千歌「曜ちゃんって私のこと好きだと思う?」 梨子「え?」 (105)

ラブライブ板に投下した物を修正・加筆しています

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梨子の部屋

梨子「好きに決まってるじゃない。何言ってるのよ」

千歌「そ、そういうのじゃなくて……」

梨子「そういうのって?」

千歌「その……」

千歌「れ、恋愛的な意味で……私のこと好きかなって……」

梨子「え?」

梨子「千歌ちゃんってそっちの人だったの?」

千歌「そっちの人っていうか……」

千歌「たまたま好きになった人が女の子だっただけで……」

梨子「うわぁ」

千歌「やっぱ気持ち悪いよね……引いちゃうよね……」

梨子「あ、いや、違うのよ?」

梨子「千歌ちゃんでもそういうこと言うんだなぁと思っただけで」

梨子「別に千歌ちゃんがレ……曜ちゃんのこと好きってことには引いてないからね?」

千歌「う、うん……お気遣いありがとう」

梨子「それじゃ、その上で言わせてもらうけど」

千歌「うん」

梨子「あれはどう見ても、曜ちゃんは千歌ちゃんのこと好きよ」

梨子「恋愛的な意味で、ね」

梨子「だから安心して」

千歌「そ、そうだよね!」

千歌「よし……!」

梨子「告白するの?」

千歌「うん……そのつもり」

梨子「いつ?」

千歌「…………クリスマス」

梨子「ふーん」

千歌「なんですかーその反応」

梨子「んー、青春してるなぁと思って」

千歌「馬鹿にしてるなぁ!」

梨子「してないしてない」

梨子「むしろ羨ましいくらい」

千歌「ほんとかー?」

千歌「そういう梨子ちゃんはどうなのさ?」

梨子「どうって?」

千歌「好きな子……人、とかさ。実は東京に……みたいな」

梨子「私は今、ピアノとスクールアイドルで精一杯だから」

梨子「そんな余裕はありません」

千歌「ぶーぶー」

梨子「私のことより」

梨子「大丈夫なの? まだ冬のラブライブがあるのに」

梨子「リーダーが恋にうつつを抜かすなんてやめてね」

千歌「大丈夫……今以上に頑張るって誓うよ」

梨子「あらあらお熱いことでー」

千歌「もぅ!」

千歌「それでね……梨子ちゃんにお願いがあって……」

梨子「クリスマスパーティーの後、二人きりにすればいいんでしょ?」

千歌「なんでわかったの!?」

梨子「私に打ち明けたってことはそれしかないと思っただけ」

千歌「さすが梨子ちゃん」

梨子「告白する所こっそり覗いてもいい?」

千歌「うー……梨子ちゃんならいい……よ」

梨子「うそうそ、そんな無粋なことしないから」

梨子「告白。頑張ってね」

千歌「ありがとう梨子ちゃん……大好きだよ」

梨子「あ、浮気だ。曜ちゃんに言いつけちゃおー」

千歌「違うからー! 梨子ちゃんに対してはそういうんじゃないからー!」

――

一週間後・曜の部屋

梨子(もう十二月かぁ)

梨子(クリスマス……千歌ちゃんの告白)

梨子(あの時は、断られる可能性をまったく考えず応援しちゃったけど)

梨子(一応……万が一、念のため確認しておこうかな)

梨子(曜ちゃんのあたふたするとこ見たいし)

曜「……」ヌイヌイ

梨子「ねぇ曜ちゃん」

曜「んー」

梨子「千歌ちゃんのこと好き?」

曜「どしたの急に」

梨子「いいから」

曜「もちろん大好きだよ?」

梨子「告白とかしないの?」

曜「告白ってなんの?」

梨子「え?」

曜「え?」

梨子「千歌ちゃんのこと好きなんだよね?」

曜「うん。大好きだよ」

梨子「なら告白したくならない?」

曜「だからなんの告白?」

梨子「ん?」

曜「ん?」

梨子「えっと……」

梨子「お付き合いしたいっていう告白なんだけど」

曜「お付き合いって私と千歌ちゃんが?」

梨子「うん」

曜「あはははは、何言ってるのさ、桜内さん」

曜「私と千歌ちゃんは女の子同士なんだよ?」

梨子「えっ」

曜「えっ」

梨子「曜ちゃん……隠さなくていいんだよ?」

曜「隠さなくてって言われても」

梨子「……」

梨子「じゃあ聞くけど……」

曜「うん」

梨子「もし仮に……例えばだけど……」

曜「うんうん」

梨子「千歌ちゃんにそういう告白されたら……どうする?」

曜「うーん……千歌ちゃんがするとは思えないけど」

曜「…………断る……かな」

梨子「なんでよ! どうして!?」

曜「千歌ちゃんが私のことを、そう思ってくれるのはすごく嬉しいけど……」

曜「でもやっぱり」

曜「私にその気がないのに付き合うのは、千歌ちゃんに対して失礼だと思うんだよね」

曜「まぁ仮定の話なんだけど」

梨子「…………」

梨子(嘘でしょ……)

梨子(まさか曜ちゃんの方が普通だったなんて……)

梨子(このままじゃ……)

――

千歌「梨子ちゃんが絶対大丈夫だって言うから告白したのに……」

梨子「いや絶対大丈夫とは言ってないんだけど……」

千歌「ひどいよ梨子ちゃん……もうAqoursにいられない……」

千歌「私Aqoursやめる!!」

梨子「ちょっ! 千歌ちゃん!?」

Aqours自然崩壊END

――

梨子(なんてことに……)

梨子(ダメ……それだけは避けないと……)

梨子(こうなったら……!)

