京太郎「許婚が金髪」 (45)
・『咲-Saki-』のSSです。
・メインは京太郎になるので、嫌いな人は戻りましょう。
・安価は取るかわかりません。
京太郎「・・・」
透華「ようこそいらっしゃいましたわ、須賀京太郎!」ババーン
京太郎「お元気そうで何よりですよ、透華さん」
俺、須賀京太郎。この人は俺の許婚の龍門渕透華。とにかく目立つことを考える本当にお嬢様なのか疑いたくなるような行動力の持ち主だ。
今俺がいるのは、この人の家、つまり龍門渕家だ。重い荷物を引っさげて来て早々のうるさいお出迎えに、失礼だとは思うがため息が出る。
透華「あら、ずいぶん元気がありませんわね。何かありまして?」
京太郎「いやうるさいんだよ!何で俺が門くぐるだけでファンファーレ鳴らされてんだよ!」
透華「ふふ、私のほんの気持ちですわ。あなたを歓迎したいという、ね?」
京太郎「そういうの要らないですから・・・これ絶対近所迷惑ですよ」
透華さんはとにかくすべてにおいて大げさだ。この人におしとやかな時期とかあったのだろうか?喋れるようになった頃からこんなんだったんじゃないかって気がしてくる。
こんなのが次期龍門淵家の主だと思うと頭が痛くなってくる。何で俺こんな人の許婚なんだろう・・・何もかんも親達が悪い。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1489320909
京太郎「あれ?そういえばハギヨシさんはいないんですか?姿が見えませんけど」
透華「ハギヨシは今衣に付きっ切りですわ。少し熱がありますの」
京太郎「衣・・・あー、そういや今はこの家にいるんでしたね。大丈夫なんですか?」
透華「ま、軽く体調を崩しているだけでしょう。あまりよくならないようなら医者を呼ぶ予定ですわ」
京太郎「なるほど」
衣・・・苗字は天江だったよな?は透華さんの従姉妹になる。
一時期ふさぎ込んでた次期もあったけど、今は普通に暮らせているみたいだな。その頃の衣を俺は知らないけど。
透華「立ち話もなんですし、その荷物も重いでしょう。部屋に案内いたしますわ、ついてきてくださいな」
京太郎「あ、すいません」
さて、何故俺がこの龍門淵家に来たのかだが・・・なんてことはない、うちの両親が透華さんの両親に誘われて少し旅行にいったからだ。
そのとき勝手に両親同士で話し合った結果、俺は龍門渕の家でお世話になることになったのだ。そのときはあまり考えずに返事したけど・・・
透華「では、あなた方もゆっくり休みなさい。お父様とお母様が戻る頃また会いましょう」
「かしこまりました。お嬢様もあまり無理なさらぬよう」ペコッ
京太郎「は?」
透華さんがファンファーレを鳴らしてた人の中で一番偉そうな人にそう言うと、その人たちは全員家の中に戻っていった。
京太郎「あの、透華さん?あの人たちって、もしかして使用人の人たち?」
透華「そうですわ。お父様もお母様もいないことですし、しばらく休暇を与えましたの」
京太郎「・・・え?」
えーと、龍門淵家の人達-両親-使用人+俺=・・・透華さん、俺?
