珠美「ANT-TAMAMI」 (69)
~346プロダクション地下 秘密研究室~
ヤギ「ンメェェェェ」
ジジジ…
ヤギ「?」バシュッ
ヤギ「……!!」シュウウウウ
ヤギ?「……」
ぴにゃこら太(ミニ) 「ぴにゃあ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ダメか…」
「いつもこうだ。理論は完璧で無生物の縮小には成功している」
「だが生物に使えば遺伝子に異常をきたし、よくわからんブサイクに変化してしまう!」
「…だが私は諦めんぞ。あのくそったれのドクター崩れめ」
「奴が我が身可愛さに持ち出し隠匿した粒子などなくとも、私はこの技術で私の野望を実現してみせる…!」
「見ていろ…」
「ドクター・ハマグチ……!!」
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モバマスと「アントマン」のクロスです。
一昨年の安部ンジャーズや先日のロリコンソルジャーに影響されてスレ立てしました。
上手くいけば割と短く終われると思うのでよろしくお願いします
追記。
読み方は「アンタマミ」のつもり。
MCUクロスが増えてる…いい流れだ
期待
『わが社は、プロダクションとしての根本的なイメージを見直すこととなった』
『バラエティ路線の仕事は減らしていく予定です。将来的には無くなるものと思ってください』
『それを踏まえて、各々のキャラクターを見直してほしい』
鈴帆「バラエティをなくすってどういう事ばい!」
笑美「うちらから笑いを取ったら何が残るねん…」
仁奈「あのひとたち、何を言ってやがったですか? 教えてくだせー珠美おねーさ…」
仁奈「…珠美おねーさん? どっかいてーんですか?」
アントマンすき
アントマン・アンド・ザ・ワスプも楽しみ
「「「!」」」
笑美(うっわ…珠美はん、うちらよりめっちゃ落ち込んどるやん…)
笑美「ま、まーまー珠美はん! おっちゃんらはああ言っとったけど、何とかなるやろ!」
春菜「そうですよ! こういう時はメガネをかけて! 視界をスッキリさせれば気分もスッキリします!」
珠美「……あ、ありがとうございます」
珠美「…でも珠美は大丈夫です。……落ち込んでなどいられません故! どんな逆境でも日々是精進あるのみです!!」
鈴帆「珠美しゃん……」
鈴帆(どう見ても空元気ばい……)
珠美「で、では! 珠美はこれにて失礼します!」
あやめ「あっ……珠美殿!」
珠美「あやめ殿もお疲れさまでした! では!!」タッ
珠美「……」
珠美「……はあ」
瑞樹「あら、どうしたの珠美ちゃん? ため息なんてついちゃって」
珠美「!」ギクッ
珠美「み、瑞樹さん!? い、いえ珠美はため息など……」ポン
珠美「……あっ……」ナデナデ
瑞樹「…大方、美城常務の改革のことでしょ?」
瑞樹「おねーさんに話してみて? その位はしてあげられるから」
珠美「……」
珠美「…いえ、違うのです瑞樹さん」
珠美「珠美が気にしていたのは、常務の改革のことじゃなくて……」
――――――――――――――――――――
珠美「常務の企画自体は、珠美……実はそんなに嫌じゃないんです」
珠美「聞いたところによると、常務が求めているのはつまり『カッコいいアイドル』ってことですから」
珠美「剣を棄てるのは嫌ですし、バラエティのみんなが悲しんでるのも納得できませんから、決して賛成というわけでもないんですが……」
珠美「それでも、美嘉さんや瑞樹さんみたいな、綺麗で大人なカッコいいアイドルになれると言うのは、珠美にとっては魅力的でした」
瑞樹「……ふんふん。それで?」
珠美「ショックだったのは、『珠美が』今日呼ばれたことなんです」
珠美「それってつまり、珠美は『カッコよくない』って思われてたってことで……」
珠美「……っ珠美は! 綺麗でカッコいい女性になりたくて! 大人な女性になりたくて! アイドルになったのに!」
珠美「本当は誰からもそう思われてなかったことが! 分かってしまったんです!!」
珠美「……結局珠美は、ただの可愛らしいちびっ子としか思われてないんです」
珠美「それが悔しくて仕方ないんですっ……!!」
瑞樹「……」
珠美「うっ……ううっ……!!」グスグス
瑞樹「…『可愛らしいちびっ子』でいいと思うけどなあ」
瑞樹「私からしたら、ちっちゃくて可愛い珠美ちゃんがすっごく羨ましいのに」
珠美「ッ……ダメなんです……珠美はオトナになりたいんです……!」
瑞樹「……そっか」ナデナデ
――――――――――――――――――――
珠美(――それから珠美は、情けなくも、何時間もぐずり続けて)
珠美(――ずっと頭を撫でてくれていた瑞樹さんを、長い時間突き合わせてしまいました)
珠美(――ようやく泣きべそが落ち着いて、瑞樹さんにお礼を言って、涙をふいて寮に帰ったところで)
珠美(――珠美宛てに荷物が届いていることを知ったのです)
――――――――――――――――――――
ブウウウウウン
羽アリ「……」
ジイイイイイイ
??「……ほう。あれが、孫がいつも話している『珠美殿』か」
――――――――――――――――――――
~346女子寮~
珠美「…脇山珠美! 只今もどりました!」
鈴帆「……お!」
笑美「珠美はん帰って来たで!」
ババッ
珠美「え!? み、皆!? な、なにか珠美に御用でも……!」
笑美「なーなー見てーな珠美はん! なんやめっちゃおもろそうなプレゼントが珠美はんに届いてんねん!」
裕子「ライダースーツ? ですかね? とにかくサイキックな一品です!」
春菜「いい感じのゴーグルがついたマスクもありますよ! ぜひ着てみてください!」
鈴帆「いい感じに笑いが取れそうなスーツばい! これで元気出すけんね!」
珠美「す、スーツ?」
笑美「せやせや! …あー、勝手に開けたわけちゃうんやけどな? 知らん人からの荷物やったから、寮長さんが開けるときに見せてもらったんや!」
仁奈「なんか、すげー赤かったですよ!」
珠美「赤いライダースーツ……? どうしてそんなものが、珠美のもとに……」
春菜「さあ…? 何か、スーツを見た途端あやめちゃんが外に出ていきましたが、その理由も良く分かりませんでしたね」
鈴帆「とにかく着てみんしゃい! きっと素敵な贈り物ばい!」
珠美「は、はあ……?」
~珠美の部屋~
珠美「……着てみたはいいのですが」
珠美「なんか微妙にカッコよくないというか、ダサいというか……」
珠美「こう言うのは光ちゃんにあげた方が良いのでは?」
< 珠美はーん、もう着たー?
珠美「! ま、待ってくだされー!」
珠美「……うーん。あまり珠美の好みに合うようなものではありませんでしたな。見せるだけ見せて、欲しい人にあげますか」
珠美「……ん?」
珠美「よく見ると、両手の部分にスイッチみたいなものが……?」
珠美(試しに左だけ……)カチッ
珠美「…何も起こりませんね」
珠美(じゃあ右は……?)カチッ
シュウウウウウウウウウウウウウン
珠美「……?」
珠美「…………!!!?」
珠美「なっ……なっなっなっ!?」
珠美「何が起こったのですか!?」
珠美「こんな……なぜ……」
珠美「なぜ周りのものがこんなに大きく!?」
珠美(……いや、周りが大きくなったんじゃなくて……)
珠美「―――珠美が小さくなったのですか!?」
> …いくらなんでも着替えるの遅くないですか?
> 私達じゃ恥ずかしがるかもしれませんし…仁奈ちゃん、ちょっと見てきてくれませんか?
> わかったー!
仁奈「珠美おねーさんー? どーしたでやがりますかー?」
珠美「…あっ! 仁奈ちゃんちょうどいい所に! 助け……」
ジジッ
≪さらに小さくなった気分はどうだね? 脇山珠美≫
珠美「…えっ!?」
珠美「だ、誰ですか!? いきなり頭の中に声が……!? もしやこれがユッコちゃんの言うサイキック!?」
≪…いや、ヘルメットに通信機能がついてるだけだが≫
珠美「あ、なるほど……それもそうですな」
珠美「…いえ、そんなことより! あなたは一体誰ですか!? このスーツを珠美に送った人ですか!? なぜこのようなものを…!?」
≪しばらく君を見ていたんだよ。今の君と同じ視点から≫
珠美「今の珠美と同じ? それはどういう……」
≪まあなんだ、まずは増々小さくなった体を楽しみなさい≫
≪言っておくが、君が嘆いていた小さな体も随分と恵まれたものなんだ≫
≪それより小さい……アリのような体になってしまえば、危険はもっともっと増える≫
≪例えば……≫
≪そこにいる子供のようにだ≫
珠美「こどもって……」
ドオン!
珠美「え……ぎゃーーーーーーーー!!?」
ドシーン!
ドシーン!
珠美「ちょ……ま! あぶな! 潰される!」
珠美「止まって! 止まってください! ちょっとやだやめてー!」
珠美「仁奈ちゃあああああああああん!!!」
――――――――――――――――――――
< チョットヤダヤメテニナチャーン
仁奈「……? なにか聞こえやがりましたけど、きのせーですね」
仁奈「珠美おねーさーん! どこに行ったですかー!?」ドタドタ
――――――――――――――――――――
ドオオオオオオン!!!
珠美「イヤアアアアアアアア!?」
珠美「き、聞こえていないのですか!? 仁奈ちゃん!? 珠美はここにいますー!!!」
ガチャ
笑美「仁奈ちゃんどないしたん? 珠美ちゃんおらへんのか?」
仁奈「そーなんです……かくれんぼしてやがるですか?」
笑美「なんでそないな事……ん?」
珠美「あ! 笑美ちゃんが気付いてくれました! おーい笑美ちゃ」
笑美「」スッ
E:ハリセン
珠美「んっ?」
笑美「オラアアアアやぶ蚊死ねコラアアアアアア!!」
珠美「えーーーーー!?」バッ
ドゴオオオオオオン!!
珠美「な、なんでーーーーー!!?」
仁奈「笑美おねーさん、どーしたですか?」
笑美「あー逃がしてもーた……ん? いやな? さっき蚊みたいなん見つけてもーてな?」
笑美「すぐ潰さんかったら夜中ブンブンほんまやかましいし、痒いし、潰さななー思ってたんやけど……」
笑美「でも見失ってもーた! 仁奈ちゃん! かまれる前に探して潰すで!」
仁奈「! それは大変でごぜーます! 仁奈も見つけるですよー!」
珠美「……!!」ガタガタガタガタ
珠美(ダメです…! 今見つかったら話も聞いてもらえず潰される!)
珠美(今はとにかく逃げねばなりません! とりあえず二人に見つかる前に部屋から逃げねば……!)ダッ
スカッ
珠美(……ん?)
珠美(え、何この穴)
珠美(こんな小さい穴が、珠美の部屋の床に空いてたなど―――――)
ヒュウウウウウウウウウ
珠美「うわああああああああああああああああ!!!!!」
~346女子寮・キッチン~
ボスッ
珠美「あいたたた……あんなに小さな穴、普段の珠美には気付きませんな……」
珠美「何はともあれ、脱出できて良かったです。はやく元の大きさに戻る方法を探さねば……」
珠美「しかし珠美が着地したこれは一体……」
珠美「……キャベツ?」
ゴオッ
珠美「上からなにか……」
珠美「!!!」
――――――――――――――――――――
響子「ふんふふんふーん♪」トントントン
響子「みんな喜んでくれるかなー?」トントントン
――――――――――――――――――――
ザクゥ!
珠美「ギャーーーー!!」
スパア!!
珠美「ちょ、切れる、切れるう!」
メキメキメキメキメキ(キャベツの繊維が破壊される音)
珠美「きゃ、キャベツの千切りですか!? 近くで見るとこんなに破壊感たっぷりだとは!?」
珠美「いや言ってる場合じゃない! やだ怖い怖い怖い!!」
珠美「逃げねば!」ヒュウウウウウ
~個室~
珠美「あ、危ない所でした……あやうく珠美ごと料理される羽目に……」ヒュウウウウ
珠美「キッチンの下は、確か個室! さっきのような危ないことは恐らくないは……」ヒュウウウウ
ドスッ
珠美「ぐえっ!? な、なんですか今の衝撃は……まだ落下していたと思うのですが……」
珠美「それに、地面と言うには少し独特な手触りと言うか……何やら丸みが……」
珠美「……球?」
珠美「それにこの色……」
珠美「……もしや野球のボール?」
< よーし! 我らKBYD!気合い入れていくよ!
< そーれっ!
珠美「友紀さんの声……一体なにをしt」
カキイイイイイイイン!!!
