【安価】できそこないのペルソナ使い達 (47)
「」…台詞
『』…声以外の何か
()…主人公の心の声
なにもなし……その他描写
○オリジナルでペルソナ世界観のお話
注意としては女主人公、攻略対象が女の子のみというところ
ただし男性キャラも思い切り出るのでそこも注意
つまり百合スレかよお!(歓喜)
20XX年4月10日
【とある回想】
???
「これは……! なんということだ」
???
「ああ。異質、としか言い様がない」
(声がする)
???
「――さぁ出番だ。初仕事……いや二回目だったか?」
???
「どうでもいい。早く行け」
>なんで?
>ここは?
>事情を説明しろ
↓1 (>の付いている台詞をいずれか選択。ここでは大した影響はありません)
なんで?
事情
???
「なんでだと? 直前で……。こいつ大丈夫なのか?」
???
「頼るしかない。こいつだけが持つ力にな」
(……説明する気はないようだ)
???
「まぁ気持ちは分かる。世界の存亡がかかっているとも言える状況。俺だってとぼけたくなる」
???
「とにかく真面目にやれ……ええと」
???
「お前の名前なんだっけ?」
(世界の滅亡とは……)
↓1~3 主人公の名字
4~6 主人公の名前
挙げられたものから一つずつ良さそうなものを採用
主人公の特徴としては黒髪ストレートロングの高身長。胸大きめ
15分程度で挙がらなかったら進めま
望月
桜田
月見里
無名
史弦(しずる)
レミ
【月見里史弦(つきみざとしづる)でいきます】
(月見里史弦。自分の名前を告げた)
???
「そうだった。私としたことがうっかりしていた」
???
「人のこと言えないな。――さ、今度こそ行ってもらおう」
(顔が下へ。そして前に。何も見えないが感覚で頷いたことが分かる)
???
「よし、それじゃあ作戦通り俺たちはサポートだ」
???
「失敗は許されない。お前の大切な友達、世界、それらを救えるかはお前にかかっている」
史弦
「……」
(呼吸の音。大きく吸って、吐く)
(それから数秒して途端に視界が機能しはじめる)
史弦
「!?」
(すると目に飛び込んできたのは炎上した森)
(ここがどこなのか夢なのかいつなのか。さっぱり理解できないが――)
???
『おい、早く行け』
(耳にはまっているイヤホンから聞こえる声は待ってくれないようだ)
(……行くしかない)
すみませんが月見里(やまなし)です…
【調べなくて申し訳ないです。では月見里(やまなし)で】
○チュートリアル第一回
???
「チュートリアルだ!」
???
「第一回はステータス、戦闘についてだぜ」
力……物理攻撃翌力
魔……魔法攻撃翌力・防御力
耐……物理防御力
速……行動の速さ
ダメージ計算
力(魔) + コンマ - 敵防御力(魔法防御力) = ダメージ
属性は物理(斬、打、貫)、火、氷、雷、風、光、闇
戦闘は速が高い順に行動。
弱点の属性の攻撃を受けるとダウン。弱点を突くともう一回行動。
敵の行動は安価のコンマで決定。主人公側は安価で行動を決定。
『人間パラメータ』
主人公だけのステータス。
日常生活で様々な行動をとることで成長。
知識 頭の良さ
勇気 勇気
魅力 容姿や色気、オーラ
女子力 技術及び女の子らしさ
伝達力 コミュニケーションの上手さ
月見里史弦
「……」
(行くしかない)
(――が、どこへ行くべきかは分からない)
(とりあえず前進してみよう)
○
???
『待った史弦』
(燃えている森目指し進む。数分したところで声をかけられた)
???
『前方、反応だ。動きからしてシャドウだろう。同じところを行ったり来たりしている』
(シャドウ。聞いたことがあるような気がする)
???
『このレベルのシャドウも倒せないならこの先勝つことなんてできない』
???
『お前の力、見せてもらおう』
(戦うしかない……ない……のだろうか)
...次回に続く
(戦いなんて子供に縁がない言葉であるが――)
月見里史弦
「……」
(腰の違和感に気づいて手をやればそこには剣が)
(日本にそぐわない両刃の剣……なんだ、これは)
???