京太郎「え、ってことは、この家には俺と透華さんしかいない?」
透華「ハギヨシと衣もいますわ、さっきいいましたわよね?安心なさい、身の回りはすべてハギヨシが管理してくれますわ」
京太郎「あ、ああ、そうか、そういやいるんだった・・・存在を忘れちゃってた」
透華「あら、それは私と二人っきりが良かったということかしら?」
京太郎「いえ違います」キッパリ
透華「むう、相変わらずつれませんわねえ・・・私はこんなにも京太郎のことを愛してますのに」
京太郎「え、と、透華さんに愛されるようなことしました?俺」
透華「自分の容姿をもう少し誇りなさいな。私と並んでみればわかるでしょう!この美男美女夫婦、間違いなく目立ちますわ!」ババーン
これである。結局容姿じゃねーか。この人らしいけどさ、ちょっとでもドキッとした俺に謝ってほしい。
京太郎「はあ・・・俺そこまでいけてないですって。それに、まだ夫婦じゃないです」
透華「いずれなるんですもの、今言ってても変わりませんわ。さ、部屋に行きますわよー」
京太郎「あーはいはい、お願いします」
そんなことで始まったこの家での生活、何も問題がなければいいけど・・・きっと振り回されるんだろうな、いろいろと。
プロローグ的なもの 終わり
・そんなこんなで京太郎と透華お嬢様のスレになる予定です。
・基本的に描写不足だと思われます。細かく書くことが出来ない僕の描写力不足です、申し訳ありません。
・作中設定では夏休み辺りです、そうじゃないとあまり長々といられないので。
・一応脳内では咲キャラ内で金髪の人たちが皆従姉妹的なものを書くつもりでしたが、あんまりうまく行かなかったので(正直これも微妙な感じだけど勢いに身を任せた)こんな風にしました。
・気の向くままに書く予定なので、それなりに不定期だと思いますが、よろしくお願いします。一日一回は書いていきたい
期待してやろう
続きはよ!
あのさあ
豚スレ立てんなよ豚
目障りなんだよ
・衣のキャラがいまいち掴めてませんので違和感バリバリですが許してください。
・ちょこっとだけ続きを書いて、今日は終わりです。
翌日。ハギヨシさんの作ってくれたらしい朝ごはんを食べ終え(めっちゃうまかった)、部屋に戻ってごろごろしていると、
透華「では、デートとしゃれ込みましょう!」ドアバーン
京太郎「えー・・・」
と、勢いよく透華さんが入ってきた。いやノックしましょうよ、もし俺着替えてたりしてたらどうするつもりだったんだよ。
透華「あら、薄い反応。嫌かしら?」
京太郎「嫌っていうか、デートしたいんですか?俺と?」
透華「もちろんですわ!」
京太郎「う・・・」
しかし積極的な人だ。本当に好意をもたれているのではないかと錯覚してしまう。
透華「せっかく街中で目立つチャンスですもの!」
こんなことを言わなければ。
京太郎「・・・ぶれないな透華さんは・・・」
透華「何かいいまして?」
京太郎「いや、ただの独り言です」
まあ流石に久々に会う人だし、好かれてる訳ないよな。・・・でも美人なんだから、そういうの気をつけたほうがいいと思う。絶対勘違いする人出るだろこれ。
京太郎「わかりました、俺も透華さんみたいな美人と一緒に歩けるのはうれしいですし」
透華「ふふふ、そうでしょうとも。そうと決まれば早速準備ですわ!衣装部屋に案内しましょう、ハギヨシ!」パチン
ハギヨシ「はい、透華お嬢様」
京太郎「うわ!びっくりした・・・」
透華さんがそういって指を鳴らすと、どこからともなくハギヨシさんが現れた。この人は常に近くで待機しているのかそれとも瞬間移動しているのか・・・
ハギヨシ「ふふ、これも執事には必須のスキルですから」
京太郎「執事ってすごい。ていうか自然に思考を読み取らないで下さい」
この人は読心術(読唇術ではない)も使えるらしい。下手なこと考えられねえな・・・
俺の発言をスルーして、ハギヨシさんはこちらです、と歩いていく。それに透華さんと俺も続く。そうして歩いていくと、途中で子供にあった。
衣「むっ、子供じゃない!衣だ!」
京太郎「読心術使える奴多くないですかねえ・・・よっ衣、久しぶり」
衣「おお!誰かと思えばきょうたろう!何年ぶりかの再会だー!」
昨日は体調不良らしく会えなかったが、体調が元に戻ったらしい衣だった。この身長、この愛らしさ・・・どう見ても年上には見えないが、これでも透華さんと同い年だ。
本当はこの人のこともさん付けで呼ぶべきなのだろうが、明らかに違和感があるので勝手に呼び捨てにする。特に怒ってるわけでもなさそうだし、このままでいいや。
京太郎「もう体調はいいのか?」
一応そう聞くと、衣は一回回って見せながら、
衣「うむ、もう万全だ!」
といって笑った。可愛い。
透華「・・・」
と、思っていると透華さんから謎の冷たいオーラを感じた。何か心なしか寒くなってきたような・・・
京太郎「あ、あの、透華さん?どうしました?」
透華「・・・え?いや、何もありませんわよ?」
京太郎「そ、そうですか?」
そう聞くと、透華さんのオーラが瞬時に消えた気がした。あれ、気のせいだったかな・・・
透華「衣、私達これからデートに出かけるために着替えますの。部屋に戻っていてもらえますかしら?」
衣「おお、二人でデート!そうかそうかー、わかった!」
透華さんがそういうと、衣は嬉しそうに歩いていった。そういえば、あいつも俺らが許婚って事は多分わかってるんだよな?
