一ノ瀬志希「うえきちゃんがしゃべった?」市原仁奈「本当でごぜーますよ!」 (13)

10レスぐらい

※主な登場キャラ
・市原仁奈
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・一ノ瀬志希
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・うえきちゃん
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仁奈「だから、本当にしゃべったですよ!」

ありす「ええ……でも……」

桃華「うえきちゃんが、ですか……」



志希「ふっふー♪ ハーイ、リトルガールズ! 大きな声でどーしたの?」

仁奈「あっ、志希おねーさん! 聞いてくだせー、仁奈は、うえきちゃんと話したことがあるですよ!」

志希「うえきちゃん?」

ありか「アレですよ、アレ。フレデリカさんがどこからか持ってきた……」



うえきちゃん「…………」



ありす「しゃべる植物なんて、比喩ならともかく、実際に言葉を交わした話は調べても出てきませんよ」

桃華「そもそも、うえきちゃんは植物に区分してよいのでしょうか……?」

仁奈「でも、仁奈は本当にしゃべったですよ! ここに、最初に来た時……」



~~~~~~


仁奈「ママは、ここに“プロデューサー”って人が来るから、
   その人に“アイドル”にしてもらうんだって、言ってたですけど……」

うえきちゃん「…………」

仁奈「……アイドルも、プロデューサーも、何をする人なのか、仁奈はよくわからねーですよ……」



うえきちゃん「フンフンフフーン♪ フンフフー♪ うえきちゃーん♪」

仁奈「わっ、わあっ! び、びっくりしたでごぜーますよ……」

うえきちゃん「アタシ、うえきちゃん。キミは?」

仁奈「あ、え、えっと……名前は、市原仁奈というですよ」



仁奈「あの、もしかして、うえきちゃんはプロデューサーでごぜーますか?」

うえきちゃん「ざんねん! ちがうよ。うえきちゃんは、うえきちゃんだよー」

仁奈「え、じゃあうえきちゃんはアイドルで……」

うえきちゃん「アイドル? アイドルってナニかな?」


~~~~~~





仁奈「……って、仁奈はプロデューサーが来るまでうえきちゃんとお話してたですよ!」

ありす「どう考えても、これ中身フレデリカさんじゃありませんか?」

桃華「確かにそう聞こえますけど……うえきちゃんの中に入る方法なんて、あるのでしょうか」



うえきちゃん「…………」

ありす「これだけ大きいのですから、きっとトロイの木馬みたいに隠し扉があるはずです!
    この幹とかを注意深く調べれば、中に入るところが……」

うえきちゃん「…………」ムズムズ

志希「あ、ありすちゃん。ちょっとうえきちゃんから離れたほうが……」

うえきちゃん「…………!」ブワワッ

ありす「? 志希さん、何をそんな――ぷぁっ!
    な、何かが飛んで――へ、へっくちゅっ! くちゅっ!」

志希「あーあ、花粉をモロに食らっちゃって……」

桃華「むしろ、これが植物かどうかが本格的な疑問に思えてきましたわ……」




ありす「くしゅっ、くしゅっ――も、もうこうなったら、私にも意地があります!
    うえきちゃんがしゃべるかどうか、本当に中の人がいないかどうか、張り込んで確かめましょう!」

仁奈「おおっ、張り込み……早苗おねーさんが言ってたですよ!
   あんパンと牛乳を買って食べるでごぜーますよね?」

桃華「い、いやちょっと、ありすさん? それと仁奈さんも。
   わたくしたちは“Near to you”のライブが近づいてるんですのよ?」

志希「あー、レッスンとか、ちゃんと仕上げていかなきゃだね」

ありす「うっ……ここで桃華ちゃんに差をつけられるわけには……」




志希「じゃあさ、代わりにうえきちゃんのコトをあたしが調べるってのはどう?
   あたし、一応ボタニー(植物学)には覚えがあるんだよ」

桃華「本当にうえきちゃんが植物ならいいんですけど……」

志希「得体の知れないモノだったら、それこそあたしの出番じゃない♪
   キケンなものだったら、あたしのラボにお持ち帰りしなきゃ」

ありす「……今、聞いちゃいけないセリフを聞いたような……」



仁奈「仁奈も、志希おねーさんといっしょに確かめるですよ」

桃華「あの、仁奈さんにもレッスンが……」

仁奈「だって、仁奈が言ったことでごぜーますから!」



ありす(ここで私たちが否定すると、かえって意地にさせてしまうのでは……?)