梨子「曜ちゃん!」バンッ

曜「は、はい」

梨子「私もレズだからっ!」

梨子(レズじゃないけど!)

梨子「本当のこと言って!!」

曜「え、なにその衝撃の告白」

梨子「だからいいのよ! 自分に素直になって!」

梨子「千歌ちゃんのこと大好きなんでしょ!?」

曜「大好きなのは確かだけど……」

梨子「予備予選の前、あんなに私に嫉妬してたじゃん!」

曜「あ、あれは……確かに……嫉妬してたけど……」

梨子「ほら! レズじゃん!!」

曜「れ、レズなのかなぁ私……」

梨子「そう! 曜ちゃんはレズ!!」

曜「で、でもぅ……」

梨子「でも?」

曜「将来はパパみたいな男の人と結婚したいなって///」

梨子「あああああああああ!!!!!!!!!」

梨子「わかりました」

曜「急に冷静になるのやめて」

梨子「曜ちゃん」

曜「はい」

梨子「明日、デートしましょう」

曜「え?」

梨子「私が直接、女の子同士の良さを教えてあげる!!」

曜「えぇーーっ!?」

夜・梨子の部屋

梨子(勢いであんなこと言っちゃったけど一体どうすれば……)

梨子(そもそも私レズじゃないし、女同士のデートって普段と何が違うのよ……)

梨子(とりあえずネットで何かいい方法を……)

カタカタ

『初心者レズでも簡単! 意中の子を落とすテクまとめ!』

梨子(なんて胡散臭いサイト……初心者レズて……)

梨子(でもまぁ、見ないよりマシよね……)

翌日・沼津駅前

曜「ごめん、おまたせー」

梨子「おはよう、曜ちゃん」

曜「……」

梨子「どうしたの?」

曜「あ、いや……なんかいつもと雰囲気違うなぁって……」

曜「すごい大人っぽいと言いますか……」

曜「背もなんか伸びてるし……」

梨子「それはヒール履いてるからね?」

梨子「それに『デート』なんだから気合入れてくるのは当たり前でしょ」

曜「本当にデートなんだ」

梨子「なのに曜ちゃんのその格好は何!?」

曜「何って、いつもと別に変わらないけど」

梨子「だからダメなの!」

曜「えー」

梨子「もうしょうがないんだから」

梨子「予定を変更して先に服を買いに行きます」

梨子(予定通りだけど)

曜「私、そんなにお金ないよ?」

梨子「いいから行くよ」

服屋

梨子「曜ちゃん、たまにはこういうの着てみたら?」

曜「んー、私にそういう可愛い系は合わないよー」

梨子「そんなことないって。曜ちゃんすっごく可愛いもの」

曜「……動きにくそうだし」

梨子「今日はデートだから運動しません」

曜「えっ、バッティングセンター行かないの?」

梨子「行きません」

曜「ボウリングは!?」

梨子「行きません!」

梨子「それじゃ早くこれに着替えて!」

曜「わ、わかったから押さないで」

梨子「後、このYOU帽子は今日一日預かっておきます」

曜「なんでYOU!」

梨子「デートにこの帽子はないです」

曜「辛辣!?」

無断転載かしら?

シャッ

曜「い……」

曜「いぇーい……」

梨子「可愛い!」

梨子「すごい似合ってるよ曜ちゃん!!」

曜「そ、そうかな///」

梨子「店員さん呼んでくるね!」

曜「えっ、ちょっ、私買うなんて」

梨子「私の奢り。今日は一日その格好でいてもらいます!」

曜「えーーっ!!」

店員「ありがとうございましたー」



曜「本当にいいの?」

梨子「いいって言ってるでしょ」

曜「だって……」

梨子「こんなに可愛い曜ちゃんが、一日傍にいてくれるなら安い買い物よ」

梨子「無理に誘ったの私だしね」

曜「でも……」

梨子「……そしたらさ、もう一つお願いしていい?」

曜「うん、いいよ」

梨子「手、繋いで行きましょ」

曜「手、繋いで歩くの……?」

梨子「そう」

梨子「恥ずかしい?」

曜「恥ずかしいよ……高校生なのに……」

梨子「別に普通よ。ましてや女子校だしよくあること」

曜「そうなの? でも誰かに見られたら……」

梨子「誰も私達のことなんて見てないよ」

ギュッ

曜「り、梨子ちゃん!?」

梨子「さ、行くよ」

曜「こ、これって恋人繋ぎじゃ!」

梨子「今日はデートだからいいの」

スタスタ

<アノコタチ テ ツナイデル-

<フタリトモカワイイ!

<ダイガクセイカナ?

曜「ね、ねぇ梨子ちゃん?」

梨子「……ナニ」

曜「さっきからすごい視線を感じるんだけど……」

梨子「キ、キノセイヨ」

曜「やっぱ離した方が……」

梨子「……」

梨子「曜ちゃんはさ……」

曜「うん……」

梨子「私と手繋ぐの嫌?」

曜「そんな聞き方ずるいよ……」

梨子「私はね……」

梨子「曜ちゃんと手、繋ぎたいな」

曜「梨子ちゃん……」

曜「わかった……今日だけ、デートだから特別だよ?」

梨子「ありがと、曜ちゃん」

曜「それで、どこに向かってるの?」

梨子「○○ってカフェ。お腹も空いてきたでしょ?」

曜「そこすごい並ぶところじゃ……」

梨子「ちゃんと予約してあります」

曜「さすが梨子さん」

梨子「私も一度行ってみたかったからね」

カフェ

曜「美味しい……いくらでも食べられそう」

パクパク

梨子「……」

曜「どしたの? さっきからずっとこっち見て」

梨子「幸せそうに食べる曜ちゃんが可愛いくてつい」

曜「ゴフッ」

梨子「だ、大丈夫?」

曜「今日の梨子ちゃん変だよ……何回可愛いって言うの……」

梨子「だって本当に可愛いんだもの」

曜「調子狂うなぁ……」

その後も――

梨子「やっぱ猫よねー」

曜「猫カフェ初めてきた! 可愛い!!」



曜「このぬいぐるみ欲しいなー」

梨子「任せて曜ちゃん」

曜「梨子ちゃんUFOキャッチャー得意なの?」

梨子「まぁ見てて」

梨子「すいませーん!」

曜(初手店員……!)



梨子「折角だから下着も可愛いの買ってこうよ」

曜「し、下着はちょっと……」

梨子「女同士なんだから照れることないでしょ」

梨子「あ、そうだ。どうせならお互いの下着選ばない?」

曜「梨子ちゃんの下着を私が!?」

そして夜

梨子「これで今日のデートプランは終わりです」

梨子「どうだった曜ちゃん?」

曜「……すごい楽しかった」

梨子「ふふっ、良かった」

梨子「伝わったかな? 女の子同士の良さ」

梨子(なんだか普通にデートしただけな気もするけど……)

曜「うん……伝わったよ……」

梨子(よし……これで千歌ちゃんの告白を断ったりなんか)

曜「梨子ちゃんの気持ち」

梨子「!?」

梨子「よ、曜ちゃん? 何かかんちが――」

ピト

曜「こ、これはその……今日のお礼だから……」

曜「恥ずかしいからほっぺだけど……唇は……そのうち……」

曜「それじゃっ、これからよろしくねっ!」

曜「また明日学校で!!」

タッタッタ

梨子「」

ポツーン

――

――

タッタッタ

曜(しちゃった……しちゃった……)

曜(キス……しちゃった……)

曜(私、こんなつもりなかったのに……)

曜(梨子ちゃんが悪いんだよ……)

曜(責任……とってもらうんだからっ)

――

帰宅後・梨子の部屋

梨子(…………)

梨子(曜ちゃんに電話して誤解を解かなきゃ……)

梨子(私は別に曜ちゃんと恋仲になりたくてデートしたわけじゃないって……)

梨子(今ならまだ間に合う……はず)

『これからよろしくねっ!』

梨子(なのにどうして……)

梨子(さっきの曜ちゃんの照れた笑顔が頭から離れない……)

梨子(まさか曜ちゃんをレズにする内に私までレズに……?)

梨子(ミイラ取りがミイラになるとはこのことね)

梨子「あはははは……」

梨子(笑えない)

梨子(色んな意味で笑えない)

梨子(千歌ちゃんになんて言えばいいの?)

梨子(応援するって言った傍から奪うってとんでもない女じゃん!)

梨子(殺されても文句言えないわよ!!)

梨子(そう……)

梨子(だから私の行動は最初から決まっているの)

梨子(曜ちゃんに電話をして、事情を説明して)

梨子(私なんかより、千歌ちゃんの方が曜ちゃんのこと大事にしてくれるって)

梨子(曜ちゃんならきっとわかってくれる……!)

LINE・曜

梨子:夜遅くにごめんね 

梨子:今から電話してもいい?

曜:電話じゃなきゃダメ?

梨子:うん

梨子:ちゃんと言葉で伝えたいことがあるんだよね

曜:うーん

曜:今日はもうちょっと

曜:いま梨子ちゃんの声聞いたら寝れなくなっちゃうから

梨子「」

梨子(さすがに文字だとアレだし……やっぱ直接……)

梨子(明日の練習の後にでも……)

梨子:わかった

梨子:ごめんね急に

曜:ううん

曜:私も本当は言葉にしたいんだけど

曜:今日はLINEで

曜:大好きだよ梨子ちゃん

梨子(違う違う違う違う違う違う)

梨子(寝る前のラブコールじゃないから!!)

梨子:おやすみなさい曜ちゃん

曜:(´・ω・`)

曜:おやすみっ

梨子(…………)

梨子(わかってくれるかなぁ……)

梨子(曜ちゃんからしたら、昨日の今日で別れてって言われる様なものよね……)

梨子(手遅れかなぁ……)

――

――

梨子:おやすみなさい曜ちゃん

曜(……)

曜(やっぱり電話出れば良かったかなぁ……)

曜(まだ梨子ちゃんの口から好きって聞いてないし……)

曜(うー……)

曜(明日。明日にはまた会えるんだから……)

曜(梨子ちゃんの顔……ちゃんと見られるかな……)

曜(うがー! こんなの寝られないよー!!)

