【モバマスSS】です
天才アイドル池袋晶葉によって製造されたウサちゃんロボの一部が選ばれ
ウサミン星人安部菜々によってもたらされた異星の超科学ウサミン科学によって生まれ変わった
超AIウサミニアックブレインとウサミニウム合金で身を包んだ無敵のロボ!
アイドルの護衛とバックダンサーと団子作り、事務所の雑務を引き受ける、その名はウサミンロボ!!
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「参ったなぁ」
渋谷凛が事務所の一階で困っています。
事務所の地下から出てきたウサミンロボはその姿に気付きました。
事務所の地下には池袋科学要塞研究所があります、博士の研究ラボの別名です。
そして研究所の隣にはウサミンロボ秘密基地があります。
うさ?
「あ、ロボくん。昨日は菜々さんの所に帰らずに秘密基地のほうにいたんだね」
うさうさ
菜々ママと一緒に帰ったのは別個体です。このウサミンロボではありません。
「エレベーターが故障みたい」
ウサミンロボの瞳はエレベーター横の階段を見つめています。
純な瞳をまっすぐ投げています。
凛はその視線に気付きました。
「うん。確かに階段はあるね」
うさ
「でもね、ロボ。私が行きたいのは七階なの。わかる?」
わかります。
七階まで階段を歩くのは大変です。
エレベーターが故障ということは歩くということです。とても大変です。
ウサミンロボは旗を振りました。
「いや、応援じゃなくて」
うさっ?
おかしいです。こうやって応援すれば、ボンバーと叫んで七階まで駆け抜けて、八階まで行ってしまうアイドルもいるのですから。
アイドル渋谷凛にも出来るはずです。
「いや、無理だからね。出来る方が少数派だから」
うさぁ……
うさっうさっ
「なに、どうしたの?」
うーさ
「ここで、待ってれば良いの?」
ウサミンロボは再び地下へと戻っていきます。
渋谷凛は、ロボの帰りを待ちました。
しばらくすると。ロボはパイプ椅子をかついで現れます。
そして、凛の後ろに椅子を組み立てました。
「座れば、いいの?」
うさ
凛が座ると、ロボはエレベーターのドアをこじ開け始めます。
「ちょ、ちょっと、いいの?」
うさうさうさうさ
エレベーターの扉の奥から、ウサミンロボたちの声が聞こえてきます。
どうやら、地下のドアをこじ開けたウサミンロボたちがエレベータシャフト内に侵入しているようです。
うさっ
ドアが完全に開きました。
「あれ? ふーん、壊したわけじゃないんだ」
力ずくでこじ開けたわけではない、と凛は気付きました。
どうやら、緊急処置でロボには開けられるようになっていたようです。
しかし、シャフトだけではどうにもなりません。縦穴があるだけで、肝心のケージがないのです。
「あ、もしかして、このパイプ椅子」
うさっ!
シャフトの中で、ふわりふわりとウサミンロボが浮いています。
「よくわからないけど……それもウサミン科学なんだね?」
うさ
ウサミンロボは胸を張って答えます。USAの文字も心なしか輝いて見えます。
これぞウサミンGキャンセラーです。重力低減装置です。スカイライダーも持っています。
最初からいたウサミンロボがパイプ椅子を持ち上げると、凛を座らせたまま、エレベーターへと運びます。
うさっ
うさっ
そして、シャフトの中で待機している滞空ウサミンロボにパスします。
凛の座ったパイプ椅子を受け取ったウサミンロボは、シャフト内を七階までふわりふわりと移動します。
すると、七階ではまた別のウサミンロボが待っていました。
うさっ
うさっ
見事なパスワークです。
渋谷凛は、こうして無事七階に着いたのでした。
「あ」
凛は気付きました。
七階には誰も居ません。
それはそうです。エレベーターは故障しているのだから、誰も上がってきていません。
階段で上がる元気は誰も……
「あ、いましたね!」
訂正。日野茜がいました。
「おはようございます! エレベーター、直ったんですか?」
「あ、えーと、ウサミンロボが運んでくれて」
「流石、ロボですね!」
うさうさっ
褒められたウサミンロボは嬉しさのあまりくるくると回ってしまいました。
「おーい」
シャフトの下から声が聞こえます。
「茜と凛か?」
モバPの声です。
うさっ
別のウサミンロボがモバPを運んできました。
「おおう、ロボ、サンキュー。ついでに修理が来るまでエレベータ代わり頼めないか?」
うさっ
ウサミンロボに否はありません。
ウサミンロボはアイドルのために頑張るのです。
ウサミンロボはアイドル達のためならばいくらだって頑張ります。
いつまででも、エレベータを頑張ります。
終わりのないエレベータ係で良いのです。ロボがアイドルの心の中にいる限り。
ウサミンロボエレベータ部隊(リガ・ウサティア)が急遽結成され、各階のエレベータドア前に集結します。
出勤してきたアイドル達を、次々とウサミンロボたちが各階へと運びます。
「ねえねえ」
うさ?
