゃぁぁっ」ぱらぱら…
吹雪「さ、さすが古鷹さん、すごい火力です…!」
白雪「こ、これが実戦…!」
川内「ほら、白雪ぼやぼやしちゃダメッ! 後は駆逐だけだよっ!」
白雪「は、はいっ!」(訓練通りに訓練通りに…)
白雪「特型駆逐艦の力、ご覧くださいっ!」ズガンッ
駆逐イ級「ぎぃぃ!」
白雪「は、外し…」
川内「ナイス、白雪! 十分だよっ! よーっし、ファイアっ!」ドガン
どごぉん!
駆逐イ級「ぐぎゃあああ」ぱらぱら…
白雪「あ、ありがとうございます、川内さん。すいません、足を引っ張ってしまって…」
川内「いやいや、初の実戦にしては結構動けてたと思うよ!」
白雪「はい…」
古鷹「よし、これで全艦撃破できたみたいだね。みんな怪我はない?」
吹雪「か、霞ちゃんが…」
霞「大丈夫、ちょっと擦っただけよ」
清霜「ご、ごめんなさい、私が油断したのを霞ちゃんが庇ってくれて…!」ウルウル
清霜「ごめんね霞ちゃん、私のせいで…」
霞「こんな怪我くらいなんともないったら! それより、この反省を活かして次は油断しないようにするのよ?」
清霜「う、うんっ!」
川内「私と白雪も無傷だよ!」
白雪「はい…」
古鷹「よし、じゃあとりあえず鎮守府に戻るよ! 入渠まではする必要ないかもしれないけど、霞ちゃんの傷口を消毒しないと」
「「了解!」」
♦ ♦ ♦
~会議室~
清霜「霞ちゃん、大丈夫…?」ソワソワ
霞「だから、ただのかすり傷だったら!」
清霜「う、うん…」
龍驤「…みんな集まった?」
吹雪「えっと、川内さんがいないみたいなんですけど…」
龍驤「あぁ、川内には見張りに行ってもらってるんや」
龍驤「それでや。これから話すことは大事なことやからしっかり聞いてや」
龍驤「みんなも分かってるかもしれんけど、この鎮守府は恐らく敵に見つかり、標的にされている」
伊58「こんなみんなが居ない時に…」
龍驤「とにかくや。司令官が帰ってくるまではウチらだけで、鎮守府を守らなアカン」
霞「やるしかないみたいね…」
清霜「で、でも本当に立ち向かえるんですか…? 弾薬や魚雷はまだ余裕があるみたいだけど、燃料は…」
白雪「そうだよね…今の出撃で燃料は一人一回補給したらなくなっちゃうくらいまで減っちゃいましたよね」
U-511「ユーは魚雷さえあれば…」
龍驤「そこでや、燃料の消費を抑えるために魚雷を主体にした戦い方に切り替えるで」
白雪「魚雷を主体にですか?」
龍驤「そうや、海に出てもなるべく動かず鎮守府の傍から魚雷を発射する。敵を鎮守府に近づけてしまうんは危険やけど、この状況じゃあしゃあないんや…」
古鷹「そうだね、とにかく燃料の消費は最小限にしないとね」
吹雪「…」ブルッ
古鷹「…吹雪ちゃん、大丈夫?」
吹雪「は、はい…、みんな頑張っているのに私だけ弱音は吐けませんので…」
古鷹「吹雪ちゃん…」
龍驤「…まぁ、気を張りっぱなしでも疲れてしまうからな? 適度に緊張はほぐすんやで」
伊58「そうでちね」
U-511「分かりました…」
龍驤「ウチは夜ご飯の準備してくるからみんなはリラックスしててや」
吹雪「…あっ、私も手伝います!」
龍驤「キミはすごい動いたんだから休んでな? ウチは艦載機飛ばしただけやからそない疲れてないんや」
吹雪「い、いえ、そんなに疲れてません! それになんだか身体を動かしてないと落ち着かなくて…」
龍驤「そう? そんなら手伝ってや!」
白雪「吹雪ちゃんがやるなら私も…」
龍驤「ありがとな、じゃあ一緒に作ろか!」
龍驤「じゃあ、ウチらは行くな」
古鷹「うん、じゃあお願いしちゃうね、ありがと」ニコッ
古鷹(よし…、一回考えをまとめてみよう)
古鷹(恐らく、私たちはこの鎮守府ごと捨てられた。資材の無さ、提督から指示がなかったこと、そもそも鎮守府に私達みたいな練度の低い艦だけ残された時点でおかしかったんだよ)
古鷹(でも、もし本当に捨てられたとしたら一体鎮守府を捨てる理由って何だろう…? 確かにこの鎮守府は不便なところにあるけど…)
古鷹(執務室に何かヒントがあるかもしれない…。勝手に入ったらダメだけど、みんなが危険に晒されてる以上、というよりも捨てられたんなら勝手に入ってもいいよね?)
古鷹(よし、今から見に行こう。本当はみんなで固まっていた方が行動しやすいけど…しょうがないよね)
古鷹(えっと、川内ちゃんは4階の見張り室、龍驤ちゃんたちは厨房だから、潜水艦の娘と霞ちゃん、清霜ちゃんはこの会議室にいてもらおう)
古鷹「霞ちゃん、私ちょっとお手洗いに行ってくるね? もし何かあったらみんなをよろしくね?」
霞「…! ま、任せてっ!」
古鷹「それじゃあ、お願いね?」
♦ ♦ ♦
・9月13日 1700
~厨房~
龍驤「よし…、夕飯は吹雪や白雪たちが採ってきてくれたアサリがあるからちょっと豪華にできるでぇー!」
白雪「そうですね…アサリご飯にアサリとワカメの味噌汁、それにユーちゃんとゴーヤちゃんが獲ってきてくれた魚ですね!」
龍驤「ワインが飲みたくなるなぁ~」
吹雪「龍驤さん…」ゴソゴソ
吹雪「って、あれお水がもうない…」
白雪「あっ、あさりの塩抜きとか、私たちが体を洗い流したときに結構使っちゃったもんね…」
吹雪「龍驤さん、私、お水汲んできますね! 一人じゃそんなに持てないから白雪ちゃんも一緒に行こ!」
白雪「うん、手伝うよ」
龍驤「そんなら、ウチは軽く下ごしらえしとくなぁ、よろしく頼むで!」
吹雪・白雪「「はーい!」」
吹雪「じゃあいこっか、白雪ちゃん!」トテトテ
白雪「うん」トテトテ
♦ ♦ ♦
吹雪「今度は山登りだねー」
白雪「アサリを採りに行ったときは階段で山の周りをぐるっと回っていったけど、今度は山の中だね」
吹雪「うん、なんかこうなってくると山の中にも階段が欲しくなるね…。歩きにくい…」
白雪「そうだね…、ん…? あれ、階段の方からなにか来てない…?」
吹雪「え、階段…?」山の上から覗き込む
駆逐イ級「」のっそのっそのっそのっそ
吹雪「あ、あれって敵じゃんっ!」バッ
白雪「ふ、吹雪ちゃん、静かに! 体勢を低くして見つからないように!」バッ
吹雪「う、うん…。で、でもどうして敵が…。というよりそもそもあいつらって歩けたの?」ヒソヒソ
白雪「歩けたかどうかは分かんないけど…」ヒソヒソ
白雪「多分、私たちが鎮守府の正面でさっきの敵と会敵してる時に忍び込んだんだと思う…」ヒソヒソ
吹雪「そっか、その時に…。それに階段とはいっても山の木々で上からは見えにくくなっているし、そもそもこの島に入ってきてるなんて思わないから川内さんの見張りからも逃れていたんだね」
白雪「ど、どうする、吹雪ちゃん?」ボソボソ
吹雪「え、えっと、とりあえず敵の数を…」ヒョコッ
吹雪「敵駆逐3、敵軽巡1、後あれは…重巡かな?」ボソボソ
白雪「うん、多分重巡だと思うよ。そいつもいるから全部で敵は5だね」
>>115
最後の二行の敵の数を訂正します
【訂正後】
吹雪「敵駆逐4、敵軽巡1、後あれは…重巡かな?」ボソボソ
白雪「うん、多分重巡だと思うよ。そいつもいるから全部で敵は6だね」
吹雪「と、とにかく、私達だけでは相手できないよ! 鎮守府に戻ってみんなに報告しないとっ!」
白雪「そうだねっ! あいつらの動き、かなりのろいみたいだし、行こうっ!」ダダダッ
♦ ♦ ♦
~厨房~
吹雪「龍驤さんっ! た、大変ですっ!」
龍驤「どうしたんや、そんなに慌てて」
吹雪「て、敵が、山の中から!」
龍驤「敵? なにがあったんや?」
吹雪「え、えっとえっと」
白雪「敵の駆逐が4、軽巡が1、重巡が1。鎮守府裏手の階段からこちらに近づいています。恐らく私たちが鎮守府正面で敵とやり合ってる時に忍び込んだと思われます」
龍驤「な、なんやって!? それで敵はどこまで来てるんや!?」
白雪「はい、敵は海面とは違いかなり動くのが遅いので少しなら余裕があると思いますけど、それでももう結構近くまで来てると思います」
吹雪「それと、山の木々がうまく敵の姿を隠していたみたいなので川内さんもまだ気づいてないと思います!」
龍驤「よし、分かった! 吹雪、キミは確か走るのが速かったよな?」
吹雪「は、はい! 多分他の人よりは速いと思います!」
龍驤「それなら、会議室にいる子らを呼んで来てや! 後、見張り室にいる川内もや!」
吹雪「了解ですっ!」ダダダッ
龍驤「よし、ウチらは出来ることをやるで! 白雪、弾薬は積んでるか?」
白雪「はいっ! 連装砲と魚雷もありますけど…、陸地じゃ魚雷は使えませんね」
龍驤「よし、そんだけありゃ十分や! 敵側に空母はいないみたいやし、ウチが制空権を取るから、白雪は山に隠れながら、敵を撃破してや!」
白雪「は、はいっ!」(怖いけど…みんなを守らないとっ、私にできることを…!)
白雪(今度こそは…!)
♦ ♦ ♦
~鎮守府裏手、森の中~
龍驤「白雪、危なくなったらすぐに逃げるんやで? あいつらは動きがとろいんやろ?」
白雪「…はい!」
龍驤「…よし、行くで!」
龍驤「艦載機のみんなよろしく頼むで!」ブゥーン
ドガーンドガーン
龍驤「っち、ダメや、駆逐1隻撃破したけど他は近づいてきてるで!」
龍驤「白雪、頼むで!」
白雪「は、はいっ!」カマエッ
白雪「狙いよし…撃ち方はじめ…」ドガンドガガガガガ
重巡「うぼあーっ!」ノッソノッソ
白雪「っ…」(だ、ダメっ! 山に隠れながらだと木が邪魔で狙いが定まらないっ…)
白雪(このままじゃ、また足を引っ張っちゃう…)
龍驤「くっ、ダメや、火力が足りへんっ!」ヒューゥ(敵も大分鎮守府に近づいてきてる…!)
ドゴンッドガガガン
龍驤「よ、よし、軽巡中破や! …けど、止まらへん、このままじゃあかんでっ。吹雪はまだか!?」
白雪「…龍驤さん、ごめんなさい」
龍驤「ん、なんかいったk」
しゅばっ!
白雪「ここは通しませんっ!」ズガガ
駆逐イ級「ごぎゃああっ」ぱらぱら…
白雪「や、やりました! 敵駆逐撃破っ」
龍驤「白雪、何を勝手に階段の方に降りとるんや!」
重巡リ級「がぁ…」
龍驤「~~っ! さ、避けるんや!」
白雪「えっ」
重巡リ級「うぼぁーっ!」
どがんっどがぁんっ!
白雪「きゃあああっ!!」
龍驤「し、白雪っ!」
白雪「う、うぅ…」ボロッ(…やっぱり、私ってダメだな)
龍驤「ま、まずい! 白雪、走るんや! そんなところに居たら敵の格好の的に…!」
龍驤「くそっ、艦載機も間に合わんし…。ウチの足じゃなおさらやけどっ、助けるには走るしかあらへんっ! 白雪っ白雪、逃げるんや!」ダダダッ
白雪「っぐ…」ボロッ(龍驤さんの指示を無視して階段に降りて、結局迷惑をかけて。それなのに敵を止めることもできなくって、足を引っ張って…)
白雪「あぁ、ごめんなさい…」
重巡リ級「うぼぁーっ!」
どがぁんっ
白雪「ごめんね、吹雪ちゃん…」ギュッ
白雪ちゃんっ!
白雪「えっ」(誰かに持ち上げられた?)
ずどーんっ!
吹雪「…よかった、間に合ったみたい」ニコッ
白雪「吹雪、ちゃん…」
吹雪「ごめんね、遅くなって!」
白雪「ごめん、ごめんね…吹雪ちゃん。うっ、ぅぇっ…ぐすっ」ポロポロ
吹雪「白雪ちゃん私が来るまで頑張ってくれたんだね、後は私に任せてっ!」
龍驤「吹雪っ、よくやったで!」
吹雪「はいっ!」
重巡リ級「うぼぁーっ!」どがんどがんっ
龍驤「吹雪っ! 川内達はどうしたんやっ!」
吹雪「そ、それが会議室にも見張り室にも誰もいなくて…」
龍驤「な、なんやとっ…いったいどういう事や」
敵重巡「うぼぁーっ!」どごぉぉん!
龍驤「あ、アカン、ここにきて敵の弾幕が激しくなっとる…! って、ま、まずっ」シュバッ
駆逐イ級「ぐぎゃああっ!」
どがぁんっ
龍驤「こ、こりゃあちょーっちピンチやで…」ボロボロッ
吹雪「りゅ、龍驤さん! くっ、私がみんなを守るんだからっ!」ドガァンッ
駆逐イ級「ぎゃぁぁぁっ」ぱらぱら…
吹雪「よ、よしっ」
重巡リ級「うぼぁーっ!」
吹雪「うわっ、あ、危ないっ」ヒョイッ
龍驤「くっ、ふ、吹雪、一旦退くんや! 立て直すでっ!」
吹雪「は、はい! 白雪ちゃん! 白雪ちゃんしっかりして!」(すごいケガ…私がおぶるしかない…!)
吹雪「大丈夫だからね」オブリ
白雪「う、うぅっ…」
龍驤「吹雪、はよせい!」
吹雪「は、はいっ! はぁ…はぁ…」
ずがぁんっずどぉんっ
白雪「ふ、吹雪ちゃん…私はいいから、もうここで降ろして?このままじゃ吹雪ちゃんまで…」
吹雪「嫌だよ! 絶対助ける、白雪ちゃんを置いて行く位なら、ここでやられた方がましだよっ!」
白雪「吹雪ちゃん…」
龍驤「よ、よし、! 吹雪、白雪、こっちや!」
ずががんずどんっ!
吹雪「はぁ…はぁ…」
白雪「うぅっ…」(最後まで私は迷惑を、不甲斐ないよ…自分が情けないよ…)ギュッ
白雪「ほんとに…ごめん、ね……」ガクッ
駆逐イ級「がぁぁっ!」どがぁんっ!
龍驤「あかんっ! 吹雪、白雪避けるんや!」
しゅばっ
龍驤「ふ、ふるっ」
吹雪「よ、避けられなっ」(ここまでか…やっぱり私なんて…)
どがんどがぁんっ
吹雪「あ、あれ、無傷…?」
古鷹「大丈夫? 吹雪ちゃん、白雪ちゃん?」
吹雪「ふ、古鷹、さん…?」
古鷹「良かったよ、間に合って」ニコッ
吹雪「ふ、古鷹さん、わ、私の代わりに敵の攻撃を…」
古鷹「あんな駆逐艦の攻撃なんて、私には効かないから大丈夫だよ」
吹雪「古鷹さんっ、古鷹さんっ…私もうダメだと思って…白雪ちゃんもいるのに、避けられなくって…」ポロポロ
古鷹「吹雪ちゃん…」ナデナデ
吹雪「ごっ、ごめんなさいっ…」ポロポロ
古鷹「…」ギュッ
古鷹「さっ、泣いている場合じゃないよ。まだ敵はいるんだから、吹雪ちゃんまだ戦える?」
吹雪「はいっ!」
龍驤「吹雪っ! 白雪っ! 古鷹っ!」ズルッズルッ
古鷹「龍驤ちゃんも大丈夫!?」
龍驤「まぁ、ちょっち、な。ほんのちょーっちだけまずいなぁ…たはは」
古鷹「…じゃあ、白雪ちゃんを頼めるかな? ここは私と吹雪ちゃんに任せて」
龍驤「…了解や。今のウチじゃ足手まといやしなぁ…」
龍驤「…中破しても大破してもええから、生きて帰ってくるんやでっ!」ニコッ
吹雪「はいっ! それじゃあ白雪ちゃんをお願いしますっ!」
龍驤「む、気絶しとるな。分かった、二人とも暴れてきてなっ!」グッ
龍驤(くぅっ、こりゃ足に来とるなぁ…。いや、ウチよりもまずは白雪を入渠させへんとダメや)ズルッズルッ
古鷹「よし、とりあえずは安心だね。吹雪ちゃん、今の敵の情報は?」
吹雪「は、はい、えっと…重巡1、駆逐1、軽巡1です!」
古鷹「了解。なら、まずは軽巡から沈めるよ」
吹雪「は、はいっ!」(…本当に勝てるのかな。敵の重巡、かなり大きい…)ブルブル
古鷹「…吹雪ちゃん、怖い?」
吹雪「い、いえっ、大丈夫ですっ!」ビシッ
古鷹「大丈夫、落ち着いて。私が必ず守るから。…同じ場所で眠るのは、前世の私達だけで十分だもんね」ニコッ
吹雪「…! はいっ!」ドキッ(震えがなくなった…)
古鷹「よしっ、行くよっ!」
吹雪「はいっ! 吹雪、頑張りますっ!」
吹雪「当たってくださいっ!」ズガガガッ
古鷹「まずは、あなたですっ! 沈んでっ」ドガァンッ
軽巡ホ級「ぐぎゃあああっ」ぱらぱら…
吹雪「や、やりましたっ!」
古鷹「まだだよっ! 最後まで気を抜いちゃダメッ!」
吹雪「はいっ!」
古鷹「敵は連携を取れてない、私たちは連携を取っていくよ! まずは駆逐を沈めるよっ!」
吹雪「はいっ!」
古鷹「吹雪ちゃん、私が弾幕を張って二隻を足止めするからその間、吹雪ちゃんは駆逐を集中して狙って!」
吹雪「分かりました!」
重巡リ級「うぼぁーっ!」
駆逐イ級「ぐぎゃあああっ」
古鷹「吹雪ちゃん、おねがいっ!」ズガガガガガガガガガガガガッ
吹雪「今だっ!」ズガガガッ
駆逐イ級「ぎゃあああああっ」
吹雪「なっ、し、しずまなっ…」
重巡リ級「ぐがあああ」ずがぁんっ
吹雪「あっ、まず…」(…当たるっ)
古鷹「危ないっ」ギュー
ずどぉんっ!!!
古鷹「うぐっ…」
吹雪「ふ、ふるっ…」
古鷹「うっぐぅ…よ、よそ見しないっ! …沈んでっ」ズガガァン
重巡リ級「ぐがあああああっ」ぱらぱら…
駆逐イ級「ぐぎゃああああっ」
吹雪「古鷹さんっ! 今度は私がっ、守るんだからっ!」ズガガガンズガァンッ
駆逐イ級「ぐがぁぁ」ぱらぱら…
吹雪「はぁ…はぁ…」
古鷹「…作戦完了だね、お疲れ様吹雪ちゃん」ニコッ
吹雪「古鷹さん…私…」
古鷹「ん、どうかした?」ボロッ
吹雪「わ、わたっ、し…ま、守られてばっかりで、ぐすっ…結局、古鷹さんに被弾させてしまって…、どうしていいか分からなくて…」ポロポロ(また…寒い、寒いよ…)ブルブル
古鷹「…でも、最後に吹雪ちゃんは私を守ってくれたよね?」
吹雪「あ、あんなのは…」
古鷹「私たちは艦隊(チーム)なんだよ? お互いが庇いあうのは普通の事なの。だから、私は吹雪ちゃんを庇ったの。でも、吹雪ちゃんも私を庇ってくれた」
吹雪「…」
古鷹「ね、だから、謝罪は無し! ね?」
古鷹「あ、もちろん感謝はしないとダメだよ? 吹雪ちゃん、ありがとねっ」ニコッ
吹雪(あったかい…。古鷹さんが私を暖かい場所にまで連れてきてくれたみたい…)
吹雪「うっ…ぐすっ、は、はい…、あ、ありがとうございます、古鷹さん」ゴシゴシ
古鷹「…落ち着いた?」
吹雪「はい、ありがとうございます…」
古鷹「もう、吹雪ちゃんは白雪ちゃんのお姉さんなんだからそんなに泣き虫じゃだめだよ」ナデナデ
吹雪「あっ…は、はい…///」(う、うわわ、な、何これ、顔が熱いっ!)
古鷹「よし、じゃあみんなの所に戻ろうか?」
吹雪「はい!」
吹雪「…あ、そういえば、川内さんとかゴーヤちゃんたちってどこに行ったか知ってますか?」
古鷹「え? 会議室にいなかったかな?」
吹雪「いえ、居なかったですけど…」
古鷹「あれ、おかしいなぁ…。まぁ、白雪ちゃんと龍驤ちゃんも心配だしとりあえず鎮守府に戻ろっか?」ニコッ
吹雪「は、はいっ!」ドキドキ
古鷹「…」
ふむ
♦ ♦ ♦
・9月13日 1710(ヒトナナヒトマル)
~見張り室~
川内「ふぅー、そろそろ夜戦の時間だなぁ…。敵もどうせなら夜に来てくれればいいのに、ってこんな時に不謹慎だね…」
川内「それにしても、今日は全然寝てないからさすがに眠いー!」ノビー
川内「それにしても、穏やかな海…」
川内「…ん、鎮守府正面からまた何か」ジーッ
ざざざざざざざざざ・・・・・・
ざざざざざざざ・・・・・・・・
川内「て、敵艦隊っ! …軽巡1、駆逐3の水雷戦隊だっ」(眼は…青緑色に光ってるみたいだね)
ざざざざざざざざざ・・・・・・・・
川内「すっ、すごいスピードで真っ直ぐにこっちに来てる! くっそぉ、ここの放送も使えないし、走ってみんなに知らせないとっ」ダダダッ
~会議室~
がちゃっ
川内「みんなっ、いるっ!?」
清霜「どうしたんですか、そんなに慌てて?」
霞「古鷹はトイレに行ってるわよ」
川内「鎮守府正面から敵水雷戦隊が来ているよっ! みんな今すぐ準備してっ!」
伊58「了解でち!」
U-511「龍驤さん達は、呼ばなくてもいいんでしょうか…」
川内「敵はかなりのスピードで近づいてきてるっ! 厨房は鎮守府の裏手と繋がってるから呼びに行ってる暇はないよっ! 出撃場所に行くまでの途中、トイレによって古鷹だけ連れてすぐに出るよ!」
川内「それに、敵の数的にも私達だけで大丈夫だと思うからっ!」
「「了解!」」
~移動中~
川内「古鷹っ! …古鷹、トイレにいないじゃんっ!」
霞「そ、そんな…お、おかしいわよ! トイレに行くって言っていたのに」
川内「…とにかく急がないと! 私達だけでやるしかないね、ゴーヤ、ユー!」(古鷹がいないけど、敵は4隻…開幕雷撃をゴーヤとユーに2回ずつしてもらえば多分大丈夫なはず!)
伊58「な、なんでち?」
川内「二人の開幕雷撃で出来る限り撃沈するよ! …できる?」
U-511「はい、がんばります…!」
伊58「ま、任せるでち!」
川内「よし、行くよっ!」
~鎮守府正面~
川内「やっぱり、相当速いペースで来てる…。ゴーヤ、ユー、今すぐ準備して!」
伊58「こ、怖いの沢山いるでち…!」
U-511「たくさんいるけど、負けません…!」
敵水雷戦隊「」ざざざざざざ…
川内「よし、準備はいいね…、開幕雷撃一発目…てぇーっ!」
伊58「魚雷さん、お願いしますっ!」シュルルッルルルル
U-511「ユーの魚雷さん、頑張って…!」シュルルルッルルル
駆逐イ級A「ぐぎゃあああああっ」ぱらぱら…
駆逐イ級B「ぐぎゃっ」
伊58「やったでちっ! 敵駆逐1隻撃破だよ!」
U-511「沈め損ねました…、敵駆逐中破です…!」
川内「上々! よし、二撃目行くよっ! ゴーヤ、ユー、魚雷の準備はオッケー?」
ずざざっ…ずざざっ…
霞「ちょ、ちょっと、なんだか水雷戦隊の後ろからなにか来てない…?」
清霜「本当だ、何か…」
川内「なっ、あれは重巡と…あと駆逐二隻!? どうして…」
軽巡ホ級「ぐぎゃああああああっ!」どががんっ
U-511「いやっ…!」ボロッ
伊58「ユーっ!?」
U-511「ご、ごめん、ゴーヤ…。ユー、ちょっと浮上を…」
伊58「ご、ゴーヤの魚雷さん! ユーの仇を…!」シュルルルッルッル
駆逐イ級C「がああああっ」パラパラ
どがぁんっ
伊58「や、やった…きゃっ!?」
伊58「う、うぅっ…あぁ、私の水着がぁ…」ボロッ
川内「ゴーヤ、ユー!」
U-511「ごめんなさい、ユー、やられちゃいました」ボロッ
伊58「ちょっと、痛い痛いでち…」ボロッ
川内「二人は、安全な場所へっ!」(ゴーヤとユーが駆逐2隻を撃破、1隻を中破してくれた。残りは第二陣も合わせて敵重巡1隻、軽巡1隻、敵駆逐3隻、そのうちの1隻は中破…)
重巡リ級「うぼあーっ!」
川内(私のミスだ、きっと第一陣の後ろに第二陣も控えてたんだ…! 第一陣の姿がやっと見えるくらいの時に見張り室を出ちゃったからその後ろの第二陣の存在に気づけなかったんだ…)
川内「くそっ、もっと慎重に動けばっ…!」ガンッ
霞「川内、なにぼけっとしてんのよっ! とにかく第二陣が来るまでに第一陣を沈めなきゃったら!」
清霜「そうですよっ! 重巡でもなんでも来てちょうだいっ!」
川内「…そうだねっ! よしっ、まずはゴーヤとユーが中破にしてくれた駆逐、その後に軽巡を倒すよ!」(そうだ、私が弱気になったらダメじゃんっ!)
川内「行くよっ! 砲雷撃戦よぉーい…てぇーっ!」ズガガガガンッ
清霜「戦艦並みの火力見せてあげるっ!」ズガガガガッ
霞「沈みなさいっ!」ズガガガガッズガガ
駆逐イ級B「ぐぎゃああああ」ぱらぱら
川内「よ、よしっ…」
清霜「川内さん、危ないですっ!」
川内「えっ」
重巡リ級「うぼぁーっ!」どがぁん
川内「くっ…」ヒョイッ
川内「っぶなぁー、ありがと清霜!」
霞「っく…、敵が集まっちゃったわね! とにかくやるしかないわっ!」
川内「…とにかく、頭数減らすよっ! まずは駆逐から!」
霞「分かったわ!」
清霜「了解ですっ!」
川内「よし、バリバリ行くよっ…!」ズガガ
重巡リ級「うぼぁーっ!」どごぉん
川内「~~っ! 霞っ! 避けてっ!」
霞「え…」
清霜「霞ちゃんっ!」ダキッ
清霜「きゃあっ!?」ボロッ
霞「き、清霜っ、清霜っ!」
清霜「あっ、か、霞ちゃ…、良かった。今度は私が霞ちゃんを守れた、かな?」ニコッ
霞「バカっ! …ばかっ! 清霜ったら、なんで…」ポロポロ
川内「くっ…、沈んでっ!」ズガガガッ
駆逐イ級D「ぐぁああああああ」ぱらぱら…
重巡リ級「うぼぁーっ!」
ずがぁんっ
川内「くっ、いくよっ…!」ズガガガガッ
重巡リ級「うぼあーっ!」ずごぉんっずごおんっ
川内「くっ…! だめだっ、私達じゃ火力が足りない…」
霞「清霜っ! 清霜っ! しっかりして!」ユサユサ
清霜「霞ちゃん…あたしは大丈夫、それに私達は艦娘なんだから敵を倒して…」
霞「…違うっ! あたしは艦娘だから清霜を助けるのよっ!」ギュッ
霞「艦娘の役目は敵を倒すだけじゃない、仲間を助けるのも艦娘の役目なんだったら! あたし達は前世の時からそうしてきたじゃないっ」ギュッ
軽巡ホ級「うがぁぁっ!」ずどぉんっ
霞「清霜っ!私が守らないとっ…」ガバッ
清霜「霞ちゃん、逃げっ…」
川内「霞、清霜っ!」(ダメッ、間に合わなっ)
ずだぁんっ
ズドドドドドッ
軽巡ホ級「うがぁぁっ」ぱらぱら…
霞「あ、あれ…無傷…?」
川内「ど、どういうこと…? 艦娘は私たち以外居なかったんじゃ…」
青葉「どーも、青葉ですっ! …状況が呑み込めないんですが、とにかく助けに来ました!」
青葉「ここは青葉にお任せっ…!」ズガガガッ
駆逐イ級E「ぐぎゃあああっ」ぱらぱら…
青葉「川内ちゃん、行ける!?」
川内「あっ、う、うんっ!」
重巡リ級「うぼぁーっ!」
どごぉんっ
青葉「おっと、危ないですねー! 次はこっちですよっ!」ズガガガガッ
敵重巡「ぐわぁぁっ!」
青葉「川内ちゃん、とどめ行っちゃって!」
川内「とどめだよっ!」ズガガガッズガガガッ
重巡リ級「ぐ、ぐぁぁ…」ぱらぱら…
川内「はぁ…はぁ…、て、敵艦隊撃破っ!」
伊58「や、やったでち!みんなすごいよぉー!」
U-511「す、すごい…」
霞「清霜、大丈夫?」
清霜「うん、私は大丈夫だよっ」
霞「良かった…!」
川内「よ、良かった…、みんな無事みたいだね!」ホッ
川内「良かった…本当に…」
青葉「あ、あのぉー、これってどういう状況なんですかね?」
川内「はっ! そっか、え、えっと…青葉、よね?」
川内「えっと…、どうして青葉がここにいるの? 確かウチには着任してなかったはずだし、そもそも鎮守府に残ったのは私達だけのはず…」
青葉「いや、青葉もよく分からないんですけど、ついさっき着任してこっちの方から砲撃音が聞こえてきたから来てみたら、敵に襲われてて…」
川内「う、うーん…って、この話は後回しにしよっ! 今はみんなを入渠させないとっ!」
青葉「う、うん、了解ですっ!」
霞「清霜、今治してあげるわ」オブリ
清霜「うん…ありがとっ! 霞ちゃんカッコ良かったよっ!」
霞「な、何言ってるのよ…、べ、別にあのくらい」ゴニョゴニョ
川内「ゴーヤ、よく頑張ってくれたね」オブリ
伊58「すみません…治してくだち…」
川内「大丈夫、すぐに治るよっ」
青葉「あ、あのー、新入りの青葉型 1番艦 重巡洋艦の青葉です。あなたはU-511さんですよね?」
U-511「は、はい、ドイツ海軍所属、潜水艦U-511です…ユーとお呼びください」
青葉「お怪我が治ったら是非、お話しをっ!」
U-511「?」
~入渠ドッグ~
伊58「はぁー、痛いの痛いの飛んでいったよー」
U-511「ユー、万全です…」
霞「清霜、良かったわ…」
清霜「あの位ならすぐ治っちゃうよっ! 私、戦艦に近づけたかなぁー!?」
龍驤「いやはや、まぁみんな無事でよかったわぁ。それにしてもまさか、島の表と裏から同時に敵が侵攻してきてたとはなぁ…」
川内「敵側もこの島を本気で取りに来ているみたいだね…」
白雪「そうですね、明らかにこの島を標的にしています」
青葉「あのー、それでできれば事情を教えてほしいなーって」
龍驤「うーん、事情を話すと長くなるんやけどなぁ…。それにウチらもまだ分からないことが多いしなぁ」
川内「それよりも、私は青葉が何でここにいるのかが気になるよっ」
青葉「あー、そのことですけど、青葉もつい今さっき工廠で目を覚ましたばかりで何も分からないんですよね…」
龍驤「ほーん…」(…となると、捨てられたっていう可能性は減った、のか? 捨てる鎮守府にわざわざ新しい艦娘を着任させる必要はないもんなぁ)
川内「そっかぁ…、よしっ分かったよ! じゃあ、私たちも今の状況を教えるねっ!」
青葉「あっ、ちょっと待って下さいね…めもめも…、よしっ、いいよ!」
川内「まず、この鎮守府にどうして私達しかいないかだけど」
霞「2日前にこの鎮守府内の練度の高い艦娘はみんなはとある大規模作戦に参加するために別の大きな鎮守府に出発したわ」
清霜「ちなみに、みんなが帰ってくるのはあと5日位だと思いますっ!」
青葉「ふむふむ、なるほど」メモメモ
川内「まぁ、それでうちの鎮守府は小さいからみんなで分担して食事とかの担当を決めて取り掛かろうとしたんだよね」
白雪「はい。でも、そこで食料や水がないことが発覚して、さらに無線機器や鎮守府内の放送機器までもが使われてないことが判明したんです」
青葉「えっ!? ど、どういうことですかっ!?」
伊58「ゴーヤたちに言われても分からないよー、でも燃料とかもほとんど残ってなかったから助けを呼びに行くこともできなかったし」
U-511「それに、この鎮守府の周りには人の住んでいる島はないらしいです…」
青葉「な、なるほど、完全に陸の孤島状態だったんですね…」
霞「まぁ、ここはノンフィクションの陸の孤島だけどね」ボソッ
龍驤「それで、みんなで協力して食料や水の確保をしながら過ごしてたんやけどなぁ。…敵が攻めてきよったんや」
川内「うん、最初はこの鎮守府が目標かどうかわかんなかったけど、一旦撃破しちゃったから今は完全に狙われちゃってるってわけ」
青葉「ふむふむ…、なるほどそんなことが」
霞「だから、とにかくこの島で生き残るしかないってわけよ」
伊58「ゴーヤの魚雷さんにお任せでち!」
U-511「ユー、みんなの役に立てるように頑張ります…!」
川内「確かに、今は何とかなってるけどもし向こうが正規空母や戦艦を出して来たら…」
清霜「戦艦は強いからね…」
霞「…そんなこと言ったって現実は変わらないわ。とにかくあたし達にやれることをやりましょ」
白雪「そうだね。って、そういえば私まだご飯作ってる最中でした…。今から作りに…」バシャッ
白雪「…っつ」ズキッ
龍驤「ちょ、ちょっとキミ! 大破並みにぼろぼろの状態なんやからしっかり治さんとっ!」
白雪「そ、そうですよね…」ブクブク
龍驤「…」
青葉「あっ、夕食はまだだったんですか? それなら青葉にお任せっ」
川内「それなら、私も手伝うよ。青葉はまだ厨房がどこにあるか分からないでしょ?」
青葉「じゃあ、お願いしますね。よろしく、川内ちゃん!」
川内「オッケー…って、そういえばいつのまにか夜になってる! よーっし行っくぞー!」ダダダ
青葉「あっ、ちょっと待ってよー!」ダダッ
霞「はぁ、全く慌ただしいわね」
清霜「そうだね」
霞「清霜はもう大丈夫?」
清霜「うんっ、もうたーっぷりお風呂入ったから治っちゃってるよ!」
霞「じゃあ私たちもそろそろ出ましょうか」バシャ
清霜「そうだね!」バシャ
霞「じゃあ、私と清霜は先にあがってるわね」
伊58「分かったでちー! ゴーヤはもうちょっと水の中で…」ブクブク
伊58「ほら、ユーも潜水艦なら潜る練習をするでち!」
U-511「分かった、練習しよう…」ブクブク
伊58「ゴーヤもっ」ブクブク
白雪「…」
龍驤「…悔しい?」
白雪「えっ? な、何か言いましたか?」
龍驤「さっきの敵との交戦。ウチの指示を無視して戦闘不能になって、吹雪に助けられて」
白雪「…いえ、あれは私の力不足だったのでしょうがないことだと思います」
龍驤「ふーん、そうか…」
白雪「はい、勝手に飛び出して、戦えなくなって、吹雪ちゃんに助けられて、龍驤さんや古鷹さんに迷惑をかけてしまって…」
龍驤「…」
白雪「私はきっと役に立てると思ってたのに…みんなを守りたかったのに…」
白雪「くっ…悔しいですっ…。役に立てない自分が、悔しいです…」ポロポロ
龍驤「…そうやなぁ」
白雪「うぅっ…、ぐすっ」
龍驤「確かに悔しいやろなぁ。…でも、それはウチも同じなんやで?」
白雪「え…?」
龍驤「ウチだって白雪を守れんかったもん」
白雪「で、でもそれは、私が指示を無視してしまって」
龍驤「それでも守れんかったのは悔しいんやっ! ウチの前で被弾しそうな仲間を救えなかったのは悔しいんやっ!」
白雪「龍驤さん…」
龍驤「だから、次は守る。 そう心に決めた」
龍驤「ウチなあの時の白雪を見てて思ったんや。きっとこういう…仲間を想う気持ちが強いほど命令を無視しちゃうんやろうなぁ、って」
白雪「え…」
龍驤「だから、ウチだって…もし、自分が『やるしかない』って思ったら指示に背いちゃうかもしれん、ってことや」
龍驤「だから、白雪は悪く無い、仲間が大切やったんやろ、守りたかったんやろ?」ナデナデ
白雪「りゅ、龍驤さん…う、うぅぅ…ご、ごめんなさい、わ、私、私っ…!」ポロポロ
白雪「うぅっ」ギュー
龍驤「お、おっとっと、ちょ、ちょっちキミ! は、裸で抱き着かんといてやっ!」アセアセ
龍驤「なんや、大人びて見えててもやっぱりまだ子供やなぁ」ナデナデ
伊58「ぷはぁっ!」バシャ
U-511「ぷはぁぁ」バシャッ
白雪「はっ!?」バッゴシゴシ
伊58「なかなかやるでちね、ユー!」
U-511「疲れた…少し休みたい」
龍驤「おーい、潜水艦のお二人さんもそろそろ上がるで!」
伊58「分かったでち」
U-511「はい」
龍驤「白雪も上がるでぇ」
白雪「はいっ」ビシッ(龍驤さんって、すごいな…)
♦ ♦ ♦
・9月13日 2000
~敵艦隊撃破後、見張り室~
古鷹(執務室の資料を見てなんとなく分かった部分があった。)
古鷹(まず、この鎮守府の提督は徹底した合理主義だってこと。これは前々から思っていたけど私たちの提督は艦娘と必要以上の接触はしなかった)
古鷹(資料などを見ても、出撃や建造でも本当に無駄がなかった。とにかく合理性を重視していたことから潜水艦の娘達の資材集めもなかなか大変だったみたい)
古鷹(もう1つ。鎮守府の場所の重要性だよね。この付近は無人の島が多数点在している場所らしい)
古鷹(…そして、私達には知らされてなかったけど資料を見る限りこの鎮守府は深海側の本拠地の一つとほど近い場所にあるみたい。だからこそ、敵に見つからないように鎮守府を大規模にできなかったのかもな…?)
古鷹(そう考えると恐らく最初に川内ちゃんたちが会敵したのは本当に迷った艦だと思う。ここは潮流の関係で自然に航行していれば流れつかない場所だし、そもそも今までばれていなかったのだから)
古鷹(でも、そう考えるとおかしいことも出てくる。川内ちゃんたちの後に続いた敵艦隊だ。ここに鎮守府があるって分かっているはずなのになんであんなに中途半端な戦力を差し向けたのだろう)
古鷹(向こうにそこまでの知能がなかった…? いや、島の表と裏から同時に侵攻してきたりある程度の戦略思考は持ち合わせているはず…)
古鷹(じゃあなんで…)
古鷹(うーん、だめだ、何も思いつかない)
こんこん
古鷹「」ビクッ
吹雪「古鷹さん、吹雪です!」
古鷹「吹雪ちゃん? どうしたの」ガチャ
吹雪「あの、やっぱり、わ、私も見張り手伝います!」
古鷹「いやいや、さっきも言ったけど見張りは私一人で十分だよ? 吹雪ちゃんは体を休めてて」
吹雪「わ、私、古鷹さんと見張りがしたいんです!」
古鷹「そ、そう? ならお願いしようかな」(一緒に見張りがしたいなんてもの好きな娘だね)
吹雪「あ、ありがとうございます!」
吹雪「あの、さっきはありがとうございました!」
古鷹「いやいや、こちらこそ吹雪ちゃんには助けられたよ。ありがとね」
吹雪「あ、は、はい///」
吹雪「…」
古鷹「…」(空気が…)
古鷹「え、えっと…吹雪ちゃんは白雪ちゃん以外にも確か叢雲ちゃんが妹にいたよね?」
吹雪「は、はい! 叢雲ちゃんは練度が高いので司令官と一緒に大規模作戦に参加しに行っちゃいましたけど」
古鷹「そっかぁ。自慢の妹さんだね!」
吹雪「はい! 叢雲ちゃんはすごい強いので…私も負けないように頑張らないとっ!」フンス
古鷹「そうだね、叢雲ちゃんが帰ってくるまでに少しでも強くならないとね! というよりも吹雪ちゃんこの数日で大分練度上がったよね」
吹雪「そうですかね? 実践を何度もやっているからでしょうか?」
古鷹「恐らくね。 吹雪ちゃんだけじゃなくてここにいるみんなも少なからず練度は上がっているよ」
吹雪「な、なんだかやる気出てきました!」
古鷹「ふふっ」
吹雪「え、えっと…古鷹さんには姉妹が居ましたっけ?」
古鷹「うん、いるよ。加古って言う妹がいるんだけど…この鎮守府には着任してないんだ」
吹雪「そ、そうだったんですね」
古鷹「うん、でも今は吹雪ちゃんが妹みたいなものだから寂しくないかも!」ニコッ
吹雪「そ、そうですか、えへへ、なんか嬉しいです!」
古鷹「…吹雪ちゃんはこんな状況になっちゃったけど怖くない?」
吹雪「…怖くないって言ったら嘘になっちゃいます。でも、私には白雪ちゃんが、そしてみんながいるので、しっかりしないといけないんだって思うんです」
吹雪「古鷹さんが私を守ってくれたように、私もみんなを守りたいんです。」
古鷹「…吹雪ちゃんはもう十分みんなを守れてると思うよ」
吹雪「そ、そうですか?」
古鷹「うん!」
吹雪「な、ならもっと頑張りますね! 目標は叢雲ちゃん越えです!」
古鷹「ふふっ、きっと超えられると思うよ!」
吹雪「はい、私、もっと頑張りますよっ!」
古鷹(真っ直ぐな目…)
古鷹「…吹雪ちゃんは、もしもこのまま提督たちが戻ってこなかったらどうする?」
吹雪「司令官が…?」ウーン
吹雪「私は…私は、帰ってこなくても信じて待ち続けます」
古鷹「…どうしてかな? 私たちは状況的にこの鎮守府に置いてけぼりにs」
吹雪「司令官は帰ってこなかったとしても叢雲ちゃんは帰ってきてくれます。…約束したので」
吹雪「その為にも鎮守府は守ります。叢雲ちゃんが帰ってきたときに鎮守府を守れていなかったら、叢雲ちゃんに怒られてしまうので」タハハ
古鷹「…そうね」ニコッ
古鷹「なら、私は…そうだなぁ…。吹雪ちゃんが約束を守れるようにこの鎮守府を守ろうかな」ニコッ
吹雪「…っ!」カァァ///
吹雪「あ、え、えっと…」ドキドキドキドキ
古鷹「妹のお願いを聞くのはお姉ちゃんの役目だもんねっ!」
吹雪(…やっぱり私、古鷹さんの事が)
吹雪「…あ、あのっ!」
こんこん
吹雪「」ビクゥッ
川内「古鷹ー、見張り変わるよー!」
伊58「ご飯を食べてくるでち!」
古鷹「あれ、吹雪ちゃん何か言おうとした?」
吹雪「い、いやっ、何でもないです! え、えっとえっと早くご飯食べに行きましょう!」ダダダッ
古鷹「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ吹雪ちゃん! 二人とも見張りの交代ありがとねー!」ダダッ
伊58「って、居ないと思ったら吹雪ここにいたでちね、それに相当お腹が減ってたみたいだし」
川内「そうね、きっと夜戦に備えるのよっ!」
安価じゃないと何で人少ないかなあ…と、こういう艦これの質の良いss系をいつも見てて思う
読んでるよ
続きはよ
例え人が多くてもDASH島鎮守府みたいに必ずしもいいことがあるとは限らないからなぁ
かといって黙って見てても作者さんに読まれてるかどうか伝わらないから難しいね
読んでるよ
~食堂~
白雪「あっ、吹雪ちゃん! どこに行ってたの? 探しに行こうと思ってたところだったんだよ?」
吹雪「あ、ごめんね。古鷹さんと一緒に見張り室にいたんだ」
白雪「そうだったんだね」
吹雪「うん、白雪ちゃんも入渠終わったんだね! 良かったぁ」
古鷹「もうみんなはご飯食べたの?」
青葉「あっ、後は吹雪ちゃんと古鷹さんだけですよー!」
霞「青葉と川内が作ってくれたのよ」
清霜「おいしかったよっ!」
古鷹「へぇー、青葉が…」(それにしても白雪ちゃんたちの様子を見にちょっとだけドッグを覗いたら青葉がいてビックリだったよ)
青葉「むっ、どうして疑い深い顔を…」
吹雪「あ、あはは…じゃあ青葉さんいただきますね!」
青葉「どうぞどうぞ!」
古鷹「いただきます」モグモグ
古鷹「あ、なかなかおいしい」
青葉「きょーしゅくですっ!」ドヤッ
~食後~
古鷹「みんな、まだ眠くないかな?」
霞「まだまだ余裕よ!」
U-511「ユーも余裕です…」
古鷹「ありがとう! それじゃあさ、今から裏の階段を閉鎖しに行かない?」
龍驤「裏の階段…そうやな確かに壊しといたほうがええな。また裏から入り込まれたらかなわんからなぁ」
龍驤「敵は陸地での動きがのろかったみたいやし階段さえなければ山肌のあの崖を登ることは出来んやろ」
U-511「あ、あの…でもそれって、もし表側から敵が攻めてきたときにユーたちも裏から逃げることが出来なくなっちゃうんじゃ…」
霞「確かにそうね…、もしもの際に裏から逃げられないと手詰まりになっちゃうわよ! あたしは反対」
清霜「で、でも、もしも今日あったみたいに表と裏から入り込まれたらダメじゃない? …私は壊したほうがいいと思います」
霞「ちょっと清霜! それじゃあもし逃げなきゃいけないときどこに逃げるのよ! 鎮守府の裏手からはあの階段を通らないと海に出れないのよ!」
清霜「で、でもでも、もうどうせ燃料は少ないんだし、逃げられないんだったら片方の侵入経路閉じた方がっ…!」
霞「それでも、逃げる道は確保した方がいいったら! 後退しながら装備を整えて撃退することもできなくなるのよ? もし、裏道まで塞いじゃって追い込まれたらそれまでなのよ!?」
清霜「でもでもっ! 敵は固めて一網打尽にした方がっ」
霞「それで一網打尽に出来なかったらどうするのよっ!」
清霜「そ、それはっ…」
青葉「はい、みなさん落ち着いてください! 落ち着いて話し合いましょう!」
白雪「そうですね、まずはそれぞれの立場をはっきりさせましょう。裏の階段を崩して裏から敵を登れないようにするか、それともそのままにして逃げ道や装備を整える時間を確保できるようにするかですね」
龍驤「そうやな、じゃあまずは閉鎖する側の人は挙手してや」
龍驤「んー、ウチと古鷹と清霜と青葉の4人やな。ちゅーことは壊さない派は吹雪、白雪、霞、ユーやな」
吹雪「あ、あのっ、大事なことなので見張り室にみんなで行って川内さんとゴーヤちゃんの意見も聞きませんか?」
龍驤「そうやなぁ、一回全員集まるか」
~見張り室~
川内「ふーん、なるほどねぇ」
吹雪「で、川内さんとゴーヤちゃんはどちらがいいと思いますか?」
川内「そうだねー…」
伊58「ゴーヤは壊したほうがいいと思うよ!」
川内「えっ、壊さない方がよくないっ!?」
白雪「完全に分かれちゃいましたね…」
吹雪「どうしよう…」
青葉「あっ」
霞「どうしたの?」
青葉「青葉気づいちゃいました…!」
U-511「何に気づいたんですか…?」
青葉「いえ、見張りは常に1人つけるんですよね?」
古鷹「そうだね、常に1人はつけとく予定だよ」
青葉「それなら、すぐに裏の階段? とやらを壊せる装置を作っておいて、もしも島の表と裏両方から敵が来て本当にやむを得ないときにだけ階段を封鎖すればいいんじゃないですかね?」
霞「それなら、まぁ…。確かに両方からくる可能性と片方から大勢で来る可能性をどっちも考えたらそれが理想かもね」
清霜「青葉さんすごいですっ!」
青葉「い、いえいえ、この位ならっ!」
古鷹(青葉がうまくまとめてくれたね)
川内「じゃあ、道を塞ぐ工作は私に任せてよっ! これもある意味夜戦だよねーっ!」
川内「じゃあ、行ってくるねーっ!」シュバッ
U-511(忍者…)
古鷹「あっ、ちょっと待って! みんなに言っておかないといけないことがあるんだった」(もうこんな状況になっちゃったし、これは共有しておくべきだよね)
川内「おっとっと」タチドマリ
龍驤「なんや?」
古鷹「実はさっき執務室に入ったんだけどね」
霞「なっ、ちょっとアンタ! 勝手に執務室に入っちゃったの!? 鍵かかってなかったの!?」
古鷹「かかってたけど緊急事態だし鍵は壊しちゃった!」
霞「い、いや、そんはハキハキ言われても…。はぁ、まぁいいわ、話止めちゃって悪かったわね」
古鷹「いやいや。それでね、分かったことが2つ」
古鷹「まずは提督の徹底的な合理主義。これは龍驤ちゃんたちなら分かるかもだけど、あの提督は基本的にはすべて機械的にこなすの。だから、私達との接触などもほとんどなかった」
龍驤「確かにそうや」
伊58「合理的、でちか…」ズキッ
古鷹「それともう1つ。この鎮守府の場所について」
古鷹「私も今までは特に気にしたことなかったけど、ここって明らかに鎮守府のある場所としてはおかしいよね」
川内「そういわれるとそうかも…」
古鷹「それでね…この鎮守府は、敵の本拠地から程近い場所にあるみたいなの」
白雪「そ、それって本当ですか…?」
古鷹「うん、本当だよ。私達には知らされてなかった、というか執務室に隠されるようにその資料が置かれてたから多分艦娘は誰も知らなかったんじゃないかな」
青葉(なんでそのことを艦娘に伝えなかったんだろう…? 別に伝えたからって悪い方向にはいかない、むしろ重要な立ち位置に責任感を持てると思うんだけど…)
古鷹「だからこそ、敵がいつ来るか分からないからこれからも見張りは確実にしないとダメなの」
吹雪「そうですねっ!」
古鷹「うん。とりあえずみんなに伝えなきゃいけないことはこれだけかな…」
清霜「はぁ、なるほどぉ。」
清霜「はぁ、なるほどぉ。」
霞「なんか、すごい情報だけど、それを今知ってもあたし達にはどうしようもできないわね…」
龍驤「そうやね…。今は考えても仕方がないから今日はもう休んだ方がええかもなぁ」
伊58「なら、最初はこのままゴーヤが見張りするでちよ」
U-511「…?」(ゴーヤ?)