――

翌日・二年教室

千歌「曜ちゃん遅いねー」

梨子「そうねー」

キーンコーンガララカーンコーン

スタスタ スチャッ

千歌「曜ちゃんおはよっ! ギリギリセーフだね!」

梨子「おはよう曜ちゃん」

曜「……おはよーそろー」

休憩時間

梨子「曜ちゃん、今日の練習後」

曜「私トイレ行ってくる!」ガタッ

梨子「あっ……」


次の休憩時間

梨子「曜ちゃん今日の」

曜「トイレ行ってくる!」ガタッ

梨子(これってもしかして)


次の次の休憩時間

梨子「曜ちゃん」

曜「トイレ!!」ガタッ

梨子(避けられてるーー!!)

お昼

曜「今日は水泳部の子達と食べてくる!」ガタッ



千歌「なんだか今日の曜ちゃん忙しいね」

梨子「どうしちゃったんだろうね」

梨子(LINEも返事してくれないし……)

梨子(私、何かしたかな?)

梨子(いや、何かしかしてないんだけど……)

――

練習後部室

曜「私達このあと用事あるからお先っ」

善子「さようならリトルデーモン達」ギラン

バタバタ

梨子「…………」

梨子(結局一度も目を合わすことなく一日が終わってしまった……)

梨子(なんで避けるのよ……説明させてよ……)

梨子(もうLINEで長文送って……)

千歌「梨子ちゃーん」

千歌「梨子ちゃん?」

梨子「あ、ごめんごめん。考え事してた」

梨子「なに?」

千歌「このまま部室残れる? ちょっと話したいことがあって」

梨子「大丈夫よ」

千歌「ありがとっ。というわけでダイヤさん、鍵は私達が閉めますね」

ダイヤ「わかりました。くれぐれも遅くなりすぎないようにして下さいね」

千歌「はーい」

――

――

梨子「それで話って?」

千歌「えっとね……」

梨子「うん」

千歌「前に言った……告白のことなんだけど……」

梨子「!」

梨子「あぁ、クリスマスに曜ちゃんに告白するっていう?」

千歌「うん」

千歌「その告白をね……」

千歌「クリスマスじゃなくて……」

梨子「……」ゴクリ

千歌「今週中にしようと思うの」

梨子「へ?」

梨子「なんでまたいきなり……」

千歌「その……」

千歌「やっぱクリスマスは恋人として一緒に過ごしたいなぁと///」

梨子「…………」

梨子「Aqoursのパーティ来ないつもりなの?」

千歌「パーティは行くよ。その後、曜ちゃんの家に泊まらせてもらうつもり」

梨子「」

千歌「あ、いや、変な意味じゃなくてだよ? 曜ちゃんのお母さんだっているだろうし、したくてもできな……じゃなくて!」

千歌「全然期待なんてしてないよ!!」

梨子(ああああああああ!!!!!!!)

千歌「だからね、告白のセッティングに協力して欲しいなぁ~なんて」

梨子(脳内ピンク一色かっ!)

梨子(まだ告白もしてないのにどこまで考えてるの!?)

梨子(って突っ込んでる場合じゃない……)

梨子(もしこのまま告白したら……)

――

千歌「ずっと好きでした。私と付き合ってください!」

曜「ごめん……私、梨子ちゃんと付き合ってるから……」

千歌「え?」



千歌「梨子ちゃんどういうこと?」チャキ

梨子「これには事情が……」

千歌「聞きたくない!!」

梨子(聞いてきたのそっちじゃ!?)

私死亡END

――

千歌「梨子ちゃん?」

梨子(なんてことに……)

梨子(私まだ死にたくない……)

梨子(私だって恋したいのに……!)

梨子「告白なんだけどさ……」

千歌「うん」

梨子「やっぱりまだ早いと思うんだよね」

千歌「え?」

梨子「千歌ちゃんは大丈夫かもしれないけど」

梨子「曜ちゃんが大丈夫じゃないかもしれないじゃない?」

梨子「せめて冬のラブライブが終わるまでは、待った方がいいと思うの」

千歌「うーん」

梨子「千歌ちゃんよく考えてみて?」

梨子「恋は人を盲目にするっていうでしょ?」

梨子「だから念には念を入れて……」

梨子「今は目の前のラブライブに集中しましょ?」

千歌「なんでそんなに止めるの?」

梨子「え」

千歌「この前はあんなに応援してくれてたのに……」

千歌「もしかして梨子ちゃんも曜ちゃんのこと好きになっちゃった?」

梨子「違う違う違う違う違う違う」

千歌「うー、怪しい……」

千歌「今日だって、ずっと曜ちゃんのこと目で追ってたし……」

梨子「それは……」

千歌「私に曜ちゃん盗られるのが嫌なんだ!」

梨子「違うのよ!? 本当に違うの!!」

千歌「じゃあなんで急に告白止めるの」

梨子「わ、私はただ……ラブライブのこと考えて……」

千歌「嘘だ」

梨子「なんでよ」

千歌「女の勘!」

梨子「……」

梨子(確かに嘘だけど!)

