【花騎士】団長「ハツユキソウを抱きしめて眠りたい」 (57)

ハツユキソウ「えぇぇぇ!?」

団長「ダメか? 性的な意味じゃなく、ただ抱きしめて眠らせてくれればいいんだ」
 
ハツユキソウ「決して嫌じゃないです! それどころか私としてはその……性的な意味で抱いてくれても……その……(ゴニョゴニョ)」

団長「?」

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ハツユキソウ「ただただ、どうして私なんですか? 私なんてちんちくりんより、団長さんには普段からくっついて離れない花騎士も多いですし……」

ハツユキソウ「アイビーさんとか私より柔らかそうな体してますから、アイビーさんに頼んだ方が……うっ、言ってて悲しくなってきました……」

団長「いや、確かにアイビーは抱きしめた時の柔らかさで言ったらハツユキソウより良さそうだけど」

ハツユキソウ「はっきり言われましたぁ! うぅ……」

団長「でもアイビーは暑い……柔らかいけど暑いんだ……」

ハツユキソウ「あ、暑い?」

団長「いやほら、最近まだまだ暑いだろ?」

ハツユキソウ「暑いですねぇ……でも私にはこれぐらいの方が過ごしやすいです」

団長「それで寝苦しい夜が続いてなぁ……そこでふと、前にハツユキソウを抱きつかれた時の冷たさを思い出して」

団長「もしこの寝苦しい夜にハツユキソウを抱きしめて眠る事が出来たら、涼しくて気持ちいいと思うんだ」

ハツユキソウ「な、なるほどぉ……。そういう事でしたか」

団長「もう一度聞くが、やっぱりダメか?」

ハツユキソウ「ダメな訳ないですよ! 団長さんが困ってるなら、私、団長さんのお役に立ちますよ!」

団長「ありがとう!! それじゃあ早速今夜頼む」

ハツユキソウ「任せてください! ……えっ、今夜!?今夜ですか!?」

団長「? 都合が悪いか?」

ハツユキソウ「いえ、都合が悪いという訳ではないですけどぉ……心の準備がぁ……」

団長「俺としては早い方が嬉しいんだが……」

ハツユキソウ「け、けどけど……」

団長「ハツユキソウにしか頼めないことなんだ……」

ハツユキソウ「あぅぅ……わ、分かりました!どんと来いですよ!」

めしべとおしべが

団長「ありがとう! 俺は任務に出かけなきゃいけないから、夜にまた来てくれ。それじゃあ行ってくる」

ハツユキソウ「行ってらっしゃいです! 団長さん! ……どどど、どうしよう。また流されて結構大胆な約束しちゃったかな?でもHな事は無いって言ってたしなぁ~」

ハツユキソウ「でもでも、流れでHな事になっちゃうかもしれないし、そうなったら私も断れる気がしないよぅ」

ハツユキソウ「だったら下着はちょっと気合い入れた方がいいかなぁ。あっ、でも団長に初めからその気だったHな女の子と思われるのもなぁ」

ハツユキソウ「せめて服くらいは可愛いのにしておいた方が……うぅ、悩めるよぅ。どうしようどうしよう……!」

~バナナオーシャン 街中~

ハツユキソウ「結局居ても立っても居られずに街に出てきちゃった。服とか、新調しておこうかな……」

イオノシジウム「あら、誰かと思ったら雪ん子じゃない」

グリーンベル「こんにちは。暑い日が続きますね」

ハツユキソウ「あっ、こんにちはです。お二人とも今日は買い物ですか?」

イオノシジウム「あたしとしては休みの日くらい部屋で涼んでいたかったんだけど、そこのおっぱいに連れ出されて……暑い……」

グリーンベル「誰がおっぱいですか! あなたはこうして誰かが連れ出さないと、ずっと暑い暑い言って部屋に閉じこもってるじゃないですか!」

イオノシジウム「いいじゃない、部屋にいたってー。どうせ任務で外に出るでしょー?」

ハツユキソウ「あ、あははは……」

ハツユキソウ(そうだ、このお二人に相談してみようかな? グリーンベルさんは団長さんと作戦を一緒に立てている所も見ますし、頭も良さそう!)