・何か今日はこれ以上かける気がしないのでこれで終わりです。
・毎回短いかもしれない、毎日書けるかも怪しい感じですが、お付き合いいただければ幸いです。
乙
透華は表面上では普段と変わらないけど、ベタ惚れですぐに焼きもちや嫉妬しちゃうんですね
乙
透華好きなんだけどなかなかスレがなくて悲しい...
もっと流行ってこの組み合わせ
乙
京透か期待
また涌いて出たなクソスレ
ハギヨシさんに衣装部屋に案内され(店かよってレベルの広さ)、透華さんに
透華「これがいいのではなくて?」
だの、
透華「あ、こっちの方が似合いそうですわね・・・」
だの繰り返し衣装を合わされ、結局ハギヨシさんになんか無難な格好にされた。
正直ありがたかった。目に悪い色した格好させられて街中歩くとか、俺の心が大変なことになってしまう。
透華「お待たせしましたわ」
京太郎「いえ、そんな待ってませ・・・」
透華「? 何か?」
京太郎「い、いや、ただ、似合ってるなーと」
透華「ふふ、ありがとうございます。喜んでもらえたなら何よりですわ」
透華さんが着替えると言うので部屋の外で待つこと数分。俺は透華さんの格好を見て、思わず固まってしまった。
膝丈くらいの真っ白いノースリーブワンピースに白いソンブレロ。麦わらだったら向日葵畑にでも居そうな格好なんだが、これがまた似合っていた。
清楚っぽい格好が、透華さん自身の気品というか、そういうものを増加させている気がする。
透華「さて、着替えたことですし、行きましょうか」
京太郎「そうですね」
透華「では」スッ
京太郎「?」
二人で玄関を出る。しかし流石は夏、くっそ暑い。
とかそんないつも思ってることを飽きもせずぼんやり考えていると、透華さんが手を差し出してきた。
京太郎「・・・もしかして、手をつないでくつもりですか?」
透華「当然ですわ!初デートは、やりたいことをすべてやると決めていましてよ!」
京太郎「おおう、まじかー・・・」
透華「さあ、さあ!」
京太郎「わ、わかりましたよ!じゃあ、失礼します」
正直に言うと、この暑い中で何考えてるんだ、とか思わなかったでもない。でも、そんなのは手を握った瞬間に吹き飛んだ。
頭の中を満たすのは、やわらかい、ちいさい、すべすべ・・・このループ。
初めて女の子の手なんて握ったけど、これはそうそうないんじゃないかってくらいやわらかく、そして小さい。うわ、めっちゃドキドキする。
透華「・・・っ、こ、これは、なかなか・・・」
京太郎「ど、どうしました?」
透華さんがぼそぼそ独り言を喋ってるようなので見てみると、俯いて何かすごい赤くなっていた。顔だけじゃなく、首の辺りまで赤い。
・・・この人、緊張とかするんだな。ちょっと意外だ。
透華「な、何でもありませんわっ↑!さ、行きましょう!」
京太郎「・・・ふふ、声、めっちゃ裏返ってますけど」
透華「う、うるさいですわ!まったく、そっちはまるで何もないような・・・不公平ですわよ、こんなの」ボソッ
京太郎「っ」
透華さんの裏返った声がおかしくて、ついそう突っ込むと、透華さんが髪をいじりながらそうつぶやいた。
さっきは聞こえなかったけど、今回は聞こえてしまったが・・・この人がそんな事言うと、普段とのギャップがありすぎてやばい。
それに、何もないような、だなんてとんでもない。内心ドッキドキですよ。