「これ、エレベータシャフトにこだわる必要あるの?」
うさっ!?
双葉杏の提案はウサミンロボの認識を越えていました。
そうです。エレベータシャフトにこだわる必要は無いのです。
上下に空間があればどこでも良いのです。
高層階ならば、ビルの外から屋上まで行って、それから階段で下りた方が早いのです。
アイドルが通れるほどの大きさの窓があるならば、窓から入っても良いのです。
うさっうさっ
リガ・ウサティアは事務所入口前にも展開しました。
事務所入口前部隊はウサラク隊と呼ばれることになりました。
「いっくよぉー!」
やってきたのは城ヶ崎姉妹でした。
まずは莉嘉が元気よく、ウサミンロボの頭上にしつらえられた台に載ります。
「ロボ君、七階お願い!」
うさっ!
ふわりふわりとウサミンロボが浮上します。
それをニコニコと見送っていた美嘉がハッと気付きます。
「莉嘉! スカート隠して!」
そうです。エレベータシャフトではないので、周囲から莉嘉の姿は丸見えです。
それはそれで別に構わないのですが、角度によってはスカートの中身が見えてしまいます。
大ピンチなのです。
うさっ!!
ウサミンロボ緊急発進です。
ウサラク隊所属の四機のウサミンロボが大きな板を持って緊急浮上すると、莉嘉の足下を隠すように展開します。
これで、いかなる方向からもスカートの中は見えません。
ウサミンロボの持っているのは黒い板です。
そこには白色で三角形が書かれ、下には「プレイエリアの外です」と書かれています。謎の板でした。
いくつもの板を重ねて、もう安心です。
「お姉ちゃん、もう大丈夫?」
スカートを押さえている莉嘉に、美嘉は大きな声で大丈夫だと告げました。
これで、外部からのルートも確保です。
ウサミンロボによるアイドル輸送計画は万全です。
そして、この輸送体系は事務所だけには留まりませんでした。
お仕事でテレビ局やスタジオのビルに向かうとき、エレベーターが混雑している場合があります。
時には、待ち受けているファンの目をかいくぐる必要もあります。
そこで、ウサラク隊はアイドル達に付いていき、ビルの上階へと運ぶことになりました。
各地でウサミンロボの活躍が始まりました。
時々、アイドル達と共演する人たちやスタッフも一緒にエレベーターに乗せます。
「ロボ君、この人お尻触る」
落としました。
「ロボ君、この人、手握って離してくれない」
落としました。
「へっへっへっ、お山がそこにあるなら!!」
落としました。
……うさ?
棟方愛海だったので地面に激突する前に慌てて助けました。
ロボは悪い人には容赦しません。ノートレランスです。
ロボの活躍は広まっていきました。
うさ……
今日も一仕事終えた地上待機組は、アイドルのお仕事が終わるまではビルの下でじっと待っています。
うーさー
時々、知り合いの芸能人が通りがかるので手を振ります。
手を振り返してくれる人も居るので、ウサミンロボは大喜びです。
うーさー
そんなある日のことでした。
「……す、ストップ」
うさ?
白坂小梅がウサミンロボエレベーターを止めました。
「待って欲しいって……あの子が……」
うーさ?
「エレベーターが快適すぎて、そのまま上って行ってしまいそうだって」
うさ?
どこに行くというのでしょうか?
「それはー、昇天でしてー」
話を聞いた依田芳乃が解説してくれました。
「ウサミンロボ殿のお力で、成仏してしまいそうになるのでしてー」
「ウサミン星の重力低減装置にそんな副作用があったのか……」
話を聞いた晶葉も頭を抱えています。
「地球とは作動環境が違うことによる誤作動でしょうか?」
菜々ママは心配そうにウサミンロボの頭を撫でてくれました。
うさっうさっ
ウサミンロボは平気です。
「望まぬ成仏をさせぬようにだけ、気をつけていればよろしいかとー」
つまり、小梅(と“あの子”)を乗せるときには気をつけろと言うことです。
うさっ!
ウサミンロボは賢いので、もう大丈夫です。
しかし、その三日後のことでした。
(もしもし)
うさ?
とあるスタジオ前でアイドルを送り届けたウサミンロボは、事務所に戻ろうとしていました。
事務所に戻るときに踊りながらアイドルの新曲を流せば、とっても宣伝効果が高いのです。
宣伝の準備をしていると、ウサミンロボに話しかけてくるモノがありました。
人間のようで人間でない。ウサミンロボの知る限り、非常に“あの子”に近い存在のようです。
(“あの子”から聞きました。成仏させてくれる方がいらっしゃるとか)
うーさー
(お願いできないでしょうか)
うさ
ソレは一生懸命ウサミンロボにお願いしました。
ウサミンロボは困ってしまいます。
(成仏したいのです)
うーさー
(お願いです)
うーさー
(ここはとても寒い)
うさ
ウサミンロボは手をさしのべました。
困っている人は助ける。それがウサミン星人の、ウサミンロボの心意気、ウサミンスピリットです。
(ありがとうございます)
ソレの手を握ったまま、ウサミンロボはふわりふわりと浮き始めます。
(ああ、近づいていく)
(……温かい……温かい……明るい)
(ああ……光が……光が……)
突然、ソレは消えてしまいました。
そして、ウサミンロボも一緒に消えました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数時間後……事務所
「おかしいですよ、モバPさん!」
「どうした?」
「ウサミンロボの数が減ってます」
「はい?」
晶葉に確認すると、現在調査中の返事が返ってきます。
「見てくれ、コレを」
「これは?」
「防犯カメラに偶然写っていた様子だ」
「おおっ、ウサミンロボが浮いてる」
「何も無いところでエレベータをやっているんだ」
「一体何を……あ、消えた」
「ウサミンロボが、消えた」
「ワープ装置か?」
「そんなモノは組み込んでいない」
「じゃあ、この前の輝子や異世界の武内Pのところに行ったみたいに、次元の裂け目に……」
「それもない。センサーは何も反応してないんだ」
「それだけじゃない。各地のウサミンロボ反応が次々と消えている」
「……あの子が、ごめんなさいって」
消えたウサミンロボについて皆で話していると、小梅と芳乃、そしてクラリスがやってきます。
「……あの子が、知り合いたちに教えちゃったから……」
「ウサミンロボ殿のお力でしてー」
「心清きロボさんたちは神の御心に沿うのです」
「……迷えるモノ達を成仏させているのか……」
「まさか、一緒に……?」
「そんな、それじゃあロボ達は!」
うさうさ
うさうさ
うさうさ
そこへ、ウサミンロボ達が帰ってきました。
消えたはずのウサミンロボ達です。
「あれ? 帰ってきたぞ?」
「よかった……」
「本当に……あれ?」
「あれは……」
「まぁ」
「あらあら」
帰ってきたウサミンロボ達の頭の上にはその後一週間ほど、天使の輪が浮いていたそうです。
終
以上、お粗末様でした
今年初のウサミンロボモノです
因みに前作はウサミンロボではない
モバP「アイドル白坂小梅」
でした
遅れましたが去年末のコミックマーケット、サークルに来ていただいた方ありがとうございました
ウサちゃんロボの被り物コスをツイッターでリアルタイム捕捉していただいた方にも感謝です
乙乙。危うく俺も浄化されそうになった
おつおつ、納得のタイトル
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