千歌「じー……」

梨子「…………」

梨子「わかった……言うね……」

梨子(こうなったら……)

千歌「うん、話して」

本人なのか?
ラブライブSSって一時期、無断転載が横行してたから

梨子「…………しかいないから」

千歌「え?」

梨子「私にとって千歌ちゃんは特別な存在なの」

梨子「スクールアイドルに誘ってくれて、ピアノも背中を押してくれて」

梨子「毎日一緒に登下校して、毎日遅くまでお喋りして……」

梨子「こんなに仲良くなったの千歌ちゃんが初めてなの」

千歌「……」

梨子「そんな千歌ちゃんが曜ちゃんと付き合ったらさ」

梨子「私ひとりになっちゃう」

千歌「そ、そんなこと――」



梨子「私には千歌ちゃんしかいないの!!」



千歌「梨子ちゃん……」

梨子「うっ……うぅ……」ポロポロ

千歌「急にずるいよ……私もう決めてたんだよ……」

梨子「(泣き落としが)ずるいのはわかってる……」

梨子「それでもお願い……」

梨子「告白は考え直してほしい……(まだ死にたくない)」

千歌「……」

梨子「……」

千歌「わかったよ……」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「曜ちゃんのことは諦めるよ……」

梨子「ありが……ん?」

梨子「ち、千歌ちゃん? 何かかんちが――」

チュッ

千歌「こ、これはその……梨子ちゃんのこと泣かせちゃったお詫びと言いますか……」

千歌「あはは……ファーストキスは曜ちゃんだと思ってたんだけど、世の中わからないもんだね」

千歌「そ、それじゃあ私! ダイヤさんに用があるから先帰ってて!!」

ガララ

千歌「これからよろしくねっ!! 梨子ちゃん!」

タッタッタ

梨子「」

ポカーン

――

――

千歌「はぁ……はぁ……ふぅ」

千歌(ひどいよ……梨子ちゃん……)

千歌(あの時はそんな素振り全然見せてくれなかったのに……)

千歌(今更……)

千歌(でも、すごい嬉しかった……)

千歌(梨子ちゃんの……あの言葉――)

――

夜・梨子の部屋

梨子「どうしてこうなった」

梨子「本当にどうしてこうなった」

梨子「私はただ……二人をくっつけたかっただけなのに……」

梨子「なんで私が二人とくっついてるの!?」

梨子「大体、私は一言も『好きだ』とか『付き合って』なんて言ってないのに」

梨子「どうしてそう受け止めるの? なんなの? レズなの!?」

梨子「はぁ~~……」

梨子「本当にもうどうしたらいいの……誰か教えてよ……」

天使梨子『梨子ちゃん。今ならまだ間に合います』

天使梨子『二人に正直に全てを話すのです。そうすればきっと多分かろうじてなんとか命だけは助かります』

梨子「それは間に合ってないような……」

悪魔梨子『いいじゃない。この際、二人とも自慢の指テクで奏でてあげれば?』

梨子「私の指テクはピアノのだからね! ピアノだけだから!!」

梨子「はぁ……」

梨子(千歌ちゃんの唇……柔らかかったなぁ……)

梨子(って、さっきから何考えてるのよ私)

梨子(今は現実逃避してる場合じゃないの!)

梨子「まず、曜ちゃんの返事を確認」

LINE・曜

曜:今日はほんとにごめんね

曜:梨子ちゃんと顔合わせるの恥ずかしくて逃げちゃった

曜:これはそのお詫びと言いますか

曜:本当は学校で見せるつもりだったんだけど

曜:見せられなかったから写真で

『昨日私が選んだ下着を着た曜ちゃんの写真』

梨子「」

梨子:曜ちゃん! なんて写真撮ってるの!?

曜:あ、やっと返事くれた

曜:梨子ちゃん喜んでくれるかと思って

曜:どうかな?

梨子:すごい似合ってる

梨子:じゃなくて!

梨子:ダメだよ! こんな写真撮ったり送ったりしちゃ

曜:えー? でも梨子ちゃんにしか見せないよ?

梨子:ダメ! スマホ落としたり、誰かに間違って送ったりしたらどうするつもり!?

曜:あー

梨子:何かの拍子でネットに流れたら一生消えないんだから気を付けなきゃ、スクールアイドルなんだし

曜:うん……わかった

曜:なら次のデートの時に着てくね!

梨子(いやいやいやいや!!)

梨子(言うのよ、桜内梨子)

曜:今度のデートはね

梨子(次のデートはないと……)

曜:私が考えるから

梨子(ここがラストチャンス……!)

曜:梨子ちゃんみたいに上手くエスコート出来ないと思うけど

梨子(そこから電話で全部打ち明けるのよ!!)

曜:楽しみにしてて欲しいな!

梨子:うん! 楽しみにしてる!

梨子(ああああああああああ!!!!!!!!!)

曜:それじゃ私、お風呂入ってくるね

梨子:いってらっしゃい

梨子(違うの……)

梨子(指が勝手に……)

梨子(だってしょうがないじゃない……)

梨子(こんな健気で可愛い彼女他にいる? いやいない)

梨子(……私、地獄行き決定かな……)


<リコチャーン


梨子(ははは……死神が私を呼んでる……)

梨子(もう迎えに……)

<リコチャーン

<ワタシノカノジョノ

<リコチャーン

梨子(……死神のがマシだった!!)

ベランダ

梨子「千歌ちゃん? お外でそういうこと言うのはやめた方がいいと思うな……」

千歌「ごめんごめん。つい嬉しくて」

梨子「……それで、どうしたの?」

千歌「用がなきゃ呼んじゃダメだった?」

梨子(あ、やばい)

梨子「あ、いや、そういうわけじゃないんだけど……大声で呼ぶもんだから……」

千歌「あはは、冗談だよ冗談。千歌はそこまでめんどくさい女じゃないよ!」

梨子(はぁー良かった……)

千歌「んとね……梨子ちゃんに伝えなきゃいけないことがあって……」

梨子「うん、ゆっくりでいいよ」

千歌「私ね……本当は梨子ちゃんのことも気になってたんだ……恋愛的な意味で」

梨子「え」

梨子(なにその衝撃の告白)

千歌「でもやっぱり、ずっと昔から曜ちゃんのことが好きで、考えない様にしてたんだ」

千歌「それに予備予選の時に大泣きする曜ちゃんを見て、改めて曜ちゃんの傍には私がいなきゃって思ってたの」

千歌「けどね、今日やっと気付かされた」

千歌「私が本当に傍にいなきゃいけないのは、梨子ちゃんだってことに」

千歌「こんな田舎に一人で転校してきた梨子ちゃんと」

千歌「地元のみんなに愛されてる曜ちゃん」

千歌「幼馴染の果南ちゃんもいて、毎日一緒に登下校する善子ちゃんがいて、最近は鞠莉さんともすっごく仲がいい曜ちゃん」

千歌「それなのに私は、梨子ちゃんの気持ちにも気付かず告白する相談なんてして……本当にごめんね」

千歌「私、すごい嬉しかったんだ……いつも必要とされるのは曜ちゃんで、私はおまけだったから」

千歌「『私には千歌ちゃんしかいないの』その一言で心動かされちゃった……」

千歌「あはは、これじゃなんか私が軽い女みたいだけど、安心して」

千歌「これからはずっと梨子ちゃんの傍にいるから!!」

梨子(重い重い重い重い重い重ーーーーい!!)

梨子(重すぎるよ! 軽いとか冗談やめて!)

梨子(重すぎて圧迫死寸前だよ!)

梨子(圧迫死のがマシかもね!!)

千歌「えへへ、なんか照れくさいな」

梨子(私は一歩も動いてないのに周りがどんどん崩れていく感じがするよ……)

千歌「照れくさいけど、こういうのはちゃんと言葉にしなきゃね」

梨子(もうこれ以上、身動きが出来なくなる前に言わなきゃ……!)

千歌「梨子ちゃんのこと。大好きだよ」

梨子(全部誤解なんだって……!!)

千歌「梨子ちゃんは?」

梨子「私も大好きだよ。千歌ちゃん」

梨子(ああああああああああ!!!!!!!!!)

千歌「やっぱ恥ずかしいねへへっ」

千歌「そしたら私、お風呂入ってくるから」

千歌「また明日ね!」

梨子「う、うん……また明日」



梨子「…………」

梨子(だってしょうがないじゃない!)

梨子(あんな幼い顔に合わず母性に溢れた彼女他にいる? いやいない)

梨子(ははは……明日が怖すぎて地獄に逃げ出したい気分……)

梨子(もうお風呂入って寝よ……)

梨子(これはきっと悪い夢)

梨子(寝たら覚める)

梨子(寝よう!)

――

就寝前

ピロン♪

梨子(こんな時間に誰よ)

梨子(おやすみのLINEかな?)

梨子(怖いなぁ)

LINE・善子

善子:梨子さん、まずはこの記事見て

『URL』

梨子(善子ちゃんから……珍しいわね)

梨子(一体何の記事で……)

『Twi○terで話題! 沼津駅前に現れたラブラブ♡女子大生? カップル!!』

梨子(へぇ~沼津ってレズカップル多いのね)

梨子(こんなガッシリ恋人繋ぎなんかしちゃって)

梨子(って! この写真私と曜ちゃんじゃん!!)

梨子(なんで? 盗撮? 犯罪よ犯罪!)

梨子(一応、顔はハッキリ写ってないとはいえ!)

梨子(服装が完全にあの日の私達!!)

梨子:善子ちゃん! 一体どういうこと?

善子:いや聞きたいのはこっちなんだけど…

善子:ネットじゃ今、大盛り上がりで

善子:目撃者の情報からAqoursの二人なんじゃないかって議論されてるわ

梨子:なんとかして下さい堕天使様

善子:無理です

善子:というか

善子:本当に梨子さんと曜さんなの?

善子:二人にしては珍しい服装だけど…

梨子:違います

梨子:断じて私達じゃありません

善子:そう

善子:なら大丈夫じゃない

梨子:大丈夫じゃないです

梨子:風評被害が……

善子:むしろプラスだと思うけど、スクールアイドル的に

梨子(全然プラスじゃないです。崩壊まっしぐらです)

善子:まぁ私は梨子さんの味方だから

梨子:ありがとうございますヨハネ様

善子:調子いいんだから

梨子:この記事のこと他のみんなには?

善子:梨子さんが最初よ

梨子:みんなには内緒で!

善子:いいけど

善子:まとめ出されたから明日明後日にはうちでも騒ぎになってると思うわよ

梨子:(T_T)

善子:それじゃ

善子:あなたに堕天使の祝福を

梨子:ありがとう善子ちゃん

梨子:おやすみなさい

善子:安らかに


梨子(……)

梨子(あははははは)

梨子(神様もひどいことするなぁ)

梨子(まぁでも自分から告げて死ぬか、相手から告げられて死ぬかの違いよね)

梨子(うん! 明日死のう!!)

――



ピピピピピポチッ

梨子「ん……んーーーっ」

梨子「眩しい……」

梨子「でも、気持ちのいい日差し」

梨子「死ぬには良い日ね……」

梨子(まずは曜ちゃんにLINEで……)

梨子:おはよう

梨子:今日の練習後、音楽室来てもらえませんか?

梨子:二人きりで大事な話がしたいので

梨子(っと)

梨子(これでもう後戻りは出来ない)

曜:おはよう

曜:うん、わかった

曜:私も梨子ちゃんに聞きたいことがあって

曜:今日は逃げないから安心して!

梨子(聞きたいこと……?)

梨子(まぁ気にするだけ無駄よね)

梨子(多分それどころじゃないだろうし……)

梨子(後は、命があれば夜に、ベランダで千歌ちゃんに伝えよう……)

梨子(あるかなぁ……)

――

――

千歌「おはよう梨子ちゃん!」

梨子「お、おはよう」

千歌「ねぇ梨子ちゃん」

梨子「ん?」

千歌「恋人になったんだから手繋いでこ!」

梨子「えっ」

梨子「でも誰かに見られたりしたら……」

千歌「学校の近くまででいいからさ!」

梨子「……う、うん」

ギュッ

千歌「あ、恋人繋ぎじゃないんだ」

梨子「」

梨子「ご、ごめん……慣れてなくて……」

千歌「ううん、気にしてないよ!」

千歌「それじゃ行こっか♪」

梨子「うん……」

梨子(今体温が二度くらい下がった気がしたよ……)

梨子(生きた心地が既にしない……いっそ殺して……)

二年教室

ガララ

曜「おっはヨーソロー!」

千歌「曜ちゃんおはよー、今日は元気だね」

千歌「何かいいことあった?」

曜「うん! すごくいいことあったんだ」

千歌「えーなになにー?」

曜「えへへ、ひ・み・つ」チラッ

梨子「…………」

千歌「もー教えてよー。気になるよね梨子ちゃん?」

梨子「キ、キニナル」

梨子(私は木になりたい)

昼食

曜「ねぇねぇ千歌ちゃん」

千歌「んー?」

曜「前々から気になってた○○ってカフェ。この前行ってきたよ」

梨子「!?」

千歌「えーいいなー! すごい並んでたでしょ?」

曜「それがねー、たまたま空いててすんなり入れたんだ。一人だったし」

梨子「……」

千歌「どう? 美味しかった?」

曜「すごい美味しかったよ。いくらでも食べられそうなくらい。千歌ちゃんも今度行ってみたら?」

千歌「うん! 今度二人で行こうね」

千歌「梨子ちゃん!」

梨子「ブフォッ」

千歌「大丈夫? 梨子ちゃん」

曜「どうしたの梨子ちゃん?」

梨子「だ、大丈夫……ちょっとむせただけ……」

梨子(ははは……これが昔見た魔のトライアングル……こんなに胃が痛いとは……)

梨子(自業自得よね……ははっ)

練習後

千歌「今日私、家の用事あるから先帰るね! また明日!」



梨子(今日は一緒に帰れないって言うつもりが)

梨子(まぁ好都合ね)

梨子(これでゆっくり死地に向かえるし)

