【遊戯王】沢渡「俺だって勝ちたい!」 (35)
柚子「みんな、今日の収録もお疲れさま!」
遊矢「ああ、柚子もお疲れ。 久々のデュエルで緊張したよ」
権現坂「うむ、遊矢の演技も最初の頃と比べて上達してきたのではないか?」
遊矢「そんな、大げさだって権現坂! きっと相手役の先輩方がうまくフォローしてくれたおかげさ」
沢渡「…………」
柚子「沢渡、今日の演技もすっごくよかったわよ!」
遊矢「そうだな、今日も良いやられっぷりだったよ! ……どうかしたのか?」
沢渡「……俺だって」 ボソ
柚子「?」
沢渡「俺だってデュエルに勝ちた~~い!!」
遊矢「えっ」
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沢渡「遊矢ぁ! お前俺がデュエルで勝ったところ見たことあるか!?」
遊矢「そりゃあ……ないけど」
柚子「で、でも沢渡のデュエルはみんな面白いって評判じゃない? あの引き立て役はあなたじゃないと務まらないよ!」
権現坂「そうだぞ沢渡、お前の芝居には皆も一目置いている」
沢渡「そういう問題じゃねえ! 撮影とはいえ、毎回いい線まで行ってボロ負けする気持ちがお前らに分かるかよ!」
沢渡「仮にも俺はライバルキャラだぞ!? それも最近じゃ相手方の噛ませにしかなってねえじゃねーか……」 ズーン
遊矢「元気出せよ沢渡、そんなことないって! ……たぶん」
権現坂「それを俺たちに言ったところで、お前の扱いが変わるわけでもなかろうに」
柚子「大丈夫だって、沢渡が頑張ってることはみんなも良く知ってるから!」
沢渡「うるさ~~い! それでも俺はデュエルに勝ちたいの!」 バッ
遊矢「お、お前そこまで……」
沢渡「はぁ……別に作中で俺の勝ち数を増やしてほしいわけじゃあねーんだよ」
沢渡「作品は、俺たちみんなの力で作り上げるもんだからな」
柚子「それじゃあ……」
沢渡「だがなぁ遊矢! そいつは撮影の中の話だ!」
沢渡「出来レースとはいえ、デュエルする度に負けるのは俺の決闘者としてのフラストレーションが抑えきれねえぜ!」
権現坂「気持ちは分からなくもない。 俺もお前と共演するようになってからは、妙に黒星が多くなったからな」
遊矢「でもさ、それって撮影上仕方がないことだと思うんだけど……」
沢渡「うるせえ! カメラの回ってねえここなら関係ねぇ、遊矢ぁ!」
沢渡「俺はお前に一対一のデュエルを申し込むぜ!」 ビシッ
遊矢「えぇー……」
柚子(いいんじゃない? たまには沢渡の気持ちも汲んであげようよ) ヒソ
遊矢(うーん……柚子がそういうのならしょうがないかな)
期待
遊矢「わかったよ沢渡。 お前とのデュエル、俺が受けてやる!」
沢渡「へっ! 言っておくが、わざと手を抜くような真似はするんじゃねーぞ?」
柚子「あ、そうだ! 『戦いの殿堂に集いし決闘者たちが!』」
遊矢「『モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!』……って、さすがにアクションカードはないんだけどさ」
沢渡「問題ねえよ。 むしろこっちの方が、お互いデュエルの技量差だけで勝負がつくからな!」
遊矢「それじゃあ遠慮はなしだ! 行くぞ!」
遊矢・沢渡「「デュエルッ!!」」 LP8000/LP8000
沢渡「俺の先攻だ! カードを一枚伏せて手札から《増援》を発動し、《天帝従騎イデア》を手札に加えて召喚する!」
沢渡「そしてデッキから片割れの《冥帝従騎エイドス》を特殊召喚し効果発動! 帝王をアドバンス召喚するぜ!」
権現坂(アイツのデッキは真帝王か。 そういえば一時期使っていたことがあったな)
沢渡「二体の従騎をリリースし、来い! 《天帝アイテール》!」
沢渡「その効果により、《汎神の帝王》と《帝王の凍気》を墓地へ! デッキから《光帝クライス》を特殊召喚だ!」
遊矢(……沢渡の奴、生き生きしてるなぁ)
沢渡「クライスの効果で、自身と伏せた《真源の帝王》を破壊し二枚ドロー! 墓地にある汎神を除外し効果発動、さあ選びやがれ遊矢!」
遊矢「えーっと、じゃあ《進撃の帝王》だ!」
沢渡「ふっ……そいつを選んだことを後悔するなよ? 俺は手札に加えた《進撃の帝王》を発動し、俺の帝王は無敵となる!」
沢渡「そして手札からフィールド魔法《真帝王領域》を発動ォ! これでお前のエクストラデッキは封じさせてもらったぜ!」
権現坂「これで遊矢のペンデュラム召喚の機能を一部封じたというわけか。 沢渡のヤツ、なかなかやるではないか」
沢渡「墓地のエイドスの効果でイデアを守備表示で復活! カードを二枚伏せてターンエンドだ!」 パシッ
沢渡:LP8000/手札1枚/場6枚《天帝アイテール》《天帝従騎イデア》《進撃の帝王》《真帝王領域》《--》《--》
柚子(わざわざイデアを蘇生させたってことは、あの伏せカード……バレバレじゃない)
沢渡(へっ、俺が伏せたカードは《連撃の帝王》ついでに《神の通告》!)
