まち子「そうえば……」 (25)

放課後――

まち子「あっ、また天真さんだけプリント出していない……」

まち子「まだ教室に居るよね……」

ヴィーネ「もうガヴ、起きなさい!もう下校の時間よ!」

ガヴリール「……」スウスウ

まち子「……」

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まち子(そういえば以前の進路志望で天真さんと月乃瀬さんが『天界に提出するプリント』とか『独身男性の好きな食べ物ランキング』とか言っていたわよね)

まち子(……)

まち子(気になる)

まち子(この際ついでに聞いてみようかな?)

まち子「あの、天真さん」

ヴィーネ「あっ委員長、ガヴに何か用?」

まち子「明日提出期限のプリント、未提出なの天真さんだけなのよ」

まち子「言っても意味がないような気もするが、一言言っておかないとね……」

ヴィーネ「ガブったらあのプリントまだ提出してなかったのね」

ヴィーネ「ガブ! ガブ! 起きなさい!」ユサユサ

まち子「天真さん、起きてください!」ユサユサ

ガヴリール「……んぁ……今何時……」

ヴィーネ「もう放課後よ!学校は寝るところじゃないの!」

ガヴリール「……おぶってー」

ヴィーネ「嫌よ、一緒に歩いて帰るわよ」

まち子「あの、天真さん」

ガヴリール「ん……委員長、居たんだ」

まち子「ずっと居たわよ」ハァ

まち子「明日提出期限のプリントなんだけど、まだなの天真さんだけなの」

ガヴリール「……そんなプリントあったっけ」

まち子・ヴィーネ「あったわよ!」

ガヴリール「おぉ~息ぴったり」

タイトルミスが…

まち子「そういえば……」

ヴィーネ「茶化さない!」

まち子「もぅ……このプリントなんだけど」

ガヴリール「ん~……あぁ、見た事あるある」

ガヴリール「たしか机の奥に……」

ヴィーネ「持っているなら早く提出しなさいよ」

ガヴリール「あったあった、これだよね」

まち子「……見事に真っ白ね」

ヴィーネ「量は多くないから今から書きなさい」

ガヴリール「え~」

ガヴリール「ヴィーネ、書いて」

ヴィーネ「自分で書きなさい」

ガブリール「ちぇ……」

まち子いいぞ

ガブリール「という事で委員長! おねがい!」

まち子「うぇ!? 私!?」

ガヴリール「私寝起きだよ? 頭あまり働かないのにこんなの書いていたら明日になるよ?」

まち子「えぇ……」

ガヴリール「委員長が書けば10分ぐらいだよ!」

まち子「それ5分ぐらいで……」

ヴィーネ「ちょっと、委員長にまで迷惑かけないの!」

ガヴリール「むぅ……わかったよ……」

ガヴリール「……」カキカキ

ヴィーネ「……」

まち子「……」

まち子(聞くタイミングは今しかないわね)

まち子「ねぇ、天真さん、月乃瀬さん、一つ聞いてもいい?」

ガヴリール「お~いいぞ~」

ヴィーネ「ガブは書くことに集中しなさい」

ヴィーネ「で、委員長、何?」

まち子「以前進路希望調査のプリントあったでしょ?」

ガヴリール「あぁ、あったね」

ヴィーネ「だから書くことに集中!」

ヴィーネ「何かそのプリントに気になったことでもあるの?」

まち子「そのプリント自体ではないけど……」

まち子「そのプリントの提出期限の日、天真さんだけ未提出で」

まち子「月乃瀬さんは今日みたいに一緒に書くの付き合っていたよね」

ガヴリール「あったねあったね」

ヴィーネ「ガヴは返事しなくてもいいから」

ヴィーネ「確かに一緒だったわ、何か問題でもあったのかしら?」

まち子「一緒にいることは全く問題は無いの」

まち子「ただ……」

ガヴリール・ヴィーネ「ただ?」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「書く」

ガヴリール「へい……」

まち子「……まあ、決して盗み聞きをしようと思ったわけではないのよ」

まち子「つい聞いてしまって……」

ガヴリール・ヴィーネ「?」

まち子「あの時話していた『天界に提出するプリントが独身男性の好きな食べ物ランキング』ってどういう事なのかなと」

ガヴリール「ブフォ!?」

ヴィーネ「ピャィ!?」

まち子「!?」

まち子「……あと」

ガヴリール・ヴィーネ「!?」

まち子「『独身男性を消す仕事は月野瀬さんの仕事だった』っていう事も気になって」

ヴィーネ「ぅ!?」アセアセ

ガヴリール「……」

ガヴリール「なぁ、もしかしてあの時の話?」ヒソヒソ

ヴィーネ「そうみたいねガヴ、あの時はさすがに不用心すぎたわ……どうする」ヒソヒソ

ガヴリール「……」

ガヴリール「黙っていても仕方がない、話すか……」

ヴィーネ(ガヴ!? 人間にあなたが天使ってばれたら天界に強制送還されるからそれだけは……)

ほう

ガヴリール「実は私、アルバイトしていてさ」

まち子「天真さん、アルバイトしているの」

ヴィーネ(ん?)