曜「……」

音楽室

ガララ

梨子「おまたせ。曜ちゃん」

曜「遅かったね、梨子ちゃん」

梨子「ごめんね。ちょっと覚悟決めるのに時間かかっちゃって」

曜「覚悟?」

梨子「うん……覚悟」

曜「そんなに大事な話なんだ」

梨子「ええ……物凄く」

曜「それじゃ、聞かせて?」

梨子「曜ちゃん……」



梨子「ごめんなさい!!」

土 下 座 梨 子

曜「ちょ、梨子ちゃん!?」

曜「床汚いよ! 顔上げて?」

梨子「いいの!」

梨子「このまま聞いて!!」


――桜内梨子は全てを話した

自分がレズではないこと。千歌のために曜をデートに誘ったこと。勘違いさせてしまったこと。

言い出せなかったこと。なぜか千歌とまで付き合うことになったこと。自分にそんな気はまったくないこと。

二人を騙してしまっている今の状況を包み隠さず。

そして――

自分がレズではないことを正直に話した。

梨子「本当にごめんなさい」

梨子「私、二人に最低なことした」

梨子「謝って許して貰えるとは思ってない」

梨子「それでも……謝らせてほしい……」

梨子「本当に。ごめんなさい」

曜「……」

曜「そっか。全部私の勘違いだったんだ」

梨子「勘違いじゃない!」

梨子「私が騙したの! 悪いのは私!」

梨子「曜ちゃんと千歌ちゃんは何も悪くないの!!」

曜「梨子ちゃん」

梨子「はい」

曜「もう顔上げて……というか土下座はやめて」

梨子「でも……」

曜「私がいいって言ってるの」

梨子「……ありがとう」スッ

曜「事情はよくわかったよ」

梨子「……」

曜「私も何かおかしいなぁ~と思ってたんだよね」

梨子「……」

曜「梨子ちゃん、私に好きって言ってなかったもんね」

梨子「ごめん……」

曜「もう謝らなくていいよ」

梨子「私には謝ることしか……」

曜「だからいいよ」

曜「梨子ちゃんに悪気がなかったのはよくわかったから」

曜「ね」

曜「千歌ちゃん?」

梨子「え」



千歌「あはは。私、曜ちゃんに振られてたんだね」

梨子「ち、千歌ちゃん!?」

梨子「先に帰ったんじゃ……どうして音楽室に……」

千歌「騙してごめんね」

千歌「まぁでも先に騙したのは梨子ちゃんだし? おあいっこってことで」

梨子「おあいこって……これくらいじゃ」

千歌「いいのいいの」

千歌「それよりも」

梨子「……?」

千歌「私達、知ってたよ」

曜「梨子ちゃんが二股してるの」

梨子「え?」

千歌「じゃなきゃ今日一日、あんな嫌がらせしてないよ」

曜「私達なりのお仕置き? 的な」

梨子「そういうことだったんだ……」

梨子「でもいつから……?」

千歌「実は昨日の夜にね、お風呂上がった後――」

昨夜・千歌の部屋

千歌「ふぅ~さっぱり」

千歌「さて……」

千歌「曜ちゃんに梨子ちゃんと付き合うこと言わなきゃ」

千歌「親友に隠し事は良くない」

千歌「それがせめてもの私のケジメ」

千歌「梨子ちゃんを選んだことの……」

pllllllll

曜『もしもし』

千歌「いきなり電話してごめんね。今、大丈夫かな?」

曜『大丈夫だよーどったの?』

千歌「えっとね……その……」

曜『ん?』

千歌「私……梨子ちゃんと付き合うことにしたの」

曜『え、私も梨子ちゃんと付き合ってるんだけど』

千歌「えっ」

曜「えっ」

――

音楽室

千歌「その後のことは、ちょっと私達のイメージがあるから言えないんだけど」

梨子(一体何が……)

千歌「結論だけ言うと、梨子ちゃんに何かあったんじゃないかって」

曜「二日連続で別の子に手を出すなんて、いくら梨子ちゃんでもないよねって」

梨子(そもそも手を出したりしないんですけど……?)

千歌「とまぁ、そんなわけで」

千歌「正直に話してくれて良かったよ」

曜「一時はどうなることかと心配したよ」

千歌「ね」

曜「ね」

梨子(正直に話してなかったらどうなってたの……)

梨子「本当にすみませんでした……」

千歌「もういいよ。梨子ちゃんは私達……Aqoursのために行動してくれたんだもんね」

曜「私が千歌ちゃんのこと振ったら大変なことになると……」

梨子「ううん……私が軽はずみなこと言わなきゃそもそもこんなことには」

千歌「それは違うよ梨子ちゃん」

梨子「へ?」

千歌「梨子ちゃんが応援してくれなくても、告白はしてたよ」

千歌「私の中でもう決まってたというか……ただ確認したかっただけと言いますか……」

千歌「あはは、私めんどくさい女だね」

梨子「……そんなことないよ」

千歌「ありがと、梨子ちゃん」

千歌「よし! それじゃこの話はこれで終わり!」

曜「一件落着だね!」

梨子「本当にありがとう、二人共……これで元通りに――」

千歌・曜「それは無理かな」

梨子「え」

梨子「そ、そうだよね……いくらなんでも虫が良すぎるよね……ははは」

梨子「私、何言って……」

千歌「違うよ梨子ちゃん」

曜「勘違いしてるよ梨子ちゃん」

梨子「え?」

千歌・曜「私達、別れる気ないよ」

梨子「えっ」

梨子「それってつまり……私に二股を続けろと……?」

千歌「二股じゃないよ」

曜「三人でお付き合いするんだよ!」

梨子「えーーっ!?」

梨子「ちょ、ちょっと待ってよ!」

千歌「うん、待つよ」

梨子「なんでそんな冷静なの!?」

曜「私達は昨日の内に決めてたことだし」

梨子「えぇ……」

梨子「そもそも私は……さっきも言った通りレズじゃなくて……」

曜「梨子ちゃんは私達と付き合うの嫌?」

梨子「嫌ではないけど……けどぉ……」

千歌「安心して梨子ちゃん」

千歌「梨子ちゃんはどこからどう見てもレズだよ!」

梨子(どこに安心する要素が……むしろちょっと傷付くよ!?)

曜「そう! 梨子ちゃんはレズ!!」

梨子「……」

梨子「二人共もっとよく考えて……三人で付き合うなんて絶対おかしいよ……」

千歌「女の子同士で付き合う時点で普通じゃないし今更だよ」

曜「普通怪獣卒業だね」

梨子「…………」

梨子「二人は本当にいいの? 三人で付き合うこと……」

千歌「うん! 私は元々、曜ちゃんと梨子ちゃんのこと好きだったし///」

曜「私は梨子ちゃんのおかげでレズに目覚めることが出来たし」

梨子(目覚めすぎでは……)

千歌「だからね。心配することないよ」

梨子「心配するよ……なにもかも不安だよ……」

千歌「梨子ちゃん。私達三人の始まりを思い出して?」

梨子「三人の……はじまり……?」

千歌「そう」

千歌「私達三人の始まり」

千歌「それはね――」







『ダイスキだったらダイジョウブ!♡♡♡』







Happy End

以上で終わりです。ありがとうございました

本人です
一応かろうじて残ってる元スレでほぼ同時刻に宣言しておきました

あんまりマルチ投稿ってのはオススメできるようなものではないけどね

乙ー

おつなり

レズじゃない梨子ちゃんは久しぶりだな

メイ*> ᴗ <リ

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