珠美「オワアアアアアアアアア!?」
ボスッ
幸子「ちょっ!?」ビリビリ
友紀「おー、いいよ幸子ちゃんナイスキャッチ!」
幸子「ちょっと友紀さん!? 今わりと本気で打ちましたね!? ボクのカワイイ顔に当たったらどうするつもりだったんですか!?」
友紀「だいじょーぶだいじょーぶ! 普段あたしが鍛えた幸子ちゃんならこれくらいキャッチできるって信じてたからさ!」
幸子「そ、そうですか……? ま、まあ当然ですね! カワイイボクですし!」
紗枝「えらい本格的な『のっく』やなあ」
珠美「……おええええ」フラ
珠美「こ、これ以上打たれる前に……下へ……」フラフラ
~共同大浴場~
珠美「―――部屋で! 野球を! するな! バットを!! 振るな!!!」
珠美「少し珠美の乗ってるところがズレてたら! いまごろボールかグローブにぺちゃんこの珠美がこびりついてたところですよ!?」
珠美「もとのサイズに戻ったら一言もの申すべきですねこれは!」ヒュウウウウウ
珠美「……ん? あれ、心なしか蒸れるような……」
珠美「!? 下はお風呂!? まずいこのままじゃ溺れる!!」
ドパーン
珠美「わっ……あぷっ、あぷっ! ひいいいい!」
珠美「はやく岸まで泳がねば! お湯の底を散歩する羽目にい!」
ガラガラ
< お? 今誰もいない?
< 貸し切りですね!!!
< じゃ、じゃあ二人で入って来てもいいよ? 私はあとでゆっくり……
< いやいやー、それは無いでしょあーちゃん! ポジパ3人水入らず、しっぽり行きましょうぜ?
< お湯はありますがね!
< うまい!
< え、えええ~!?
珠美「! 誰か入ってきます!」
珠美「助かりました! 誰かの身体に捕まって脱出しましょう!」
未央「…ん? せっかく誰もいないのだから……とおーうっ!!」バッ
ザパーン
珠美「ギャーーーー!!」
藍子「み、未央ちゃん! お行儀悪いですよ!」
未央「ごめんごめん、一度やってみたくてさー」
茜「なるほど! では私も! そりゃーーーー!!」バッ
ドボーン
珠美「やめてえ波がーーー!! 飲まれるーーー!!」
未央「ほらほらあーちゃんも! 今日ばっかりはいい子ちゃんを脱ぎ捨てて!」
藍子「え!? ……え、えっと、えーーーいっ!!」バッ
ドッパーン
珠美「おおおおお!?」スポーン
珠美「や、やった! 幸運にも最後ので水中を抜け出せました!」
珠美「あとは上手く着地して……」ヒュウウウウ
ボインッ
未央「ん?」
珠美「のわーーー!?」
茜「どうしました未央ちゃん!?」
未央「んー…いや、なんか今胸に当たったような……」
茜「なんでしょうね!?」
珠美「な、なんという弾力! さすがNGsいちの……!」
ポインッ
茜「むっ!?」
珠美「うわーーー!! 茜殿も結構ありますね!?」ヒュウウウウ
藍子「なにか虫でもいるのかな……?」
ペタッ
藍子「……んっ」
珠美「……はあ、はあ……ようやく落ち着いた……」
珠美「ちょうど掴まりやすい壁があって助かった……」
珠美「……」ムニ
藍子「あっ……」ビクッ
珠美「……まったく、本当にまったく無いと言う訳ではないのですね」
珠美(――その後さらに下の階に落ちることもなく、なんとか大浴場を脱出できました)
一旦ここまで。
茜「どうしました未央ちゃん!?」
未央「んー…いや、なんか今胸に当たったような……」
茜「なんでしょうね!?」
珠美「な、なんという弾力! さすがNGsいちの……!」
ポインッ
茜「むっ!?」
珠美「うわーーー!! 茜殿も結構ありますね!?」ヒュウウウウ
藍子「なにか虫でもいるのかな……?」
ペタッ
藍子「……んっ」
珠美「……はあ、はあ……ようやく落ち着いた……」
珠美「ちょうど掴まりやすい壁があって助かった……」
珠美「……」ムニ
藍子「あっ……」ビクッ
珠美「……珠美の方がまだありますね」
珠美(――その後さらに下の階に落ちることもなく、なんとか大浴場を脱出できました)
スレ立てした直後にあやたま劇場だと
珠美「ここは……一階ですか?」
珠美「も、もう落ちることはないですよね!? 周りに穴なんかは……」
珠美「…ない! よかった!」
珠美「…ふう。では早速、元に戻る方法を……」
ハナシテ! ハナシテクダサイ!
珠美「……おや?」
珠美(――そのとき、珠美の目に映ったのは)
珠美(――路地裏の暗い所で、黒ずくめの男に連れ去られようとしている)
珠美(――ひとりの女の人の姿でした。)
珠美(――それが分かったとき、珠美の頭からは)
珠美(――さっきまで感じていた恐怖、戸惑い、焦りが)
珠美(――すべて消え失せました)
珠美(――そして、気付いた時には―――)
珠美「―――――うおおおおおおおお!!!」
珠美「その人を放せえええええええ!!!」
珠美(――珠美は雄叫びを上げ、暴漢に飛びかかっていました)
珠美(――分かっています。珠美はちっちゃくて非力)
珠美(――それが益々ちっちゃくなった今の身体じゃ、どうにもできるはずはないと)
珠美(――でも、そんなことを冷静に考えられるほど……珠美はかしこくないのです)
珠美(――そうやって、まっすぐ飛んで行った珠美の拳は―――――)
ゴッ
暴漢「ん?」
ゴシャアアアアアアアアアア!!
暴漢「ぼえあああああああ!!?」
珠美「!? ……ええ!?」
珠美(――珠美自身も驚くくらい、勢いよく暴漢を殴り飛ばしていたのです)
女性「ひっ……!? な、なにがおこって……」
女性「……あ! 今のうちに逃げなきゃ!」タッ
タッタッタッ……
珠美「……」ボーゼン
珠美(――女の人は無事逃げられたようですな。よかった)
珠美(――珠美には気付いてもくれなかったようですが……)
珠美「……でも、どうしていきなりこんな力が……?」
珠美「こんな力、珠美は今まで一度も……」
≪力を圧縮したのだよ≫
珠美「! また!?」
珠美「あなたは一体なんなのですか!? 珠美にこのような力を与えて!」
珠美「どこにいるんですか! 正々堂々、珠美の前に姿を現してください!!」
≪まあ待て。言われなくても顔を見せるさ≫
≪今の勇気ある行動……私は君が気に入った。迎えをよこそう≫
珠美「……迎え?」
バサ
バサバサバサバサバサバサバサバサバサ
珠美(――その直後、珠美の耳にはやかましい羽音が響き渡りました)
珠美(――それはまるで、ある時お仕事の現場で聞いたことのある……)
珠美(――ヘリコプターを思わせる羽音でした)
珠美(――え、なにこれ)
珠美(――巨大な羽アリ!?)