「……ギ、ギギ」
月見里史弦
「っ!?」
(戸惑ってる自分の前に現れたのは『なにか』)
(はっきりとした姿形のない液体みたいなものに手が生えたような)
1 >怖いのがいる!
2 >あれがシャドウ?
3 >帰らせて
↓1
3
???
『おう、帰っていいぞ』
???
『ほんと真面目にしてください……。お前も冷静な声で弱気なこと口にするな』
(本当に怖がっているなんて思われてなさそうだ)
???
『サポートはする。お前ならやれるだろう』
(――敵は目の前でうごめいている。殺意を感じた)
(選択肢はなさそうだ)
敵一体 蠢くもの
HP 60
力 10
魔 5
耐 10
速 10
斬 打 射 火 氷 雷 風 光 闇
? ? ? ? ? ? ? ? ?
スキル ・??? 割合10
月見里史弦 Lv.10(装備ペルソナ Lv.10 ???)
HP 150
SP 20
力 20
魔 20
耐 10
速 15
斬 打 射 火 氷 雷 風 光 闇
― ― ― 耐 弱 ― ― 耐 ―
スキル ・通常攻撃(力判定。斬属性。力+0)
・スラッシュ(力判定。斬属性)
・アギ (魔判定。属性火。消費SP4。魔+0)
???
『敵は一体。弱点は不明。お前から動けそうだ。さっさと攻撃しろ』
『チュートリアル』
攻撃ターンはスキル使用、アイテム使用、加えて特定状況において防御などの特殊行動をとることができます。
スキル、アイテムを使用する際対象が全体と書かれたもの以外は対象を選択してください。選択しない場合はランダムに選ばれます。
スキル使用時に攻撃するものを選択した場合コンマ判定が行われます。ゾロ目でクリティカル。攻撃側が防御側より速が低い場合、その差の数値以下の数値が出ると攻撃をミスし転倒してしまいますのでご注意を。
防御ターン
敵からの攻撃はコンマによって種類、対象、威力が選択されます。
一つ目のコンマで決定されるのが種類、対象。これは>>1が威力判定の指示を出した際のコンマで決定されます。
例: 敵ターン ↓1 敵攻撃の威力
などと書かれた>>1の書き込みコンマで敵が何をするか決定されます。
スキルによっては威力判定や対象を必要としない場合もありますので注意。
コンマ一桁がスキルの種類。二桁目が攻撃対象。スキルの種類は敵ステータスの割合から確率が決定されます。
バフ系統が選ばれた場合仲間で一番弱いものが対象に。
回復技が選ばれたときは敵の中で一番HPが減ったものが選択されます。
弱点をつく、つかれると1more発生。攻撃者はもう一回行動します。
主人公がやられてしまってもゲームオーバーにはなりません。
全員が戦闘不能になると戦闘前からやり直し。あまりにも勝てない場合は一日の最初からやり直し。
後は追々の説明で――
↓1 主人公の行動(アイテムは使用不可のため、スキルのみ)
スキルの何を使用するのか、誰を狙うのか(今回は一体のため不要)を記載してください
敵 スラッシュ
酉ミスすみません
【こちらもミス。スラッシュの消費HP、力+補正を忘れてました。スラッシュは力+5で消費HPは最大HP10%消費】
スラッシュ 44 クリティカル
20 + 44 - 10 × 1.5 = 81
【蠢くもの】 HP
60 - 81 = 0
【月見里史弦】
150 ― 15 = 135
カッ
月見里史弦
「――ペルソナ!」
(まるで最初から方法を知っていたかのように私は武器で私の身体を貫き、引き裂いた)
(胸の中心を裂く。躊躇もなくそれを行い意味も分からない言葉を口にして)
月見里史弦
「……!」
(するとどうだろう。はっきり見えない何かが目の前の敵を裂き)
シャドウ?
「ギ、アア……」
(不気味な生物は消滅した)
月見里史弦
「……」
(倒した……?)
???
『よくやった。敵シャドウは消滅。今なら目的の敵までまっすぐ近づけそうだ』
(倒したようだ)
???
『さぁ一直線だ。行け史弦』
(人権というものはどこに)
リザルト 入手したものはありません
(奥へ。炎の熱さを感じながら声の案内に従う)
月見里史弦
「……」
???
「……」
(中心地、だろう。円形に開けた場所には一つの人影が)
???
『着いたか? 真夢(まさゆめ)では正体は分からなかったが――それが今回の敵だ』
???
『油断はするなよ? 我々の人数を上回る戦力を操る敵だ』
月見里史弦
「……」
(ゆらりとその人影が振り向く。全体的に黒いその人物の顔、姿――その全てを目にし正体に気づいた時私は息をのんだ)
月見里史弦?
「……」
(私と同じく無言で佇む私。光のない目は真っ直ぐ私に向けられていて)
???
『……なっ!? なんだ、この戦力――』
(耳のイヤホンの戸惑いの声が、すごく遠くから発せられているように聞こえる)
(感情を感じさせない表情から底なしの憎しみと殺意を滲み出して奴は――私に向かってきた)
敵一体 月見里史弦?
HP 300
力 100
魔 90
耐 20
速 35
斬 打 射 火 氷 雷 風 光 闇
― ― ― ― ― 無 反 ― ―
スキル ・ジオダイン 割合3(1,2,3)
・ブレイブザッパー 割合3(4,5,6)
・通常攻撃 割合4(7,8,9)
・チャージ 割合0
・コンセントレイト 割合0
月見里史弦 Lv.10(装備ペルソナ Lv.10 ???)
HP 150
SP 20
力 20
魔 20
耐 10
速 15
斬 打 射 火 氷 雷 風 光 闇
― ― ― 耐 弱 ― ― 耐 ―
スキル ・通常攻撃(力判定。斬属性。力+0)
・スラッシュ(力判定。斬属性)
・アギ (魔判定。属性火。消費SP4。魔+0)
味方サイドの防御ターンです
↓1 敵の攻撃威力
間違えた。通常攻撃の発動末尾に0も追加です
ということで安価はここから↓1
は
対象コンマ 1 主人公
行動コンマ 6 ブレイブザッパー(力判定。斬属性。力+80)
100+80 + 9 - 10 = 179
【月見里史弦】
HP 150 - 179 = 0
月見里史弦?
「……」
(振られる漆黒の剣。信じられない速度の攻撃を避けようとして足がもつれ倒れる)
(私を見下ろす黒い私。彼女のどす黒い殺意を込めた目――私はそれをどこかで見たような気がした)
月見里史弦?
「……ペルソナ」
(私がそうしたように呟いて、自分の身体を切り裂く)
(すると彼女の背後に何かが現れた)
(私よりもはっきりした姿の『何か』。ガラスの入れ物を腰に幾つか提げ、手には血で汚れた禍々しい武器)
(奪うことをそのまま体現したような恐ろしい姿の化け物)
(彼は無造作に剣を振り上げ、そして振り下ろした)
(目の前に赤が噴き出し痛みが走る。身体に顔が焼けるように熱い)
(こんな状況であるというのに私は声を上げることができなかった)
???
『おい! 史弦! 何が――』
(……。声が遠く聞こえる)
(自分の体温がなくなっていくのを感じながら私は目の前の彼女と彼を見ていた)
(何もかもが分からない。だが何故だろう、私はこの光景に既視感を覚えている)
(こんなことなかったはずなのに)
(……眠く、なってきた)
【同日 出発前の港】
月見里史弦
「……!」ガバッ
(『死ぬ』。眠気がなくなった途端私は恐怖に飛び起きた)
月見里史弦
「……」
(キョロキョロと辺りを見回しホッと安堵)
(船乗り場の周りに人はいない。燃えてる森なんてものもない)
(あれは夢だったのだろう。うとうと眠ってしまう前に見た光景と同じ景色だ)
???
「お。起きたか」
(……? 隣に見知らない男性が座っている)
(短い黒い髪。人懐っこそうな笑み。青春真っ盛りな元気な少年、といった見た目。おばさま方が好みそうな男の子だ)
???
「今日から転入予定の月見里史弦……だよな? 船に乗ってないからびっくりしたぞ?」
1 >君は?
2 >眠くてつい……
3 >寝てる間ずっと隣に?
↓1
2
月見里史弦
「眠くてつい……」
???
「遠足の前日にぐっすり眠れそうなタイプだな」
???
「ああそうだ。自己紹介しておかないとただの不審者だな」
都島勇詞
「都島 勇詞(つとう ゆうじ)。お前の案内を頼まれた二年生、まぁ同学年のクラスメイトだな」
都島勇詞
「これも縁だ。仲良くしようぜ?」スッ
(にっこりと笑い手を差し出す彼。握手だろうか。今日日珍しい)
(ここは応じておこう)
都島勇詞
「――うん、久しぶりに女子に触れた気がする」
(……悲しい台詞が聞こえた)
都島勇詞
「さ、行こうか。船はもう来てるんだ。今は荷物とか運搬してるから、出ない内にさっさと乗ろうぜ」
月見里史弦
「……」コクリ
(立ち上がった彼の横についていく。見れば確かに眠る前はなかった船が港に停まっていた)
(あの船に乗って私は見知らない土地へと旅立つ)
(これから一年間、果たしてどんな生活が待っているのだろうか)
【連絡船 船内】
(勇詞に連れられて船の中へ。あらかじめ席は用意してあったようで、席の番号を確認した勇詞は私を窓際に座らせるとその隣に腰掛けた)
(結構大きな船だ。私以外にも転入生がいるのだろう。制服を着た人たちがちらほらと見えた)
都島勇詞
「ふぅ。もう昼すぎか」
都島勇詞
「史弦――でいいよな。史弦も大変だな。転入とはいえここまで電車とかバスだろ?」
月見里史弦
「まぁ……」
都島勇詞
「休日に大移動だ。けど島に行ってからは不自由ないと思うぜ。一通りの店はあるし、通販だって使おうと思えば使える。外にだってこの船で出られるし」
(島という単語からは想像がつかないがどれくらいのお店があるのだろうか。少し楽しみだ)
都島勇詞
「人だって生徒以外も普通にいるぜ。もうあそこの島が一つの国っていうか。少なくとも俺は休日に遠出はしないな」
都島勇詞
「――で、二年生がこの時期に転入となると例のスカウトか」
(例のスカウト。噂が違わないのなら多分私もそうなのだろう)
都島勇詞
「海之島(うみのしま)学園。孤島の進学校。謎が多い名門だよな。母校ながら」
都島勇詞
「あちこちで不定期に生徒をスカウトして転入までさせちまう――とんでもないっつーか。入学前は都市伝説みたいに思ってたぜ」
(気持ちはよく分かる。私も一ヶ月前ほどはそう思っていた)
(けれど転入の誘いの手紙が送られてきたあの日、私の学園を見る目は変わった)
都島勇詞
「それで転入の条件が凄まじい好条件だから怪しさ満点。でも今まで転入を断ったやつなんてそうはいないらしいな」
都島勇詞
「卒業者は有名人が多いし、評判も悪くない。そこに通ってたってだけでステータスになるからな」
都島勇詞
「何故か極端に学校の情報が少ないけど」
(……確かに。ネットで調べても具体的な情報は全然だ)
(それでも親が即決してしまうほど条件はいいし評判も悪くない)
(現にこうして生徒もいるのだ。詐欺ということもないだろう)
(なんてことを考えるのは、色々遅い気がする)
(まるで玉の輿との結婚話でも決まったかのようにあれよあれよという間に一ヶ月が過ぎて――現在である)
都島勇詞
「怪しいとか不安だとか思ってるかもしれないけどいい学校だぜ?」
都島勇詞
「あ、でも最近はちょっと物騒だな。外でも流れてるか? 行方不明の話」
月見里史弦
「……」コクリ
都島勇詞
「そうか。去年と今年、島で生徒がいなくなって色々噂も出回ってるんだ」
都島勇詞
「くだらないものもあるけど、一つ本当のことじゃないかって言われてるものもあるんだぜ。実際それを体験した生徒もいんだ」
都島勇詞
「それはだな――」
???
「真夢」
都島勇詞
「うおお!?」
(不意に会話へ乱入してきた声に勇詞が飛び跳ねる。いつの間にか彼の隣、通路に少女が立っていた)
(つややかな水色の長いサイドテール――制服を着ているしおそらく高校生だろう)
(背丈やスタイルは見た目の年齢相応。気怠げな半目と髪型、それに可愛らしい顔立ちが目につく。どこか神秘的な浮世離れした雰囲気の子である)
???
「真夢。夢に見たこと、が、実際に起きる。同じ夢を知り合いでもない複数の人が見た……から、噂になってる」
(不思議な区切りを入れつつ、彼女は私達のリアクションなど意に介さず説明をはじめた)
(真夢……どこかで聞いたような)
1 >好きです
2 >勇詞の知り合い?
3 >説明ありがとう
↓1
本日はここまで
1
【ゾロ目でクリティカル判定 出会った少女から好印象を】
月見里史弦
「好きです」
都島勇詞
「そうだな。好き――っておいコラ」
月見里史弦
「君、名前は?」
都島勇詞
「続行すんなって。真面目な話だったろ? ね?」
???
「え……あの、困る」カァァ
都島勇詞
「赤くなっとるし!」
???
「ごめんなさい」スタタ
(顔を赤くさせた不思議な少女は背を向け去ってしまった)
(振られた……)
都島勇詞
「……よくナンパできるよな、あの流れで」
月見里史弦
「つい」
都島勇詞
「でも成功しかけてたよな……」
都島勇詞
「是非今度そっちの話をしようぜ。テクをご教授してもらいたいな、師匠」
(師匠?)
都島勇詞
「で話戻すけどさ、真夢ってやつが島では話題なんだ」
都島勇詞
「夢で見たものが本当に起きる。しかもそれを複数人しっかり同じ夢を見てて覚えてる」
都島勇詞
「不思議だろ?」
月見里史弦
「……」コクコク
都島勇詞
「最近だとあれか、学校の屋上から花瓶が落ちてきた事件とか。真夢だったって話だ」
都島勇詞
「それに行方不明の事件とも係わっていたらしい」
(噂らしい噂だ。私が住んでいた場所にもそんな話がいくつかあったような気もする)
都島勇詞
「――あ。忘れてた」
(ポンと勇詞が手を打った)
(そして足元のカバンから布で包まれた箱を取り出す)
都島勇詞
「俺お昼まだだったからさ。よかったら史弦も食べるか?」
都島勇詞
「なんと手作りだぜ。俺の」パカッ
(開かれた弁当箱に入っていたのは唐揚げや卵焼き、そしておにぎり)
(……お腹が空いてきた。そういえば電車のダイヤに思ったより余裕がなくて何も食べていない)
月見里史弦
「……いいなら、是非」
都島勇詞
「おうっ、ほらほら食べろ」
(ぱぁっと嬉しそうな顔をして私の手に箸を握らせ弁当箱を私の近くへ寄せる)
(まずは唐揚げ。うん)
月見里史弦
「!」
(美味しい。材料は普通だけれど味つけや食感がいい。冷めた状態で食べることを前提とした作り方なのだろう)
都島勇詞
「悪くないみたいで良かった。とりあえず失敗してないな」
都島勇詞
「おお、中々な出来」
都島勇詞
「ああそうだ。今日は弁当らしくしたけどさ、史弦ってどんな食べ物が好きなんだ?」
都島勇詞
「今後の参考に是非、さ」
(今後? 意味が分からないが――)
1 >お肉が好き
2 >魚介類が好き
3 >なんでも食べる
↓1
3
月見里史弦
「なんでも食べる」
都島勇詞
「おお、いいな。やっぱり育ちざかりはそうじゃないと」
都島勇詞
「作り甲斐もあるってもんだ」
月見里史弦
「……?」
都島勇詞
「さ、どんどん食え食え」ササッ
月見里史弦
「うん」モグモグ
(勧められたままに料理を口にする。優しい味わいが食を止めずに進めさせる)
(……)
(満腹になるまで存分に勇詞の料理を楽しんだ)
【???】
船の上だった。
照りつけるような太陽に反し船が浮かぶ海は暗い。
漆黒の闇が波打ち、船にぶつかり音を立てる。
人の声などしない静寂の中、一人の少女が立っていた。
???