ハツユキソウ(イオノシジウムさんは美人だし、こういうのに詳しいかも!)

ハツユキソウ「あの、実はお二人に相談したい事が……」

イオノシジウム「んー?」

グリーンベル「どうしたのですか?」

――――説明中

ハツユキソウ「という訳でして……服とか変えた方がいいのかなぁって……」

イオノシジウム「成程成程。団長さんも中々大胆なお願いするわね。ふふーん♪ でも面白そうな話ね!」

グリーンベル「本当に大胆なお願いですね……私に的確なアドバイスが出来るでしょうか……」

イオノシジウム「簡単じゃないグリーンベル!」

イオノシジウム「雪ん子! あたしに任せなさい!」

ハツユキソウ「本当ですか! さすがイオノシジウムさん! それで、私はどうすれば!」

イオノシジウム「そうね。結論から言うと、服なんて必要ないわ!」

ハツユキソウ「……はい?」

イオノシジウム「雪ん子って魔法とかどうこうじゃなく、単純に低体温で冷たいのよね?」

ハツユキソウ「はい」

イオノシジウム「それなら服を着ると、逆に冷たくなくなっちゃうわ! ここは裸で直接団長を冷やしてあげるのよ! 全裸よ全裸!」

ハツユキソウ「えぇぇぇええぇぇ、全裸、全裸ですか……寒そう……」

グリーンベル「イオノシジウムは何を言ってるのですか全く……」

グリーンベル「良いですか、ハツユキソウさん。あの団長様です、全裸で行ったら逆に引かれる可能性も高いです」

ハツユキソウ「そ、そうですよね」

イオノシジウム「えー、そんな事ないと思うけど?」

グリーンベル「イオノシジウムは黙っててください!」

グリーンベル「まぁ、確かに厚着をしていくのは良くないかもしれません。ハツユキソウさん、もう少し薄い服って持っていますか?」

ハツユキソウ「私、服が薄すぎると寒くなっちゃうので、あんまり持っていないんですよね……」

グリーンベル「なら一緒に服を見にいきましょうか。薄いと言ってもあんまり露出が激し過ぎない方が良さそうですね」

ハツユキソウ「うぅ……それでも寒そうです」

グリーンベル「それに、ハツユキソウさん。多少薄い方が団長さんに『寒いから暖めてください』って自然な感じで甘えられますよ?」(耳打ち)

ハツユキソウ「はっ! それは素晴らしいです! でも、お二人はお買い物中だったんですよね?」

グリーンベル「良いのですよ。私の目的はイオノシジウムを連れ出す事でしたし、それに――」

イオノシジウム「話は終わった? それじゃ、早く服を見にいくわよ! 雪ん子って素材が良いから、選び甲斐がありそうね♪」

グリーンベル「イオノシジウムに上手く火を付けられましたから♪ 折角外で何かやる気になったので、少し協力するつもりでお願いします」

ハツユキソウ「分かりました。そういう事でしたらよろしくお願いします!」

―――――――

イオノシジウム「ところで雪ん子って、抱き付くと実際どれくらい冷たいの?」

ハツユキソウ「どうでしょう……ただ凄い体温が低いので、私を触った人はみんな『雪女』みたいな事を言うんですよね……うぅぅ」

イオノシジウム「災難ねぇ……少し違うけど、私も人から勝手な事言われるのはよくあるから分かるわ。外見で勝手なイメージを持たれて勝手に幻滅されて……はぁ……」

グリーンベル「私も……その……胸の事をからかわれるのは辛いですね……。特にそこの弓兵とかカタバミに」

イオノシジウム「褒めてるのよ、そのおっぱいぶりを」

グリーンベル「ほら、そうやってあなたは!」

ハツユキソウ「ま、まぁまぁ! 喧嘩はやめてください! 目立ってます! 目立ってますから!」

イオノシジウム「まぁ、あたし達一人でも目立ちそうなのに、それが3人集まってるから嫌でも目立つわよね……」

イオノシジウム「ところで実際、雪ん子ってどれくらい涼しいのかしら……えいっ!」ダキツキ!