≪カメラを背負っているのが見えるだろう? 私はそれで君を観察した≫
珠美「あ……あ……」
≪彼らが君を私のところへ連れていく≫
珠美「……あり……」
≪さあ、乗りたまえ≫
珠美「……い……」
≪…?≫
珠美「……イギャアアアアアアアア!!?」
≪!?≫
珠美「ちょ、近寄らないでください! グロい怖いでかい気持ちわるい!!」
珠美「食べないでください! 珠美食べてもおいしくないです! いーーーやーーー!!」
≪……≫
珠美「悪霊退散! かしこみかしこみ! えーとえーと、あとなんだっけサイキックなんでやねーん!?」
珠美「…ハッ!? そうです、ここはみくさんに習った猫パ」
羽アリ「」ヒョイ
珠美「ホアッ!?」
ボスン
珠美「…い、イヤーーーー!!! おーろーしーてー!」
羽アリ「……」ババババババババババ
珠美「ちょ、勝手に飛ばな、ま、待って待って待ってうわああああああああ!!!」
珠美(――そして珠美は、必死の抵抗も空しく)
珠美(――羽アリたちに連れ去られて、星がきれいな夜空を飛び回っていきました)
珠美(――声の主のところに辿り着くころには、珠美は気絶していました)
~翌朝・和室~
珠美「…うーん…」
珠美「…はっ!?」
「あっ! 目が覚めたのですね!」
珠美「ここは…いえ、それよりあなたは…」
珠美「あやめ殿!?」
珠美「珠美はたしか、昨日羽アリに連れ去られて…なぜあやめ殿がここに!? ここはどこなのですか!?」
あやめ「お、落ち着いてくだされ珠美殿! ここはわたくしの実家です! おじいちゃんの家です!」
珠美「実家? あやめ殿の? …言われてみれば、どことなく忍者屋敷らしい…」ムクリ
あやめ「あっ! 急に立ち上がらない方がいいですよ珠美殿! さもなくば皆を踏み潰してしまいます!」
珠美「みんな? 踏み潰すとは…」チラ
アリ「「「」」」ワサワサワサワサワサワサワサワサ
珠美「…きゅう」パタリ
あやめ「珠美殿ォー!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あやめ「落ち着きましたか?」
珠美「ええ、何とか…」
珠美「…それで、今してくださったお話をまとめると」
珠美「あのスーツはあやめ殿のおじい様が作ったものであり」
珠美「着て右手のスイッチを押すことで、小さくなる能力が手にはいる」
珠美「また、小さくなればそれだけ力が強くなる…」
珠美「そうですよね? 浜口殿」
浜口(あやめ祖父)「うむ」
珠美「それにしても…いったい珠美はどうやって小さくなったのです?」
あやめ「…あっ」
浜口「! 聞きたいか!?」
珠美「…ん?」
浜口「それは私の開発したハマグチ粒子によるものでな! これに比べればあの小娘が作ったアイアンマンなぞオモチャみたいなものだ!」
浜口「ハマグチ粒子は物質の原子間距離を自在に操る効果をもつ! 原子核と電子の間には大きな隔たりがあることは知っているな? その距離を縮めることでハマグチ粒子を噴射した物体…すなわちスーツを着た人間を1.5センチの大きさにまで縮めることができる!」
珠美「…?」
浜口「ハマグチ粒子が原子に影響を与える過程はどうたらこうたら」
珠美「?」
浜口「どうたらこうたらという理論で物体の質量が変わることはないから、小さい体にもとの質量が凝縮されて圧倒的な筋力を発揮できる!」
珠美「??」
あやめ(始まった…おじいちゃん、この話すると長いんですよねえ)
浜口「おまけにヘッドギアに搭載の機器を用いればどうたらこうたらでアリの中枢神経に働きかけ自由にあやつることができる!」
珠美「???」
あやめ(完全についていけてない顔ですねコレ)
「つまり全部まとめてサイキックです!」
珠美「…なるほど!」
あやめ(…何奴!?)
まーたピムカスがトニーdisってるのか
生存報告。
ss掛け持ちしてるとやっぱりモチベ続かなかったので
今月は書くのきついと思います。
ホームカミングとかマーベルの新作を見ればまたやる気湧いてくると思うので、
読んでくださっている方は申し訳ありませんがどうかお待ちください<(_ _)>
生存報告。
映画見てもモチベ上がらなかったので落とします。
ごめんよ。
浜口「…まあ、何だ。この私の技術の粋とも言えるスーツを君に託したのはな。君に類い稀な正義を感じたからだ」
浜口「君に託したい使命がある」
珠美「使命…?」
あやめ「! おじいちゃん、それは…!」
浜口「私の元弟子が、私の技術を再現してしまった」
浜口「そいつのことはMr.ぺドと呼んでいる。奴は小さいものを愛でる変態でな。このまま奴の好きにさせてしまえば間違いなく良くないことが起こる」
浜口「私はもうスーツを着ることができない。…だから、君にヒーローになってほしいのだ」
珠美「!」
珠美「ヒーロー…!」
あやめ「お待ちくださいおじいちゃん! やはり珠美殿を危険にさらすつもりですか!?」
あやめ「そんなことせずとも、私がアントマンを引き継ぐと言っているでしょう!?」
浜口「お前はダメだ! 何度も同じ事を言わせるな!」
あやめ「納得できません! 珠美殿を奴等のところに送るなど…!」
珠美「…あやめ殿」
珠美「珠美に、任せてはいただけませんか」
あやめ「珠美殿…?」
珠美「珠美を心配してくれるのは嬉しいです」
珠美「しかし、珠美も悪を為す者を放っておくことはできません」
珠美「そのために珠美の力を必要としてくれるのであれば…珠美は立ち向かえます!」
珠美「浜口殿! 珠美にその使命、是非とも果たさせてください!」
浜口「…うむ。それでこそだ」
あやめ「し、しかし珠美殿は戦いの素人…いくらアントマンの力があれど…!」
浜口「ああ、それは確かだな。だから…」
浜口「これから鍛える」
浜口「あやめよ、浜口の名に恥じぬよう脇山珠美を厳しく指導してあげなさい」
ーーーーーーーーーー
浜口「蟻を操る訓練だ。まずは数字を作ってみなさい」
珠美「1,2,3,…」
珠美「…!? なぜ72以上の数字が作れないのですか!?」
ーーーーーーーーーー
あやめ「作戦には蟻たちの協力が必要不可欠です。同じサイズになって触れあいましょう!」
珠美「う、うう…! やはり蟻と言えど、この大きさは恐ろしい…!」
珠美「と、とりあえずアントニー殿、水を…」
アントニー「」ゴクゴク
珠美「…アントニー殿…!」ホワア
ーーーーーーーーーー
浜口「鍵穴を通る時だけ縮み、再び大きくなる訓練だ」
ガツッ
珠美「あうっ」
ドゴッ
珠美「ぐえっ!」
バキッ
珠美「ぎゃー!」
浜口「…大丈夫かこれ」
ーーーーーーーーーー
あやめ「アントマンには格闘能力も必須です! まずは珠美殿、私にパンチを食らわせてください!」
珠美「い、いや、無抵抗の女子を殴るなど…まずはあやめ殿が手本を見せてはどうでしょうか」
あやめ「珠美殿がそうおっしゃるのなら…えい!」バキッ
珠美「ゲフッ」バタリ
あやめ「珠美殿ォーーー!?」
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
浜口「…最初はどうなることかと思ったが、なんとか形にはなったな」
珠美「はい! ご指導、本当にありがとうございました!」ペコリ
浜口「うむ。そこでだ。作戦に入る前に、少し実戦演習といこう」
珠美「実戦、ですか?」
浜口「ああ。とりあえず、346プロの最上階まで侵入して何か適当に盗んでこい」
浜口「最上階まで行って帰れれば盗むものはなんでもいい。後で返せばすむ話だからな」
珠美「なるほど」
浜口「では行ってこい、アントマン!」
珠美「…」
浜口「どうした? アントマン」
珠美「…その、アントマン(アリ人間)って名前、もう少しどうにかなりませんか?」
浜口「不満か?」
珠美「た、珠美も…ちっちゃいことには、それなりにコンプレックスがありますのて…」
浜口「そうか? …じゃあ、ANT-TAMAMI(アンタマミ)とか」
珠美「…もういいです。行って参ります」
ーーーーーーーーーー
珠美「…とうっ!」
珠美「脇山珠美、無事最上階へとたどり着きました!」
あやめ『さ、さすが珠美殿…! 潜入に関しては難なく…!』
珠美「あやめ殿の稽古あってのものです!」
あやめ『そっ、そのような大したことは…!』
浜口『よし、ひとまず潜入は合格だ。あとは適当にそこの物を持ってこい』
珠美「はいっ!」
ーーーーーーーーーー
珠美「ーーー脇山珠美、無事中庭まで脱出しました!」
珠美「…しかし、このディスクは便利ですね。当たったものの大きさを自由に変化させられるとは」
浜口『そうだろう? ハマグチ粒子に出来ないことはない』
あやめ「はいはい、おじいちゃんの技術自慢は置いておいて…」
あやめ「ところで珠美殿。珠美殿は一体何を取って来たのですか?」
珠美「その場にあった写真を持ってきただけですよ? 何か書いてありますね…えーと…」
珠美「『マジカル☆奈緒にゃん♪ ~おねだりネコミミメイド奈緒ちゃんはご主人様にべったり~』」
珠美「…えっ」
「 か 」
「 え 」
「 せ え え え えええええええ!!! 」
ビュウウウウウウ
珠美「!?」
バサッ
スタッ
奈緒「ふーっ、ふーっ、ふーっ…!」
珠美「な、奈緒さん!?」
あやめ『ああ、新しく入った子の…すごく怒ってますね』
珠美「ま、まあこんな写真を持ち出されたら、誰でも怒って追ってきますな…」
珠美「この姿なら見えていませんし、今のうちに…!」
奈緒「見えてんだよッ!!!」
珠美「…見えてるみたいです」
ギュインッ
珠美「な、奈緒さん。私ですっ、同じ346プロの珠美です!」
奈緒「珠美…あれ? 剣道アイドルの脇山珠美ちゃんか!」
珠美「は、はいっ! 知ってくれているのですか!?」
奈緒「おう! 剣道ってカッコいいよな!」
珠美「分かって下さるのですね! 奈緒さんは素晴らしいお方です!」
奈緒「そ、そうか~? いやいや、そんなこと…!」テレテレ
浜口(ちょろい)
あやめ(ちょろいですね)
奈緒「ま、まあ…誉めてくれるのは嬉しいんだけどさ。まず写真! 返してくれ!」
珠美「あっ…やっぱりこれ、奈緒さんのなんだ…」
奈緒「うん! 詮索はやめてくれ! お願いだから何も言わずに返してくれ!」
珠美「ま、まあ、盗むこと自体が目的ですし…いいですよね?」
浜口『まあ、そうだな。返しても…』
浜口『…待て』
珠美「?」
浜口『そいつに聞いてくれ。さっきはどうやって飛び降りた? 誰が作った技術だ?』
珠美「そ、そう言えば…奈緒さん、さっきはどうやって飛び降りたんですか? 結構高いところから落ちてるように見えたのですが」
奈緒「? これか?」
奈緒「ふふーん、いいだろー! あたしの髪にナノマシンを編み込んでるらしくてな! 髪型のセットから翼の形成、強度も上がってるから武器にもできるんだ!」
奈緒「つけたあだ名はファルコン! 自由自在に空を飛べるんだ、すごいだろ!?」
珠美「そ、それはすごい…! 誰が作ったんですか?」
奈緒「晶葉だよ! あいつのじいちゃんもすごい人だったらしいけど、あいつもすごいもん作るよな!
まさに池袋の血族ってやつだ!」
浜口『』ピキッ
あやめ(あっ…)
浜口『…』カチカチ
《 スピーカーモード ON 》
《 変声機能 ON 》
『そうですか! ところでこの写真ですけど…』
珠美(えっ?)
『 か え す わ け な い じ ゃ な い で す か ー w w w w w 』
奈緒「…は?」ピク
『こんな面白いものwwwコピー取ってバラまくに決まってまーすwwwネットにだってあげてやるwww』
『返して欲しいなら力ずくで取り返してみせろーwww』
奈緒「…お前、それ本気で言ってんのか?」ビキビキ
珠美「ちょ、ま…今のは珠美じゃ…!」
浜口『脇山珠美。本当の実戦テストだ。あのモジャモジャ娘と戦って倒せ』
珠美「はあ!? いきなりなに言って!」
浜口『ぶっ殺してこい珠美! あの忌々しいオモチャ野郎の孫の発明などギッタギタのメッタメタにしてしまえ!』
あやめ『ご、ごめんなさい珠美殿…おじいちゃん、晶葉ちゃんのおじいちゃんに物凄い恨みがあるらしくって…』
あやめ『…どうか、死なないでください』
珠美「…えええええええ!?」
奈緒「…」ポン
珠美「な、奈緒さん…?」フルフル
奈緒「…分かってるよ、珠美。怖がらなくても、あたしは珠美を殴ったりしないさ…」
珠美「奈緒さん…!」パアア
奈緒「…だからさ」
奈緒「ちょっと飛ぼうぜ?」
ギュンッ
珠美「え、ちょ、わ、わああああああ!?」
奈緒「ほらほらほらあ! 下ろしてほしかったら返すと言え! いつまでスリルたっぷりの空中にいられるかなあああああ!?」
珠美「か、かえ…」
『この程度で返すとおもってるんですかぁーwww? 写真どおり猫ちゃんのお遊びですねえwww』
珠美(浜口殿ー!?)
奈緒「良くも言ったな! じゃあ急降下だああああ!」ギュオオッ
珠美「ぎゃーーーーー!」
ーーーーーーーーーー
莉嘉「うわっ! 空飛んでる!」
ビュンビュンギュンギュン
ギャーギャーワーワー
きらり「なんだか楽しそうだにぃ☆」
みりあ「みりあもやりたーい!」
之がNとSSRの差か
あやめ『た、珠美殿! 首です!』
珠美「首?」
あやめ『奈緒さんの首元に制御装置があります! 縮小してその中に入り込めば…!』
珠美「な、なるほど! その手がありましたか!」
珠美「それなら…!」カチッ
シュウン
奈緒「消えた? …いや、後ろか!」バッ
珠美「奈緒さんに罪はありませんが…失礼します!」
奈緒「ちょ、何するつもり…」バキッ
奈緒「何か壊れた音したぞ!? 何したお前!」
珠美「落ちて怪我しないでください! 頼みますから!」
奈緒「ケガ!? まさかあんた…」バチッ
《 エラーが発生しました。緊急モード『パラシュート』を展開します 》
ボンッ
奈緒の髪「」モファア…
パシャン
珠美(あっ…着地場所がちょうど噴水に…)
珠美(ごめんなさい…)スタッ
アントニー「……」ブウウウン
奈緒「……」ビチャア
ヒラリ
奈緒「…?」パシ
写真(書き置きあり)『写真はお返しします』
写真『…あと、誰にも言いませんから…』
奈緒「…」
奈緒「聞いてるかどうかは分かんないけどさ」
奈緒「…菜々さんには内緒にしてくれよ?」
ーーーーーーーーーー
今日はここまで。やっぱもうちょい続ける。
キャラクターだけで言うなら奈緒が一番ファルコン役に向いてると思うの
ーーーーーーーーーー
珠美「浜口殿おおおおお!?」
浜口「なんだ、つまらん。一発くらい殴ってやれば良かったのに」
珠美「奈緒さんにそんなこと出来ませんよ! もう勝手に珠美の声で喋らないでください!」
浜口「あーそうだな。わかったわかった」
珠美「本当に分かってるんですか…!?」
浜口「…まあ、それはそれとしてだ。脇山珠美の能力は十分鍛えられた。これなら作戦も上手くいくだろう」
珠美「作戦…そういえば、作戦って何をするのか聞いてませんでした。珠美は何をすればいいのですか?」
浜口「まあ待て。作戦はちゃんと話すが、その前に…」
浜口「協力者を紹介しよう。入ってきてくれ」
珠美「! あなたは…」
珠美「川島さん!?」
瑞樹「こんにちわ、珠美ちゃん」
珠美「どうして川島さんがここに!?」
あやめ「それが…川島さんはぺド博士の実験に協力させられていたみたいなんです」
瑞樹「そうよ。断ることが出来なくて、実験の助手をさせられたの。今までは動物実験でぴにゃこら太を生み出すだけだったんだけど…」
ーーーーーーーーーー
ぺド博士『密閉した容器にヤギを入れて…』
ぺド『私の開発したぺド粒子をぶっかける!』ビシュン
ヤギ『ンメエエエ!』ビビビビビ
ヤギ?『…』
仔ヤギ『ミイイ』
瑞樹『…!』
ぺド『ついに完成したぞ瑞樹くん!』
ぺド『私のぺド粒子を容器に密閉した生物にぶっかければ!』
ぺド『中の生物は体長が縮むと同時に、大きく若返る!』
ぺド『これでアイドルたちを幼女にして飼育できるようになるぞ…!』
ーーーーーーーーーー
瑞樹「ぺド粒子を長く浴びたものは、人格に大きな悪影響を及ぼす」
瑞樹「浜口さんの後を追っていただけの筈のぺド博士は…今はただの、飼育願望を持つペドフィリアになってしまったの」
瑞樹「そしてぺド博士はこの技術を、同士の変態たちに売りさばこうとしているわ」
瑞樹「こんな技術、世に出しちゃいけないわ。世に出しちゃいけない」
瑞樹「だから私も、浜口さんや珠美ちゃんに協力することにしたのよ」
瑞樹「とりあえず、これを渡しておくわ」
珠美「これは…見取り図?」
瑞樹「ええ。これがあれば、珠美ちゃんも潜入しやすくなると思ったの」
瑞樹「それと、珠美ちゃん。可愛らしいちびっ子なんて言ってたけど……こんな大役を任されるなんてすごいじゃない」
瑞樹「もっと自分に誇りをもっていいと思うわ。頑張ってね、応援してるから」
珠美「…瑞樹さん……!」
??「瑞樹はんだけやあらへんで!」
珠美「!」
笑美「ウチらも一緒にペド博士の野望を砕いたる!」
春菜「あやめさんから話は聞きました!」
鈴帆「ウチにぴったりの役をもらえて……気合い入れんわけにはいかんばい!」
仁奈「大暴れしてやるですよー!」
裕子「正義のサイキックで、悪の科学者をこらしめてやります!」
珠美「みんな……!!」
浜口「…これで面子は揃ったな。では改めて説明するぞ」
浜口「ペド博士の野望を砕く、研究所破壊作戦を―――――!!」
―――――作戦開始―――――
――――――――――
浜口『まず、私とあやめが奴の技術を見学しに行く。奴は私にペド粒子を見せたがっていたからな、それで奴の目を引き付ける』
浜口『その間に難波笑美と上条春菜、そして堀裕子が君と一緒に地下の警備員を無力化する』
裕子「こっちを見てください!」
警備員A「? なんだ?」
裕子「いきますよ! サイキック~~~~~催眠術~~~~~!!! ムムムーン!!」
警備員B「!?」バッ
シーン
警備員AB「……あれ?」
笑美(ハリセン持ち)「いや何も起きへんのかーい!!」スパーン
警備員A「ゲフウ」
春菜「この使い方は正直不本意ですが……度の合わないメガネを喰らえッ!」
警備員B「オエエ…」パタリ
――――――――――
常務「zzzzz」
「なんだこのおばさん。道端で寝てるぞ」
浜口『そして、ペド博士の研究を記録しているコンピュータ群に、今まで手懐けたクレイジーアントを侵入させる』
浜口『電気を通すクレイジーアントを回路に対して滅茶苦茶につなぎ、ショートを起こして爆発させる』
浜口『ただ、研究所を爆発させると真上の346プロも無事では済まないからな。何か目立つもので中の人間を外に出しておく必要がある』
浜口『そこで上田鈴帆と市原仁奈の出番だ』
鈴帆(巨大太陽着ぐるみ)「ジャイアント鈴帆ばあああああい!!! 外に出てこの太陽のように巨大なうちを見いやあああああ!!!」
仁奈(巨大ゴジラ着ぐるみ)「ゴジラの気持ちになるですよおおおおおおお!!!」
莉嘉「きらりちゃんよりでっかーい!」
みりあ「すごいすごーい! みりあもあれくらいおっきくなりたーい!!」
きらり「な、なれるかにぃ……?」
浜口『人が全員外に出れば、もう遠慮する必要はない』
浜口『私とあやめは皆を連れて脱出するから、派手に爆破してこい』
珠美「……行きます!」バチッ
ドカーーーーーン!!
きらり「にょわっ!?」
みりあ「わー! 事務所が爆発したー!」
莉嘉「みんな外に出てて良かったね☆」
常務「……」
常務(目が覚めたら城が粉々になっていた……)
~地上~
珠美「……ふう! 何とかここまで昇ってこれて……これで作戦は終了ですか?」
浜口「ああ。よくやったな、珠美。これでペドの野望は潰えた……」
ペド「私の夢が……」シクシクシクシク
珠美「これにて一件落着ですね!」
浜口「その通りだ。…さて、私はもうここを去る。爆破事件の犯人になりたくないなら、君たちも早く帰れ。じゃあな」
笑美「せやな! うちも帰るわ! ほんじゃあ珠美はんもあやめはんもお疲れさん!」
春菜「また明日会いましょうね! 瑞樹さんも、お疲れ様です!」
瑞樹「ええ。今日はありがとう、春菜ちゃんもゆっくり休んでね」
「ほな、「さよーならー!!」」
珠美「また明日、ですぞー!」ブンブン
あやめ「……」
瑞樹「……ふう」
瑞樹「改めて……本当にありがとう、珠美ちゃん。とっても偉かったわ」
瑞樹「小さくて可愛くて、それなのに強くて……もう完璧じゃない?」
珠美「完璧…? え、えへへそれほどでも……」テレテレ
あやめ「……」
瑞樹「それじゃあ私も、そろそろ帰るわね。今日はゆっくり休まなきゃ」
珠美「はい! 今日は本当にありがとうございました!」
瑞樹「ふふっ、珠美ちゃんもゆっくり休んで頂戴。あやめちゃんも……」
あやめ「……」
あやめ「……あの、瑞樹殿」
あやめ「なにかあやめ達に隠してはいませんか?」
珠美「…あやめ殿?」
瑞樹「隠してる? 嫌ねえあやめちゃん。何も隠してなんかないわよ? ペド博士の実験に付き合わされてるって、ちゃんと告白したじゃない」
あやめ「いいえ! 先日から瑞樹殿は、どこかおかしいのです! やけに珠美殿を気に掛けていますし、何より……」
あやめ「なぜ瑞樹殿は、ペド粒子が完成してからわたくし達に協力を申し出たのですか?」
瑞樹「……」
あやめ「今日に限って、厚手のコートを着込んでいるのも気になります。まるで中に何か着ているのを隠すかのように」
あやめ「あやめは、ペド博士から誘いを受けた時聞いていました。『ある人に頼まれて、君のアントマンスーツも再現した』と」
あやめ「ペド博士の目的を考えるなら、技術をスーツの形にする必要は無いはずです! 頼んだのは、もしや……!」カシャン
珠美「……え?」
珠美(その時珠美が見たものは……瑞樹さんの顔を、首元から生えてきたヘルメットが覆った瞬間でした)
珠美(そこまで見て、珠美もようやく気が付きました。瑞樹さんは……)
シュンッ
ゴッ
あやめ「かッ……!」
「……まったく、こんな所で気付かれちゃうなんて」
「察しが良いのも、若くて脳みそがピチピチだからかしら? まったく……」
瑞樹「妬ましいわ」
珠美(珠美と同じスーツを着ている!!)