U-511「川内さんは、裏の階段に仕掛けを作らないといけないから、ユーも見張り手伝います…」
吹雪「うん、分かったよ。じゃあ、夜は…3時間で交代に来るね!」
清霜「昨日は古鷹さんと川内さんと龍驤さんがやってくれたから今日はあたし達でやろっ!」
白雪「えっと、それじゃあ、今が2200で…、最初がゴーヤちゃんたちだから私と吹雪ちゃんは0100~0400までだね」
霞「分かったわ。清霜、私たちは0400~0700よ」
清霜「分かったよー! あっ、なら早く寝ないとっ! 戦艦になるためにも! 霞ちゃん行こっ!」ギュッ
霞「えっ、今日も一緒の部屋で寝るの!?」
清霜「もちろんだよっ! …ダメだった?」
霞「い、いや、別にダメじゃないけど…」
清霜「なら行こっ!」ダダッ
霞「あっ、ちょっと引っ張らないでよっ!」
吹雪「私たちもいこっか、白雪ちゃん!」
白雪「そうだね」
吹雪「皆さんおやすみなさい」
白雪「おやすみなさい」ペコリ
青葉「川内さん、階段を塞ぐ仕掛けとやらを手伝いますよ」
川内「ホント? それは助かるっ!」
龍驤「ウチも手伝おうか?」
川内「いや、2人で十分な簡単な仕掛けだから大丈夫そうかな」
龍驤「そうかぁ。なんや、本当にやることなくなってしもうたなぁ」
古鷹「そうだね、じゃあお言葉に甘えて今日は休ませてもらおうかな」
龍驤「そうやなぁ」
古鷹「それじゃ、見張りはよろしくね」
伊58「…わかったでち」
U-511「了解しました…」
龍驤「そんじゃ、ウチもいくなぁー。おやすみさん」トテトテ
伊58「ユーも疲れてたら寝てもいいよー、ここはゴーヤに任せるでち」
U-511「…ゴーヤ、なんだか元気、ない…?」
伊58「…別に何も」
U-511「ゴーヤにもいろいろあること分かってる…。でも、ユー、ゴーヤの事もっと知りたい。悩んでるなら一緒に悩みたい」
伊58「ユー…」
伊58「…これ」手サシダシ
U-511「これ、ゴーヤの髪飾り。…でも今髪についてるし二つ目、買ったの?」
伊58「ちがうよ、これ、ゴーヤが着任した時に潜水艦の部屋に置いてあったの」
U-511「部屋に置いてあった…?」
伊58「さっき、古鷹の話を聞いて分かっちゃったんだよ。自己紹介の時、吹雪がゴーヤの事、練度が高かった気がするって言ってたけど、多分この髪飾りはその練度が高かった前任のゴーヤの髪飾りでち」
U-511「前任…?」
伊58「ゴーヤの想像だけど…ゴーヤは同じゴーヤだから分かるでち」
伊58「…元の練度の高かったゴーヤはきっと解体されたんだと思うんだ」
U-511「…え?」
伊58「ゴーヤは練度が高くなると潜水空母になることができるの」
U-511「そうだよね、ゴーヤはすごい…」
伊58「…多分、前任のゴーヤは潜水空母になれる練度まで到達していて、てーとくに改造したいって申し出たんだと思うでち」
伊58「…ゴーヤはみんなを守れるように強くなりたいから、同じゴーヤならきっとこうするでち」
U-511「でも、それならどうして解体されたの…?」
伊58「…資材消費の増加や入渠時の効率が悪くなるからでち」
U-511「えっと…?」
伊58「全部ゴーヤの想像だけど…合理的な提督だから、この鎮守府で資材集めがメインなのに潜水空母になりたがっていたゴーヤを解体して、今のゴーヤ…いや、私を着任させたんだよ」
U-511「ひどい…」
伊58「…ひどくはないよ。だって、これは戦いなんだから、無駄は省かないとダメなんだよ」
U-511「でも…」
伊58「…資材集めだって重要な任務でち」
伊58「…でも、ゴーヤだって強くなりたい。この海を、みんなを守れる強さが欲しいでち」
伊58「でもっ、ゴーヤに求められるのは強さじゃないんだよ。効率的な資材集めの能力なんでち」
U-511「…ユーは、よく分かんないけど、資材集めは重要な任務、だと思う」
U-511「…そして、その任務をしていたゴーヤは、みんなを守っていた、と思います…」
伊58「それも分かってるよ…。でも、前任のゴーヤだって、今のゴーヤと同じように強くなりたかったはずだよ! 強くなってみんなを守りたいのに、強くならないことがみんなを守ることにつながる…」
伊58「…矛盾してるよね」
伊58「ゴーヤは、ゴーヤはどうすればよかったんでちか? 前任のゴーヤはどうすれば解体されずに済んだでちか?」
伊58「ゴーヤも…、今のゴーヤも潜水空母になりたがったら解体されるでちか!? ゴーヤはっ、ゴーヤはどうすればいいの!?」ポロポロ
U-511「ユーは…、ユーは潜水空母になれないし、ゴーヤの気持ちは理解できないかも…」
U-511「でも、ユーはゴーヤに居なくなって欲しくない…、ゴーヤの傍に居たい…」
U-511「でも、ゴーヤが潜水空母になりたいならユーには止められない…」
U-511「だから…あれ、ユーはどうすればいいの? ゴーヤが強くなりたいなら応援してあげたいけど、強くなったらゴーヤが居なくなっちゃう…」
U-511「じゃあゴーヤが強くならなかったらいなくならない…? でもそしたらゴーヤは潜水空母になれないし…」
U-511「あれ? あれ…?」グルグル
伊58「…っぷ、あはは、なんでゴーヤの悩みがユーの悩みになっちゃってるんでちか」ニコッ
U-511「ゴーヤ、急に笑い始めて…どうしたの…?」
伊58「…なんだか馬鹿らしくなっちゃったでち」
伊58「よしっ! ユー、悩んだときは眠るでち!」
伊58「ほら、布団の中にもぐって一緒に寝よー!」ギュー
U-511「きゃっ、ゴーヤ、ちょっと暑苦しいよ」
伊58「これで朝起きて布団の中からおはようございます、すればユーの悩みもゴーヤの悩みもなくなってるでち!」ギュー
U-511「ゴーヤ、ここは見張り室だよ、それにまだ見張りの時間が終わってない…」
伊58「あ、そうだったね、じゃあ交代が来たら早く部屋に戻って一緒に寝るでち!」
U-511「うん、分かったよ」
伊58「よーっし、しっかり見張るでちっ!」
U-511「うん」
伊58「…ありがとう、ユー」ボソッ
~川内・青葉サイド~
青葉「それで、どうやって階段を塞ぐ仕掛けを作るんですか?」
川内「このちょうど崖の境目がある階段があるでしょ。ここを通れなくしちゃえば敵は階段を使えなくなるから…」サッサッ
青葉(川内ちゃん、なんだか忍者みたい)
川内「よし、準備オッケー!」
青葉「えっ、もう終わったんですか?」(あれ、青葉いらなかったんじゃ…)
川内「階段の下にちょっと改造した魚雷を埋めたよっ! これで敵がここを踏んだら瞬間に…」
青葉「なるほど、それなら確実ですね」
川内「このことは明日みんなに言っておかないとね!」
青葉「そうですね!」(今思ったけど魚雷を地面に埋めたら地雷になるのかな?)
川内「仕掛けも終わったし、私たちも部屋に戻る? …ほんとは夜戦したいけど資材もないし…」
青葉「あ、あはは…」
♦ ♦ ♦
・9月14日
龍驤「さて、司令官たちが出発して2日経ったわけやけど」
白雪「昨日はつかれました…」
吹雪「そうだね、でもあれからは動きはないみたいだね」
龍驤「そうやな、こっちは動けない以上準備をしていくしかないしなぁ」
白雪「それで、今日は何をしますか?」
龍驤「せやなぁ、この島から脱出する船でも造る?」
白雪「え、えぇ…」(私たちも一応形式上は船なんだけどなぁ)
龍驤「まぁ、今日は見張りは欠かさずにして普通に過ごすしかないなぁ…」
吹雪「そうですね…」
♦ ♦ ♦
・9月15日 1000
伊58「結局昨日は何もなかったでちね」
U-511「平和が一番…」
古鷹(かといって、このまま過ごしても何かが変わるわけじゃない。提督たちが1週間で帰ってくる可能性も捨てきれないけど…)
古鷹(それに逆に敵が来ないというのは怖い。出撃体制を整えている可能性があるから…。もしも戦艦や空母を連れてこられたら本当にどうしようもないよね。どうすればいいんだろう…)
どたどたどた
霞「みんな、鎮守府正面から、敵連合艦隊よっ!」
龍驤「来たか…。覚悟はしてたけどこんな朝に来るとはなぁ」
霞「ちょっと! のんびりしてる暇ないわよっ! 早く出撃の準備しなきゃ!」
古鷹「霞ちゃん、落ち着いて。まず敵艦隊の規模を教えて?」
清霜「はい! えっと、確認できた限りでは第一陣の敵水雷戦隊に敵軽巡2 敵駆逐3と」
霞「その後方から敵戦艦3 敵正規空母2 敵重巡1っていう編成で来てるわ」
古鷹(そんな…無理よ。今までだって結構ギリギリの戦いだったのに…。戦艦だけならなんとかなったかもしれないけど正規空母が2隻、制空の面で圧倒的に不利…)
古鷹(私たちの悪運もここまでだね…)
吹雪「作戦を考えましょう! 敵の戦力が大きくても作戦次第で勝ち筋が見えてくるかもしれません!」
白雪「そうですね、きっと勝てる方法があるはずです」
伊58「ゴーヤの魚雷が火を噴くでち!」
U-511「ユーも負けない…」
霞「とにかく、倉庫に行って魚雷と弾薬を補給しないとっ!」
清霜「戦艦を倒して、私が戦艦になるよっ!」
青葉「…みんなは諦めてないみたいですよ?」ボソッ
古鷹「…! 何を言ってるの、青葉?」(ありがとう…)
青葉「なんだかしょぼくれた顔をしていたみたいだったので」
古鷹「…必ず、乗り切ってみせるよ」
古鷹「よし、みんな準備はできた? 時間もないから手短に作戦を話すよ」
古鷹「まず、ゴーヤちゃんとユーちゃんの2人に先制雷撃を2回ずつしてもらうね。2人はもう準備をして」
伊58「了解でち! …怖いとは言ってられないよぉ!」
U-511「任せてください…!」
古鷹「狙いは出来れば正規空母ね! できれば中破状態にまで…」
古鷹「そしてゴーヤちゃんたちの雷撃が終わったら、私の班と龍驤ちゃんの班に分かれて駆逐→軽巡→正規空母→重巡→戦艦の順番でとにかく頭数を減らすことを念頭に置いて立ち回るよ」
「「了解っ!」」
古鷹「…守るよ、私たちの鎮守府も仲間も」
龍驤「そうや、ええか、敵を倒すことも重要やけど、仲間を守るのが最優先や」
古鷹「よし、みんな、行くよっ!」
「「了解っ!」」
伊58「わぁ、怖いのいっぱい…」
古鷹「ゴーヤちゃん、ユーちゃん準備はいい?」
伊58「準備万端でち!」
U-511「準備okです」
戦艦ル級A「テキカンタイハッケン」
古鷹「砲雷撃戦よーいっ…てぇーっ!」
伊58「ゴーヤの魚雷さんお願いしますっ!」シュルルル
U-511「当たってくださいっ…」シュルルル
駆逐イ級A「ぐぎゃああああっ」ぱらぱら…
伊58「敵駆逐撃破でち!」
U-511「外しました…」
古鷹「次、すぐに二撃目いくよ! 準備してっ」(二人とも正規空母を狙ってくれてはいるけど、前衛の水雷戦隊が邪魔で削れない…)
伊58「雷撃、いつでも行けるでちっ」
U-511「ユーもいけます」
古鷹「よし、二撃目行くよ! …てぇーっ!」
伊58「お願いしますっ」シュルル
U-511「次は、外しません…!」シュルル
駆逐イ級B「ぐぎゃああああっ」ぱらぱら…
軽巡ホ級A「ぐがぁああ」
U-511「敵駆逐、撃破しました」
伊58「軽巡中破でち」
駆逐イ級C「ぐがあああ」どがぁんっ
軽巡ホ級A「ぐぎゃあああああ」どごぉん
軽巡ホ級B「ぐぎゃあああああああ」どごぉんっ
古鷹「なっ、一斉発射!? ゴーヤ、ユー、避けて!!」
ゴーヤ「よ、避けられなっ」
U-511「ダメ、回避できません…きゃあっ!!」
古鷹「二人ともっ!」
伊58「う、うぅ…被弾したでち…」ボロッ
U-511「ユー、浮上します…」ボロッ
戦艦ル級A「テキヲホソク」どがああんっ
古鷹「みんな、避けてっ!」
古鷹「まずいっ、ゴーヤ、ユー、今浮上したらダメッ! 砲撃がそっちに…」
伊58「えっ…」
どがぁんっ
伊58「あ、あ、あ…」
青葉「っぐ…危なかったね、ゴーヤちゃんたちよりは装甲がしっかりしてるからね、こういうのは青葉の役目です」
古鷹「青葉っ!」
