高森藍子「スイーツバイキング」 (16)
※後半に行くにつれてキャラが崩れます
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藍子「今日はスイーツバイキングのあるカフェにやってきました」
藍子「ここのバイキングはショーケースから好きなケーキを選んで注文する形式のようですね」
藍子「制限時間は一時間。ケーキは一個ずつ注文、飲み物も飲み放題みたいです」
藍子「じゃあバイキングセットをお願いしまーす」
店員「はい。では今から一時間スタートです」
藍子「ありがとうございます。さて、どのケーキにしましょうか…」
藍子「ショーケースには15種類くらいケーキが並んでいます。どれも美味しそうです」
藍子「おっ!これは柚を使ったタルトですか!季節限定で店長一押し」
藍子「うん、じゃあこれにしましょう…おや?」
藍子「こちらのモンブランも美味しそうですね。くるくる巻かれた栗のクリームの上に何か乗っていますね」
藍子「甘栗のようですが黄色くなくて濃い茶色ですね」
藍子「すいませーん!このモンブランの上に乗っているのは何ですか?」
店員「それはマロングラッセですよ。フランスの栗の砂糖漬けですね」
藍子「へえー。なんだかとっても甘そうです」
店員「確かに甘いですけれどその分クリームはさっぱりして丁度いいですよ!」
藍子「ほうほう。気になりますね…」
藍子「おっとそのお隣はミルフィーユですね」
藍子「サクサクしたパイ生地にイチゴとクリームをサンド。粉砂糖をかけて見た目も綺麗ですね」
藍子「しかしこの時期のイチゴはハウス栽培、季節からずれますね」
藍子「むむ?そのお隣はミルフィーユでしょうか?見た目は似ていますが」
店員「そちらはアプリコットになりますよ」
藍子「なるほど、ジャムがサンドしてあるのですね!このお店は自家製ジャムも売っていますからこれも期待ですね」
藍子「その隣はガトーショコラですね。焼きたての香ばしい匂いがします」
藍子「外側はかりっと焼き上げて中はしっとり。注文後にホイップクリームを添えてくれるのもうれしいです」
藍子「生クリームを焼きたてのガトーショコラに乗せちゃうとクリームが溶けちゃって台無しです」
藍子「やや!こちらはクリームブリュレですね!」
藍子「カスタードプリンの表面を焦がして冷ましたものです」
藍子「この前観た映画でこのカラメルをスプーンでこつんと割るのが素敵でした」
藍子「こっちはタルトのようですね。このお店はタルトが人気なのでしょうか?柚のほかにも何種類かあります」
藍子「何種類かのフルーツがのったこのタルトは見た目も華やかでいいですねえ」
藍子「こちらはパステル・デ・ナタ?あまりみかけませんね」
店員「そちらはエッグタルトのことですねー」
藍子「あっ!そうなんですね!どこの言葉なんでしょうか?」
店員「ポルトガル語らしいですよ。エッグタルトはポルトガル発祥だそうです」
藍子「へえー。初めて知りました」
藍子「続きましてはティラミスです。しかもただのティラミスではありませんね」
藍子「ココアパウダーの代わりに抹茶を使った抹茶ティラミスです。色も落ち着いた緑色で綺麗です」
藍子「ん?こっちにはシュトーレンですか!ドイツのクリスマスケーキです」
藍子「何でもクリスマスの何週間か前に作ったものを少しずつ食べるそうですね。生地にフルーツの甘みがしみこんでクリスマス頃には食べごろになるとか」
藍子「こっちはチーズケーキ。一見なんの変哲もないチーズケーキ」
藍子「しかしこのお店のチーズケーキは一味違います!何種類かの自家製ジャムを上にのせて色んな味が楽しめるようになっているのです」
藍子「チーズケーキ本体も自己主張は抑えめながら単体でもいけてしまうおいしさです!」
藍子「さっきの柚やアプリコット以外にもクランベリーやリンゴ、まさに味のメリーゴーランドです!」
藍子「ここのジャムは紅茶に入れても美味しいのでお土産に買っていきましょう」
藍子「さて、あとは定番のチョコレートケーキにショートケーキ」
藍子「おや、こちらはフルーツいっぱいのフルーツケーキですね」
藍子「ほうほう、季節おすすめのフルーツが盛りだくさんとな!」
藍子「さてさてどうしましょうか?いくらスイーツバイキングだからと言って最初の一個目のケーキ選択を誤るわけにはいきません!」
藍子「そう!スイーツバイキングとは女の闘いなのです!」
藍子「最初に重いブッシュドノエルでも食べてしまえば後のケーキをおいしく食べられません」
藍子「しかーし!じゃあ最初に小手調べと軽いムースなんかでお茶を濁すとこれはこれで調子が出ません!」
藍子「さて、どうしましょうか…」
藍子「ここはフルーツケーキで行きましょうか。この一品で他のケーキに使われているフルーツの質もわかるというものです」
藍子「まさに寿司で言う玉子!焼き肉のタン塩!おでんの大根といったところでしょうか!!」
藍子「――と大人組の皆様が言っていました」
藍子「じゃあすいませーん!このフルーツケーキをください!」
店員「はーい!お飲み物はどうされますか?」
藍子「飲み物…!すっかり失念していました」
藍子「フルーツケーキですから紅茶がいいでしょうか?」
藍子「紅茶もいろいろ取り揃えていますね」
藍子「んー。味の主張が強いレモンティーやローズヒップはケーキのお供には合いませんね」
藍子「いやしかしそれらの紅茶を否定するつもりはありません!」
藍子「むしろプレーンなショートケーキには味のアクセントとして真価を発揮します」
藍子「フルーツケーキに合わせるならフルーツの味を邪魔しないストレートのダージリン、もしくは同じくフルーティなアールグレイでしょうか」
藍子「ここは小手調べですのでダージリンにしましょう」
店員「わかりました!席までお持ちしますね」
藍子「お願いしまーす」
とてとて
ぽすんっ
藍子「ふう。今日はまだ人が少なくてよかったです」
藍子「流石にアイドルがカフェでお茶してて目立っちゃうとまずいですからね」
藍子「この前はファンの人に見つかって大変だったなあ」
藍子「何回お散歩カメラのポーズをしたかわかんないですね」
店員「お待たせしました」ことっ
藍子「あっ!ありがとうございます」
藍子「うふふっ。うさぎさんの絵が描かれたおしゃれなティーポットですね」
藍子「すいませーん。写真撮っちゃってもいいですか?」
店員「いいですよー。いつもブログに乗せてくれてありがとうございます!」
藍子「いえいえ。さてカメラカメラ…」
藍子「うーん。ちょっと逆光になっちゃいますね」
藍子「ちょっとこう…よっと」パシャ
藍子「さてと、それでは紅茶をカップに注ぎまして…、あっいいにおい!」とぷとぷ
藍子「それでは頂きます」
さくっ…
藍子「――ッ!?これは!?」
藍子「なるほどただのフルーツケーキではないようですね…」
藍子「まずフォークを入れた時の手ごたえ!これは生地の外側にパイ生地を巻いてあるのですね!」
藍子「フルーツケーキはともすればフルーツが主役、生地はただの土台なんて扱いも珍しくありませんが」
藍子「ここのケーキは違うッ!」
藍子「フルーツの果汁がこぼれても受けきるサクサクのパイ生地とふわふわとした生地の二重奏!」
藍子「これは心してかからないといけませんね」
藍子「まずは一口…」
はむっ
藍子「~~っ!」じたばた
藍子「口に入れた瞬間広がる芳醇なリンゴの甘みとラズベリーの酸味!そして後から効いてくるミカンの甘酸っぱさ!」
藍子「まさにフルーツの三位一体!三権分立!三点倒立!」
藍子「そしてそれを妨げないようさりげないクリームの優しい甘さはまるで聖母マリア!」
藍子「さくさくしっとりの生地もいいアクセントになっていますねえ」
藍子「…むむ!そういえばこの上のフルーツはリンゴといいミカンと言い旬のものを使っていますねえ」
藍子「ラズベリーはさすがに夏のフルーツですがクリスマスシーズンを彩る大事なフルーツ」
藍子「この小さなケーキの上で四季を感じさせるとは」
藍子「ふっ…なかなかやりますね」
藍子「さらにそこに追い打ちをかけるようにこのダージリンを一口」ごくっ
藍子「……ほぅ、やはりいい茶葉を使っていますね」
藍子「きりっとした飲み口で香りはさながら雪景色を駆け抜ける風のよう」
藍子「このお茶を選んだ私の目に狂いはなかったようですね」
藍子「さて、二口目…っと?」
藍子「なんと!これは気が付きませんでした!」
藍子「クリームと生地の間にソースが仕込まれていたようですね」
ぺろっ
藍子「ほう?イチゴですか?」
藍子「ううむ。このケーキの上には甘みではリンゴ、酸っぱさではラズベリー、間を取り持つミカン」
藍子「それぞれ補完しあっていてここにイチゴが付け入る隙はないと思いますが」
藍子「ふうむ。策士策に溺れるとはこのことでしょうか」
ぱくっ
藍子「――ッ!!」
藍子「なるほど、そうきましたか」
藍子「確かにこのソース単体で食べると余計なもののように感じましたが」
藍子「口の中で合わさるとそれぞれの味に新たなハーモニーを加えますね」
藍子「そういえばこのパイ生地」
藍子「最初は意外性の為かと思っていましたがこのソースが漏れないようにしていたのですね」
藍子「お見逸れしました」
藍子「心を落ち着かせるためにも紅茶を一口」
こくっ
藍子「ふう…。染み渡りますね」
藍子「イギリスのティータイムはティーポットまるごとお代わりして2時間ほどティータイムを楽しむそうですね」
藍子「この何かと忙しい年の瀬ですが、ゆったりティータイムを楽しむ心の余裕というものは大切ですね」こくこく
ぱくぱく
ごくごく
ぷはぁ
藍子「はあ…おいしかった」
藍子「さあ!スイーツバイキングはこれからです!!次は何にしましょうか!!!」
店員「すいませーん!お時間になりましたー」
藍子「はうっ!そんなばかな!」
茜「……」
未央「……せーの」
茜・未央「ゆるふわすぎだよ!」
完!
スイーツバイキングでひとつしか食べられないのは実はゴローさんみたいに心の中で呟きながらケーキを食べてるのでしょうか
依頼出してきます
今まで見てきた中で断トツでつまらない
どっちかというと茜の方がそれっぽい気はする
食べ物を撮影するときはあえて逆光にして質感や立体感をアピールするほうが美味しそうに見えるんだぞい
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