ということで、多分二人して相当挙動がおかしかったと思うけど、街中にたどり着いた。何か、結構距離あったはずなのにすごく短かったような気がする。
京太郎「ところで、何をする予定とか、そういうのは決まってるんですか?」
と聞くと、余裕が出てきたらしい透華さんはこう言った。
透華「ええ、とりあえずひとつやってみたかったことがありますの。よろしくて?」
京太郎「いいですよ。何をやってみたかったんです?」
透華「ずばり、『食べさせあいっこ』、ですわ!」ババーン
京太郎「な、なんだってー!?」
京太郎「え、マジでやるんですか?それを?」
透華「もちろんですわ。もうこれはラブラブカップルが行うまさに王道!これを成し遂げねば到底夫婦などとは呼べませんもの」
透華さんは当然でしょう、といわんばかりにそう言ってのける。ま、マジかあ・・・
京太郎「あ、あのですね、それすっごく恥ずかしいですよ?俺もやったことないですけど、間違いなく恥ずかしいと思いますよ?」
透華「・・・そんなに拒否するほど、私とやりたくないんですの?」
透華さん の 上目遣い! 効果は 抜群だ! 俺は 一瞬 目の前が 真っ白に なった・・・
京太郎「やりたいです!」
京太郎「あ」
透華「決まりですわね。じゃあ行きましょう!」
京太郎「・・・はい」
ぐうう・・・あんなの反則だよお・・・勝てるわけがねえよ・・・
透華「・・・ふふっ」
・これで今日の分は終わりです。
・いろいろ添削してると、思ったより早く終わりそうです。毎日書けば今週中には終わるだろうと思います。
・二人の服装に関しては、僕の少ない語彙力ではどうしようもなかったので、あっさり目です。申し訳ありませんが各自いい感じの服装をイメージしてください。
スレタイの金髪ってとこから淡を真っ先にイメージしたけど透華さんも見事な金髪であったな
許婚ネタなら寧ろ龍門渕という名家の娘である透華さんの独壇場なのに
乙でした、続きが待ち遠しくてなりません
おつ
京豚はほんとゴミだな
「いらっしゃ、いませえ~・・・二名様ですね?」
透華「見てのとおりですわ!」
京太郎「は、はい・・・」
「え、ええとー・・・こ、こちらにどうぞー」
とりあえず適当なファミレスにでも行きましょう、と言われ、本当に適当に選んだファミレスに来た俺たち。
店の中に手をつないで入ってくるようなバカップルのような俺たちを見た店員さんは、若干固まりそうになりながらも席に案内してくれた。
京太郎「そういや、透華さんはファミレスとか来るんですか?あんまりイメージわかないんですけど」
透華「ええ、衣が来たがるのですわ。お子様ランチがお気に入りでして・・・」
京太郎「あれ、年上だよな・・・?」
案内された席に着き、ふと思ったことを透華さんに聞いてみると、若干頭を抱えそうになりながら答える。
うん・・・まあ、お子様ランチもいいんじゃないかな?見た目的には完全に子供だし。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
透華「では、二人一組で食べられそうなものを何かお願いしますわ。カップル用のものがあればそれを」
京太郎「お、おおう・・・」
「え、えーと・・・ちょっと確認してまいりますね~」スタスタ
改めて聞くと相当恥ずかしい。腹をくくれ京太郎・・・いやもう無心になれ・・・!
店員さんも困ったように行ってしまった。だろうな、俺も自分がそんな注文されたら困る。
「おまたせしました、トロピカルジュース、カップル仕様です」
透華「・・・」
京太郎「・・・」
ちょっと待つと、さっきの店員さんがドリンクを持ってきた。ストローが二つ刺さった、例のあれだ。
「店長に確認したのですが、うちはカップル用のメニューはやっていないとのことだったので、安直ではありますが用意しました。ごゆっくりどうぞ」
どうしよう、食べさせあいよりもハードルが上がってしまった。ストロー同士の距離からして、同時に飲んだら顔同士5cmくらいしか離れないぞこれ。
透華さんはこれを見てもなんとも思わないのか?と思ってチラッと見てみると、
透華「・・・」
あ、固まってるわこれ。と思ったのだが、口元だけはやたらせわしなく動いてるみたいだった。聞き取れないけど、別の意味で大丈夫かな・・・
京太郎「あ、あの」
透華「はいっ!」
京太郎「うわ!い、いやあの、あんまり無理しないほうがいいんじゃないですかね・・・?」
声をかけると背筋をピッと伸ばして返事をする透華さん。やっぱりこれはまずいよなあ・・・
透華「・・・いえ、やりましょう」キッ
京太郎「・・・」
透華「これは私が注文した結果。敵前逃亡は許されないのですわ・・・!」
京太郎「そうですか・・・」
と思っていたが、透華さんは凛とした目で俺を見つめてそう言う。敵前逃亡といっても、その敵作ったのあなたですとは言いにくい。後俺の意志は?
透華「で、ではいきますわよ」
京太郎「は、はい!」
透華「せーのっ!」
透華さんの掛け声で、二人同時にストローに口をつける。ち、近い!鼻とかぶつかりそうなレベル!
二人とも目を開けてるから、必然的に目が合う。目がそらせない。そこまでの余裕がない。
透華「ん・・・」
透華さんの鼻息が掛かる。その声やめてください、理性吹き飛びそうになるんで!うわあああああああ
一体どれくらいの時間そうしていたんだろう。気付いたらグラスが空になったらしく、空吸いの音が聞こえた。
その音ではっとして一瞬で二人同時に離れる。透華さんの顔、真っ赤になってるけど、多分俺も真っ赤になってると思う。だからおあいこだな!
透華「・・・」
京太郎「・・・」
駄目だ、言葉が出てこない。何を言ったらいいのかわからない。誰か、この沈黙をなんとかしてくれ。
・今日も3レスだけですが終わりだと思います。時間があれば書き込むかもしれません。
・今更ですが、レス下さってる方々、どうもありがとうございます。完結までお付き合いいただければ幸いです。出来るよう頑張ります。
乙頑張れ
乙
とうかわ
目立ってるよ、周囲の客が「爆発しろ」と吐き捨てたくなるLVで目立ってるよw
乙でした、無理をなさらず完走されますように
おいおい俺んちの壁を無くす気かよ
「お客様?大丈夫ですか?」
京太郎「っ!は、はい!?」
「いえ、お二人とも顔が真っ赤なので・・・」
急に店員さんに話しかけられ、ビクッとする。どうも俺たちが真っ赤になって何も話してないから心配してきたようだ。
京太郎「あ、大丈夫です。すいません、会計のほういいですか?」
「かしこまりました」
京太郎「透華さん、いきましょう?」スッ
透華「え、あ、わ、わかりましたわ・・・」キュ
少し冷静になって、恥ずかしさがこみ上げてきそうだったので会計して店を出ることにする。
透華さんの思い描いてた通りのことが出来たかはわからないけど、どっちにしろこのまま居続けるのはよくないだろうし。
・・・特に何も考えずに手を差し出してしまったけど、透華さんは普通に握り返してくれた。うん、ちょっと慣れた。あれ以上に恥ずかしいことそうそうないだろうな・・・
透華「・・・」
京太郎「透華さん、大丈夫ですか?具合悪かったりとかないですか?」
透華「だ、大丈夫ですわ。心配無用です」
京太郎「それならいいですけど・・・これからまたどこか行きます?」
透華さんと手を繋いで街中を歩く。というより、透華さんがなかなか俺の横を歩いてくれないので、みた感じ引っ張ってるような形になる。
やっぱりこの温度だし、熱中症になりかけてたりするんじゃないだろうか?とか考えながら歩いていると、途中で見知った後姿を見た。
京太郎「あれ、咲だ」
咲「? あ、京ちゃん」
透華「? 誰ですの?って、貴女、清澄の・・・」
中学からの幼馴染の宮永咲。俺が麻雀部に誘い、結果的にだが清澄高校麻雀部を全国大会へ連れて行った奴だ。こいつが入らなければ人数不足で団体戦には出れなかったからな。
透華さんも知ってるのは、龍門淵高校とは県大会で戦ってるから。あの時透華さんを見かけなかったら、俺は許婚の話なんて忘れてたと思う。
咲「あ、龍門淵さん。どうしたんですか、京ちゃんと一緒に、手まで、繋いで・・・?」
咲が俺と透華さんの繋いでる手を見て固まる。あ、そういえばこいつ許婚だって言っても信じてなかったな。
京太郎「ほら、あの時言ってたろ。この人許婚なんだよって」
咲「あ、あれ冗談じゃなかったの!?」
京太郎「寧ろあの場面でそんな冗談言えるか」
咲「へえー、じゃあ二人は許婚だったけど、ほとんど会ってないんだ」
京太郎「そうだな。何年前かも思い出せないけど一回あったのと、県大会で偶然見ただけですよね」
透華「ええ、そうですわね・・・二人でまともに顔を合わせたのは許婚と決まったときだけですわ」
さっきとは違うファミレスに移動して、咲と三人で話す。思った以上に動揺してないな、いつもだったらはわわはわわ言ってそうなのに。
咲「失礼だね京ちゃん。まあ、冗談だと思ってたとはいえ、一回言われてるからかな?あ、冗談じゃなかったんだー、みたいな」
京太郎「だから心読めるやつ多すぎるだろ!やっぱり咲は魔王だったのか・・・」
咲「それこそ何!?」
透華「魔王・・・確かにそこまではいいませんが、あのときの貴女は悪魔のように見えましたわ」
咲「龍門淵さんまで!ひどいよ二人とも!」
透華さんもそんな風にみてたんだ・・・あれはいつもの咲とは違う雰囲気だったな。だって怖かったもん。
とか何とか三人で話してるうちに、空も赤く染まってきた。時間経つの早いなー。
京太郎「そういや透華さん、もうそろそろ帰らないとまずくないですか?」
透華「そうですわね、こんなに話すとは思ってませんでしたわ」
咲「うわほんとだ、早く帰らないと」
京太郎「んじゃ俺払っとくから。二人とも外出てていいぞ」
咲「あ、ありがと京ちゃん。龍門淵さん、行きましょう」
透華「え?ええ」
前のファミレスでは何も食べなかったので、代わりにここで軽く食べた分の伝票を持ってカウンターへ向かう。二人は仲よさげに店の外へ出て行った。
そういえば、透華さんずいぶんおとなしかったな。やっぱりあんまり体調よくないんだろうか。
・今日も短いですが終わりです。これだけ書くのに2時間・・・早い人ならとっくに終わってるレベルでしょう。
・次の次かその次あたりで完結するはずです。読んでくださった方々、ありがとうございました。
乙
京太郎「おまたせしました。ってあれ、咲は?」
透華「もう帰りましたわ。あなたによろしく、と」
京太郎「そうなんですか。じゃ、俺たちも帰ります?」
透華「・・・そうですわね、衣も待っていることですし」
咲は先に帰ったらしい。咲だけに。・・・いや、何言ってんだろう。
二人で帰る道中、しばらく無言で歩いてきたが、ふと透華さんが口を開いた。
透華「今日は、疲れましたわね」
京太郎「え?ああ、そうですね。精神的に疲れてる気はします」
言われてみると本当に疲れてる気がする。あんなことするとは思ってなかったしな・・・
透華「・・・やっぱり、嫌でした?」
透華さんがちょっと不安そうにこっちを見る。まあかなり恥ずかしかったりはしたが、嫌だと思ったわけじゃない。
京太郎「嫌なわけないですよ。あー、でも、出来ることなら許婚とかって決められた関係じゃなく、透華さんを好きになって、好きになってもらって初めて達成したかったかなって気はしますね」
と、俺の本心を伝える。そういうと、透華さんはその場で急に立ち止まってしまった。手を繋いでいた俺も必然的に立ち止まる。