桃華(わたくしも同感ですわ。となれば、ここは……)



桃華「志希さん。ここは、あなたにお任せしてもよろしいでしょうか?」

ありす「私からも……どうか無理のない範囲でお願いします」



志希「…………」

桃華「志希さん?」



志希「も、桃華ちゃんとありすちゃんが、あたしに向かって……
   『お任せしてもよろしいでしょうか』『無理のない範囲でお願いします』だって!?
   驚きだよ、こりゃうえきちゃんがしゃべってもおかしくないよね♪」

仁奈「志希おねーさんは、仁奈のこと信じてくれるですか? 一緒に張り込みするですよ!」



ありす「…………」

桃華「…………」



ありす「……言いたいことは分かりますよ、桃華さん」

桃華「……ありすさんもですか」


志希「ってな感じで、うえきちゃんのトコロに張り込んでけっこう経つけど……
   うえきちゃん、ダンマリだねぇ」

うえきちゃん「…………」

仁奈「おかしいですね……仁奈がしゃべったときは、すぐにしゃべりかけてきたですが……」



志希「…………」

仁奈「…………」

うえきちゃん「…………」



志希「ねぇ仁奈ちゃん」

仁奈「なんでごぜーます?」

志希「うえきちゃんが話してくれなくて退屈だから、
   うえきちゃんの気分が乗るまであたしとお話しようか?」

仁奈「志希おねーさんとお話ですか? やったですよ!
   仁奈、志希おねーさんにいろんなこと聞きてーですから!」

志希「あたしに、いろんなコトを?」

仁奈「だって……ほら、ありすおねーさんと桃華おねーさんも、
   志希おねーさんのこと、すげーって言ってたです!」

志希「えっ、あの二人が?」



仁奈「例えば……前に、ありすおねーさんが言ってたです。
   撮影で、ありすおねーさんが緊張してカチカチに固くなってたとき、
   志希おねーさんのおかげで、リラックスして、うまく撮影できたって!」

志希「あたしのおかげで、ありすちゃんが?」

仁奈「でも、ありすおねーさんは、志希おねーさんが何をしてくれたかは教えてくれねーです……」

志希(あぁ、あの時ね)



※あの時
http://i.imgur.com/4NRpJZE.jpg



仁奈「桃華おねーさんも……レッスンで一番最初にできるようになるのは、いつも志希さんだって」

志希(あ、桃華お嬢様は、あたしが“つぼみ”でさんざん苦戦してたの見てないんだっけ……)

仁奈「仁奈も志希おねーさんみたいに、いろんなことができたら、
   もっとみんなにほめてもらって、さびしくなくなるでごぜーますかね?」



志希「…………」

うえきちゃん「…………」

仁奈「……志希おねーさん?」

志希「仁奈ちゃんは、今、さびしいのかな」

仁奈「え、えぅ、えっと、それは――」



??「あ、いたいた! おーい、仁奈ちゃんに志希さーん!」

??「やぁやぁ市原巡査部長に一ノ瀬巡査、ホシの張り込みご苦労!」



志希「なんであたしのが階級下なのさ、早苗ちゃん……」

早苗「だって、仁奈ちゃんは“おかしら”だもん♪」

仁奈「仁奈、えれーですか? やったですよ♪」



有香「それにしても、ありすちゃんと桃華ちゃんに頼まれて様子を見に来たんですけど、
   志希さん、本当にお姉さんみたいですね。前は桃華ちゃんに『手のかかる姉』とか言われてましたのに」

仁奈「……え、志希おねーさんのおねーさんが、桃華おねーさんでごぜーますか?」

志希「こらこら有香ちゃん、あたし、“明日また会えるよね”では、フレちゃんと一緒にちゃんとお姉ちゃんズしてたでしょ?」



有香「……いや、フレデリカさんはともかく、志希さんは……
   滝行の途中でスイシタイゴッコしてたり、響子さんに死んだ魚の目になるまでこんこんと諭されてたり……」

早苗「あっはっは! 手のかかるお姉ちゃんだったみたいねぇ?」

志希「まぁ、その……事実では、あるけどー……」



早苗「でも、志希ちゃんだって、ありすちゃんとかに、“Near to you”の歌い方とか振り付けとかアドバイスしてあげてるんだって?」

志希「それはホラ、あたしたちCuteのJewelrysユニットは、ライブもCDも先行してたから、あたしのが先にレッスン進めてたし。
   でも、何もあたしでなくても、フレちゃんとか、響子ちゃんとか……」

有香「…………」

志希「……そう、有香ちゃんもいるのにね」



早苗「でも、まんざらでもないんでしょ?」

志希「……ありすちゃんとか、それに張り合う桃華ちゃんとか、本気で聞いてこられると、つい、ね。
   本気の人はそばにいるだけで面白いから。無下になんてしないよ」


志希「でも、せっかくユニット組んでるのに、あたしが外からあの子たちのお姉ちゃん面したら、
   早苗ちゃんとか有香ちゃんは、イヤな気分にならない?」

早苗「へぇ、ですってよ? 有香ちゃん」



有香「……志希さん」

志希「……ナニ? 有香ちゃん」



有香「志希さんは、自然体より少しお姉ちゃんぶるぐらいがちょうどいいと思いますよ。
   主にみなさんの胃のために」

志希「……忌憚なき意見をありがとう、有香お姉ちゃん」

早苗「アハハっ、じゃ、二人とも張り込み頑張ってね!」

仁奈「頑張るでごぜーます!」



志希「…………」

仁奈「…………」

うえきちゃん「…………」



志希「…………」

仁奈「…………」

うえきちゃん「…………」





志希「…………すー……すー」

仁奈「志希おねーさん、寝ちゃ張り込みにならねーですよー……」

志希「だってぇ……昨日、夜遅かったんだもん……」

仁奈「夜更かしはダメでごぜーますよ。ママに叱られてしまうです」



志希「あたしは一人暮らしだから、叱る人はいないよ」

仁奈「一人暮らし……それって、家に一人でいるってことでごぜーますか?」

志希「……まぁ、お友達が遊びに来る以外は、そうかな」

仁奈「それって、志希おねーさんは、さびしくねーでごぜーますか?」

志希「…………」



志希「あたし、寝るわ。おやすみ仁奈ちゃん」

仁奈「あ、ちょっと、志希おねーさんっ……」


仁奈「…………」

うえきちゃん「…………」



仁奈「……に、仁奈はくじけねーですよ! ちゃんとママの言う通り、毎日早寝してるですから!」

うえきちゃん「うえきちゃんも早寝したほうがいいと思うよー。うえきちゃんだから寝ないけどー」



仁奈「…………えっ」

うえきちゃん「やっほー仁奈ちゃん。アタシ、うえきちゃん」

仁奈「し、志希おねーさんっ! うえきちゃんが、うえきちゃんがしゃべったですよ!」



志希「…………くぅ」

仁奈「志希おねーさん!」

うえきちゃん「仁奈ちゃん。うえきちゃんはね、仁奈ちゃんとその子と、いっぺんにはしゃべれないなぁ」

仁奈「……えっ、ど、どういうことでごぜーますか……?」



うえきちゃん「うえきちゃんは一人でいる子としかしゃべれないの。うえきちゃんだから」

仁奈「え……じゃあ、張り込みしても、ダメでごぜーますか……?」

うえきちゃん「うん、ダメだね。一人じゃないと。うえきちゃんだから」

仁奈「そんな……」



うえきちゃん「話はかわるんだけど、アイドルってなに?」

仁奈「え、アイドルでごぜーますか?」

うえきちゃん「まえにお話したときは、わからなかったよね?」



仁奈「アイドルは……プロデューサーに教えてもらったですよ。
   歌ったり踊ったり、キグルミ着たり……そうやって、みんなをニコニコにする人でごぜーます!」

うえきちゃん「仁奈ちゃんは、アイドルなの?」

仁奈「そうです! まだ始めたばっかりでごぜーますけど……
   今度歌うときには、仁奈のパパとママも見に来てくれるでごぜーます!
   いつもは、なかなか会えねーですけど……そのぶん、仁奈の頑張ってるところを見てもらうですよ」

うえきちゃん「そっか。アイドルって、ステキなんだね。うえきちゃん、しらなかったよ」


仁奈「うえきちゃんに、仁奈たちのライブを見てもらえたらいいんですけど……」

うえきちゃん「うえきちゃんは、みにいけないの。うえきちゃんだから」

仁奈「……じゃ、じゃあ! 仁奈がライブ終わったら、そのお話をうえきちゃんにしてやるですよ!
   ありすおねーさんと、桃華おねーさんと、志希おねーさんは、
   一人じゃなくてうえきちゃんと話せねーですから、仁奈が話してやるです!」

