ガヴ「Kiss me」 まち子「Kiss you?」 (36)


-教室-


ガヴ「……」


まち子「……あ、居た居た」


ガヴ「……」


まち子「天真さーん。この前の職場体験の感想プリントを……」スタスタ




まち子「……あら?」




ガヴ「……」パラ…




まち子「……」


まち子(……珍しい。あの天真さんが本を読んでるなんて)



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まち子「っと、そうじゃなくて……」



まち子「天真さん」

ガヴ「……ん? いんちょー?」

まち子「委員長ね。職場体験のプリント、まだ出してなかったでしょう?」

ガヴ「そんなのあったっけ」

まち子「あったわよ! ほら、今日までに提出って言われてた……」

ガヴ「あー、あのクソめんどそうなやつ?」

まち子「面倒って……」

ガヴ「えーっと」ガサガサ


ガヴ「あった。これだな」スッ

まち子「ありがとう……って白紙!?」


ガヴ「うん。『感想無し』って事でよろしくー」

まち子「い、いや、せめて何かひと言くらい書いて貰えないと……!」

ガヴ「えー……じゃあ」



ガヴ「『クソめんどかったです。二度とやりたくありません。滅びろ』」カリカリ



ガヴ「これでいい?」

まち子「良い訳あるかーー!!!」



まち子「もー、真面目に書いてよ! 天真さんのプリントを集めるまで、私帰れないのよ!」

ガヴ「いいじゃん。それなら、このまま放課後デートと洒落込みましょうや」

まち子「こんなときめかない放課後デート初めてよ……」

ガヴ「したことあるの?」

まち子「え? いや、ないけど」



ガヴ「……そっか」フッ

まち子「なんでそんな憐れむような目を!?」


ガヴ「いや、委員長も大変だなーって」

まち子「余計なお世話よ! というか、そう思うなら早く書いてよ!」

ガヴ「はいはい。これ読み終わったらねー」パラ…

まち子「いやだから先にこっちを……!」

ガヴ「まーまー、落ち着いて……せっかちな人はモテませんよ?」

まち子「……」ピクピク

まち子(もうやだ……委員長やめたい)



ガヴ「……」パラ…



まち子「……」



まち子「……そういえば」

ガヴ「ん?」

まち子「天真さんはそれ、何の本を読んでるの?」

ガヴ「あー、えっと……」



ガヴ「恋愛小説かな」

まち子「え、恋愛小説!?」



ガヴ「うん。しかも百合もの」

まち子「ゆ、百合もの!!?」



ガヴ「ヴィーネが面白いって薦めてきたから、借りて読んでるんだよ」

まち子「え? ……ああ、なるほど。天真さんのじゃないのね」


ガヴ「当たり前だろ。私が恋愛小説なんか持ってそうに見えるか?」

まち子「いやまあ、確かに見えないけど……」

まち子(自分で言うんだ)



ガヴ「……」パラ…

まち子「それで、その本は面白いの?」

ガヴ「んー……まあ面白いんだけど」

まち子「けど?」

ガヴ「所々エッチなシーンがあるんだよね」

まち子「エッ……!?」

まち子(ま、まさか官能小説みたいな……!?)


まち子「そ、それってどういう?」

ガヴ「そうだな、例えば……」

まち子「……」ドキドキ



ガヴ「キスシーンとか」

まち子「……」



まち子「え、キス?」

ガヴ「うん」


まち子「……他には?」

ガヴ「えーっと、ハグとか」

まち子「ハグ……それだけ?」

ガヴ「うん。まあ、それくらいかな」

まち子「なんだ、その程度か……」ホッ

ガヴ「……」

まち子(びっくりした……てっきりもっと凄い描写があるのかと……)


まち子「……」

まち子(ま、まあでも恋愛小説なら、キスシーンくらいあってもおかしくないわよね)

まち子(それにしても、キスシーンがエッチなシーンだなんて、天真さんって結構ウブなんじゃ……)

ガヴ「ねぇ、委員長」

まち子「なに?」





ガヴ「『そ の 程 度』?」ニヤッ

まち子「」





ガヴ「今、その程度って言ったよね?」ニヤニヤ

まち子(ぼ、墓穴掘ったぁぁああああ!!!)



ガヴ「キスシーンがその程度って、委員長は一体どんなエッチなシーンを想像してたんですかねー?」ニヤニヤ

まち子「ち、違うの! 今のはちょっと口が滑って……」カァァ

ガヴ「へー、口が滑ったんだ?」ニヤニヤ

まち子「あっ! いや、えっと……!」アセアセ

まち子(まずい、喋れば喋るほどボロが……!)