京太郎「おっと、どうしました?」
透華「・・・京太郎。私はあなたにひとつ言っていなかったことがありますわ」
京太郎「言ってなかったことですか?」
透華「ええ。その許婚の話、両親で決めたのではなく、私が自分で決めたのです」
京太郎「・・・へ?」
京太郎「え!?どういうことですか!だって俺と透華さんは許婚になる前に会ったことも話したこともないはず・・・」
透華さんにそんなことを言われ、本気で驚く。そういえば俺のこと名前で呼ぶの初めてだなとか、そんなことどうでもよく感じた。
透華「落ち着いて。ちょうどベンチもありますし、そこに座って話しましょう」
京太郎「あ、はあ・・・」
透華さんに促され、俺たちは並んでベンチに座る。透華さんは、さて、と言って俺のほうを向き、話し出した。
さっき京太郎が言ったように、まともに会ったのは許婚に決まってあなたが龍門淵家に来たときですわ。
でも、私は前からあなたのことを知っていましたの。何故かはこれから話します。
幼稚園の年長、あたりでしょうか?私は今とほとんど変わらず、まあ目立ちたがりでしたわ。
しかし、目立ちたがりとは言っても、実際この髪色に、自分で言うのもなんですが整った顔立ちだったので、特に何もせずともそれなりに目立っていましたし、それで満足していました。
そんなある日、いつものように帰る時間に迎えに来た車に乗り、その道中、車が信号で止まったときに、ふと同じ歳くらいの子達の集まりが見えました。
かなりの人数で集まっていたと思うのですが、その中心。そのときは名前も知らない子供でしたが、それが須賀京太郎、あなたでしたわ。
そのとき、自分と同じ金髪に、顔立ち、何よりあれだけの人数の中心にいるあなたに目を奪われました。
一瞬すごい子だ、と思い、その直後に嫉妬しました。恐らく私があの場に居るだけではあれだけの人数は集められないだろうと。
それから私はどうしたらあれより目立てるのか、そればかり考えるようになりましたわ。それからですわね、より目立とうと行動するようになったのは。
その何年か後に、お父様が私の結婚相手を今のうちに決めておく、と言い出したとき、私は最初、それを拒否しました。
そのときお父様が見せてきた写真の男の子を見ていても、まったく心が動かなかったんですの。
拒否したとき、お父様はこう言いました。ならばどのような奴ならいいのか、と。そういわれても、そんな歳では私も結婚するなんて考えられませんでしたわね。
と思ったのですが、そのとき数年前の男の子のことが頭に浮かびました。口が勝手に動き、そのときのあなたの姿をお父様に話していましたわ。
それをお父様に伝えると、お父様はそうか、わかった、と言って、どこかへ行ってしまいました。
二日後、お父様はまた写真を持ってきました。それは紛れもなく、あのときの男の子でしたわ。
今でもどうやってお父様が探し出したのか、正確なことはわかりません。恐らくは私の言葉だけを頼りに誰かに捜させたのではないかと思うのですが・・・
ともかく、その写真を見たときに、この方なら、私の隣を歩くのにふさわしいですわ!と叫んでしまいました。今でもあのときのお父様の思いっきり笑う姿が忘れられませんわ・・・
それから私は、私よりも目立つであろうあなたよりも目立つ存在になるために日々努力し、行動してきたのです。
今日のデートも、私があなたよりも目立てるか、というのを試すために行ったようなものでした。でも、きっと失敗でしたわね。私、最初からパニックでしたもの。
つまり、透華さんは俺のことを知っていたということね。なるほどなるほどー・・・初耳だ。
そこまで話して、透華さんはちょっと笑って言った。
透華「思えば、最初は勝手にライバル視していたものですが、そのうちそれが好意、愛情に変わっていったのでしょうね」
京太郎「へ?愛情って・・・」
透華「須賀京太郎。私はあなたを愛していますわ」
俺はそんな透華さんに見とれて、何も返事を返せなかった。多分口をあけてぽかーんとしてたんだろうな。それを見てか、透華さんはくすっと笑った。