ガヴリール「その店、喫茶店でね……雰囲気もマスターもいいところなんだ、あと客も少ないところ」

まち子「へー喫茶店でしてるんだ」

ガヴリール「本当に雰囲気がいいんだよ、マスターも良い人で」

ガヴリール「あまりにの良さにさ、私はその喫茶店を天国のような所『天界』と呼んでいるんだ」

ヴィーネ(いやいやそれ無理あり過ぎるでしょ)

まち子「なるほど……」

ヴィーネ(通った!)

流石委員長チョロい

ガヴリール「で、喫茶店ってカップルや女性が好んで入りそうな所だよね」

ガヴリール「ただ、マスターがこれではだめだと新たな客層を呼び込もうと独身男性に目を付けたわけ」

ガヴリール「そこで私に『独身男性の好きな食べ物ランキング』たるものを調査してほしいと頼まれたんだ」

ガヴリール「喫茶店のメニューに追加しようとね」

ヴィーネ(マスターさん、嘘をずらずら並べてすみません)

ガヴリール「安請け合いしてしまたなーと思ったな、あの時は」

まち子「それは大変ですね……」

ガヴリール「ほんと、大変だったよ」

まち子「でも「『独身男性を消す仕事は月野瀬さんの仕事だった』というのは……」

ガヴリール「……」

ガブリール「……」チラッ

ヴィーネ「……」

ガヴリール「……それはヴィーネから話すよ、私はプリントを仕上げのに忙しいから」カキカキ

ヴィーネ(丸投げしあがった!?)

まち子「月野瀬さん?」

ヴィーネ「えぇと……」アセアセ

ヴィーネ(ガブみたいにアルバイトしていなし……そもそも独身男性を消す仕事ってどう考えてもやばい仕事しか思い浮かばない……)

ヴィーネ(いや、やばいと思うからダメな方向に考えてしまう……先入観を捨てて……平和的に……)

ヴィーネ(……)

ヴィーネ(そうだ!これしかない!嘘だかこれしかない!)

ヴィーネ「スゥ……ふぅ……」

ヴィーネ「よし!」

まち子(目つきが変わった!)

ヴィーネ「『独身男性を消す仕事』というのは少し……ではなくかなり乱暴な表現ね、ガヴ」

ガヴリール「しらねー」カキカキ

ヴィーネ「はぁ……私のお父さんとお母さんは個人的でする結婚相談所をやってたのよ」

まち子「そうなんだ」

ヴィーネ「私も小さい頃にお母さんとお父さんに連れられその結婚相談所まで行ったことがあるの」

ヴィーネ「そこで度々『このようなかわいい娘が欲しくないか!』と私をよく押し出したりしたのよ」

まち子「月乃瀬さんも大変だったのね……あっもしかして」

ヴィーネ「そう、そもそも結婚相談所は独身の男性や女性を結婚させるように向かわせる、云わば独身が独身ではなくなるようにサポートする所」

ヴィーネ「それを男性のみに焦点を当てて乱暴にした言い方が『独身男性を消す仕事』ね」

ヴィーネ「『だった』というのも今はその結婚相談所はつぶれているからね……」

ヴィーネ(お父さんお母さんごめんなさい……私嘘つきました……大好きな親について嘘をつきました……!)ウルッ

まち子「!」

まち子「これ以上無理しなくてもいいから、ごめんなさい」

ヴィーネ「委員長……大丈夫、ありがとう」

ヴィーネ(……でも何とか通ったようね)

ガヴリール「よーしプリント完了、はい委員長」

まち子「うん……書けているわね」

まち子「ありがとね、時間も少し取ってもらって」

ガヴリール「いいって、委員長のためだからね」

ヴィーネ「そう言うのであればもっと早く提出しなさい」

まち子「ふふっ」

ガヴリール「んじゃ、委員長、さいならー」

ヴィーネ「委員長、さようなら」

まち子「えぇ、天真さん、月野瀬さん、また明日」

まち子「……」

まち子「私の名前『委員長』ではなく『まち子』なんですけど」

まち子「一体いつになったら覚えてくれるのかな……」

まち子「……」

まち子「あっそういえば」

ガヴリール「あっっぶなかった~~」

ヴィーネ「委員長が信じやすい人で良かった……さっきから良心がすごく痛むけど」

ガヴリール「悪魔のくせに痛む良心なんかあるのか?」

ヴィーネ「天使なのに痛む良心が無いガヴに言われたくない……」

ガヴリール「さーて、さっさと帰ってネトゲしますか」

ヴィーネ「スルーか……」

まち子「天真さーん」

ガヴリール「!?」ビクッ

ガヴリール「あ、あぁ委員長か、まだ何か用?ネトゲしたいんだけど」

まち子「天真さんがアルバイトで働いている喫茶店のお店教えてほしいなーと思って」

まち子「天真さんが『天界』と言うほどの喫茶店ってどんなお店なのか気になって」

ガヴリール「嫌だ!教えない!来ないで!」

まち子「ガーン」

ヴィーネ「えぇ……」

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