コナン「何だよ急に」
阿笠「考えてもみろ、新一」
阿笠「モブに毛が生えたような奴らにまで恋人ができとるというのに」
阿笠「哀くんには浮いた話すらないんじゃぞ」
阿笠「人気のイケメンどもに至っては揃いも揃って彼女を通して別の女を見ておるし」
阿笠「扱いが悪いにも程がある」
コナン「そんなんアレだろ、博士みてーなロリ豚どもに配慮してんじゃねーの?」
阿笠「なーにが配慮じゃ。ワシは哀くんがことごとく女性扱いされてないの見ても全く嬉しくないぞ」
コナン「けどさあ、好きな女には特定の相手なんかできて欲しくないって意見もあるだろ」
阿笠「それはわかる。わかるが、それと哀くんが女として尊重されないのは別の話じゃ」
阿笠「お前は覚えておらんだろうが、哀くんがお前のクラスに転校してきた初日」
阿笠「ガキども……あのうな獣でさえ『かわいーっ!!』とか言って色めき立っておったもんじゃ」
阿笠「それがどうじゃ、最近の哀くんときたら、平気でツンデレを履き違えた行動をとりよるし」
阿笠「サービスシーンは数あれど、頬を染めるのはソバカスだけ」
阿笠「本当の年齢を知っているお前ですら、ちょっと照れすらしなくなった!!」
コナン「言われてみれば……って、いくら中身が18でも見た目がガキなんだから当然だろ!!」
阿笠「問題はそこじゃ!!!」
コナン「」ビクッ
阿笠「最初はきっと哀くんはお前のことが少しは気になってたはずなんじゃよ」
阿笠「そしてお前も彼女のことを、どんな感情からであれそれなりに気にかけていたし、たまにはドキッとしたりしてたじゃろ」
コナン「そうだったかぁ?」
阿笠「お前と哀くんの間にこの絶妙な空気感があったからこそ」
阿笠「たとえお前に絶対的ヒロインがいて最終的に報われないことが確定していようとも、」
阿笠「むしろ軽率に他の男をあてがうのはやめてくれとさえ思えたんじゃよ」
コナン「うーん……」
阿笠「しかし、フラグどころか淡くて甘酸っぱい恋ゴコロさえ完全に否定された今」
阿笠「哀くんのアイデンティティ『ヒロインの恋敵(になるかもしれない女)』という立ち位置は消滅した」
阿笠「そしてお前は彼女を守る役割すら他の男に丸投げし!!」
阿笠「しかもソイツが哀くんを女として見る可能性は限りなくゼロに近い!!」
コナン「それはまだわかんねーだろ……無いとは思うけど……」
阿笠「ならばせめて哀くんにはかっこよくて頼りになって彼女だけを一途に愛する相手と付き合って欲しいと思うのが親心というものじゃろ……」
コナン「いつ親心の話になったんだよ……」
阿笠「とにかく、哀くんには幸せになってもらいたいんじゃ」
阿笠「新一ならわかってくれるじゃろ?」
コナン「いやまあ、博士が灰原を思う気持ちならわからないでもねーけどよ」
阿笠「別にお前と結婚しろなんて言ってないんじゃ……こんだけチートで溢れてんだから哀くんの相手だってチートでいいじゃろって……」グスグス
コナン(もうついていけない)
コナン「は、博士の言いたいことはわかった……けど俺にはどうしようもねえしなあ」
阿笠「いや、お前にも出来ることがある」
コナン「何だよ? 灰原と付き合えっていうのは無理だぞ、もう蘭に告ったし」
阿笠「違うと言うておろうに。コレを使うんじゃよ」スッ…
コナン「待て待て待て、こういうの良くねえと思うけど」
阿笠「なんじゃい、ワシの気持ちをわかってくれたんじゃなかったのか?」
コナン「いやそりゃさあ、俺だって別にそのルートが見たいわけでもないけど」
コナン「たかが小学生の初恋だろ? くっつくと決まったわけじゃねーし、ムキになって消すこたぁ……」
阿笠「だからお前は甘いというんじゃ、新一」
コナン「む」
阿笠「お前はこの世界で幼馴染カップルがいかに優遇されているか知らないのか」
コナン「……薄々感づいてはいるけど、あいつらは違うだろ?」
阿笠「お前は哀くんがワシや少年探偵団を捨てて宮野志保に戻ると思うかね?」
コナン「……」
阿笠「万が一『灰原哀』の人生を選んだら……彼女の幼馴染ポジが誰になるか……」
コナン「……」
コナン「……」
コナン「やっぱ良くねえよ、自分の考えと違うからって他人の想いを否定するようなことはさ」
コナン「こんなの神様に文句言うようなもんだろ? それに運命から逃げずに精一杯生きてる灰原にも失礼だ」
阿笠「……そうか、そうじゃな……ワシは哀くんの親代わりとして盲目になっていたのかもしれん……」
阿笠「すまんな新一、不毛な愚痴を聞かせてしまったのう」
コナン「いや、わかってくれればいいんだ。俺だって灰原の幸せを願ってるのは同じだしな」
阿笠「いやはや、大人気なかったわい。ソレは新一が適当に処分しといてくれ」
コナン「おう、任せとけ」ポチッ
光彦「」チュドーン
阿笠「ワシは危うく自分の都合で他の誰かを踏みにじるところだったんじゃな……」
コナン「ったく、反省するのはそのくらいでいいだろ?」
コナン「人ってのは大きな力があれば抗おうとするもんさ」
阿笠「知った風な口をききおって……ところでそろそろ昴くんが来そうな時間じゃな」
阿笠「そうじゃ、スイッチで赤井くんと昴くんを分裂させるってのはどうじゃ?」
コナン「おいおい、それこそ需要狭すぎだろ」
コナン「それだったらまだ俺と新一を分離した方が……」
阿笠「なんじゃい、何だかんだ言って結局未練たらったらじゃないか!」
コナン「そりゃまあ、なあ?」
コナン・阿笠「「わっはっはっはっはっはっは!」」
おわり
光彦自業自得だな
光彦ェ…
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