昼休みの高校

「手を繋いでいるカップルがいますね」
「あらあら初々しい」
「指なんて絡めてますよ」
「大胆ね」
「よくみかけますけどね」
「まあ、そうね」

「あちらではお互いにあーん、なんてしてますね」
「あらあら、あれは別れた後に思い出して苦々しい顔をするわねうふふ」
「なにひどいこと言ってるんですか」
「高校生カップルなんて卒業する前に大抵破局しているものよ」
「そんなこと言わないであげましょうよ」
「あらあら、うふふ」

「手作りお弁当なんて作って貰えるのは男子としては嬉しいものなのかしら？」
「うーん、大抵の男子は嬉しいって思いますよ、多分」
「その中身が冷凍食品だらけだったとしても？」
「えっ」
「考えてごらんなさい、朝の短い時間で丹精込めて作るような娘が実際いると思うの？」
「いるかもしれないじゃないですか。そんな男子の夢をぶち壊すようなこと言わないでくださいよ」
「まあ、もし料理が下手な娘だったら冷凍食品のほうが食べる男子にとっては幸せかもしれないわね」
「さっきからひどいことばかりいいますね」
「あらあら、うふふ」

「昼休み、もうじき終わりますね」
「あらあら、それでは教室に戻ろうかしら」
「僕もそうします。では放課後また」
「ええ、またあとで、先輩」

放課後
「遅くなりました」
「あらあら、どこで道草食ってたのかしら」
「道草じゃなくて弁当食べてました」
「あらあら、よく昼食食べ損ねるわね」
「大体君のせいですけどね」
「あらあら、リア充みてたらお腹満たされるのではなかったの？」
「お腹いっぱいの意味合いが違いますからね」
あらあら、わかっていってるのようふふ」

「では、部活を始めましょうか」
「そうね」
「今日はどこで観察するんです？」
「今日はもう遅いし、校内にしましょう」
「ターゲットは？」
「部活を終えた男女。具体的にはマネージャーと部のエース……」
「ベタですね」
「あらあら、代案があるなら聞くけど？」
「ああ、いえ、ないですはい」
「あらあらうふふ」

「で、外に出たのはいいんですが」
「あらあら、なにか問題あるのかしら」
「部活終わるのってまだ一時間以上もありますよ」
「……あらあらうふふ」
「笑ってごまかすのはだめですよ後輩」
「文化部あたりをひやかして時間潰しましょ」
「また勝手に体験入部紛いのことするんですね」
「あらあらご不満？」
「いえ、面白いから別にいいですけど」

半年ROMってこい

「で、なんで茶道部に来たんです？」
「あらあら、愚問ね。先輩を使って実験するために決まってるじゃない」
「僕はモルモットじゃないんですけど」
「あらあら、モルモットじゃないわ。マウスよ」
「大差ないです。それとさっき後輩が拉致った将棋部の彼らは一体なぜ僕と同じように正座させられているのか聞きたいのですが」
「あらあら、彼らこそモルモットよ」
「せめて被験者って言ってあげてください」
「大差ないわ、うふふ」

じゃあ半年romるわ