ガヴ「それで? 何を想像したの?」

まち子「い、言える訳ないでしょそんなの!」カァァ

ガヴ「なるほど、言えないような想像をしちゃったと」

まち子「だから違っ……!」カァァ

ガヴ「いやー、委員長はムッツリですなー」ニヤニヤ

まち子「ムッツリ言うなーー!!!」カァァ





ガヴ「……しかし、委員長がそういう事に詳しかったなんて意外だな」

まち子「うぅ……」カァァ

まち子(恥ずかしい……死にたい……)

ガヴ「やっぱり、そういう経験もあったりするの?」

まち子「えっ? ……そ、そういう経験って?」ビクッ

ガヴ「キスとか、あっちの事とか」

まち子「なっ!? ないないない!! ある訳ないでしょ!」カァァ

ガヴ「ふーん、無いんだ」

まち子「無いわよ!」


ガヴ「そっか。じゃあ委員長は耳年増なのかー」

まち子「耳年増って……大体、天真さんだってそういう経験ないでしょう?」

ガヴ「あるよ?」

まち子「え?」



ガヴ「……」

まち子「……え? 嘘でしょ?」

ガヴ「嘘じゃないけど」



まち子「……」

ガヴ「……」



まち子「……な」




まち子「なんでやねん……」ズーン

ガヴ「いや、動揺し過ぎだろ」




まち子「まさかクラスメートの性事情がそこまで進んでたなんて……」ズーン

ガヴ「あー、違う違う。 そっちの経験じゃなくて、キスの方」

まち子「えっ?」

ガヴ「流石にあっちはまだだよ。相手も居ないし……」

まち子「あ、そうなんだ……良かった……」ホッ

ガヴ「やっぱり委員長ってムッツリなんだな」

まち子「だから誤解だって!」



まち子「……っていうか、天真さん、キスした事あるの?」

ガヴ「まあ、何回か」

ガヴ(同性だけどな)