沢渡(コイツでイデアをリリースし、手札にある二体目のクライスを召喚。 除外された汎神を回収するって寸法よ!)
遊矢「俺のターン、ドロー! スタンバイフェイズに手札から《ツインツイスター》を発動だ!」
沢渡「な……なにぃ~~っ!?」
遊矢「手札の《テラ・フォーミング》を捨てて、沢渡の伏せカード二枚を破壊する!」
沢渡「くっそぉ! その程度でいい気になるなよ遊矢ぁ!」 パリィン
遊矢「お楽しみは、まだまだこれからさ!」
遊矢「俺はスケール6の《EMギタートル》と《EMリザードロー》でペンデュラムスケールをセッティング!」
遊矢「……ってこのままだとペンデュラムはできないけれど、効果で二枚ドロー、そしてリザードローは破壊される!」 パリン
沢渡「けっ! エンタメイトお得意の自爆ドローかよ」
遊矢「さらに手札からフィールド魔法《天空の虹彩》を発動! ギタートルを破壊して、デッキから《EMオッドアイズ・ユニコーン》を手札に!」
遊矢「そして《召喚僧サモンプリースト》を召喚し、手札の《EMキャスト・チェンジ》を捨てて効果発動だ!」
沢渡(俺の場に真帝王領域がある限り、アイツのエクストラからはモンスターを出せねえ。 一体なにを仕掛けるつもりだ?)
遊矢「デッキから《EMペンデュラム・マジシャン》特殊召喚! 彼とサモンプリーストは退場して、デッキから二人のお仲間を紹介しましょう!」
遊矢「私が手札に加えるのは《EMラクダウン》に《EMカレイドスコーピオン》! さあ、舞台の準備は整いました!」
遊矢「 L a d i e s & G e n t l e m a n ! これよりお見せするのは貫通マジック! みごと成功しましたらご喝采です!」
沢渡「ふん、貫通マジックだと? ここまでこの俺様を待たせてくれたんだ、じっくり見させてもらおうじゃあねーか!」
遊矢「立会人はスケール2のラクダウンにスケール8、オッドアイズ・ユニコーン! それでは今回の主役を拍手でお出迎えください!」
遊矢「ペンデュラム召喚! 現れ出るのは《EMカレイドスコーピオン》そして本日の特別ゲストは彼! 《サボウ・ファイター》です!」
沢渡「ああん? サボウ・ファイター?」
沢渡(なんでそんなもんが遊矢のデッキに入っ……て……)
沢渡「お、おいおいおい! マジかよ嘘だろ!? 貫通マジックって要は―――!」
遊矢「まずはラクダウンのペンデュラム効果発動! サボウ・ファイターに"貫通"効果を与え、イデアの守備力は800ダウン!」
遊矢「続いてカレイドスコーピオンのモンスター効果! サボウ・ファイターは特殊召喚されたすべての敵へ攻撃が可能に!」
柚子「これってもしかして……」
権現坂「ああ。 サボウ・ファイターの攻撃でイデアが倒された瞬間、沢渡の場にトークンが守備表示で特殊召喚される」
権現坂「サボウ・ファイターは無限に攻撃を繰り返し、貫通ダメージを与え続けるのだ」
沢渡(む……無限ループだとぅ~~!?)
遊矢「それでは L e t ' s s h o w t i m e !」 パチン
沢渡「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」 LP8000→6300→4900→3500→2100→700→0 ビーッ!
遊矢「すまない沢渡、やっぱり俺にはわざと負けるだなんてできないよ」
沢渡「それにしたって手口がエグすぎるだろうが! くっそぉぉぉ覚えてろ遊矢ぁぁぁ!!」 ダッ
柚子「あっ、どこに行くの沢渡!?」
権現坂「構わん、一人にしてやれ。 そっとしておくのも友情というものだ」
沢渡(ちっくしょう! 遊矢程度なら勝てると踏んでいたが甘かったか!)
沢渡「……勢いでスタジオの外に飛び出しちまったが、どこかに暇そうな決闘者はいねえもんかね」 ドンッ
ミエル「ふぎゅっ! ちょっとアンタ、どこ見て歩いてんのよー!」
沢渡「ああ? なんだオメーは」
沢渡(ってこいつ、最初の頃に出てた方中ミエルか? もうめっきり出番はなかったはずじゃ……あ)
沢渡「お前、まだ遊矢の追っかけしてんのかよ?」
ミエル「み、ミエルが誰を好きになろうがミエルの勝手でしょうが!」
ミエル「見える、見えるわ! アンタがダーリンとデュエルして無惨に負けた光景がね!」
沢渡「うっせ! いちいち癇に障るヤツだが、この際オメーでもいい! 俺とデュエルしろ!」
ミエル「ふふん? な・る・ほ・ど~……最近はやられ役が多くて憂さ晴らしがしたいってわけね」 クスッ
ミエル「はーあ、バッカみたい! ミエルなんてこの頃は出番すらないのよ? 出られるだけマシじゃない」
沢渡「もうアニメに出演することもねえお前に、登場するたび叩きのめされる俺の気持ちが分かってたまるかよ……」
沢渡「それとも何だ? そのガラス玉越しに見えた俺様の実力に恐れをなしたってわけか?」
ミエル「全っ然! いいわ、そこまで大口を叩くつもりなら全力で返り討ちにしてあげる!」
沢渡「そいつは俺のセリフだぜ! その減らず口を少しはおとなしくしてやるよ!」
沢渡・ミエル「「デュエルッ!!」」 LP8000/LP8000
面白い
沢渡「いくぜ、俺のターン! 俺は手札から《炎舞-「天キ」》を発動し、デッキから《妖仙獣 鎌参太刀》を手札に加えるぜ!」
沢渡「さらに永続魔法《修験の妖社》を発動し、手札から鎌参太刀を召喚! 続け、《妖仙獣 鎌壱太刀》《妖仙獣 鎌弐太刀》ッ!」
ミエル「妖仙獣デッキ? ミエルのデッキと相性が悪いわね……けどミエルの勝つ運命に変わりはないわ!」
沢渡「まだお楽しみはこれからだ! 手札から《命削りの宝札》を発動し、デッキからカードを3枚ドロォォッ!」 シュバッ
沢渡「これで終わりじゃねえ! 妖社から妖仙カウンターを3つ取り除き、デッキから《妖仙獣 左鎌神柱》を手札に加えて発動する!」
ミエル(占いに頼らなくてもミエルには見える! わざわざ左鎌神柱を発動したってことは、おそらくあのカードが手札に……!)
沢渡「そしてフィールド魔法《霞の谷の神風》を発動、手札からカードを二枚伏せてターンを終了するぜ!」 パシッ
沢渡「エンドフェイズに俺は《命削りの宝札》の制約効果を踏み倒し! 鎌鼬三兄弟よ、俺の手札に戻れ!」 ビュゥゥ
沢渡「そして《霞の谷の神風》の効果で、デッキから二体目の左鎌神柱を守備表示で特殊召喚だ!」
沢渡:LP8000/手札3枚/場7枚《妖仙獣 左鎌神柱》《妖仙獣 左鎌神柱》《霞の谷の神風》《炎舞-「天キ」》《修験の妖社》《--》《--》
ミエル「ミエルのターン、ドローッ! 場を整えたところで悪いけど、《ハーピィの羽根帚》で一掃させてもらうわ!」
沢渡「甘ぇな! 俺様は失敗から学ぶ男だ、カウンター罠《妖仙獣の秘技》でソイツは無効にさせてもらうぜ!」 パリィン
ミエル「やっぱりあったわね……! けど残念、そっちは囮よ!」
ミエル「ミエルは手札から《儀式の下準備》を発動! デッキから《聖占術姫タロット・レイ》《聖占術の儀式》を手札に加え、発動!」
沢渡「なんだとぉ!? くそっ、羽根帚は本命を通すための目くらましってことかよ!」
ミエル「この効果でレベル5《シャドール・ビースト》とレベル4《シャドール・リザード》をリリースし、儀式召喚を執り行うわ!」
沢渡「はぁ!? シャドールモンスター!?」
ミエル「けっこう相性がいいのよ? ―――すべてを見通す太古の巫女よ! 古の秘術によりて今! 蘇れ! タロット・レイを儀式召喚!!」
ミエル「儀式に使用したビーストの効果で1枚ドロー! リザードの効果でヘッジホッグを墓地に送り、《シャドール・ハウンド》を手札に!」
沢渡(ハウンドは表示形式を変更する効果……まさかアイツ、そのまま殴ってくるつもりか?)
ミエル「《神の写し身との接触》を発動! 手札から闇属性の《シャドール・ハウンド》《シャドール・ドラゴン》を融合するわ!」
ミエル「いでよ、《エルシャドール・ミドラーシュ》! さらにドラゴンの効果で伏せカードを破壊、ハウンドで左鎌神柱を攻撃表示へ!」
沢渡「なっ……なにぃ~~ッ!? 俺の《波紋のバリア -ウェーブ・フォース-》がぁぁぁ!」 パリィン
ミエル「バトル! ミエルは攻撃力2200のミドラーシュで、攻撃力0の左鎌神柱を粉砕するわ!」
沢渡「ぐぉぉぉっ! 覚えてろ、次のターンで倍にして返してやるぅぅぅ!」 LP8000→5800
ミエル「返せるものなら返してごらんなさい。 続いて攻撃力2700のタロット・レイでダイレクトアタックよ!」
沢渡「ぐっはぁぁぁぁ!」 LP5800→3100
ミエル「ミエルをがっかりさせない事ね? 手札からモンスターを裏側守備表示でセット、ターンを終了するわ」
ミエル「エンドフェイズにタロット・レイのモンスター効果発動! 墓地のリザードを裏側守備表示で復活させる!」
沢渡「余裕の表情を浮かべやがって……! この俺にターンを回したことを後悔させてやるぜ!」
ミエル:LP8000/手札0枚/場4枚《聖占術姫タロット・レイ》《エルシャドール・ミドラーシュ》《--》《--》
沢渡(とはいえこの状況はヤバい……なんかいいカード来てくれ、頼む~~っ!) シュバッ
沢渡「! いよっしゃぁぁぁ来たぜ! 俺は手札から《ブラック・ホール》を発動だぁ!」
ミエル「この瞬間、タロット・レイのモンスター効果発動! ミエルの場にセットされたモンスターを表側攻撃表示にリバースするわ!」
ミエル「ふふん、運命の流れは変えられないのよ? 《ダイス・ポット》のリバース効果、発動ッ!」
沢渡「……へっ?」
沢渡「ちょ、待て待て! ダイス・ポット!? そんな運頼りのギャンブルカードを入れるだなんて正気かオメーは!?」
ミエル「ミエルには見えたわ、このターンでアンタが敗北する未来が!」
沢渡「上等じゃねーか……この幸運の女神に愛された男、沢渡シンゴに博打で勝とうだなんざ100年早ぇんだよ!」
沢渡「せいぜい俺様の出目が6にならねえことを祈ってやがれ! オラァ!」 ゴロン
サイコロ『2』
ミエル「あら」
沢渡「な……なぁぁにぃぃぃぃッ!?」
沢渡(いやいや、落ち着け沢渡シンゴ! まだ負けたわけじゃねえ、奴が1か2を出せば俺はダメージを回避できる!)
沢渡(それにこのターンで連続攻撃を決め、エクシーズで場を制圧すれば勝ち筋なんていくらでもあるじゃねえか!)
ミエル「ふふっ、だから言っているでしょう? ミエルには未来が見えているって!」
ミエル「大いなる運命の流れはもう誰にも変えられない! ミエルの出目は当然! 運命によって決定されているのよ!」 ゴロン
サイコロ『6』
沢渡「」
ミエル「ダイス・ポットの効果により! 相手に6の目を出されたプレイヤーは6000ポイントのダメージを受ける!!」
沢渡「嘘だろぉぉぉぉぉぉ!?」 LP3100→0 ビーッ!
沢渡「くっそぉぉぉ! なんで俺は芝居の中でも現実でも、結局勝てねえんだ……!」 ガクッ
ミエル「ほんっと贅沢な悩みねぇ。 いいじゃない勝てなくったって、みんなアンタのデュエルで満足してるわよ?」
沢渡「俺は満足してねえの! はぁ……こんな細けえことに悩むだなんて、やっぱり俺はかませ役にすら向いてねえのかもな……」
ミエル「まったく、くっだらないわねえ」 ハァ
沢渡「んだとぉ!?」
ミエル「周りを見てみなさい! 勝とうが負けようが、みんながアンタのデュエルに期待しているわ」
ミエル「たかが少し負けが続いてるくらいで辞めたいですって? それってもう注目すらされない人たちを侮辱したいわけ?」
沢渡「それは……」
ミエル「アンタはダーリンの引き立て役としては悪くないんだから、もっと自分の配役に胸を張りなさい!」
ミエル「そうやっていつまでもうじうじしていたら、いつかミエルがアンタの座をとっちゃうんだから!」
沢渡「………………」
沢渡「……へっ」
沢渡「なーに寝ぼけたことを言ってやがる! オメーみたいな一発屋に、俺様の代役が務まるわけねえだろうが!」
ミエル「むっ! せっかく悩みを解消してあげたのに、やっぱりムカつく性格してるわねーアンタ!」
沢渡「ふふん、俺様を誰だと思っている? この俺はどんな役でも完璧にこなすエンタメ決闘者、ネオ・ニュー・沢渡様だ!」
prrrr
遊矢『もしもし、沢渡?』 ピッ
沢渡「あん? 遊矢か。 さっきは急に出ていっちまって悪かったな、俺はもう完全復活したぜ!」
ミエル「ダーリンっ!?」 バッ
遊矢『えっ、ミエルも一緒にいるの? 珍しいな……』
沢渡「野暮用でな。 それで遊矢、俺になんか用かよ?」
遊矢『実は、少し沢渡に会ってほしい人がいるんだ』
零児「入りたまえ」
沢渡「会ってほしい人って零児、お前かよ!」 ガチャ
柚子「ごめん沢渡、どうしても名前は伏せておけって言われてて……」
零児「遊矢から話は聞いている」
零児「君がアニメ制作のストーリー展開上で負けることを余儀なくされ、周りの人間に当たり散らしている……と」
沢渡「別に当たり散らしてるわけじゃねえ、ただ俺はデュエルで勝ちたいだけだ!」
遊矢「落ち着けって沢渡! 零児だって分かってるから、な?」
零児「……そうか」
沢渡「言いたいことがあるならハッキリ言いやがれ。 制作側から注意するようにとでもお達しがきたか?」
権現坂「まったく、零児がそんなことをするはずがなかろう」
零児「誤解しないでもらいたい。 今回キミを呼んだのは、私個人の意思だ」
沢渡「……ああん?」
零児「私の口から説明する前に、まずはこれに目を通してほしい」 カチッ
『零児って偉そうにふんぞり返ってるわりには特に何にもしてないよね』
『ランサーズのリーダー(笑)』
『足裏臭そう』
遊矢(うわぁ)
零児「私はいまだ作中で一度も負けたことがない……だがこの扱いはどうだ!」
零児「いいや、分かっているとも。 強敵は主人公である遊矢にぶつけられるため、私の相手はいつも格下の露払いだ」
零児「その結果が招いたものは『赤馬零児は弱いものいじめでドヤ顔してる素足眼鏡マフラー』という歪んだ酷評!」
零児「念を押して言っておくが、私は素足ではない」 クイッ
柚子(それ、後半はデュエルと関係ないんじゃないのかな……)
零児「常に勝ち続ける舞台装置のようなキャラクターに、人は親近感を覚えない。 沢渡シンゴ、キミと私は対極にいるのだよ」
零児「……私はいい加減負けたいのだ! 無様に白目を向きながら断末魔を垂れ流したい! 作中でも、現実でもな!」
沢渡「なんだよ、なら勝手に挑んで勝手にサレンダーすればいいじゃねえか。 勝つよりよっぽど簡単だろうが」
零児「できるわけがない……! 決闘者としての魂が、他でもない私自身が己の敗北を許さないだろう!」
零児「決闘者であるキミならば、すでに分かっているはずだ。 私が敗北する手段はたった一つしかないとな!」
遊矢「零児……お前、そこまで悩んで……」
零児「デュエルだ、沢渡シンゴ! 勝ちたいのだろう? だがな、私は負けたい!」
零児「我々二人の渇望を満たすには、キミがこのデュエルで私に勝利するしかないのだッ!」
沢渡「……ハン! 俺には難しいことは分かんねえよ」
沢渡「だがな零児、テメェとは一度やり合ってみたかったと前から思っていたぜ! いくぞォ!」
沢渡・零児「「デュエルッ!!」」 LP8000/LP8000
沢渡「さあ、ショータイムの幕開けだ! 俺は手札から《魔界劇団-エキストラ》を召喚してリリース、効果を発動するぜ!」
沢渡「デッキから《魔界劇団-ビッグ・スター》をペンデュラムスケールにセッティング! 《魔界劇団-ワイルド・ホープ》も発動だ!」
零児「魔界劇団か……私からのプレゼントをうまく使いこなしているようだな」
沢渡「礼は勝つまで言わねえぜ! さらに速攻魔法《揺れる眼差し》を発動し、セッティング済みのスケールを破壊する!」 パリィン
沢渡「揺れる眼差しの効果で二体目のホープを、破壊されたホープの効果で《魔界劇団-ダンディ・バイプレイヤー》を手札に加えるぜ!」
零児「ぐっ……! 《揺れる眼差し》で強引にエクストラを肥やしにきたか!」 LP8000→7500
遊矢「これで、レベル3から7のモンスターが同時に召喚可能……!」
沢渡「焦っちゃいけねえ! コイツらをペンデュラムスケールにセッティングした後、ホープの効果でバイプレイヤーのスケールを拡張だ!」
沢渡「ペンデュラム召喚! 舞台に上がれ、《魔界劇団-デビル・ヒール》《魔界劇団-ワイルド・ホープ》《魔界劇団-ビッグ・スター》!」
柚子「沢渡のフィールドに、一気にレベル8までのモンスターが召喚されたわ!」
沢渡「ついでにバイプレイヤーのペンデュラム効果でエキストラを回収し、ビッグ・スターのモンスター効果発動!」
沢渡「デッキから《魔界台本「オープニング・セレモニー」》をセット、そのまま発動してライフを1500ポイント回復するぜ!」 LP8000→9500
沢渡「そして永続魔法《魔界大道具「ニゲ馬車」》を発動! 選択したビッグ・スターは次の俺のターンまでモンスター効果を受けねえ!」
零児(なるほど……ワンターンキル対策でライフを回復し、そのうえ戦闘耐性と効果耐性を付与。 悪くない戦略だ)
沢渡「これでターンを終了するぜ! 俺は逃げも隠れもしねえ、どっからでもかかってこいよ零児!」
沢渡:LP9500/手札1枚/場6枚《魔界劇団-ビッグ・スター》《魔界劇団-デビル・ヒール》《魔界劇団-ワイルド・ホープ》《魔界劇団-ワイルド・ホープ》《魔界劇団-ダンディ・バイプレイヤー》《魔界大道具「ニゲ馬車」》
零児「ふっ……だがそちらに妨害カードはないようだ。 ならばこちらも存分に行かせてもらう!」
沢渡「よく聞けぇ零児! 俺は今日、三人の決闘者とやりあった!」
零児「ワンフォーワン発動アビス墓地ケプラーss効果地獄門サーチ発動ラミアサーチスワラル効果スワラルネクロ墓地テムジンss」
沢渡「最初に出会ったヤツは、面白けりゃ勝ち負けは関係ないとかほざきやがった!」
零児「ラミアnsラミアテムジンscアレクサンダーssスワラル効果アビスss効果テムジンssアレクサンダー効果ラミアss」
沢渡「次に戦ったヤツには、出番があるだけ恵まれてるって言われたぜ!」
零児「アレクサンダーラミアscサイフリートss効果ニゲ馬車無効アビス効果ケプラーリリースデビルヒール除外」
沢渡「そして最後に挑んだヤツは、あろうことかデュエルに負けたいと抜かしやがる!」
零児「ラミア効果地獄門墓地ラミアssラミアテムジンscブラックローズss効果ビッグスターバウンス」
沢渡「そして俺は気づいた! 他のヤツらなんかに、俺様の背負ってる大役は任せられねえとな!」
沢渡「俺たちは決闘者であると同時にエンターテイナーだ! テメェはそう言いてえんだろ、零児!」
零児「ネクロ効果ネクロテムジン除外ベオウルフss」 クイッ
沢渡「長ぇなオイ」
零児「諸事万端は整った! ベオウルフでワイルド・ホープを攻撃し、残る四体で沢渡シンゴにダイレクトアタック!」
沢渡「結局こうなるのかよぉぉぉぉぉ!!」 LP9500→8100→5900→3500→1000→0 ビーッ!
零児(また勝ってしまった……) ズーン
遊矢「大丈夫か沢渡ーっ!」
沢渡「……俺は今日を通してもう一つ、学んだことがあるぜ」
沢渡「おい遊矢、オメー俺にどうやって勝ったんだっけな?」
遊矢「えっと……無限ループでワンキル……」
沢渡「そんでミエルのヤツは、あろうことか運頼みのバーンで直接ライフを燃やしに来やがった」
沢渡「そして零児ぃ! テメェいつまでソリティアしてやがるッ!」
零児「勝つためには必要な過程だ」 クイッ
沢渡「面白ぇデュエルってのは、どっちが強すぎても弱すぎても駄目だ! 一方的な展開なんざ言語道断に決まってる!」
沢渡「実力が拮抗してねーとワンサイドゲームになってつまんねえだろうが! それをなんだオメーらのデュエルは!」
遊矢「うーん……勝てるからいいんじゃないか? 別に」
零児「負けた言い訳ほど見苦しいものはないな」
沢渡「はっきり言ってやる! こんなデュエルはエンターテイメントから遠すぎるぜ!」
沢渡「くっそー! こんな思いを他の奴らに押し付けてたまるか! やっぱり俺しか適任はいねえじゃねえか!」
遊矢「沢渡……!」
権現坂「よくぞ言った沢渡、それこそ役者としての成長というものだ」
柚子(成長っていうか、妥協のような……)
沢渡「だがなぁ! 結局のところ、俺はまだ一度もデュエルに勝ててねえぞ!」
遊矢「……そういえばそうだったような」
柚子「沢渡、それなら私たちみんなも協力するわ!」
素良「ふーん? 沢渡がボクらにデュエルで勝つつもりなんだって?」 ガチャ
黒咲「いいだろう、貴様とは一度ケリをつけておきたかったからな」
柚子「言い出しっぺのアタシも、やってやるんだから!」
沢渡「お、お前ら……!」
沢渡「そこまでいうんなら仕方がねえな! この俺様に負けたい奴から列に並べ!」
沢渡「やられ役だけじゃねえ! カッコいい主役もできるってことを、オメーらを倒して証明してやんよ! さあ行くぜ!」
「「デュエルッ!!」」
遊矢(よかったな、沢渡……!)
柚子「私はアリア、エレジー、クリスティアで沢渡にダイレクトアタックよ!」
沢渡「ぐぁぁぁぁぁぁ!」 ビーッ!
素良「三回攻撃の権利を得たデストーイ・シザー・ウルフで連続攻撃! これでキミのライフはゼロだ!」
沢渡「そんなぁぁぁぁぁぁ!」 ビーッ!
黒咲「アルティメットファルコンよ! 奴のモンスターを打ち砕けェ!! ファイナル・グロリアス・ブライトォォッ!!」
沢渡「やっぱり勝てねえぇぇぇぇぇぇ!」 ビーッ!
権現坂「……しかし、沢渡はやはり沢渡のようだな」
遊矢「まあ……アイツらしくていいんじゃないか?」
沢渡「俺だって勝ちたいのにぃ~~!!」 ビーッ!
おわり
DD相手はしょうがないよ沢渡さん
なお今週のアニメでは決闘描写無しで断末魔あげた模様
乙
沢渡さんはやっぱりステキや
乙
沢渡さん今のところ唯一のP召喚オンリー型だから好きだわ
乙
もう少しだけでいいから沢渡さんには生き延びていてほしい
乙
カードゲームアニメには負け役が必要とはいえ……やっぱり勝つところも見たいよね
面白かったぜ
試合結果には影響しないけど>>13で命削り発動したターンは特殊召喚出来ないんだよね…
乙
親近感のわく社長だ
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