龍驤「古鷹、立て直すでっ! 青葉、清霜でゴーヤとユーを曳航して安全な場所まで! 他は作戦通り行くで!」
清霜「ユーちゃん、私につかまって!」
青葉「…っぐ、ご、ゴーヤちゃん安全な場所まで」
正空ヲ級A「ニガ、サなイ」ずがががんっ
龍驤「させへんでっ! 艦載機のみんな頼むでっ!」
正空ヲ級A「タリナイ、タリナイ」
龍驤「…ぐっ、ダメや、押されるっ」
正空ヲ級A「シズめ」
ずがががんっ
龍驤「まずいっ、清霜、青葉避けるんやっ!」
清霜「あっ、だ、ダメ…もうまにあわ」
霞「…助けるったら!」ごぉんっ
龍驤「霞っ、いつの間に陣形を離れて…」
清霜「か、霞ちゃ…」
霞「いったぁ…で、でも守れたわ、ね…」ガクッ
清霜「霞ちゃん、霞ちゃん! そんな霞ちゃん…」キッ
清霜「ゆ、許さないっ…私の大切な霞ちゃんをっ、許さないっ!」ザザザザザザ
龍驤「清霜、焦るんやない! いったん青葉たちと合流して」
清霜「沈めっ、沈めっ!」ズガガガガッズガガガガッ
正空ヲ級A「ッグ…、コノテイド…」
清霜「はぁ…はぁ…」
戦艦ル級B「アリが…」どごぉんっ
清霜「きゃあっ!!」
龍驤「清霜っ!」
吹雪「古鷹さんっ! 龍驤さん達の班が!」
古鷹「っく…吹雪ちゃん、白雪ちゃん、川内ちゃん! 怪我した娘達を庇いながら戦うよ!」(…やっぱり、この戦力差じゃ)
戦艦ル級A「ワレワレデもオマエラごとキ…!」どごぉんっ
川内「っく、まずいね…、とにかく装甲の薄い奴から…!」ズガガガッズガガガッ
敵駆逐「ぐぎゃあああ」
白雪「仕留めますっ!」ズガガ
駆逐イ級C「ぐぎゃあああ」ぱらぱら…
戦艦ル級A「ワレワレノちかラハコノテいドデハナイ」ずがぁんっずがぁんっ
龍驤「こ、これはちょっち、アカンかも…」
白雪「龍驤さんっ!」ザザザザッ
ずががぁんっ
白雪「っぐぅ…」
龍驤「し、白雪っ、何しとんねん! なんでウチの前にっ」
白雪「え、えへへ、今度はちゃんと命令を守りましたよ…」ボロッ
龍驤「め、命令て…」
白雪「龍驤さん言ったじゃないですか、『仲間を守るのが最優先』って」ニコッ
龍驤「ばかちんっ…、ウチにとっては白雪が仲間なんや…。白雪が被弾したらウチが指示を守れなかったことになるやないかっ…!」ギリッ
白雪「…指示を無視した方が、仲間を守ろうって思いが強いんですよね?」ニコッ
龍驤「屁理屈ばっかり…! 待ってろ、全員倒してきたるからっ!」
正空ヲ級A「フフフ、ケイクウボだケデナニがでキルカ」
ずがぁんっずがぁんっ
龍驤「軽空母だけでも、負けられないんやっ!」ズガガガガッズガガガッ
正空ヲ級A「グッ…ナ、ナゼケイクウボゴトキニ…」ボロッ
龍驤「よ、よし、大破させたでっ!」
正空ヲ級B「ヨクモヨクモ…シズメッ」
ずがぁんっ
龍驤「さ、避けられへん…。だ、ダメやな、これは…」
ぐわあんっ
龍驤「いやぁっ!!う、ぐぅ…被弾してもうた」ボロッ
川内「龍驤!」
川内「っく、古鷹、ここはいったん退こう! …古鷹、古鷹っ!」
古鷹「やっぱり…やっぱり、無理だったんだ…」
古鷹「みんなが被弾していくのに私は何もできない…」ポロポロ
古鷹「もう、終わりなんだ…」ガックシ
吹雪「敵がいますっ! 古鷹さん、泣いてる場合じゃありませんっ!」
古鷹「えっ…」
吹雪「古鷹さんが言ったんじゃないですか! 敵が残っているときは泣いてる暇はないって! 言ったじゃないですか、みんなを守るって!」
吹雪「まだ…まだ、だれも沈んでいませんっ!」
吹雪「私は守ります…! 鎮守府もみんなもっ、そして、そして…」
吹雪「私の大好きで大切な…古鷹さんの事を、守ります!」
古鷹「えっ、ふ、吹雪ちゃん…今…」
吹雪「まだ、頑張れます!」ズガガガッズガガガッ
重巡リ級「うぼぁーっ!」
古鷹(…泣いてる場合じゃない!)ゴシゴシ
古鷹「川内ちゃん、重巡から行くよ!」ズガガガガガ
川内「了解!」ズガガガガガ
重巡リ級「うぼぁーっ…」ぱらぱら…
川内「よっし、撃破っ!」
戦艦ル級A「アマいアマい…」
ずごぉんっ
戦艦ル級B「オマえらゴとキ…」
ずごぉんっ
吹雪「だめっ、避けられないっ…」
川内「っく、私も…」
吹雪「いやぁっ!」ボロッ
川内「ぅあっ! や、やばっ」ボロッ
古鷹「吹雪ちゃん、川内ちゃん!」
古鷹「どうすれば…私はどうすればみんなを守れる…どうすればっ…!」
吹雪「…ま、まだ、まだやれます!」
シュルッルルル
ずがぁんっ
正空ヲ級A「ナ、ナゼ、イッタイドこカラ…」ぱらぱら…
古鷹「せ、正規空母が沈んで…」
ザザザザザ・・・・・
ザザザザザザ・・・・・
叢雲「ふぅ…ぎりぎり間に合ったみたいね」
吹雪「む、叢雲ちゃんっ!?」
叢雲「敵の残党勢力が残ってるかもって聞いたけど本当だったみたいね」
戦艦ル級A「エングンカ…ダガクチクカんイッピキゴときニナニガ…」
叢雲「吹雪っ! まだ動けるんでしょ! 軽巡倒すの手伝って!」
吹雪「う、うんっ!」
叢雲「私がひきつけるから仕留めるのよっ!」ザザザザザ
軽巡ホ級A「ぐぁぁぁぁっ!」
叢雲「今よっ、吹雪!」
吹雪「うん、し、沈んでくださいっ!」ズガガ
軽巡ホ級A「ぐわぁぁぁぁっ」ぱらぱら…
吹雪「よ、よしっ!」
叢雲「なかなかやるじゃない、このまま行くわよ!」
戦艦ル級B「オノレ…、イッピきデモシズメてヤる!」
ずがぁんっ
ズガガ
戦艦ル級B「ワタシノホウゲキガ…」
朝潮「大潮、行くわよっ! 一発必中、肉薄するわっ!」シュルル
大潮「小さな体に大きな魚雷、いっくよぉ! どーん!」シュルル
どがぁん
戦艦ル級B「ワタシタチは、カナラズコノカイイキヲ…」ぱらぱら…
古鷹「な、なんで…まだ一週間たってないのに…」
清霜「か、霞ちゃんのお姉さまたちっ!」
朝潮「清霜ちゃん、霞を守ってくれてありがとうね」
清霜「い、いえ、霞ちゃんが私の事を守ってくれたんです!」
大潮「おー、やるねぇ霞!」
朝潮「さぁ、再開の感想は後にして…古鷹さん、今は敵を倒すことに集中しましょう!」
朝潮「大潮もまだ敵は残ってるわよ!」
大潮「はーい! アゲアゲで行くよ!」
叢雲「古鷹! これ、高速修復材が3個あるわ! ええっと、龍驤と青葉と川内に使ってあげて!」
古鷹「う、うん。でもどうして…」
叢雲「さっき、朝潮も言ったでしょ? 今は敵を倒すことに集中よ」
叢雲「とにかく、これを早く!」
古鷹「う、うんっ! 龍驤ちゃん、青葉、川内ちゃん、いくよっ!」
龍驤「えっ、ウチそれ使うの初めてなんやけどぉぉぉっ!?」
ばっしゃーん
古鷹「よし、次だよ!」
龍驤「な、治った…けど、そのバケツ、その使い方で合ってるんか!?」
龍驤「まぁ、ええわ。さぁ、艦載機のみんなもういっちょ…ボーキも燃料も尽きるまで行くで!」
古鷹「青葉、川内ちゃん行くよっ!」バシャァン
川内「うぷっ!? お、おぉ、治っていくよ! これ、すごいね!」
青葉「ホントです! なんか初めての感覚…」
伊58「す、すごいでち…これなら勝てるかも」
U-511「ユー達は被弾しないように避難しておこう」
叢雲「吹雪、白雪! まだ何とか動けるでしょ?」
吹雪「う、うん、なんとか!」
白雪「わ、私もまだいけるよ」ボロッ
叢雲「二人は霞と清霜を安全な場所まで曳航していってあげて!」
吹雪「…わ、私もたたかっ」(いや…今私にできることは…)
吹雪「…分かったよ! 白雪ちゃんは清霜ちゃんを、私は霞ちゃんを曳航するから!」霞ダキッ
白雪「う、うんっ!」清霜ダキッ
吹雪「叢雲ちゃんっ! …お願いっ!」
叢雲「…吹雪、少しは強くなったみたいね」ボソッ
叢雲「任せて! さ、朝潮、大潮、古鷹、青葉、龍驤、川内行くわよ!」
「「了解!」」
叢雲「まずは軽巡と重巡からっ…!」ドゴォンッ
軽巡ホ級B「ぐぁぁぁ」ぱらぱら…
大潮「朝潮お姉さん! アゲアゲで行きましょっ!」
朝潮「…分かってる! 行くわよ!」
朝潮・大潮「「一発必中!」」シュルルル
戦艦ル級C「ナ、ナニ…コイツラ…」
どがぁんっ!!
戦艦ル級C「クッ…オノレオノれ…」ぱらぱら…
正空ヲ級B「クッ、ヒクわケニハいカヌノダ」ブゥーン
龍驤「ウチが相手や! …艦載機のみんな耐えてくれ!」ブゥーン
古鷹「青葉、今だよ! 正規空母を!」ズガァンッ
青葉「了解ですっ!」ズガガガァン
正空ヲ級B「アァ…ワタシタチハここデも…」ぱらぱら…
龍驤「ナイスや、古鷹、青葉!」
戦艦ル級A「シズメ!」ずがががが
龍驤「…なっ、あ、あかn!」
川内「危ないっ!」シュバッ
龍驤「た、助かったで川内」
川内「夜戦だったら、もっと早く助けられたんだけどねー!」
叢雲「…アンタたち、この数日間で随分練度が上がったんじゃないの?」
朝潮「ほ、本当にすごい強くなってます、みなさん!」
大潮「練度アゲアゲだね!」
古鷹「そ、そういえば、なんだか私達…」
戦艦ル級A「マダダ…シズメる…ワタシタチハキサマらヲタおすタメダけニ…」どがぁんっ
叢雲「くっ…最後、魚雷で仕留めるわよ!」
古鷹「う、うん! 主砲狙って…」
戦艦ル級A「ワタシタチハ、ヤクタたズダッタノカ…? キサマらモ…」
古鷹「てぇっ!」シュルルッル
戦艦ル級A「ナゼ、ワタシタチハ…」
どがぁんっ
戦艦ル級A「シずム…また、暗い、海のソこニ…」ぱらぱら…
ザザザザザーン・・・・・・・・・・・・・
ザザザザザザザザーン・・・・・・・・・・・・・・・
古鷹「…やった、ね」
龍驤「守ったんや、この海を…ウチ達の鎮守府を…」
川内「や、やったぁぁっ!!!」
青葉「やりましたね、みなさん!」
叢雲「ふぅ、なんとかなったわね…」
朝潮「良かったです…」
大潮「ホントに何とかなってよかったよ!」
古鷹「そうだ…吹雪ちゃん! みんな!」ザザザ
龍驤「そうや、みんなをっ!」ザザザ
叢雲「あっ、ちょっと待って! って、聞いてないわね…」
青葉「どうしたんですか?」
叢雲「え、えぇっと…あなたは、青葉? あれ、ウチの鎮守府に着任してたっけ?」
青葉「あぁ、叢雲ちゃんたちが行った後に着任した…らしいです!」
叢雲「え、えっと…なんで、私たちが行った後に着任できるの?」
青葉「それは青葉にも分からないんですけども…」
叢雲「…そう。とりあえず、私たちも吹雪たちの所に行きましょうか」
青葉「そういえば、ここに来たのは叢雲ちゃんと朝潮ちゃんと大潮ちゃんだけですか?」
叢雲「そうよ、まぁいろいろあってね。この三人しかこられなかったのよ」
青葉「それはなぜ…?」
叢雲「それも後で説明するわ、とにかく行きましょ」
青葉「そ、そうですね…」
♦ ♦ ♦
・9月15日 1500
~入渠~
霞「な、治った…」
清霜「か、霞ちゃん…霞ちゃんっ!」ダキッ
霞「き、清霜っ! 全く…」ナデナデ
清霜「良かったよぉ、良かったよぉ…」ムギュー
伊58「ユー、治ったでちね」
U-511「うん、すぐに治った…」
伊58「な、なんだかあんなに激しい戦いだったのにあっさり治っちゃったでち…」
U-511「潜水艦だから、しょうがない…」
吹雪「よ、よかった、みんな無事で」ホッ
白雪「本当に良かった…」ホッ
龍驤「白雪っ! キミは…キミは、心配かけよってぇ!」ウリウリ
白雪「ひゃっ!? りゅ、龍驤さんほっぺたうりうりしないでください~」
川内「二人とも無事でよかったよ…!」
伊58「ゴーヤは沈まないでち!」
U-511「ユーも、もっと日本の事を知るまでは筋むわけにはいかない…!」ギュッ
川内「そ、そっか…」
古鷹「…」
吹雪「…」
叢雲「まさか、加賀さんの予感が的中するとはね…」
朝潮「あの、叢雲さん。みなさんにも事の些末を教えてあげないと」
大潮「そうですね!」
わいわいがやがや
青葉「はっ!? あ、あのっ、今誰も見張り室に居ないですよね! もし今敵に来られたら…!」
吹雪「そ、そういえば…たいへんっ!」
叢雲「あぁ、それならもう多分大丈夫よ」
古鷹「えっ…?」
叢雲「そうね、でも万が一という事もあるし…朝潮、大潮には移動中に話したから二人に見張りを頼めるかしら?」
朝潮「もちろんですよ! さ、大潮行くわよ」スタスタ
大潮「はーい!」スタスタ
叢雲「ありがと、朝潮、大潮」
叢雲「よし、みんな入渠は完了したかしら? それなら事の些末を説明するから会議室に行くわよ」
「「はーい!」」
♦ ♦ ♦
~会議室~
叢雲「さ、集まったわね」
青葉「はい、それでいったい今この鎮守府では何が起こってるんでしょうか?」
叢雲「まぁまぁ、えっと、これはすべて加賀さんから聞いたことよ。私も加賀さんから聞くまでは全く知らなかったことなの」
叢雲「それを前提に聞いてね」
叢雲「私たちをここに行くように言ったのも加賀さんよ。つまり、ここに来たのは司令官の命令じゃないの…まぁ、要は私と朝潮と大潮は命令違反してここに来たってわけよ」
古鷹「め、命令違反!?」
叢雲「そうよ。…朝潮を説得するのは大変だったけどなんとか連れ出してきたわ」
霞「あ、あの朝潮ねぇが命令違反なんて…」
叢雲「それで…まず確認なんだけど、ここの鎮守府の無線とかは今使えるかしら?」
川内「いや、無線はうんともすんとも言わなかったよ」
叢雲「…という事は加賀さんの言ってたことは正しかったのね」
龍驤「加賀の言ってたことが正しい? いったいどういう事や」
叢雲「初めから説明するけど、オブラートに包んでもしょうがないしはっきり言うわ」
叢雲「ここにいるあなたたち、そして鎮守府は司令官に捨てられたのよ」
清霜「えっ…、わ、私たちが…捨てられた?」
古鷹「そう…」(やっぱり、捨てられていたんだね)
叢雲「そうよ」
霞「ほんっと、クソ提督だったのね。それにしても…あたしたちが捨てられたのはまだわかるわ。練度もかなり低くて正直自分でも使い物になるなんて自惚れちゃいないもの」
霞「でも、鎮守府を捨てる理由は? やっぱり古鷹が言っていたように立地の関係?」
叢雲「あら、知ってるの? まぁ、一応説明しとくわね」
叢雲「えぇっと、さっき霞も言ってくれたように、この鎮守府の場所と敵の巣の場所に関係があるの」
叢雲「そもそもこの鎮守府がなんでこんな未開の地、それに航運経路から外れた真水もまともに取れない場所にあるかだけど…」
叢雲「この場所は敵の巣の近くにあるのよ」
叢雲「そして、この場所は小さい島がたくさんあるから敵側にも気づかれにくい」
龍驤「だから鎮守府の規模もそこまで大きくしなかったわけやろ? あまり大きくしちゃうと敵側に感づかれてしまうもんなぁ」
叢雲「その通りよ」(というより、知ってたの…? まぁいいけど)
白雪「でも…それだったら、やっぱりこの鎮守府は大事な拠点なんじゃないのかな? 敵の動向を近くで観察できるんだから…」
叢雲「…敵の動向が観察できなくなったから捨てられたのよ」
白雪「観察できなくなった…?」
叢雲「そうよ、簡潔に言うと敵側が元の巣を放棄して新しい巣に移動した…らしいのよ。敵側の巣が移動したって言うのは聞いてたけどまさか元の巣がこの鎮守府の近くにあるとは思ってもみなかったけどね」
U-511「敵側が巣を放棄…」
伊58「敵側の巣に近いからこの鎮守府は存在意義があったでち。つまり、敵側の巣が近くになかったら…」
川内「ただの未開の地にある不便な鎮守府…」
叢雲「そうよ、そこで大本営も鎮守府の放棄を決定したのでは…って加賀さんは言ってたわ」
吹雪「つまり、大規模作戦もすべて司令官のウソ…」
叢雲「…大規模作戦というのは嘘ではないわ。敵側の巣の移動のいざこざがあるうちに叩いてしまおうっていうのが大本営の方針だったらしいから」
叢雲「そして、私たち…まぁここから移動した私たちは新鎮守府に移転するまでは別の大規模鎮守府の指揮下に置かれて作戦行動をしてたの」
叢雲「でも、昨日の夜、加賀さんに呼び出されて今言ったようないろいろなことを教えてもらったの」
叢雲「加賀さんってすごい人だわ。移動中にさりげなく艦載機を飛ばして敵側の元の巣を発見して、偵察したらしいの。機動力も練度も超一流のあの人だからできたことだと思うわ」
叢雲「これは私の推測だけど、多分加賀さんはこの鎮守府の傍に深海棲艦の拠点があることを勘づいていたんだと思う」
叢雲「だから、加賀さんはいろいろな行動をとったんじゃないかしら。」
叢雲「あ、話が逸れちゃったわね。で、加賀さんによると敵の巣はすっからかんで捨てられた後みたいで動きはないから安心した、らしいんだけど…」
叢雲「艦載機が戻るときにかすかな光を捉えたらしいの」
川内(それって、もしかして私が)
吹雪(もしかして、私が見た光も…)
叢雲「最初は加賀さんもただの光の反射だと思ったらしいわ。でも、明らかに怪しいと感じて、責任はすべて私が持つからっていって、持てる限りの資材と高速修復材を私たちに持たせてくれて、言ったのよ」
叢雲「『元の鎮守府が心配だわ、見てきてください。責任はすべて私が持つから』ってね」
加賀「資材面やノット数…まぁ、速さの面でもこの3人しか来れなかったけどね。ばれないように夜中に出発したから」
龍驤「加賀…独断行動しすぎやないか…? 命令無視とかいう域を超えてるで…」
白雪「命令無視は、仲間想いの証拠じゃなかったでしたっけ?」
龍驤「…ま、まぁそうやけど」
叢雲「それで、私たちは今ここにいるわけ。でも、まさか加賀さんの言う通り、本当に敵側が残党勢力を残してるとはね」
叢雲「敵側が主力を移動したのは確かだし、敵の規模的にも戦力のほとんどを新拠点に移動したらしいからあいつらは残された敵ってわけね」
吹雪(立場は違えど…私達と境遇的には少し似てるかも…)
清霜「…でも、私達、提督に捨てられちゃったんだよね? これからどうなっちゃうの…」
叢雲「…それは心配いらないと思うわ。そもそもアンタたちを置いていくこと自体あの司令官の独断だし…」
叢雲「それに、気づいてないかもしれないけどアンタたちかなりの練度になってるわよ」
古鷹「そ、そうなの? 全然実感がないけど…」
龍驤「まぁ、短時間とは言えあれだけ実戦を重ねたら練度も上がるっちゅうもんやで」
叢雲「それに、今さっき加賀さんにも持ってきた無線でこのことを報告したら、明日加賀さん達が迎えに来てくれるって言っていたし…。多分加賀さん達が提督…もしくは大本営に掛け合ってくれたんだと思うわ」
叢雲「加賀さんに感謝しないと。あの人は本当にすごいわ!」
龍驤「加賀…さすがやな」
叢雲「まぁ、私…もとい加賀さんからはそんなところよ」
川内「…要は、私たちは提督にいらないからってことで鎮守府ごと捨てられて」
青葉「それに気づいた加賀さんが助けをよこしてくれたってわけですね」
叢雲「どう、何か質問はある?」
青葉「ここにいる司令官はかなり合理的な考えをするんですよね?」
叢雲「確かにその気があると思うわ」
吹雪「だから、大規模作戦でも役に立ちそうもなくて、新鎮守府に居てもまた練度を上げないといけない私たちを置いて行ったんだね」
白雪「で、でもっ! 一週間たっても私たちを迎えに行かなかったら…もし私だったら居てもたってもいられなくてこの鎮守府に迎えに行くと思うんだけど…」
叢雲「私だってそうすると思うわ。でもそんなの司令官ならどうとでもいえるわ。例えば『あいつらは別の鎮守府に着任することになった』とかね」
白雪「ひどい…」
叢雲「…そうよ、ただの機械人間」
叢雲「…とにかく、明日になったら加賀さんが来てくれるわ」
吹雪「そうだね…」ぐぅぅぅ
吹雪「あっ…」カァァ
白雪「…そういえば、敵と戦って入渠してたらいつの間にかもう1600に…」
龍驤「よっしゃ、じゃあご飯作るで! 今日は魚を獲りまくって、山菜も採ってパーティーや!」
叢雲「え、魚を獲って山菜も…?」
吹雪「叢雲ちゃんも一緒にやろうね!」
白雪「意外と大変だから覚悟してね?」
叢雲「ちょ、ちょっとどういうことよ!」
吹雪「さっ、行こっ!」ギュッ
叢雲「ちょ、ちょっと吹雪!」
伊58「ユー、ゴーヤたちも行くでち!」
U-511「魚獲るよ…」グッ
霞「じゃあ、あたし達は水を汲みに行く?」
清霜「そうだね、一緒に行こ!」
霞「そうね、今日はちゃんとお風呂にたくさん水を張れるようにたくさん汲まないと!」
龍驤「ウチらはのんびり山菜でも探すか?」
古鷹「そうだね」
青葉「山菜の情報ならお任せです!」
川内「夜が近づくとテンション上がってくるよっ! …ちょっと眠いけど」
・9月15日 2000
~食後・お風呂場~
清霜「霞ちゃん! 背中流してあげる!」ギュッ
霞「だ、だからいろいろ当たってるったらっ!」カァァ///
龍驤「ほーん…」
青葉「りゅ、龍驤さん、青葉の胸に何かついてますか?」
龍驤「いや、なぁ。余計な脂肪がずいぶん育ってると思うてなぁ」ワキワキ
青葉「そ、その手の動きは何ですかっ!」
龍驤「なぁなぁ、ねぇちゃん、ええやろぉ?」
青葉「…逃げるっ!」ダッ
龍驤「逃がさへんでぇ!」モミモミ
青葉「ひゃぁぁっ!!」
古鷹「前も聞いたけど、川内ちゃんって夜戦好きなんだよね?」
川内「夜戦!? もちろん!」
川内「夜戦って聞いただけで体が疼くよ!」
古鷹「よし、やっぱりいろいろ落ち着いたら夜戦で勝負しよう!」
川内「へぇ…負けないよっ!」
古鷹「ふふっ、私も夜戦で負けるわけにはいかないからね。手加減は無しで行くよ!」
川内「もちろん! こっちだって夜戦バカって呼ばれてるくらいだからね!」
古鷹(…そう呼ばれてるの知ってるんだ)
吹雪「あ、あのぉ…白雪ちゃん? 私一人で洗えるんだけど…」
白雪「いいよいいよ、吹雪ちゃんは座ってるだけで。私が洗いたいんだから」ワシャワシャ
吹雪「そ、そう?」
白雪「吹雪ちゃん、せっかく綺麗で真っ直ぐな黒髪なんだからちゃんとお手入れしないとダメだよ」サラッ
吹雪「う、うん」(白雪ちゃんのお世話スイッチが入っちゃったみたい…)
わいわいがやがや
U-511「…」クラクラ
伊58「ユー、大丈夫でちか?」
U-511「…うん、大丈夫。みんなでお風呂入ろうって言ったから」フラフラ
伊58「…ユー、上がるでちよ」バシャ
U-511「え、でも…みんなでお風呂入るって…」クラー
伊58「…じゃあ、軽く羽織って風に当たりに行くでち。その後もう一回お風呂に来ればいいでしょ?」
U-511「分かった…」
伊58「大丈夫でちよ。ゴーヤたちが少しこの場から居なくなったって時間も、みんなも、ゴーヤたちを取り残したりしないから」ニコッ
U-511「…ゴーヤ、なんかかっこいい」
伊58「そ、そうでちか? とにかくちょっと羽織って風に当たりに行くでち!」
~防波堤~
伊58「気持ちいいでちね!」
U-511「うん…ほ、火照った?身体に気持ちいい…」
伊58「やっぱり、のぼせてたんでちね…」
U-511「の、のぼせてなんか…」
U-511「…そういえば、ゴーヤ強くなったね。ゴーヤの夢かなった、けど…」
伊58「あぁ、そのことだったらもう大丈夫だよ」
U-511「えっ…」
伊58「ゴーヤはもう迷わないって決めたでち! ゴーヤはもっともっと強くなるでち!」
伊58「ゴーヤの先制雷撃で敵を沈めて、仲間が少しでも戦いやすくなるように強くなるでち!」
伊58「それに、今日の戦闘で分かったんでち。ゴーヤはまだまだ弱いでち。こんな弱いうちから強くなった時の心配をするなんて意味ないでちよ」ニコッ
U-511「…良かった、ゴーヤ、元気になった、ね」
伊58「…全部ユーのおかげでちよ」ボソッ
伊58「さっ、大分涼めたしお風呂に戻るでち!」
U-511「うん…日本のお風呂、あったかくて楽しくて気持ちよくて…なんだか心までポカポカする」
伊58「…そうでちね、さっ、みんなの所に戻るでち!」
♦ ♦ ♦
・9月15日 2100
~吹雪型の部屋~
叢雲「二人は疲れてるでしょ? 見張りは私と朝潮と大潮で交代してやるから今日はゆっくり休んで」
吹雪「そんな、私たちも手伝うよ! 叢雲ちゃん達だって疲れてるだろうし」
叢雲「大丈夫よ、それにあの大潮がいるのよ? あの娘は疲れ知らずだからね。とにかく今日は私たちに任せて」
白雪「そう…? それなら、お願いしようかな」
叢雲「分かればいいのよ、それなら…」
吹雪「…ちょっと待って! 私、叢雲ちゃんとの約束守れた、かな?」
叢雲「…守れてる、と思うわ」
吹雪「…微妙な感じかぁ」ガックシ
叢雲「…でも、少しはお姉ちゃんっぽくなったわよ」ボソッ
吹雪「ん、何か言ったかな?」
叢雲「べ、別に何も言ってないわよ」
白雪「…ふふっ、叢雲ちゃんったら素直じゃないんだから」
叢雲「き、聞こえてたの!? あぁー、もうっ、とにかく二人はちゃんと休むのよ! おやすみ!」
吹雪「う、うん、おやすみ!」
白雪「おやすみなさい、叢雲ちゃん」
ガタン
吹雪「…私たちも寝よっか?」
白雪「そうだね、私も今日は疲れちゃったかも」
吹雪「…おやすみ、白雪ちゃん」
白雪「おやすみなさい、吹雪ちゃん」
~数分後~
吹雪「…」ムクリ
吹雪「…白雪ちゃん、ごめんね。私どうしても…今、会いたい人がいるんだ」ボソボソ
白雪「…」
吹雪「おやすみ、白雪ちゃん」ボソッ
ガタン
白雪「…吹雪ちゃん、きっと古鷹さんの所に行ったのかな? なんだか吹雪ちゃん、古鷹さんの事意識してたみたいだったし…」
白雪「…私も」ムクリ
ガタン
~朝潮型の部屋~
霞「…清霜、起きてる?」
清霜「うん、起きてるよ」
霞「なんだか、長かったわね」
清霜「うん、本当にいろいろあったね!」
霞「…その、ありがとね」
清霜「えっ! 急にどうしたの、霞ちゃん?」
霞「…聞いたわ、あたしが被弾した時にすごい怒ってくれたって」
清霜「…だって、霞ちゃんは私を守ってくれるヒーローで、私は霞ちゃんが大好きだから…」
清霜「許せなかったの、霞ちゃんが傷つけられたのが、だからっ」
霞「あのね」
霞「…あたし、勘違いしていたみたいなの」
清霜「…勘違い?」
霞「…ここに残されたとき、まず最初に思ったのよ。何があっても清霜はあたしが守るって」
清霜「…」
霞「でも、実際は違った。あたしは清霜に守られっぱなしだった」
霞「きっと、清霜が居なかったら、あたしは今ここにいなかったと思う」
霞「だから、清霜。…ありがとう」
清霜「お礼を言うのは私の方だよ、霞ちゃん」
霞「え…?」
清霜「霞ちゃんはあたしが霞ちゃんを守ったっていったよね…それはね」
清霜「霞ちゃんが私のことを守ってくれたから私も霞ちゃんの事を守ることが出来たんだよ」
清霜「…自分でも何が言いたいか分からないけど、やっぱり守られてたのは私の方だよ」
清霜「それでね、私、この三日間で思ったんだ! やっぱり私、戦艦になりたい!」
清霜「もっと強く、もっと大きく、たった一人ですべてを守れるような、そんな大きな戦艦になりたい、って!」
霞「はぁ…最後までそれなのね…。まぁ、頑張りなさいな」
霞「でもね、清霜。これだけは覚えていて。」
清霜「ん、何かな?」
霞「清霜は駆逐艦で小さくても…十分に強いわよ、みんなを守れてるわよ」
霞「それだけは、忘れないで。清霜、あたしから見れば、あなたは今のままでも十分に大きいの、強いの。あなたの存在はあたしにとってとっても大きなもので、その存在の大きさに助けられた、そのことは忘れないで」
清霜「…それは霞ちゃんの方だよ」ボソッ
清霜「ありがと、霞ちゃん。それじゃあ…」
霞「そうね、おやすみ」ギュッ
清霜「おやすみ」ギュッ
~青葉の部屋~
青葉「今日あったこと、今までの事をノートにまとめてみたけど…」
青葉「みんなにこれを見てもらいたい! この鎮守府で何があったかを知って欲しい!」
青葉「…だから、もうちょっとレイアウトを工夫して…えぇっと…」
~川内の部屋~
川内「はぁ、結局今日も夜戦は無しかぁ」
川内「…いろいろあったなぁ」
川内「那珂は随分早く改二になったし、神通も旗艦として活躍してた」
川内「私も早いとこ強くなんないとねっ!」
川内「でも今は…夜戦したーいっ!」バタバター
~龍驤の部屋~
こんこん
龍驤「ん、なんや、こんな夜に…だれやぁー?」
白雪「あっ、白雪です! 夜遅くにすいません」
龍驤「ん、白雪か、入ってきてええでぇ」
白雪「は、はい」ガチャ
白雪「お、おじゃましまーす」
龍驤「邪魔するなら帰ってやぁ」
白雪「え、えぇっ!?」
龍驤「嘘や嘘や、さ、こっち来てや」
白雪「はい」
龍驤「それで、どうしたんや?」
白雪「え、えっと…す、少し、顔が見たくなってしまって」
龍驤「お、おぅ、そうか…」(なんや、ちんまくてかわええやつやな)
白雪「えと…そういえば前も話しましたけど私と龍驤さんって前世では同じ場所で生まれたんですよね」
龍驤「そうやで、ウチは横浜生まれや!」
白雪「そうですよね」フフッ(ホントにどうして関西弁風なんだろう)
龍驤「んっ…?」
龍驤「…白雪、キミ、笑うとなんだか…どこかの国のお姫様みたいやな」
白雪「えっ!? お、お姫様だなんてそんな…」カァァ///(わ、私の事をお姫様って、そ、それじゃ龍驤さんはお、王子様…?)
龍驤「まさに、白雪姫やな!」ドヤッ
白雪「えっ、あ、そ、そういう…」(私の名前と白雪姫をかけただけだったんだね、そうだよね…)
龍驤「さ、白雪も疲れたやろ? 今日はもう寝るで」ゴロン
白雪「…」(ドキドキさせたんだから少し位仕返ししてもいいよね…?)
白雪「…龍驤さん、私は白雪姫なんですよね?」
龍驤「ん、ま、まぁそうやな。どうや、ウチのセンスは」
白雪「…白雪姫は王子様のキスでしか起きられないんですよ?」
龍驤「え、ど、どういうことや?」
白雪「だから、明日の朝は龍驤さんのキスで起こしてくださいね?」
龍驤「ちょ、そ、それってどういう…///」
白雪「ふふっ、おやすみなさい♪」
龍驤「ちょ、ちょっちまちや! 白雪、白雪! そ、そうや! グリムの原作では王子様のキスじゃなくて…」アーダコーダ
白雪(いろいろ言ってるけど、明日の朝は龍驤さんがキスしてくれるまで寝たふりしてればいいよね? ふふ、おやすみなさい龍驤さん)
龍驤「し、白雪ぃー!」
~古鷹の部屋~
古鷹「…」ゴロゴロ
古鷹「寝れない…」ゴロゴロ
古鷹(寝れない…もちろん今日あった敵との戦闘の興奮とかいろいろあるけど…)
古鷹「…大好きで大切な人、か」モヤモヤ
古鷹(…私にとって吹雪ちゃんって何だろう)
こんこん
古鷹「…!」ビクッ
古鷹「あっ、ど、どちら様ですか?」
吹雪「ふ、吹雪です! 夜にすいません、お邪魔してもいいですか?」
古鷹(ふ、吹雪ちゃん!?)
古鷹「う、うん。いいよ、入って?」ガチャ
吹雪「ありがとうございます、古鷹さん」ニコッ
古鷹「う、うん」ドキッ
吹雪「今から寝るところでしたか?」
古鷹「えっ、そ、そうだね。ちょっと布団に入ってごろごろしてたんだ」
吹雪「…それなら、わ、私も布団で一緒にお話がしたいんですけど、ダメ、ですか?」
古鷹「い、一緒に!? ま、まぁ、いいけど…」(私の布団、臭くないよね…?)
吹雪「あ、ありがとうございます!」
古鷹「じゃ、じゃあおいで?」
吹雪「し、失礼します」モグリ
吹雪(わぁ…古鷹さんの匂いに包まれているみたい…)ドキドキ
吹雪「え、えっと、やっぱり、古鷹さんって大きいですね」
古鷹「そうかな? 重巡の中だと小さい方だよ?」
吹雪「そうなんですか? でもやっぱり、とっても大きくて…なんだか安心します」
古鷹「う、うん」カァァ///(う、うぅ、なんでだろ、まともに話せないよっ)
吹雪「…」
古鷹「…」
吹雪「あの、古鷹さん。改めてありがとうございます」
古鷹「え、ありがとうございますって…」
吹雪「…私、よく迷っちゃうんですよ」
古鷹「迷っちゃう?」
吹雪「私、自分では何事も真っ直ぐに真面目に本気でぶつかっていこうと思っているんです」
吹雪「でも、すぐに弱気になっちゃって…自分が今すべきことを見失っちゃうことがあるんです」
古鷹「…」
吹雪「きっと、自分に自信が持ててないんです。だから、ちょっとでも自分の予想外の事が起きてしまうともうどうしていいか分かんなくて、何をすべきか迷っちゃって…」
吹雪「私の名前が吹雪だからですかね…? まるで吹雪の中、灯りもないような暗い中をひたすら彷徨っちゃうみたいな…」
吹雪「一人になったり、何をすべきか分からないとき…。たまに、私の思考も心もそんなところに迷い込んじゃうんです」
吹雪「…寒くて、暗い場所です」
吹雪「…そんな寒くて、暗い、吹雪の中から…私を連れ出してくれたのは、古鷹さんでした」
吹雪「私、古鷹さんの事が好きです」
吹雪「大好きで大切な私の守りたい人です。傍に居たいって思える人です」
吹雪「…でも、本当に私はこんな感情を持っていいんでしょうか? 私たちは艦娘です。海の平和を願って、深海棲艦を倒すことが私たち艦娘の使命です」
吹雪「もちろん、仲間を想う感情は大事です。仲間を助けることも艦娘の使命です」
吹雪「でも…でも、私の古鷹さんに対する感情は…恋愛感情なんです。古鷹さんと話すと胸がポカポカして古鷹さんに触れられるとドキドキして…そんな、そんな感情を、私は持ってしまったんです…」ポロポロ
古鷹「…吹雪ちゃん」ナデナデ
吹雪「うっ、わ、私…また、どうしていいか分からなくて…ふ、古鷹、さん…わ、私どうすれば…」ポロポロ
古鷹「…吹雪ちゃんは、そのままでいいと思うよ?」
古鷹「…だって、私たちは艦娘なんだから」
吹雪「えっ…」
古鷹「艦娘は確かに敵を倒すことが使命だよ」
古鷹「でもね、私たちは気持ちを持っているんだよ? だから仲間を助けるの。気持ちがなかったら仲間なんて助けない。だから、その気持ちは誰にも否定できないんだよ」
古鷹「気持ちを持っている艦娘だから、人間と同じように笑っていいの、泣いて、怒って、喜んで、悲しんで…嫌いになって、好きになっていいんだよ」
古鷹「…吹雪ちゃんは、自分の気持ちを否定しなくていいんだよ」
古鷹「…私も今、好きな人がいるんだ」ニコッ
吹雪「ぐすっ…ふ、古鷹さん、うっ、ぐすっえぐっ…」ポロポロ
古鷹「でも、この好きはまだ私の好きな人と同じ好きかどうか、分からないんだ。…でも、その人は私にとって特別な人」
古鷹「だから、私の好きな人にはもうちょっと待っていてほしい。私の答えが出るまで…我がままだよね」
古鷹「でも、真剣だからこそ待っていてほしい」
古鷹「どうかな、吹雪ちゃん。私のわがまま聞いてくれるかな…?」
吹雪「…ふふっ、古鷹さんって私よりも生真面目ですね?」ゴシゴシ
古鷹「そうかな?」
吹雪「…分かりました、私の告白のお返事はまだしてくれなくて大丈夫です」
吹雪「でも、必ずいつか答えを聞かせてください。…私も待っているので」ニコッ
古鷹「うん、ありがとう吹雪ちゃん」ニコッ
吹雪「って、そういえば私たち一緒に寝ちゃってますね?」
古鷹「えっ、どういうこと?」
(アイアンボトムサウンド)
吹雪「だって、言ってたじゃないですか? 一緒の場所で眠るのは前世の私達だけで十分って」
古鷹「そういえばそんなことも…でも、大丈夫だよ。前世の私たちは暗くて寒い海の底だけど、今私たちがいるのは温かい布団の中なんだから」
吹雪「ふふっ、そうですね」
吹雪「…古鷹さん、今日は月明かりが綺麗ですね」
古鷹「そうだね、本当に綺麗だね」
吹雪「…古鷹さん」ギュッ
古鷹「なに、吹雪ちゃん」
吹雪「おやすみ、なさ…い……」zzz
すぅ…すぅ…
古鷹「…今は、おでこだけど、いつか私が、私の気持ちに答えを出せたら次は…」
ちゅっ
古鷹「おやすみ、吹雪ちゃん」
―艦―
終わりです、途中にコメントくれた人ありがとうございました!
最後の方は収拾がついてないような気もするけどこれでおわります。誤字とかよみかえしてみるとひどいという…
おつかれーい
よかった
もう一波乱あるかと思ったけど終わりか。
でも面白かった
お疲れ
一気に読みました
とても台詞の選択が良かったです
感情移入できました
ただこのままだと青葉の着任の説明がつかない気がするのでその点は残念でした
後日談が欲しい
♪
このSSまとめへのコメント
さす加賀ずい