うえきちゃん「うん、うえきちゃんうれしいなぁ」

仁奈「あ、あと、アイドルはほかにもいろんなことするですよ? この間、仁奈はみんなと――」



~~~~~~



仁奈「うえきちゃんっ、仁奈はライブ頑張ったですよ!」

うえきちゃん「…………」


仁奈「パパも、ママも、おねーさんも、みんなも、ニコニコでごぜーましたよ!」



うえきちゃん「…………」ムズムズ

仁奈「……うえきちゃん?」

うえきちゃん「…………!」ブワワッ

仁奈「な、何かが飛んで――へ、へっくちゅっ! くちゅっ!」



仁奈「くっ、くしゅっ――な、なんでですか、うえきちゃん……」

志希「どうしたの仁奈ちゃん、こんなところで……ライブの打ち上げは?」

仁奈「あっ、志希おねーさん!」



仁奈「志希おねーさん! 今すぐここで寝てくだせー!」

志希「えっ」

仁奈「そうすれば、うえきちゃんと話せるんでごぜーます!
   仁奈が、ライブ頑張ったこと、みんなをニコニコにしたこと、話してやるって約束したです!」



志希「…………」

うえきちゃん「…………」

仁奈「……志希、おねーさん?」



志希「仁奈ちゃんは、もう、うえきちゃんとお話はできないと思うよ」

仁奈「どうしてですか? 仁奈、うえきちゃんとあんなにお話したのに……」

志希「だって、仁奈ちゃんはもう一人じゃないもん」



志希「ホラ、いっしょにライブやった子が呼んでるよ。打ち上げ、行って来なよ。
   うえきちゃんには、あたしが見たライブの様子をお話しておくから」

仁奈「……志希おねーさんは、うえきちゃんとお話ができるですか?」

志希「うん。でもうえきちゃんは、志希ちゃんと仁奈ちゃんと二人いっぺんにはしゃべれないって。
   だから、仁奈ちゃんは打ち上げ行って来なって」

仁奈「……わかったでごぜーます」


志希「…………」

うえきちゃん「…………」



志希「ねぇ、うえきちゃん」

うえきちゃん「…………」



志希「あたしは、キミといつまでおしゃべりして――」



仁奈「――志希おねーさん!」

志希「仁奈ちゃん? 打ち上げに行ったんじゃ……」



ありす「志希さんの言葉が正しいとすれば、今の志希さんはうえきちゃんとお話できませんよ」

桃華「わたくしのお姉さまは、水臭いことなどおっしゃりませんよね?」

有香「ほ、本当にこれは植物なんですよね……?」

早苗「一ノ瀬巡査。片桐警部の名を以って、うえきちゃん監視張り込みの任務を解くわ。
   そしてうちの司令官・代表・おかしらのアドバイザーとして打ち上げに付き合うことを命じる!」



志希「…………にゃははっ♪」





うえきちゃん「…………」



うえきちゃん「やっほー。アタシ、うえきちゃん」

うえきちゃん「うえきちゃんは一人でいる子としかしゃべれないの。うえきちゃんだから」




うえきちゃんがしゃべる、という噂は、それきり語られなくなったという。



(おしまい)



うえきちゃんの真後ろでルームアイドルがしゃべると、
うえきちゃんがしゃべってるみたいに見える(>>1のうえきちゃん画像2枚目参照)
って思いつきだけの話です そばつゆはみんな適度に走りましょう


志希のソロ『秘密のトワレ』試聴
https://www.youtube.com/watch?v=wD3olymAvN0

仁奈のソロ『みんなのきもち』試聴
https://www.youtube.com/watch?v=jLiyCYcjZ8s

【楽曲試聴】「Near to You」(歌:宮本フレデリカ、一ノ瀬志希、櫻井桃華、中野有香、五十嵐響子)
https://www.youtube.com/watch?v=0e_a9em4uao

【楽曲試聴】「Near to You」(歌:鷺沢文香、速水奏、橘ありす、塩見周子、二宮飛鳥)
https://www.youtube.com/watch?v=jr8ilKycn6Y

【楽曲試聴】「Near to You」(歌:姫川友紀、市原仁奈、片桐早苗、大槻唯、相葉夕美)
https://www.youtube.com/watch?v=_BppLhudI-E


あの顔でそんなにシリアスなこと言ってたらそれだけで怖いわ

職人ちゃん「やっほー。アタシ、うえきちゃん」

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