珠美「ッ! あやめ殿!」ヒュッ
ゴッ
珠美「ぐうっ!?」
瑞樹「珠美ちゃんのアントマンスーツと同じだと思った? ざーんねん、ちょっとだけ違うわよ」
珠美(…? 瑞樹さんの声が、いつもより高い気がする)
珠美(まるで大人の女ではなく、幼い少女のような……)
瑞樹「このスーツの名前は……ペドってつけるのは嫌だから、ロリータ・ジャケット」
瑞樹「ペド粒子を密室で浴びたものは、肉体が影響を受けて小さくなると同時に若返る効果があるの」
瑞樹「今は珠美ちゃん。あなたと同じ、16歳の肉体よ」
珠美「わ……若返りのために、あのような者と手を組んだと言うのですか……?」
瑞樹「嫌ねえ? 私が欲しかったのはスーツだけ。ペド博士の研究を広めたくなかったのは本心だから、最初からスーツだけもらって後は滅茶苦茶にするつもりだったわよ」
瑞樹「私の願いはたったひとつ。その願いは、もう半分叶ったんだから……」
珠美「半分……?」
瑞樹「そ。私は確かに若返ったんだけど、今スーツを脱ぐことは出来ないから見せられないの」
瑞樹「かといって、サイズを戻せば年齢も一緒に元通り。この若い身体は、この狭いスーツの中でしか維持できない」
瑞樹「そこでハマグチ粒子の出番。この肉体年齢で、サイズだけを戻せば……私はスーツを脱げて、また16歳の肉体からやり直せる」
瑞樹「あなたたちみたいに、今度こそカワイイアイドルを目指せる……」
珠美「……!」
瑞樹「ようやく……ようやくよ。必死こいてアンチエイジングに勤しんで、皆に笑われながら年増アイドルをやる日々もお終い」
瑞樹「あなたがディスクを一枚くれれば、私は可愛いアイドルになれる……!」
珠美「…そんなの、間違ってます」
珠美「今の自分を否定して、若返ってアイドルをやろうなんて……そんなの、珠美は悲しいです!」
珠美「瑞樹さんは珠美が憧れた、カッコよくて美しい女性なんです!」
珠美「瑞樹さん、言ってましたよね!? ペド粒子は長く関わった人の精神を壊すって!」
珠美「瑞樹さんはきっと、良くない心に支配されてるだけなんです!! 少し休めば、自分が間違ってるって分かるはずです!」
瑞樹「……間違ってる? よりにもよって珠美ちゃん。貴女が私を否定するのね」
瑞樹「あなた、自分のことをこう言ってたわよね。『ただの可愛らしいちびっこだと思われるのが悔しい』って」
瑞樹「―――その『可愛らしいちびっ子』が、私はどれだけ羨ましかったかッ!!!」
ドゴッ
珠美「ぐっ、ううっ……!」
瑞樹「…もういいわ。ディスクは力づくで奪う」
瑞樹「やっと……やっとなのよ。貴女が望んだものは、いつか手に入るかもしれない」
瑞樹「でもね。私の欲しいものはとっくの昔になくなっちゃったの。いくら待っても、もうおばさんになる事しか残ってないの」
瑞樹「…あと十年もすれば、珠美ちゃんだって分かってくれるわよ……」
珠美「…た」
珠美「たまみ、は、それでも……」
珠美「瑞樹さんは間違ってるって、おも、います……」カチッ
シュウンッ
珠美「…来てください、瑞樹さん」
珠美「珠美は正々堂々、瑞樹さんの想いを受け止めて……すべて否定して見せます」
――――――――――――――――――――
あやめ「……うーん……」
あやめ(あやめが目を覚ましたら、小っちゃくなった珠美殿と瑞樹殿が飛んで跳ねての大激闘を繰り広げていました)
あやめ(それは、いいのですが……)
タマミ「コノー!」
ミズキ「ウワー!」
タマミ「マダマダー!」
ミズキ「シツコイワヨー!」
タマミ「オリャー!」
ミズキ「マチナサーイ!」
タマミ「トリャー!」
ボンッ
巨大うえきちゃん「」ズウウウウン
ボンッ
失敗作だったぴにゃこら太(180cm)「ぴにゃあ」
ミズキ「ソノディスクヲヨコシナサーイ!」
タマミ「オコトワリデスゾー!」
あやめ「……」
あやめ「…人の悩みって、思ってたよりちっぽけなんですねえ……」
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
あやめ「……瑞樹殿? 気は済みましたか?」
瑞樹(元サイズ)「……ええ、そうね」ゼエゼエ
瑞樹「小さい体で駄々こねてるって思ったら……ちょっと自分が恥ずかしくなってきちゃった」
瑞樹「ごめんね、珠美ちゃん。あやめちゃんも。痛い思い、させちゃったわね」
珠美(元サイズ)「いえ……分かっていただければ、それで良いのです」ゼエゼエ
珠美「珠美も、気付きましたから。贅沢な悩みを持っているのは、珠美も同じだったと……」
珠美「……珠美、思ったんです」
珠美「珠美は、瑞樹さんの美しい姿が羨ましいです。ずっと、瑞樹さんみたいになりたいと思っていました」
珠美「でも、そんな瑞樹さんは珠美を羨ましがってる……」
珠美「珠美は、珠美にも、珠美にしか出来ないことだってあるんだ、と……」
珠美「……瑞樹さん」
珠美「珠美は、自分の身体に誇りを持って生きます。瑞樹さんが憧れてくれた身体ですから」
珠美「だから瑞樹さんも……瑞樹さんの身体は、珠美が憧れた身体ですから。瑞樹さんも自分の身体を誇ってください」
珠美「珠美と、約束してください」
瑞樹「……」
瑞樹「…うん、分かったわ。もうロリータジャケットは捨てるわね」
瑞樹「お互い……頑張ってアイドル、やっていきましょ?」
あやめ(……やれやれ)
あやめ(これにて、一件落着のようですね)
――――――――――――――――――――
あやめ(――それからと言うもの、なんとか346プロは復興し)
あやめ(――一度の全壊を前に自分の理想の小ささに気付いた常務は、バラエティに対して多少寛容になりました)
あやめ(――そのおかげもあってか、シンデレラプロジェクトのプロデューサーの働きもあって、あらたにバラエティ番組『とときら学園』が始まり)
あやめ(――わたくし達バラエティ組は、そこや他の番組でも、自分の個性を大いに伸ばしてアイドル活動をやっております)
あやめ(――そして珠美殿も……)
珠美「一寸の虫にも五分の魂!」
珠美「小っちゃくたって、珠美は立派な剣士なんですぞ!」
あやめ(――すっかり自分に自信をもって、アイドル活動を元気に続けております)
あやめ(――瑞樹殿は瑞樹殿で、今までよりアイドルを楽しんで……こころなしか、見た目も若返ってる気がします)
あやめ(――あやめも、負けてはいられませんね!)
――――――――――――――――――――
武内P「……」
武内P(瓦礫からたまたま発見された『これ』を、とときら学園のマスコットに起用したはいいのですが……)
武内P(結局、この生物は何なのでしょうか……?)
ぴにゃこら太「ぴにゃあ」
~おしまい~
いろいろ雑でごめんね。一時落とそうと思っていたのですが、ウルヴァ凛のssが少し盛り上がったのに押されて、とりあえず一気に書いて終わらせました。
安部ンジャーズシリーズの作者とは別人ですが、キャプテンウサミンとアイアンマンを作る晶葉が存在する世界観で書かせていただきました。
ファルコン奈緒は「…で、いつ始める?」のセリフとかほぼ初対面のウサミン達を匿うシーンとかシビル・ウォーの行動ひとつひとつがすごく似合う子だと思います。
あと、ホームカミング良かったです。ヴァルチャーの背景がシンプルで尚且つすごく共感できたのが素晴らしかった。
ここまで読んでいただきありがとうございました<(_ _)>
ぴにゃあ
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