「何もない……」
???
「何も得ない……」
寂しそうな顔をして少女は呟く。
少女らしいかわいらしい声で淡々と。
???
「誰かの何かを勝手に奪って……!」
俯いて頭を抱える少女の声が低くなる。
うなされるように頭を振り、一転してヒステリックに叫ぶ。
静かな海の上で、誰にも届かない筈なのに。
???
「なら私も――奪っていいんだよね?」
少女の身体から黒いオーラが放たれる。
最初は弱かったそれは徐々に力を増し、一瞬停止する。そして爆発した。
船が揺れ、海に衝撃が伝わり波が起こり、それでもそのすぐ後には何事もなかったかのように静寂が戻る。
???
「壊してやる。全部……全部!」
怨嗟の込められた声に空気が震え、少女の放つ威圧感が強まる。
彼女が壊そうとしているものが何なのか。それは『見ている』『私』からは少しも分からなかった。
【連絡船 船内】
月見里史弦
「……?」
(目が覚める)
(……目が覚める?)
(いつの間に眠っていたのだろう……)
月見里史弦
「……」モグモグ
(目の前にあったおにぎりの残りを一口。咀嚼しながら船内を見回す)
(眠ったとして10分以上は寝ているはず。そろそろ着いてもいいはずなのだが)
月見里史弦
「……勇詞」
(とりあえず訊こう。私と同じで眠っている勇詞の肩を揺する)
都島勇詞
「ん……? ああ史弦か。食べた後すぐ眠るのは身体に悪い……あ」
月見里史弦
「目が覚めた?」
都島勇詞
「あ、ああ。寝てたみたいだな……変な夢を見ちまった」
都島勇詞
「船乗ってる時にタイムリーっつうか。まだ着かないのか?」
都島勇詞
「――って、あああぁ!?」
(私の後ろにある窓を覗き込み、勇詞が大声を上げた)
月見里史弦
「……? もぐ」
都島勇詞
「食ってる場合じゃないっつーの! 後ろ後ろ!」
(相当慌てている。何があったというのか)
(首を傾げつつ振り向くと――)
月見里史弦
「!」
(動いていたはずの船が止まり、外の海が黒く染まっていた)
都島勇詞
「なんだこれ……」
月見里史弦
「これって、さっきの夢……」
都島勇詞
「だよな。夢の状況にそっくりだ」
(一度席に座り二人でほぼ無意識にお茶を)
(うん、美味しい。手ががたがた震えるけれど)
都島勇詞
「なんでお茶飲んでるんだ、俺ら」ガタガタ
(勇詞もだった)
都島勇詞
「てか、史弦も見たんだな。あの夢」
都島勇詞
「船のデッキに女の子が一人いて、全部壊してやるみたいな」
月見里史弦
「……」コクリ
都島勇詞
「夢らしい夢と思ったんだけどさ……なんだこれ。今は夢じゃないよな」
月見里史弦
「じゃない」
都島勇詞
「だよなぁ……どうする?」
1 >残りを食べる
2 >デッキへ
3 >もうひと眠り
↓1
1
月見里史弦
「残りを食べる」キリッモグ
都島勇詞
「違うだろ! 飯食べてる場合じゃないだろ! 嬉しいけど!」
月見里史弦
「こんな状況だからこそ、無駄になるかもしれないから」
都島勇詞
「大物だよな……お前って」
(勇気が少し上がった)
都島勇詞
「無闇に動くのも危ないか」
月見里史弦
「いつか戻る、かも」
都島勇詞
「そりゃないと思うけどな……どう考えても普通じゃないし。誰もいなくなってるし」
都島勇詞
「――ってそうだよ。誰もいないよ。これ本格的にどうなってんだよ」
(深いため息。確かにとても現実味があるようには思えない)
(けれどそうはいっても何もできることはない)
(今は美味しい料理で気を紛らわせることしかできないだろう)
???
「……驚いた」
都島勇詞
「ああ、びっくりだな史弦。けどよ、その声全然驚いてなさそ――」
都島勇詞
「――ん?」
???
「また、会った」
(勇詞が顔を横へ向ける。そこに水色の髪の少女がいた)
都島勇詞
「お前……いたのか」
???
「こっちの台詞。才能があるとは思ってたけど、意外だった」
(そう言ってじーっと私を見る彼女)
都島勇詞
「才能? よく分かんねーけど、こいつにあるってことか?」
???
「いや。あるのは、そっち。女の方に、はない。全然ない。欠片もない」
都島勇詞
「そこまで言うか」
(なんのことか分からないけど無性に悲しい)
???
「だから驚いた。ここに、入れるなんて」
都島勇詞
「ここに? なんか知ってるような口ぶりだな」
???
「知ってる。知りたい?」
都島勇詞
「そりゃそうだろ。どこなんだよここ。何が起こってんだ?」
???
「真夢。それが発生させてる、現実とは別の世界」
???
「今この世界は、すごく危険。けど限られた人、しか入れない。ある意味安全」
都島勇詞
「真夢って……マジか? んなこと誰も言ってないぞ?」
???
「当然。普通の人、入れないし、入る条件は厳しい。今回はすごく珍しいケース」
都島勇詞
「ど、どういうことだよ。俺達がすごく珍しい才能持ってたってことか?」
???
「それだけじゃない」
(少女が首を横に振る)
(才能だけじゃない。別世界に入るための条件――)
1 >眠って夢を見る
2 >才能を何らかの手段で使う
3 >夢の場所に向かう
↓1
3
月見里史弦
「夢の場所に向かう……」
???
「正解。頭はいい、みたい」
都島勇詞
「ええとつまりは……真夢を見てから、才能がある奴が真夢に映った場所に向かうのが条件ってことか」
???
「そう。その通り」
都島勇詞
「ってことはあれか? 今回珍しいっていうのは真夢を見てからノータイムで異世界突入ってことか?」
???
「まったくその通り」
都島勇詞
「迷惑すぎる……」
(確かに)
???
「だからあらかじめ、私が才能のある人には、気をつけていた」
都島勇詞
「なるほどな……だから歩き回ってたし、ここに顔を出したってことか」
???
「そういうこと」
都島勇詞
「信じられないけど窓の外を見る限り、信じるしかねえか……」
都島勇詞
「で、どうするんだよ? そんなおかしな状況なんだろ? 危険らしいし」
???
「戦う」
都島勇詞
「おいおいおい。言ってることおかしくないか?」
???
「おかしくない。私は戦う力、持ってる」ムフー
(……)
(自信満々に胸を張ってみせてるけれど頼りない)
(勇詞も同意見らしく苦い顔で私へ耳打ちしてきた)
都島勇詞
「どうする? 危険なのかも分かんねーけど、戦うっつってるけど」
(どうすると言われても――なんて言っても無駄だろう)
1 >どう危険なのか確かめる
2 >任せよう
3 >自分も戦う
↓1
1
月見里史弦
「どう危険なのか確かめる」
都島勇詞
「それってつまりついてくってことか」
月見里史弦
「うん」コク
都島勇詞
「しょうがないか。これからこの世界に出くわす可能性もゼロじゃねえし――」
都島勇詞
「女の子一人で戦わせるのもなぁ」
月見里史弦
「……。私がついてくのはどうなの」
都島勇詞
「自分で言ったんだろうが」
都島勇詞
「ってことで俺たちもついてく」
???
「……さらにびっくりした」
???
「――けど、知らないと係わろうと、するの、は当然」
???
「いいよ。ついてきて」
都島勇詞
「なんだその怖いもの知らずへの対応みたいなの」
(実際そうなのだろう)
都島勇詞
「じゃ行くか。そういえばお前の名前は?」
朱式芽衣
「朱式 芽衣(あかしき めい)。水色だけど朱」
都島勇詞
「芽衣な。俺たちは後ろついてくから、気にせず戦ってくれ」
(……台詞だけ聞くとひどい)
(立ち上がった勇詞に続いて席を立つ)
(『戦い』。『危険』。それが一体なんなのか)
(私は何故かこの時、それらについての心当たりがあった)
...次回に続く
おつ
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