富豪「目障りだ。そこをどけ」 (9)
富豪「ここは私がいつも通る道だ。貴様のような汚い者の姿を毎日視界に入れねばならん私の気持ちになって考えてみろ」
富豪「わかったら早々にこの場から立ち去れ。私も暇ではないのだ」
富豪「なに、行く場所がない?」
富豪「ならば仕方ない。私の家に来るといい」
富豪「これから貴様は私の奴隷として、私にこき使われろ」
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富豪「貴様、その汚らしい身なりはどうにかならんのか」
富豪「このような汚らしい者を奴隷にしているなど、私の品位が疑われる」
富豪「なに、服がない?」
富豪「ならば仕方ない。この服を着るといい」
富豪「私の妹が子供時代に着ていたものだ。貧相な貴様にはピッタリだろう」
富豪「貴様、名をなんと言う」
富豪「ここにはお前以外にも多くの奴隷が住んでいる」
富豪「貴様らはただの奴隷という一括りに過ぎんが、これから私の下で働いてもらうためには一人一人の区別は付ける必要があるのだ」
富豪「なに、名前がない?」
富豪「ならば仕方ない。私が名前を付けてやろう」
富豪「アオ。お前の名前はアオだ。クク、貴様のような身分の者がこの私から名前を授かったのだ。光栄に思うといい」
富豪「クク、どうだ。仕事は覚えたか?」
富豪「そうか。所詮貴様らは私に奉仕するしか価値のない人間なのだ。私のためだけにその身を粉にして働け」
富豪「勿論適度な休息は取るのだぞ?倒れられるのが一番面倒なんだ」
富豪「なに、することがない?」
富豪「ならば仕方ない。娯楽を与えよう」
富豪「絵画も音楽も文学も、ここには一流のものが揃っている。無闇に傷付けたりしなければ好きなようにして構わん」
富豪「他の奴隷から聞いたが、最近は毎日この音楽室に篭っているそうだな」
富豪「なに、この作曲家は誰か、だと?何も知らないのだな。そんな人間が音楽など楽しめるものか」
富豪「音楽というものはそれだけに価値があるものではない。その作者の思想、作られた時期の時代背景、そういったものを知らなければ、その曲の本当の価値など理解できようもないのだ」
富豪「まずは基礎知識を身につけたまえ。図書室へ行けば音楽史をまとめた本があるだろう」
富豪「なに、文字が読めない?」
富豪「ならば仕方ない。文字を教えてやろう」
富豪「クク、いずれ貴様も、私の仕事に直接関わってもらわねばならん時が来るかもしれんからな。文字が読めなければ話にもならん」
富豪「先程から聞くにも耐えんピアノを弾いているのは貴様か?」
富豪「クク、せっかくのスタインウェイも、貴様のような低俗な者に弾かれてはたまらんだろうな」
富豪「このままではピアノが可哀想だ。おい、ラミア。こいつにピアノを教えてやりなさい」
富豪「…なに、もう弾かない?」
富豪「何を言っている。貴様はピアノを弾きたいから弾いていたのではないのか?」
富豪「やりたいことを我慢する必要がどこにある?別に貴様がピアノを弾くことで、私には何の害も及ぼさないのだ」
富豪「そもそも貴様のような低俗で無教養な者など、本来ピアノなぞ見る機会すら無かったのだ。だのにその奇跡的な出会いを無下にするというのは、些か傲慢が過ぎるというものだろう」
富豪「そこの引き出しに教本が入っているはずだ。とりあえずそれをさらいながら、感情の込め方をラミアから学べ。そうすれば、そのピアノに釣り合うだけの奏者にはなるだろう」
>>6
文面だと普通な富豪様だけど、拗ねたアオ君に慌てて説得してたらカワイイ。
続きはよ
富豪さまイケメン
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