大原みちる「ブレットならありますよ。食らいますか?」パーン (15)

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大原みちる「ブレットならありますよ。食らいますか?」パーン

中野有香「わっ!」

みちる「これは直撃でしょう。勝負は決しましたね、パンでもいただきましょう」

有香「う……危ないところでした……」

みちる「フゴ……?」

有香「この法子ちゃんからもらった、ドーナツの輪がなければやられていました」

みちる「フゴフゴ、ごっくん。なるほど、小麦で小麦を吸収したというわけですね!」

有香「ここまで来たら負けられません! 最強アイドルの座はあたしがもらいます!」

みちる「ぶどうパンのため、あたしも負けませんよ!」

桃井あずき「す、すごい戦いです! 実況の東郷さん、いかがですか!?」

東郷あい「うむ。フラワーの花が咲いたとでも表現しようか」

あずき「な、なるほどっ! 中継大作戦進行中! 実況担当は桃井あずきでお送りします! 第一回天下一葡萄会!」

あい「これから激しさを増すこの戦い、目を離してはダメだぞ」





物語は1カ月前にさかのぼる。

有香「最強のアイドルを決める大会、ですか」

モバP「ああっ! 有香にぴったりだろ」

有香「押忍! じゃなかった、はい! こういう仕事、待ってました!」

モバP「いい返事だ」

有香「はい! ですが、これはどこの流派の大会でしょうか、そもそも、空手でしょうか」

モバP「いや、違う。流派も、競技もない。ただ強ければそれで良い、そんな大会だ」

有香「な、なんでもありということですか。それこそまさしく最強を決める大会……! 主催者はそれこそ最強なのでしょうね……!」

モバP「いや、農家だ」

有香「え、農家?」

モバP「そうだ。正確には農家アイドルだ」

有香「農家、アイドル……?」

モバP「農家アイドルが土からこだわって生産した最高最強のブドウ。それを誰に食べされるか」

有香「頂にあるブドウを食べる者もまた、頂に到達したものでないといけない、そういうことですね……?」

モバP「いや、違う。生産者のリーダーがダジャレ好きなだけだ」

有香「だ、ダジャレ?」

モバP「そうだ。ブドウと武道だ」

有香「お……押忍」


かくして、有香の天下一葡萄会への参戦が決まった。




有香「まさか、決勝の相手がみちるちゃんとは思いもしませんでした」

みちる「あはは、最高のブドウでブドウパンを作りたいので」

有香「正しい目的です……! ですが、最強アイドルの座は譲れません! せいやっ」

みちる「ッ!!」

有香「はぁっ! せいやぁっ!」

あずき「すごい! 中野選手、連撃大作戦です!」

あい「今、5発くりだしたようだな。私じゃなかったら見逃していたよ」

みちる「は、はやい」ビシビシ

あずき「大原選手、防戦一方です!」

有香「これでぇっ! せいやっ!」

ボン

あずき「あーっと! 大原選手、爆発してしまった!? えー、大丈夫!?」

あい「粉塵だ」

有香(手応え……なし)

あずき「白いもやが会場を包んでいます!」

あい「小麦粉の噴煙だ」





有香(集中しなくては……みちるちゃんはどこ、どこに……!)

カチン

ドカーン

あずき「わわわ! だ、大爆発! 大爆発です!」

あい「ふむ、これは粉塵爆発」

あずき「ふ、粉塵爆発? って、これ実況してる場合じゃ」

あい「落ちつきたまえ、あずきくん。選手は無事だ」

あずき「え……あ、ああぁっ!」

シュワシュワシュワ

あずき「もやが晴れて……無事です! 二人とも立っています!」

有香「またしても法子ちゃんのドーナツの輪に救われました」

みちる「さすがは揚げ物、このくらいの火では問題なしということですか」

有香「みちるちゃんも余裕の表情……さすがですね」

みちる「あはは、オーブンはもっと熱いですよ」

有香「……どうやって火花を?」

みちる「あたしの八重歯はアンパンみたいに甘くはないですよ。この通り」カチン

有香「なるほど……そういうことだったのですね」





みちる「それにしても、そのドーナツの輪、厄介ですね」

有香「ふふ、あたしは1人じゃない、メロウ・イエローの力です!」

みちる「しかたありませんっ! この試合の間だけ、チームフラワーは解散です」ゴゴゴゴゴゴ

あずき「す、すごい覇気です! このびりびり感、伝えたいっ」

みちる「このブレッドを食らいなさい!」パーン

有香「何度やっても同じです! ドーナツの輪」

ドカーン

あずき「おおっと! 輪が爆発したっ!」

あい「ま、まさかっ! 禁じ手だ!」

あずき「き、禁じ手?」


有香「う、うぅ……」

みちる「よく耐えられましたね。フゴフゴ」

あずき「大原選手、なにやら食べているようです……あれは、いったい」

みちる「ごっくん。はぁーもちもちしていておいしいです」

あい「こ、米粉だ」

あずき「米粉?」

あい「そう、米粉だ。チーム・フラワーの禁じ手、米粉を使ったパンだよ」

みちる「フラワーと名乗ったときから、あたしと法子ちゃんをつないでいたのは、小麦粉でした」

有香「ゲホッ、ゴホッ」

みちる「法子ちゃんの力を封じるためには、お米の力を借りる必要がありました」

???「おからドーナツ抹茶味! 発売中だよ! お米がありならおからもありだよね♪ 買ってきまーす!」

みちる「さあ、これで守る手がなくなりましたよ!」

有香(ぜ、絶対絶命……!)





有香(も、もうダメなんでしょうか)

ぷぉおぉぉぉぉぉん

有香(こ、この尺八のような音は!)

???(風が語りかけます)

有香(ゆ、ゆかりちゃん! 心に直接!?)

ゆかり(有香さん、メロウ・イエローはトリオです。私もいますから、安心してください)

有香(で、でも、どうしたら)

ゆかり(ドーナツフルート拳、今こそドーナツフルート拳を使うのです)

有香(ど、ドーナツフルート拳?)

ゆかり(フルートの音色で心を落ち着かせたあと、ドーナツだけを想像し、心の食欲を爆発させ、拳に乗せるのです)

有香(な、なるほどっ! できそうです!)

ゆかり(次、私のフルートの音色が聞こえたら、それが反撃の時です)

有香(わかりましたっ! ゆかりちゃん、ありがとう!)





みちる「ふごふご、ごっくん。さて、食べ終わりましたし、とどめをさしますよ!」

有香「押忍!」

みちる「気合は十分ですねっ! でも、もう観念した方が痛い思いをしないで済みますよ」

有香「心配はいりません! それより、自分の心配をした方がいいんじゃないですか」

あずき「絶対絶命な状況の中、中野選手、余裕があります! これはプランBでしょうか!」

あい「ふ、決まったようだな」

ぷぉおぉぉぉぉぉん

みちる「とどめっ!」パーン

有香「どぉぉぉぉぉぉぉぉっなつ!! フルート拳!!」

ドゴーン




あずき「す、すごい爆発がおこりました、これはどうなってしまったのか! というか、大丈夫!?」

あい「……大丈夫だろう」

シュワシュワシュワ

あずき「煙が引いていきます……おぉっと! 大原選手が空にパンを掲げて倒れています!」

あい「コテンと倒れてパンを掲げる。ふ、コテンパンとは粋なことをするな、みちるくんは」

あずき「そういうこと?! ですが、勝負ありっ! 中野選手の優勝です!」

カンカンカンカーン

ワーワーキャーキャー



城島「って企画考えたんやけど、どうかな。あれ、山口ー? 山口ー?」


おしまい

米粉パンもおからドーナツもおいしかったです!

なんだこれは……なんだこれは……

うまい、うますぎる

このあいさんはいいあいさん

まるで意味がわからんぞ!?

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