まち子「そ、そうなんだ……どんな感じなの?」

ガヴ「どうって言われてもなー……こう、幸せな感じ?」

まち子「幸せ……」

ガヴ「あとは柔らかいとか、ちょっと息苦しいとか……」

まち子「柔らかい……」

ガヴ「うーん、上手く言えないな……まあ、実際にしてみるのが一番早いとは思う」

まち子「……」ドキドキ


ガヴ「もしかして委員長、興味あるの?」

まち子「えっ!? い、いや、そんなことは……」

ガヴ「……」ジーッ

まち子「……」



まち子「……ない、訳じゃないけど」ボソッ

ガヴ「ふーん?」ニヤニヤ

まち子「うぅ……」カァァ

ガヴ「やっぱり委員長も女の子なんですなー」ニヤニヤ

まち子「い、いいでしょ別に!」カァァ

ガヴ「……」



ガヴ「それじゃあさ、委員長」

まち子「な、何?」

ガヴ「私としてみる?」

まち子「……え、何を?」

ガヴ「キス」

まち子「……」

ガヴ「……」



まち子「……あの、天真さん」

ガヴ「うん」




まち子「天真さんって、もしかしてそういう趣味なの……?」

ガヴ「いや違うから」




まち子「だって、いきなりキスしようだなんて……」

ガヴ「あー、うん。ごめん。確かに今のは私の言い方が悪かった」

ガヴ「えっとほら、恋人同士のキスじゃなくて、友達同士でする挨拶みたいなキスの話だよ」

ガヴ「外国人がよくやってるやつ」

まち子「な、なるほど……?」


まち子「いやでも、やっぱりキスなんて恥ずかしいし……」

ガヴ「別にキスって言ったって、口にする必要はないんだぞ? ほっぺにチューでもキスはキスだ」

まち子「ほっぺにチュー……」

ガヴ「それくらいなら、委員長でも出来るんじゃない?」

まち子「まあ確かに、それくらいなら……」



まち子「……って、なんでキスする前提で話が進んでるのよ」

ガヴ「だって委員長が『興味ある』って言ったんじゃん」

まち子「あれ!? 私の所為!?」



ガヴ「で、どうするの? やるの? やらないの?」

まち子「いや、えっと……」

ガヴ「女同士だし、そんなに気を張る必要ないと思うけどなー」

まち子「天真さんは気にしなさ過ぎなのよ!」

ガヴ「まーまー、1回くらいなら平気だって」

まち子「そんな薬物を勧める人みたいな……」

ガヴ「いいからいいから。興味あるんでしょ?」

まち子「……」



まち子「……じゃ、じゃあ、1回だけ」

ガヴ「オッケー。かもん」

まち子「あ、でも!」

ガヴ「ん?」



まち子「その、やり方が合ってるか不安だから、先に天真さんにお手本を……」

ガヴ「……えー……委員長、流石にそれはヘタレ過ぎじゃない? ほっぺにチューするだけだぞ?」

まち子「し、仕方ないじゃない! こういうの初めてなんだもの……」

ガヴ「……はぁ。しょうがないなー」



ガヴ「そのままジッとしててよ」スッ

まち子「えっ!? ちょ、心の準備が……!」ビクッ



ガヴ「だからそんなの要らないって……」

まち子「待っ……!」



チュッ



まち子「~~~っ!」プルプル

ガヴ「はい、おしまい」

まち子「……」



まち子「……え、もう終わり?」

ガヴ「うん」


まち子「……」

ガヴ「ね、大した事なかったでしょ?」

まち子「……う、うん」

ガヴ「キスしようって考えるから緊張するんだよ。軽く触れるつもりでやれば大丈夫」

まち子「……」

ガヴ「ほら、次は委員長の番だぞ。頑張れ」

まち子「わ、分かったわ」



まち子「……」スッ

ガヴ「そーそー。力抜いてー」

まち子「……」



まち子(……天真さんって、近くで見ると案外綺麗な顔してるのね)

まち子(まつ毛も長いし、羨ましい……)

まち子「……!」ハッ

ガヴ「……」

まち子(ダメダメ! 余計な事を考えちゃ!)



まち子「……」

まち子(軽く触れるだけ、軽く触れるだけ……よしっ)

まち子「……」ズイッ

ガヴ「……」




ガヴ「……」クルッ

まち子「えっ?」




チュムッ




まち子「……」

ガヴ「……」







まち子「~~~~~っ!!?!?」ボッ

ガヴ「油断したな」ニヤッ






まち子「なっ、えっ、てんまさ……!!?」カァァ

ガヴ「いやー、悪いねー。こうでもしないと、委員長は口にはさせてくれないだろうからさ」

まち子「な、なんで、こんな……」カァァ

ガヴ「んー? それはほら、ほっぺにチューだけじゃキスの経験なんて言えないし……」

ガヴ「ま、あとは私がしたかったってだけかな」

まち子「……」シュゥゥ

ガヴ「それで、どうでしたか? 初めてのキスのお味は」

まち子「わ、分からないわよそんなの……!」カァァ

ガヴ「ふーん……そっか」




ガヴ「じゃあもっかいしてみる?」

まち子「するかーーー!!!!」カァァ





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-廊下-



まち子「……まったく、ひどい目にあったわ」スタスタ


まち子(流されたとはいえ、まさか私のファーストキスの相手が天真さんになるなんて……)


まち子「……」スタスタ


まち子(それに結局、あれからプリントを書いて貰うのにさらに30分くらいかかっちゃったし……)


まち子(あーもう、なんでうちのクラスにはこんなに問題のある人が多いのよ!)




まち子「……」スタスタ


まち子(……そう言えば)


まち子(天真さん、私とキスしたかったって言ってたような気がしたけど、あれはどういう意味なのかしら)


まち子(やっぱり、天真さんってそういう趣味があるんじゃ……)


まち子「……」スタスタ


まち子(……それとも)


まち子(もしかして、天真さんは私の事が……)


まち子「……」




まち子「……」ブンブン


まち子(いやいや、ないない。考え過ぎよ)


まち子(多分、天真さんは誰にでもそういう事をする人なのよ。うん、きっとそう)


まち子(だからさっきのキスはそういう意味じゃない……はず)


まち子「……」



まち子(……)



まち子(……それにしても)



まち子「……」



まち子(天真さんの唇、柔らかかったな……)





まち子「……」



まち子「……」カァァ





まち子「さ、さあ急がないと。 これ以上遅くなったら先生に怒られちゃうわよ」スタスタ


-おしまい-


~おまけ~



「あ、ガヴ! 遅かったじゃない。どこに行ってたのよ」



「え? 教室で委員長と話してた?」



「……ああ、なるほど。あのプリントまだ出してなかったのね。だから早めにやっておきなさいって言ってたのに……」



「……でも、それならなんでそんなに顔が真っ赤なの?」



「……何でもない? 本当?」



「……」



「……まあいいわ。サターニャとラフィが待ってるし、早く行きましょう」



「……え、何?」



「……」



「ふふっ。どういたしまして」



「それが気に入ったなら、今度また別の本を貸してあげるわ」





「----おすすめの、恋愛小説をね」




-おしまい-

という訳で、キスの日SS(大遅刻)でした。


HTML化依頼出してきます。


ガヴまちとでも呼べばいいんだろうか
すごく良かった


まち子の出番もっと増えていいよね

なぜだろう
最後のヴィーネがホラーにしか見えないんだ…

今更ながらガヴまちいいですね


















































































ああ

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