ハツユキソウ「ひゃあ!?」

イオノシジウム「うわ、なにこれ涼しい! これは団長が抱き付いて眠りたくなる気持ちも分かるわ! というかあたしも一緒に寝てほしくなってきた!」

グリーンベル「イオノシジウム!こんな往来の真ん中であなたは何を! ハツユキソウさんだって困ってるじゃないですか!」

イオノシジウム「グリーンベルも抱き付いてみなって! それに、今凄い興味ありそうな目をしてたわよー?」

グリーンベル「うっ……そんな事ありません!」

ハツユキソウ「えっと、グリーンベルさんも少し触ってみます……?」

グリーンベル「えっ、良いのですか……?」

ハツユキソウ「もう目立って今更感もありますし、イオノシジウムさんにだけっていうのもどうかなぁって。手でしたらどうぞ」

グリーンベル「では失礼して……」(ギュッ)

グリーンベル「あっ、本当に冷たいですね……。これは確かに抱き付くと氷抱きまくらみたいで心地よさそうです」

ハツユキソウ「冷たいとはよく言われますけど、心地良いと言われるのはあまりなかったので、嬉しいような、恥ずかしいような……」

グリーンベル「ありがとうございました。ほら、イオノシジウムもそろそろ離れてあげなさい」

イオノシジウム「あう。暑いからもうちょっと抱き付いていたかったー……」

グリーンベル「目的を忘れないでください。ハツユキソウさんの服を見に行くんでしょう?」

イオノシジウム「そうだったわね。店の中なら、多少は涼しいかしら?」

イオノシジウム「雪ん子、今度あたしと一緒に寝ましょう! 部屋の鍵はいつでも空けておくわね!」

ハツユキソウ「な、何かいかがわしい意味に聞こえます! か、考えさせてください……?」

グリーンベル「考えなくていいです。イオノシジウムも部屋の鍵を開けっぱなしなんてやめなさい」

イオノシジウム「えー……」

――――買い物後


ハツユキソウ「ありがとうございました! えへへ、結構可愛い服買っちゃいましたね♪」

イオノシジウム「ふふーん♪ どう? あたし結構こういうの得意なのよ♪」

グリーンベル「こういう所は本当に流石ですね……。さて、ではそろそろ帰りましょうか。ハツユキソウさん、今夜、頑張ってくださいね!」

ハツユキソウ「あぅ、今更ながら何か緊張してきました……!」

ハツユキソウ「……あっ、これ……」

グリーンベル「どうされました?(ハツユキソウの視線の先を見て)あぁ、成程。きっと喜ぶかもしれませんね。団長様も日々お疲れでしょうし」

ハツユキソウ「私、これ買ってきますね!」トコトコ

イオノシジウム「はぁ……団長さんがうらやましいわぁ。あたしも自分を冷やしてくれる存在が欲しい……」

グリーンベル「あら? 私がいるじゃないですか。冷やすのは頭ですけど」

イオノシジウム「そういうのはいいの……頭は冷やし過ぎると痛くなるわ……」

~夜~

ハツユキソウ「うぅ、緊張するよぅ。ケアは万全。パジャマも新調! 後は入るだけ! でも……」

団長「おっ、もう来てたのか。早いな」

ハツユキソウ「ひゃああああ!?」

団長「うぉ!?」

ハツユキソウ「だ、団長さん! びっくりしましたよぅ!」

団長「俺もびっくりした」

ハツユキソウ「きょ、今日はお仕事遅かったんですね!」

団長「ちょっと長引いてな……。それとホップに飲みに誘われて断るのが大変だった」

団長「立ち話もなんだし、部屋に入らないか? 今日は疲れてて早めに寝たいし、早速頼みたいんだ」

ハツユキソウ「は、はい!」

―――――――

ハツユキソウ(寝る支度を整えるまで待っててって言われたから待ってるけど、ドキドキするよぅ。やっぱりこれは大胆ですよぉ団長さん! 普通間違いが起こる流れですよぅ! 本当にHな事はなしなんでしょうか……。団長さんは落ち着いてるのかな? それはそれでショックかもしれないよぅ……)

団長「ごめん、待たせたか?」

ハツユキソウ「ひゃああ!」

団長「うぉぉ! 今日のハツユキソウはよく叫ぶな」

ハツユキソウ「ご、ごめんなさい。考え事しちゃって……」

ハツユキソウ(やっぱり思ったより団長落ち着いてる……。こういう事に慣れてたりとかするのかな? 服の事にも触れてくれないし……)

団長「それじゃ、お願いしていいか? 俺が先にベッドに入るから」

団長「はい、それじゃあ入ってきてくれ」

ハツユキソウ「はい!では、お邪魔します……」ゴソゴソ

ハツユキソウ「……どうでしょう?団長さん」

団長「おぉ……布団に入ってきてくれただけでだいぶ涼しくなるのを感じる……!これは良く眠れるかもしれない……!」

ハツユキソウ「良かった……もし効果なかったらどうしようかと思いました」

ハツユキソウ(ドキドキして、多少体温上がっちゃってると思うから、もし冷たくなかったらどうしようって思ってたから良かった!)

ハツユキソウ(えっと、グリーンベルさんのアドバイス、今活かすべきだよね? 緊張するけど、ただ流されるだけの私じゃダメ……それに、もっと団長を自分の力でドキドキさせたい……)

ハツユキソウ「あ、あの、団長さん」

団長「ん?」

ハツユキソウ「私の今日のパジャマ……どうですか?」

団長「パジャマか、さっきから気になってたんだ」

団長「ハツユキソウは寝る時も、厚い寝間着を着て寝てると思ってたから」

団長「でも、そのパジャマも可愛いと思うぞ。普段フード被ってるから、フードを外したハツユキソウは新鮮な気持ちになる」

ハツユキソウ「可愛いですか? えへへ、ありがとうございます。実は今日の為に新調したんです。あんまり厚すぎないほうが、団長さんも涼しいかなって」

団長「そうなのか? 俺の為にわざわざ……すまない。それならもっと早く……いや、俺から服の事を言うべきだった」

ハツユキソウ「あはは、良いんです。可愛いって言ってくれて、普段の私の事も想像してくれてて、嬉しかったですから!」

ハツユキソウ「ただ、本当にいつもはもう少し暑い服で寝てて、今日は少し寒いんです……」

ハツユキソウ「だから団長さん、もう少し……ギュッてして暖めてもらってもいいですか?」

ハツユキソウ「それに、団長さんももっとくっついた方が、きっと涼しいと思いますし……」

ハツユキソウ「へ、変な意味じゃないですよ! 寒いから! 寒いからですから!」

団長「お、おう……では失礼して」ギュッ

ハツユキソウ「ど、どうですか……?」(ドキドキ)

団長「……なんか、物凄い大胆な事してる気分になってきた」

ハツユキソウ「へ?……あ、あははは。今更ですか!」

団長「な、何か日々の暑さと寝不足で、どうかしていたのかもしれない……」

団長(アイビーだと理性を保つのは難しいけどハツユキソウなら大丈夫と勝手に思ってたけど……ハツユキソウも良い匂いがするし、柔らかくてドキドキする)

団長(でも、それ以上に……)

団長「何か……安心できるな」

ハツユキソウ「安心ですか?」

団長「ひんやりとして心地良い……身体の疲れが抜けていく。冷たすぎないで、本当にちょうどいい温度で……人を癒してくれる、優しい冷たさだな」

ハツユキソウ「優しい冷たさですか……? えへへ、そんな事言われたの初めてです。もっと、ぎゅ~ってしてもいいですよ?」

団長「ありがとう……」ギュッ

ハツユキソウ(団長さん……暖かい。私も、もっとくっ付いてもいいかな……?)ギュッ

ハツユキソウ「えへへ……暖かい。団長さん、しばらくこのままで……団長さん?」

団長「……Zz」

ハツユキソウ「もう眠ってる……お疲れだったんですね」ナデナデ

ハツユキソウ「私、この体質のせいでたくさん不幸な目にあってきて、『仕方がないのかな』って諦めつつも、何でこんな冷たい体に産まれてきたんだろうって……自分の体質を憎む時もありました」

ハツユキソウ「でも、団長さんに出会ってから、不幸な事が幸せな事に変わっていく事ばかり」

ハツユキソウ「私、今だけは自分の体質が好きになれそうです」

ハツユキソウ「私の体温で、団長さんを癒す事が出来たのなら、私はすごく幸せで一杯です」

ハツユキソウ「団長さん……。これからも、ずーっと、私の隣にいてくださいね。私にたくさん、幸せをください」

ハツユキソウ「私も団長さんをもーっと、癒してあげられる存在になるように頑張りますね」

ハツユキソウ「お休みなさい、団長さん」ナデナデ

――――翌朝


団長「ん……しまった、寝すぎたな。今何時d……」

オオオニバス「おはようございます、団長さん」

団長「うおおおおおおお!!??」

ハツユキソウ「どうしたんですかぁ~団長さん。大きな声をひゃああああああああ!!!??」

オオオニバス「ハツユキソウさんもおはようございます。良い朝ですね」

団長「オ、オオオニバス。いつからそこに!? というか俺の部屋だぞ!?」

オオオニバス「今日は私が副団長の日ですよ? それで仕事の時間になっても団長さんがいなくて、一体どうしたのかと思って来てみたら……」

オオオニバス「まさかお二人が仲睦まじそうに添い寝しているとは」

オオオニバス「これは一体、どういう事でしょう? 団長さん?」

団長「いや、最近寝苦しくて、それでハツユキソウに安眠の協力をしてもらってただけで、やましい事はしてないんだ!」

ハツユキソウ「そうなんです!やましい事は何もないんですよぉ!……残念ながら(ボソッ)」

オオオニバス「成程……。つまり団長さんが夜の暑さを紛らわす為に、体温が低いハツユキソウさんに添い寝を頼んだ。そうしたら、心地よくていつもより寝過ぎてしまったということですね」

団長「オオオニバスは本当に理解が早くて助かるなぁ」

オオオニバス「事情は分かりました。ところで、最近私も夜寝苦しくて……」

団長「嫌な予感してきた」

オオオニバス「団長さんの事を想うと、胸が張り裂けそうで、夜眠れなくて辛いんです」

オオオニバス「だから団長さん、協力してもらえないでしょうか? 団長さんの手を抱きながら眠れば、きっと安眠できると思うんです」斧振り上げ

団長「ほらこうなった! 落ち着いてくれ! 待って!」

オオオニバス「私は落ち着いていますよ? ふふっ、おかしな団長さん」

ハツユキソウ「ま、待ってください。団長さんの手を切り取るなんて、そんなのダメですよぉ!」

オオオニバス「ハツユキソウさん」

ハツユキソウ「ひゃ、ひゃい!?」

オオオニバス「団長さんを癒してくれてありがとうございます。最近、団長さんは睡眠がよく取れていなかったようですから」

オオオニバス「ただ、困るんですよね。こういう事されると。団長さんが私から離れて、フラフラといろんな場所に行っちゃうんです」

オオオニバス「だから、邪魔。消します」

ハツユキソウ「うぇぇぇえぇ!? や、やめてよぅ!」

オオオニバス「問答無用です」

団長「まてぇぇぇ!!」

ハツユキソウ「つ、つらいよぉぉ~」

―――――――




ハツユキソウ(あの後、一悶着の末、何とか団長さんも私も五体満足で切り抜けられましたが、しばらく添い寝はしない方が良いだろうという事になりました……)



ハツユキソウ「うぅぅう~~折角団長さんを癒してあげられることが見つかったのに、不幸ですぅ~~~~!」


私が団長さんの側にいる幸運には、まだまだ前途多難そうです……

ひとまず本編は終わりです。短くてごめんなさい。
この後、後日談的な、またもや短いおまけがありますが、それは明日書きます。今日は寝ますね。

乙乙
花騎士SSもっと増えろ

おつおつ

皆さんハツユキソウは手に入りましたか?

――――――――

団長「暑い、暑いぞ」

団長(バナナオーシャン。陽気な国民性というのは良いんだが、とにかく暑い。暑すぎる)

団長(何でこんな暑い場所に人が集まるんだ……暑がりからすると信じられない)

団長(それにしても、あれからオオオニバスが以前より露骨に俺の手を狙ってきてる気がする……気が休まらなくて前より疲れてる気がするな)

団長(今もこの執務室を開けたら、中で怖い笑顔のオオオニバスが待っているんじゃないかって怖いな)

団長(いや……今、オオオニバスは任務でいないはず。大丈夫……)ガチャ

ハツユキソウ「おかえりなさい団長さん!」

団長「出たぁぁぁぁぁ!!??」

ハツユキソウ「ひゃあ!? そ、そんな驚かないでくださいよ!」

ハツユキソウ「私ですよ! ハツユキソウですよぉ!」

団長「ハ、ハツユキソウか。びっくりした……」

団長「ここ最近、心臓に悪い事が多くて……すまん。ところで、執務室まで来て何か用か?」

ハツユキソウ「えっへっへー、団長さん。最近疲れてたりしませんか?」

団長「疲れてると言えば疲れてるな」

ハツユキソウ「あっ、疲れてるんですね。良かった……『疲れてないから大丈夫だ』とか言われたらどうしようかと思いました」

団長「ハツユキソウは俺が疲れてると嬉しいのか? 少し複雑だ……」

ハツユキソウ「あっ、いや、そういう訳じゃなくてですね! うぅ……また言葉選びに失敗しちゃったよぅ……」

団長「あはは、少し意地悪だったか。ごめんな。どうかしたのか?」

ハツユキソウ「えっとですね、お疲れでしたら、私に休憩のお手伝いをさせてもらってもいいですか?」

団長「休憩の手伝い?」

ハツユキソウ「えっと……あの……その、これです!」

団長「これは……耳かき?」

ハツユキソウ「はい。この前買ってきたんです!」

ハツユキソウ「団長さん、お仕事忙しそうですし、耳掃除とかどうでしょう……? 人にやってもらうと気持ちが良いですよ」

団長「お、おう。めずらしいな、ハツユキソウがこんなにグイグイ来るなんて」

ハツユキソウ「そ、そうですよね。ただ、雰囲気に流されてばかりじゃなくて、私がちゃんと考えて、自分の意志で、団長さんを癒してあげたいって思って」

ハツユキソウ「ダメ……でしょうか?」

団長「いや、そんな事ある訳ない。是非頼むよ」

団長「あっ、ただ鍵は閉めておいた方がいいかな……?」

ハツユキソウ「あっ、そうですね!」カチャ

ハツユキソウ「それじゃあ、執務室のソファをお借りしますね。大きいから団長さんが横になれるスペースもありそうです!」トコトコポスン!

ハツユキソウ「では!」ポンポン!

団長「えっと……?」

ハツユキソウ「膝枕ですよ。さぁ、乗せちゃってください!」

団長(良いのかな? …って添い寝もしたんだし今更だな)

団長「えっと、じゃあよろしく頼む」ポスッ

ハツユキソウ「えへへ、任せてください♪」

団長(おぉぉ……ひんやりして天然の氷枕みたいだ。というか人に膝枕してもらうっていつ以来だろうか)

ハツユキソウ「まずは濡れタオルでお耳を拭きますね」フキフキ

ハツユキソウ「そうしたら……よいしょ」耳揉み

団長「ん? これは何をしてるんだ?」

ハツユキソウ「耳マッサージです。耳にはたくさんのツボがあって、マッサージすると気持ちが良いんですよ」モミモミ

揉んだり、軽く指ではさんだりと、ハツユキソウの小さな手が耳を優しくほぐしていく。

ハツユキソウ「まずは耳をマッサージして、リラックスした状態で耳かきを受けてほしいなぁって。どうですか?」

団長「あぁ、そう言われると、確かに凄く気持ちがいいな……」

団長(ハツユキソウの手もひんやりとして気持ちがいい)

団長(顔が上からも下からも心地よい涼しさで包まれて、暑さにバテそうだった体が癒されていくのを感じる)

団長「それにしても随分と本格的なんだな。ハツユキソウはこういうのも得意だったのか」

ハツユキソウ「えへへ……実は教えてもらったんです。プルメリアさんに」モミモミ……ギュッ……

団長「プルメリアか、確かにこういうのが得意そうだ」

ハツユキソウ「はい、えっと……」

――回想—――

ハツユキソウ「プルメリアさん!」

プルメリア「あら、ハツユキソウさん? どうかされましたか?」

ハツユキソウ「あの、私に耳かきを教えてくれませんか……?」

プルメリア「耳かきですか?」

ハツユキソウ「はい! あ、あのプルメリアさんの耳かきは疲れた花騎士達の間で評判が高いですし、是非教えてもらえたらなぁ~って」

ハツユキソウ「じ、実は耳かきをしてあげたい人がいて……」

プルメリア「そういう事でしたら、任せてください。わたしが人を癒す耳かき術を、全てお教えしますね」

プルメリア「ぜーんぶ、プルメリアにお任せです!」

ハツユキソウ「ありがとうございます!」

プルメリア「では私の部屋に移動しましょうか。早速耳かきをしてあげますね♪」

ハツユキソウ「えっ? 私がお願いしたのって耳かきを教えてもらう事で、耳かきをしてもらう事では……」

プルメリア「何を言っているんですか! まずは自分で、どういう耳かきをされると癒されるのか経験しないと! じゃないと人に耳かきで気持ちよくなってもらうなんて出来ませんよ!」

ハツユキソウ「あぅ! ですよねごめんなさい!!」

プルメリア「分かればいいんです! では早速移動しましょう」

――――――――

ハツユキソウ「そうして、私の耳かき修行が始まったのです……」

団長「成程な……それで、プルメリアの耳かきはどうだったんだ?」

ハツユキソウ「すごく気持ちが良かったです。でも……」

団長「?」

―――また回想―――

プルメリア「どうですか?」カリカリ

ハツユキソウ「あぁ……確かにこれは凄く気持ちがいいですぅ。本当に至福の気分ですよぅ」

プルメリア「えへへ、良かったです。今日はプルメリアの耳かきに、し~っかり癒されて行ってくださいね。それから、耳かき練習、私と一緒に頑張りましょうね」

ハツユキソウ「はい~……んっ?」

ディプラデニア「…………」ジーッ

ハツユキソウ「わひゃ!?」

プルメリア「こら、動いたらめっ、ですよ!」

ハツユキソウ「ご、ごめんなさい……」

ハツユキソウ(扉の影から誰か見てます!!何だか凄い怖い目つきで私の事見てますよぅ……)

ハツユキソウ(ど、どうしよう。言った方がいいかな)

ハツユキソウ(でもでも、プルメリアさん気付いてないし、私がドアから誰かに覗かれてる事を言ったら、この空気が壊れちゃうかもしれない……)

ディプラデニア(プルメリアに膝枕してもらおうと思ったら先客が……。しかも耳かきまでされてる……)

ディプラデニア(そこは私の席なのに。あの人だれ……?)

プルメリア「あれ? さっきよりハツユキソウさん硬くなってますね……。少し奥に入ってきたから緊張しちゃいました?」

プルメリア「大丈夫! プルメリア、痛くしませんよ? よしよし、安心してくださいね~」ナデナデ

ハツユキソウ(うわぁぁぁん、そうじゃないんです! どうしましょう団長さぁん……)

ディプラデニア「……………………」ジーッ

ハツユキソウ(わぁぁぁん!)

――――――

ハツユキソウ「って事があって、後半は気持ちいいはずなのに全く耳かきに集中出来なかったんです……」

団長「そ、それは災難だったな。大体誰か想像がつくけど……」

ハツユキソウ「不幸ですぅ……」

団長「可哀想に……。それにしても、プルメリアの耳かき、やっぱり評判通りの気持ちよさだったのか」

ハツユキソウ「ちょっと、やってもらいたいって思いましたか?」

団長「前だったらそうかもしれないけど、今は俺の為に修行を積んでくれたハツユキソウの耳かきが堪能したいな」

ハツユキソウ「あはは……なんかちょっと照れますね。でも嬉しいです! しっかり癒してあげられるように頑張りますね」

ハツユキソウ「では、そろそろお待ちかねの耳かきです。危ないので急に動いたりしないでください」

団長「分かった、頼む」

ハツユキソウ「まずは手前から……」カリ……ツーッ……ペリッ……

団長「おぉぉ、縁の方をこすられると少しくすぐったいな」

ハツユキソウ「えへへ、手前から奥に耳垢を取っていった方が良いんですよ。我慢してくださいねー♪」ペリッ…ペリッ……

ハツユキソウ「では、少し奥に入れます。痛かったら言ってくださいね。そーっと……」

カリカリ……ガソッ……カリッ……

ハツユキソウ「むむっ、結構汚れてますね。団長さん、少し耳掃除さぼってましたね?」

団長「そうだな……ここ最近は全くしてなかったかもしれない」

ハツユキソウ「では、今日はしっかりお掃除しちゃいます。私に任せてくださいね~」

ハツユキソウの耳かきが優しくカリカリ、ゴソゴソと耳の内側を撫でていく。

これ以上強くすると痛くなるのかもしれないが、それ以上強く痛くなる事はない。絶妙な力加減だ。

団長(氷枕で耳かきされてるみたいだ……。この気持ちよさ、想像以上かもしれない)

団長(今は今日が暑くて良かったと感じる……)

ハツユキソウ「痛くないですか?」ゴソゴソ

団長「ちょうどいい。続けてくれ」

ハツユキソウ「はい!任されました♪」

ガサゴソ……ゴソ……

ハツユキソウ「はい、耳かき終わりましたよ。団長さん。でもまだ少し続きますので、待ってくださいね」

ハツユキソウ「耳かきの先のふわふわ……『梵天』って言うらしいですけど、これで仕上げをしていきますね。少しふわふわしますよぉ~」

フサッ……クルクルッ

団長「おぉ、本当にふわふわだ。その先の丸いの……梵天?で掃除するのは初めてだな」

ハツユキソウ「くすぐったくないです?」

団長「いや、これも結構、気持ちが良いな」

ハツユキソウ「私もこの前されて、新体験でした。さて、最後に……」

フゥー……

団長「!?」ゾクゾク

耳に優しく息を吹きかけられた。

ハツユキソウ「びっくりしちゃいましたか?」

団長「お、おう」

団長(凄い冷たい息が耳の中を駆け巡った……ちょっとドキドキした)

ハツユキソウ「えへへ、こうすると良いらしいんです。では、もう片方の耳もやっちゃいましょう!」

団長「両耳やってもらえるのか?」

ハツユキソウ「当たり前ですよぉ! さぁ、顔を反対に向けてくださいね~」

――――――

団長「ん……?」

ハツユキソウ「あっ、起きられました?」

団長「俺、いつの間に眠ってたのか?」

ハツユキソウ「もう片方の耳をやってる途中で眠っちゃったんですよ」

ハツユキソウ「団長さん、今日もお疲れだったんですね」

団長「ごめん。ずっと膝枕してもらっちゃってたのか……疲れなかったか?」

ハツユキソウ「いえいえ、そんな事ありませんよ!」

ハツユキソウ「むしろ私が自分で、しっかりと団長さんを休ませてあげられてた事が嬉しかったです!」

ハツユキソウ「あぁぁぁ、でもそろそろお仕事再開しないといけませんよね……」

ハツユキソウ「ごめんなさい、もう少し早く起こした方が良かったかも……」

団長「そんな事ない。しっかり休ませてもらえたおかげで、また頑張れそうだ。ありがとう」

ハツユキソウ「はい! あの、団長さん。今日の私の耳かき、気持ち良かったですか……?」

団長「もちろん。疲れも全て掻き出してもらえた気分だ」

ハツユキソウ「えへへ……実はプルメリアさんに教えてもらったんです」

団長「何をだ?」

ハツユキソウ「耳かきは相手の事を想って、癒してあげたいって思ってしてあげると、もっともぉーっと気持ちよくなるって!」

ハツユキソウ「団長さん。団長さんさえ良ければ、また耳かきをさせてほしいです。耳かきだけじゃなくて、団長さんのもっといろんなお力になりたいです」

ハツユキソウ「団長さん、また私を頼ってくれますか……?」

団長「……勿論だ。これからもよろしく頼む。ハツユキソウ」

ハツユキソウ「えへへ、ありがとうございます!」




ハツユキソウ「これからも私、団長さんのお役に立ちますよ!」


これで終わりです。
読んで頂いてありがとうございました。

良いSSでした。
また機会があったらお花SSお願いします。

おっつおっつ

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