透華「急にそんな風に言われても困りますわよね。ごめんなさい」
京太郎「え、あ、いやいや、透華さんが謝ることじゃ」
うん、透華さんが謝ることじゃない。そういうときにうまいことが言えない俺が悪いんだ。
京太郎「あー、えっと、答えにくいかもしれませんけど・・・透華さんは俺のことが好き、と?」
透華「ええ、そうですわ。もっとも、許婚と決まったときは確実に好きだったとは言えませんわね。あなたを超えて、その上で結婚するのは許せるかな、というレベルでした」
京太郎「そ、そうですか・・・」
まったく答えにくそうでもなく、透華さんはあっさりそう答える。逆に俺のほうが恥ずかしい。
透華「・・・さて、それじゃあ帰りましょうか」
京太郎「え」
透華さんが立ち上がり、帰ろうと言う。え、さっきのに関してはもう終わり?俺何も答えてないけど・・・
そう思っていると、よほど俺は考えてることが顔に出るのだろうか、透華さんも俺の心を読んだようなことを言い出した。
透華「気にしなくてもいいですわ。あれは私の意志の再確認のようなものです。この想いが変わることはない、というね」
京太郎「あはは・・・やっぱ俺って、心読まれやすいんですね」
透華「ふふ、わかりやすいですわよ」
透華さんはくすくす笑う。参ったな、実は今までもみんなに考えてることバレバレだったのかも知れない。
透華「今はきっと私に対して好きとは言えないでしょう?だから、これからそう言われる様に行動していくだけですわ」
透華さんにそう言われ、また言葉につまる。確かに、自信を持って好き、とはいえないかな・・・
京太郎「・・・でも、俺はこれからあなたのことを好きになっていくと思いますよ」
だって、こんな魅力的な人が俺に好意を持っているんだから。それがわかっていてその人を好きにならないなんて、ありえないだろう?ちょっと卑怯な気もするけど・・・
透華「あら、それは嬉しいですわ。その日を楽しみに待ってますわよ、京太郎?」
透華さんにそう言われ、なんとなく気恥ずかしくなってそっぽを向く。・・・改めて考えると俺も結構恥ずかしいこと言ったな・・・
とか考えてると、ふと頬に何かを感じた。びっくりして振り向くと間近に透華さんの真っ赤になった顔があった。・・・ん?
京太郎「え、ちょ、透華さん、もしかして今」
透華「さ、さー、帰りましょう!もう完全に太陽も沈んでしまいましたわー」
京太郎「いやいや!ちょっと待ってください透華さん!あの、今俺のほっぺたに」
透華「何も聞こえませんわ!何も聞こえませんわ!」
透華さんに問いかけるも、透華さんはそそくさと逃げていってしまう。いや、あの感じ、間違いなく・・・
・・・これ以上聞くのはやめとこう。その代わり、いつか、俺からやってやろう。今の透華さんみたいに。
透華「京太郎!早く帰りますわよ!」
京太郎「・・・はいはい、わかりました。手、繋いで行きましょう?透華さん」
透華「え?・・・ふふ、はいっ」
カンッ
・どこで切っても区切り悪いので、まとめて終わらせました。
・打ち切りチックな終わり方ですが、一応これが当初から考えていた終わらせ方です。
・正直もう少しうまく終わらせれたんじゃないかって気もしますし、消化不良だなって人はいると思います。それに関しては申し訳なく思います。
・もし次回作何か書くことがあれば、もう少しうまく練りたいとは思ってます。
・それか、ただひたすら誰かといちゃこらする小ネタ集みたいなのなら書けるとは思います。その辺は何か案が浮かべばということで。
・最後に読んでくださった方々、レスを下さった方々に最上級の感謝を。こんな駄スレにお付き合いいただき、ありがとうございました。
凄く良かったよ 乙
乙
透華はお嬢様可愛い
確かに透華が京太郎を好きになった理由とかに説得力が弱い感じがする
そこら辺は次回の話に期待
透華とのイチャイチャはよ!
乙
乙です
とうかわいい
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません