吹雪「鎮守府の秘密……ですか?」 (15)

(確かこの辺りだったような)

一面に広がる緑に辟易しつつも辺りを見渡す。

メモに書いてある通りならこの近くにあるはずだ。

(誰もが行きたがる鎮守府、かぁ)

何でも、巨大な壁があるとか人の同じくらい大きな建物が生えているとか。

娯楽や武器、資源など全て揃い満たされるとか。

そして目的の場所へ着く。しかしそこも緑が広がっており、鎮守府らしいものも

何もない。

一瞬、捨てられたのかと考えてしまうがすぐに払しょくされる。

「駆逐艦吹雪、だな?」

凛々しい女性(失礼かもしれないが男の人よりカッコいい女性だ、と思ってしまった)が声をかけてくる。

「はぁ、そうですが……あの、あなたは」

すると彼女は「迎えだ」と言うではないか。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1486354246

彼女と少し歩いて数分のところで目に大きなものが入ってくる。


それは、とても大きくて。

それは、とても堅牢で。

それは、とても煌びやかで。


全てにその一つ一つに何かが詰まっている気がする世界。

とても鎮守府とは思えない。

「鎮守府には見えないという顔をしているな」

「当たり前だ。ここは艦娘たちが戦後でも対処できるように、そして戦意高揚のために」

「大本営と海軍省で作り上げた要塞『呉鎮守府』。かつて深海棲艦によりやられたが」

「今では難攻不落の鎮守府さ」


鉄製の巨大な壁、上空に旋回する戦闘機、レーダーがそれを物語っている。

重そうな門が開く。


「駆逐艦吹雪。ようこそ、呉鎮守府へ。」

「あの、長門さんは一体……」

すると彼女は思い出したの様に語る。

「ああ、私は秘書艦だ。ここのな。そしてここに所属する艦娘全ての率いている」

つまり、彼女がこの中では提督を除けば最も偉いという事だ。

そうこうしているうちにレトロでシックな扉が現れた。

「ここが提督の部屋、執務室だ。くれぐれも失礼のないように」

「そして終わったら香取と言う練習艦の艦娘が待っている。そいつに残りの手続きやら」

「何やらをしてくれるはずだ」

そして長門はやや急ぎ足で去っていった。

>>人の同じくらい大きな建物が生えている

キャンプ場かな?

なんかみたことある

>>1訂正

(確かこの辺りだったような)

一面に広がる緑に辟易しつつも辺りを見渡す。

メモに書いてある通りならこの近くにあるはずだ。

(誰もが行きたがる鎮守府、かぁ)

何でも、巨大な壁があるとかエッフェル塔と同じくらい大きな建物が生えているとか。

娯楽や武器、資源など全て揃い満たされるとか。

そして目的の場所へ着く。しかしそこも緑が広がっており、鎮守府らしいものも

何もない。

一瞬、捨てられたのかと考えてしまうがすぐに払しょくされる。

「駆逐艦吹雪、だな?」

凛々しい女性(失礼かもしれないが男の人よりカッコいい女性だ、と思ってしまった)が声をかけてくる。

「はぁ、そうですが……あの、あなたは」

すると彼女は「迎えだ」と言うではないか。

今隣にいるのは香取と言う艦娘である。

やさしさの中に厳しさを秘めていそうな人だな、と思った。

「とても鎮守府内とは思えないです」

お上がりさんの様な格好をしている私を他の子たちが珍しそうにちらりと見る。

「ふふ。最初に来た子たちはそう言うんですよ」

「凄く広くてその、色々あるんですね」

鎮守府は5つの区域に分かれており、今いるのは『娯楽区域』と呼ばれる場所だ。

「戦後のまたはなんらかのために退役する子たちがいざ社会では」

「役に立たないなんて事が無いようにするためですからね」

「社会復帰のため、とでも言うんでしょうか」

社会復帰かぁ、と漏らすと淡々と「ええ」と答えた。

「さてここ以外にも生活の全てとなる宿舎区域や開発・実験など行う工廠区域、訓練や出撃を行う軍事区域……」

「そして司令区域があります。最後のところは余程の事がない限りは入ってはいけませんよ」

どうやら気軽に入れない様だ。

「でないとあの様になりますからね」

指した先には、戦艦クラスの女性が『テートクぅ!テートクに一目でも!』と喚いている。

どうやったら人とエッフェル塔を間違えるんだww

「……警備厳重ですね」

歴戦とは言わないばかりの艦娘(なんと駆逐艦である!)が厳しい目で見はっている。

「私たちは大本営とは別の……憲兵を持ってますからね」

治安維持も復帰のためなのだろう。

つくづく凄いところである。

「別の、ですか?」

「はい。っと、ここが寄宿舎です」

赤煉瓦造りの古そうな建物が目に入る。

どうやらここが私の新たな家みたい。

「部屋は2号部屋です。そして明日には教科書なども届く予定なので、覚えておいて下さい」

なんと学校まであるらしい。

「学校はここです。ではまた明日」

「ありがとうございました!」

カラ元気なあいさつで不安をかき消す。

(ここが私の新しい家……)

期待と不安を混ぜ、ドアに手をかける。

「誰?」

「夕立ちゃん!ほら、昨日香取さんと長門さんが言っていた子だと思うよ」

このような歓迎は生まれて(いつ生まれたかは覚えてはいないが)初めてだ。

特にこの夕立と呼ばれる犬ッころのような奴は仲良くでき無さそうな気がする。

ここは無難に自己紹介でもしよう。

「始めまして。特型駆逐艦の一番艦、吹雪です!よろしくお願いします!」

つい力が入ってしまった。

「白露型駆逐艦4番艦夕立だよ、よろしくね!」

「睦月型駆逐艦一番艦、睦月!よろしく吹雪ちゃん!」

犬ッころは夕立といい、常識人っぽいのが睦月。

なるほど、前者は妹で後者は私と同じなのか。

「それで私のベットは」

「ここだよ!真ん中!」

最後まで言わせてほしいものだが、まぁいいだろう。

机は同じ型のものが3つあり、『吹雪』と書かれた紙を払いのけ荷解きする。

「お風呂は?」

「部屋の一つにほら、ここ」

なんと部屋にトイレとシャワーがあるではないか!

「浴室は大浴場にしかないっぽい」

私は急いで服を脱ぎ、湯を浴びた。

翌日。机の上にいつの間にかダンボール箱が置かれていた。

中身は教科書一式。

その中にはかばんまで入っている。これに入れろと言う事だろうか。

さらに時間割と艤装の保管されている場所が描かれた紙が入っている。

今日は日曜日で学校が休み。

時間割には土曜日も書かれている。

「珍しいなぁ」

そうつぶやくと夕立が「そう?」と返す。

「どこか遊びに行こうよ!案内もしたいし!」

そう言うと私は勢いよく手を引かれて娯楽区域へと

連行もとい連れていかれるのであった。

娯楽区域内


「ここには元艦娘の子や現役の子たちもいるんだよぉ」

そう睦月がのんきに解説する。

なんと言うか。

艦娘やその元の人も混ざってより明るさで暗さを紛らわしている気がする。

「ねえねえ、あそこの餡蜜食べようよ!」

「でも私お金……」

そう、実は無一文。ゆえに余暇に使える金はこれっぽっちもない。

「ならここは夕立ちゃんの奢りって事で!にしし!」

「あー!ズルイっぽい!」

「別にそんな」

「いーのいーの、たまには奢ってよね!」

夕立は少しむっとしたが折れて、「わかったよ」と言った。







「吹雪ちゃんはいつから学校?」

今は皆そろって甘味を食べている。

夕立は特性餡蜜、睦月はフルーツ餡蜜、私は羊羹とお茶のセット。

「明日からって書いてあったよ。楽しみだなぁ」

「転校生が入るのはいいよね!」

ガールズトークに花が咲いた(?)事でより彼女たちと仲良くなれた気が。

盛り上がっていると、一人のセミロングの髪を束ねた女性が入ってくる。

「げ、川内さんだ……苦手なんだよねぇ……」

映画やアニメで聞いた事ないものを聞けるとは、川内とやらには感謝せねばなるまい。

「どんな人なの?」

「うーん、良い人なんだけど関わっちゃいけない感じにゃし」

何故だろうと聞こうとしたが、彼女に集まる視線が少し痛い。

どうやら睦月が言ったことは本当のようだ。

私たちは急ぎ足で出て行った。






学校は宿舎区域内にあり、すぐに行ける。

そして宿舎内には自販機が置いてありすぐに飲める。

便利なものだ。

自己紹介を終え、お昼になる。

さて、私の席は真ん中の3番目。隣は響と言う子である。

そして今、私は洗礼を受けているのであった。

「転校生はどこの出身なんだい?」

「吹雪でいいよ。うーん、佐世保だよ!」

すると「おお!」とどよめく。

「歴戦?ふふ、このれでぃーにはお見通しなんだから!」

「あはは……そうでもない、かなぁ」

あれやこれやと次々と質問される。

そして始業開始5分前のチャイムがなった。

それと共に口惜しそうに自分の席へと戻る。

「吹雪……さん」

「もー!吹雪でいいですよ!」

「吹雪さ……吹雪。その、教科書を忘れてしまってたんだ。良かったら見せてほしいな」

私はそれを快諾し、机をつける。

「ありがとう、吹雪」

「いいですよ」


そして退屈な授業が全て終わり、帰路へと付こうとしたその時。

「吹雪、一緒に帰らないかい?」

「ふーぶきちゃん!一緒に帰ろ?」


私はベタなハーレム物の主人公にでもなったのだろうか。

(ないよね、ないない)

さて、どうしようか。

「一緒じゃ……ダメ、かな?交流も兼ねて」

「「それにするよ(ぽい!)」」






娯楽区域


「恋の2~4~11 ~♪」

カラオケと言うものは実に気分が良くなる。

メロディーに合わせて出る歌詞に沿い歌うだけで気分が高翌揚する。

おまけにドリンクバーが付いているので喉が渇くこともそうない。

「吹雪ちゃん歌うまーい!あ、次は私の番だね!」

カルピスを飲んでいると夕立が話しかけてきた。

「そういえば吹雪ちゃんは知ってる?」

「知ってるって?」

「ここの秘密だよー。何かと謎が多いっぽい!」

確かに謎が多いと言えばそうだろう。

何故このようになったのか。こうも近代的なのか。

「確かにそうだね。うん、謎だらけだ」

そして別の曲が流れ始める。マイクを取ったのは……響だ。

「せーしゅん さつばつろーん! ~♪」

見た目に合わず明るい歌を選ぶとは。

それはともかく彼女の声はどこか癖になる声だ。

ロリな声は一定の需要がある気がする。

今さらだがカラオケの機械は凄く古いの気が付く。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom