みくり「平匡さん・・・私、すっきりしていないことがあります」(37)

はやりものに飛びついてしまいました。
原作も読まずドラマを何話か見ただけなので設定とあわないところがあったらご容赦のほど


・・・平匡、みくりの部屋・・・

百合「平匡さん、遅いわね」

みくり「仕事の締め切りが迫ってるとか言ってこのところずっと残業続きで…」

百合「新婚だって言うのに。子供のほうはどうなの?」

みくり「何言うのよ、百合ちゃん!まだよ!」

百合「でも、することはしてるんでしょ?」

みくり「それは、まあ、いろいろ…」

百合「どうせ平匡のことだから、日を決めてしようとか言ってるんでしょう!」

みくり「え、どうしてそれを…(ハグだけだけれど)」

百合「やっぱり!平匡を呼んできなさい!!」

みくり「もう…うるさい伯母さんて思われるよ」

百合「私はねえ、あんた達二人が心配で…」

みくり「私達は大丈夫だから。心配しなくて良いから」

百合「みくりの方から誘ってあげないと一生子供なんてできないわよ」

みくり「結構誘ってるつもりなんだけど…」

百合「あの草食動物には直接的に言わなければわからないんじゃない?」

みくり「直接的か…」

百合「といって、あの手の男はストレートに言うと逃げ出すのよ」

みくり「なのよね…」

百合「まあ、いろいろ試してみるしかないわね。じゃあ、帰るわ」

翌朝

みくり「申し訳ありません!寝坊しました!」

平匡「あ、こんな時間だ!間に合わなくなるので朝ご飯はいりません。駅の売店でパンを買って食べます」

みくり「朝ご飯代はお給料から棒引きしてください」

平匡「いえ、寝坊した責任は僕にもあります。その必要はありません。では行ってきます」

みくり「あ、今日は久しぶりの冬の晴れ間です。平匡さんの布団を干しても良いですか?ずっと敷きっぱなしですよね」

平匡「そ、そうですね。お願いします。では、行ってきます」

みくり「いってらっしゃーい」

みくり「ということで、許可も出たことですし平匡さんの寝室に入らせてもらいますか…
中学生だったら布団をめくるとエッチな本が出て来るところでしょうけど…バサッ…出てきた…」

みくり「よかった。平匡さん、女に興味がないんじゃないかと心配してたけど…
なになに、”本当に気持ちいいセックス上級編”。上級編?まず、初級編から取り組むべきでは
…パラパラ…フムフム…フェチとは…なるほど、これは参考になりますね…」

土曜日の朝

みくり「ご飯、パジャマで食べることが多くなりましたね」

平匡「不快であれば他の服装に…」

みくり「いいえ、むしろ信頼してもらえている実感があってうれしいです。それに私も居間ではパジャマで過ごしている方が楽ですし」

平匡「同居する前からずっとみくりさんのことは信頼しています」

みくり「ありがとうございます。平匡さん、お礼ついでにお願いがあるのですが」

平匡「なんですか?僕にできることだったら…労働環境の改善でしょうか?」

みくり「いえ、労働環境にはきわめて満足しています。それに雇用主としての平匡さんには非常に感謝しています。もうちょっと…いえ、何でもありません。」

平匡「では、お願いとはなんでしょう?」

みくり「話が飛んで申し訳ないのですが、一般的に女性は諸々処理をしていることはご存じでしょうか?」

平匡「処理?生活するためには様々な行政上の手続き、身近なところでは近所づきあいまで諸々処理しなければならない事柄はあると思いますが」

みくり「そのような件についてであれば、女性と限定しません。今、私が言っているのは不必要な体毛の除去についてです」

平匡「不必要な体毛?・・・・・!!い、いわゆる、む、む、む、ムダ毛というやつですか?!」

みくり「そう、ムダ毛というやつです」

平匡「わ、脇毛とか」

みくり「脇毛も含まれます。下の毛も」

平匡「し、下の・・・」

みくり「はい。今日においてそれらの除去はエチケット、というよりも社会通念上ほぼ義務と化し、世の女性はそのために少なからぬエネルギーを費やしていることはご存じでしょうか」

平匡「ご、存知と言うほど知っているわけでは・・・そのようなことがあるであろうことはうすうす承知してはいます」

みくり「安心しました。で、私もその処理をしなければなりません」

平匡「なるほど…え!?み、み、みくりさんが、そんなことを!!」

みくり「はい、私も生きていますから。付け加えれば人並みに生理現象もあります」

平匡「生理現象……」

みくり「もし無ければ、光熱水量費の負担軽減を要求しています」

平匡「あ、経費負担の軽減が必要であれば…」

みくり「必要ありません。ふつうに使用していますので」

平匡「そうですか」

みくり「以前、処理はエステでやってもらっていましたが、歯医者にかかる経費が大きく、エステの費用を捻出することができません」

平匡「申し訳ありません。お給料がもっと高ければ…」

みくり「いいえ、労働に対して十分な対価をいただいています。それはさておき経済上の理由から自分でしなければならないのですが、刃物を扱うのが苦手、というか怖いのです」

