ヴェイン「何で付き合ってないの」パーシヴァル「何の話だ」 (19)


ヴェイン「だーかーらー、パーさんさ。好きだろ?」

パーシヴァル「藪から棒に、何の話だ」

ヴェイン「もー、察しが悪いなぁ。団長の話。パーさん、団長のこと好きだろ?」

パーシヴァル「……」

ヴェイン「やっぱ当たりかー!」

パーシヴァル「違う。断じて、そのような事実は、ない」

ヴェイン「パーさん。茹で上がったデスシェルみたいな顔になって言っても説得力ねーって」

パーシヴァル「何が望みだ。領地か? 金か?」

ヴェイン「だー、もう! そういう話じゃねーから!」


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パーシヴァル「なら、何だと言うんだ。貴様も知っている通り今のウェールズ家は敗戦国だ、無い袖は振れないぞ」

ヴェイン「ほんっと頭かてーよなぁ、パーさんは」

パーシヴァル「では、用件を言え。不本意ではあるが俺にできることなら、叶えてやらんでもない」

ヴェイン「なんつー不遜さだよ。弱み握られてるやつのセリフじゃないよなぁ」

パーシヴァル「くっ……この通りだ。駄犬、貴様の言うことを何でも一つ聞くと約束する」

ヴェイン「その言葉を待ってたぜパーさん! 俺の願いは1個だけだ!」

パーシヴァル「言ってみろ」

ヴェイン「買い物、行ってきてくれよ」

パーシヴァル「なんだ、その程度のことでいいのか。承った。それで内密にしてもらえるならお安い御用だ」

ヴェイン「……たぶん、みんな知ってると思うけどなぁ」

パーシヴァル「何か言ったか」

ヴェイン「いーや、何も。それじゃ、着替えたら甲板の方に出て待っててくれよな!」

パーシヴァル「……確かに鎧では買い物には不向きだな。了解だ」

ヴェイン「…………よっし、行ったな。ふー、全く骨が折れるぜ。へへっ」


* * *



パーシヴァル「……コルワに無理矢理服を渡されてしまったが……たかが買い物で、ここまで着飾る必要があるのだろうか」

パーシヴァル「まぁ、いい。とっとと買い物を済ませるとしよう」

パーシヴァル「しかし、駄犬め。この俺を待たせるとは」

パーシヴァル「…………ん?」

ジータ「パーさん、お待たせー。急に誘われてびっくりしちゃった」

パーシヴァル「……待ってくれ。どういうことだ」

ジータ「え、ヴェインからパーさんの手紙もらったんだけど……」

パーシヴァル「…………」

ジータ「どうしたの? やっぱり迷惑だったかな」

パーシヴァル「いや、大丈夫だ。なるほど、そういうことか。何でもない。行こうか」

ジータ「うん! あ、それとね。これ、ヴェインがパーさんに渡して、って。手紙かな?」

『パーさんへ フェードラッヘで一番ウマい店、パーさんの名前で予約しといたぜ! 一応、地図もつけとくからな!』

パーシヴァル「…………なるほど、な。駄犬めにしてやられたわけか」

ジータ「なーに? なんか面白いことでも書いてあった?」

パーシヴァル「いや、取るに足らない内容だった。気にするな」

ジータ「ふーん? まぁ、いっか。行こー!」


ジータ「それで、今日はまた急にどうしたの?」

パーシヴァル「今回の一件で俺と兄上を救ってくれたジータに、礼がしたくてな」

ジータ「じゃあ、今日はパーさんがエスコートしてくれるんだ」

パーシヴァル「ああ、とびきりの夕餉を用意した」

ジータ「へぇー。ふふ、なんかデートみたいだね」

パーシヴァル「デート、か。そうか……そうか……」

ジータ「嫌?」

パーシヴァル「嫌なわけがあるか……あっ」

ジータ「えへへー、ならよかった。誘ってくれて嬉しいよ!」

パーシヴァル「あ、ああ。今日は任せてくれ」


ジータ「ご飯食べるとこ、遠いの?」

パーシヴァル「いや、もうすぐ着くはずだ」

ジータ「はず、って?」

パーシヴァル「恥ずかしい話だが、今日行く店は駄犬の推薦だ」

ジータ「パーさんおぼっちゃんだもんねー」

パーシヴァル「悪かったな」

ジータ「んーん。私はパーさんが人に聞いてまでおいしいレストラン探してくれたのが嬉しくって」

パーシヴァル「またお前は……」

ジータ「ドキッとした? 渾身のセリフだったんだけど」

パーシヴァル「ふっ。さぁな」

ジータ「あー、それずるくない?」

パーシヴァル「……着いたぞ、そこの建物だ」

ジータ「ちぇー、パーさんの勝ち逃げかー」

パーシヴァル「何の話か全く分からんな。さぁ、入るぞ」

ジータ「はーい。なんか釈然としないけど……」


店員「いらっしゃいませ。ご予約の方はおありでしょうか?」

パーシヴァル「パーシヴァルだ」

店員「パーシヴァル様ですね、少々お待ちくださいませ」

パーシヴァル「ああ」

ジータ「なんか、すごいお洒落なとこだね。場違いじゃないかな」

パーシヴァル「いや、そんなことはない。そのドレスもよく似合っている」

ジータ「あー、やっと褒めてくれた。結構気合入れて着てきたんだからね?」

パーシヴァル「それは、その。すまん」

ジータ「ふふー、大目に見てあげよう」

店員「お待たせいたしました。こちらの『団長大好きパーシヴァル』様でお間違えないでしょうか?」

パーシヴァル「」

ジータ「あはははは、何やってんのパーさん」

パーシヴァル「」

ジータ「待って。むり。お腹いたい。あははははは」

パーシヴァル「…………ああ、それで間違いない」

店員「はい、ではお席の方へご案内致しますね」


ジータ「はー、笑い死ぬかと思ったよ」

パーシヴァル「……その、なんだ。アレは俺がやったわけではなくてな」

ジータ「ヴェイン?」

パーシヴァル「……忘れてくれると、助かる」

ジータ「あんなの、忘れろって方が無理だって。もう」

パーシヴァル「そうか……」

ジータ「まぁ、私は悪い気しないし? 大丈夫だって。ね?」

パーシヴァル「あ、ああ。そうか」

ジータ「うん。ほら、切り替えてこー。ご飯だよご飯!」

パーシヴァル「そうだな。今は食事を楽しむとしようか」


* * *



ジータ「ふー、お腹いっぱい。ご馳走してくれてありがとね」

パーシヴァル「ああ、俺がジータに受けた恩を思えば些末なことだ」

ジータ「もう、そんなに気にしなくていいんだよ。あれは私がやりたくてやったことだから」

パーシヴァル「……ふっ、敵わないな」

ジータ「そりゃあ、ファータグランデでいちばんの騎空団の団長様ですから!」

パーシヴァル「こんな少女が、一度剣を握れば無双の騎空士だとはな」

ジータ「むー、そんな私のほっぺをつまむとか有り得ない!」

パーシヴァル「くっ、ははは。すまんすまん」

ジータ「罰として、これからも私の傍にいること! 分かった?」

パーシヴァル「無論だ。俺の国にはジータが必要だからな」

ジータ「むー、そういう意味じゃないんだけどなぁ」

パーシヴァル「ん? では、どういう意味だ」

ジータ「まぁいいよ、今はそういう意味で」

パーシヴァル「そうか」

ジータ「そうなんです。ふふ」


パーシヴァル「なんて話していたら、もう着いてしまったな」

ジータ「グランサイファ―の今日のご飯は何だったんだろうね」

パーシヴァル「今日の給仕当番は、駄犬だったか」

ジータ「ヴェインのご飯おいしいよね」

パーシヴァル「ああ。中々どうして、な」

ジータ「でも今日、グランサイファ―で一番いいご飯を食べたのは私達だもん」

パーシヴァル「違いないな」

ジータ「それじゃ、今日はありがとね。おやすみ」

パーシヴァル「おやすみ。しっかりと歯を磨くんだぞ」

ジータ「またそうやって子ども扱いする」

パーシヴァル「悪い悪い。では」

ジータ「うん。また明日」


パーシヴァル「……駄犬への小言は明日にして、汗を流したら眠るとしよう」

パーシヴァル「一先ず自室へ、向かうとするか」

パーシヴァル「…………」

ヴェイン「よっ、おかえり。パーさん」

パーシヴァル「何故。俺の部屋にいる」

ヴェイン「どうだった? デートは」

パーシヴァル「俺の質問に答えろ。駄犬」

ヴェイン「おー、こえー。今日の成果を聞こうと思っただけだって」

パーシヴァル「ふん。何故、貴様に話さなければならん」

ヴェイン「俺、パーさんの弱み握ってるはずなんだけど」

パーシヴァル「チッ……いいだろう。話してやる」

ヴェイン「へへ、待ってました! それで、レストランへは迷わず行けた?」

パーシヴァル「俺を誰だと思っている。貴様と同じにするな」

ヴェイン「それもそっか。それからそれから?」

パーシヴァル「談笑しながら食事を摂った」

ヴェイン「ウマかっただろ! あの店!」

パーシヴァル「そうだな。貴様の推薦にしては悪くなかった」

団長がランちゃんだと思ったしにたい


ヴェイン「デザートとか、パーさん気に入りそうなのを出してもらったんだぜ?」

パーシヴァル「あのショートケーキと呼ばれる菓子か」

ヴェイン「それそれ。パーさんイチゴ好きだろ?」

パーシヴァル「ああ、ジータのやつが『パーさんイチゴ好きでしょ?』などと言ってな」

ヴェイン「団長イチゴくれたんだな!」

パーシヴァル「『ほら、パーさん口開けて? はい、あーん』とフォークを差し出されてしまったからな」

ヴェイン「だー、そういうのは話さなくていいって! 背中がむずむずするだろ!」

パーシヴァル「貴様が話せと言ったのだろう!」

ヴェイン「分かった分かった。レストランの話はもういいから、それからどうしたか教えてくれよ」

パーシヴァル「どうしたも何も、こうして帰ってきただけだが」

ヴェイン「は?」

パーシヴァル「何だ。不満でもあるのか」

ヴェイン「大アリだっつの! え、マジでそれだけ?」

パーシヴァル「これだけだが?」

ヴェイン「はー、ほんとパーさんのヘタレ!」

パーシヴァル「何だと、俺が貴様に愚弄される謂れはないぞ」

ヴェイン「あるよ! このヘタレ炎帝!」

パーシヴァル「なっ、貴様……!」

ヴェイン「『あーん』までしてもらったんだろ!?」

パーシヴァル「大きな声で言うな!」

ヴェイン「いーや、言うね。言ってやる。『あーん』までしてもらって何普通に帰ってきてんの!!」

パーシヴァル「もっとはっきりと言え。まるで意図が分からん」

ヴェイン「だーかーらー!!!」

パーシヴァル「…………ああ」

ヴェイン「なんで付き合ってないの!!!!!!」



おわり

氷炎イベ、レスラーグランだったから変態マスクマン添い寝になったけどそうかジータだと可愛い絵面だよなぁ……

ありがとうございました。
(今更ではありますが、酉付け忘れてたので)

レスラーでなければグランでだって充分可愛い絵面になるでしょ

パスタグランくんのシャラシャラ感もいいよ

レスラーグラン率高いからしかたないよね

>>11
ルナール「グラン団長かもしれない」

他にも団長はいるであります!

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