【ミリマス】恵美「春日未来についてアタシが知っていること」 (13)

 アタシが未来と暮らし始めて気づいたことがいくつかある。

 「恵美さーん。朝ですよー。起きてくださーい」

 未来は早起きだ。
 アタシの朝は、いつも未来に起こされるところから始まる。
 アタシは低血圧で朝に弱く、そんなアタシの逆を行くように未来は朝に強かった。

 「ほらほら♪朝ご飯できてますから!今日はベーコンエッグですよー」

 のっそりと起き上がったところを未来に手を引かれ台所へ。

 テーブルにはベーコンエッグ、トースト、ポテトサラダ、コーンスープが用意されてあった。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1498719408

 未来は料理が上手い。
 本人は「普通ですよー」というものの、料理をするアタシが食べても美味い。

 「そうですか? 隠し味に愛情がいっぱい入ってますから~、でへへ~♪」

 一度本人にそう言ったら照れながらこんなことを言われた。
 恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。

 未来がシャワーを浴びている間に皿を洗って、上がってきた未来と入れ違いでアタシがシャワーに行く。

 未来は手先が器用だ。
 髪を乾かし終わってメイクをしていると、アタシの髪を色々といじってくる。
 最初はポニーテールとか簡単な髪形だったけど、今ではアタシでも難しいセットをしてくるようになった。
 ちなみに今日は編み込みの入ったハーフアップだ。
 お返しにメイクとネイルを簡単にしてあげる。
 未来のかわいい顔に、薄いピンクのチークとベースコートがよく似合う。

 未来はあまりスキンシップを取りたがらない。
 前は所構わず抱き着いて来たりしていたけど、付き合いだしてからはあまりそうでもなくなった。
 今みたいな寒い季節だと手を繋ぐことこそあるけど、回数的にはたかが知れている。
 まあ、だからこそ。

 「あ~、恵美さんの手あったか~い♪」
 「未来の手もあったかいよ」

 お互いがお互いの存在にありがたいと思いやすくなるんだけど。

 未来は目移りがすごい。
 シアター前の駅に30分前には着くようにしているのにもかかわらず、到着は毎回10分前になる。
 毎日通っている道なのに、よくもまあそんなに色々なものに目が向くなと思う。
 小さかったり、些細なことに対して幸せを感じやすいって言ったら未来らしいのかもしれない。アタシは未来のそんなところが好きだ。
 それに。

 「あ、恵美さん! あそこ、肉まんのセールやってますよ♪ 行きましょ!」
 「じゃあ帰りにね。昼に食べたくなったら美奈子か誰かにつくってもらいな」

 こうやってあっちにこっちに行こうとする未来を引っぱって行くのはなかなかに楽しい。

 未来は意外にストイックだ。
 今日はお互いにインタビューと今度のライブのセットリストの確認しか仕事がないのに、プロデューサーにレッスンルームの直談判をしに行った。
 事務所の端にある応接ブースから、未来の声が聞こえてくる。

 「わたし、もっと恵美さんみたいにかっこよくてキレイなダンスが踊れるようになりたいんです! レッスンさせてください!」

 ……今度、歩と瑞希にダンスを見てもらおう。
 そんなに得意な方ではないけど、アタシみたいになりたいって言ってくれてるのを聞いた以上手は抜けない。

 未来はおしゃべりだ。
 シアターからの帰り道、今日起きたことを嬉しそうに話してくれる。
 大半がアタシも一緒にいた時のことな上に、話し方が下手なのかオチもなにもない。
 けど楽しそうにしている未来を見ていると、アタシまで楽しくなってきて。

 「未来って、本当にアイドルに向いているよね」
 「それでそれで、静香ちゃんのうどんが……へ? なんでですか?」
 「さあ、なんでだろうねえ?」

 未来は頭をなでられるのが好きだ。
 帰りに肉まんを買ってやると大喜びしてその場で食べ始めた。
 その姿があまりにも可愛いので頭をなでてやると、すごい勢いで喜びだした。

 「は~、恵美さんに頭なでてもらうの気持ちいいです~」
 「うり、うりうり〜!」

 ムツゴ○ウさんのように頭をワシャワシャしてやる。端から見てるとカップルには見えないだろう
 ……それが少し悔しかったりするのは、ここだけの秘密だ。

 未来は勉強家だ。
 学校の勉強はそうでもないけど、アイドルに関することならどんな知識でも貪欲に吸収しようとする。

 「カルボナーラ二名様お待たせしました~」
 「え……? あ、ご、ごめんなさい! お水ついできます!」
 「いいっていいって、そのまま見てなよ」

 未来が見ていたのは来月から劇場版の収録が始まるドラマのDVDだ。
 手品と事件で使われるトリックを組み合わせた作品で、未来はヒロインの手品師の妹として出演が決まっていた。
 普段アタシが夕飯を作るときは水をついでくれたり器を取ってくれたりするから、今日はよほど集中していたようだ。
 前にもこういうことがあって、そのことを志保に話したら「私も負けてられませんね」と嬉しそうにしていた。

 未来は寝つきがいい。
 布団の中で抱きしめて頭をなでてやるとすぐに眠りにつく。

 「恵美さ~ん、大好きで~す……むにゃ……」
 「あはは、なにその寝言」

 未来の口から漏れた寝言を聞いて思わず苦笑する。
 本当に、幸せそうに眠っている。
 ……アタシも、未来とこうしていられて本当に幸せだ。
 未来はアタシに今も昔もこうして幸せを与えてくれる。

 「……好きだよ。未来」

 未来の寝顔を眺めながら祈る。
 どうかこれからも、彼女と進む未来が幸福に満ちたものでありますように。

終わりです
めぐみらはいいぞ

飲み物以外はまともなんだな
乙です

>>1
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/LBASYmq.jpg
http://i.imgur.com/mYK4J9g.jpg

所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/xwbE4EW.jpg
http://i.imgur.com/aLvhoNf.jpg

この二人だと姉妹みたいなのは分かる
でも恵美の世話焼き気質と未来の甘え上手が合わさるといいね

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom