――深夜、神谷家(奈緒の部屋)
奈緒「さーて、そろそろ新番組の魔法少女ハートフルままゆが始まる時間だ」
奈緒「雑誌に書いてあった情報だと、一応普通の魔法少女アニメらしいけど……」ピッ!
奈緒「おっ、はじまったはじまった」
――
――――
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『第1話 誕生! 愛の魔法少女ハートフルままゆ!』
――深夜、都内某所
タタタタタッ!
「はぁっ、はぁっ!」タッタッタ!
「ぴにゃ! ぴにゃぴにゃにゃ!!」
「くっ……この、たかが魔物相手に! えーいっ!」ビュッ!
パアアアアアッ!!
「ぴにゃああああああ!!」
「くっ……!」
……
…………
――東京、女子寮(玄関)
ガチャッ!
まゆ「行ってきます」
まゆ「あっ、いけない……急がないと学校に遅刻しちゃいますね」
タッタッタッタッ!
――私の名前は佐久間まゆ。元々は仙台の学校に通って、読者モデルのお仕事をしていたんですけど……。
ヴヴヴヴヴッ!
まゆ「!」シュババババッ!!
ピッ!
P『まゆ、おはよう。今日は午前中は学校だったよな。午後は○×スタジオの撮影だから、昼休みが終わる頃に迎えに行くよ』
まゆ「Pさんからのメール……うふっ、保護しておかないと」スッ、スッ
まゆ「『はい、今日のお仕事も頑張ります。大好きなPさんが迎えに来てくれるの、楽しみに待ってますね』これで返信……」
――ある日、お仕事の帰りにCGプロダクションでプロデューサーをしているPさんとまゆは運命的な出会いをしました。
まゆ「今日も学校にお仕事に、頑張らないとっ♪」タタタタッ
――Pさんにスカウトされてから、まゆは読者モデルのお仕事を辞めて東京でアイドルをやっています。
まゆ(大好きなPさんと一緒のお仕事……まゆは今日も幸せです)
『……れか、だれか……』
まゆ「ああ……今日のお仕事、Pさんは最後までまゆの傍にいてくれるみたいですから……ずうっとまゆのことだけを見てくれる……」
『だれか……、あたしのこえ……』
まゆ「Pさんにはまゆの全てを見てもらいたいから……Pさんのために、今日はいつも以上にお仕事に集中しないと」
『……あたしのこえ、きこえるひと……』
まゆ「っと、早く学校に行かないと……」タッタッタッタ……
『え、誰もあたし声聞こえないの? どうしよ……』
……
…………
――まゆの通う学校(教室)
まゆ(授業……早く終わらないかな……)チラッ
まゆ(外、何だか曇り空……今日の天気予報、晴れだったのに……)
まゆ「……」ゴソゴソ
まゆ(盗聴器のスイッチを入れて……)
カチッ
『さて、そろそろまゆを迎えに行く時間か……』
まゆ(うふっ♪ Pさん、ちゃんとまゆのことを考えてくれてますねぇ……早く迎えに来て――)
『おいおい、そんなに抱きついてないで離れてくれよ。子供じゃないんだから』
まゆ「……」ピクッ
『ああ、仕事終わったら戻ってくるから。それじゃ行ってきます』
ピッ
まゆ(どこの誰でしょうか……私のPさんに近付く泥棒猫は……これは調べておく必要がありそうですねぇ」
「まゆちゃん、どうしたの?」
まゆ「えっ? あ、せ、先生……いえ、なんでもありません」
まゆ(一体何処の誰が……)ギリッ……!
……
…………
――午後、まゆの通う学校(校門)
まゆ(Pさんまだかな……もう午後の授業はじまっちゃった……)
『ねー、誰かあたしの声聞こえないのー?』
まゆ「はい? そういえば今日は1日中変な声が聞こえているような気が……」ピクッ!
『むっ!? 誰か反応してくれたよね? こっち? こっちでいいの? ちょっと待っててねー!』
ヒュバッ!!
まゆ「きゃっ!?」ブワッ!
????「とうちゃーく! ふー……えーっと、さっき聞こえた声は……」キョロキョロ
まゆ「え……え……?」
????「ねえねえ、いまあたしの声に反応してくれた人ってあなた?」トテトテ
まゆ「……小さい、妖精さん?」
ふじとも「そう、あたしは妖精ふじとも! 魔法の世界、マジカルランドからやってきたのよ!」フワフワ
まゆ「まったくもって捻りのないストレートな名前の世界ですねぇ……え、魔法の世界?」
ふじとも「そう言ったじゃない。あたし、魔法の世界からやってきたんだけど」
まゆ「ま、魔法の世界なんて……あるわけないじゃないですかぁ」
ふじとも「それあたしの姿見てから言う?」
まゆ「それもそうでした」
まゆ「それであなた……ふじともちゃんはどうしたんですかぁ?」
ふじとも「初見のあたしを前にして普通に話し進めるのね……まあこっちも都合がいいけど」
ふじとも「実はね、あたしの世界……マジカルランドが大変なことになってるの!」
まゆ「どうしたんですかぁ?」
ふじとも「マジカルランドに悪い奴らが突然やってきて、みんなが苦しめられてるの」
まゆ「すみません……まゆ、この後お仕事があるので」スタスタスタ
ふじとも「ちょっとちょっと待ってよ!!」
まゆ「だってどう聞いても物騒なお話しじゃないですかぁ!」
ふじとも「そうだけど最後まで聞いてよ!」
まゆ「もう……聞くだけですよ」
ふじとも「あのね、マジカルランドを襲っている悪い奴らはマジカルランドを征服したらこの世界にやってくるつもりなのよ!」
まゆ「そ、そうなんですか?」
ふじとも「それであたしは悪い奴らを何とかするために、マジカルランドの王様の命令を受けてこの世界にやってきたの」
まゆ「どうしてここにきたんですか?」
ふじとも「それはね……魔法少女の素質のある女の子を捜しにきたの」
まゆ「ま……魔法少女……?」
ふじとも「そう。マジカルランドに伝わる伝説の存在、魔法少女」
まゆ「マジカルランドなんてド直球な名前の国なのに、魔法少女は伝説の存在なんですねぇ」
ふじとも「ほら、あたしたちってただの小さい妖精だし……」
ふじとも「まあそれは置いといて、まゆちゃんはあたしが念じていた声が聞こえたのよね? それなら魔法少女の素質があるの」
まゆ「あれ、どうしてまゆの名前知ってるんですか?」
ふじとも「だってさっきから自分のこと、まゆまゆって言ってるじゃない」
まゆ「そうでした……」
ふじとも「ね? まゆちゃんのこと魔法少女にしてあげるから、あたしたちの世界を助けて!」
まゆ「魔法少女……」ドキドキ
ふじとも「おっ、もしかして脈あり?」
まゆ「小さい頃、魔法少女のアニメを見ていたことがあるんです。その頃は、まゆもテレビに出てくる女の子みたいに、魔法が使えたらなぁって……」
ふじとも「それなら魔法少女になればバッチリよ! スピリチュアルなパワーがまゆちゃんを魔法少女にしちゃうんだから!」
まゆ「で、でもやっぱり危ないことは……」
ふじとも「大丈夫大丈夫、悪い奴らもあたしたちじゃ手に負えないってだけで、魔法少女ならドカーンと一発でやっつけることができちゃうはずだから!」
まゆ「ううーん……」
ふじとも「お願い……あたしたちのこと助けて。みんな苦しんでるの……」ウルウル
まゆ「うっ……妖精さんにそんな目で見られると……」
ふじとも「……」ウルウル
まゆ「……わ、わかりました」
ふじとも「やった! それじゃあまゆちゃんのこと魔法少女にしてあげるね。はい、コレ握って」ゴソゴソ
まゆ「切り替えが早いですね……えっと、これは? 綺麗な星型の宝石……」
ふじとも「スタージュエルよ! それを握って、強く念じて」
まゆ「何を念じればいいんですか?」
ふじとも「何でもいいわよ。強い念が必要なだけだから」
まゆ「握ると痛そうなんですけど……まあいいです」ギュッ
まゆ(……Pさん、Pさん、Pさん、PさんPさんPさんPさんPさんPさんPさんPさん)
パアアアアア……
ふじとも「おおっ!? 何だかあたしの想像していた以上のパワーが……あ、あー、もしもし王国、聞こえる?」
ふじとも「いま念送っている子が魔法少女になれる子だから、魔法少女のセット、標準プランでお願いね」
まゆ「え、何のお話しで――」
パアアアアアアッ!!!!
まゆ「え……な、何ですかぁこの光!?」
シュパアアアア……
まゆ「きゃあああああ!? ま、まゆの服が消えちゃいましたよおおおおおお!?」
ふじとも「魔法少女の変身プロセスに入ったのよ! ところでまゆちゃん、お肌キレイね」
まゆ「これ他の人にも見えてるんですかあああああ!?」
ふじとも「うん、バッチリ」
パアアアアア……
まゆ「……お、終わった……あれ? まゆの服が変わって……この衣装」キョロキョロ
ふじとも「紅い魔法少女……やっぱりまゆちゃんは魔法少女の素質があったのよ! やったわ!」ピョンピョンッ!
まゆ「魔法少女になったんですか? でも、変身するのに裸になっちゃうのは嫌なんですけど……」
ふじとも「もう、仕方が無いわね……それじゃ魔法少女のプラン変更しておくわ」
ふじとも「次に変身するときはフィルター機能が付いて、他の人には変身している最中のまゆちゃんの姿が見えなくなるから」
まゆ「スマホの契約プランみたいですねぇ……というより、最初からそうしてほしかったんですけど」
まゆ「でも、これが魔法少女? すごいですねぇ……アニメで見たことがあるような衣装……あれ、杖はないんですかぁ?」
ふじとも「え、なんで?」
まゆ「魔法少女って、魔法の杖とか、色んな道具とか持ってるじゃないですか?」
ふじとも「えー……いや、あたしもそこまではよくわかんないけど」
まゆ「そうなんですか……でも、魔法は使えるんですよね?」
ふじとも「それはバッチリよ! なんたって魔法少女なんだから!」
まゆ「ふふっ♪ それなら立派な魔法少女ですねぇ。それじゃあ……えっと、あまーいイチゴのショートケーキ、出てくださーいっ」フリフリ
まゆ「……」
まゆ「……」
ふじとも「……何やってんの?」
まゆ「え……だって、魔法少女ってこういうのですよね?」
ふじとも「魔法でケーキを出すなんて現実的じゃないでしょ?」
まゆ「ええええええ……まゆにとっては魔法自体が現実的じゃないんですけど」
ふじとも「常識が違うからね」
まゆ「それなら、遠くにあるものを動かせたりしますか?」
ふじとも「無理」
まゆ「透明になって壁を通り抜けたり……」
ふじとも「無理」
まゆ「……好きな人に振り向いてもらう魔法」
ふじとも「それで両想いになって嬉しい?」
まゆ「うぐぅ……正論……」
まゆ「あの……それじゃあ何ができるんですか?」
ふじとも「何って、それは――」
キィィィィンッ!!
まゆ「っ!? な、なんですか? いま変な音が……」ビクッ!
ふじとも「マズイ……この感じ、大凶の予感……!」
まゆ「な、なんですかぁ?」
ふじとも「マジカルランドを襲っている悪い奴らが、こっちの世界にも来てるの! まゆちゃん、一緒にきて!」
まゆ「え、ええええ!? そんな、いきなりなんて……」
ふじとも「時間がないわ! スピリチュアルパワーで……」ビビビビッ!
まゆ「えっ……ま、まゆの身体が浮いて……きゃああああああ!?」ヒューンッ!
ふじとも「きっとこの前あたしが戦って逃がした奴よ! 場所は……こっち!」ヒューンッ!
……
…………
――駅前
まゆ「こ、ここ駅前ですよぉ!? こんなにたくさんの人たちの前で……」ヒューンッ
ふじとも「結界が貼られてる……大丈夫、いまあたしたち以外の人間たちの時間は止まってる状態だから」
まゆ「どうしてですか?」
ふじとも「そういうものだから気にしないで」
まゆ「そうですか……」
ふじとも「あっ、あそこ!」
???「ぴにゃ、ぴにゃ……」ズルッ、ズルッ……
まゆ「な、なんですかあれ……緑色の大きい、ブサイクなやつ……」
ふじとも「あれが魔物よ! マジカルランドをメチャクチャにしている悪い奴ら!」
魔物「ぴにゃ……」
まゆ「あ、あまり怖そうじゃないですねぇ……大きいけど、これならまゆでも何とかなりそう……」
ふじとも「それじゃあまゆちゃんお願い!」
まゆ「あの、先に魔法の使い方教えてください……」
ふじとも「ゴメン忘れてた……えっと、マニュアルマニュアル……あった、とりあえず一番簡単なのは……指先を相手に向けて力を込めて」
まゆ「こうですかぁ?」スッ
ふじとも「それから、相手に殺意を向けて指先に溜めた力を解放するようにイメージします」
まゆ「ちょっと待ってくれませんか?」
ふじとも「何?」
まゆ「あの……また唐突に物騒な単語が出てきたんですけど」
ふじとも「だってマニュアルにそう書いてるし……とりあえずやってみて!」
まゆ「ええええ……殺意なんて、まゆ、そんな……うーん……」
まゆ(すみません……恨みはありませんけど、ふじともちゃんのために少しだけ痛い思いをしてください……!)ギュッ!
パアアアアア……
ふじとも「お、魔法陣が出たわ!」
まゆ「えいっ」ピッ!
ヒョロヒョロヒョロー……
まゆ「あっ、何か小さい玉が飛んでいきましたよ!」
ふじとも「えっ、もしかしてあれ魔力弾? ちっさ……」
ペチッ
魔物「ぴにゃ?」ピクッ
グルンッ!!
まゆ「あ……」
魔物「……」
まゆ「ど、どうも……」
魔物「……!」ギロッ!
まゆ「!?」ビクッ!
魔物「ぴにゃあああああ……!!」ゴゴゴゴゴゴッ!!
ふじとも「やばっ!? まゆちゃん逃げて!」
まゆ「え!? な、なんでですかぁ!?」
ふじとも「魔物が地獄の雷を撃ってくるわよ!」
魔物「ぴにゃああああああ!!!!」ズガガガガガガガァンッ!!
まゆ「なんでそんなガチなモノがいきなり飛んでくるんですかああああああ!!!!」ビューンッ!!!!
バチバチバチバチッ!!
ズガアアアアアアンッ!!!!
まゆ「はぁっ、はぁっ……」フワフワ
ふじとも「あ、危なかった……って、おっ、まゆちゃんいつの間にか空飛べるようになったのね」
まゆ「えっ? あ、ホントだ……どうしてなんでしょうか……人間死ぬ気になれば何でもできるんですねぇ」
ふじとも「ってそんなこと話してる場合じゃなかった!」
魔物「ぴにゃっ! ぴにゃっ!!」
まゆ「な、なんかあの子、怒ってませんかぁ?」
ふじとも「うーん、まゆちゃんの魔法のせいかも。早く倒さないと」
まゆ「で、でもまゆの魔法、全然効いてませんでしたよ? どうすればいいんでしょうか……」
ふじとも「もうちょっと強く念じて、魔法のイメージもしっかり!」
まゆ「そんなこといきなり言われても無理ですよぉ……」
魔物「ぴにゃああああ!」ドスンッ! ドスンッ!!
まゆ「ああっ、あの子が暴れだしましたよぉ!?」
ふじとも「マズイわ! この結果の中ではあたしたちは自由に動けるけど、他の人間は時間が止まって動けないだけで被害を受けちゃうわ!」
まゆ「何でそんな中途半端に不便なんですかぁ!」
魔物「ぴにゃっ! ぴにゃっ!」ズシンッ! ズシンッ!
まゆ「ど、ど、どうしましょう……」オロオロ
ふじとも「えっと、確かマニュアルに……あ、これこれ、物体の形を強くイメージして自分の武器を作る魔法。これで魔法の杖を作って……」
まゆ「そ、そんなことできませんよぉ……」ハッ!!
まゆ「あ、あれは……あの子の近くで止まっている車の中に……!」
魔物「ぴにゃっ! ぴにゃっ!」ズシンッ! ズシンッ!
P「……」グラグラ
ふじとも「やばっ、あの人間、魔物に踏み潰されたら――」
ビュンッ!!
ふじとも「え?」
ザシュッ!!!!
魔物「……ぴにゃ?」グラッ……
ドサッ!
まゆ「……何してるんですかぁ?」ユラァ……
ザシュッ……ザシュッ……
魔物「ぴ……ぴにゃっ、にゃっ……」ビクンッ! ビクンッ!
まゆ「まゆのPさんに、そのブサイクな顔を近づけないでくれませんかぁ?」ザシュッ! ドシュッ!
魔物「ぴ……ぴ…………にゃ……」ピクッ、ピクッ……
まゆ「うふっ……この包丁、凄くよく切れますねぇ……Pさんに近付く悪い虫は、潰しておかないといけませんからねぇ……♪」
グチュッ! グシャッ!!
魔物「ぴっ、ぴっ……」
まゆ「Pさんに傷が付いたらどうする気なんですか? Pさんに傷か付いちゃうなんてまゆが許しませんよ? まゆがPさんのことを守ってあげなきゃならないんですから……」
グチャッ、グチュッ! グチャッ!!
魔物「ぴ…………」
魔物「……」
まゆ「……」
ふじとも「……」
まゆ「終わりましたよぉ……」クルッ
ふじとも「ヒッ!?」ビクッ!
まゆ「どうしましたかぁ?」
ふじとも「い、いや……まゆちゃん、凄く魔法少女の素質があるのかなぁって思っただけ……その、ほら、武器も作っちゃったし」
まゆ「……そうかもしれませんね。Pさんを守らなきゃって思って、無我夢中でしたけど……これも、Pさんとまゆの愛の力ですね」
ふじとも「紅い、愛の魔法少女……いや、だいぶ物騒かも……まあ、包丁を持った魔法少女っていうのも斬新なのかな……」
パアアアアアア……
まゆ「あら? あの子の死体から光が……」
ふじとも「あ、そうだった!」ヒューン
パアアアアッ!!
ジャラッ!
まゆ「これ……死体が光って、キラキラして……宝石?」
ふじとも「やった! こんなにスタージュエルが出てきたわ!」
まゆ「スタージュエル……さっきまゆがもらった宝石ですか?」
ふじとも「そう、魔法の力で魔物を浄化すると、魔物の強さに比例して魔法の力がスタージュエルを生み出してくれるのよ」
まゆ「そうなんですか」
ふじとも「回収回収~……っと、魔物もやっつけたし、そろそろ結界も消える頃だけど……少し町に被害が出ちゃったわね」
まゆ「あっ、それなら……」ヒュンッ
P「……」
まゆ「Pさん、いま安全なところに連れてってあげますからね……」
……
…………
――公園
P「ん……」ピクッ
まゆ「あっ、気がつきましたぁ♪」
P「お、俺は……」
まゆ「Pさん、大丈夫ですか?」
P「車に乗ってて、何だか、化け物が目の前に出てきたような……」
まゆ「それなら大丈夫です。もう悪い子はやっつけましたので」
P「キミ……は……?」
まゆ「え?」
ふじとも『まゆちゃんまゆちゃん』
まゆ(あれ、ふじともちゃんですかぁ? 姿が見えませんけど、どこにいるんですか?)
ふじとも『いま念話でまゆちゃんに話しかけてるの。いい? まゆちゃんが魔法少女だっていうことは秘密にして!』
まゆ(どうしてですかぁ?)
ふじとも『魔法少女ってそういうものでしょ? 魔法少女っぽい名前でも何でもいいけど、適当にやり過ごして!』
まゆ(確かに……分かりました)
P「あの……」
まゆ「……あっ、すみません。私は……ま、まゆ……そ、そう、魔法少女、ハートフルままゆです」
P「ままゆ……ままゆ、さん……あの……」
まゆ「そ、そろそろままゆは行きますねぇ! まだやらなきゃならないことがあるんですっ!」フワッ
ヒューンッ!
P「空を飛んだ……魔法少女……ままゆ……」
……
…………
――雑木林
まゆ「はぁ……疲れました」
ふじとも「お疲れ様、まゆちゃん。じゃなかった、ハートフルままゆだったっけ?」
まゆ「それ、自分で言っちゃいましたけど、とっても恥ずかしいです……」
ふじとも「いいじゃない。紅い魔法少女、ハートフルままゆ。可愛いと思うわよ」
まゆ「そ、そうですかぁ?」
ふじとも「可愛い可愛い。っと、そうだ……今回の戦利品を」ゴソゴソ
ジャラッ!
まゆ「あ、それ……さっき拾ったスタージュエルですか?」
ふじとも「そうそう。まゆちゃんが魔法少女になったお祝いでもしようかなって思って。ひい、ふう、みい……」
まゆ「お祝い、ですかぁ?」
ふじとも「うーん……結構手に入ったわね。これなら十分大丈夫そう」
まゆ「あの、お祝いって……?」
ふじとも「そうそう。まゆちゃんにね、他の世界の魔法少女の力を手に入れてもらおうかなと思って」
まゆ「他の世界の魔法少女?」
ふじとも「マジカルランドやこの世界以外にも色んな世界があってね、その世界ごとに魔法少女がたくさんいるのよ」
なんてハートフルなんだ
まゆ「あれ? でもさっき、魔法少女は伝説の存在って……」
ふじとも「マジカルランドでは伝説の存在ってだけで、他の世界に魔法少女がいるのはよくあることなの。そうじゃなきゃ別の世界まで探しに来ないわよ」
まゆ「そうなんですか……」
ふじとも「よし、それじゃまゆちゃん、ガチャを回して頂戴」
まゆ「ガ、ガチャ……!?」
ふじとも「そう。えーっと、えいっ!」
http://i.imgur.com/0FC4EJ2.png
まゆ「……なんですか、これ?」
ふじとも「スタージュエルを使って、他の世界にいる魔法少女の力を少しずつ分けてもらうための装置なの。これにスタージュエルを入れるのよ」
まゆ「なるほど……あ、ここに浮かんでる数字がスタージュエルの数なんですか?」
ふじとも「そうそう。あとは表示されてる数だけスタージュエルを入れてね」
まゆ「数えるの大変ですね……ひい、ふう、みい……」チャリンチャリンチャリンッ!
ハートフル(ぼっこちゃん)やね
ふじとも「なんだ、今日はCoしか出ないのね……それならまゆちゃん、スタージュエルを60個だけ入れてね」
まゆ「はぁい」チャリンッ!