平匡「苦手なものというのは、人それぞれですから」

みくり「理解していただいて幸いです。ですので、平匡さんに処理を手伝ってもらいたいのです」

平匡「なるほど、僕にできることであれば…えっ!処理を手伝う!?」

みくり「はい」

平匡「ぼ、僕にできることは手伝いますが、女性のムダ毛の処理なんかしたことはありません!」

みくり「だと思います。でも、平匡さんはいつもひげを剃っているじゃないですか。体毛をカミソリで剃るという行為の共通性は極めて高いと思います。
それに、ひげは体毛の中でもきわめて硬度が高いと聞いています。つまりより難易度の高い行為を恒常的にしているといえるのではないでしょうか」

平匡「そ、そうかもしれません。しかし…しかしです、女性の肌の方が敏感だと言いますからそちらのほうがより難易度が高いと…」

みくり「それをカバーするためにローション、クリーム等いろいろあるのです」

平匡「で、では、エステの費用を必要経費として生活費の中から支出してください」

みくり「平匡さんはご存じないかもしれませんがエステというのはかなり高額です。現在の予算から支出することはできません」

平匡「ならば、給与の引き上げを実施しましょう!」

みくり「安易な人件費の上昇は安定経営の最大の敵ではないでしょうか」

平匡「確かにその通りです。では、こういうのはどうでしょう。エステ費用のための積み立てを行い、経費を確保した上で…」

みくり「では、それまでの間、ムダ毛の処理が終わっていないというストレスを抱えたまま諸業務を遂行しろっていうんですか?」

平匡「そういうわけでは…」

みくり「ムダ毛を放置したままでは、チアガールとなる妄想にも支障があります!安心してポンポンを振ることができませんし、開脚することもできません」

平匡「チアガール?」

みくり「すみません、こっちの話です。気にしないでください。しかし、従業員のストレスを放置したままでいるというのは雇用主として管理義務を果たしているといえるでしょうか」

平匡「うう・・・。わかりました。現在の経済環境下において、みくりさんのムダ毛処理をしてストレス解消を図るとともに、現生活環境を維持するためには身近な人間が手伝うことが解決のための最適値だということですね」

みくり「わかってもらえましたか」

平匡「はい。しかしそれは必ずしも僕である必要ではないはずです。たとえば、百合さんでも風間さんでも・・・」

みくり「ムダ毛を処理しているところを見られるというのは女性にとって、とても恥ずかしいことです。お分かりですか」

平匡「想像はできます」

みくり「であれば、その相手は夫、最悪でも恋人にとどめたいと思うのは当然の心理です」

平匡「し、しかし恋人とは言っても百合さんを安心させるための方便で…」

みくり「たしかに制約事項は付いているかもしれません。しかし現在その条件に最も近いのは平匡さんなんです。私は平匡さんに手伝ってもらいたいのです!」

平匡「うううっ。僕がするしかないと…」

みくり ジーッ

平匡「……わかりました。従業員のメンタルヘルスに万全を期すのは雇用主としての責任です。お手伝いします」

みくり「ありがとうございます。ではこちらに処理のためのセットがあります。カミソリとジェルと…」

平匡「もう準備できているんですか」

みくり「善は急げと言いますから」

平匡「善でしょうか」

みくり「善です。では準備に取りかかります」

平匡「準備?」

みくり「下着を脱がないと…」

平匡「下着を脱ぐ!」

みくり「はい。下着の上から剃る訳にいかないじゃないですか」

平匡「確かに…しかし結婚前のお嬢さんの大事なところを見るわけには…」

みくり「私のことなら気になさらず」

平匡「僕が気にします」

みくり「(まさかここで引っかかるとは・・・)、ではこういうのはどうでしょう。以前百合ちゃんにもらった下着で布地の面積が小さめのものがあります。
その布からはみ出た部分を剃るという方法をとれば大事なところを見ることなく処理することができます」