http://i.imgur.com/tqbRm99.png
まゆ「封筒がでましたよ?」
ふじとも「そうよ。その中に履歴書が入っているから」
まゆ「り、履歴書?」
ふじとも「さーて、中身はどうかなー?」
http://i.imgur.com/5jQHgeI.png
まゆ「女の子の履歴書が出てきましたよ!」
ふじとも「そうそう、それが他の世界にいる魔法少女の力の一部ね」
ふじとも「それじゃいま手に入れた履歴書から魔法少女の力を取り出して、まゆちゃんの精神世界に入ってっと」スススッ
まゆ「あの、ごく自然にまゆの精神に干渉するのやめてくれませんか?」
http://i.imgur.com/RY7LYmW.png
ふじとも「これでまゆちゃんはこの魔法少女の力を手に入れたわ!」
まゆ「なんだか力が沸いてきたような……!」
ふじとも「まだ魔法少女に変身してないから気のせいよ」
まゆ「そ、そうでしたか……」
ふじとも「まあ、慣れると変身しなくても魔法少女の力も少しくらいは使えるらしいから」
まゆ(変身しなくても魔法少女……なんだかいいかも……)ドキドキ
ふじとも「というわけで、今回戦った魔物はまだまだたくさんいるから、これからはマジカルランドを襲っている奴らもまとめてやっつけるわよ!」
まゆ「ううう……またあんなブサイクと戦わなきゃならないんですね……」
ふじとも「大丈夫、まゆちゃんは魔法少女なんだから!」
まゆ「魔法少女……まゆ、魔法少女になったんですねぇ……」
ふじとも「そういうこと。これからよろしくね、魔法少女……ハートフルままゆ!」
まゆ「……はぁい」
――この時まゆはまだ……これから毎日、今日以上のとんでもない出来事に巻き込まれることになるとは思ってもいませんでした。
つづく
……
…………
『次回予告!』
まゆ「ええっ!? アイドルのお仕事でやってきたスタジオで、突然倒れて意識不明になるスタッフが!?」
ふじとも「きっとあの魔物たちの仕業よ! あたしたちで魔物をやっつけないと!」
まゆ「このままじゃ一緒に来てくださったPさんも危険な目に……絶対に許しませんよぉ……」
――魔物を追うまゆとふじとも、しかし2人の目の前に現れる謎の人物が!
???「おーっほっほっほ! 残念ね、この魔物はアタシの得物よ!」
まゆ「ええっ!? あ、あなたは誰なんですかぁ?」
???「私? 私は魔法少女……プリティーキューティーなマジカルミズキちゃんよっ☆」
――新しい魔法少女、果たして彼女は一体……
『次回、魔法少女ハートフルままゆ第2話!』
『新しい仲間! マジカルミズキ登場!!』
まゆ「三十路手前が魔法少女を名乗るのは詐欺なんですよぉ! なので今後は魔法少女じゃなくて魔女と名乗ってください!」
『次回もお楽しみに!』
――
――――
――深夜、神谷家(奈緒の部屋)
奈緒「終わった……」
奈緒「うーん……1話を見た限りだと……糞アニメっぽいな」ピッ
奈緒「まあ、とりあえず3話までは見てみるかな……よし、明日も仕事だしそろそろ寝るか」
奈緒「はぁ、深夜アニメはリアルタイムで見るのが辛いな……」
……
…………
おわり
最近の女児向けアニメにありそうな要素(一般人が変身、妖精っぽいの、道具でアイテム収集)をとりあえず集めただけです。
パッションの日だったらユッコとしゅがはが欲しかったので普通に回してました。
HTML化依頼出して終了
乙
しかしまだマナミン仮面が出てないぞ
この内容をニチアサでやったら伝説だけど深夜にやったら糞アニメに感じるんだろうか感じるんだろうな
乙
ハートフルすぎてnice boatになる予感!
おつ!
hurtfulだから問題ないとかいうあれ
2話放映後の反応
うわキツ(45歳・無職)
年齢的に敵幹部じゃね?(39歳・アルバイト)
…アリだな(不詳・芸能プロデューサー)
乙乙
ノリ的には型月のカニファンのファンタズムーンに思えた
画像が現在出てるガチャ画面で吹いた
乙
うわキツは(23歳・アイドル)
ウサミン星人が仲間になってほしい
せめて3話までは書けよぉ!
そんなことしたらマジカルミズキが死んじゃうだろ!
>>40
えっ?ありす!そのチクワどうするの!?
魔法少女アイオライトしぶりん
よかった
絶望の果てにぴにゃになってしまうままゆはいないんだね
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