平匡「そうしましょう。それならいくらかは僕の罪悪感を押さえることができます」

みくり「では、パンツを履き替えてきます」

数分後

みくり「さあ、取りかかりましょう」

平匡「ちょっちょっっちょっと待ってください!なんですか、その格好は!!」

みくり「え?平匡さんが過剰に興奮しないように、パジャマの上は脱がないようにしたのですが。上も脱いだ方がよかったですか?」

平匡「違います!!下の方です」

みくり「下はさすがに脱がないわけに行かないので脱いで、先ほど言った下着をはいていますが」

平匡「下着って、3cm幅のテープが若干巻き付いているようにしか見えません!」

みくり「南米の方はこのタイプのものを着用することが結構あるそうです。なかなか大胆ですね」

平匡「大胆て、ほとんど裸じゃないですか。ぼ、僕は耐えられません」

みくり「(うーんなかなか手強い・・・)、そうだ、雑誌のグラビアにこのぐらいの格好が掲載されていることはありませんか?」

平匡「え、雑誌のグラビア…確かにあるとは思います」

みくり「平匡さんはそう言うものを全く見ないんですか」

平匡「そ、それは・・・絶対に見てないとは言い切れませんが…で、でもちらっとだけです」

みくり「雑誌として刊行されていると言うことは、日本国政府がこの格好をわいせつ物ではない、と判断していると言うことです。
それを見ることがあると言うことは、平匡さんにはそれに耐える力があるということです。たかが、立体か平面かの違いです。日本国政府と自分を信じて取り組みましょう!」

平匡「ううっ、なんかだまされているような気もしますが、力がわいてきました」

みくり「よかったです。ではお願いします」

平匡「しかし、我々はあくまで雇用主と従業員です。肌のふれあいは最小限にすべきです」

みくり「はあ」

平匡「カミソリの使用は担当しますから、ジェルの塗布等の事前準備はみくりさんおねがいします」

みくり「……しかたありません。自分で塗るところを見られている方が恥ずかしいんですが…」

平匡「では後ろを向いています」

みくり (そう言うことじゃないのに)・・・ヌリヌリ・・・

平匡 (ドキドキが止まらない。これだけ冷静さを失っていたらみくりさんに怪我をさせてしまうかもしれない。自分を取り戻さないと・・・
みくりさんと思うからいけないんだ。肉なんだ。単に肉にさわるだけなんだ…)

平匡「肉なんだ!」

みくり「はい?今日の晩ご飯は肉料理が良いんですか?」

平匡「え、あ、その、はい、お願いします」

平匡 (思わず声に出してしまった。でもこの考え方は間違っていない。肉なんだ。肉の毛を剃るだけなんだ。しかし料理で肉の毛を剃ることが…?
やっぱり肉とは言ってもみくりさんの……いかん、何か料理を思いつかなければ…
そう言えば本格的な中華料理で、豚の角煮のようなものを毛の処理をしてから作るとか…エーとなんて言ったかな・・・)

平匡「そうだ、トウロンポウ!!」

みくり「え?トウロンポウが好きだったんですか?では、今日の夕食はトウロンポウを作ります」

平匡「あ、ありがとうございます…」

みくり (珍しい。平匡さんが自分から食べたいものを言うなんて。それだけ親密感がアップした証かも!恥ずかしさを我慢して乙女の肌を晒した甲斐があったあーーー)

みくり「準備終わりました。カミソリの処理に移行していただきたいと思います」

平匡「了解です。大船に乗ったつもりでいてください。大和かタイタニックぐらいの…」

みくり「両方とも沈んでますけど」

平匡「すみません、それぐらいしか大きい船の名前を知らなかったもので…」

みくり「他にもQE2とかエンタープライズとかいろいろありますけどね。それはそうとして、いったん深呼吸して落ち着いた方がよくないですか?ずいぶんと呼吸が荒いですが」

平匡「そうさせていただきます・・・スーハースーハー…」

ポタッポタッポタッ

みくり「何かなまあたたかいものが太ももに・・・?あ、平匡さん、すごい鼻血です!!」

平匡「え…気がつきませんでした…」

みくり「すぐに止血しないと!」

平匡「みくりさん!」

みくり「はい、なんでしょう?」

平匡「今から、セクハラ気味のことを言いますが許してください!」

みくり「事と次第によりますが、労働基準局に訴えないことは約束します」

平匡「今、僕は猛烈にみくりさんと、セ、セ、セ、セックスしたい!」

みくり (ヤッター!千載一遇のチャンス!小賢しいと言われようが、ここでひとたび既成事実を作ってしまえば、なし崩し的に関係が深まっていくことでしょう)

みくり「わかりました。それでは早速…」

平匡「いや、やっぱりだめです!セックスは相思相愛の男女がすべき行為であって、雇用主と従業員が…」

みくり「(もう……)、 こう考えてはいかがでしょうか。私は主婦業を平匡さんと契約して行っている。
一方、性行為は一般的に主婦がする行為であり、また世界最古の職業と称されることもあります。
すなわち契約が成立する主婦の業務と考えることができます。現在は業務の一環としての契約に入っていませんが付け加えることも可能ではないでしょうか?」

平匡「なるほど、では契約書の条項追加を…」

みくり「いえ、今は緊急事態です。平匡さんの鼻血を止血するために、速やかに欲望を解消する必要があります。契約書の修正は後にしましょう」

平匡「そ、そうですね。では速やかに・・・あっ!!」

みくり「まだ何か問題が?」

平匡「でも、昔の彼女の父親と約束したんです。童貞を守って魔法使いになると…」

みくり「そのような荒唐無稽の約束に拘束力はありません!」

平匡「わかりました。エーと、確か最初はキスから・・・」

みくり「今は、既成事実・・・いえ、平匡さんの欲求を解放することが一番大事です。即インサートでかまいません」

平匡「了解です。エーと、パンツは」

みくり「当然脱がなければ先に進めません」

平匡「ひょっとして、それは、僕が…」

みくり「お願いします。自分で脱ぐというのは意外と恥ずかしいものなので」

平匡「そう言うものですか・・・では、取りかかりたいと思いま・・・」

ガチャガチャ

百合「みくり、だめじゃない。玄関鍵開いてたわよ」

みくり「あ、百合ちゃん!」

百合「最近物騒なんだから気をつけないと・・・。あんた達、その格好は何、下半身すっぽんぽんで?」

平匡「あの、これは、エーと暖房が効きすぎて、たまたま…」

百合「え、あ、そう言うことね。皆まで言うな、それほど私は無粋じゃないわ。新婚ですものね、そう言うことは大事よ。安心したわ・・・
ん、みくり!!その太ももの血はなに!?」

みくり「血?あ、これは平匡さ…」

百合「あなた処女だったの!言ってよ、そう言うことは!」

平匡「あ、あの」

百合「平匡さん、みくりの大事なものをもらったんだから、ちゃんと幸せにしなきゃだめよ」

平匡「そ、それは誤解で…」

百合「誤解?」

みくり ツンツン

平匡「はい?」

みくり コソコソ「誤解してもらっている方が好都合じゃないでしょうか?」

平匡 コソコソ「そうですね、安心して早く帰ってもらえる気がします」

平匡「いえ、この建物は五階建てだったかな・・・って、ちょっと気になって」

百合「そっちの”ゴカイ”?自分の住んでるマンションの階数もわからないの。本当に鈍くさいんだから。
そんなことだから風見なんかに・・・まあ、良いわ、二人がうまくいっていることはわかったから。今日はもう帰るわね」

みくり「百合ちゃん、わざわざありがとう」

百合「ちゃんとがんばるのよ。いい、私はいつでもみくりの味方だから。じゃあね。」ガチャン

みくり「はあ…」

平匡「丸く収まってほっとしました」

みくり「そうですね…」

平匡「すっきりして帰ってもらえてよかったです」

みくり「・・・私はすっきりしていないことがあります」

平匡「なんでしょう?結局処理が終わっていないことでしょうか、それとも、その、セ…」

みくり「昔の彼女って?」

平匡「あ・・・興味があるんですか」

みくり「・・・ある種の嫉妬と考えていただいても結構です」

平匡「ある種の嫉妬…(つまり嫉妬そのものではないということか)…」

みくり ジーッ

平匡「押上の喫茶店の娘さんでした」

みくり「深い関係を持たれたんですか?」

平匡「何をもって深いというかは難しいところですが、1回手をつないだことがあるだけです」

みくり「恋人つなぎ?」

平匡「いいえ、ふつうの…」

みくり「安心しました」

平匡「安心ですか…実は僕も気になっていることが…」

みくり「…わかります。私の男性経験についてですね……確かに業務内容の変更に当たり雇用主として必要な情報かもしれませんね」

平匡「…」

みくり「……私は、いままで……」

平匡「やっぱり、おっしゃらなくて結構です。」

みくり「え?」

平匡「どんな答えを聞いたとしても、それを受け止められる自信がありません…」

みくり「…」

平匡「…」

みくり「であれば言いません。ですが、平匡さん」

平匡「はい」

みくり「前にも言いましたけど、私は平匡さんのことが好きですよ」

平匡「それは雇用主として、ですよね?」

みくり「平匡さん次第です」

平匡「僕次第?」

みくり「雇用主として、と思われたいならそれでも結構ですし、恋愛感情からと受け止められても私はかまいません」

平匡「れ、れ、恋愛感情って!」

みくり「ではおやすみなさい」バタン

平匡「あ、待っ・・・」

♪ 営みの街が暮れたら色めき風達は・・・

さーて来週のみくりさんは ”ご機嫌な果実” ”百合と風間の7日間” ”雇用主は魔男”の三本です

ということで終わりです。
石田ゆり子が見たかっただけだったんですが…はまりました。原作を買いに行きます

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